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2016.1.26 辺野古工事強行と宜野湾市長選挙で示された宜野湾市民の民意 ← ご都合主義の曲解は許されない (2016年1月27、29、31日、2月5日に追加あり)
    
   *1-1より                 <辺野古の工事計画と工事>

     
     <東シナ海周辺で増強を予定されている自衛隊>           石垣島  

(1)宜野湾市長選での佐喜真氏の再選について
 宜野湾市長選での佐喜真氏の再選について、沖縄タイムスは、*1-1のように、宜野湾市長選挙における出口調査により、「宜野湾市の民意は、普天間飛行場の速やかな撤去であって、辺野古を造成して新基地を作って移設することではない」と分析している。

 また、*1-2のように、宜野湾市長選挙を前に琉球新報社が2016年1月に実施した世論調査では、「県外移設」「国外移設」「無条件の閉鎖撤去」が計74.4%に達し、国が進める「辺野古移設」を支持する意見は、12.9%しかないそうだ。この結果からも、宜野湾市長選での佐喜真氏の再選により、辺野古への移設が賛同を得たという曲解は許されない。
 
 沖縄では、*1-3のように、一昨年の名護市長選以来、知事選、衆院選と普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を訴えた候補が勝ってきたが、今回、自民党・公明党の応援で当選した佐喜真市長は、宜野湾市長選挙で「普天間の一日も早い閉鎖・撤去」は主張したが、辺野古移設への賛否は明言しておらず、移設問題を争点化させない戦略をとっていたため、危険な普天間飛行場の閉鎖と撤去のみが宜野湾市民の民意と受け止めるべきである。

 しかし、*1-4のように、日経新聞は社説で、「宜野湾市長選で与党が推した現職が勝利したため、安倍政権は同基地の県内移設に向けた作業を加速する方針だ」とし、「普天間移設は2013年に沖縄県の当時の知事が工事に必要な埋め立てを承認した」ということも振りかざしているが、知事が承認できることは知事が撤回できるため、これを争点とした直後の知事選で選ばれた翁長知事の承認取り消しは有効だと考えるのが筋である。そのため、このように歪曲したご都合主義の国の主張を最高裁が認めるようなら、日本国憲法で定められた司法の独立性を信じる人はいなくなる。

(2)政府のこれまでの対応
 沖縄県が県を挙げて反対している中で、*2-1のように、防衛省は2015年10月29日に、埋め立てに向けた本体工事に着手し、周辺海域では移設に抗議する人たちのカヌーや警戒に当たる海上保安庁の船などが確認され、シュワブのゲート前でも抗議する多くの県民と警察官がもみ合いになった。

 そして、*2-2のように、遅ればせながら一部全国紙も、「埋め立て強行は許されぬ」「民意に耳を傾けよ」と報道している。私も、米国が、在沖海兵隊のグアム移転や、ハワイ、豪州などへの巡回配備で対応を進めており、日本は人権を大切にする民主主義国家である以上、「辺野古移設が唯一の解決策」などという変な固定観念は排除して、日米地位協定と同時に解決できる「第三の道」を考えるべきである。

 なお、*2-3のように、辺野古の埋め立ては生態系保護上も欠点が多いため、名護市辺野古の新基地建設など公有水面の埋め立てに使う県外からの土砂や石材の搬入を規制する条例が沖縄県によって制定され、2015年11月1日から施行されている。辺野古の新基地建設で、防衛局は県内外からダンプカー約250万台分に当たる約1644万立方メートルの土砂(岩ズリ)を買い取り、辺野古沿岸部を埋め立てる計画だったそうだが、生態系を含む環境に対して無頓着にも程がある。

(3)米国について
 翁長雄志知事が名護市辺野古の新基地建設に伴う沿岸部の埋め立て承認を取り消したことを受けて、*3-2のように、沖縄タイムスと琉球放送(RBC)が、2015年10月16~18日の3日間、電話による緊急世論調査を合同で実施したところ、知事の取り消し判断を「支持する」と答えた人が79.3%に上り、県民の幅広い層が理解を示しているという結果が出たそうだ。

 そのような中、*3-1のように、菅官房長官は2015年10月29日、沖縄に駐留する米海兵隊の一部の移転先とする米領グアムを訪問し、グアム選出の米下院議員と会談して埋め立ての本体工事に着手したことを伝え、普天間移設を推進する安倍政権の姿勢を米側にアピールしたそうだが、国内で大きく意見が分かれ、地元では大多数が反対していることについて、先に米国と約束して、「米国と約束したから」という理由をつけて国内で強制することは許されない。

(4)代替案
 *4のように、宮古島に陸上自衛隊のミサイル基地候補地があるそうだ。そのほか、尖閣諸島の警備を目的として、上の図のように、奄美大島、石垣島、与那国島等にも自衛隊のミサイル基地や沿岸監視部隊ができるそうで、辺野古に新基地を造った上、これらの離島にも自衛隊を置くのは、悪乗りのやりすぎだ。辺野古の代替案は、人口が少なく、既に滑走路があってあまり工事がいらず、環境に悪影響を与えない離島を一つ探すべきで、環境という沖縄の財産を壊す予算の無駄遣いは許されない。なお、その人口の少ない離島住民のうち望む人には、近くの島や沖縄本島への移住を保障すればよいと考える。

 また、尖閣諸島周辺に接近する中国軍にどう対処するかについて、安倍政権は安保法制で(ただし、この安保法制や自民党憲法改正草案を作ったのは安倍首相ではないため、首相が別の人であれば異なる政策になっていたとは思わない)、武装漁民による離島占拠など武力攻撃には至らないが警察力では対応できない「グレーゾーン事態」に対応する法整備は見送ったが、それなら何の為の米軍基地や自衛隊基地なのかわからない。このように、その場限りのちぐはぐな対応で国益を損ねるのは、太平洋戦争勃発時からあまり変わっていないようなのだ。

