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2016,04,24, Sunday
2016.4.22 中央構造線 1596年の伊予・ 宇宙から見える 2016.4.24 日経新聞 と震度分布 豊後・伏見地震 中央構造線 西日本新聞 2016.4.24 太陽光発電 2016.4.22 ローン0でできる 2016.4.22 高知新聞 普及率 日経新聞 太陽光発電住宅 日経新聞 (太陽光発電は、もう屋根に置く のではなく、屋根や建材として デザインよく建物に組み込む時) (1)中央構造線(断層)に沿った地震の発生 熊本、大分を中心とする今回の地震は、上の左図のように中央構造線に沿って起こったが、これに似た地震が今から420年前の1596年に起こった伊予・豊後・伏見地震だ。中央構造線は日本列島の成り立ちからできた断層で、この断層に沿って河川や湾(白川・緑川・球磨川・八代海、臼杵川・大野川・大分川・別府湾、吉野川、紀ノ川)があり、川沿いに平野・道路・市街地ができていて木が少ないため宇宙からも見える。 そのため、*1-1、*1-2、*1-3のように、今回の地震は断層に沿って熊本県南西部及び大分県北東部に繋がると考えるのが自然であり、「これ以上は広がらない」と考える科学的根拠はなく、伊予・豊後・伏見地震のような大地震は1000年に一度しか起こらないと証明されているわけでもない。 (2)JR九州の可能性 本年度中の株式上場を目指しているJR九州は、*1-4のように、地震で新幹線の脱線事故を起こし、今後は安全投資を迫られるそうだが、他方では、今回の地震で家を失った人や建て替えを検討する人は多く、不動産子会社が新幹線や在来線の駅近くで大規模な街づくりを進めることが可能だろう。 その際には、上の図のように、日照時間が長くて土地の価格が比較的安い九州では、屋根全体を太陽光発電にすれば、オール電化しても住宅ローンが0で済むような住宅を作ることもでき、進歩した21世紀型の住宅団地を作ることが可能であるため、ここで使うべきは頭脳である。 *3-1のように、純粋な民間会社であるヤマダ電機は、この電力自由化のチャンスに家庭向け電力小売市場に参入し、省エネ性能の高いスマートハウスと合わせて提案していくそうで、楽しみだ。 (2)地震の被害について 地震は、*2-1のように、トマト、スイカなど全国有数の生産量を誇る熊本県内の農業にも打撃を与え、野菜の選果機などが損傷し、出荷に影響が出始めたそうだ。しかし、別の調達先を探されて売上を逃すよりも、近くの別の選果場で選果を行ってもらえばいいのではないだろうか? また、*2-2の熊本城や阿蘇神社は、前よりも文化的価値や観光的価値の増す形で復旧したい。これは、世界の名所・旧跡・城の活用方法を調査して、九州の観光のためにも速やかに行うべきである。 (3)農業の電動化 *3-2のように、ため池は全国約20万カ所あるが、7割が江戸時代以前に整備されたもので、集中豪雨や南海トラフ地震などによって決壊して周辺に被害をもたらす可能性が指摘されているそうだ。そのため、使わなくなった池の廃止も検討すべきではあろうが、ため池でも発電して農業に安定して安い電力を供給し、いつまでも燃油価格高騰などの外部要因で振り回されることなく、農業におけるエネルギーの自給率向上とコストダウンを計るべきである。 なお、*3-3のように、北海道のJA士幌町は、酪農家が取り組むバイオガス発電を活用し、4月からJA施設の電力地産地消を始めると発表している。酪農も、バイオガスだけでなく広い畜舎の屋根を利用した太陽光発電や牧場を利用した風力発電など、電力を作るのに適している。 そのような中、*3-4のように、電気モーターを動力としてガソリンを使わない電気自動車が農村でじわりと浸透し、エコである上に経費節減にも寄与しているそうだ。今後は、農業機械も電動化して、農村でのエコと経費節減を両立すべきだ。 (4)原発停止へ *4-1、*4-2のように、2016年7月下旬頃に見込まれる四電伊方原発3号機(愛媛県伊方町、中央構造線の真上)の再稼働に反対する集会が4月23日に松山市の城山公園で開かれ、中四国だけでなく九州の原発立地先の住民ら約2800人(主催者発表)が参加したそうだ。 熊本で大地震が起きて、いつ南西に広がるかわからなくても川内原発を止めないのは規制委も含めて問題が多い上、その活断層の北東部真上付近にある伊方原発を早急に廃炉として使用済核燃料を別の場所に移さないのも危険極まりない。これは、一回の地震動が570ガルを超えたか650ガル以下だったかという単純で小さな問題ではなく、繰り返し地震に襲われたり、隆起や陥没が起こったりすることも考慮しなければならないということなのだ。 なお、*4-3のように、大間原発訴訟で、函館市は、「(原発の審査基準となる新規制基準について)欧州諸国と比べて緩やかであり、世界で最も厳しい基準だと強調する政府は新たな安全神話を流布している」と批判したそうである。 さらに呆れるのは、*4-4のような原発の「40年ルール」の骨抜きだ。狭い国土に多くの人が住み、地震などの自然災害も多い日本で、多くの原発を抱えていくリスクは大きすぎる。福島での事故を経て、そこが原子力行政見直しの出発点だったはずだし、原発を維持する国民的コストは膨大すぎる。 また、世界でも、エネルギー自給率は再生可能エネルギーの育成で高めようというのが大勢である。そして、再エネ施設が事故を起こしたとしても原発事故のような長期間の大きな被害にはならない上、*4-5のように、太陽光、風力、地熱などの九州の再エネ施設は無事だったそうだ。 *1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/304092 (佐賀新聞 2016年4月22日) 地震活動終息見えず 熊本南西部ひずみ警戒 震度7が連続して起きた熊本県の地震活動は、阿蘇山や大分県に余波が及んだまま1週間が過ぎた。地震回数は2004年の新潟県中越地震を超えて最多となり、活動がいつ終息するのか見通せない状況が続く。専門家は熊本県の南西部にたまった地殻のひずみの大きさを指摘。今後の地震に警戒を呼び掛ける。「過去に例のない状況で(終息の)見通しはない。期限を明示することは難しい」。21日の気象庁の記者会見。青木元・地震津波監視課長は硬い表情で語った。 ◆異例 海溝型の大地震が連続する例がないわけではないが、震度7の直下型地震の連発は「想定外」。余震の数はその分多い。また震源となった「布田川(ふたがわ)断層帯」「日奈久(ひなぐ)断層帯」の北東延長部でも地震が誘発された。熊本県の中心部と、活火山の阿蘇山を越えた大分県境、大分県内の計3カ所。異例の同時活動だ。遠田晋次・東北大教授(地震地質学)は「大分などの地震は16日の地震とほぼ同時に起きている。南西から北東に向けて断層破壊が起こり、地殻のひずみが直ちに伝わった」と指摘。だが、ひずみがより大きくなったのは大分県側ではなく、日奈久断層帯の南側に近い熊本県南西部だ。「もともと地震が起こりやすいと考えられていた部分。