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2016,03,03, Thursday
*1-1より 介護負担増 介護費用負担割合 介護認定数、給付費、保険料 書かなければならないテーマは沢山あるが、今日は、認知症高齢者の列車事故と公的介護制度について記載する。なお、(私の提案でできた)公的介護制度は、日本で2000年4月に始まり、40歳以上の国民全員が加入して介護サービスを受けることができるもの(https://www.fp-kazuna.com/insu/social/61.html 参照)であるため、2000年から介護給付費が右肩上がりに増えるのは当然であり、いまだ成熟した制度ではない。 また、介護制度ができる前の介護は親族の負担で行われていたため、現在の高齢者に介護保険料を支払わせると現在の高齢者にとっては親族への直接介護との二重負担になるとともに、40歳未満の世代が介護制度への加入を免除されるのは、この世代への過度な優遇となる。そして、40歳以上の従業員のみを公的介護制度に加入させることにより、40歳以上の従業員に対する企業の負担が増えたため、40歳定年制を唱え始めた企業さえある。 (1)認知症高齢者の列車死亡事故 ← 見落とされた重要な論点 認知症高齢者が列車にはねられて死亡した事故について、*1-1のように、一審、二審は家族に監督責任があるという理由で遺族に損害賠償責任を認めたが、最高裁は、家族のかかわり方や介護の状況を総合考慮して「遺族に責任はない」という結論にした。その結論はよいが、最高裁も①本人との関係②同居の有無や日常的な接触③財産管理への関わり方などを総合的に考慮し、責任を問うのが相当といえる客観的状況が認められるかを基準とすべきだとしており、損害賠償責任を負う場合もあるようだ。 この論理の進め方で驚くのは、家庭で介護している親族が列車にはねられると、ただでさえ親族の他界で悲しんでいる遺族に、監督責任不履行として当然の如く損害賠償請求がなされることである。しかし、今の時代、そのように危険な踏切を放置しておいたことは、鉄道会社に責任があるのではないか?高齢者であっても、人間を閉じ込めたり繋いだりすれば人権侵害であるため、どの時点で何をすれば監督責任を履行したことになるかの判断は困難で、そもそも人は家の中に閉じ込めるべきものではない。 さらに、高齢者や障害者が社会で暮らしやすくするため、バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO091.html 参照)が2006年に制定されている。この法律の趣旨は、高齢者や障害者を社会で受け入れ、その生活をやりやすくするため、公共交通機関の旅客施設や建築物の構造を改善することだが、今は、駅にエレベーターをつけたり、車椅子で交通機関を利用できるようにすることくらいしか実行されていない。しかし、高齢化社会・共働き社会に向けて鉄道構築物を安全なものにすることは、この制度に含めるべきである。 そのため、*1-2に書かれているように、今後増える認知症高齢者のためには、「地域包括ケアシステム」で見守るのも大切だが、その前に鉄道や車の多い道路は高架にして事故や自殺を予防し、一階は自転車や歩行者が安心して通れる安全な街を作る必要があると考える。そうすれば、このような事故の予防になると同時に、踏切で長時間待たされたり道路が渋滞したりして生産性が低下することも防げるため、一石二鳥だ。 (2)公的介護制度について *2-1のように、2015年4月に事業者に支払われる介護報酬が全体で2.27%引き下げられたことが主な要因で、57.6%の事業所が改定後に報酬が減少し、訪問介護と通所介護(デイサービス)の事業者の40%以上が赤字となり、その中でも小規模事業所ほど苦境だそうだ。しかし、このように毎年切り下げられるようでは、安心して介護事業に参入したり、介護施設に投資したりすることができず、*2-2のように、「介護離職ゼロ」を実現することなど到底できない。 なお、介護分野は労働集約型産業であるため雇用吸収力が大きいが、待遇の厳しさから人材不足が続いている。