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2015,06,29, Monday
2015.6.18NHK 2014.12.14宝島 2014.12.27そもそも総研 (1)政府による電源構成比率の決定は、技術を妨害する計画である 1)政府の電源構成決定 *1-1の経産省の有識者会議が了承した電源構成の報告書案で、①発電コストが安く(?)運転が安定しているため(?)経済成長に資する(?)として原発の総発電量を20~22%を確保し、②原発再稼働に向けて国が前面に立って自治体の理解と協力を得るよう取り組み(!?)、③発電が天候に左右されるとして太陽光や風力の伸びは抑え(??)、④地熱・水力・バイオマスは自然条件に関係なく安定して発電できると評価して将来は原子力にかわる電源として積極的に拡大する(?)とし、⑤太陽光と風力を大量に導入すると火力のコスト負担も生じる(?) などとしているのは、技術進歩を考慮できず、技術進歩を妨害して、経済成長を妨げるものである。 2)原発は本当に市場競争力のある安い電力か? *1-2のように、政府は、高経年化した原発が発電する場合に限って「原子力発電施設立地地域共生交付金」を出すこととしており、長期運転の原発を抱える自治体に最長5年間で最高25億円交付するだそうだが、これらの交付金は原発のコストであり、危険受忍の奨励であり、公正な市場競争では原発が成立しないことの証でもある。 なお、薩摩川内市は、原子力発電施設立地地域共生交付金を貴重な財源と位置付けているそうだが、これまでも原発立地による電源立地地域対策交付金が入っていたのに、まだ企業誘致や産業活性化・福祉ができていないのであれば、これらの交付金が地域振興を促すとは考えにくく、交付金をあてにして無駄遣いしてきたと思われても仕方がなく、それよりも、開通した九州新幹線を活用することを、地域で考えた方が地域振興にプラスである。また、*1-3のように、30年超運転に向け、原子力規制委員会が九電に速やかな対応を求めるなどというのは論外である。 3)原発再稼働と世論 *1-4、*1-5のように、電力会社の株主総会でも「脱原発の世論を直視すべき」として原発依存体質に怒りが噴出したが、各社とも原発再稼働の必要性は譲らなかったそうだ。これは、(1)1)2)のような政府による原発推進に起因しており、政府の愚鈍で硬直的な責任が大きい。 そもそも、世論の通り(普通に考えれば誰でもわかるのだが)、*1-6のように、原発ゼロを決断すれば一部を再稼働するよりも電力会社だけを考えても発電コストが下がって電気料金は安くなるだろう。まして、国が支払う交付金、使用済核燃料保管のリスクと費用、核廃棄物の処理費も考慮すれば、原発をゼロにすれば国民負担が大きく減るのは明らかである。その上、再生可能エネルギー技術が進歩して、これによる経済成長があるとともに、エネルギー自給率も上がって、ホルムズ海峡の機雷が我が国の存立危機になるなどという馬鹿なことはなくなるのである。 (2)川内原発再稼働のための課題は解決したのか? *2-1、*2-2、*2-3のように、九電の瓜生社長は株主総会後に記者会見し、川内原発1、2号機の再稼働で5年連続の赤字を回避できる可能性があるとしたそうだ。しかし、九電の黒字や九電株主の早期復配のために、原発の安全性に関する懸念や核廃棄物の処理などの原発のあらゆる課題と不合理を無視して、次世代につけを残しながら、川内原発を再稼働することは許されない。 また、*2-4のように、市民らが、地震対策の不備や情報公開の不十分さを指摘して、九電川内原発1号機の工事計画認可の取り消しを求め、原子力規制委員会に異議申し立てをしている。 それにもかかわらず、*2-5のように、電事連が、「電力自由化で競争が進めば、発電のコストを電気料金に上乗せできる総括原価方式がなくなる上、福島第一原発事故の影響で原発の安全規制が強化されると、原発運営のコストが膨大になる懸念がある」という理由で、核燃料サイクル事業に国の資金的関与を求めているのは、原発は発電コストが安いのが長所としている論拠が虚偽であることを、自ら認めているものだ。 (3)原発事故汚染の影響とまだ金額に換算されていないコスト *3-1のように、WHOが「福島県でガン多発」という報告書を公表したが、広告料で首根っこを押さえられているのか、記者クラブはこれを無視して国民には報道しなかった。日本の専門家会議も、WHOの健康リスク評価に対して、「過大評価の可能性がある」として無視し続けたそうである。 そのWHO報告書は、「東電・福島第一原発事故で深刻な放射能汚染に晒された原発近隣地域の住民の間で、甲状腺ガンをはじめとしたガンが増加し、特に若い人たちの間でガンが多発する」と明言し、主な「評価対象」は避難が遅れた浪江町と飯舘村に暮らしていた住民で、過小評価を避けるための仮定を積み重ねた上で住民の推定被曝線量を出したとのことである。確かに、避難までに4カ月はかかっておらず、汚染された福島県産の食材を食べ続けたわけでもないが、その後も高線量の場所で暮らしている上、日本政府が食品からの内部被曝に鈍感なことは、*3-2の対応を見ても明らかだ。本来なら、日本政府が、*3-4のような検査を関東も含む汚染地域全体で行って正確な結果を出すべきなのである。 なお、韓国では、*3-3のように、釜山地裁が女性の甲状腺癌について「原発付近に居住し、相当期間、原発から放たれた放射線にさらされた。このため、甲状腺がんと診断を受けたとみるのが相当だ」として原発と甲状腺がんの因果関係を認めたそうだ。その判決がポイントとして挙げたのは、①甲状腺がんの発生には、放射線にさらされることが決定的な要因として作用することが知られている ②その女性は原発から10キロ圏に20年近く暮らし、放射線に長期間さらされてきた ③女性の甲状腺癌の発生には、原発から放出された放射線以外に、原因があると思える明確な材料がない ④原発周辺地域の住民の疫学調査の結果、原発から5キロ~30キロ離れた地域でも、遠く離れた地域よりも1・8倍高い発生率を示している ⑤他の癌と異なり、甲状腺がんの場合、原発からの距離と発生率とに相関関係があるという調査結果が出ている などだそうである。 また、釜山地裁は、「加害企業は、技術的・経済的に被害者よりもはるかに原因の調査が容易な場合が多いだけでなく、原因を隠蔽する恐れがあるため、加害企業が有害な原因物質を出し、それが被害者に及んで損害が発生すれば、加害者側が無害だと証明できない限り、責任を免れられないとみることが社会均衡の理念にあう」としたそうで、もっともだ。 (4)安全神話を除いた原発のコストは安いのか? *4-1のように、政府はお盆前に避難指示を解除して、原発事故は大したことはなかったのだという印象をつけようとしているが、除染で線量が十分に下がっているわけではないため、これも安全神話だ。 また、*4-2のように、東電の株主が歴代経営陣に賠償を求めている裁判でも、原告は、「事故の3年前に津波対策は不可避だと認めていたのに先延ばしにしていた」と主張している。 さらに、*4-3のように、東電福島第1原発事故を総括した国際原子力機関(IAEA)の最終報告書は、「原発の安全神話を過信し、必要な対策を怠ったことが過酷事故につながった」として、国や東電の認識の甘さと安全対策の不作為を厳しく批判している。 そして、まともにこれらの安全対策を行い、被害者に原発由来の病気の補償をした上でも、原発のコストが安いわけではなく、これらは、まだ金額が算出されていないか、曖昧にされているにすぎないのだ。 (5)再生可能エネルギーの技術進歩に対する経産省の妨害 2015.6.24 現在の太陽光発電 2015.6.22 2015.6.20 西日本新聞 日経新聞 日経新聞 *5-1のように、九州・沖縄では、太陽光発電関連が伸びて建設業売上高は上位10社が増収したが、太陽光関連は九電による再生可能エネルギーの新規契約一時中断などの影響が避けらず、政府が電源構成比率を決定して原発を基幹電源とし、太陽光・風力発電を抑えたことが普及を邪魔している。 