いつとは言えないが、大きな地震がまた起きるだろう」 ◆飛び火 地殻のひずみに詳しい西村卓也・京都大准教授(地殻変動学)は「震源周辺はブロック状の地殻の固まり同士の境界に当たり、年約1センチのひずみをためている」と話す。東日本大震災を起こした日本海溝の年8~9センチ、巨大地震が懸念される南海トラフの年5~6センチよりは小さいが、地震が起きやすい地域だ。西村氏によると、今回の地震で変化したひずみの影響は震源に近いほど強まる。震源に近い熊本県南西部は引き続き注意が必要だ。一方、大分の地震活動が、対岸の四国を横断する巨大断層「中央構造線断層帯」に飛び火すると考える専門家は少ない。鷺谷威・名古屋大教授(地殻変動学)は「大分は陸域の地震で、徐々に活動は静まってきている。地震が海域に及んで活発にならない限り心配はないと思う」と話している。【共同】 *1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160422&ng=DGKKZO99945210R20C16A4M12800 (日経新聞 2016.4.22) 特集熊本地震 未知の連鎖、「断層の巣」震源北東へ 南西も拡大警戒 熊本地震の発生から21日で1週間を迎えた。16日未明にはより大規模な「本震」が起き、距離の離れた阿蘇地方や大分県でも大きな地震を誘発する異例の事態に発展した。建物の倒壊や土砂災害による被害は広域に及び、多発する余震や震源域の一段の拡大への警戒が続く。住民の生活を再建し、地域の復興を遂げるには時間がかかりそうだ。熊本県熊本地方が激しい揺れに見舞われたのは14日午後9時26分ごろ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.5で、同県益城町では震度7を記録した。気象庁によると南北方向に引っ張られる力で地盤が水平に動く「横ずれ型」と呼ぶタイプの地震だった。震源の深さが11キロメートルと浅く、揺れが大きくなった。国内で震度7を観測するのは2011年の東日本大震災以来で、住宅の倒壊で犠牲者が出るなど大きな被害につながった。地震活動は過去に例のない展開を見せる。16日午前1時25分ごろ、熊本地方を再び強い揺れが襲う。1995年の阪神大震災と同じM7.3。14日夜の地震を上回る規模だった。気象庁は後に震度計のデータを解析し、益城町などで震度7だったと発表した。気象庁は14日の地震が起きた時点で、さらに大きな地震が来るとは考えていなかった。経験則から、大きな地震の後に続く余震の多発に警戒を呼びかけていた。もはや従来の常識は通用しなかった。16日未明から朝にかけ、阿蘇地方や大分県中部でも大きな地震を観測した。地震の連鎖はなぜ起きたのか。日本列島は地震を繰り返す2000以上の活断層がある。政府の地震調査委員会によると、最初の震度7は長さ約81キロメートルの日奈久(ひなぐ)断層帯の北端がずれたことが原因だった。次の16日は同断層帯の北側を走る布田川(ふたがわ)断層帯で発生した。大分県から熊本県に至る別府―島原地溝帯付近は、両断層帯を含め多くの活断層が集まる「地震の巣」だ。大分県側にも別府―万年山(はねやま)断層帯がある。日本列島の下には海底のプレート(岩板)が沈み込み、陸地に力が加わる。「もともと地盤にひずみがたまっていた」(東京大学の古村孝志教授)地域で大きな地震が起き、誘発されるように北東方向に拡大した。1つの活断層がずれると周辺へかかる力が変わり、次の大地震の引き金になるとの考えはある。だがM7級の地震をきっかけに九州を横切るほどの規模で震源域が広がるのは「見たことがない現象」(京都大学の飯尾能久教授)で、詳しい仕組みは不明だ。日奈久断層帯の南西側などでさらに大地震が起きる懸念も指摘されている。 *1-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160422&ng=DGKKZO99946320R20C16A4TJN000 (日経新聞 2016.4.22) 「中央構造線」列島横切る巨大断層、熊本地震の延長上 九州~近畿で400年前に連続発生 熊本県から大分県にかけて強い地震が連続して発生、大きな被害を出した。内陸で起きる地震の常識を超えて100キロメートルもの範囲に震源が広がり、さらに東の愛媛県などに拡大するのではないかと懸念する声が出ている。一連の地震の震源の延長上に西日本を縦断する「中央構造線」と呼ばれる大規模な断層帯が存在するためだ。西日本を背骨のように貫く中央構造線とはどのようなものなのだろうか。「一番の懸念は、(一連の地震が)中央構造線につながっているということだ」。18日に開いた緊急記者会見で、日本地震学会会長の加藤照之さんはこう語った。14日の夜に熊本市近郊で最初の地震が発生。16日未明にそれをはるかに上回る規模の本震が起き、これをきっかけに阿蘇山周辺から大分県へと、マグニチュード(M)5級の地震が広がっていった。今回のような直下型地震は、地下の断層がずれることで起きる。地震を起こした活断層の延長上で別の地震が起きることはしばしばあるが、これほど大きな地震が100キロ以上も進んでいくのは「かなり特徴的」(加藤さん)だという。 ●全長1000キロ以上 地震は、九州を横切る「別府―島原地溝帯」を東に進んだ。地溝帯というのは、両側を断層で挟まれた幅の広い谷のことだ。別府―島原地溝帯は、西日本を横切る長大な断層の連なり「中央構造線」の西端に当たる。中央構造線の周辺には並行して多くの活断層があり、地震の連鎖が広がるのではと懸念された。中央構造線は、全長1000キロメートル以上に及ぶ。九州から四国北部を経て紀伊半島を横断。伊勢湾を横切り、天竜川に沿って北上して、長野県諏訪湖付近で本州の中央部を横切るフォッサマグナとよばれる巨大な地溝帯にぶつかる。このフォッサマグナの西の縁が、中央構造線と並ぶ巨大な断層帯として知られる糸魚川―静岡構造線だ。異なる断層に由来する大きな地震が連動するのは、近代的な観測が行われるようになってからはあまり例がない。だが、過去の時代の文献からは、そうした事例があったことが見て取れる。安土桃山時代末期の1596年9月1日、中央構造線沿いの愛媛県でM7級の慶長伊予地震が起きた。その3日後に、およそ200キロメートル離れた大分県で、同程度の慶長豊後地震が起きている。その翌日に兵庫県で発生した慶長伏見地震も、これらの地震と関連するとみる研究者もいる。 ●分かれる意見 今回の地震が、大分県を越えてさらに東へと強い地震が広がる可能性はあるのか。研究者の見方は様々だ。九州大学准教授の松島健さんは「1995年に中央構造線近くで阪神大震災が起きた。今回も中央構造線に沿って他の地震が起きる可能性は否定できない」と見る。一方、京都大学防災研究所教授の岩田知孝さんは「慶長伏見地震などから約400年しかたっていない。ひずみはたまっておらず、すぐには動かないのでは」と話す。中央構造線の元になった断層は、今から1億年以上前、日本列島がアジア大陸の一部だったころに誕生した。恐竜がいた白亜紀に、海洋プレートが運んできた陸地が大陸にぶつかった。