私は、チームで介護を行えば、全員が流暢な日本語を話せなくても介護サービスはできるため、*2-3のように、人手不足の介護などの分野でせっかく日本に来てくれた外国人は、技術に応じて公平・公正に処遇し、日本から追い返すようなことはしないのがよいと考える。 <認知症高齢者の死亡事故とバリアフリー> *1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160302&ng=DGKKASDG01HBF_R00C16A3EA2000 (日経新聞 2016.3.2) 家族の責任、総合判断 認知症事故で最高裁判決、介護の実情に配慮 線引き不明確、不安も残す 認知症の人による損害の賠償責任を家族がどこまで負うかについて、最高裁が1日、初判断を示した。家族のかかわり方や介護の状況を「総合考慮する」という内容で、今回の事例では「家族に責任なし」と判断した。在宅介護の実情に配慮した形だが、状況によっては責任を負う可能性もある。「同居の配偶者や成年後見人というだけで自動的に監督義務者に当たるとはいえない」。民法は責任能力の無い人が第三者に損害を与えた場合、「監督義務者」が賠償責任を負うとしている。裁判では、認知症の人の家族がこの監督義務者にあたるかどうかが争点だった。同居している配偶者を監督義務者とした二審判決は「介護の担い手がいなくなる」と批判された。最高裁判決は介護の実情を踏まえ、二審判決を明確に否定した。では、どのような場合に義務を負うことになるのか。最高裁は(1)本人との関係(2)同居の有無や日常的な接触(3)財産管理へのかかわり方――などを総合考慮し、「責任を問うのが相当といえる客観的状況が認められるか」を基準とすべきだとした。最高裁がこうした判断を示したのは初めてだ。介護分野の専門家は「現場の実態を踏まえている」と評価。介護問題に詳しい弁護士は「個人が被害者となることもあり、事案によっては賠償責任を問えるとする判断は被害救済の道を残す」と肯定的だ。もっとも認知症の家族にとっては、不安が残る内容といえる。義務を負うかどうかの線引きについて、判断材料となる項目を示したにすぎないからだ。項目を見る限り、同居の家族が健康だったり、財産管理を含め日常的に深く関わったりしていた場合、監督責任を問われる可能性も出てくる。ただ「監督義務者がその義務を怠らなかったときは賠償責任を負わない」とする民法の規定があり、ただちに賠償責任を負わされるわけではない。判決でも裁判官5人のうち2人が、長男を「監督義務者として扱うべき」としたうえで、「十分な対策を取っていた」と賠償を認めない意見を付けた。一方、問題行動を放置していた時などは賠償責任が生じる可能性もある。国は認知症の人を医療機関でなく地域で見守る政策を進めており、在宅介護の比重は増している。「症状の軽重や介護する家族の年代にかかわらず、24時間目を離さずにいることは不可能」。「認知症の人と家族の会富山県支部」(富山市)の勝田登志子事務局長は、義理の両親と自分の母親を介護した経験を踏まえてこう訴える。あるベテラン裁判官は「今後、法律の分野では家族の監督責任は制限される方向に働くだろう」と予想しつつも、「どのような場合に家族の責任が認められるかは、判例の積み重ねを待つ必要がある」とみる。 *1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160302&ng=DGKKZO97916920S6A300C1EA1000 (日経新聞 2016.3.2) 認知症介護の実態を重くみた最高裁判決 認知症の高齢者が徘徊(はいかい)中に列車にはねられ死亡した事故で、遺族に賠償責任があるかが争われた訴訟の判決が、最高裁であった。判決は「家族が高齢者を監督することが可能な状況になかった」として、賠償を命じた二審判決を破棄した。高齢者を介護する多くの家族にとって、納得しやすい結論だろう。ただ、家族に責任はないとされても、亡くなった高齢者は戻ってこない。こうした事故を防ぐため、認知症の人を支える仕組みをつくる必要がある。民法は、責任能力のない人が第三者に損害を与えた場合に、監督する義務のある人が賠償責任を負うと定めている。裁判では、妻と長男に監督義務があるかが焦点となった。