*1-1:http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=151185&f=ap
(沖縄タイムス 2016年1月25日) 出口調査で浮き彫りになった宜野湾市の民意
■辺野古移設「反対」57% 「賛成」34%
 24日に投開票された宜野湾市長選で沖縄タイムス社と朝日新聞社、琉球朝日放送(QAB)が実施した同日の出口調査で「投票する人を選ぶとき、何を一番重視したか」を聞いたところ、「普天間飛行場の移設問題」が48%で最多となった。米軍普天間飛行場の返還をめぐる問題が最大の関心事だったことが裏付けられた。次いで「候補者の経歴や実績」「経済や福祉政策」がそれぞれ19%となった。普天間問題を重視した人のうち、佐喜真淳氏に投票したのは30%、志村恵一郎氏は70%だった。候補者の経歴・実績と答えた人では佐喜真氏90%、志村氏10%。経済・福祉政策は佐喜真氏71%、志村氏29%となった。普天間飛行場の名護市辺野古への移設については、「賛成」と答えたのが34%、「反対」と答えたのが57%、「無回答」は10%だった。辺野古移設に賛成と答えた人のうち、佐喜真氏に投票したのは93%、志村氏は7%。辺野古移設に反対とした人は、佐喜真氏に24%、志村氏に76%。佐喜真氏は、辺野古移設に反対する人の一部の支持も得た。支持政党は自民党が29%で最も多く、民主党9%、社民党6%、共産党3%、公明党3%の順となった。無党派層と答えたのは41%だった。調査では1263人から回答を得た。
■投票率68.72% 4.82ポイント増
 宜野湾市長選の最終投票率は68・72%(同市選管発表)となり、前回選挙の63・90%を4・82ポイント上回った。米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり、安倍政権が推す佐喜真淳氏と、翁長雄志知事をはじめとする「オール沖縄」勢力が支援する志村恵一郎氏が一騎打ちで激しい選挙戦を繰り広げ、関心が高まった。投票当日の有権者数は前回より2600人多い、7万2526人(男性3万4721人、女性3万7805人)。投票者総数は5153人多い、4万9839人だった。期日前投票は前回の2・2倍の1万4256人と過去最多となった。期日前投票が当日有権者数に占める割合は10・3ポイント上昇し19・7%だった。投票者総数に占める割合は14ポイント上昇の28・6%となった。

*1-2:http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-209783.html
(琉球新報社説 2016年1月25日) 佐喜真氏再選 新基地容認ではない 国に「5年以内」閉鎖責任
 宜野湾市長選で佐喜真淳氏が再選を果たした。佐喜真氏の1期4年の実績を市民が評価し、今後の市政運営に期待した結果である。ただし佐喜真氏再選で沖縄の民意が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設容認に変わったわけではない。佐喜真氏は選挙戦で辺野古移設の賛否を明言せず、市民が容認したことにはならないからだ。重視すべきは、佐喜真氏が公約した普天間飛行場の5年以内運用停止を、市民が国に突き付けたことだ。佐喜真氏を支援した安倍政権には5年以内の期限である2019年2月までに運用停止を実現する責任がある。
●曲解は許されない
 安倍晋三首相は市長選を前に「安全保障に関わることは国全体で決めることだ。一地域の選挙で決定するものではない」と述べた。民意をないがしろにする許されない発言だが、翁長県政与党が支援した志村恵一郎氏が落選したことを捉えて、辺野古移設が支持されたとする可能性がある。曲解は許されない。厳に慎むべきだ。宜野湾市長選を前に琉球新報社などが昨年12月末に実施した世論調査で「県外移設」「国外移設」「無条件の閉鎖撤去」は計71・1%に上った。1月調査でもその割合は計74・4%に達した。国が推し進める「辺野古移設」支持は12月調査11・1%、1月調査12・9%でしかない。この結果からしても市民が普天間飛行場の閉鎖と引き換えに、辺野古新基地建設を望んでないことは明らかだ。佐喜真氏は「普天間飛行場の固定化は許さない」と訴えて当選した。選挙結果が示すことは、普天間飛行場によって市民が危険にさらされている状況を、1996年の返還合意後20年も放置する国に対する市民の強い怒りである。佐喜真氏には5年以内運用停止を実現する責任がある。だが、たなざらしにされる可能性は否定できない。中谷元・防衛相は昨年、5年以内運用停止の定義を「飛行機が飛ばないこと」と明言した。菅義偉官房長官が(1)空中給油機能(2)緊急時着陸機能(3)オスプレイの運用機能-の3要件停止だとの見解を示すと、防衛相は「幻想を与えるようなことは言うべきでない」と前言を撤回した。市民が求める運用停止は、飛行機などが飛ばないことである。佐喜真氏も「一日も早い閉鎖、返還を求める」と訴えた。安倍政権が支援したのは佐喜真氏の政策と合致したからだろう。ならば、その実現に全力を尽くすのが筋である。裏切りは許されない。
●分断策克服を
 沖縄は、基地をめぐる対立をうんざりするほど抱え込まされてきた。なぜ沖縄ばかりが市民を分断されねばならないのか。市民の一体感が損なわれれば政策効果が上がらないことは、ロバート・パットナムのソーシャルキャピタル(社会関係資本)をめぐる研究で実証済みだ。沖縄の社会を分断してきた国の罪は大きい。もう分断はたくさんだ。佐喜真氏にはその克服も求めたい。市民の一体感回復へ包容力を持って進んでもらいたい。今、子どもの貧困が可視化されつつある。宜野湾市も例外ではない。子ども全ての生活、学びを保障するのは喫緊の課題だ。親の経済格差を次世代に引き継いではならない。佐喜真氏は有効な手だてを講じてほしい。今選挙では両候補に共通する政策も目立った。学校給食費の無料化、子どもの医療費無料化などがそれだ。子どもをめぐる環境を意識しての政策だろう。これらの実現はいわば最大公約数だ。佐喜真氏は公約を早期に実現してもらいたい。「公約は破るもの」という昨今のあしき常識を、佐喜真氏には打ち破り、政治は信頼できるものだと実感できる結果を示してほしい。18歳選挙権が実現する年の最初の主要選挙の結果として、望まれるのはそのことだ。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12177493.html
(朝日新聞社説 2016年1月26日) 宜野湾市長選 「辺野古」容認と言えぬ
 沖縄では一昨年の名護市長選以来、知事選、衆院選と普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を訴えた候補が勝ってきた。今回も、移設をめざす政権と、反対する翁長知事の対立構図が持ち込まれたものの、連勝の流れは止まった。翁長知事は、選挙で示された民意を最大の盾として辺野古移設阻止を訴えてきた。それだけに、知事にとって大きな痛手となることは間違いない。とはいえ、「これで辺野古移設が容認された」と政権側がとらえるとしたら、早計である。当選した佐喜真淳市長は「普天間の一日も早い閉鎖・撤去」を主張しつつ、辺野古移設への賛否は明言せず、移設問題を争点化させない戦略をとった。朝日新聞社の出口調査では辺野古移設に賛成の有権者が34%だったのに対し、反対は57%いた。本紙の取材でも、佐喜真氏に投票した人にも「県外に移してほしい」「市民としては普天間固定化阻止、県民としては辺野古移設反対」などの声があった。佐喜真氏を推した公明党県本部幹部も「あくまで辺野古移設には反対」と言う。宜野湾市民の基地負担は重い。市の面積の4分の1を占める普天間飛行場は、市中心部にある。12年前には滑走路そばの沖縄国際大に米軍ヘリが墜落。オスプレイが24機配備され、騒音被害は絶えない。市の「基地被害110番」へ寄せられる苦情は昨年10月、月間で過去最多の100件を数えた。だからこそ普天間の閉鎖・撤去は市民共通の悲願なのだ。辺野古移設に触れず、「一日も早い閉鎖・撤去」を訴えた佐喜真氏への市民の期待を、そのまま辺野古移設支持と受け取ることはできまい。むしろ、身近で危険な普天間飛行場の閉鎖と撤去を願う、市民の意思と受け止めるべきではないか。日米両政府が返還に合意してから今年で20年。本来は生活に密着した諸課題が問われるべき市長選で、米軍基地の県内移設の是非までが問われる沖縄県民の重荷を、一日も早く取り除く責任は日米両政府にある。そのためには、政権はまず「辺野古移設か、普天間固定化か」と県民に二者択一を迫るやり方を改める必要がある。そのうえで、県外移設など早期の普天間閉鎖・撤去の方法がないか、米政府と改めて協議を始めるべきだ。