確かに、メガソーラーは景観が悪く、土地の使い方ももったいないが、ソーラーフロンティアが、*5-2のように、ガラスではなく高機能フィルムを採用して建物の曲面に張るなど用途拡大が期待でき、設置作業も容易で、13%台の高効率で発電する太陽電池を、2018年に発売するそうだ。私は、あらゆる理由から、こちらを伸ばすべきだと考えている。 また、*5-3のように、九大が、弱い風でも効率よく発電できる小型風車の開発にメドをつけ、これは、騒音が少ないため公園、住宅、学校、工場などに設置しやすいとのことで、このように、太陽光発電、風力発電及び畜電技術は、日進月歩で進み、世界で競争しているのだ。 そのような中、*5-4のように、2014年に世界で建設された太陽光・風力などの再生可能エネルギー発電設備容量は9700万キロワットに上り、総容量は13年比約17%増の6億5700万キロワットに達し、新設された発電設備の約6割は再生エネで、その成長ぶりは顕著だそうだ。そのうち太陽光発電は1年間に4千万キロワット建設され、中国の1060万キロワットが最多で、昨年は世界の経済成長に伴ってエネルギー消費も増えたが、二酸化炭素排出量は13年と変わらず、中国などでの再生可能エネルギーの急拡大がその一因という状況なのである。 <政府の原発推進> *1-1:http://www.asahi.com/articles/DA3S11785829.html (朝日新聞 2015年6月2日) 原発重視、政府案を了承 太陽光・風力は抑制 電源構成 経済産業省の有識者会議は1日、2030年度の電源構成(エネルギーミックス)の報告書案を了承した。発電コストが安く運転が安定していると位置づけた原発は、総発電量の20~22%を確保する一方、発電が天候に左右される太陽光や風力の伸びは抑えた。7月にも政府案として正式決定する。同省の「長期エネルギー需給見通し小委員会」でまとまった。2日にも広く意見を求める「パブリックコメント」にかける。3年ごとに検討する国のエネルギー基本計画にあわせ、必要に応じて見直すという。報告書案では、経済成長を続けるために発電にかかるコストを抑える考え方を打ち出し、原発を重視する方針を明確にした。原発の再稼働に向けて、国が前面に立って自治体などの「理解と協力を得るよう取り組む」との方針も、新たに盛りこんだ。再生可能エネルギーでは、地熱や水力、バイオマスは、自然条件に関係なく安定して発電できると評価。将来は「原子力を置き換える」電源として「積極的に拡大」するとした。22~24%とした再生エネの5割以上を、これらの電源で見込む。太陽光と風力は天候で出力が大きく変わり、大量に導入すると、発電量が足りない場合に運転する火力のコスト負担も生じるなどと指摘。「コスト負担が許容可能な範囲で最大限導入する」と位置づけ、計8・7%にとどめた。委員会では、委員の橘川武郎・東京理科大大学院教授が「政権の『原発は可能な限り低減させる』という公約と違う。(原発の)20~22%の実現は難しい」としてただ一人、報告書案に反対を表明した。委員長の坂根正弘・コマツ相談役は「意見が合わないところはあると思うが、3年後の見直しで議論する機会がある」と引き取った。報告書案について、九州大の吉岡斉教授(科学技術史)は「震災前に戻すかのように原発と石炭は維持して、再生エネは軽んじられている」と批判した。一方、日本原子力産業協会の服部拓也理事長は、原発割合について「想定の範囲内」とし、「原子力の価値をもう一度きっちり議論する必要がある」と語った。 *1-2:http://qbiz.jp/article/64603/1/ (西日本新聞 2015年6月17日) 原発共生交付金活用へ、鹿児島県が検討 30年経過、川内再稼働見越し 九州電力川内原発1、2号機が立地する鹿児島県が、運転開始から30年がたち高経年化した原発がある都道府県に交付される「原子力発電施設立地地域共生交付金」の申請を検討していることが分かった。1号機は昨年7月に運転30年を超え、2号機も今年11月に30年に達する。交付は「発電する施設」が条件だが、近づいてきた川内原発再稼働を見越して、申請準備に入ったとみられる。交付されれば九州の県で初となる。共生交付金は長期運転の原発を抱える自治体を支援するため、2006年に導入された。最長5年間で最高25億円が交付される。申請する都道府県が、関係自治体の(1)地域活性化(2)福祉対策(3)公共用施設整備(4)企業導入・産業活性化−に資する事業を対象にした「地域振興計画」を策定し、国の承認を得る必要がある。川内原発がある薩摩川内市は合併から10年が経過し本年度から地方交付税が段階的に縮減されるため、交付金を「貴重な財源」と位置付ける。13年8月の県との協議では、再稼働が不透明なこともあり県は動かなかったが、今年4月以降、県と市で制度の仕組みなどの確認に入ったという。市は「県にぜひ申請してほしい。行政へのニーズに対応する財源として使いたい」と期待する。一方、九電玄海原発が立地する佐賀県は、2号機が1981年の運転開始から30年以上経過し、交付対象になって4年になるが、まだ申請していない。県は「25億円は貴重な財源であり、申請はする方向だ。地域振興にどのような使い道が有益か、内部で検討を重ねている段階」とする。立地する玄海町との調整はまだしていないという。共生交付金は既に福井、島根、茨城、愛媛県が受給している。静岡県は08年度に最初の交付を受けたが、中部電力浜岡原発1、2号機の廃止により1年で打ち切られた。 *1-3:http://qbiz.jp/article/64524/1/ (西日本新聞 2015年6月16日) 川内原発30年超運転へ「早期対応を」 規制委、九電に要求 原子力規制委員会は15日、運転開始から30年前後が経過した九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)をめぐり、機器や設備の中長期の保守管理について議論した。30年超運転に向け必要な申請が遅れており、規制委側は九電に速やかな対応を求めた。運転開始から30年を超える原発は、劣化状況の評価と中長期の保守管理方針策定が義務付けられている。1号機は昨年7月に運転30年を超えたが、基準地震動(想定される最大規模の揺れ)など、再稼働に向けた審査結果を反映する必要があり、規制委は特例として手続きの延長を認めていた。九電は今年3月中旬に1号機の「工事計画」の認可を受けた後も、中長期の保守管理に関する書類を提出していない。15日の会合で九電側は「漏れをなくすため工事計画の資料を読み込んでいた」と釈明、1号機は7月上旬、2号機は9月上旬に必要な書類を提出する考えを示した。九電は8月中旬にも1号機を再稼働させる方針で、30年超の運転に必要な保守管理方針の認可は再稼働後になる可能性がある。規制委側は「今後10年間で実施する中長期の対策なので再稼働とは直接関係ないが、だらだらと時間をかけるべきではない」としている。 *1-4:http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201506/0008154771.shtml (神戸新聞 2015/6/26) 「世論を無視」原発依存体質に怒り噴出 関電株主総会 関西電力の株主総会に出席後、報道陣の質問に答える久元喜造神戸市長=25日午前、神戸市中央区港島中町6(撮影・後藤亮平) 25日に一斉に開かれた電力9社の株主総会。関西電力の八木誠社長らが赤字決算や電気料金の再値上げを謝罪した一方で、各社とも原発再稼働の必要性は譲らず、脱原発をめぐる議論は最後まで平行線をたどった。来年4月の電力小売り全面自由化を見据えた戦略も見えにくく、株主の怒りが噴出した。「原発反対の世論を無視している」「なぜ原発推進の話ばかりするのか」。関電の総会では怒りに満ちた株主の発言が相次いだ。各社の会場周辺には反原発の市民団体が詰め掛け、会社関係者らと言い争う場面もあった。