最高裁はまず、配偶者であることで直ちに監督義務を負うわけではないと指摘した。監督義務があるかどうかは、その人自身の生活や心身の状況、同居の有無、介護の実態などを「総合的に考慮し判断すべきだ」とした。妻は事故当時85歳で、要介護1の認定を受けていた。また長男の妻は近所に住んで介護にあたっていたが、長男自身は同居しておらず、月3回訪ねる程度だった。これらを踏まえ、判決は、妻も長男も監督が可能ではなかったと結論づけた。高齢化が進み、老々介護や遠距離介護のケースも増えている。一律に責任を負わせず、個々の事情を丁寧に見る判断といえるだろう。ただどのような場合に責任が問われ、どのような場合は問われないかは必ずしも明確ではない。何より大事なのは、こうした悲劇を繰り返さないことだ。政府は認知症になっても住み慣れた地域で暮らせる社会を目指すという。鍵となるのが医療や介護などを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」だ。国や自治体は整備を急がなければならない。高齢者が徘徊した際に、市民にメールで連絡し、保護につなげる地域もある。住民の力も欠かせない。認知症の予防や治療のための研究の推進、見守りに役立つ機器の開発、損害を広く薄く負担し合う保険のような仕組みづくりが課題になるだろう。認知症の高齢者の数は2025年には約700万人に達するとの推計もある。誰もが当事者になる可能性がある。一つ一つ、地道に対策を積み上げていくしかない。 <介護> *2-1:http://qbiz.jp/article/81909/1/ (西日本新聞 2016年3月3日) 訪問・通所介護、4割超が赤字経営 小規模事業所ほど苦境 訪問介護と通所介護(デイサービス)の事業者の40%以上が赤字となっていることが2日、日本政策金融公庫総合研究所の調査で分かった。2015年4月に事業者に支払われる介護報酬が全体で2・27%引き下げられたことが主な要因で、57・6%の事業所が改定後に報酬が減少した。調査は昨年10月、訪問介護か通所介護のサービスを提供する企業や社会福祉法人などを対象に実施し、2886事業者から回答があった。サービスごとの事業者の赤字割合は訪問介護が47・6%、通所介護が42・7%。特に通所介護では、事業所の規模が小さいほど経営が苦しい傾向が鮮明で、従業者が「4人以下」の赤字の割合が52・8%だったのに対し、「50人以上」だと32・8%にとどまった。改定の前と後で、報酬が「増えた」と回答した事業者は全体の8・8%。「変わらない」は33・6%、「減った」は57・6%だった。減少した事業者のうち、16・7%が「15%以上減少した」と回答した。日本政策金融公庫総合研究所は「大規模な事業所では、介護報酬の高いサービスを始めることなどで報酬減の影響を少なくできたが、規模の小さい事業所では対応が難しかったと考えられる」としている。 *2-2:http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/262734 (佐賀新聞 2015年12月24日) 1億総活躍社会、目立つ政策のちぐはぐさ 「1億総活躍社会」のスローガンの下、政府はこの国をいったいどこへ導こうとしているのか。政府の補正予算や来年度予算の編成が進むとともに、おぼろげながら全体像が見えてきた。1億総活躍という、戦前・戦中の全体主義を連想させるネーミングはともかく、世界にも例がない超高齢化社会に突入したわが国にとって、新たな社会構造に応じた経済の活性化策が最重要課題なのは確かだ。その具体的な政策が、アベノミクスの第2ステージと位置づけられた「新3本の矢」というわけだ。従来の3本の矢を束ねて、GDP(国内総生産)を2020年ごろまでに600兆円に拡大させるというのが、新たな第1の矢。第2の矢は子育て支援で、出生率を現在の1・42から「希望出生率1・8」まで押し上げる。さらに、社会保障を充実させる第3の矢で、家族の介護や看護を理由に離職・転職する人が年間10万人以上も生じている状況を解消して「介護離職ゼロ」を実現させるという。いずれも、理想的な未来の姿なのかもしれない。だが、果たして実現できるのだろうか。