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2015,07,24, Friday
2015.6.7佐賀新聞 (1)少子化は誰の責任か、また、自治体はどう対応すべきか *1-1のように、国は認可保育所を希望したのに入所できなくても、①東京都の認証保育所などの保育事業を利用 ②幼稚園の一時預かり等を利用 ③保護者が育休中の場合は待機に含めるかどうか自治体が判断 としており、①〜③を「隠れ待機児童」とみなして集計すると、「認可保育所に入れない待機児童数が多かった98市区町村で、集計されていない『隠れ待機児童』は、4月1日現在、少なくとも約1万3千人に上る」とされる。そして、質の良い保育所に入れるかどうかは「宝くじ」のようらしく、現在、都市部の自治体では待機児童の解消に力を入れているが、未だすべての子どもに満足な居場所を作ることができない状態で、認可外の保育施設を利用すると、一人当たり月に10万円もかかるそうだ。 しかし、保育施設の充実を最初に訴えた女性は、既にひ孫を持つ年齢であり、最初に学童保育の充実を訴えた女性は、既に孫が中学校に入る年齢である。つまり、働く女性の声を無視して、女性の変化と家族のニーズに合った政策を進めてこなかった政治や行政の対応の遅さが、必要以上に少子化を進め、女性にとっても不幸な現象を招いた。そのため、少子化を「女性や家族の頑張り不足」のせいにするのは、とんでもない責任転嫁である。 なお、地方では、*1-2のように、来年3月の国公立中学卒業見込み者が前年度より減り、全日制高校の募集定員を40人減らす自治体も現れた。もちろん、認可保育所の待ち行列はなく、保育環境も都会よりよい。そのため、地方では、教育の質を上げて充実させれば、企業誘致や移住が進むと思われる。 (2)教育の充実のうちの学力について *2-1に、「①教育関係者、保護者、有識者で構成される佐賀県学力向上対策検証・改善委員会が開かれた」「②委員から『情報収集力や表現力など求められる学力の質が変わってきた』等の意見が出た」「③テストでは、国語は条件に合わせて自分の考えをまとめて書く問題の正答率が低い」「④算数・数学も考え方や理由を説明する記述式の問題の正答率が伸びなかった」「⑤理科は観察、実験の技能や考察に関する問題に苦戦した」「⑥委員から『文章力を磨けばいいという問題ではなく、自分の考えを持っていないと対応できない』などの声が上がった」「⑦上野委員長は『全国学力テストで求められる学力と、教師がこれまで身に付けさせようとしてきた学力にズレがあるのではないか。情報収集力や表現力といった従来と質の違う学力を育む手だてが必要だ』と指摘した」などが記載されている。 私は、①のように、まじめに教育を考えているだけでも佐賀県は立派だと思うが、②③④⑤⑥については、求められる知識や理論は増えることはあっても減ることはなく、パソコンやインターネットの普及では情報収集のツールが増えただけであり、表現力は表現すべき内容があって初めてものを言うため、小中高では、正しく自分の考えを育むための基礎的知識や論理力を学び、人としての内容を深めるべきだと考えている。そのため、⑦については、「今までどういう教育を進めていたのか?」と少し疑問に思った。 しかし、パソコンやインターネットの普及で情報収集のツールが増えたというのは、実はすごいことなのだ。何故なら、小中高の生徒でも、国会中継を視聴でき、日本弁護士連合会の意見書を読むこともでき、国内外の政府の公開文書や外国人の論文も入手して読むことができ、どの地域にいても、最前線の情報を入手して考えることが可能になったからである。そのため、企業や大学を退職した人など、これまで最前線で活躍してきた人を小中高に顧問等として採用すれば、質が高くて面白い授業を行い、生徒に新しい見地を開かせる役に立つだろう。 唐津市教育委員会は、*2-2のように、学力向上策として、教師による一斉指導から、子どもの意見交換の時間を増やし、自ら考える力を伸ばす「アクティブ・ラーニング」のモデル校を増やしているそうだ。これは、生徒に参加意識を醸成するのでよいと書かれているが、私は、教師が教えても、質問や反対意見を歓迎して受け付け、考えさせる指導をすれば、参加意識を高めることができるし、それが本当に必要なことだと考えている。 一方、児童が授業の進行役を務めて意見交換を行うのは、児童には必要な知識がなく無駄が多いため、私は、特定の科目や特定の日にのみ、アクティブなディスカッションやアクティブなプレゼンテーションを指導するようにした方がよいと考える。唐松地区では、4月の全国学力テストで全学年・全教科が県平均を下回ったそうだが、このような授業方法では学力の低い生徒の参加意欲は高まるかもしれないが、リーダーとなる生徒は先生の代わりまでしなければならず無駄な時間が増えるため、学力の高い生徒の成績が下がって平均が下がると考えられるのだ。また、唐松地区は家庭学習する児童生徒が少ないという結果は、親も含めた意識と習慣が問題なのだろう。 (3)道徳について *3-1のように、文科省が教科書検定基準案を作り、「考える道徳」を重視して、「生命の尊厳」「正直・誠実」「公正」「礼儀」「家族愛」「伝統文化」「伝記」「愛国心」「言語活動」「体験学習」「スポーツ」などの幅広いキーワードで、これを進めるそうだ。しかし、これらは、これまでも国語、生物、総合学習、クラブ活動などで、折にふれてやってきたものではないのか? また、「一方的な価値観の押しつけではなく、子どもが自分で考える授業になるよう、教材の面から後押しする」と何度も書かれているが、成人ではない未発達の子どもが自分で考えられるようになるまでは、「生命の尊厳」「正直・誠実」「礼儀」「公正」「家族愛(いろいろな形があることも教えてよい)」「愛国心(批判したから愛国心がないわけではなく、愛国心だけでは足りないことも教えるべき)」等の価値観を一方的に押しつけることは教育の一部であり、それらをすべて自分で考えることのできる人はいない。にもかかわらず、それを曖昧にしてきたのが猟奇的犯罪・オレオレ詐欺・いじめ等、人権侵害の多い我が国の現在に至った理由の一つであり、子どものうちに叩き込んでおかなければならない価値感もあるのだ。 しかし、*3-2のように、現在の「道徳の時間」では、「決まりを守る」などを紹介した副教材が使われてきたが、この副教材の使用に積極的でない教員もいたそうだ。確かに、決まりはどうにでも作れるので、時代遅れだったり不当だったりすることもあり、「決まりを守る」だけではなく、「その決まりは適切か」とか「では、どういう決まりにすればよいか」などを皆で議論して考え、答えを導くのもよい教育である。 <問題1(歴史・政治)>*3-3のように、ロシアの首相が北方領土を訪問する意向を示し、「島に軍事インフラを整備する」という考えを示した。北方領土は、北海道の人にとっては占領されたふるさとで目の前にある島だが、日本が周辺国すべてを見下して米国のみに頼ったツケが廻ってきたようだ。中学生以上の人は(小学生でも可)、どうすればよいかについて考えて下さい。 <問題2(道徳・経済)>*3-4のように、日本人の家計の金融資産は1700兆円を超え、安全資産の代表である現金と預金の比率が52%と過半だそうだ。家計の金融資産は個人が老後に備えて蓄えてきたものであるため、60歳以上に偏在しているのは当然で失うわけにいかないものであるにもかかわらず、日本経済を活性化させるという名目で元本が減るリスクのある金融資産を薦めるのは道徳的か? また、日本国憲法に照らして、人の老後の暮らしや人権、幸福を大切にしているだろうか? さらに、インフレ経済にして個人資金をリスク資産に引きつけ、市場の知識すらない人の資金が市場に流れる仕組みを整えることは適切か? 仮に適切な場合があるとすれば、それはどういう場合か? 上の<問題1>と<問題2>は、生徒にとって簡単に答えが出るものではないが、道徳を含む多くの考慮すべき要素を含むため、多面的に調べてディスカッションし、考えを進めるトレーニングになるだろう。しかし、問題は、教える筈の大人が正解に近いものを作れるか否かである。 (4)ICTを使った教育の事例 *4-1のように、佐賀県は、タブレット端末や電子黒板など佐賀県が推進しているICT(情報通信技術)教育について、ICT教育改善検討委で学校現場の意見を集約している点で進んでいる。タブレット端末や電子黒板は、先生が書いた黒板を写すという無駄な作業がなくなるのでよいと思うが、タブレット端末やパソコンでは紙上のように思考や論理構成をしにくい。そのため、タブレット端末や電子黒板は、それ自体が学習というよりは、参考書、ノート、鉛筆、黒板のような文房具にすぎないと考えるべきである。 しかし、優秀な文房具であり、どんな地域に住んでいても、オリジナルの文書や専門家の意見に容易にアクセスして、ものを考えることができるツールだ。そのため、現場の先生には、使いこなし方を勉強していただき、授業に活かしてもらいたい。 例えば、*4-2の佐賀西高の中国・東アジア史はよいが、「東アジアの国際体制は何が良かったのか」だけではなく、「何がなかったか」も学んで欲しい。さらに、世界史と日本史の年表を並べて学ぶことにより、日本史に書かれていなかった事実も浮かび上がってくるため、それは何かを徹底して追及すれば、歴史の流れを理解した上ですべてを同時に覚えられる。なお、私は、タブレット端末だからといってアニメーション化するのは感心せず、むしろ韓国国立中央博物館と正倉院の宝物の比較などをしてもらいたい。 また、*4-3のように、致遠館高校では、「自分のお気に入りの物」をテーマに、生徒1人ひとりが英語でスピーチしたそうだが、私は、「英語のスピーチだから内容は簡単でよい(それでは内容が面白くない)」とは思わない。そうではなく、日本国憲法の英文オリジナルと日本語訳を読み比べて違いを指摘したり、生命科学やロボット工学や宇宙に関する英語論文を読んで解説したりなど、内容も充実した方が面白いし、将来の役にも立つ。何故なら、次世代の研究者や社会で活躍する人は、当然のコミュニケーションとして、そのような内容を英語と日本語の両方で話せることが要求されるからである。 <現在の状況> *1-1:http://qbiz.jp/article/66602/1/ (西日本新聞 2015年7月12日) 「隠れ」待機児童1万3千人 集計方法あいまい 認可保育所に入れない待機児童数が昨春多かった98市区町村で、「保護者が育児休業中」などを理由に集計されていない「隠れ待機児童」が4月1日現在、少なくとも約1万3千人に上ることが、共同通信の調査で分かった。自治体が待機児童として集計したのは約1万5千人(昨年4月から11%減)。国が自治体に示した基準では、認可保育所を希望したのに入所できなくても、(1)東京都の認証保育所など自治体単独の保育事業を利用(2)幼稚園の一時預かりなどを利用−の場合には、待機児童として集計しない。(3)保護者が育休中の場合は、待機児童に含めるかどうか自治体が判断できる。調査では(1)〜(3)を「隠れ待機児童」とみなした。女性の活躍に不可欠な待機児童の解消問題。国は4月から始まった保育の受け皿を拡充する「子ども・子育て支援新制度」を待機児童ゼロへの切り札にしたい考えだが、集計方法はあいまいで、自治体からは「机上の数字」と冷ややかな声も漏れる。子育てのニーズは多様で悩みは尽きない。 ▽宝くじ 「いつになったら預け先が決まるのか。不安が消えない」。通信設備会社に勤める女性(35)=東京都目黒区=は3月末までの育児休業を延長した。4月から娘(1)を区の認可保育所に入所させようとしたが、申し込みをした施設はいずれも空きがなかったからだ。認可保育所は競争が激しく、難しいと知っていた。さらに都が独自に設置する認証保育所7カ所にも申し込んだが、数十人待ちが当たり前。待機リストが100人以上のところもあり、宝くじに当たるようなものだ。「新しい制度が始まると聞いて期待したけれど何も変わっていない」。マンションを売却し、他の地域へ引っ越すことも考え始めた。目黒区ではこの女性のようなケースを待機児童にカウントしているが、自治体によって対応にはばらつきがある。東京都中野区の女性(31)も認可保育所を諦められずにいる1人だ。昨年4月に当時0歳だった娘を入所させたかったがかなわず、ビルの1階にある認証保育所へ。保育料は月6万3千円。昨年末に再び認可保育所に希望を出したが、だめだった。「広々とした園庭で遊ばせたい」。これからも申し込みを続ける。 ▽居場所 都市部の自治体などは待機児童の解消に力を入れている。共同通信の調査では、昨年4月時点で人数が多かった98市区町村のうち、約6割が今年4月時点で減少し、川崎、大津など4市はゼロになった。保育施設の整備などが理由とみられる。しかし保護者が育休中のケースを除いたりすることが多く、近畿地方のある自治体の担当者は「机上では、ゼロにするやり方はいくらでもある。実態に合っていない」と冷ややかに話した。保育の必要性と行政の関わりをめぐる意見はさまざまだ。埼玉県所沢市では6月、母親が出産し、育休を取った場合に、原則として上の子が保育所を利用できなくなるのは違法だとして、保護者らが市に差し止めを求める行政訴訟を起こした。市側は「育休中は家庭での保育が可能」と説明。保護者側は「子どもにとって保育所に通うのは生活の一部。元の保育所に戻れる保証がないのは不安だ」と訴える。保育問題に詳しいジャーナリストの猪熊弘子さんは「待機児童の定義や育休の扱いが自治体の方針で変わり、家族の人生を左右されるのはおかしい。本来はすべての子どもに居場所があるべきだ」と指摘している。 ▽選択肢 新制度は幼稚園と保育所の機能を合わせた「認定こども園」や、0〜2歳児を対象に少人数で子どもを預かる「地域型保育」の普及など、選択肢を広げるのが狙いだ。都内の女性(35)は7月から娘(1)を新設の認定こども園に通わせている。「これまでは仕事を続けるため、月10万円で認可外の保育施設を利用していた。幼児教育の要素もあり、どんな生活になるか楽しみ」とほっとした様子で話す。母親の立場で待機児童問題に取り組む杉並区の曽山恵理子さん(38)は「新制度で保育を利用できるようになった人もいるが、まだまだ厳しい状況は変わらない。