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2015,07,07, Tuesday
ギリシャの地図 2015.7.6西日本新聞 ギリシャの歴史 6世紀、ビザンチンの地図 (1)国際通貨基金(IMF)発のギリシャ危機について *1-1のように、「①ギリシャは2012年に大幅な債務削減を受けたが、再び危機に陥った」「②国際通貨基金(IMF)は報告書で、ギリシャの財政は新たな金融支援が欠かせないとした」「③IMFは、最も楽観的なシナリオでも2022年に110%の目標を達成するにはGDPの3割超に及ぶ大幅な債務カットが必要になると分析」「④ギリシャのGDPは危機前の2008年から2014年にかけて約25%減った」「⑤雇用情勢も3月の失業率が25.6%とユーロ圏内で最悪」「⑥欧州連合(EU)財務相会合のデイセルブルム議長はこれまでより厳しい条件が必要になるとけん制した」とのことである。 私は、この場合の処方箋は、失業率が5~8%になるまで仕事を作ってGDPを増やすことであって、まともな生活ができないほど年金を減らして、消費税を上げることではないと考える。年金は、日本と同様に仕事を持って十分に収入のある人は停止することで、削減することが可能だ。 そのため、*1-2のように、ギリシャが国民投票を行ってEUが求める財政再建策を、反対61・31%・賛成38・69%で拒否したのは正解である。しかし、*1-3、*1-5のように、欧州中央銀行(ECB)は、ギリシャが緊縮策を受け入れなければ、金融支援の延長や債務減免協議を行わず、ギリシャの銀行への資金供給を据え置くとしている。 しかし、*1-4のように、中国は、「ギリシャがユーロ圏に留まることができるか否かは、国際金融の安定と経済復興に関わる問題だ。中国は建設的な役割を果たす用意がある」と言っているため、貿易・投資・観光・金融などで協力してもらうのがよいだろう。このほか、ロシアも協力する意志を表明している。 ギリシャは古代ヨーロッパ文明の発祥の地であり、その近くにはエーゲ海、価値ある遺跡、美しい街並みが数多く残っているが、廃墟のようになってしまったものや消防車の入らない道も多い。そのため、古代遺跡の価値を損なわずに忠実に復元しながら、最新の技術を導入する投資をすればよいと考える。 (2)古代文明遺跡群はどうだろうか ギリシャの街並み アテネにある遺跡 ギリシャの彫刻 ポンペイ エジプト インドの彫刻 中国、兵馬傭の人物 の彫刻 の彫刻 ヨーロッパはじめ、古代文明遺跡のある場所は、建物を壊したり、建て替えたりすることができないため、2000年以上も同じ建物が建っている。そのため、壊れたり、もともと着色されていた色がはげたりしているものが多く、安っぽい復元ではない本当に史実に忠実な復元を行えば、観光資源としてのみならず、ものすごい価値の出るものが多いだろう。さらに、それぞれの文明の発祥、拡散、混合が目に見えるようになり、歴史が「百聞は一見にしかず」となる。そのため、ユネスコは、古代文明遺跡群も世界遺産に認定して、発掘や復元を推進してはどうだろうか。 その中には、当然、エジプト、メソポタミア、インド、中国、ギリシャ、ローマなどが入り、これらがハイウェイや高速鉄道で結ばれれば、一般の人にとっても面白くなる。(書ききれなかった地域は申し訳ない) (3)日本の危機を煽り、間違った解決策を推進する財務省など ギリシャ危機に乗じ、財務省が中心となって「①ギリシャの惨状は遠い外国の話ではない」「②日本も財政再建の先送りは危うい」「③増税は消費税率の10%への引き上げを織り込むが、それ以上は封印した」「④歳出の抑制・削減策もメニューこそ並べたが、具体案や実行への道筋は先送り」「⑤経済成長に伴う税収増に頼ることは期待頼みの禁じ手」「⑥医療・介護・年金などの社会保障抑制・削減と増税が必要」「⑦社会保障を持続可能にし、将来世代へのつけ回しをやめるには、痛みを伴う改革が避けて通れない」というメッセージを発している。 しかし、②③⑤⑦は、どうしても消費税増税をしたい財務省が中心となって言っていることを、殆どのメディアがマイクロホンのように書きたてているだけだ。これを政治が発信しているのではなく、行政が発信していることは、政権が民主党にかわっても同じことをさせられたことによって、既に証明されている。 また、第三の権力として動いているメディアが行政に協力している理由は、政治家は都合が悪くなれば追い落とせるので怖くないが、行政はそういうわけにはいかないので真に怖く、かつ、消費税が上がれば新聞が生活必需品として軽減税率を適用されるよう運動しているからである。これでは、国民の福利向上のために闘う組織という姿勢はない。 さらに、ヨーロッパと異なり、福祉国家にはなったこともない日本で、①④⑥のように、国民への福祉削減を言いたてるのは間違っている。そもそも、医療・介護・年金は、国民が若くて健康な間に、それぞれ別に保険料を支払い、年をとって必要になったら給付を受けることを約束していたものであるため、この契約を大きく変更して国民負担を増やし、厚労省の管理運用の不備に関する責任を、ひそかに国民にとらせることは筋が通らないのである。 