これまで、安倍政権は規制緩和により、雇用の流動性を高める政策を進めてきた。その結果、賃金が低く押さえられ、企業側に有利な雇用環境が生まれ、働く人の4割が非正規雇用という状況になった。ところが、今回の政策では賃上げで消費を刺激するという。最低賃金を年率3%程度をめどに引き上げ、全国加重平均で千円を目指す。これでは、雇用改善の責任を中小企業に押しつけるだけではないか。非正規雇用の問題は、第2の矢の出生率の問題にもつながる。若い世代では、不安定な雇用と低い所得水準を背景に、結婚に踏み切れない、あるいは子どもを生み育てる自信がないという現実が生じている。これまでの大企業重視で雇用流動性を優先してきた政策そのものを転換しなくては、若い世代の生活の安定は望むべくもない。第3の矢の「介護離職ゼロ」にしてもピントがずれていないか。今回の政策では、介護施設の整備のために国有地を活用したり、賃貸物件での運営を認める規制緩和策を打ち出している。だが、本当に解決すべきはハード面の整備ではなく、介護現場で働く人材の確保ではないか。介護分野は典型的な労働集約的産業にもかかわらず、待遇の厳しさから人材不足が続いているからだ。最も気掛かりなのは、低年金受給者へ一律3万円を支給するという政策だ。1130万人、その額は3600億円を超える。「消費の下支え」を名目にしているが、来年夏の参院選をにらんだバラマキと批判されても仕方あるまい。総じて目立つのは政策のちぐはくさだ。目指す先には、経済や社会保障分野で好循環を生み出し、50年後に人口1億人を維持するという最終的な目標がある。そうであれば、ここに挙げられた政策は、どれも小手先に過ぎず、実効性も疑わしい。旧「3本の矢」のように、十分に成果を検証しないまま、選挙が終われば次の矢を持ち出すような、目くらましでは困る。 *2-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12131786.html (朝日新聞 2015年12月24日) (人口減にっぽん)外国人79万人が働く国 コンビニや居酒屋、そして除染も。日本で働く外国人が増えている。その数、79万人。6年間で30万人増え、過去最高だ。日本の労働人口が減る中、今や貴重な働き手になっている。ただ、職場は日本人が避けがちな仕事が多い。その働く現場を追った。 ■除染の町「人が足りぬ」 日系ボリビア人の男性(41)はこの夏、福島県飯舘村で除染作業員として働いた。幹線道路沿いの草刈りが主な仕事だ。1日8時間で、1万6千円。お金を稼ごうと23歳で来日して18年。これまでもらったことのない額だった。妻の反対を押し切って申し込んだ。作業グループは10人。そのうち、自分を含む4人が外国人だった。「人が足りないからだ」。除染作業員を募るある派遣会社の役員は、そう話す。この会社も今年初めて、外国人を6人送り込んだ。事故やトラブルを恐れる派遣先から「外国人はやめてくれ」と言われていたが、今年は「解禁」された。大手ゼネコンも「東京五輪で人手不足が進むので、除染する外国人は増えるだろう」。だが働く環境は、ボリビア人男性が感じたほど好待遇ではない。この工事で環境省が業者に示している除染の賃金目安は、実は2万5千円だ。給料がきちんと支払われる保証もない。この男性は、8~9月の1カ月間分の給料28万9千円が振り込まれなかった。雇用主の派遣会社に問い合わせたが、「別の建設業者が支払う」と言ったきり。一緒に作業した3人の外国人と連絡を取ると、みな未払いだった。労働組合に駆け込み、ようやく11月、建設業者から「未払い分は払う」と連絡がきた。それでも、男性はこう話す。「また除染で働きたい。これまで車部品工場で働いたけど、あまり人間的な扱いを受けなかった。除染現場はそうではなかった」 ■労働人口、30年後は2000万人減 厚生労働省の統計(2014年)では、働く外国人は79万人。国家公務員(64万人)をしのぐ数だ。雇用主が未報告のケースもあり、「法務省の統計データもあわせて推計すると、厚労省調査の捕捉率は7割程度。すでに100万人働いているのはほぼ確実だ」(自由人権協会の旗手明理事)という。一方、日本の推計労働人口は、今後30年間で2千万人以上減る。外国人へますます頼ることになりそうだ。