神戸市の久元喜造市長も「再値上げは市民生活を圧迫しており、極めて遺憾」と怒りを表した上で「原子力以外の多様なエネルギー源の活用を含めた最適な電源構成を示せ」と迫った。原発をめぐっては福井地裁が関電の高浜3、4号機(福井県)の再稼働を差し止める仮処分を決めたが、九州電力では川内1号機(鹿児島県)の8月再稼働に向けた準備が進む。世論調査では再稼働反対の意見が多数派だが、電気料金の値上げに苦しむ家計や企業、原発の立地自治体には再稼働を待ちわびる声もあり、世論は割れている。電力9社の総会では、脱原発の株主提案が議題となったが、いずれの提案も否決された。 【経営崖っぷち】 電力各社の業績は一様ではない。2015年3月期連結決算は燃料価格下落の効果もあり、9社のうち6社が経常黒字を確保した。一方、北海道と関西、九州の3電力は4年連続の赤字となり、崖っぷちに立たされている。明暗が分かれた背景には、原発依存度の違いがある。東京電力の福島第1原発事故が起きる前の10年3月末を見ると、発受電電力量に占める原発比率が北海道は35%、関西45%、九州42%と他社に比べて高めとなっている。原発が止まると、代わりを埋める火力発電の燃料費負担が他社より大きくなった。北海道電や関電の社長は経営不振をわびる一方、原発再稼働で経営を立て直す考えを強調。関電の株主から「原発(依存)を高めたことが(財務の)悪化につながった。反省の弁が一言もない」との批判も出た。 【見えない戦略】 一方、政府が進める電力システム改革は来年4月の小売り全面自由化で大きな節目を迎える。異業種からの新規参入企業を迎え撃つ大手電力にとって重要な経営課題のはずだが、総会での議論は低調だった。関電の株主総会後の記者会見で八木社長は「大事なことは料金の競争力を上げることと新たなサービスを提供することの二つ。(通信会社などとの)提携も検討していきたい」と意欲を語ったが、具体的な説明は乏しかった。東北電力は13年9月の電気料金値上げ後、約1700の顧客が流出した。この日社長に就任した原田宏哉氏は「引き続き家庭やビジネスの場で利用してもらいたい」と話すのがやっとだった。 *1-5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015062602000153.html (東京新聞社説 2015年6月26日) 電力株主総会 脱原発の世論直視を 原発の再稼働がこの夏に迫る中、電力会社が開いた株主総会では脱原発を求める株主の声が相次いだ。再稼働ありきの政府、電力会社は、鎮まることのない脱原発の世論を直視すべきだ。原発依存度が高く四年連続赤字の関西電力の総会では、株主が「原発の再稼働にすがるのは愚かな経営だ」「中長期の経営方針として脱原発を明確にすべきだ」と訴えた。中部電力でも株主が運転停止中の浜岡原発の廃炉を求めたが、会社側は「安定的なエネルギーの確保には原発の活用が不可欠だ」と反論。東京電力も含め、原発を保有する大手九社の総会は脱原発に絡む提案をすべて否決した。再稼働の見通しが立たない中で開かれた昨年の株主総会から一年。この間に政府は、二〇三〇年の原発の発電割合を20~22%とするエネルギーミックス案を決定。安全が確認された原発は再稼働させる方針に基づいて、この夏に予定される九州電力・川内原発1号機に続き、関西電力や四国電力が早期の再稼働をめざしている。だがその一方で、いくつもの重要な変化があったことを指摘しておきたい。原発停止で火力発電用の液化天然ガス(LNG)などの輸入が急増し、「国富流出」の危機が声高に論じられた。しかし、昨年後半からの原油価格の急落、価格の安定ですっかり影をひそめている。節電意識は確実に定着し、今年の夏も原発ゼロで電力不足は避けられる見通しだ。太陽光発電では買い取り制度をめぐる混乱が起きたが、再生エネルギーに対する一般の理解は一段と深まっている。こうした変化の中、原発をめぐる世論はどうなっているのか。今月中旬の調査(日本世論調査会)をみると、再稼働に賛成が31%に対し、反対は63%に達している。新聞など各種の調査でも、再稼働に反対し、脱原発を求める世論が弱まる気配はない。電力各社による再稼働方針の根幹には、準国産エネルギーに位置付けている原発を一定程度確保しておきたいという政府のエネルギー安全保障政策がある。しかし世論は、福島第一原発の事故の反省から再稼働に反対し、政府に対しては中長期的に脱原発を実現する知恵と努力、エネルギー政策の転換を求めていることは明らかだ。政府も電力会社も、国民の声に耳を塞(ふさ)いではならない。 *1-6:http://qbiz.jp/article/64808/1/ (西日本新聞 2015年6月19日) 原発ゼロで電気料金安く? 再稼働との比較を試算 原発ゼロを決断すれば一部を再稼働するより電気料金は安くなる−。原発のコスト研究を続ける立命館大の大島堅一教授(環境経済学)が、そんな試算をまとめた。電力各社は再稼働に向け、稼働させていない原発に多大な維持費(修繕費や作業員の人件費など)を投入している。ゼロを決断して維持費をなくすと、各社が数基を再稼働し、代替の火力発電の燃料費などが抑制される分を上回る経費削減効果があると指摘。大島氏は「再稼働すれば電気料金は安くなると単純には言えない」と問題提起する。大島氏は、関西電力のデータを基に試算。関電は原発再稼働の遅れを理由に6月から、東京電力福島第1原発の事故以降、2度目の値上げに踏み切った。国の料金審査の際、最新の発電原価のデータを開示した。試算によると、関電の原発全11基(4月に廃炉が決まった美浜1、2号機を含む)には、稼働しなくても必要な維持費が年間総額約1943億円掛かっている。関電は高浜3、4号機の2基が原子力規制委員会の審査基準に適合し、今年11月から再稼働できると見込む。高浜3、4号機を1年間稼働させ、燃料費がかさむ石油火力で補っている発電を減らすと仮定しても、節約効果は年間約1千億円。つまり、原発の維持費をゼロにした方が差し引き900億円超、節約できる。実際には関電は原発依存率が高く、高浜原発を稼働しないと他社からの電力購入などで需要分を補う必要があり、その分は最大見積もっても約500億円。それを考慮しても原発ゼロを実現した方が、なお節約効果が約400億円上回る。また、関電が高浜3、4号機に加え、大飯3、4号機を再稼働したとしても、料金は値上げ前の5月の水準に戻る程度だという。原発の一部再稼働による料金引き下げ効果は限定的だ。関電の八木誠社長も4月末、衆院の委員会に参考人として出席し、原発ゼロを決断すると「(修繕費などの負担が減り)恐らく短期的には(経費が)マイナスの方向に働く」と述べた。 大島氏は「九州電力を含め、原発比率の高い電力会社はどこも同じ傾向。『再稼働準備状態』ではなく、本当に原発ゼロにした場合との料金比較も国民に示し、原発政策を考えていくべきだ」と強調する。 <川内原発再稼働について> *2-1:http://qbiz.jp/article/65384/1/ (西日本新聞 2015年6月26日) 九電、復配なお微妙 黒字化へ再稼働が鍵【社長会見詳報】 九州電力の瓜生道明社長は25日の株主総会後に記者会見し、川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働に向けた「使用前検査」について「おおむね順調に進んでいる」との見方を示し、2基の8月中旬以降の再稼働に自信をうかがわせた。九電は2基の再稼働で5年連続赤字を回避できる可能性があるとみており、検査対応に全力を傾けている。ただ、その工程は準備不足などでたびたび遅れており、再稼働時期はなお予断を許さない。株主が求める復配が2016年3月期末で実現するかは微妙だ。原発停止の影響で15年3月期が4年連続の最終赤字となったことが報告されたこの日の総会。配当が3年連続で見送られていることから、株主からは早期復配を求める声が相次いだ。 *2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASH6M7QH4H6MTIPE054.html (朝日新聞 2015年6月20日)川内原発に核燃料搬入、7月7日から 九電が工程見直し 再稼働を控えた九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)で、原子炉への核燃料の搬入作業が7月7日に始まる見通しとなったことが、19日わかった。九電が原子力規制委員会に伝えた。4日に始める予定だったが、よりスケジュールに余裕を持たせるため工程を見直す。1号機の再稼働は、これまで通り8月中旬を目指している。川内原発1、2号機は再稼働前の最終段階となる規制委の設備検査を受けている。1号機では19日、核燃料を原子炉に入れるために必要な検査を終えた。今週以降に始まる2号機との共用設備の検査は7月3日に終わる見通し。これまでは、4日から約150本の核燃料の搬入作業を始める計画を立てていた。しかし、作業には下請け企業も含めて数百人が関わり、準備に時間がかかることなどから、3日ほど遅らせることになった。搬入は7日から4日ほどで終わり、その後約1カ月の規制委の設備検査を経て再稼働する。ただ、九電はこれまで検査への対応に手間取るなどして再稼働の時期を何度も遅らせており、想定通りに進むかは不透明だ。 *2-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/201462 (佐賀新聞 2015年6月26日) 九電株主総会 原発再稼働に懸念の声、安全対策めぐり質問集中 九州電力が25日開いた株主総会で、原発再稼働に反対する一部株主が、社長解任など7議案を提案した。いずれも否決されたが、原発依存への批判や安全性に関する不安や懸念の声が続出。経営改善のため早期の再稼働を目指す経営側との溝は埋まらなかった。「動かない原発に年間1000億円もの費用を投じて維持してきたから赤字が膨らんだ。早く脱原発にかじを切っていれば利益が出たのではないか」。3年連続で株主配当を見送った責任を問い、社長解任を求めた株主の男性は、原発に依存する九電の姿勢を批判した。唐津市肥前町の田口常幸さん(63)は「原発を推進するために立地・周辺自治体に支払った補償金や協力金は株主にも知らされず、やぶの中。健全な共存関係とはいえず、地域の自立も阻害している」と訴えた。川内原発1号機(鹿児島県)の再稼働が迫る中、安全対策や使用済み核燃料の処分をめぐる質問が相次いだ。経営側は安全性を強調する一方、放射性廃棄物に関しては「適切に検討、対応する」と繰り返した。原発政策をめぐる住民説明会の開催にも否定的だった。新規制基準に適合するための安全対策費は川内と玄海で3千数百億円。会場から「発電コストは本当に安いのか」「終わりなき安全の追求に一体、いくらかかるのか」の意見が出た。株主提案には廃炉を安全に進めるための社内検討委員会設置も。再稼働に賛成する会社役員(71)は「建設的な意見で、経営側はもう少しくみ取っていい。独り善がりの姿勢がやらせメールにつながった。再稼働目前で、しっぺ返しを食わないようにしてほしい」と注文した。 *2-4:http://qbiz.jp/article/65480/1/ (西日本新聞 2015年6月27日) 原子力規制庁に市民が意見陳述 川内異議申し立て 九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の工事計画認可の取り消しを求めて原子力規制委員会に異議申し立てをした市民らが26日、事務局の原子力規制庁に意見陳述をした。意見陳述は非公開。会見した市民らによると、申し立てた25人のうち12人が意見陳述に参加し、地震対策の不備や情報公開の不十分さを指摘したという。異議申し立ては行政不服審査法に基づき5月に行った。規制庁によると、申し立て通り工事計画認可を取り消すかどうかを記した決定書を出す時期は未定。申立人代表の一人、福岡市の北岡逸人(はやと)さん(47)は「結論が出ないまま原発が動けば、異議申し立てや行政不服審査法の意味がない」と批判した。 *2-5:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150608-00000005-asahi-bus_all (朝日新聞デジタル 6月8日) 「原発継続へ、核燃サイクルに国が関与を」電事連会長 大手電力10社でつくる電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)が朝日新聞のインタビューに応じた。電力自由化後も原発を続けられるよう、民間が担う「核燃料サイクル事業」の費用を国が一部負担したり、費用負担の新たな制度をつくったりして、国の関与を強めるよう求めた。八木氏は、2030年度の原発の割合を20~22%とした政府の電源構成(エネルギーミックス)案を「原子力の確保すべき一定の規模が明示されたことに意義がある」と評価したうえで、原子力発電を続けられる環境を国が整えるよう要望した。具体的には、使用済み核燃料を処理して再び燃料として使う核燃料サイクル事業を挙げ、「国と役割分担するという考え方もある」と語った。電力自由化で競争が進めば、発電のコストを電気料金に上乗せできる「総括原価方式」がなくなるうえに、福島第一原発事故の影響で原発の安全規制が強化されると、原発運営のコストが膨大になる懸念があるという。 <原発事故汚染> *3-1:http://tkj.jp/takarajima/contents/blog/p/1016/ (宝島 2014年12月14日:全文は『宝島』2015年1月号に掲載) 【告発スクープ】 “WHO「福島県でガン多発」報告書” 国と記者クラブが無視! ~誰も書けなかった福島原発事故の健康被害 【第3回 前編】~ガンのアウトブレイクに備えよ――汚染地域に暮らしていた(もしくは暮らし続けている)若年層における甲状腺ガン、白血病、乳ガン、固形ガンの多発を予測するWHO報告書はなぜ無視され続けるのか? (前編) ■日本の「専門家」はなぜWHO報告書を嫌った? 10月20日、環境省が所管する「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下、専門家会議)の第12回会議が東京・港区で開かれた。この日、専門家会議は、世界保健機関(WHO)と原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の2つの国際機関から出されていた線量評価報告書のうち、「福島での被曝によるガンの増加は予想されない」というUNSCEAR報告書のほうが「より信頼性が高い」として絶賛。そして、 ●福島第一原発事故の被曝線量はチェルノブイリ原発事故よりもはるかに少ない ●懸念されるのは甲状腺(こうじょうせん)ガンだけであり、そのリスクも疫学的にかろうじて増加するかどうかという程度としたUNSCEARの健康リスク評価について「同意する」と表明した。これぞ“我が意を得たり”ということのようだ。一方、WHOの健康リスク評価に対しては、昨年2月の同報告書公表以来、専門家会議は「過大評価の可能性がある」と敵視し続けてきた。そしてこの日、WHO報告書を事実上無視する構えを鮮明にしたのだった。そのWHO報告書はこれまで、「がん疾患の発症増加が確認される可能性は小さい」(『毎日新聞』2013年2月28日)「大半の福島県民では、がんが明らかに増える可能性は低いと結論付けた」(『朝日新聞』同年3月1日) などと報じられてきた。報道を見る限り、UNSCEAR報告書の内容と大差はなく、専門家会議がそこまで嫌う理由が全くわからない。そこで、WHO報告書の原文を取り寄せ、精読してみたところ、驚くべき「評価内容」が浮かび上がってきた。 ■WHOは若年層での「ガン多発」を明言していた WHOは昨年2月28日、東京電力・福島第一原発事故で被曝した福島県民たちには今後、健康面でどのようなリスクがあるのかを検証した『WHO健康リスク評価報告書』(注1)を発表していた。