そして、⑦のように、「痛みを伴うから、よい改革である」と言うのは考えが浅すぎるとともに虚偽であり、管理運用の不備をそのままにして国民が不足分を補てんすれば、管理運用の不備を改善する機会が失われて、ずさんで無責任な管理運用がそのまま続くのだ。 古賀茂明氏は、*2-2のとおり、「増税こそがギリシャへの道」としており、私も同じ意見だ。ただ、年金は、定年を延長したりして、高齢者でも十分な収入がある場合には現在でも支給停止になるため、これでよいと考えている。また、株式会社にしさえすれば、何でもよくなるとは思わない。 「ギリシャにならないために増税」「将来の安心のために増税」というキャッチフレーズは、本当によく使われているが、私も「増税すればギリシャへの道」と考えている。ギリシャの消費税は現在20%だが、消費税は消費する者にペナルティーをかけるため、消費税を高くすればするほどモノが売れなくなり、稼ぐ力が落ちるからである。また、おおざっぱに言えば、公務員は新しく財やサービスを生産する人ではなく、新しく財やサービスを生産した人が払った税金によって養われている人であるため、国全体としては、公務員の割合が高ければ高いほど、国民一人当たりの稼ぐ力が落ちるわけなのである。 そして、日本も「つい最近まで消費税を1%上げれば2・5兆円税収が入るといわれたが、今は1%上げて2・1兆円しか入らない国になった」「そういう中で、財務省はいま増税しようとしており、そうすると経済はもっと縮小して、税収はさらに減る」というのは本当であるし、理論的にも正しい。 そして、「稼げるようにする」ためには、農業、医療、新エネルギー、環境車などの比較優位な分野をさらに伸ばさなければならないのであって、政府がそれを妨害することは決してあってはならない。 なお、「消費税を上げるのは不人気な政策だが、責任与党の政治家はこのような不人気な政策もやらなければならない」というのはおかしい。何故なら、古賀氏が言うとおり、これは戦うべき相手を間違えており、強力な既得権グループとは戦わずに、一番弱い消費者(それも高齢者)を相手に戦って、消費税や物価を上げ、生活を困窮させているからだ。しかし、第三の権力と言われるメディアもこれに加担しているため、まともな政策を行おうとする政治家の方が落選させられる仕組みになっているのである。 <ギリシャ危機について> *1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150706&ng=DGKKASGM05H1H_V00C15A7NN1000 (日経新聞 2015.7.6) ギリシャ経済 いばらの道 EU、債務再編も視野に 財政再建見通せず 5日に実施されたギリシャの国民投票は、欧州連合(EU)に債務再編を含めたギリシャ支援の仕切り直しを迫る。ギリシャは2012年に大幅な債務削減を受けたが、持続可能な財政運営に戻れず、再び危機に陥った。国民投票の結果が賛成と反対のどちらに転んでも、ギリシャ経済にはいばらの道が待ち受ける。ギリシャの債務は持続不可能――。国際通貨基金(IMF)は2日の報告書で、ギリシャの財政は新たな金融支援が欠かせないと結論づけた。12年のギリシャ支援の際、EUやIMFなど債権団はギリシャ財政を持続可能な水準に戻すため、金融支援や債務カットで合意した。具体的にはギリシャの債務残高の国内総生産(GDP)に対する比率を、22年に110%を下回る水準まで下げる目標を掲げた。ただ、ギリシャの債務残高は14年時点でGDPの177%と高止まりしたままだ。IMFの2日の報告書では最も楽観的なシナリオで試算しても、ギリシャ債務は20年に150%と高水準が続く。「22年に110%」の目標を達成するには、GDPの3割超に及ぶ大幅な債務カットが必要になると分析した。試算はギリシャがIMFへの返済を延滞して実質的な債務不履行(デフォルト)に陥ったり、資本規制を導入したりする以前の評価に基づく。その後のギリシャ経済の混乱で、財政状況はさらに悪化しているもようだ。これまで新たな債務再編に慎重な姿勢をみせてきたEU側でも、このままではギリシャ財政が立ちゆかなくなるとの見方は浸透している。ユンケル欧州委員長は6月末に物別れに終わった支援交渉の最終局面で、チプラス首相に秋にも債務再編の協議に入る準備があると伝えていた。債務削減は最終的には各国の納税者の負担につながるだけに、ユーロ加盟国の議会などの反発は避けられない。ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)はこれまでの交渉に比べ「より厳しい条件が必要になる」とけん制する。EU側がギリシャの国民投票で焦点となった緊縮策よりさらに厳しい財政改革を求める可能性もある。ギリシャのGDPは危機前の08年から14年にかけて約25%減った。雇用情勢も3月の失業率が25.6%とユーロ圏内で最悪だ。ギリシャのユーロ残留に向けた新たな金融支援の交渉では、持続可能な財政を取り戻すうえで成長をどう底上げするかも重要な課題となる。 *1-2:http://qbiz.jp/article/66105/1/ (西日本新聞 2015年7月6日) ギリシャ、大差で再建策拒否 国民投票、首相が勝利宣言 【アテネ共同】欧州連合(EU)などが求める財政再建策への賛否を問うギリシャの国民投票は5日投開票の結果、反対が61・31%と賛成の38・69%に大差をつけ、反対を訴えていたチプラス首相が勝利宣言した。再建策が拒否されたことを受け、EUは対応を協議するが、ギリシャ支援を再開するかは不透明。ギリシャが財政破綻し、欧州単一通貨ユーロ圏から離脱を迫られる事態も想定され、EUは最大の試練に直面した。欧州統合の象徴ユーロは1999年の誕生以来、離脱の前例はない。ドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領はユーロ圏首脳会議を呼び掛け、EUのトゥスク大統領は同会議を7日に招集。欧州中央銀行(ECB)が6日に臨時理事会を予定するなど、危機回避に向けた動きが活発化してきた。週明け6日の東京市場で日経平均株価(225種)の下げ幅が一時、前週末終値比300円を超え、ユーロ安が進むなど国際金融市場には動揺が広がった。ギリシャがEUの支援と引き換えにこれまで行ってきた年金支出削減など緊縮策への不満は強く、一段の負担を求める再建策への圧倒的な反対につながった。投票率は62・5%だった。「反緊縮」を掲げるチプラス氏は5日夜のテレビ演説で「ギリシャは歴史的なページを開いた」と述べ「交渉のテーブルにつく」として、1日に失効した支援の再開をめぐりEUとの協議に臨む考えを表明。反対多数の世論を後ろ盾にEU側に譲歩を迫る構えだが、交渉の難航は確実だ。ギリシャは6月末が期限だった国際通貨基金(IMF)への債務返済が滞り、事実上のデフォルト(債務不履行)状態。今月中に満期を迎える円建て債券(サムライ債)や国債の償還ができない恐れもある。 *1-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150707&ng=DGKKASGM06H65_W5A700C1MM8000 (日経新聞 2015.7.7) ギリシャが新提案へ、EU、緊縮策なお要求 欧州中銀、資金供給を議論 財政危機に直面するギリシャのチプラス首相は6日、ドイツのメルケル首相と電話で話し、7日のユーロ圏首脳会議でギリシャが欧州連合(EU)による支援を巡る新たな提案を示すことで一致した。EUは緊縮策受け入れが支援の条件という従来の立場を崩していない。ギリシャの銀行の手元資金は枯渇しつつあり、政府は7日から再開を目指していた銀行の営業について8日まで休業を延長すると決めた。ギリシャは6月末に資金の流出を防ぐため、銀行営業の停止と資本規制の導入を発表した。欧州中央銀行(ECB)による支援がなければ銀行が営業を再開しても資金繰りに窮するのは確実とみられている。ロイター通信によると8日までの銀行休業の延長とともに一日60ユーロの現金引き出し制限も維持される。ECBは6日、緊急理事会を開き、ギリシャ銀行への流動性支援について協議した。5日のギリシャ国民投票ではEUが支援の条件として示した緊縮策に約6割が反対を表明し、賛成は約4割にとどまった。チプラス首相は「結果は我々の交渉での発言力を強めた」と発言。緊縮策の緩和や、債務減免などをEUに求める立場を示唆した。しかし、EU側はあくまでもギリシャに緊縮を要求する構え。フランスのサパン財政相は6日、「新たな提案をするのはギリシャ政府だ」と主張。独政府報道官は「交渉の扉は開いている。ギリシャ側の提案を待ちたい」と記者団に語った。ギリシャに残された時間は少ない。銀行機能の停止が長引けば、主力の観光産業だけでなく、すべての商取引に影響が及び、経済全般が打撃を受けるのは避けられない。一方、EUとの交渉を主導したバルファキス財務相は6日、辞任した。チャカロトス外務副大臣が後任に指名された。EUの一部はバルファキス氏の存在が交渉を難しくしているととらえており早期合意へギリシャ側が一定の譲歩をした格好だ。首相はECBのドラギ総裁とも電話協議した。ギリシャ中銀は5日夜、民間銀の資金繰りを支えるため、ECBに「緊急流動性支援(ELA)」=総合2面きょうのことば=の上限を拡大するよう要請した。ギリシャは14日に円建て外債(サムライ債)の償還、20日にECBが保有する国債償還を迎える。債権団からの新たな支援を引き出せなければ、債務不履行(デフォルト)になる見込みだ。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は6日、注意深く情勢を見守っているとの声明を出した。 *1-4:http://www.sankei.com/world/news/150630/wor1506300043-n1.html (産経新聞2015.6.30)中国がギリシャに急接近、狙いは欧州進出の足掛かりか 国債購入約束の情報も… 欧州を訪問中の中国の李克強首相は29日、ブリュッセルで記者会見し、ギリシャ財政危機について、「ギリシャがユーロ圏に留まることができるか否かは、国際金融の安定と経済復興に関わる問題だ。