その後、大陸の端が大きく横ずれして巨大な断層ができたと考えられている。これが中央構造線だ。日本列島は、中央構造線の一部を含んだ形で、2500万年くらい前に大陸から離れはじめた。海底にできた裂け目が広がり、日本海ができたことで太平洋側へと押し出された格好だ。この過程でさらに断層がずれ、現在の日本列島の形ができた。中央構造線にはひずみが集中しており、その周辺には活断層帯が多い。別府―島原地溝帯には、熊本地震を引き起こした日奈久(ひなぐ)断層帯や布田川(ふたがわ)断層帯、大分の地震との関連が疑われる別府―万年山(はねやま)断層帯などの活断層がある。中央には巨大な阿蘇山が存在し、雲仙岳がある島原半島から熊本県八代市沖までは活断層の密集地帯だ。今回の地震は、遠く離れた断層が連動して動く可能性を印象づけた。地下の断層の動きはいまだ予測がつかず、対策は警戒を怠らないことしかないようだ。 *1-4:http://qbiz.jp/article/85534/1/ (西日本新聞 2016年4月24日) 上場目指すJR九州、「収益」と「安全」の両立はできるのか 熊本地震で影響を受けた九州新幹線を28日にも全線再開させる方針を明らかにしたJR九州。九州の大動脈の早期復旧は、公共交通機関を担う事業者の使命であり、震災からの復興に大きく貢献することになる。だが「想定外」の震災で、事業の根幹に関わる安全性は大きく揺らいだ。本年度中の株式上場を目指すJR九州は「収益」と「安全」をともに向上させるという重い経営課題に向き合う。九州新幹線は14日以降の地震で、約150カ所の損傷を受けた。大都市を結ぶ新幹線の運休長期化は経営上も重大な打撃となることから、JR九州幹部は早期再開を「大きな一歩」と語る。しかし、損傷箇所の多くは応急的な補修どまり。通常ダイヤへの復帰を可能にする本格修復は遠い。14日夜の地震では「本来あってはならない」(JR九州関係者)はずの新幹線車両の脱線事故が起きた。脱線を食い止める線路の「脱線防止ガード」が設置されているのは、全257キロのうち24キロ。地震による全体被害額も、まだ把握できていない状況だが「今後、追加的な安全対策が必要になるのは間違いない」(同)。今後、巨額の安全投資を迫られる。鉄道はJR九州の基幹事業だ。最大の経営課題である在来線の赤字を、新幹線収益や他事業で補い、上場へ向けて歩を進めてきた同社。安定的に収益を生み出すと期待された新幹線の損傷は、本年度を目標とする上場にも影響しかねない。青柳俊彦社長は23日、上場への影響について「精査をした上での判断になる」と述べるにとどめた。安全を確保しながら早期の完全復旧を実現させ、さらに悲願の上場を遂げる。政府の手を完全に離れ、純粋民間企業としての独り立ちを目指す同社。その力量が問われている。 <被害> *2-1:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/304099 (佐賀新聞 2016年4月22日) 地震、農業県・熊本に打撃、出荷施設損傷、価格高騰も 熊本県を中心に相次ぐ地震はトマト、スイカなど全国有数の生産量を誇る県内農業に打撃を与えている。野菜の選果機などが損傷し、出荷に影響が出始めた。被災農家も日々の生活対応に追われて本格的な農作業の再開が遅れている。品薄感から今後、価格が値上がりする可能性がある。熊本県の2014年の農業産出額は3283億円と全国6位。トマト、スイカの生産額は全国トップで、メロンやナス、キャベツなども上位に入る。県によると、野菜を色や大きさなどで選別する機械やハウス施設が壊れるなどの被害が約50件あり、畜舎が倒壊し牛が圧死する事例もあった。多数の犠牲者を出すなど大きな被害があった熊本県益城町はスイカが主力品だ。4~5月に出荷がピークを迎えるが、JAかみましきでは、1カ所しかない選果場の設備が壊れ、手作業で箱詰めをしている。農家約80軒のうち、3分の1は自宅が全半壊しているとみられ、JAかみましきの担当者は「人手が足りず負担が増えている」と話した。九州各地から生鮮品が集まる福岡市中央卸売市場では、熊本県産の野菜の流通量が減少。5月はスイカとメロンの8割以上を熊本県産が占めるため、このままでは値上がりが懸念される。市場関係者は「トマトなどの野菜は別の調達先を探し、全体的な出荷量を維持したい」としている。 *2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/304103 (佐賀新聞 2016年4月22日) 専門家、熊本城復旧に「10年以上」、文化財に深刻被害 熊本県を中心に相次ぐ地震は、熊本城(熊本市中央区)など貴重な文化財にも深刻な被害をもたらした。大きな余震が続き、損傷状況の調査もままならない。熊本城の復旧には「10年以上かかるかもしれない」との見方すら出ている。大型連休を前に観光面の打撃は避けられず、関係者からは不安の声が漏れる。「築城の名手」とされる武将加藤清正が1607年に築いた熊本城。国の重要文化財13カ所のうち、長塀(ながべい)、東十八間櫓(ひがしじゅうはちけんやぐら)など5カ所が倒壊した。城内最古の宇土櫓(うとやぐら)を含む他の8カ所も、ひび割れ、しっくいのはげ落ちが確認された。高くなるにつれ勾配がきつくなる「武者返し」で知られる石垣もあちこちで崩壊し、熊本城総合事務所の担当者は「余震で詳細な調査に入れない」と話す。外国人観光客が増加し、昨年度に訪れた人は約177万人に上るが、当面は入場禁止だ。熊本藩主細川家の菩提(ぼだい)寺跡がある立田自然公園と北岡自然公園(同市中央区)も、計100基以上の石灯籠や墓石が倒れ、江戸時代初期創建の唐門(からもん)が全壊した。余震でさらに崩れる可能性もあり、修復の見通しは立たない。江戸時代から続く地主の屋敷で、現在も第11代当主江藤武紀さん(76)と家族が暮らす江藤家住宅(熊本県大津町)では、国の重要文化財に指定された建物の大半が、16日未明の本震で半壊した。1830年に建てられた主屋は2階の床の間が落ち、1階に寝ていた江藤さんは避難生活を余儀なくされた。江藤さんは「何代にもわたり地域と一緒に守ってきたという責任と愛着がある。難しいのは承知だが、また住めるように修復したい」。阿蘇市の観光名所、阿蘇神社も1850年落成の楼門が倒壊、境内最古の「一の神殿」も大きく傾いた。佐伯紀行事務官は「歴史もあり、地域の人々の支えになってきた神社。いつまでかかるか分からないが、必ず再興したい」と話した。 *2-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160422&ng=DGKKZO99945300R20C16A4M12800 (日経新聞 2016.4.22) 生活再建・復興、なお見えず 14日夜に発生した最初の地震から1週間が過ぎた。同じ場所で震度7が2回起きる前例のない災害が住宅などに与えたダメージは大きい。震度5クラス以上の余震も続き、被災者の生活再建や復興に向けた道筋は見えないままだ。一連の地震で損壊した建物は、熊本県を中心に九州の5県で1万棟を超えた。