*1-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160126&ng=DGKKZO96537570W6A120C1EA1000 (日経新聞社説 2016.1.26) 国と沖縄は対話を閉ざすな
 米軍普天間基地がある沖縄県宜野湾市の市長選で与党が推した現職が勝利した。安倍政権は同基地の県内移設に向けた作業を加速する方針だ。もっとも、沖縄県は反対姿勢を崩しておらず、移設実現のハードルはなお高い。国と県は対話の扉を閉ざすことなく、問題解決に努めてもらいたい。普天間移設は2013年に沖縄県の当時の知事が工事に必要な埋め立てを承認した。14年の知事選で当選した翁長雄志氏は昨年、承認の取り消しを発表したが、国は「行政には継続性がある」として工事を続行している。日米両政府が普天間返還で合意して今年ですでに20年になる。県内に代替施設を設けることへの沖縄県民の抵抗感は理解できるが、合意を白紙に戻せば返還はさらに遠のきかねない。市街地にある普天間の危険性を一刻も早く除去するには、県内移設が現状における最も現実的な打開策である。埋め立て承認の可否は国と県の間で訴訟になっており、司法の裁きに委ねるしかない。最高裁で国の主張が認められれば、翁長知事は判決に従うべきである。ただ、先の大戦において沖縄県民が被った惨禍や現在に至る過重な米軍基地負担を考慮すると、法理論を唱えるだけでは県民世論を和らげることはできない。代替施設が完成したとしても、周辺住民の協力がなければ円満な運用は望めない。国は県との溝を埋めるため、何ができるかを改めてよく考えるべきだ。沖縄本島南部にある米軍基地の返還の促進は最重要課題である。民主主義は有権者の意向を選挙を通じて行政に反映させるのが基本ルールだが、選挙には衆参両院選もあれば、知事選や市長選もある。政策課題も1つではない。移設反対派が知事選や衆院選の沖縄の4小選挙区での勝利を根拠に「県内移設は否定された」と主張し、賛成派が今回の市長選で「流れが変わった」と反論する。そんな不毛な言い合いをしても双方の感情的な対立を深めるだけだ。