中国は建設的な役割を果たす用意がある」と述べ、ギリシャ問題に積極的に関与する姿勢を示した。中国は、ギリシャを手がかりに欧州での存在感の拡大を狙っている。中国は、ギリシャの財政問題が深刻化したこの数年間に同国に急接近した。2014年6月19日、李克強首相がギリシャを訪問し、約50億ドル規模の貿易・投資協定を締結。その約1カ月後の7月13日、習近平国家主席もギリシャを訪問し、観光、金融分野などで協力を深めることで合意した。中国の国家主席と首相が1カ月以内に同じ国を訪問するのは極めて異例だ。さらに両国は15年を「海洋協力年」と決め、今春、北京とアテネで祝賀イベントを同時開催した。 *1-5:http://www.nikkei.com/paper/related-article/tc/?b=20150707&bu=BFBD9496 (日経新聞 2015.7.7) 欧州中銀、ギリシャ銀行への資金供給を据え置き 欧州中央銀行(ECB)は1日、ギリシャの銀行の資金繰りを支えるために実施している資金供給額を据え置くことを決めた。ギリシャの銀行の苦境は当面続くことになりそうだ。一方、欧州連合(EU)も同日にユーロ圏財務相会合を開き、ギリシャが5日に実施する国民投票後までギリシャ政府との交渉は見送る方針を確認した。ECBは「緊急流動性支援(ELA)」という仕組みを活用し、預金流出が続くギリシャの銀行を支えている。資金供給額は毎週見直すが、1日の理事会では上限枠を現行の約890億ユーロ(約12兆1千億円)に据え置くことを決めた。ギリシャ国内では預金流出が進んでいたが、ECBから銀行への資金供給上限が一定額にとどまっているため営業停止などの規制が6月29日から実施されている。ECBは、ギリシャが緊縮策を受け入れればELAの上限枠を見直す用意があるとの立場だ。1日にはユーロ圏財務相会合も開かれた。ギリシャ側がEUなどに要請している金融支援の延長や債務減免などについて改めて協議したが、5日に予定されている国民投票の結果が出るまでギリシャ側と交渉はできないとの見解で一致した。終了後にデイセルブルム議長(オランダ財務相)は「ギリシャ政府が国民投票で(緊縮策受け入れの)否決を国民に勧めている状況では、協議を続ける理由はない」と述べた。 <日本の危機に対するいかさまな解決策> *2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11832749.html (朝日新聞社説 2015年6月30日) 日本の財政再建 やはり先送りは危うい 今年度予算では、財源不足を補うための36兆円余の新たな国債や、満期を迎えた分の借り換えなどで、総額170兆円の国債を発行する。こんなに借金を重ねて大丈夫なのか。発行後に国債が売買される市場で国債価格が急落(金利が急上昇)しないのか。 ■市場に潜む危うさ 国債の大半は、国内の資金、もとをたどれば国民の貯蓄でまかなわれている。逃げ足の速い海外マネーに頼っているわけではないから、大丈夫。こう説明されることが多い。おカネの流れを見れば、その通りだ。ただ、この流れに潜む構図を見落としてはならない。「異次元」とも称される、日本銀行による大胆な金融緩和策である。この政策の柱として、日銀は大量に国債を買っている。昨年秋の緩和策第2弾を経て、そのペースは、政府が市場で発行する分の最大9割に及ぶ。日銀が政府から国債を直接買う「引き受け」は、法律で禁じられている。かつて政府の戦費調達などに日銀が手を貸し、激しいインフレを招いた反省からだ。現状は金融機関を経て購入しているとはいえ、引き受けも同然と言える。何が起きるか分からないのが、市場だ。「日本の国債だけは価格が暴落しない」というわけにはいかない。投機筋などによる売り浴びせをきっかけに混乱が広がれば、企業の借り入れや住宅ローンの金利が急上昇し、景気の悪化に伴って税収が減る一方、国債の利払いは増える。ギリシャの惨状は遠い外国の話ではなくなる。そんな事態を避けるには、政府が「借金を返していく」という姿勢を示し続け、「すき」を見せないことだ。今は日銀が国債の大量購入で波乱の芽を封じ込めている格好だが、日銀の黒田総裁自身が政府に財政再建の大切さを説いていることがそれを物語る。 ■成長頼みは禁じ手 20年度の基礎的財政収支の黒字化を目指す政府の財政再建策は、借金を返していく意思を問う試金石だ。ところが、である。毎年名目で3%台という、実現が難しい成長を前提として、税収も伸びていくと見込む。増税については、1回延期した消費税率の10%への引き上げこそ織り込むものの、それ以上は封印。歳出の抑制・削減策も、メニューこそ並べたが、具体案や実行への道筋は先送りした。経済成長に伴う税収増を目指すのは当然としても、それに頼ることは「期待」頼みの財政再建であり、禁じ手だ。確実な手段は、歳出の削減と増税の二つ。ともに痛みを伴う。まずは歳出の抑制・削減だ。あらゆる分野にメスを入れる必要があるが、焦点は国の一般会計の3分の1を占める社会保障分野だ。高齢化に伴い、放っておけば毎年1兆円近いペースで増え続ける。医療や介護、年金など、社会保障は「世代」を軸に制度が作られ、現役世代が高齢者を支えるのが基本的な仕組みだ。