多様な声を聞くべきだ」と注文を付けた。 *1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/211268 (佐賀新聞 2015年7月24日) 県立中高の来年度定員 武雄高40人減 佐賀県教育委員会は23日、2016年度の県立中学、高校の生徒募集定員を発表した。全日制高校の募集定員の合計は、前年度より40人少ない6440人となる。武雄高校が定員280人を240人に減らす。県立中4校に変更はなく、各校120人を募集する。武雄以外に全日制の募集定員の変更はなく、学科・コースの改編もない。定時制6校の募集定員は前年度と同じ全体で280人。16年度から、普通科の通学区域を現在の4学区から2学区に変更する。これまでの東部、中部を合わせて「東部」学区とし、北部、西部を統合して「西部」学区とする。県教委によると、来年3月の国公立中学卒業見込み者は前年度より65人少ない8544人。旧学区ごとにみると、東部65人減、中部59人減、北部89人増、西部30人減だった。中でも、武雄・杵島地区は前年度も80人減だったことや武雄青陵中の来年3月の卒業者がこれまでより40人減ることを勘案し、武雄高校の定員を減らした。16年度も、募集定員の20%を上限に全日制全36校で特色選抜試験を実施する。県立高の試験日程は、特色選抜が2月9日、一般選抜は3月8、9日、合格発表は3月15日。県立中は1月16日に選抜検査、1月27日に合格を発表する。今回の選抜から、各校の特色を反映して出題してきた「学校独自検査」を廃止する。 <学力> *2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/210568 (佐賀新聞 2015年7月22日) 全国学力テスト「求められる質変化」 県学力向上委が分析 教育関係者や保護者、有識者らでつくる佐賀県学力向上対策検証・改善委員会(委員長・上野景三佐賀大教授)が21日、県庁で開かれた。文部科学省が4月に実施した「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の分析結果が報告された。委員からは「情報収集力や表現力など求められる学力の質が変わってきている」などの意見が出た。全国学力テストは、小学6年と中学3年を対象に国語と算数・数学に理科を加えた3教科で実施した。県教委は小5、中1、2にも独自のテストを実施し、結果をいち早く指導に生かすため、独自集計している。全国の結果公表は8月ごろで、まだ比較はできない。テストでは、国語は条件に合わせて自分の考えをまとめて書く問題の正答率が低く、算数・数学も考え方や理由を説明する記述式の問題の正答率が伸びなかった。理科は観察、実験の技能や考察に関する問題に苦戦した。委員からは「文章力を磨けばいいという問題ではなく、自分の考えを持っていないと対応できない」などの声が上がった。上野委員長は「全国学力テストで求められる学力と、教師がこれまで身に付けさせようとしてきた学力にズレがあるのではないか。情報収集力や表現力といった従来と質の違う学力を育む手だてが必要だ」と指摘した。 *2-2:http://www.saga-s.co.jp/column/ictedu/23901/200032 (佐賀新聞 2015年6月22日) 学力向上へ唐津市試み 「アクティブ・ラーニング」で活路、箞木小で成功、4地区にモデル校 ■「授業に集中」大規模校でも効果 唐津市教育委員会は学力向上策として、教師による一斉指導から、子どもの意見交換の時間を増やし、自ら考える力を伸ばす「アクティブ・ラーニング」のモデル校を増やしている。詰め込み型の知識偏重教育を改めようとする国の方針を“先取り”した試みだが、唐松地区の長期的な学力低迷を打開する狙いが背景にある。市教委は昨年度から学力向上モデル校事業を始めたが、きっかけは厳木町の箞木(うつぼぎ)小が2011年から始めた「司会式授業」。児童が授業の進行役、黒板筆記、タイムキーパーを務め、活発に意見交換する。全国学力テストでは、思考力や表現力を問う記述式問題で、全国平均を大幅に上回る結果を継続的に出している。 ◆生徒に参加意識 京都などでの取り組みを参考に始めた古川元視校長は「今の授業は先生が話しすぎると思う。自分たちで考え、答えを出す方が知識は定着するし、この繰り返しで、自分たちは何をすべきか考える子が育つ」と利点を話す。1年生の算数でも、答えだけでなく、そこに至るまでの考え方を記述させており、思考の過程を重視している。市教委が〓木流を最初に導入したのは、市内一の大規模校となる唐津一中。「司会式」ではないが、4人単位の席に配置し、意見交換やグループ別発表の機会を増やしたことで、生徒の授業参加意欲も高まった。保護者の一人も「居眠りや私語、授業を抜け出す子がほとんどいなくなった」と変化に驚いていた。濱隆朗校長は「やはり一番の生徒指導は『分かる授業』。勉強に自信が持てるようになることで、子どもたちも教室に居場所が見つかる」。教師は毎回の授業で、生徒の思考を手助けするワークシートを用意する負担が生じるものの、「子どもたちが授業に参加するので、心理的な負担は軽減できる」と濱校長。 ◆自ら学ぶ力 1年目の昨年度のモデル校は唐津一中を含め、3地区5小中学校だったが、2年目の本年度は4地区12小中学校に広げた。市教委は小中連携でアクティブ・ラーニングの流れをつくろうと試みている。文部科学省も次期学習指導要領(小学校2018年、中学校19年改定)でアクティブ・ラーニングを盛り込む方針。市教委の牟田口成喜学校教育課長は「私たちの試みは特別なものではなく、国が目指す教育の方向性に沿ったもの。一番規模が大きい一中でできたので、どこでも可能だ」と話す。一方、唐松地区は4月の全国学力テストで全学年、全教科で県平均を下回った。唐津市議会の6月議会では「塾など民間と連携する他の自治体の取り組みも参考にすべきでは」と議員から質問が出るなど学力向上策は急務となっている。県教委が同時期に行った学習状況調査では、平均点の高い三神や佐城と比べて、唐松地区は家庭学習をする児童生徒が少ないという結果が出るなど課題も見えている。「授業で『自ら学ぶ力』をつけることが、家庭学習の習慣につながる」と市教委。学校全体の意識改革をどれだけ進められるかが、授業改善の鍵を握っているようだ。 ■アクティブ・ラーニング(AL) 教師主導による講義型の授業とは異なり、最初に学習の目標が示され、与えられた課題を各自で考え、グループ別やクラス全体で意見を出し合うことで思考力を高める学習法。欧米の教育スタイルで、国内でも導入する大学が増えている。2018~19年度改定の次期学習指導要領に盛り込まれる。文科省はAL導入にあわせ、センター試験に代わり導入する「大学入学希望者学力評価テスト」には記述式問題を盛り込むことを検討している。 <道徳> *3-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11877223.html (朝日新聞 2015年7月24日) 「考える道徳」を重視 教科書検定基準案 文科省 これまでの道徳は「教科外の活動」という位置づけで、国の検定を経た教科書はなく、副読本を読むことが中心だった。