英文で160ページ以上にも及ぶ同報告書では、ガンと白血病の発症リスクを詳細に評価。その結果、深刻な放射能汚染に晒(さら)された原発近隣地域の住民の間で、甲状腺ガンをはじめとしたガンが増加し、特に若い人たちの間でガンが多発すると明言している。この報告書をまとめるにあたり、主な「評価対象」とされたのは、避難が遅れた浪江町と飯舘村の「計画的避難区域」に暮らしていた住民たちだ。評価では、汚染地帯から避難するまでに4カ月かかったと仮定。他にも、汚染された福島県産の食材を食べ続けたと仮定するなど、過小評価を避けるための仮定を積み重ねたうえで、住民の推定被曝線量を弾き出している。WHO報告書によると、多発が極めて顕著なのは小児(注2)甲状腺ガン。被災時に1歳だった女児の場合、浪江町では事故発生からの15年間で発症率は9倍(被曝前の発症率0.004%→影響を考慮した発症率0.036%)に増え、飯舘村でも15年間で6倍(同0.004%→同0.024%)に増えると予測した(同報告書64ページ。【図1】)。もともと幼少期の甲状腺ガン発症率は非常に低い。従って、幼少期に被曝した場合のリスクを、原発事故発生からの15年間に絞って計算すると「小児甲状腺ガンと被曝との関係性がより明白になる」と、WHO報告書は言う。ひょっとするとこの部分が、原発事故による健康被害は「ない」とする評価を続ける環境省や専門家会議の癇に障ったのかもしれない。多発が予測されたのはそれだけではない。小児甲状腺ガンほどではないにせよ、小児白血病も多発するという。被災時に1歳だった男児の場合、浪江町では事故発生からの15年間で発症率は1.8倍(同0.03%→同0.055%)に増え、飯舘村では15年間で1.5倍(同0.03%→同0.044%)に増える。1歳女児の場合、浪江町では事故発生からの15年間で発症率は1.6倍(同0.03%→同0.047%)に増え、飯舘村では15年間で1.3倍(同0.03%→同0.04%)に増える(同報告書62ページ。【図2】)。そして、乳ガンも増える。被災時に10歳だった女児の場合、浪江町では事故発生からの15年間で発症率は1.5倍(同0.01%→同0.015%)に増え、飯舘村では15年間で1.3倍(同0.01%→同0.013%)に増える(同報告書63ページ。【図3】)。さらには、固形ガンも増える。被災時に1歳だった男児の場合、浪江町では事故発生からの15年間で発症率は1.14倍(同0.08%→同0.091%)に増え、飯舘村では15年間で1.08倍(同0.08%→同0.086%)に増える。1歳女児の場合、浪江町では事故発生からの15年間で発症率は1.24倍(同0.08%→同0.099%)に増え、飯舘村では15年間で1.14倍(同0.08%→同0.091%)に増える(同報告書62~63ページ。次ページ【図4】)。つまり、福島県の若年層におけるガンは、甲状腺ガン、白血病、乳ガン、固形ガンの順に増加すると、WHO報告書では予測している。 (注1)同報告書の英語名は『Health risk assessment from the nuclear accident after the 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunami』。URL はhttp://apps.who.int/iris/bitstream/10665/78218/1/9789241505130_eng.pdf?ua=1 (注2)本稿中の「小児」の定義は、0歳から16歳までとする。 ■「過大評価」したのか?それとも「過小評価」か? WHOの健康リスク評価では、原発事故発生からの1年間に被曝したと思われる推定線量をもとに、地域を4つのグループに分けている。12~122ミリシーベルトの被曝とされた浪江町と飯舘村が「グループ1」。3~48ミリシーベルトの被曝とされた葛尾村、南相馬市、楢葉町、川内村、伊達市、福島市、二本松市、川俣町、広野町、郡山市、田村市、相馬市が「グループ2」。1~31ミリシーベルトの被曝とされた他の福島県内の自治体や福島県以外の都道府県が「グループ3」。そして、0.01ミリシーベルト(=10マイクロシーベルト)以下の被曝とされた近隣国が「グループ4」だ。問題は、福島第一原発の立地自治体である双葉町と大熊町、そして大熊町に隣接する富岡町の3町が、どのグループにも入っておらず、評価の対象から外されていることである。これらの町の住民は「速やかに避難」したからなのだという。しかし、3町の住民もまた、避難開始前から環境中に漏れ出していた放射能によって相当な被曝をしていた。具体例を挙げよう。福島第一原発の直近から避難してきた一般市民が被曝していることが判明し始めた2011年3月12日、放射線測定器で1万3000カウント(CPM。1分ごとのカウント)以上を計測した人のすべてを「全身の除染が必要な被曝」とみなし、シャワーで体を洗い流していた。この日、全身の除染が必要とされた住民は3人。そして翌3月13日、福島県は、原発の3キロメートル圏内から避難してきた19人にも放射性物質が付着していたと発表する。住民の被曝は22人となった。だが、翌3月14日、福島県は突然、除染基準を引き上げる。国が派遣したという「放射線専門家」の意見を聞き入れ、基準を7倍以上の「10万CPM以上」としたのだ。そしてこの日以降、「今日は何人の市民を除染」といった類いの情報が、報道から消えていた──。コントロール不能に陥っていた原発から、事故発生からの数日間だけで77京ベクレル(77×10の16乗ベクレル)にも及ぶ放射能が漏れ出す中、防護服もゴーグルも防塵マスクも着けずに避難していた彼らを評価に加えていないところが、この健康リスク評価における「過小評価」部分であり、最大の欠点でもある。人によっては、前掲の「発ガンリスク」以上の健康リスクを背負わされている恐れがある。しかも、放射線被曝による健康被害はガンばかりではない。甲状腺疾患(機能低下や良性結節など)や視覚障害(水晶体混濁や白内障など)、循環系疾患(心臓や脳血管の疾患)、生殖器官の機能不全、催奇性(さいきせい)リスク、遺伝子への影響、高線量の被曝に伴う急性放射線障害などもある。だが、これらの疾患は「発生の増加は予想されない」として、WHOの報告書では詳細評価の対象外としていた(注3)。つまり、専門家会議が危惧する「過大評価」どころか、その正反対の「過小評価」に陥っている懸念さえあるのだ。(注3)WHOが詳細評価の対象外としていたからといって、ガン以外の疾患を舐(な)めてかかってはならない。飯舘村の高汚染地域に調査目的で何度も滞在した後、白内障に罹(かか)っていた人が相当数いることを、筆者は具体的に知っている。高レベルの汚染が判明している地域に立ち入るのを極力控えるか、それとも防護服姿で訪問するかしないと、こうした疾患のリスクは減らしようがない。 *3-2:http://qbiz.jp/article/64956/1/ (西日本新聞 2015年6月21日) 食品輸入規制の緩和へ協議 日中局長級、関係悪化後初 東京電力福島第1原発事故を受けて中国が続けている日本産食品の輸入規制の緩和に向け、日中両国が北京で19日に局長級の協議を開いたことが21日分かった。この問題での日中局長級の協議が表面化したのは、2012年9月の沖縄県・尖閣諸島の国有化で日中関係が悪化して以降初めて。日中両国は昨年11月以降の2度にわたる首脳会談を経て、今月には約3年2カ月ぶりに日中財務対話も開催。経済分野を中心に関係改善が始まっており、規制緩和についても実務レベルから協議が動きだした形だ。日中関係筋によると、農林水産省の担当局長が19日、中国で食品の品質検査を担当する省庁幹部と北京で会った。日本側は食品の安全性を訴え、中国に対して輸入規制の緩和を要請。今後はさらにハイレベルの協議も模索するとみられる。中国は宮城や福島、長野、東京など10都県で生産した食品の輸入を禁じており、中国の百貨店やスーパー店頭、飲食店などでは原発事故後、日本産食品が大幅に減った。