しかし、同じ世代の中で資産や所得の格差が開いていることを考えれば「持てる人から持たざる人へ」という軸を加え、制度を改めていくことが不可欠だ。財政難の深刻さを考えれば、歳出の抑制・削減だけでは間に合わず、増税も視野に入れるべきだ。柱になるのは消費税の増税である。景気にかかわらず増えていく社会保障をまかなうには、税収が景気に左右されにくく、国民全体で「薄く広く」負担する消費税が適している。3年前に政府が決めた「社会保障と税の一体改革」は、そうした考え方を根本にすえる。安倍政権は10%を超える増税を否定するが、それではとても足りない。欧州の多くの国が付加価値税(日本の消費税に相当)の税率を20%前後としていることからも明らかだ。所得や資産に課税する所得税や相続税も、豊かな層に応分の負担をしてもらう方向で見直す。そんな税制を目指したい。 ■避けられない痛み いずれも痛みを伴う改革だ。しかし、社会保障を持続可能にし、将来世代へのつけ回しをやめるには、避けて通れない。財政の再建から逃げ、放置すれば、いずれ破綻(はたん)しかねない。いったんそうなれば、国民の生活がもっと大きな痛みを強いられる。選挙で選んだ代表を通じ、法律を改正して制度の再設計や負担増を受け入れるのか。金利急騰といった市場の圧力に追いたてられて取り組むのか。民主主義の手続きに基づく負担の分かち合いを選びたい。 *2-2:http://cache.yahoofs.jp/search/cache?c=BYvb8LLFGe4J&p 古賀茂明「増税こそがギリシャへの道。消費税率引き上げの前に『戦う成長戦略』で日本再生を」 最近話題になっている例えば年金と定年延長の話とか、あるいは復興増税も含め財政の問題、こういうことの関連で「成長をどう考えるか」ということをお話ししておきたいと思います。よく財務省は「日本は1千兆円の借金があって借金で首が回らない。このまま行くとギリシャになる。だから先のことを考えてやはり増税が必要なんだ」と言っています。最近は財務省の幹部が何人もぞろぞろ揃って、各新聞社・テレビ局を回っています。各新聞社は論説委員のエライ方から、何人も集まって、財務省の幹部から御高説を賜る。そういうことをやってます。新聞もかなり色が分かれているので、皆さん、読んでいる新聞が違うと、隣の人と全然違う世界に住んでいる可能性があるんですよ。最近、産経新聞もかなり増税反対のキャンペーンを相当強烈にやって、国税が調査に入りました。それくらい財務省は一生懸命、増税、増税と言っているんですね。 ●稼がないから借金が返せない 「ギリシャにならないために増税」「将来の安心のために増税」っていうキャッチフレーズで、何となく国民の皆さんもやっぱり財政が大変だという理解はある程度深まっている。「やっぱり増税、しょうがないな」と思っている方も多いと思うんですね。ですが、私が今日申し上げたいのは、いまのまま増税していけば確実に「ギリシャへの道」だということです。つまり財務省は「ギリシャにならないために増税だ」と言っていますが、私は「いまのまま増税すればギリシャへの道だ」と反対のことを言っています。その意味するところは、いまギリシャはどうなっているのか見ていただければ分かると思います。借金が嵩んで返せなくなった。ドイツとフランスが助けてくれない限り破綻です、というところに追い詰められているわけです。では、ギリシャは増税しなかったのかというと、ちゃんと消費税を上げています。20%になっています。もっと上げろと言われていますが、すでにこれ以上上げられませんというところまで上がっています。よくギリシャは公務員の数が多いと言われています。メチャクチャ多いので、公務員のリストラをやると言われています。それからムダな歳出が多い、年金カットしろといろいろ言われてます。それらすべてをやりましょうということになっている。でも、それで財政が再建できると思っている人は誰もいないんですよ。マーケットは、そんなことやったって焼け石に水だということをよく分かっています。だから、破綻に追い込まれたんです。なぜそんなのでは駄目だって言っているかというと、ギリシャには稼ぐ力がないんです。借金は大きくたって何の問題もないんです、返せれば。大きな企業で何兆円も借金している企業はたくさんあります。でもそれを返せるだけ稼いでいるんです。だから借金が大きいから潰れるっていうことはないんです。国の経済もまったく同じです。借金が大きいから潰れるんじゃなくて、返せないから潰れるんですね。日本の場合は、もちろん借り過ぎだとは思います。じゃ、借り過ぎちゃった場合にどうすれば返せるのか。もちろんムダも省かなくちゃいけないし公務員改革とかリストラもやらなくちゃいけない。しかし、それだけではだめです。借金を少しでも減らしていくためにどうすればいいのか。結局、日本はいま稼げなくなっているんですよ、それが最大の問題なんですね。ついこの間まで消費税を1%上げれば2・5兆円税収が入るといわれた。消費税1%=2・5兆円と、覚えやすい数字だったので記憶されていると思いますが、実はいまはもう1%上げても2・1兆円しか入らないんです。