政府は、どういう外国人を増やすのか。「1億総活躍」を掲げる政府は、「移民受け入れより前にやるべきことがある」(安倍晋三首相)という立場だ。日本人だけで人口1億人を維持し、経済発展に役立つ外国人を中心に歓迎する、というスタンスだ。具体的には、学歴や収入が高い「高度人材」が長く日本で暮らせるようにしているほか、人手不足の「介護」で、来年度にも受け入れを広げる。外国人が「家事代行」のために入国することを新たに認め、日本の女性が家の外で働きやすくして、労働力の落ち込みを防ぐ。安価な単純労働を担う実態がある「技能実習生」は、滞在期間を3年から5年に延ばす。こうした方針が、政府の成長戦略に盛り込まれている。 ■家事「両親に頼むより楽」 外国人の家事代行は今月、神奈川県の計画が国家戦略特区として認められた。同県では来年3月をメドに家事代行で働くことを目的に入国できるようになる。賃金は日本人以上とすることや、働けるのは3年未満と政府指針で決まっている。すでに需要はあり、現在は「日本人と結婚した外国人」など就労に制限のない人が働いている。12月中旬の平日、午後5時。東京都渋谷区の戸田万理さん(42)宅に、フィリピン人のヴィナさん(42)がやって来た。ヴィナさんは夫が日本人で、日常レベルの会話はだいたい理解できる。持ってきたエプロンを身につけると、戸田さんが「スープを作ってもらえるかな」と材料を渡す。1時間ほどでカボチャのスープを仕上げた。その間、戸田さんは長女の理花ちゃん(1)をあやす。フルタイムで働くコンサルタント。共働き家庭で、来年1月には長男を出産する予定だ。「仕事と家事、育児のすべてがのしかかり、イライラすることが増えていた」。11月、家事代行の「タスカジ」に申し込んだ。1回3時間、交通費を除いて4500円。週2回、平日に来てもらう。戸田さんに甘える理花ちゃんに「ちょっと待って」と言う回数が減った。「自分の両親に頼むより気楽。もう離せません」。タスカジの働き手は登録式だ。外国人に限っているわけではないが、多くがヴィナさんのように「配偶者ビザ」を持つフィリピン人女性だ。午前9時~午後10時に3時間区切りで頼め、1時間あたり1500円から。利用者は3千人近くいる。「国家戦略特区」での解禁を見据え、人材確保も始まっている。人材大手パソナは来年4月をメドに、フィリピン人約30人に日本に来てもらう予定だ。マニラの人材会社と提携し、「実務経験1年以上」などの日本政府の条件に合う人材の募集を始めた。選考に通れば、日本語や日本食などの研修を年明けから現地で始める。料金は、週1回の利用で1カ月1万円ほどを想定。企業に、「社員の福利厚生」としての利用を売り込む考えだ。92年に外国人の家事代行を解禁した台湾では、労働時間の管理が課題になっている。家庭に住み込む形式がほとんどのためだ。今年秋、台湾家庭に住み込むフィリピン人女性(32)は「雇用主が外に出してくれない」と目に涙をためて訴えた。働き始めて6カ月。ようやく初めての休日を1日もらえたのだ。外国人の就労を担当する労動部労動力発展署の蔡孟良副署長は「雇用主が週7日働かせても、ちゃんと残業代を払い、労働者が合意していれば政府は何もできない」という。日本の国家戦略特区では、住み込み形式は認めていない。ただ台湾では「外国語交じりで世話をされると、子どもの文化やアイデンティティーに影響が出る」(蔡副署長)とも指摘されていて、最近では受け入れの条件を厳しくしている。 ■「まずは家事の分担を」 外国人労働問題に詳しい指宿昭一弁護士の話 外国人に家事を頼る前に、まずは男性も平等に分担できるようにすべきではないか。長時間労働を見直して、不足している保育所を増やすことが先決だろう。本当に外国人が必要なのか、国民的な議論も不足している。外国人に家事をさせる理由は、低賃金でしてもらえるからだ。家事は範囲が広く、仕事は育児や介護に広がる可能性がある。そうすると、保育士や介護福祉士などの賃金がますます低く抑えられることになる。
| 年金・社会保障::2013.8~2019.6 | 04:23 PM | comments (x) | trackback (x) |
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