<政府のこれまでの対応>
*2-1:http://mainichi.jp/shimen/news/20151029dde001010074000c.html (毎日新聞 2015年10月29日) 在日米軍再編:辺野古埋め立て着工 沖縄と対立、政府強行 知事「強権極まれり」
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沿岸部への県内移設計画で、防衛省は29日朝、埋め立てに向けた本体工事に着手した。辺野古の海に隣接する米軍キャンプ・シュワブ内の陸上部分での仮設資材置き場の整備を始めた。今後準備が整い次第、海への土砂投入など埋め立てを開始する見通し。移設に反対する翁長雄志(おながたけし)知事をはじめとする沖縄の反対を振り切って政府が本体工事を強行。日米両政府が1996年に普天間返還で合意してから19年、移設計画は重大な局面を迎えた。沖縄防衛局によると、29日午前8時ごろ、護岸工事に必要な仮設資材置き場の整備作業などを開始。中断していた残り5地点の海底地盤のボーリング調査に向けた準備作業も再開させた。周辺海域では移設に抗議する人たちのカヌーや警戒に当たる海上保安庁の船などが確認された。シュワブのゲート前でも抗議する多くの県民らと警察官がもみ合いとなった。翁長知事は登庁時に記者団の取材に応じ、「強権極まれりという感じで大変残念だ。国に余裕がなく、浮足立っている感じがする。これからしっかりと対峙(たいじ)していきたい」と述べた。移設計画を巡っては翁長知事が13日に埋め立て承認を取り消したのに対し、防衛局は14日に行政不服審査法に基づく審査請求と取り消し処分の執行停止を石井啓一国土交通相に申し立てた。石井国交相は28日に取り消し処分の執行停止の決定を通知。防衛局は28日に県環境影響評価条例に基づいて埋め立て本体工事着手届け出書を県に提出した。防衛局はボーリング調査が終わった計19地点から埋め立て本体工事を進める方針。残り5地点の調査は来春までに完了させる。届け出書によると、工事は2020年10月31日に完了し、約160ヘクタールを埋め立てる。一方で県は13年12月に前知事が埋め立てを承認した際、本体工事着手前の事前協議を留意事項としていたことから、承認取り消しで中断した協議の再開を28日に防衛局に通知。だが、防衛局は同じ28日に「協議は終了した」との文書を県に提出し、再開に応じない姿勢を示した。承認取り消しが執行停止とされたことに対抗し、県は近く、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る。また、翁長知事による埋め立て承認取り消しに対し、政府は代執行の手続きに入ることも閣議で了解。政府が出した承認取り消し処分を撤回するよう勧告する文書が29日に県に届いた。翁長知事は「恒久的な基地を何が何でも沖縄に押しつけるという政府の最後通牒(つうちょう)だ」と批判するなど是正勧告には応じない姿勢を示しており、その場合には政府は知事に代わって承認する代執行を求めて高裁に提訴する方針。
◇政府理解求める
 世耕弘成官房副長官は29日の記者会見で、本体工事着手について、「事故の危険感や騒音などの被害をなくし、基地の整理縮小を目に見える形でしっかりと進めていきたい」と述べ、理解を求めた。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12041917.html
(朝日新聞社説 2015年10月30日) 辺野古、本体工事着手 埋め立て強行は許されぬ
 米軍普天間飛行場の移設先、名護市辺野古で政府は、埋め立ての本体工事に着手した。新基地建設に「NO」という多くの沖縄県民の声に耳を傾けようとせず、一連の手続きを強行する安倍政権の姿勢に、深刻な疑問を感じざるを得ない。沖縄県民の人権と民意がないがしろにされている。同時に、沖縄という一地域に過度の負担を押しつける、この国のあり方が問われている。
■沖縄の「NO」の理由
 政府に改めて求める。工事を速やかに中止し、県と話し合いの場をもつべきだ。いま一度、沖縄県民の心情に寄り添ってみたい。太平洋戦争末期、沖縄は県民の4人に1人が犠牲になる痛ましい地上戦を経験した。本土防衛の「捨て石」とされたのだ。その沖縄は戦後、平和主義や基本的人権を保障した日本国憲法から隔絶された。米軍統治のもと、「銃剣とブルドーザー」で土地を奪われ、強権的な支配のなかで米軍基地が広がる。念願の本土復帰から43年。今なお、国土の0・6%の沖縄に全国の73・8%もの米軍専用施設を抱えている。戦後70年たつのに、これほど他国軍の基地が集中する地域が世界のどこにあろうか。度重なる事故や犯罪、騒音などの基地被害に脅かされ続けてもいる。それが沖縄の現実である。それでも、翁長雄志知事は日米同盟の重要性を否定していない。抑止力で重要な米空軍嘉手納基地の返還も求めていない。こうした歴史をたどってきた沖縄に、さらに「新たな基地建設」を押し付けようとする。そんな政府の姿勢に「NO」の声を上げているのだ。辺野古に最新鋭の基地が造られれば、撤去は難しい。恒久的な基地になりかねない。
■民意に耳を傾けよ
 それに「NO」を告げる沖縄の民意は、昨年の名護市長選、県知事選、総選挙の四つの小選挙区で反対派が相次いで勝利したことで明らかである。政府にとって沖縄の民意は、耳を傾ける対象ではないのか。着工に向けた一連の手続きにも、強い疑問を禁じ得ない。翁長知事による埋め立て承認の取り消しに対し、沖縄防衛局は行政不服審査制度を使い、同じ政府内の国土交通相が取り消し処分の執行停止を認めた。この制度はそもそも、行政機関から不利益処分を受けた「私人」の救済が趣旨である。防衛局は「私人」なのか。政府と県の対立を、政府内の国土交通相が裁くのが妥当なのか。公正性に大きな疑問符がつく。政府は同時に、地方自治法に基づく代執行手続きにも着手し、知事の権限を奪おうとしている。その対決姿勢からは、県と接点を探ろうという意思が感じられない。埋め立て承認の留意事項として本体着工前に行うことになっている事前協議についても、政府は「協議は終わった」と繰り返し、「終わっていない」という県の主張を聞こうとしない。さらに政府は名護市の久志、辺野古、豊原の「久辺3区」に対し、県や市の頭越しに振興費を直接支出するという。辺野古移設に反対する県や市は無視すればいい、そういうことなのか。自らの意向に沿う地域だけが、安倍政権にとっての「日本」なのか。この夏に行われた1カ月の政府と県の集中協議も、結局は、県の主張を聞き置くだけに終わった。その後、政府が強硬姿勢に一変したことを見れば、やはり安保関連法を通すための時間稼ぎにすぎなかったと言わざるを得ない。
■日本が問われている
 「普天間飛行場の危険性を除去する」。政府はいつもそう繰り返す。しかし、かつて米国で在沖米海兵隊などの整理・縮小案が浮上した際、慎重姿勢を示したのは日本政府だった。96年の普天間返還の日米合意から19年。本来の目的は、沖縄の負担軽減のためだった。そのために、まず政府がなすべきは、安倍首相が仲井真弘多(ひろかず)・前知事に約束した「5年以内の運用停止」の実現に向けて全力を傾けることではないか。米国は、在沖海兵隊のグアム移転や、ハワイ、豪州などへの巡回配備で対応を進めている。その現状を見れば、「辺野古移設が唯一の解決策」という固定観念をまずリセットし、地域全体の戦略を再考するなかで、代替施設の必要性も含めて「第三の道」を模索すべきだ。ひとつの県の民意が無視され続けている。民主主義国として、この現実を見過ごすことはできない。日本は人権を重んじる国なのか。地域の将来に、自分たちの意思を反映させられる国なのか――。私たちの日本が、普遍的な価値観を大事にする国であるのかどうか。そこが問われている。

*2-3:http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=139619
(沖縄タイムス 2015年11月1日) 辺野古新基地に生態系保護で壁 埋め立て土砂規制条例が施行
 名護市辺野古の新基地建設など、公有水面の埋め立てに使う県外からの土砂や石材の搬入を規制する県条例が1日、施行された。特定外来生物の混入を確認できれば、翁長雄志知事が搬入中止を勧告できる。政府は来年秋にも辺野古沿岸部に土砂を投入する計画だが、条例施行で進ちょくに遅れの出る可能性もある。「あらゆる手段で新基地阻止」を掲げる翁長知事を側面支援する狙いで県議会与党が提案し、7月に成立した。新基地建設に歯止めをかける知事権限の一つとして期待する声がある。条例は「アルゼンチンアリ」などの特定外来生物が県外産の埋め立て資材に紛れて県内に侵入するのを防ぎ、沖縄固有の生態系を守るのが目的。辺野古新基地建設、沖縄総合事務局による那覇空港第2滑走路増設が直近の対象になる。1日から、埋め立て事業者は県外から土砂などを搬入する90日前までに、採取地ごとに特定外来生物の有無や防除策を県に届け出なければならない。県は外来生物混入の恐れがあれば現地で立ち入り調査、必要に応じて搬入中止の勧告もできる。従わない事業者名は公表されるが、勧告に強制力はない。新基地建設で、防衛局は県内外からダンプカー約250万台分に当たる約1644万立方メートルの土砂(岩ズリ)を買い取り、辺野古沿岸部を埋め立てる計画だ。この大半を県外から搬入する予定で、沖縄の生態系を破壊しかねない特定外来生物などが紛れ込む懸念が指摘されていた。防衛局の埋め立て申請書では、外来生物の混入を防ぐ具体的な対策が示されていなかった。