なぜかというと、この20年間ずっと日本の経済はデフレで縮小しているんですね。「成長」と言うとき、よく「実質経済成長率」というのを使います。実質経済成長率というのは要するに物価上昇分を差し引いた伸び率のことです。その差し引く物価上昇率がマイナスなんです。マイナスを差し引くからプラスになっちゃっう。物価が下がった分、成長が大きく見えるんですね。ところが、我々が普段おカネのやり取りをしている現実の世界においてはずっと日本の経済は縮小しているんです。だから消費税を1%上げても、昔だったら2・5兆円増えたけど、いまは2・1兆円しか増えない、そういうふうになっている。 ●消費税を20%にしても追いつかない そういう中でいま財務省は増税をしようとしています。そうすると経済はもっと縮小していきます。で、また税収は減ります。足りないからまた増税します、とやっていって消費税を20%まで上げるという。プラス15%の増税です。15%の増税で、仮に1%=2兆円としても30兆円です。今年の国債発行額は44兆円ですから、消費税を20%にしても国債の発行をゼロにはできない。つまり借金は減らないんです。25%にしてぎりぎりトントン。借金を減らすんだったら30%くらいにしなきゃいけない。所得税とか年金とか払った上に、更に3割消費税に持っていかれます。こういう世界で財政再建をしましょうということになるんです。私が言いたいのは、「そんなやり方ではなくて、稼げるようにしなくちゃいけないでしょ」ということなんですね。ではどうやって稼ぐのか。必ず成長分野としてあがるのが農業です。「これから農業ですね。人口もどんどん増えているし、途上国の所得が非常に上がってきていろいろなものをどんどん海外から輸入するようになって農産品は必ず足りなくなります。日本の農業は輸出のチャンスです。これから大きく伸びるんだ」と。それから医療。「高齢者がどんどん増えます。医療を産業化すればこれも大きなチャンスがあります」と言うんです。これも正しいと思います。またエネルギー分野もそうです。「これから原発に頼らない。二酸化炭素を減らさなくてはいけない。だから再生可能エネルギーをどんどん増やさなくてはいけない。この分野もものすごく伸びるんです」と。これも正しいですね。農業、医療、エネルギー、これらを「三つの成長分野」ってよく言うんです。けれども、よく考えると、この三つの分野って全部企業が自由に活動できないんですよ。たとえば三菱商事が三菱アグリカルチャーという会社を作って、小規模農家から土地を買い集めて大規模農業にやります、株式会社で参入しますって、言うのはできないんですね。それから、医療で株式会社は病院を持てません。エネルギーの分野は、電力会社は全部株式会社ですが、それ以外の企業はほとんど自由に参入できない。つまり成長するはずだって言っている世界で、企業が自由に活動できないんです。日本は資本主義で自由主義、その国で企業が活動できないところが成長分野ですって言う。これはほとんど笑い話ですね。だからそれをもっともっと自由にすればいいんですけど、じゃ、どうやって自由にするんですか。自由にしたら困る人たちがたくさんいます。農業なら農協がいる、医療だったら医師会がある、エネルギーなら強力な電力会社が立ちはだかります。それが怖くて自民党は改革に手を付けられなかったんですよ。だから知らないうちにずっと日本の経済が沈んでいたんです。 ●戦う成長戦略を実現してほしい 政権交代のまえは民主党なら柵(しがらみ)がないからできるんじゃないかと、みんな思った。ところが幹事長室に陳情の窓口を作ったら一番に並んだのが農協で、二番は医師会だという笑い話もあるんです。結局戦えなくなっちゃった。組合もいますしね。強いところと戦えない。だから財務省は、民主党、自民党に「是非、消費税を上げてください」と言いに行く。中には、「消費税を上げれば銅像が建つ」って言う政治家もいるんです。消費税を上げるというのは不人気な政策だけれど、でも責任ある政治家は不人気な政策もやらなくちゃいけない、それをやり遂げるのが立派な政治家なんだと思い込んでいるんです。私に言わせるとちゃんちゃらおかしい。なぜかというと、戦うべき相手を間違えているからです。強力な既得権グループと戦うのが怖いから、一番弱い消費者を相手に戦って消費税を上げる。つまり普通は「強きを挫き弱きを助ける」、これが正義の政治ですね。それとまったく逆で「強きを守り弱きを叩く」という方向にいっている。ですから私は、強いところと戦う勇気を持っている政治家・政党、覚悟を持ってる政治家・政党、そういうところを我々が声を出して・・・、声だけじゃなく、投票だけっていうんじゃなくて、おカネを出さなきゃいけないと思ってます。個人の政治献金ですね。そうやって支援していくことによって本当に日本を変えていく。これが「戦う成長戦略」と私が呼んでいる成長戦略です。バラマキの成長戦略ではなくて「戦う成長戦略」を是非やってほしい。ちょっと話し過ぎになりましたので、今回はこの辺にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 PS(2015年7月8日追加):*3のように、ギリシャは債務減免交渉で瀬戸際と言われているが、素晴らしい気候で景色のよいエーゲ海に無数の島を有しており、冬やバケーションを過ごす格好の場所になるため、北欧、ベネルクス三国、ドイツ等の北国に可能な島を売却して、まず債務を削減したらどうだろうか。 