ただ中国では日本産食品の人気が高く、日本を訪れた中国人が菓子などを大量に買う「爆買い」現象も起きている。中国の高級料理店では航空便の手荷物として中国に持ち込んだ日本酒や、密輸したとみられる高級和牛も出回っており、日本産食品の需要は大きい。日本産食品の輸入規制をめぐっては、オーストラリアなど十数カ国が実質的な全面解除に応じる一方、中国や韓国など約40カ国・地域が現在も何らかの規制を継続している。中国の日本食品輸入規制 中国は福島第1原発事故を受け、日本産食品の輸入を厳しく規制した。現在も宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、新潟、長野の10都県産の食品の輸入を禁止。他の道府県の野菜や果物、乳製品、茶葉についても放射性物質の検査証明書などの提出を輸入の条件にしている。日本の農林水産省によると、2014年の日本から中国への農林水産物の輸出額は約620億円に上り、香港、米国、台湾に次ぐ4位。近年、中国では日本産食品の人気が高まっており、輸入規制の緩和が進めば日本からの輸出はさらに増えるとみられている。 *3-3: http://www.asahi.com/articles/ASH685SK9H68PTIL02K.html (朝日新聞 2015年6月25日) (核リポート)「甲状腺がんは原発のせい」韓国訴訟の輪 「甲状腺がんは、原発のせいだ」。韓国の裁判所で、こんな判決が出たのをきっかけに、原発周辺に暮らす甲状腺がん患者やその家族が続々と、原発を動かす公営企業を相手に裁判を起こしている。韓国で最初にできた釜山市の古里(コリ)原発。1978年に1号機が稼働を始め、現在は6基の原子炉建屋が日本海(韓国名・東海)沿いに並ぶ。この原発から約7・7キロのところに20年ほど暮らす李真燮(イ・ジンソプ)さん(51)の一家が起こした裁判が、甲状腺がん患者らが次々と立ち上がる「起爆剤」になった。2011年、東京電力福島第一原発事故が起きたころ、李さんは直腸がんになった。約1年後には妻(49)も甲状腺がんと診断された。長男は先天性自閉症の障害を持って生まれた。韓国でも連日報じられた福島の原発事故の惨状を見て、李さんは「家族の病気や障害は、原発がまき散らした放射性物質のせいではないか」と考えるようになった。事故翌年の12年、李さん一家は韓国にあるすべての原発を管理運営する公営企業「韓国水力原子力(韓水原)」を相手に、損害賠償の支払いを求める裁判を釜山地裁に起こした。支援者もほとんどいない「孤独な闘い」を約2年続け、14年10月、判決の日を迎えた。しかし、「当然敗訴するだろう」と思われたのか、取材に来るメディアも支援する環境保護団体のメンバーもいなかったという。「被告は、1500万ウォン(168万円)を妻に支払え」。裁判長は、李さんと長男の訴えは「原発の放射線放出との間に因果関係を認めるには証拠が足りない」として退ける一方、妻の甲状腺がんについては「原発付近に居住し、相当期間、原発から放たれた放射線にさらされた。このため、甲状腺がんと診断を受けたとみるのが相当だ」として原発と甲状腺がんの因果関係を認めたのだ。福島の原発事故を機に、韓国では原発周辺の住民が詳しい健康診断を受けるようになった。2012年2月に甲状腺がんと診断された李さんの妻も、そうした一人だった。釜山地裁判決がポイントとして挙げたのは次のような点だ。 ○甲状腺がんの発生には、放射線にさらされることが決定的な要因として作用することが知られている。 ○女性は原発から10キロ圏に20年近く暮らし、放射線に長期間さらされてきたとみられる。 ○女性の甲状腺がんの発生には、原発から放出された放射線以外に、原因があると思える明確な 材料がない。 ○原発周辺地域の住民の疫学調査の結果、原発から5キロ~30キロ離れた地域でも、遠く離れた 地域よりも1・8倍高い発生率を示している。女性が暮らしてきた地域を、原発から流出した放射 線の影響を受けない地域とみなすのは困難だ。 ○ほかのがんと異なり、甲状腺がんの場合、原発からの距離と発生率とに相関関係があるという 調査結果が出ている。 さらに、韓国の司法関係者が注目したのは、別の公害訴訟で大法院(最高裁)が示した加害企業の賠償責任に関する判断基準を、原発にもあてはめたことだ。裁判所は「加害企業は技術的、経済的に被害者よりもはるかに原因の調査が容易な場合が多いだけでなく、原因を隠蔽(いんぺい)するおそれがある。このため、加害企業が有害な原因物質を出し、それが被害者に及んで損害が発生すれば、加害者側で無害だと証明できない限り、責任を免れられないとみることが社会均衡の理念にもあう」と指摘した。今回、古里原発は、福島のような重大事故を起こしたわけではないが、裁判所は、原発の稼働そのものが「放射線の放出」という被害を生み出していると認めた。さらに、原発が「無害だ」と証明できない限り、賠償責任が生じると断じたのだ。 *3-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150614/CK2015061402000147.html(東京新聞2015年6月14日)民間の甲状腺検査 幼児ら80人受ける 原発事故不安で那須塩原 東京電力福島第一原発事故を受け、民間の甲状腺検査が十三日、那須塩原市の三島公民館で行われ、幼児や小学生ら約八十人が検査を受けた。十四日も行われる。事故から四年以上が経過した今も、放射線に対する子育て世帯の不安の根深さが浮かび上がった。一九八六年のチェルノブイリ原発事故では、周辺地域で甲状腺がんの多発が報告された。今回の検査は、二〇一三年から各地で甲状腺検査を続ける「関東子ども健康調査支援基金」(茨城県守谷市)が催した。基金は受検者一人につき千五百円程度の協力費と、民間からの寄付などで運営されており、ボランティアの医師の協力でこれまでに二千三百人超を検査。県内では過去に那須塩原、矢板両市で催され、いずれも定員を上回る希望者があった。来月四日には益子町でも予定され、希望者が定員の百十人に達したという。この日は、県が設置している「放射線による健康影響に関する有識者会議」の鈴木元(げん)座長が基金の検査を初めて視察。「保護者が医師から丁寧な説明を受けられる環境が整っているようだ」との感想を述べた。 <安全神話> *4-1:http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201506/20150618_61018.html (河北新報 2015.6.18) <避難解除>一方的で時期尚早 楢葉住民反発 避難指示の解除時期について説明する高木経産副大臣 避難指示をお盆前に解除する政府方針に対し、福島県楢葉町議会の全員協議会では「一方的だ」などと批判が相次いだ。行政区長らも「時期尚早」などと不満を漏らし、国との認識の違いが浮き彫りになった。町議会では議員が「医療や福祉、買い物など生活環境が整っていない。唐突な提案だ」などと反発。「準備宿泊を3カ月は延ばし、住民の意見を聞いて判断すべきだ」と国に迫った。行政区長会議でも、区長の一人は「準備宿泊をしても寂しくて、買い物も不自由な状態だ」と訴えた。町側には生活環境が一定程度、復旧した後に解除を望む声が強い。国が今回示した楢葉町の復興状況は、準備宿泊が始まった4月から大きな進展はない。青木基町議会議長は「生活環境が整わない中で唐突に解除時期が示され、違和感がある。秋には環境に変化も出てくる。宿泊を3カ月は延ばすべきだ」と強調する。これに対して国側は町議会などで「帰還を強制はしない。帰りたい人が帰れるようにすることが大切。避難指示のさまざまな悪影響を取り除くことが新たな復興段階に必要」と説明した。こうした強気の背景には、精神的賠償(慰謝料)を一律2018年3月まで支給するとした政府の福島復興指針がある。全町避難の楢葉町では、空間放射線量や住環境などで個人差が大きいが、帰還時期にかかわらず同額の慰謝料を約束した。