格上げで検定のルールが必要になり、3月に改訂された新学習指導要領に沿う形で文科省が検討していた。基準案では、教科書全体を通じて、子どもが表現力を高めるために話し合ったり書いたりする「言語活動」や、「体験学習」などを教員が採り入れやすくする工夫を求めた。一方的な価値観の押しつけでなく、子どもが自分で考える授業になるよう、教材の面から後押しする狙いがある。教科書に掲載する物語などの題材は、生命の尊厳や伝記、スポーツなど幅広いテーマを扱うことにした。「礼儀」「公正」「愛国心」など学習指導要領に決められた項目との対応を明示することも盛り込んだ。子どもの発達段階に即し特定の見方に偏らない配慮も求めた。検定基準は9月に正式に決定される。小学校向けの教科書は16年度、中学校向けは17年度に検定され、それぞれ18年度、19年度から使われる。 ■<視点>多面的見方、どう配慮 「読み物道徳」から「考え、議論する道徳」へ。文科省が教科化で打ち出した方向だ。道徳の授業が子どもの考えを縛り、特定の価値観を押しつけるものであってはならない。検定基準案でも、子どもたちが多面的に考えられるような配慮を教科書会社に求めた。それが現実の教科書でどこまで実現できるかは、なお未知数だ。「検定を通じて政権の意向が反映されるのではないか」との懸念もぬぐいきれない。改訂した道徳の指導要領は「正直、誠実」「家族愛」などのキーワードを設けた。基準案でも指導要領に沿い、「伝統と文化」や「先人の伝記」などを必ず盛り込むよう求めている。だが、物事や人物の評価は一つではない。この日も「1人の人間があるところでは英雄、あるところでは犯罪者とされ、簡単ではない」との声が出た。安倍政権は昨年、教科書検定のルールを変え、「愛国心」などを盛り込んだ教育基本法の目標に照らして重大な欠陥があると判断される場合は不合格になるとした。道徳でどう適用されるのか。注視していく必要がある。 *3-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11877128.html (朝日新聞 2015年7月24日) 話し合う道徳、出版社模索 独自教材の余地 課題解決型の学び 「想定の範囲内で、驚きはない」。23日に了承された検定基準案について、道徳の副読本を発行する出版社の担当者は言う。現在の「道徳の時間」では、「命を大切に」「決まりを守る」など大切なことを物語や偉人の言葉を交えて紹介した文部科学省の副教材「私たちの道徳」が使われている。だが、この副教材の使用に必ずしも積極的でない教員もいるという。このため「私たちの道徳」を参考にしつつ、どんな教員も使いやすい教科書にする必要がある。道徳教育に詳しい上薗恒太郎・長崎総合科学大教授(教育学)も「採択されやすいよう、どんな先生も授業ができるわかりやすい物語が多くなるだろう。その分、経験や理論に裏打ちされた独自の教材も使える余地を残すことが必要だ」と指摘する。具体的には「いじめに対応する内容が学年ごとに盛り込まれ、課題解決型の学習が目玉になるだろう。自己肯定感を高めることを目標に構成し、子どもを支える教科書にするべきだ」との考えを示した。道徳教育が専門の別の研究者は「人間としてのあり方や生き方について、じっくりと考えることのできる工夫」を望ましい教科書の条件に挙げる。「あれっと思ったり疑問を持ったりと子どもの興味・関心を引きつけることが大事」。そうした「考える道徳」を重視するのは、やはり道徳の副読本を作ってきた別の会社だ。編集幹部は「一人ひとりが考え、教室での話し合いにつながる教科書にするため、四苦八苦している」と明かす。別の会社の担当者は「単なる読み物集では足りない。本音で自分を語り、自分とは違う考えを本気で受け止めることの大事さを実感できるものでなくてはならない」と気を引き締める。時間の制約は、各社共通の悩みだ。ある編集者は「教科書づくりは少なくとも1年半前から準備するが、今回は検定申請までに1年もない。急ピッチで作業を進めている」という。 ■意識改革が必要 貝塚茂樹・武蔵野大教授(日本教育史)の話 検定基準からは、子どもに多面的に考えさせる教科書をつくりなさいというメッセージを感じる。これまでのように登場人物の心情理解に偏った指導ではなく、子どもが話し合ったり考えを書いたりする授業ができる教材でなければならない。取り上げる読み物も死刑制度や脳死など、教員も迷うようなテーマ設定が必要だろう。教科書会社にも、これまでのスタイルを変える意識改革が求められている。 *3-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11877130.html (朝日新聞 2015年7月24日) ロ首相、北方領土訪問意向 「島に軍事インフラ整備」 実際に北方領土を訪問すれば、大統領時代の2010年、首相時代の12年に続いて3回目。日本政府は強く反発することとなり、安倍晋三首相が目指すプーチン氏の年内訪日も困難になりそうだ。タス通信によると、この日の閣議では、2016~2025年のクリル諸島(北方領土と千島列島のロシア側呼称)発展計画を基本的に承認。国家予算から700億ルーブル(約1540億円)を割り当てる方針だ。メドベージェフ氏は「あそこに行ったことがない者は行ってみるべきだ。いずれにしても、私は行くことを計画している。みなさんも招待する」と述べた。その上で「我々は軍事的なインフラ整備も進めている」と述べた。 *3-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150720&ng=DGKKZO89514130Q5A720C1PE8000 (日経新聞社説 2015.7.20) 1700兆円を経済の再生に生かそう 日本人のお金に対する保守的な姿勢は相変わらずのようだ。日銀の資金循環統計によれば、2015年3月末の家計の金融資産は初めて1700兆円を超えたが、安全資産の代表である現金と預金の比率が52%と過半だった。家計の金融資産は個人が老後に備えて蓄えたものという面が大きい。慎重に使わなければならないのはもちろんだ。しかし、資金に多少なりとも余裕があるなら、元本が減るリスクがあるかわりに高い収益を見込める投資に回すことは、有力な選択肢のはずだ。 ●市場の正しい知識を それはめぐりめぐって日本経済を活性化させる効果も持つ。個人が積極的に資産運用に取り組むための環境整備を急ぐべきだ。個人金融資産の6割強は60歳以上に偏在している。一般にこの世代は、教育費や住宅ローンの負担が軽くなる一方、退職金を受け取るため、金融資産の蓄積が進む。高額品を中心とする消費の主役として注目されるだけでなく、リスクマネーの出し手としての役割を期待する向きが多い。現在の60歳以上の人は投資の初心者が多い。まずは投資や資本市場に関して正しい知識を得るための学びの機会が必要だ。東京証券取引所は全国の主要都市に専門家を派遣し、投資のルールや市場の仕組みを教えるセミナーを、12年度から実施している。