エーゲ海の島々 *3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11846792.html?_requesturl=articles%2FDA3S11846792.html (朝日新聞 2015年7月8日) 債務減免、瀬戸際の交渉 ギリシャ、銀行の資金切迫 財務相会合のデイセルブルーム議長(オランダ財務相)は会合後、「非常に困難な状況にある。私たちに(残された)時間はほとんどない」と述べた。ギリシャに金融支援と改革案の内容を早く提出するように求めたという。欧州委員会によると、ギリシャの2015年の政府の借金は、国内総生産(GDP)比で180%に達する見通し。12年に合意したEUの支援プログラムでは、15年に153%、20年には117%としたが、景気低迷や民営化の遅れでシナリオから大きく外れている。政府の総債務残高は13年で3191億ユーロ(約43兆円)。借金を軽くしなければ、ギリシャはさらなる緊縮策をのむ必要がある。チプラス首相は5日の国民投票直後の演説で「債務の問題は交渉テーブルにかけられる」と述べた。債務カットのほか、財政危機国を支援する基金「欧州安定メカニズム(ESM)」から低利で融資を受け、その資金をほかの債務返済にあてる「債務の借り換え」などを求める可能性がある。ギリシャ側が追い風とみるのは、国際通貨基金(IMF)が2日発表した報告書だ。債務削減の目標達成が難しくなっているとして、今後3年間で500億ユーロの資金が必要で、EU側からの少なくとも360億ユーロの支援が必要と指摘。その上で債務減免も必要になるとの見方を示している。EU側は、債務減免への賛否が分かれる。ユンケル欧州委員長(EUの首相に相当)は6月29日の記者会見で、債務減免の話し合いに応じる姿勢を示した。一方、ギリシャ支援に国民の反発が強いドイツは慎重だ。フィンランドのストゥブ財務相は会合前、「ギリシャの財務負担を軽くするのは望まない」と述べた。EUの基本条約は、加盟国がほかの加盟国に財政援助をすることを禁ずる「非救済条項」を定めている。債務削減は、加盟国の事実上の借金の肩代わりになり、条約違反になるとの見方もある。 ■財政改革、受諾姿勢も そもそも、債務減免が議題にのぼるには、まずはギリシャが、EU側が納得できる財政改革案を示す必要がある。これまでの支援交渉でギリシャは、EU側が求める財政再建の目標や年金改革などの緊縮策を拒否。だが、6月末にチプラス首相はユンケル氏ら支援側トップにあてた書簡で、一部の修正を除いてEU側の改革案を受け入れる準備があるとの姿勢を示していた。ギリシャが示す改革案はこれが土台とみられる。ただ、国民投票では約6割が緊縮策の受け入れに反対しており、さらなる修正を求める可能性もある。改革が不十分だと各国が判断すれば、債務減免の交渉どころではなくなる。ギリシャには時間が残されていない。ギリシャは6日、銀行窓口の閉鎖を8日まで2日間延長することを決めた。ECBも銀行への資金供給への増額に応じておらず、このままEU側との支援交渉が前進しなければ、週内にも銀行の資金が底をつく可能性もある。 PS(2015年 7月9日追加):私もギリシャの国民投票を関心を持って見ていたが、*4-1、*4-2の記事に書かれているように、過去に政府が誤った政策を国民が暮らしていけないような対策で解決しようとするのは政策と呼ぶに値しないため、まず行き過ぎた財政緊縮策と消費税増税に『ノー』を突きつけた民主主義発祥の地、ギリシャの国民投票の結果に敬意を表する。その上で、ギリシャは国民投票によって国民全体が真剣に考えたため、次のステップは団結してやれると期待したい。 *4-1:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PG09J20150706 (ロイター 2015年 7月 6日) ギリシャ投票結果は「民主主義の勝利」、アルゼンチン大統領が称賛 財政緊縮策をめぐるギリシャの国民投票結果を受け、アルゼンチンのフェルナンデス大統領は5日、短文投稿サイトのツイッターに「民主主義と国家の尊厳にとって目を見張るべき勝利」と歓迎するメッセージを投稿した。投票では緊縮策の受け入れ反対が61%となった。同大統領は「ギリシャ国民は、実行不可能かつ屈辱的な緊縮策に『ノー』を突きつけた。われわれアルゼンチン国民にはそれがどういうことか理解できる。自らの死刑執行令状へのサインを強要することは誰にもできないというそのメッセージを、欧州首脳らが理解してくれることを望む」とした。アルゼンチンも2002年に債務危機を経験。債務リストラ提案をめぐり、投資家との係争も起きている。 *4-2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150706-00000022-jij-eurp (時事通信 7月6日) 欧州の反EU政党が称賛=「民主主義の勝利」―ギリシャ国民投票 ギリシャ国民投票で緊縮反対が確実になると、欧州各国の反緊縮・反欧州連合(EU)政党からは「チプラス政権の勝利」への称賛が相次いだ。