震度7を観測した益城町では住宅の1割強が全壊したとみられる。揺れが大きかった地域ほど調査は進んでおらず、被害戸数は増える可能性が高い。住宅が損壊し、避難所に駆け込む人は14日夜に発生した地震で約4万4千人に上った。「大きな余震はないだろう」と思い、同日午後には1万人を割り込んだが、16日夜に「本震」に襲われたこともあり、熊本県を中心に600以上の避難所に約9万人が身を寄せる。熊本県と熊本市は自宅が全半壊した人を対象に県営住宅、市営住宅の空き部屋を無償で提供する方針だが、大量の避難者の受け入れはメドは立っていない。ライフラインでは電気が早い段階で復旧したものの、熊本市の中心部を含めて断水。飲用やトイレ用など生活用水が大幅に不足した。都市ガスもガス管などの開栓作業に時間がかかっている。市内中心部のホテルなどは営業を再開できないでいる。鉄道は断続的に運休していたJR鹿児島線が18日午後に荒尾―熊本間が運転を再開し、福岡方面との行き来ができるようになった。しかし直後に熊本駅舎の被害が判明し、約4時間ストップするなど混乱した。同線熊本―八代間も21日午後に運転再開にこぎ着け、福岡と鹿児島を結ぶ幹線は1週間ぶりに全線復旧した。当面は本数を減らして運行する。九州新幹線は大雨の影響もあり復旧作業が進まず、博多―新水俣間は復旧のめどが立っていない。空路は閉鎖していた熊本空港で19日に到着便の運航を再開。続いて出発便も再開したが、ターミナルビルの機能が完全ではなく、運航は一部にとどまる。 <自家発電システムと農業の電力化> *3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160422&ng=DGKKZO99945850R20C16A4TI1000 (日経新聞 2016.4.22) ヤマダが電力小売り、スマートハウスと合わせ提案、住宅子会社と連携 家電量販店最大手のヤマダ電機は家庭向けの電力小売市場に参入する。地域ごとに大手電力会社や新電力と提携し、ヤマダが販売代理店となって消費者に販売する。住宅子会社とも連携し、省エネ性能の高い「スマートハウス」と合わせて提案していく。主力の家電販売は人口減を背景に長期的に横ばいとみており、スマートハウスの関連商材を成長事業に育てる。電力小売り「ヤマダのでんき」は沖縄県を除く全国で6月からサービスを提供する。郊外などで全国に約1千店を展開するヤマダが参入することで、地方を中心に従来の電力会社からの切り替えが進みそうだ。サービスの詳細はこれから詰めるが、電力料金は大手電力会社より割安に設定する。ヤマダの店舗で使えるポイントも付与する方針だ。5月中旬から申し込みを受け付け、5年間で50万件の契約獲得を目指す。全国に約1千店あるグループの家電量販店で申し込みを受け付けるほか、注文住宅のヤマダ・エスバイエルホーム、低価格住宅のヤマダ・ウッドハウス(群馬県高崎市)の購入者向けにも電力を販売する。子会社コスモス・ベリーズ(名古屋市)のボランタリーチェーンに加盟する中小の電器店など全国1万店も販路として活用する。ヤマダは顧客獲得競争が激しい電力小売りだけを展開するのでは利幅が薄いと判断、スマートハウス事業の拡大で利益を上げる。同社は住宅子会社で家庭向けエネルギー管理システム(HEMS)や太陽光発電設備、蓄電池などを備えたスマートハウスを提供している。「電気料金のデータを分析すれば、新たなスマートハウスやHEMSのアイデアも生み出せる」(ヤマダの山田昇会長)との期待もあり、新事業の創出にも結び付ける。ポイント付与で家電販売の上積みも目指す。電力小売りは4月に全面自由化された。同社は本格的な普及はこれからと予測している。グループの事業基盤を生かして顧客を開拓する。同社は20年3月期の連結売上高を15年3月期比1割増の1兆8550億円に増やす計画。主力の家電販売は同期間によくて横ばいとみており、2千億円弱の増収分はスマートハウスを中心とした新規事業で稼ぐ考えだ。電力小売りの自由化を受け、家電量販店の間では新規参入の動きが広がっている。ビックカメラが東京電力と、エディオンが中部電力と組んで電力小売りを始めている。 *3-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37124 (日本農業新聞 2016/4/22) 予算確保万全に ため池 防災対策急げ 自民議連が小委設置 自民党の農村基盤整備議員連盟(会長=二階俊博党総務会長)が「ため池小委員会」(宮腰光寛委員長)を設置し、21日に初会合を開いた。地震や豪雨による決壊被害の防止が急務となる中、必要な予算は不足しているのが現状。十分な額の予算を確保するとともに、今後のため池整備に関する政府の方針に議論を反映させる考えだ。ため池は、大きな河川が少ない西日本を中心に全国約20万カ所あるが、7割が江戸時代以前に整備されたもの。一方で、近年増えている集中豪雨や、近い将来に予想される南海トラフ地震などによって決壊し、周辺に多大な被害をもたらす可能性が指摘されている。宮腰委員長は会合冒頭で「東日本大震災や熊本地震でもため池が被害を受けている。どうしっかり対応していくかを議論していきたい」と述べた。また8月に閣議決定する新たな土地改良長期計画や、秋までに取りまとめる土地改良制度の在り方の見直しにも意見を反映させたい意向を示した。会合で農水省は、ため池の決壊を防ぐための整備などを含む「農村地域防災減災事業」の予算が、2016年度は前年度比81%増の508億円になったと報告。ただ、ため池の数が多い上位3県の兵庫、広島、香川の各県や土地改良区の担当者からは、県の要望額と国の割当額に開きがあるなど、予算不足で「計画的に事業が進まない」といった意見が相次いだ。こうした状況を踏まえて二階会長は「財務省に宣戦布告はしてある」、宮腰委員長も「何しろ予算が足りない」と述べ、予算の確保に意欲を示した。出席議員からは、使わなくなったため池の廃止や、受益農家が減る中での負担軽減策も検討すべきとの意見が出た。 *3-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=36779 (日本農業新聞 2016/3/29) 「酪農発」新電力地域循環めざす 関連会社が購入、供給へ 北海道・JA士幌町 北海道のJA士幌町は28日、酪農家が取り組むバイオガス発電を活用し、4月からJA施設の電力の“地産地消”を始めると発表した。JAの関連会社(株)エーコープサービスが、バイオガス発電所から電力を購入、18施設に供給する。農家やJAが主体となり、農業から出るエネルギーを活用・循環する手法として注目を浴びそうだ。バイオガス発電は、家畜ふん尿をメタン発酵させて出るガスで発電する。酪農・畜産農家の悩みの種であるふん尿処理の解決策となる。残さとして出る副産物も牛舎や畑地に還元できる。多額の投資が伴うが、固定価格買取制度で1キロワット時当たり39円(税別)で売電できるようになり、設備の普及が加速している。同JAはバイオガス発電に積極的で、町内の酪農家8戸がそれぞれ導入している。