14年度は41回開催し5500人弱が参加した。投資経験の浅い個人にとって、こうした場でリスクとリターンの関係などを理解することは大切な経験だ。東証だけでなく、証券会社の自主規制団体である日本証券業協会なども含め、多くの市場関係者が個人投資家の裾野を広げる努力を続けてほしい。投資の学習と並んで重要なのは、個人の資金が市場に流れる仕組みを整えることだ。一定金額以内の個人の株式投資について、売却益や配当に税金を課さない少額投資非課税制度(NISA)を、有効に使いたい。金融庁によれば、同制度の導入から1年たった14年末の口座数は825万口座に達した。50歳以下で投資経験が乏しい人の開設が増える傾向にあるという。16年からは親や祖父母が子や孫の代理として投資する場合に非課税となる、ジュニアNISAが創設される。高齢世代から若い世代への金融資産の移転を促す狙いがある。金融機関が長期の視点で資産形成の助言などに力を入れることが普及のカギだろう。個人の資産運用の手段として古くからある金融商品には、投資信託がある。NISAの枠内で投信を持つ個人も増えた。既存の金融機関や運用会社に頼ることなく、自力で有望な企業や事業を見つけ、資金を投じたいと考える人もいるだろう。そうした需要に応えるうえで、インターネットの活用は有効な手段だ。企業がウェブ上で事業アイデアを公開し、個人から小口出資を募るクラウドファンディングが、5月に解禁された。 ●個人資金を引きつけよ 同制度を利用するのは知名度の低いベンチャー企業が多い。監督当局が不正に目を光らせるのは当然だが、ウェブを運営するクラウドファンディング事業者が出資を募る企業に対し詳しい経営情報の開示を促すといった、自主的な取り組みも欠かせない。モノの値段が下がり続けるデフレのもとでは、現金や元本保証の預金を多く持つことが財産の目減り防止につながった。日本経済がデフレからの脱却を果たし、再生の道筋がはっきりとしたものになれば、個人が自己責任に基づいて株式などに資金を投じる動きも強まるだろう。企業にとって個人投資家は、投機的なファンドなどと違って経営をじっくりと見てくれる資金の出し手となりうる。これまでにも増して、企業が個人を引きつけるための努力が必要となる。例えばオリックスは昨年から、1カ月に2~3回の頻度で個人向けの会社説明会を開いている。個人マネーを成長の原資とした企業が、雇用創出やイノベーションを通じて成長の富を社会や個人に還元していく。そんな経済活性化の道筋を、さらに太く、確かなものとしたい。 <ICTを使った教育> *4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/205623 (佐賀新聞 2015年7月8日) 佐賀県ICT教育改善検討委 学校現場の意見集約 タブレット端末や電子黒板など佐賀県が推進しているICT(情報通信技術)教育について、県教委は7日、外部メンバーでつくる改善検討委員会の第3回会合を開いた。各委員がそれぞれの立場で意見を述べ、「知事も会の意見を参考にすると発言している。われわれは日和(ひよ)ることなく、思い通りに意見を出していきたい」と強調した。委員会は小中高の校長会や教職員組合の代表、PTA役員、学識者ら15人で構成する。山口知事は議会や会見で「現場の先生の意見を反映した形で検証してほしい」と発言していた。この日は、鳥栖工業高の籾井宏文教諭が「タブレット端末を配って終わり、ではなく、どう使えばいいのか、どういう成果を求めるのかを学校現場に示してほしい」と述べた。端末代の5万円の負担が家庭に重くのしかかっている現状や、基本ソフト(OS)としてウインドウズが適当かどうかといった機器の使い勝手についても疑問を呈した。事業責任者の福田孝義副教育長は「生徒負担をなくすために端末を学校の備品にすれば、自宅に持ち帰って学習効果を高めることができなくなる」と答えた。委員からは「持ち帰ることで得られる学習効果についての検証データを示すべきでは」「端末を購入できないのは教育の問題ではなく福祉の問題だ」などの意見が出た。検討委は過去2回、県教委からの事業説明や有識者の話を聞くことがメーンだった。次回は14日に開き、それまでの議論を山口知事に報告する。 *4-2:http://www.saga-s.co.jp/column/ictedu/23902/195013 (佐賀新聞 2015年6月8日) ICT最前線 学びをデザインするvol.001 佐賀西 ■「学びの道具」に試行錯誤 佐賀県内の公立高校でICT(情報通信技術)を活用した教育がスタートして1年がたった。教室では先生が電子黒板を使って授業を進め、生徒は机の上で開いたタブレット型パソコンに意見などを書き込む。自ら考え、学ぶかたちへと変容していく授業風景-。試行錯誤を重ねながら「学びの道具」としてのICTで、新しい教育をデザインしようと取り組む現場の最前線を月1回、報告する。第1回は、佐賀西高1年7組で世界史の授業を取材した。 ■先生、時間効率の向上 生徒、多様な意見を共有 授業は、中国・東アジア史。中国・漢時代から2千年間続いた体制を基本とした東アジアの国際体制は一体何が良かったのかを学び、考える授業だ。まずは平山智浩先生(47)が、電子黒板(70インチ、フルハイビジョン)に「中国の王朝交代を表した年表」を表示。電子黒板の画面を手で触ってスクロールすると、殷(いん)から後漢、後漢から唐、唐から清までの3つのスライドが示された。次に、授業で配ったプリントと同じ「唐と近隣諸国の地図」を表示。唐の部分に色を塗り、西アジアまで及んだ唐の領域を色分けした。さらに、明時代に南京からインドを経由しアフリカまで航海した「南海遠征航路地図」は、航路をアニメーションで表示。生徒は電子黒板を見ながら、プリントに要点を書き込んだ。授業の後半は、生徒個人の学習用のタブレット型パソコン(PC)を用いて意見を交換した。生徒は学習用PCを起動させ、教師と共有の「教材フォルダ」から当日の学習シートをローカルに保存し、自分の意見を記入した。その間、平山先生は教師用PCで各生徒のパソコンでの書き込み作業を確認できる「机間巡視機能」を使って学習シートをリアルタイムで確認。教室を動き回らなくても、生徒の意見を確認することや支援を必要としている生徒の把握ができるようになり、指導の効率向上と意見収集の時間短縮に効果が上がっているという。机間巡視機能には、生徒が書き込んだ学習シートを電子黒板に順次投影する機能もある。その際は無記名で表示でき、生徒は自分の意見を自由に書くことができるように配慮されてもいる。さらに、ほかのクラスで出された意見も電子黒板で紹介され、多様な考え方を共有できるようにも工夫が施されていた。生徒はこうした意見も参考に、自らの意見を加筆・訂正。中には、自分の意見と気づかなかった意見を区別するために、色を変えて書き込んでいる生徒もいた。最後に、生徒が事前にパワーポイントを使ってまとめていたレポートを電子黒板で紹介。アニメーションや矢印、吹き出しを使うなど随所に工夫がちりばめられ、生徒にとってもいい刺激になっているようだった。 *4-3:http://www.saga-s.co.jp/column/ictedu/23902/202685 (佐賀新聞 2015年6月30日) ICT最前線 学びをデザインするvol.002 致遠館 「お気に入り」をテーマに、PCを使って携帯型音楽プレーヤーすごさを英語でスピーチする生徒。先生と他の生徒も説明に聞き入った=佐賀市の致遠館高学 ■「お気に入り」英語とPCでプレゼン 佐賀県内の公立高校で行われているICT(情報通信技術)を活用した授業。電子黒板や1人1台のタブレット型学習用パソコン(PC)を使い、新たな教育のかたちをデザインする取り組みを追うシリーズの第2回は、佐賀市の致遠館高校1年2組で英語の授業を取材した。 ■3時限目「英語」 「自分のお気に入りの物」をテーマに、生徒1人ひとりが英語でスピーチする。溝口健一郎先生(37)は終始、英語で授業を進める。 ◇ ◇ 「Look at this(これを見てください)」。机を並び替えて5~6人の小グループをつくった教室の一角。生徒たちは1人ずつ順番に英語で「好きな物」をスピーチしていく。事前に準備した手書きのプリントの英語を読み上げながら、プレゼンテーションソフトの「パワーポイント」を使い、手元の学習用パソコン(PC)で資料や写真を見せながら発表した。あるグループの生徒が指し示した学習用PCの画面には、漫画本を全巻きれいに並べた写真が現れた。生徒は英語でスピーチを続けながら、画面をスライドする。すると、スピーチ内容に沿った写真などが次々に現れる。発表もいよいよクライマックスに差しかかり、主人公が大けがをした時の画像が現れた、と思ったら左右に小刻みに揺れ始めた。けがを負う“衝撃”をアニメーションで表現したのだ。見ていた生徒からは「おぉっ!」とどよめきが起こった。好きな物の題材は、以前使っていた愛用のランドセルだったり、家で飼っているペットだったりとさまざまだ。パワーポイントのスライドショーやアニメーションなどの機能を使いこなして分かりやすく伝えようとする生徒もいれば、逆に写真は少し見せるだけにとどめ、お気に入りのステッカーや文房具など実物を持ち出す生徒も。表現方法は生徒の自由に任されている。聞き手側の生徒は、プリントに発表者の発音や内容、アイコンタクトを取ったかなど5項目を評価して記入。最後に感想を書いて発表者に渡す。グループ全員が発表した後、クラス全員の前で発表する代表1人を選んだ。クラス全員の前で代表者が発表した後は、生徒同士が英語で質疑応答。質問は理解できても、英語での回答となると言葉に詰まる生徒もいたが、すかさず先生が駆け寄りアドバイス。何とか英語で回答して乗り切っていた。英語でスピーチする表現活動は初めての取り組みだった。プレゼンテーションの練習も兼ねた試みで、今後も学期に1~2回は実施する予定にしている。 PS(2015年7月25日追加):*5のように、細かく検討するのが地方議会のよいところだが、機器のトラブルに対応する支援員は学校ごとに一人置かなくても、市町で業者に委託しておけばよく、そのくらいの予算は出るだろう。「ICTの導入で具体的にどの程度学力が向上するのか」と言われると、やってみなくてはわからないが、これからは、農業、観光はじめ、あらゆる産業でICTを使いこなす必要があり、できない人は置いて行かれると考えた方が良い。 *5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/204040 (佐賀新聞 2015年7月3日) ICT教育で市町、「支援員、予算確保を」、県ICT利活用教育推進協 佐賀県と各市町が連携してICT(情報通信技術)教育を進める県ICT利活用教育推進協議会が2日、県庁であった。市町の教育長や担当者が現状報告や意見交換を行い、複数の出席者が電子黒板などの機器トラブルに対応する支援員や予算の確保が難しい現状を訴えた。5月1日時点のまとめでは、1学級当たりの電子黒板整備率は、12市町で100%に達していない。ただ県教委によると、本年度中に全市町で達成するという。意見交換では「支援員の確保が厳しい」(鹿島市)、「支援員を1人確保しているが、突発事項があり1人では厳しい」(嬉野市)などの悩みが出た。基山町や上峰町からは予算確保が課題で「ICTの導入で具体的にどの程度学力が向上するのかを議員から問われる」との声も上がった。県が県立学校を対象に実施する支援体制と連動したサポートを求める声も出たが、県教委の福田孝義副教育長は「県立学校を抱え手いっぱい。まずは市町でできる範囲で行ってほしい。ただ、市町が困っていることに関しては一緒に解決策を探っていきたい」と話した。 PS(2015年7月25日追加):企業誘致したり、交流人口を増やしたりするためには交通の便も重要で、その流れの中で、長崎(日本が鎖国していた時代にオランダと貿易していた街)を終点とする九州新幹線西九州ルートのフル規格化の必要性は誰もが認めるところだ。私は、全線を高架化して一階部分を利用すれば、鉄道以外の収入も見込まれるため、建設によってむしろ利益を出すことも可能だと考える。 *6:http://qbiz.jp/article/67490/1/ (西日本新聞 2015年7月25日) 新幹線フル規格化、財政負担見直しを 武雄市が佐賀県に要望 佐賀県の武雄市新幹線活用プロジェクト(会長・小松政市長)は24日、九州新幹線西九州ルートのフル規格化と沿線自治体の財政負担見直しを求める要望書を、県の副島良彦副知事に提出した。副島副知事は「地元の関心の高さをあらためて認識した」と述べるにとどめた。要望書は、現計画の在来線を使ったフリーゲージトレイン(軌間可変電車)では時短効果が小さく、試験運行もトラブルで昨年11月から休止していると指摘。フル規格化で全線を高架化し、安全性も確保するべきだと要望。国と自治体が折半する建設費も国の負担を増やすよう求めている。小松市長は「佐賀の発展にはフル規格化が不可欠。他の沿線自治体とも協力していきたい」と話している。 PS(2015.7.26追加):*7のように、人文社会系の見直しを求める文部科学省の通達があり、京都大学がこれに否定的であることは、これまでの京都大学の実績から見て納得できる。しかし、教育も、上のように文系出身の人が適している科目ばかりではなく、大学で一般教養さえ身に着ければ役に立つという時代でもない。そのため、大学が社会のニーズにあった知識や技術を習得する場所として機能することは重要であり、多くの生徒はそういう大学を選びたいのではないだろうか? *7:http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20150726000015 (京都新聞 2015.7.26) 「人文系見直し」広がる波紋 文科省通達に国立大から異論印刷用画面を開く 文学部の校舎が立ち並ぶ京都大吉田キャンパス。人文社会系の見直しを求める文部科学省の通達が波紋を広げている(京都市左京区) 国立大学に教員養成系や人文社会系の学部・大学院の組織見直しを求めた文部科学省の通達が、波紋を広げている。京都や滋賀では、京都大の山極寿一総長が人文社会系の廃止や縮小に否定的な考えを表明し、滋賀大の佐和隆光学長も国の方針に批判的な立場を取る。