<米国について>
*3-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12042048.html
(朝日新聞 2015年10月30日) 辺野古着工、米を重視 約束履行の姿勢、グアムで菅長官強調
 日本政府は米政府と1996年に普天間飛行場返還に合意して以来、初めて移設先とする辺野古で埋め立ての本体工事に着手した。安倍晋三首相は2012年暮れに政権に復帰して以来、民主党政権時代に冷え込んだ対米関係の改善を重視。翌年2月の日米首脳会談で、オバマ大統領とは普天間移設を早期に進めることで一致した。今回、辺野古で埋め立ての本体工事に踏み込んだのは、米国に対して約束の履行を訴える狙いがうかがえる。菅義偉官房長官は29日、沖縄に駐留する米海兵隊の一部の移転先とする米領グアムを訪問した。工事着手について、菅氏は「前の仲井真(弘多〈ひろかず〉)知事から埋め立て承認をいただいた。行政判断はもう下っているわけだから、その継続という形で進めている」と記者団に強調した。この日は、グアム選出の米下院議員と会談して埋め立ての本体工事に着手したことを伝えるなど、普天間移設を推進する安倍政権の姿勢を米側にアピールした。一方、翁長氏は批判を強める。29日午後、県庁で記者会見を開き、「法律的に最終的な判断が示されないまま工事が強行された。激しい憤りを禁じ得ない」と非難した。また埋め立て承認取り消しの効力を国土交通相に止められたことを不服とし、国地方係争処理委員会への審査申し出を表明。地方自治体による申し出は全国3例目となる。翁長氏は「基地建設に反対する多くの県民を代弁する知事として、あらゆる手法を駆使する」と訴えた。

*3-2:http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=137794 (沖縄タイムス 2015年10月20日) 辺野古承認取り消し、支持79% タイムス・RBC世論調査
 沖縄タイムスと琉球放送(RBC)は、翁長雄志知事が名護市辺野古の新基地建設に伴う沿岸部の埋め立て承認を取り消したことを受け、16~18日の3日間、電話による緊急世論調査を合同で実施した。知事の取り消し判断を「支持する」と答えた人が79・3%に上り、県民の幅広い層が理解を示している結果が出た。知事の取り消しを「支持しない」と答えた人は16・1%。「どちらでもない」は4・5%だった。国が取り消しを無効化する対抗措置を経て移設作業を再開しようとしていることには、72・3%が「妥当ではない」と答え、国の方針に県民の反発が強い現状も浮き彫りになった。知事は昨年12月に就任以降、約10カ月が経過している。知事のこれまでの県政運営を「支持する」と答えた人は78・6%で、取り消しを支持する層とほぼ同様の割合だった。「支持しない」とした人は15・5%。国の作業再開方針を「妥当だと思う」とした人は20・8%。「どちらでもない」は6・9%だった。一方、裁判で沖縄側の主張が認められることへの期待は「期待できる」が50・1%にとどまり、「期待できない」が33・9%となった。「どちらでもない」は16・0%。調査は16~18日の3日間、県内全域の世帯を対象に、無作為に抽出した番号に電話をかけて、考えを聞いた。有効回答数は793人。有効回答率は9・9%。回答した人の地域別比率は北部11%、中部34%、南部・先島が55%。

<代替案>
*4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11842452.html (朝日新聞 2015年7月5日) (現場から考える 安全保障法制)宮古島の牧場「ここに基地が」 自衛隊増強の方針
 東京から南西に約2千キロ、沖縄本島からも約300キロ離れた宮古島(沖縄県宮古島市)。北部の海岸近くにある「大福牧場」の牛舎では、名産の黒毛牛が数十頭、草をはんでいた。この牧場周辺の大草原が陸上自衛隊のミサイル基地の候補地だ。防衛省の担当者は「海沿いの高台にあって、ミサイルを置くのに最適地だ」と話す。防衛省は、2018年度末までに宮古島に約800人の陸自ミサイル部隊などを配備する方針だ。宮古島などに配備する部隊は、警備部隊に加え、地対空ミサイル部隊、地対艦ミサイル部隊など本格的な戦闘部隊だ。沖縄の離島に、高い攻撃力を持った自衛隊の部隊が戦後初めて配備されることになる。「部隊が入ってきて訓練でも始めたら、この静かな土地はどうなってしまうのか」。牧場の従業員は不安を隠さなかった。一方、過疎化対策などで部隊配備を歓迎する声も少なくない。安倍政権は宮古島など南西諸島の自衛隊強化を加速する。那覇基地には昨年、「空飛ぶレーダー」といわれる早期警戒機の部隊を三沢から移した。F15の戦闘機部隊も新たに福岡から約20機を移し、約40機態勢に増強する。離島占拠に備え、離島奪還のための「水陸機動団」を新設する。オスプレイや水陸両用車など装備の強化も急ぐ。安倍政権が意識するのは、海洋進出を加速する中国の脅威だ。
■中、船の派遣常態化 米、主体的防衛期待
 中国は2013年11月、自国の防空目的で設ける空域「防空識別圏」を尖閣諸島を含む形で設定した。中国軍は日本列島から台湾、フィリピンなどを結ぶラインを「第1列島線」と呼び、その内側を中国の艦船が自由に往来できる「内海化」する戦略を立てる。習近平(シーチンピン)指導部は、尖閣諸島では公船派遣を常態化させ、南シナ海では埋め立てを進めることで、この戦略を着々と実行に移している。この中国の戦略は、米国の「リバランス(アジア回帰)」政策とぶつかる。米国は、南シナ海では中国の海洋活動を牽制(けんせい)するために沿岸国を支援している。これに対し、東シナ海では、尖閣を含めた日本の離島防衛は、日本が独自に担えるよう能力を向上させようとの狙いが透ける。今年4月に改定された日米防衛協力の指針(ガイドライン)でも、離島防衛は自衛隊が「主体的に実施する」とされ、米軍の関与は「自衛隊を支援し補完する」とした。水陸両用車両を売り、自衛隊の「水陸両用戦」の能力を高めようと支援している。日米中のにらみ合いが続く中で、各国にとって「悪夢」は、自衛隊と中国軍の偶発的な衝突だ。日中は衝突を避けるための仕組み「海空連絡メカニズム」の早期運用開始で合意している。戦闘機や艦艇が直接無線交信するために周波数を決めたり、自衛隊と中国軍の幹部どうしを結ぶホットラインを設けたりするものだ。しかし、尖閣問題の対立先鋭化を避けるため、日中両国の領海、領空は対象にしない方針だ。日本は尖閣諸島に領土問題は存在しないという立場で、「中国に尖閣諸島の周辺で連絡メカニズムを使われ、領有権を主張されると困る」(防衛省幹部)。ただ、そうした地域ほど衝突の可能性は大きく、十分な連絡体制になるか疑問視されている。
■離島防衛「ちぐはぐ」 野党が対案「一番心配なのに」
 尖閣諸島周辺に接近する中国軍にどう対処するか。安倍政権は安保法制で、武装漁民による離島占拠など、日本に対する武力攻撃には至らないが警察力では対応できない「グレーゾーン事態(準有事)」に対応する法整備を見送った。公明党が自衛隊の権限拡大に慎重だったのに加えて、警察や海上保安庁が権限縮小をいやがったようだ。この結果、グレーゾーン事態では、電話閣議を導入して自衛隊出動の判断を迅速化するなど、運用の改善で済ますことにした。「切れ目のない法整備というのに、一番の切れ目に手当てをしない。対応がちぐはぐだ」。自民党の防衛相経験者は疑問を呈する。一方、維新の党は今月2日、安保関連法案の対案を決定した。この中で、グレーゾーン事態で自衛隊が海上保安庁に協力する「領域警備法案」をまとめた。民主党も同法案を共同提出する方向だ。同法案は、警察や海上保安庁と自衛隊の関係を強化し、グレーゾーン事態の際に自衛隊が出動する手続きを簡略化するものだ。尖閣諸島周辺を念頭に、国会承認で「領域警備区域」を指定。平時から自衛隊が海上保安庁の警備に協力する。グレーゾーン事態では、閣議決定なしに自衛隊が「海上警備行動」や「治安出動」をできるようにする。ただ、それがかえって軍事衝突を誘発しないか、という議論もある。維新の党の柿沢未途幹事長は3日の衆院特別委員会で「国民が一番心配しているのは尖閣諸島をはじめ離島防衛だ。法整備を政府はなぜ置き去りにするのか」と指摘。中谷元・防衛相は「平時から自衛隊が海上保安庁と警察権を行使することは、日本側が事態をミリタリー(軍事)対ミリタリーにエスカレートさせたとの口実を相手に与える恐れがある」と答弁した。