北海道電力に売電していたが、地元が購入する仕組みをつくり、電力の“地産地消”に踏み出す。電力はエーコープサービスが購入し、JAの事務所やAコープなど18施設に供給。契約電力は計約700キロワットを見込む。JAでは今後2基のバイオガス施設の稼働を控えている。同社の社長を務めるJAの七條光寛常務は「発電量に見合ってどのように供給できるかを考え、地産地消を進めていきたい」としている。 *3-4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=36898 (日本農業新聞 2016/4/8) 電気自動車 農村を快走 充電環境ぐんと充実 エコ 経費節減も もちろん 電気モーターを動力源とし、ガソリンを使わない電気自動車(EV)が農村で、じわりと浸透してきた。JAの店舗や農産物直売所でも急速充電ができるようになるなど環境が整備されたことから、EVを所有する農家が年々増加。初期投資はガソリン車以上にかかるものの、乗り換えた農家は、環境に優しいだけでなく経費節減につながると効果を実感している。車を利用して4年。ブルーべリーのプリンなど農産加工品の配達で、1日に150キロ近く走行することもある。環境への配慮が購入のきっかけだが、今では「大幅な経費節減になった」と実感する。充電は主に道の駅や購入先のメーカー、家などで済ませる。電気代など維持費は推定で年間3万~4万円。燃料代で年間約40万~50万円が浮いた計算だ。オイル交換の必要がなく、車検費用も半分以下だ。初期費用は約380万円と、ガソリン車に比べて高いが「元は取れた」とみる。しかも近隣の給油所は近年減っていることから「電気自動車は便利だ」と痛感する。心配だったのは走行距離だが、最近は道の駅やサービスエリアに充電器の設置が進み、途中で急速充電しながら約470キロ先の札幌市まで高速道路を使って行けるようになった。横田さんは「小まめに充電すればよく、不自由さは感じない。賢く使って経費を抑えられた」と喜ぶ。公用車に電気自動車を導入したり、急速充電器を設置したりするJAも増えている。東京都JAマインズ、静岡県JAおおいがわ、滋賀県JA草津市、JA鳥取中央などでは直売所や本店に急速充電器を設置。買い物や食事、JAで用事を済ませる間に充電できる体制を整えた。佐賀県JAからつが運営する直売所「唐津うまかもん市場」も急速充電器を設置。事務担当の坂本輝憲さん(39)は「充電を目的に来てくれるお客さんもいて、直売所のPRになっている」と歓迎する。 ●JA店舗や直売所でも 次世代自動車振興センターによると、EVの保有台数は2009年度末(9000台)以降、年々増えて、14年度末には全国で7万台を超えた。1回フル充電した時の走行距離は100~300キロ、30分の急速充電ができる車種が一般的だ。200ボルトの家庭用電源を使うと8時間前後でフル充電できる。購入への補助事業もあるが、初期投資がかかるため、誰もが「お得」というわけではない。同センター次世代自動車部の荻野法一課長によると「車を多用し、小まめに充電できる環境がある」農家にお薦めという。充電器の普及状況を調べる「GOGOEV」によると、充電器の設置場所は急速・普通合わせて約1万7800カ所と、年々増加している。一方、給油所は14年度末で3万3510カ所(経済産業省調べ)。ここ20年間で、半数近くの約2万7000もの給油所が消えた。それだけに荻野課長は「充電環境が整ってきた電気自動車は、農村部でさらに広がる可能性がある」と見通す。 <原発停止からエネルギーの変換へ> *4-1:http://www.kochinews.co.jp/article/17519/ (高知新聞 2016.4.24) 地震続発で伊方原発に危機感 松山市で再稼働反対集会 7月下旬ごろに見込まれる四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働に反対する集会が4月23日、松山市の城山公園で開かれ、中四国のほか九州の原発立地先の住民ら約2800人(主催者発表)が参加した。熊本、大分両県で相次ぐ地震を受け、中央構造線断層帯に近接する伊方原発の過酷事故に対する危機感を訴えた。松山市の市民団体「伊方原発をとめる会」の主催。「熊本で地震が起きても(鹿児島県の九州電力)川内原発を止めない。悔しい」。松山城近くの公園。福島県いわき市出身の講談師、神田香織さんが訴えた。「事故から5年たっても福島はのたうち回っている。私たちの経験が生かされていない」。14日以降、九州地方で大型地震が連続している中、川内原発1、2号機は「安全上の問題はない」として運転を続けている。川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市の村山智さん(68)は「これだけ地震が続いているのだから、安全と言われても信用できない。原発をいったん止め、専門家の意見を聞きながら本当に大丈夫か検証すべきだ」。上原正利さん(68)の自宅は川内原発から約8キロ。「九州では大地震は起きないと言われていた。前例のないことも実際に起きる。いったん動きだしたら止めるのは難しい。いま伊方の再稼働を止めないと」。大分県津久見市の池見耕治さん(75)は、16日深夜の地震で跳び起きたという。「まず心配したのは伊方と川内。活断層の範囲が熊本から伊方の方向に広がっているから」。伊方原発は佐田岬半島に位置し、その北側の沖合6~8キロの海底には日本最大の中央構造線を構成する断層帯が東西に走る。豊後水道を挟み、津久見市の一部は伊方から50キロ圏内。余震が続く中で集会に参加した池見さんは「地震が起こると道路は寸断され、避難などできない。活断層だらけの日本に原発など造ってはいけない」と強調した。集会後、参加者は四電原子力本部前などをデモ行進した。高知県からは約70人が駆け付けた。高知市の女性(52)は九州の地震のニュースを見るたび、伊方近くの中央構造線が気になって仕方がないとし、「廃炉にするしかない。福島のように想定以上のことが起こってからでは遅い」と語気を強めた。 *4-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/302719 (佐賀新聞 2016年4月19日) 活断層と原発 広がる震源域、不安増す、川内原発で規制委「問題ない」 熊本の地震を引き起こした活断層を巡り、原子力規制委員会は18日、全国で唯一稼働中の九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)は「安全上の問題はない」として、停止は不要との考えを示した。7月下旬の再稼働が予定される四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の近くにも活断層があり、住民の不安が広がっている。 ■活発化懸念 14日以降の一連の地震を引き起こしたとされるのは「布田川(ふたがわ)断層帯」「日奈久(ひなぐ)断層帯」。14日夜の前震では震度7、マグニチュード(M)6・5、16日未明の本震では震度6強(M7・3)が観測された。