高木陽介経済産業副大臣は町議会後、「多くの人が避難する楢葉の解除で、浜通り全体の復興が加速する」との考えを示した。町の大半は警戒区域に指定され、12年8月10日に避難指示解除準備区域に再編された。町議の一人は「国は再編から3年という節目に合わせようとしているではないか」と推察。行政区長の松本哲雄さん(67)は「準備宿泊を始めて3カ月目に入ったら、解除の話が出てきた。ストーリーが決まっているようだ」と冷めた見方をした。 *4-2:http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20150618/5495621.html (NHK 2015年6月18日) 東電株主「対策先延ばし」主張 福島第一原子力発電所の事故で東京電力の株主が歴代の経営陣に賠償を求めている裁判で、原告側は、東京電力が新たな内部資料を証拠として提出したことを明らかにし「事故の3年前に津波対策は不可避だと認めていたのに先延ばしにしていた」と主張しました。この裁判は、東京電力の株主50人あまりが歴代の経営陣らに対し「安全対策を怠ったために事故が起きた」として、合わせて5兆5000億円を会社に賠償するよう求めているものです。東京地方裁判所で行われた18日の審理で、原告側は、東京電力が裁判所の勧告に応じて、新たな内部資料を証拠として提出したことを明らかにしました。原告側によりますと、資料は平成20年9月に福島第一原発で当時の所長などが参加して開かれた会議のもので、政府の地震調査研究推進本部が、福島県沖を含む日本海溝沿いで大地震が起きると想定していたことについて「完全に否定することが難しく、現状より大きな想定の津波対策は不可避だ」と記されていたということです。同じ資料にはこの想定を2、3年かけて検討する方針が示されていて、原告側は「津波対策は不可避だと認めていたのに先延ばしにしていた証拠だ」と主張しました。一方、東京電力側は、この資料について「津波が現実的に襲来する危険性があるという意味ではない」とした上で「地震調査研究推進本部の想定は具体的な根拠がなく、専門の学会にあらためて津波の想定を委託するなど改善策に取り組んでいた」と主張しています。原告の代理人の海渡雄一弁護士は、審理の後で会見を開き「東京電力が、最終的には津波対策の工事をするしかないと認識していたことがはっきりした。老朽化した福島第一原発の運転を続けるため、問題を先延ばしにしていたと考えられる」と述べました。東京電力は、18日の審理について「訴訟中につきコメントを控えさせていただきます」としています。 *4-3:http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/191687 (佐賀新聞 2015年5月29日) IAEA報告書 ◆安全過信の指摘受け止めよ 原発の安全神話を過信し、必要な対策を怠ったことが過酷事故につながった-。東京電力福島第1原発事故を総括した国際原子力機関(IAEA)の最終報告書は、国や東電の認識の甘さと安全対策の不作為を厳しく批判した。「原発回帰」へ前のめりになっている安倍政権は、報告書の指摘を重く受け止めるべきだ。報告書の指摘は痛烈だ。東電に対しては、福島県沖でマグニチュード(M)8・3の地震が発生すれば最大約15メートルの津波が第1原発に達すると試算していながら対策をとらなかったと批判。原子力安全・保安院も迅速な対応を求めなかったと行政の危機意識の希薄さも問題視した。IAEAでは、過酷事故につながるすべての可能性を把握する確率論的安全評価(PSA)の運用を勧告していた。2007年の訪日調査では「日本には設計基準を超える事故を検討する法的規制がない」と指摘し、保安院が中心的役割を果たすよう求めた。これらの指摘に対して抜本的な対策を講じることなく、事故に至った。「原発が技術的に堅固に設計されており、十分に防護が施されているとの思いこみが何十年にもわたり強められてきた」。報告書では原発の安全神話への過信をこう指摘する。自然災害などのリスクに対する原発のぜい弱性を精査し直す視点が欠けていたのも、この過信がもたらしたといえる。さらに関係機関、組織間の連携不足も指摘した。原発の安全に関する問題に迅速に対応する方法について「どの組織が拘束力のある指示を出す責任と権限を持つのか明確ではなかった」と問題視し、原発事故と自然災害への対応では「国と地方の計画がばらばらだった」と課題をえぐり出している。事故を踏まえて原発の新たな規制基準が設けられた。安倍政権は「世界で最も厳しい」と胸を張り、この基準に合格すれば再稼働を進めるとの方針を示している。ここに新たな安全神話の落とし穴が生まれはしないか。審査する原子力規制委員会の田中俊一委員長は「基準への適合性を見ており、安全とは申し上げられない」と言明し、原発の安全性を保証するわけではないという認識を示している。安全への責任の所在があいまいなまま再稼働に突き進んでいるという印象がぬぐえない。IAEAが指摘した関係機関の連携不足の課題も置き去りにされているようにも映る。これで日本は国際的な信用を得られるだろうか。さらに事故に備えた避難計画のチェック体制にも不安が残る。避難計画は規制委の審査対象になっておらず、作成する自治体任せになっている。実効性を客観的に検証する仕組みが必要だ。報告書は9月の年次総会に提出される。事故の教訓を踏まえた提言も含まれており、今後、各国の安全対策に活用される。「過酷事故を前提とした訓練の実施」「従来の事故想定を疑い安全意識を向上する」「電力事業者、国や地元の当局の間で緊急時の役割と責任を明確化する」などはいずれも傾聴すべき内容だ。川内原発(鹿児島県)や伊方原発(愛媛県)の再稼働の手続きが大詰めを迎えている今こそ、立ち止まってIAEAの指摘に向き合うべきだ。 <再生可能エネルギー> *5-1:http://qbiz.jp/article/65134/1/ (西日本新聞 2015年6月24日) 建設業売上高で上位10社増収 太陽光発電関連が伸びる、九州・沖縄 東京商工リサーチ福岡支社(福岡市)が23日発表した2014年の九州・沖縄の建設業売上高ランキングによると、集計対象となった売上高50億円以上の108社の売上高合計は、前年比18・5%増の1兆4854億1300万円。上位10社は全社が増収だった。純損益の合計は、同2・5倍の287億9300万円の黒字。ランキングは各社の14年1〜12月期決算を集計した。対象が100社を超えたのは6年ぶり。太陽光発電の関連工事や消費税増税前のマンション建設需要で、好業績につながった企業が多かったとみられる。増収率上位10社には太陽光関連の4社が名を連ねた。県別の売上高増減を見ると、鹿児島県の前年比69・1%増をはじめ、大分が55・3%増、宮崎が30・7%増など、九州全県で前年を上回った。同支社は15年の見通しについて、太陽光関連では九州電力による再生可能エネルギーの新規契約の一時中断などの影響が避けられないと指摘。「市場は縮小しつつある。減収が見込まれる企業もあり、ランキング登場社数は再び減少に転じる可能性がある」としている。 *5-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150622&ng=DGKKZO88346940R20C15A6TJC000 (日経新聞 2015.6.22) 高効率 曲がる太陽電池 ソーラーフロンティア、電気変換13%台 昭和シェル石油子会社のソーラーフロンティアは、光を電気に変える効率が高く、曲げることができる太陽電池=写真=を2018年に発売する。ガラスではなく高機能フィルムを採用し、建造物の曲面に張るなど用途拡大が期待できる。軽くて薄く、設置作業も容易になる。発売時に発電事業者の設置コストを現在より3割減らすことを目標にしている。光を電気に変える効率について、新開発品は13%台とガラスを使った同社の主力製品並みを確保した。フィルムを活用する太陽電池はすでに他社が開発しているが、高効率の確保が課題だった。