PS(2016.1.27追加):*5-1のように、現在、日本の外務省は尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかだとして根拠を示している。また、太平洋戦争後27年目の1972年日中国交正常化時点で合意された周首相(中国)と田中首相(日本)との間で交わされた尖閣問題棚上げ(一時的に問題を未解決のままにしておくこと)合意は、*5-2のように、「日中国交正常化という大同のために尖閣諸島の領有権問題という小異を次世代に繰り延べる」というものだ。そのため、それから40年以上過ぎた現在でも棚上げを主張するのは日本側の不作為に過ぎず、周首相や田中首相が現在のリーダーであれば、別の対応をすると考える。

*5-1:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/qa_1010.html#q5 
尖閣諸島に関する日本外務省の見解
Q1:尖閣諸島についての日本政府の基本的な立場はどのようなものですか。
A1:尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかであり,現に我が国はこれを有効に支配しています。したがって,尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しません。
Q2:尖閣諸島に対する日本政府の領有権の根拠は何ですか。
A2:第二次世界大戦後,日本の領土を法的に確定した1951年のサンフランシスコ平和条約において,尖閣諸島は,同条約第2条に基づいて日本が放棄した領土には含まれず,同条約第3条に基づいて,南西諸島の一部としてアメリカ合衆国の施政下に置かれました。1972年発効の沖縄返還協定によって日本に施政権が返還された地域にも含まれています。尖閣諸島は,歴史的にも一貫して日本の領土である南西諸島の一部を構成しています。即ち,尖閣諸島は,1885年から日本政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行い,単に尖閣諸島が無人島であるだけでなく,清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重に確認した上で,1895年1月14日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行って,正式に日本の領土に編入しました。この行為は,国際法上,正当に領有権を取得するためのやり方に合致しています(先占の法理)。尖閣諸島は,1895年4月締結の下関条約第2条に基づき,日本が清国から割譲を受けた台湾及び澎湖諸島には含まれません。
【参考:サンフランシスコ平和条約第2条】
(b)日本国は,台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利,権原及び請求権を放棄する。 (以下略)

*5-2:http://vergil.hateblo.jp/entry/20130623/1371997158
[文書名] 田中総理・周恩来総理会談記録
[場所] 北京
[年月日] 1972年9月25日〜28日
第一回首脳会談(9月25日)
周総理: 田中総理の言うとおり、国交正常化は一気呵成にやりたい。国交正常化の基礎の上に、日中両国は世々代々、友好・平和関係をもつべきである。日中国交回復は両国民の利益であるばかりか、アジアの緊張緩和、世界平和に寄与するものである。また、日中関係改善は排他的なものであってはならない。田中・大平両首脳は、中国側の提示した「三原則」を十分理解できると言った。これは友好的な態度である。今回の日中首脳会談の後、共同声明で国交正常化を行い、条約の形をとらぬという方式に賛成する。平和友好条約は国交樹立の後に締結したい。これには、平和五原則に基づく長期の平和友好関係、相互不可侵、相互の信義を尊重する項目を入れたい。日中友好は排他的でないようにやりたい。日中は大同を求め小異を克服すべきであり、共通点をコミュニケにもりたい。
第二回首脳会談(9月26日)
田中総理: 大筋において周総理の話はよく理解できる。日本側においては、国交正常化にあたり、現実問題として処理しなければならぬ問題が沢山ある。しかし、訪中の第一目的は国交正常化を実現し、新しい友好のスタートを切ることである。従って、これにすべての重点をおいて考えるべきだと思う。自民党のなかにも、国民のなかにも、現在ある問題を具体的に解決することを、国交正常化の条件とする向きもあるが、私も大平外相も、すべてに優先して国交正常化をはかるべきであると国民に説いている。具体的問題については小異を捨てて、大同につくという周総理の考えに同調する。

第三回首脳会談(9月27日)
田中総理: 尖閣諸島についてどう思うか?私のところに、いろいろ言ってくる人がいる。
周総理: 尖閣諸島問題については、今回は話したくない。今、これを話すのはよくない。石油が出るから、これが問題になった。石油が出なければ、台湾も米国も問題にしない。国交正常化後、何カ月で大使(館)を交換するか?
大平大臣: できるだけ早く必要な措置を講じていくが、共同声明のなかに、何カ月以内にとは書けない。もし1日でもたがえたらよくないことだからだ。総理と私とが中国を訪問した以上、2人を信用してもらって、できるだけ早く大使の交換をやるということで御了承願いたい。