スペインで「反緊縮」を掲げて5月の統一地方選で躍進した急進左派政党「ポデモス」のイグレシアス党首はツイッターで「きょう、ギリシャで民主主義が勝利した」と祝意を表明した。ポデモスはギリシャの与党・急進左派連合(SYRIZA)の友党で、イグレシアス党首はチプラス首相の盟友。一方、ロイター通信によると、フランスで勢力を伸ばす極右政党「国民戦線(FN)」のルペン党首も声明を出し「ギリシャ国民からの『ノー』は、健全で新しい道を開くものとならねばならない」と主張した。英国のEU離脱を目指す「英独立党(UKIP)」のファラージュ党首もツイッターで「ブリュッセルによる政治的・経済的脅しと対決したギリシャ人の勇気は素晴らしい」とたたえた。 PS(2015.7.10追加):ヨーロッパの付加価値税(VAT)は、企業がつけた付加価値に対してかかり、レストランを例にとれば、「付加価値=売上-(外部からの仕入+光熱費など経費の支払い)=人件費+利益」となる。つまり、付加価値税は企業が支払った人件費と儲けた利益にかかるペナルティーのように働くため、企業の雇用削減効果やレストランで食べることを控えさせる消費抑制効果があるのだ。1989年に、ヨーロッパの付加価値税を参考にして日本に一般間接税を導入することとなった時には、日本では消費にかかる消費税に変わり、消費者へ転嫁するようになったため、消費抑制効果のみがある。 なお、*5のように、ギリシャでも商店街がシャッター通りになっているが、全体を素敵に改装して、ギリシャ(ヨーロッパ)らしいセンスの良い品物を置く店にすればよいと思う。私は、25年くらい前、夫とエーゲ海クルーズを含むギリシャ旅行をしていた時に、アテネで黒いミンクのコートを衝動買いして今でも大切に着ているが、買った理由は、自分を引き立ててくれるしゃれたデザインで、日本で売っているワンパターンなデザインのミンクのコートの1/3くらいの値段であり、二度とない「出会い」だと思ったからだった。 スケジュール *5より *5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150710&ng=DGKKASGM10H2Q_Q5A710C1MM0000 (日経新聞 2015.7.10) ギリシャ、EUに譲歩 増税・年金抑制、財政改革案を提出、7兆円の支援要請 財政危機に直面するギリシャは9日夜(日本時間10日未明)、新たな金融支援の条件として欧州連合(EU)から求められた財政改革案を提出した。日本の消費税にあたる付加価値税(VAT)の引き上げや年金の給付抑制を盛り込むなどEU側に譲歩した内容。その引き換えとして535億ユーロ(約7兆円)の支援を要請しているもようだ。EUは12日の首脳会議までに、改革案を受け入れて金融支援を再開するか最終的に判断する。地元メディアによると、改革案ではレストランなどへの付加価値税の税率を現行の13%から23%に引き上げる。離島に適用している軽減税率は観光業で豊かな島から段階的に取り払う。法人税は26%から28%に引き上げる。また、年金の支給開始年齢の引き上げのほか、貧しい年金生活者への特別給付制度を2019年までに段階的に廃止する。軍事費は16年までに3億ユーロ減らす内容で、削減額を従来案よりも上積みした。2年間で100億ユーロ以上の収支改善を目指しているもようだ。5日の国民投票では、EUなどが求める緊縮策にギリシャ国民の6割が反対票を投じた。同国政府の新提案に対し、議員や国民から反発の声が上がる可能性はある。ギリシャは8日、ユーロ圏で財政危機に陥った国を支援する枠組み「欧州安定メカニズム(ESM)」を活用した新たな金融支援を申請した。3年間の融資を求める。地元メディアによると、最低でも535億ユーロを求めているもようだ。これまでギリシャは2400億ユーロの支援を受けている。ギリシャは同国の債務を「持続可能にする手段」も求めている。債務の元本削減や、返済期間延長や金利引き下げといった負担軽減を期待しているもようだが、EU側には慎重意見も根強い。ギリシャとEUの交渉は不調に終わり、6月末に金融支援はいったん失効した。ギリシャ政府は8日、同国の市中銀行からの預金流出を防ぐため6月29日から実施している銀行の休業を13日まで延長する方針を決めた。約5年間の緊縮策で疲弊した同国経済は、資本規制でさらに悪化の一途をたどっている。ギリシャは20日に欧州中央銀行(ECB)が保有する同国国債35億ユーロの償還を迎える。返済できなければ、ギリシャの銀行にとって命綱となっているECBによる資金供給が打ち切られる可能性がある。このため、新たな金融支援の獲得が急務となっている。
| 経済・雇用::2014.6~2015.10 | 04:56 PM | comments (x) | trackback (x) |
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