断層帯の北東部に加えて、川内原発に近づく南西部の活発化が懸念されている。川内1、2号機は2014年9月に新規制基準の審査に合格したが、審査で断層帯について議論済みだ。九電は二つの断層帯が全域の長さ92・7キロにわたって一度に動き、M8・1になるとの想定で川内原発への影響を評価したところ、原発での最大加速度は150ガル程度にとどまった。震源の直上から敷地への距離が約90キロと遠いためだ。九電は、直下に未知の震源があることも想定し基準地震動(耐震設計で目安とする揺れの想定)を最大加速度620ガルと設定しており、規制委は施設への影響はないとしている。 ■中央構造線 一方、今回の地震では大分県側にも震源域が広がったことで新たな懸念が生まれている。「別府-万年山(はねやま)断層帯」と、その延長線上に位置する「中央構造線断層帯」だ。中央構造線は四国の北部を通り近畿地方まで延びる長大な活断層で、伊方3号機の審査で最大の焦点となった。四国電は当初、基準地震動を570ガルと設定していたが、別府-万年山と中央構造線が計480キロにわたって連動するとの想定を加えて最大650ガルに引き上げた。愛媛県がさらに対策を求めたため、四国電は施設がおおむね千ガルにも耐えられるよう工事をした。田中俊一委員長は「中央構造線は審査で十分検討した」としている。ただ伊方原発は南海トラフ巨大地震の震源域にある。広島の被爆者を中心とする約65人は今年3月、地震や津波による被害が強く懸念されるとして、伊方原発の運転差し止めを求め広島地裁に提訴。同時に差し止めの仮処分も申請しており、地裁の判断が注目される。原告団長で被爆者の堀江壮さん(75)は原発事故への不安を口にする人が増えたとして「原爆も原発事故も同じ放射線の被害者を出した。四国電は再稼働を絶対にやめてほしい。政府も国民の不安を取り除くために賢明な判断をしてほしい」と訴えた。 *4-3:http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0261718.html (北海道新聞 2016年4月21日) 「政府は安全神話流布」 大間原発訴訟、函館市が批判 函館市が国と電源開発(東京)に大間原発(青森県大間町)の建設差し止めなどを求めた訴訟の第8回口頭弁論が20日、東京地裁(林俊之裁判長)であった。函館市側は、原発の審査基準となる新規制基準について「欧州諸国と比べて緩やかであり、世界で最も厳しい基準だと強調する政府は新たな安全神話を流布している」と批判した。函館市側は新規制基準の問題点として、耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)を挙げた。2005~11年の約6年間に、基準地震動を超える揺れが全国の原発立地地域で5回観測されていることを指摘。欧州では基準地震動は1万年に1回未満の発生確率で設定されているとして「日本の発生頻度は異常だ」として基準を見直すべきだと強調した。大間原発は、ウランと原発の使用済み燃料から取り出したプルトニウムを混ぜて作る混合酸化物(MOX)燃料だけを使う、世界初のフルMOX商業炉だ。函館市側は「ウラン燃料の原子炉より危険性が高いのに、新規制基準にはフルMOXに特化した規則がない」とも批判した。また、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めを認めなかった今月6日の福岡高裁宮崎支部決定については「論理矛盾が複数ある不当な決定」と述べた。国と電源開発の主張はなかった。次回期日は7月14日。 *4-4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12320288.html (朝日新聞社説 2016年4月21日) 原発40年規制 早くも骨抜きなのか 原子力規制委員会は、運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県)について、新規制基準を満たしていると正式に決めた。新基準のもとで40年超の老朽原発の運転延長が認められるのは初めてだ。残る細かい審査を7月の期限までに終えれば、あと20年、運転が続く公算が大きい。「40年ルール」は福島での事故後、法律を改正して導入された。「1回だけ、最長20年間」と定められた運転延長は「極めて例外的」と位置づけられた。あえて例外を設けたのは電力不足に備えるためだったが、節電や省エネの定着で懸念は解消していると言っていい。おりしも熊本県を中心に「今までの経験則からはずれている」(気象庁)という地震が続く。隣の鹿児島県で運転中の九州電力川内原発に影響が及ばないか、不安を感じている国民は少なくない。いきなり例外を認め、規制のたがを緩めるような対応は、原発行政への不信を高めるだけではないか。安倍政権は個別原発の可否の判断を規制委に丸投げしつつ、運転延長を前提にしたエネルギー計画を立てた。「原発依存度を可能な限り低減する」と繰り返していた首相は、なしくずしに方針を転換してきた。規制委は、あくまで科学的見地から原発の安全性を高めることが役割だが、今回の審査では耐震性の試験を後回しにすることを関電に認めるなど、手順に疑問が残る。7月の審査期限をにらんだスケジュールありきだったとすれば、まさに本末転倒である。結局、廃炉にするかどうかの実質的な判断は電力会社に委ねられ、運転延長が採算に合うかどうかという観点から決まるという状況になりつつある。狭い国土に多くの人が住み、地震など自然災害も多い日本で、多くの原発を抱えていくリスクは大きい。福島での事故を経て、そこが原子力行政見直しの出発点だったはずだ。原発を維持する政策をとり続ければ、廃棄物の処理などで長期的には国民負担も増えかねない。エネルギー自給率は再生エネルギーの育成で高めようというのが世界の大勢だ。移行期間は必要だとしても、着実に原発を閉じていく政策にこそ合理性があろう。40年規制はそのための柱の一つである。そのことを思い起こすべきだ。 *4-5:http://qbiz.jp/article/85491/1/ (西日本新聞 2016年4月23日) 九州の再エネ施設は大半無事だった 太陽光、風力、地熱… 地震でライフラインに被害が出た熊本や大分に多く立地する、太陽光などの再生可能エネルギー発電設備はどうだったのか。経済産業省九州産業保安監督部(福岡市)が行った調査の結果、一部設備に損傷があったものの大半に異常がないことが分かった。同監督部は「地震の規模からみて相応の被害が懸念されたが、ほとんど無事だったことは評価できる」としている。事業者への18日時点の聞き取りによると、所管する熊本、大分両県内の太陽光発電設備(出力2千キロワット以上)は計23カ所あり、九州電力の送電網停止が原因と思われる停止が1カ所あった以外は稼働しており、設備自体に損傷はなかった。風力発電設備(同500キロワット以上)計11カ所のうち、熊本県内の4カ所が停止したが、3カ所は九電の送電網停止が理由。1カ所だけ地下ケーブルが土砂崩れのために損傷した可能性があるが、風車の倒壊や羽根の脱落はないという。