 会談全体の流れを見れば、日中国交正常化にあたって、尖閣問題を棚上げとすることで両国首脳の合意があったことは明白だ。


<憲法改正について>
PS(2016年1月29日追加):*6のように、「憲法“改正”は立党以来の自民党の党是であり、夏の参院選で争点にする」とのことだが、「自主憲法を作る」というだけでは憲法を改正する理由にはならない。何故なら、日本国憲法は、当時の日本人が自主的に変えたものではないからこそ、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義などの三大原則や法の下の平等、男女平等、言論の自由など、明治憲法から見れば革命的な国民の権利が定められたものだからである。そのため、自民党は憲法改正を包括的に一括して公約するのではなく、自民党の憲法改正草案を逐条で、①改正したいと考える条項 ②その理由 ③改正したら変化する法的効果 などについて説明すべきであり、野党やメディアも、議員の信頼を落とすようなチクリばかりでなく、正面から自民党の憲法改正草案を逐条で取り上げて質問すべきだ。日本国民は、既にそのレベルに達しており、まともな報道をすれば判断できるのだから・・。

*6:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201601/CK2016012802000133.html (東京新聞 2016年1月28日) 「改憲、参院選の公約に」 首相、代表質問で明言
 安倍晋三首相は二十七日、衆参両院の本会議で行われた各党代表質問で、夏の参院選で争点にする考えを示している改憲について「自民党は党是として、立党以来ずっと憲法改正を掲げており、今後とも公約に掲げ、しっかりと訴える」と表明した。改憲について、おおさか維新の会の馬場伸幸幹事長は「地方自治体が国の意思決定に関与できる仕組みを創設する」として、統治機構改革のために改憲する必要があると訴えた。首相は「御党が具体的な改正項目を検討していることに敬意を表する」と理解を示したが、安倍政権が目指す具体的な改憲項目については「国会や国民的な議論と理解の深まりの中で定まる」とし明確にしなかった。首相は、環太平洋連携協定(TPP)について「署名後、速やかに協定の承認案と関連法案を国会に提出し、承認を求める」と説明した。交渉参加十二カ国による署名式は二月四日にニュージーランドで行われる。米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設については「普天間の全面返還を日米で合意してから二十年たった。もはや先送りは許されない」と指摘。沖縄県との法廷闘争に関しては「やむを得ない措置だ。対話の窓を閉ざすことは決してない」との考えを示した。二十八日は参院本会議で代表質問が行われる。

<金を使って害になることばかりする理由は何か>
PS(2016年1月31日追加): *7-1、*7-2のように、ホタテ養殖などで知られた宮城県石巻市雄勝町では、130億円かけて、高さ9.7メートル、延長3.5キロの防潮堤を築く計画が進んでいるそうだが、高台の集団移転地が完成し、町の従来の中心部に住むのは約80世帯くらいで、住民は「景観を破壊する」と防潮堤の建設には反対しているそうだ。宮城県は道路や再建された水産加工場など保全すべき施設があると主張しているそうだが、その場所は津波の際には水につかることを前提として建設すべきで、それよりも海と陸が切り離され森から海への栄養塩のルートが断たれてホタテの養殖に悪影響を与えたり、景観の悪化で観光客も呼べなくなったりする方が、生活権を侵害される重要な問題だ。
 そのため、環境を壊すので地元住民も望まないような防潮堤を造ることは、所得税の2.1%分を復興特別所得税として支払って東北を応援している国民も望むところではなく、環境への親和性が高くて無駄なコストをかけない対応をしてもらいたいのである。なお、この間、国費を使って毎週のように東北に通った国会議員は、何を聞いてきたのかと思われるが、行って話を聞いたというアピールをするだけでは意味がない。私自身は、住居、幹線道路、重要施設は高台に移転し、下は放牧地、田畑、公園などを、津波の際には浸水することを前提として、緑の防潮堤とともに配置するのがよいと考える。
 それにもかかわらず、金を使ってこのように害になることばかりしている理由は、政策担当者が、自然、生態系、生物、物理に疎く、何が何でもコンクリート造りの人工物がBestだと考えているからだろう。

      
 *7-1より      問題になっている巨大防潮堤       震災瓦礫を基礎にした緑の防潮堤
                      (どちらがよいふるさとになるかは、書くまでもない)
 
*7-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12186991.html?_requesturl=articles%2FDA3S12186991.html&rm=149 (朝日新聞 2016年1月31日) (東日本大震災5年 現場から考える:上)巨大防潮堤、何守る 宮城・雄勝
■高台移転、住民戻らず
 いったい何を守るためなのか。硯(すずり)の生産やホタテ養殖で知られた宮城県石巻市雄勝(おがつ)町。津波で壊滅した町中心部にいま、130億円をかけ高さ9・7メートル、延長3・5キロの防潮堤を築く計画が進む。津波をかぶったまちの跡は、災害危険区域に指定され、もう人は住まない。高台の集団移転地が完成し、町外で仮住まいを続ける人が戻っても、中心部に住むのは震災前の620世帯から約80世帯にまで減る。更地にぽつんと立つ仮設商店街の一室で昨年12月25日、防潮堤計画をめぐり、宮城県と「持続可能な雄勝をつくる住民の会」の話し合いが持たれた。「景観を破壊する」と建設に反対する住民。道路や再建された水産加工場など、保全すべき施設があると主張する県。平行線が続いた。「海と陸が切り離された雄勝では、観光客も呼べない。10年以内に町は衰退する」。硯職人の3代目、高橋頼雄さん(48)は語気を強める。自宅を流されながら、この5年近く、町のホタテ祭りなどを引っ張ってきた。「何とかこの地で皆でやっていけないかと、考えてきたんです」。県の担当者は「まちづくりの様々な会合で説明し、住民合意はなされたと判断した」という。だが決議などをとったわけではない。住民の会事務局の徳水博志さん(62)は「いま一度、地域住民を集めて採決すべきだ」と反論した。地元の市役所も、壁のような防潮堤を望んだわけではなかった。石巻市雄勝総合支所は震災の年、住民団体の議論もふまえ、海沿いを走る県道や国道を20メートルの高さまで移し、道沿いに山をきりひらいて住宅地をつくる復興案をまとめた。それなら防潮堤は、もとの4メートル程度に復旧すればいい。ところが県は、数十年から百数十年に一度の津波に対応する「L(レベル)1」の高さにこだわった。「道路移転は必要ない。費用もかかる」との考えが示され、9・7メートルの計画が動きだしたという。「防潮堤の上げ下げを議論していても、まちづくりは進まない。のまざるを得なかった」と三浦裕総合支所長は振り返る。県は2018年春の防潮堤完成を目標に、年度内の着工をめざす。工事が始まれば、硯職人の高橋さんは雄勝を離れるつもりだ。
     *
 東日本大震災からまもなく5年。人口が激減する三つのまちから「復興」を考える。