一方、地方の国立大学では既に、学部の再編や新設に乗り出す動きがある。 ■学長ら批判 「特に教員養成系や人文社会科学系の学部・大学院については、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めること」。6月8日、2016年度から始まる国立大学の第3期中期目標を作る際の留意点を伝える通達の中で、文科省は各大学にこう求めた。教員養成系を挙げたのは、18歳人口の減少に伴う教員需要の縮小を見越した対応といえる。一方、人文社会系が標的になった背景には経済界の意向が強く働いたとみられている。企業の競争力強化には、理系や実践的な知識を身に付けた人材が必要という考え方だ。通達には国立大学の学長から強い異論が出ている。京大の山極総長は6月17日の記者との懇談で「大学は今すぐ役立つ人材でなく、未来に役立つ人材を育てるのが使命。人文社会系は教養として重要だ」と力説。多様な知識を身に付けた学生を送り出すためにも、人文社会系は不可欠とする持論を展開した。滋賀大の佐和学長は「政府の産業競争力会議に入っている財界人や学者は、人文社会系の教育が産業振興に貢献していないと考えている」と指摘する。世界の大学ランキングで上位に入る英米の大学で人文社会系の教育研究が活発なことを挙げ、「欧州では人文社会系の学問は存在感がある。批判精神のある人間を育てるためだ。国が大学のランキングを上げたいなら、人文社会系にこそ力を入れるべきだ」と訴える。 ■交付金への影響懸念 文科省はこれまでも、国立大学に教育研究の特色や社会的役割を見直すよう求めてきた。その流れを受け、地方の大学では、教員養成系や人文社会系の定員を減らし、国際教育や文理融合などの新学部を開設する構想が相次いでいる。福井大は2016年度に「国際地域学部」の開設を予定。既存の教育地域科学部の1課程を廃止して、60人分の定員に回す。宮崎大も教育文化学部の定員をほぼ半分に減らし、定員90人の「地域資源創成学部」の設置を計画する。滋賀大も例外ではない。大規模データの解析にたけた学生を育成する文理融合系の「データサイエンス学部」の開設を17年度に目指している。100人の定員は経済、教育の両学部からそれぞれ90人と10人を削減して充てる。背景には国立大学の懐事情がある。収益の4割近くは国が支出する大学運営費交付金。しかも国は今後、機能強化や組織改革の取り組み次第で配分額に差をつける方針だ。佐和学長は「何もせずに交付金を削られるのは耐え難い。時代を先取りした新学部開設で前向きに対応する」と話す。一方、京大は今のところ、学部や大学院の再編は打ち出していない。教育担当の北野正雄理事は「人文社会系だけを取り出して議論するものではないというのが学内の意見だ。学内全体で教員を柔軟に動かせる仕組みを取り入れ、新たな教育や学問分野をつくる」と説明する。 PS(2015年7月28日追加):*8-1に、「生徒は中学1年からいじめを受けていたとみられ、2年生になってもいじめに関して担任に相談していた」「生徒と担任間の『生活記録ノート』に『なぐられたり、けられたり、首しめられたり』と書かれている」「最近の欄で『ボクがいつ消えるかはわかりません』」などの自殺をほのめかす記載があり、いじめを受けていた生徒は担任に相談していたにもかかわらず、担任は生徒同士のトラブルと捉えて対応しなかったということだ。これでは、①いじめを行っている生徒への教育にならない ②周囲で黙って見ていた生徒たちの教育にもならない ③いじめを受けている生徒の人権や生命を護ることができない のだが、このようにうやむやにして放置することはよく行われているのではないだろうか?これでは、子どもを安心して学校に預けられず、学校での道徳教育も不十分だ。 そして、そのように頼りない教育をしていれば、保護者から苦情が出るのは当然であり、*8-2の「教諭の7割以上が、保護者からの苦情対応に負担を感じている」という結果は真摯ではない。自信を持てる教育をしていれば、保護者から苦情があっても教育方針を説明して納得させることができるだろうし、そもそもクレームは、保護者が求める先生とのコミュニケーションであり、問題解決や改善の源である。また、「研修リポートの作成が負担」とした7割以上の教諭は、生徒に予習・復習を薦めたり宿題を出したりする資格はないだろう。何故なら、研修リポートの作成は、教諭自身の勉強に関する結果報告だからである。さらに、「国や教育委員会の調査対応」が9割近くで最も負担感が高かったそうだが、調査もせずに政策を決めれば机上の空論になるため、教諭であれば、必要十分な調査を行って自分たちで改善案を出せるくらいでなければ、生徒に指導することはできない筈だ。 なお、「教諭の1日平均在校時間を調べると、小学校は11時間35分、中学校で12時間6分」だそうだが、学校の存在目的は、大人の楽な雇用を増やすことではなく、生徒に質の良い教育を行うことであるため、上のようなことを忙しさのせいにして省略することは許されない。むしろ、他の人ができることで教員の時間をとらないよう事務職を配置したり、余分な教諭を配置して新人の先生にはまず採点・ICT・雑用をやってもらうなど、他の良い解決方法を考えるべきだ。 *8-2より いじめについて 小中一貫校について *8-1:http://mainichi.jp/select/news/20150707k0000e040199000c.html (毎日新聞 2015年7月7日) 岩手・中2死亡:いじめ自殺か 担任への提出ノートに記述 岩手10+件県矢巾町で5日、同町の中学2年の男子生徒(13)が電車にひかれ死亡する事故があり、生徒が担任に提出していたノートに他の生徒からのいじめや自殺をほのめかす記述をしていたことが7日、分かった。同町教育委員会は、いじめによる自殺があったとみて調査を始めた。県警紫波署などによると、生徒は5日午後7時半ごろ、同町のJR東北線矢幅駅の線路上で、盛岡発一ノ関行き上り普通電車(4両編成)にひかれ、間もなく死亡した。生徒は線路に飛び込んだといい、自殺とみられる。町教委によると、生徒は中学1年からいじめを受けていたとみられ、2年生になってもいじめに関して担任に相談していたという。生徒と担任間の「生活記録ノート」には「なぐられたり、けられたり、首しめられたり」と書かれ、最近の欄で「ボクがいつ消えるかはわかりません」「ただ市(死)ぬ場所はきまってるんですけどね」などと、自殺をほのめかす記載があった。生徒の死亡を受け、学校は7日に全生徒を対象にアンケートを実施。夜に保護者会を開く。 *8-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11884643.html (朝日新聞 2015年7月28日) 保護者の苦情対応や研修報告書、先生の7割「負担」 文科省、公立小中調査 公立小中学校の教職員は、どのような仕事に負担を感じているのか。文部科学省が初めて調べ、27日に発表した。教諭の7割以上が「保護者からの苦情対応」や「研修リポートの作成」をあげた。