10%超の性能を持つ曲がる太陽電池の投入は世界大手では初めて。新開発品は1枚が幅1メートル、長さ1.3メートル。重さは6キログラムとガラスを使った現行品より7割軽くし、薄さは1.5ミリメートルと9割薄くした。水蒸気を通さずに光を通す高機能フィルムを採用した。シンガポールの港湾運営大手と組み、データ測定を始める。 *5-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150619&ng=DGKKASGG17H2T_Z10C15A6MM0000 (日経新聞 2015.6.19) 弱風でも発電 小型風車 九大、開発にメド 低騒音 住宅・学校向けなど 九州大学の大屋裕二教授らは弱い風でも効率よく発電できる新型風車の開発にメドをつけた。騒音が少ないため公園や住宅、学校、工場などに設置しやすい。照明などの電力を供給できる。今秋までに開発を終え、1年ほどかけて実証実験を進める。専門機関の認証が得られれば、2016年度中に同大発のベンチャーを通じて発売を目指す。新型風車は羽根の周囲にリングを取り付け、通常の風車よりも強く風を引き込むことで発電量を通常タイプの2.5倍に高める。リングが風を集めるレンズのような働きをするため「レンズ風車」と呼んでいる。小型で騒音が少なく、設置しやすい利点もある。研究チームは英ストラスクライド大学と協力。秋までに直径約3メートルのレンズ風車を3機組み合わせ、公園や住宅に電力を供給するために必要な出力10キロワットを発電できるシステムを完成させる。九大構内などで実証実験をして性能や安全性などを確かめる。16年夏をメドに販売に必要な認証を一般財団法人・日本海事協会に申請する予定だ。販売は九大発ベンチャーのリアムウィンド(福岡市)が担う。システムは800万円以下で、3年後に年間500台の販売を目指す。 *5-4:http://qbiz.jp/article/64730/1/ (西日本新聞 2015年6月18日) 世界の再生エネ17%増 中国の伸び顕著 2014年に世界で建設された太陽光や風力など再生可能エネルギーの発電設備容量は9700万キロワットに上り、総容量は13年比約17%増の6億5700万キロワットに達したとの調査結果を、エネルギーの専門家らでつくる「21世紀の再生可能エネルギーネットワーク」(REN21、本部ドイツ)が18日、発表した。新設された発電設備の約6割が再生エネで、成長ぶりは顕著。REN21は「昨年、世界の経済成長に伴ってエネルギー消費も増えたが、二酸化炭素排出量は13年と変わらなかった。中国などでの再生可能エネルギーの急拡大がその一因だ」と分析した。太陽光発電は、1年間に4千万キロワット建設され、1060万キロワットの中国が最も多かった。固定価格買い取り制度で導入量が増えた日本は970万キロワットと2位だった。風力発電は5100万キロワット建設された。デンマーク、スペイン、ポルトガル、ニカラグアなどでは、国内の電力需要の20%以上を風力でまかなった。大型水力を除いた14年末現在の再生可能エネルギーによる発電総容量は6億5700万キロワット。日本の容量は3100万キロワットと世界5位で、中国(1億5300万キロワット)、米国(1億500万キロワット)、ドイツ(8600万キロワット)には大きく水をあけられている。報告書によると、14年に再生可能エネルギー開発に投資された金額は2700億ドル(約33兆円)と過去2番目の規模。投資額は中国の833億ドルが最も多く、2位が米国の383億ドル、3位が日本の343億ドルだった。 PS(2015年6月30日追加):現在の太陽光発電は、全体としてデザインが悪くなるため、今後、デザインも含めた改良が必要だ。なお、*6はもっともで、他の地域にもこういう場所はあるだろう。 屋根設置型 農地設置型 駐車場の屋根型 抽象デザイン型 *6:http://qbiz.jp/article/65712/1/ (西日本新聞 2015年6月30日) メガソーラー、条例で規制 富士山景観を優先、静岡 静岡県富士宮市議会で30日、富士山の景観を保全するため大規模太陽光発電所(メガソーラー)の設置を規制する条例が全会一致で可決、成立した。世界遺産に登録された富士山の眺望を損ねるとして、再生可能エネルギーの普及より優先させる。須藤秀忠市長は記者団に「富士山は世界の宝。景観を守るのは地元の責任だ」と強調した。同様の条例は山梨県や大分県由布市が制定している。富士宮市には、市内6カ所に千平方メートルを超えるメガソーラーが設置されている。市は「富士山を見渡した時、真っ黒なメガソーラーが目に入ると景観が台無しになる」と懸念した。 PS(2015年7月1日追加):真夏の最も電力を使う時に、太陽光発電の出力は最大になる。そのため、*7のように、九電が①太陽光発電による電力の受け入れを制限した上 ②高い火力発電燃料を輸入して古い火力発電を稼働させながら ③原発を再稼働させるために供給体制が綱渡りなどと吹聴するのは、経産省と組んだ地域独占企業の傲慢かつ怠慢な態度にほかならない。 *7:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/203230 (佐賀新聞 2015年7月1日) 節電の夏、九電綱渡り きょうから協力要請 ◆火力発電トラブルが頻発 九州電力は7月1日から管内の一般家庭や企業に対し、生活や生産活動などに支障がない範囲で節電への協力を要請する。九電は原発の再稼働がなくても、他社からの電力融通で安定供給は可能としているが、最近火力発電所のトラブルが相次いでいる。今夏も供給体制は綱渡り状態となりそうだ。要請期間は7月1日~9月30日の平日午前9時から午後8時まで(8月13~14日を除く)。九電の火力発電所では、新大分発電所(大分市)の発電機1基が5月末に停止。6月に入ってからは苓北発電所1号機(熊本県苓北町)、苅田発電所新1号機(福岡県苅田町)が止まった。新大分は7月中旬、苓北1号機は7月上旬に復旧する見通し。苅田新1号機は既に運転を再開した。九電は必要に応じて他電力からの融通を積み増し、安定供給に最低限必要な予備率3%を確保する方針。さらに他の発電所でトラブルが発生すれば需給が急速に切迫する恐れもある。川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が再稼働すれば、8月の予備率は融通がなくても5~10%程度を確保できるとしており、瓜生道明社長は「川内原発の一日も早い再稼働に取り組んでいる」と強調する。九電は8月中旬に川内原発の再稼働を予定している。これまで再稼働のスケジュールは度々遅れており、夏場の需要期に間に合うか予断を許さない。 PS(2015年7月2日追加):*8で言う低線量とは、1年間に5ミリシーベルト程度であるため、日本でフクシマに住んでいる人たちが白血病等の病気にかかるリスクは、さらに高い。そのため、フクシマ近郊や関東、その他の原発近くでも正確に調査すべきだ。 *8:http://www.kahoku.co.jp/naigainews/201507/2015070201000814.html (河北新報 2015.7.2) 放射線低線量でも白血病リスク 欧米30万人調査 低線量の放射線を長期間にわたって浴びることで、白血病のリスクがごくわずかだが上昇するとの疫学調査結果を、国際がん研究機関(本部フランス・リヨン)などのチームが1日までに英医学誌ランセット・ヘマトロジーに発表した。欧米の原子力施設で働く30万人以上の被ばく線量と健康状態のデータを分析した。低線量被ばくの健康影響を統計的に示した研究は少なく、東京電力福島第1原発などで働く作業員や、放射線機器を扱う医療従事者の健康管理に役立つ可能性がある。
| 資源・エネルギー::2015.5~2016.12 | 04:27 PM | comments (x) | trackback (x) |
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