*7-2:http://onion21.cocolog-nifty.com/onion21_kyodo_news_blog/2014/06/post-1460.html(河北新報2014年6月13日)東日本大震災 巨大防潮堤/合意なき「壁」で何を守るのか
 沿岸被災地で完成間もない防潮堤に登ってみた。そこでは高さ10メートルを超える「壁」が海と陸をきっぱりと隔てていた。被災3県で整備予定の防潮堤は総延長386キロに及ぶ。既に46キロ分が完成し、各地で工事が本格化している。宮古市田老地区では、巨大防潮堤への過信が被害を大きくしたとの指摘もあった。それでも岩手県は、現況から4.7メートルをかさ上げする。気仙沼市本吉町の小泉海岸に造る防潮堤は14.7メートル。ここから海に流れ込む津谷川の河口堤を含めた完成予想図は、土木工学の専門家が今から難工事を予見するほどのスケールだ。既存の防潮堤は各県横並びでおおむね1メートルのかさ上げが決まった。「既存高プラス1メートル」までなら災害復旧事業の枠内として全額国に負担してもらえるためだ。国の基準を出発点に各県は、防潮堤の整備方針を決定。その後、背後地を土盛りしてインフラを敷設。最後に住民に諮ってまちづくり計画を固める。行政による復興は概略この順序で進められてきた。だが、復興に寄せる被災住民の思いは、行政の手法と逆のプロセスをたどるのが普通だろう。住民はまず「こんなまちで暮らしたい」という理想から対話を始める。次に願いを形にして街並みや施設の配置を考える。そして最後に防潮堤は必要か、必要だとしたら許容できる高さはどれくらいかを決める。防潮堤の建設を復興の入り口とする行政と出口に置く住民では、議論がかみ合うはずもなかった。単なる復旧事業である以上、住民合意も必要としない。結果、復興の加速化を重視する行政の対応は相当、荒っぽいものとなった。岩手県の説明会では職員が膨大な資料を駆け足で説明し、住民は熟慮する時間を与えられないまま、その場で拍手を求められたという。宮城県の村井嘉浩知事は「私の責任で決断する」との言説を曲げようとしない。仮に、それが住民の命を守る手だてだとの信念で復興事業を推し進めたとしよう。しかし、住民の理解と納得を軽視する形で造った防潮堤によって土地の魅力が減じてしまえば、やがて人々はその土地から去っていく。そうなったとき、巨大防潮堤は一体何を守ろうというのか。防潮堤整備の復旧事業扱いには、自然環境を保全する観点からも問題点が指摘されている。原状回復のレベルを逸脱する工事にもかかわらず、環境影響調査の対象外となるためだ。波打ち際をコンクリート壁で固めることによる生態系や、そこからの恩恵で成り立つ漁業への影響が真剣に検討されてきた形跡は、残念ながらない。過去、幾度となく津波被害に遭ってきた三陸の住民は、しなやかに、あるいはある種の諦観をもって海と向き合い、生きてきた。足元の防潮堤は、そんな精神性までも押しつぶそうとしているように見える。


PS(2016年2月5日追加): 辺野古新基地建設に伴う埋め立て承認取り消しをめぐる代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部は、*8のように2つの和解案を示したそうだ。これまでの経緯を見れば、沖縄県地元紙の論調の方が正しいと考える。そのため、国は、ここで環境と財政の両方を考慮した案に変更すべきだ。

*8:http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-215658.html
(琉球新報社説 2016年2月4日) 辺野古和解勧告 問題の本質を見極めよ
 辺野古新基地建設に伴う埋め立て承認取り消しをめぐる代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)が示した和解案2案が判明した。このうち「根本的な解決案」は、県が承認取り消しを撤回する代わりに、国は新基地の「30年使用期限」か「軍民共用」を米側と交渉するという内容だ。これのどこが「根本的」か、理解に苦しむ。沖縄への米軍基地の圧倒的な偏在の上に、なおも新基地を押し付けることに県民は反発している。本土の民意は大事にするのに、沖縄の民意は簡単に踏みにじることの差別性も問うているのである。和解案の通りなら結局、民意を無視して新基地が押し付けられることになる。基地の偏在は微動だにしない。貴重な環境も破壊される。民主主義と地方自治の否定、構造的差別という根源的な問題は放置されるのだ。論外である。使用期限も全くの空念仏だ。1999年当時の移設案の「15年使用期限」に対して政府は「尊重」を閣議決定したが、米側にまともに要求すらせず、2006年には沖縄の頭越しに一方的に廃止した。信用できるはずがない。しかも和解案は米側と「交渉する」だけである。米側が拒めばそれで終わりだ。30年後の返還を裁判所が保証できるわけがなく、いったんできてしまった新基地は半永久的に続くのである。県側は受け入れに否定的だが、当然だろう。半面、「暫定的」な案の方は興味深い。国が代執行訴訟を取り下げて工事を停止し、県と協議する。折り合わなければ、強制力の弱い違法確認訴訟で争うという内容だ。法定受託事務の処理をめぐって国と県が折り合わない場合、取り得る手段はいくつかある。このうち代執行は最も重く、強制的な処分だ。地方自治法は「是正勧告」や「指示」などを経てもなお「是正が困難」な場合に、初めて代執行が可能と規定しているのだ。 一挙に代執行訴訟を提起したことについて、国は緊急性を理由にしているが、選挙期間中は作業を中断するのだから説得力は乏しい。裁判長もそう判断しているのだろう。いずれにせよ裁判所は問題の本質を見極めてもらいたい。この国が法の前に誰もが平等な「法治国家」なのか、それとも政府の恣意(しい)的な法解釈を許し、民意も地方自治も踏みにじっていい国なのか。問われているのはそのことである。

| 辺野古・普天間基地問題::2015.4~ | 03:19 PM | comments (x) | trackback (x) |

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