いずれも授業や生徒指導とは別の仕事だった。国際調査で、日本の中学教員の勤務時間が参加国で最長だったことを受けて実施した。全国の公立小中451校の11職種、計9848人を対象に、昨年11月時点の状況を尋ねた。教諭の1日の平均在校時間を調べると、小学校は11時間35分、中学校で12時間6分。その上で、業務を71に分けて負担に思うかを尋ねた。教諭のおおむね7割以上が従事する業務のうち、「負担」「どちらかと言えば負担」の合計が高かったのは「保護者や地域からの要望、苦情対応」など。負担感だけで見ると「国や教育委員会の調査対応」が9割近くで最も高かった。一方、昨年の国際調査で週7・7時間と参加国平均の3倍を上回った部活指導の負担感は、中学教諭でも48・5%と5割を切った。「負担だがやりがいがある」という答えが多かったという。授業や子どもと接する仕事は比較的負担感が低い項目が目立った。 PS(2015年7月28日追加):定住人口を増やすには雇用を増やすのが第一だが、ほかにも教育・保育をはじめ福祉を充実して家族の定住を誘致する方法がある。後者は、関東圏では既に著しい結果の出ている方法で、保育の待ち行列をなくすと移住が進み、再び待ち行列ができる状態だ。 *9:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/212662 (佐賀新聞 2015年7月28日) 5年で5千人を新規雇用 佐賀県版「総合戦略」 佐賀県は27日、県版の地方創生の総合戦略案をまとめた。若者の県外流出を抑えるため、向こう5年間で5000人の新規雇用を創出するなど4つの基本目標を掲げている。パブリックコメントで8月21日まで意見を募り、9月定例県議会前までに県まち・ひと・しごと創生本部で決定する。関連法や県内人口の将来展望「県人口ビジョン」に基づき、具体的な施策と数値目標を定めた。既に策定した県の新総合計画が知事の任期に当たる4年間を目標にしているのに対し、2019年までの5年間の目標を設定している。基本目標に「安定した雇用を創出する」「本県への新しいひとの流れをつくる」「若い世代に結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「時代に合った地域をつくる」の4本柱を据えた。5000人の新規雇用は、企業誘致による正社員雇用や就農などで目指す。また県外からの移住を促進し、県内大学への進学率を高めるなどして、人口の社会減(転出超過)の減少幅を19年時点で年間1500人に抑える。交流人口の増加につなげるため、5年間で総数1500万人の宿泊観光客数を狙う。自発的な地域づくりに対して学識者らを派遣する取り組みは年々拡大し、60地域を目標にする。合計特殊出生率の目標は1・77と明記したが、さが創生推進課は「強制できるものではなく、子どもを産み育てたいと思う環境づくりを進める中で、結果として年少人口の減少を抑えることにつながれば」と説明している。 PS(2015年7月30日追加):ドクターヘリは、衆議院議員時代に私の提案で始まり、現在は佐賀県はじめ全国で運用されるようになった。今後は、救急でなくても離島や山間部ではヘリを使ってドクターが移動してもよいと思うが、ものすごく高価なヘリであるにもかかわらず、*10のように、心肺蘇生中の医師の腰にドアノブが引っかかってドアが開くようでは、医師も患者も安心して乗れない(心肺停止中の患者も驚いて飛び起きそうだ)。そのため、自動車並みにヘリの安全性を高めて騒音や振動をなくし、ヘリの価格を安くすれば、このシステムは世界(特に過疎地や道路事情の悪い国)でもヒットすると考える。 *10:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10102/213102 (佐賀新聞 2015年7月29日) ドクターヘリ飛行中ドア開く 佐大病院、部品落下か 佐賀大学は28日、医学部附属病院が運航するドクターヘリ内部の部品が飛行中、ドアが開いた際に落下した恐れがあると発表した。乗員や搬送中の患者らにけがはなく、落下物による事故などの被害報告は入っていないという。落下したのはポリエステル製の日よけ部品で、縦38センチ、横51センチ、重さ55グラム。大学によると、27日午後0時37分ごろ、患者を搬送するため多久市から小城市にかけて上空約300メートルを飛行していたところ、心肺蘇生中の男性医師の腰にドアノブが引っかかり、ドアが開いた。運航後の点検で日よけの部品がなくなっていることが分かった。佐賀大学は「県民や関係機関にご迷惑と心配をおかけして深くおわび申し上げます」とコメントした。 PS(2015年8月19日追加):*11のように、積極的に新聞を使って「読む」「書く」「話す」などの能力を高めるのはよいと思うが、高学年では「分析する」能力も高めた方がよいと考える。例えば、「太平洋戦争中に、新聞はどう報道したか?」「安保締結時は・・」「高度成長期は・・」「バブルについては・・」「原発事故は・・」「沖縄基地問題は・・」等、既に事実と比較して答えのあるものから、まだ答えの出ていないものまで、各社の論調を比較して真実を探ることで、人によって書かれた歴史や言葉を鵜呑みにせず、事実に基づいて自分の考えをまとめる習慣を身につけることが重要である。また、文字を読むのがやっとという低学年向けには、新聞社が文字は平易で内容の充実した「子ども新聞」をネット上に展開すればよく、池上彰さんの解説のように、内容が充実していてわかりやすければ大人でも読むだろう。 *11:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/220175 (佐賀新聞 2015年8月19日) 学校教育に新聞活用 佐賀市でセミナー 教師ら実践例学ぶ ◆記事切り抜きレイアウト ゲーム感覚で片仮名探し 新聞を使った学校教育の実践例を学ぶ「新聞活用セミナー」(佐賀新聞社、県教委主催)が18日、佐賀市のアバンセであった。朝の読書の時間に新聞を読んだり、気に入った記事をテーマに人前でスピーチするなど、子どもの「読む」「書く」「話す」能力を高める工夫を紹介した。山内中(武雄市)の江口成子教諭は、グループで話し合い、興味を持った記事を切り抜いて自分たちでレイアウトを考えたり、タイトルやコメントを付ける「新聞コラージュ」の実践を発表。「生徒が予想以上に主体的に取り組み、『またやりたい』という声が上がった」と報告した。南波多小(伊万里市)の野中佐栄子教諭は、低学年で片仮名を習った直後に、新聞記事の中からいくつ片仮名を見つけられるかをゲーム感覚で競うなど、新聞に親しむ手がかりになる取り組みを紹介。「子どもが興味を持つ記事はさまざまで教師自身の発見にもつながる」と話した。佐賀新聞社の井手研一販売局長は「新聞は次期学習指導要領の目玉となるアクティブラーニング(能動的学習)に最適」として、「有明抄」の書き写しノートや記者・デスクの出前講座などの活用を呼び掛けた。セミナーには教職員約80人が参加した。
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