地熱でも設備に異常はなく、大分県九重町の九電八丁原発電所1号機が地震で自動停止したが、点検が完了し、運転を再開した。水力は熊本県内55カ所のうち3カ所で導水管の損傷などのため停止。大分県内49カ所はほぼ異常がないとしている。 <原発再稼働関係の追加> PS(2016年4月26日追加):*7-1~*7-4のように、これまで対処済と言われていた原発事故時の避難は、(もともと大して検討されていないことはわかっていたが)今回の地震で机上の空論であることが明らかになった。また、日本のようなプレート銀座・断層銀座では、安全に原発を立地できるような場所はなく、原発の温排水が漁業に悪影響を与える上、原発があると他産業を誘致できない(他産業は、わざわざ危険な場所には行かない)など、百害あって一利なしなのである。そのため、それぞれの原発地元は早急に廃炉にすべきで、「本当に原発がなくなっていいの?」と聞く人もいるが、私は逆に「そこまでして何のために原発を残さなければならないの?」と問いたい。そして、これは、“特定秘密”にするのではなく、主権者である国民に明確に説明すべきことだ。 *7-1:http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=3965113&media_id=173&from=twitter&share_from=view_news (mixiニュース 2016年4月26日) 国際基準では「動かしてはいけない」はずが…稼働続ける川内原発21 地震が頻発する中、震源域から80キロほどにある川内原発が、運転を続けている。活断層による直下型地震に、日本の原発は耐えられるのか。熊本や大分で4月14日以降続いている地震は、震源域が南西側、北東側に拡大した。南西側の延長線上には、付近に国内で唯一稼働中の九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)がある。「放射線モニターの指示値に変化はなく、外部環境への影響はありません」。九電は、大きな地震が起きるたびにこのような発表を繰り返し、2基を停止する考えがないことを示す。原子力規制委員会の田中俊一委員長も4月18日の会見で「今は安全上の問題はない」と強調。理由として、近くの活断層がマグニチュード(M)8.1の地震を起こしても、安全が保たれることを確かめてある、と説明した。しかし地震後、川内原発は国際原子力機関(IAEA)が定める安全基準を満たせない状況になっている。基準では第5の防護層として、緊急時の避難計画を求めている。ところが、川内であてにされている高速道路や九州新幹線は、地震で不通区間が残る。熊本県にも避難者を受け入れてもらう予定だが、そもそも川内原発から熊本県境までは40キロ弱しか離れていない。福島原発事故で、約50キロ離れた地点まで居住制限区域レベルに汚染されたことを考えると、熊本県民も迅速に避難する必要が出てくる。何より、今それどころでないのも明らかだ。国際基準に照らせば、少なくとも周辺地域が平常状態に戻るまで、原発を動かしてはいけないのだ。一方、震源域の北東の先には、四国電力伊方原発(愛媛県)がある。実は四電は、伊方への立地を決めた40年以上前、中央構造線は1万年前以降は地震を起こしていないと軽視。1、2号機とも300ガル(地下の基盤面での数値、以下同)の想定で設計している。ところが1990年代に入って、岡村眞・高知大学特任教授らの調査で、敷地前面の中央構造線断層帯が、1万年前以降もたびたび大地震を起こしていることがわかった。住民が伊方原発2号機の設置許可取り消しを求めた訴訟の判決(2000年)でも、松山地裁は住民の訴えを棄却したものの、中央構造線について国の安全審査が「結果的に誤りであったことは否定できない」と指摘した。四電はその後、研究の進展にあわせて何度も揺れの想定を見直し、福島原発事故後は650ガルになっている。しかし岡村特任教授は「古い原発でも使える範囲でしか、想定を変えていない。最近のデータに照らせばまだ過小評価。中央構造線が動けばこんなものでは済まない」と話す。四電は3月、1号機を廃炉にすると発表した。福島原発事故後に策定された新規制基準に適合するように補強するには費用がかかりすぎるからだ。一方、同じレベルで設計した2号機と、3号機(473ガルで設計)は使い続ける。規制委は4月19日、3号機の再稼働の前提となる審査を全て終えたと発表した。四電は今年7月下旬の再稼働を目指している。何事もなかったかのように、着々と進む原発再稼働。本当に大丈夫なのか。( *7-2:http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20160426/CK2016042602000103.html (中日新聞三重 2016年4月26日) 川内原発の即時停止を 熊本地震受け県保険医協会が声明 多くの被害をもたらし、大勢の避難者が出ている熊本地震を受け、県内の開業医、勤務医ら約二千人でつくる県保険医協会(渡部泰和会長)は二十五日、新規制基準の審査に適合とされた原発として、全国で唯一稼働中の九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の即時停止を求める会長名の声明を首相や地元選出国会議員、県議らに送ったと発表した。声明は、地震の強い振動が原発にどんな損傷をもたらし、その蓄積がどのような影響を及ぼすかが未調査だとした上で、原発直下に最大震度の地震が発生する可能性を指摘。避難計画が不十分で、免震棟もないまま再稼働したことにも触れ、福島第一原発事故の経験を踏まえて「異常があってからでは遅い」と指弾した。 *7-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/305156 (佐賀新聞 2016年4月26日) 市民団体、規制委に川内原発の停止要請、「住民不安」 佐賀県内外の反原発市民団体は25日、熊本地震で住民の不安が高まっているとして、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)を直ちに停止させるよう、国会の参議院会館で原子力規制委員会に要請した。「玄海原発プルサーマルと全基を止める裁判の会」らが原子力規制庁の担当者に要請書を手渡した。川内や玄海原発について全ての配管や建屋を点検、結果を公表することに加え、国主導での避難計画策定も求めた。裁判の会の石丸初美代表は「今回の地震で屋内退避を想定した避難計画が不可能なことだと分かった。被災者は余震が怖くて外で過ごしている」と訴えた。規制庁との意見交換では「今回のような繰り返し襲う地震を想定した耐震安全基準になっているのか」という質問が出た。担当者は、重要な機器に関しては何度揺れても変異せず元に戻る「弾性設計」の範囲内に収まるよう基準を設けていることを説明した。 *7-4:http://qbiz.jp/article/85614/1/ (西日本新聞 2016年4月26日) 脱原発へ「肥薩ネット」 地震対応、懸念相次ぐ 全国で唯一稼働中の九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)から30〜40キロ圏にある鹿児島、熊本両県の脱原発市民団体などが連携する「川内原発を考える肥薩ネットワーク」の設立総会が24日、鹿児島県出水市で開かれた。熊本地震で断層帯の危険性があらためて注目されたこともあり、川内原発への影響を懸念する意見が相次いだ。鹿児島市の反原発市民団体の向原祥隆代表が記念講演。川内原発で地震による重大事故が起きた際の避難計画について「熊本地震の被害で屋内退避はできないとはっきりした」と実効性に疑問を呈した。さらに同原発付近では危険性がないとされる活断層についても「原発付近まで延びる可能性を専門家が指摘している」と話した。出水市の市民団体代表は「地震の終息や発生は予測できない。命を守るには原発を止めることだ」と訴えた。「肥薩ネット」に参加するのは熊本県水俣市と、鹿児島の出水、阿久根、伊佐各市の市民団体や市議ら。今後も情報を共有し、現在の避難計画の見直しなどで連携を図るという。 PS(2016年4月26日追加):このように、2016年4月14日、16日に中央構造線上で激しい地震が起こり、その後920回以上の余震が続いている中で、*9のように、伊方原発3号機の審査が終了し、原子力規制委員会は保安規定を認可したそうだが、それでは審査の意味がないだろう。 *9:http://digital.asahi.com/articles/ASJ4M4RC4J4MULBJ00V.html (朝日新聞 2016年4月19日) 伊方原発3号機、審査終了 規制委、保安規定を認可 四電は19日、「今後も検査に丁寧に対応し、再稼働に向けたステップを安全最優先で確実に進めます」とのコメントを発表した。規制委は、設備が計画通りに設置されているかや、正常に動くかといった検査を今月から現地で始めている。検査は再稼働まで続く。伊方原発は、使用済み燃料から取り出したプルトニウムをウランに混ぜた燃料(MOX燃料)を使うプルサーマル発電を計画。四電は2013年7月に審査を申請した。規制委は昨夏、安全対策の基本方針が新規制基準を満たすと認める審査書を決定。設備の詳細設計を記した「工事計画」も今年3月に認可した。すべての許認可を受けたのは、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)と関西電力高浜原発3、4号機(福井県)に続き3例目となる。愛媛県や伊方町は、昨年10月に再稼働に同意した。伊方原発は瀬戸内海に面する佐田岬半島の付け根にあり、半島に住む住民は重大事故時に対岸の大分県などに避難する計画だ。 PS(2016年4月27日追加):「フクイチ事故で被害者は出なかった」と今でも主張し、原発事故の被害はなかったことにしようとしている人がいるが、それは、現実から逃避した放射能安全神話にすぎない。また、私も、「チェルノブイリ事故は旧ソ連だから起きたので、日本では起こらない」と日本の原発関係者や経産省の担当者から何度も聞かされたが、これこそ日本人が陥りやすい根拠なきプライドであり、傲慢なのだ。そして、(このブログに何度も記載したため、長くは書かないが)*11からもわかるように、国民負担から見て最も高くつくのが原発なのである。 *11:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201604/CK2016042602000130.html (東京新聞 2016年4月26日) 「科学技術進んでも原発事故は起き得る」 ベラルーシのノーベル賞作家が警告 旧ソ連ウクライナ共和国で起きたチェルノブイリ原発事故から二十六日で三十年。最大の被害を受けた隣国ベラルーシ共和国の作家で、昨年ノーベル文学賞を受賞したスベトラーナ・アレクシエービッチさん(67)=写真、共同=が共同通信のインタビューに応じ、「科学技術が進んでも原発事故はまた起こり得る」と、福島第一原発事故を念頭に警告した。チェルノブイリ事故で被害に遭った人々の証言を集めたノンフィクション作品などで知られるアレクシエービッチさんは、ベラルーシの首都ミンスクの自宅で「原発事故とは何か。三十年たってもその本質を理解している人はいない。私たちは今もこの問題の蚊帳の外にいる」と述べた。ベラルーシは事故で放出された放射性物質の約六割が降下したとされ、約二十万平方キロの国土の13%が今も汚染されている。汚染地域には人口の一割超の約百十万人が住んでいる。「政権はチェルノブイリという言葉を使うのを事実上禁止している。事故を克服するのではなく、風化させて無かったことにしようとしている」。一方で「私の本は、国内で出版できないが、ロシアから持ち込まれ少しずつでも読まれている。この流れは止めることはできない」とも。同じ原子力災害の第一原発事故に思いをはせる時、忘れられない言葉が頭をよぎる。二〇〇三年に講演で日本を訪れた時のことだ。日本の原発関係者から「チェルノブイリ事故は旧ソ連の人が怠惰だったから起きた。技術大国の日本ではあり得ない」と言われた。その八年後に第一原発事故が起きた。「二つの事故で分かったのは科学技術が進んでいても、真摯(しんし)な態度で管理していても原発事故は起こり得るということ。むしろ技術が進むほど、大きな事故につながるのではないか。人間が自然に勝つことはできないのだから」。原発事故の被災国であるベラルーシでは今、初めての原発建設が進んでいる。建設中の二基のうち1号機は一八年に完成、稼働する計画だ。国民は反対しないのか、と尋ねると「反原発運動も環境保護運動も禁止されていて、大統領の独断に国民は反対できない。それに、経済的に困窮した国民は原発問題よりも、明日の仕事のことを心配している」との答えが返ってきた。第一原発事故に強い関心を持ち、年内にも福島を訪れたい、という。「三十年たっても、私たちが原発事故について理解しているのは、薬や治療が必要だということだけ。原発事故を哲学的に、人類学的に考え、理解することこそ必要。フクシマで何が起きているのか、日本の人々がどう考えているのかを聞きたい」と話した。 <スベトラーナ・アレクシエービッチさん> 1948年5月、旧ソ連ウクライナ共和国生まれ。父はベラルーシ人、母はウクライナ人。ジャーナリスト、作家として活動し、多数の市民から聞き取った話を一人称の独白形式で表現する手法が特徴。邦訳された「チェルノブイリの祈り」は86年のチェルノブイリ原発事故の処理に当たった人や地元住民らの証言を記録。2015年、ノーベル文学賞受賞。 PS(2016年4月28日追加):断層地震により、これだけの心配と迷惑をかけても川内原発を停止させないのは、国民のためでも産業のためでも国のためでもなく、九電の利益のためだということが、*14-1で、さらに明確になった。九州が最小のコストで素早く効果的に復興できるか否かは、原発事故のあるなしで大きく左右されるのにである。しかし、*14-2の、田代九経調常務理事が「地震がないことが魅力的な企業進出先や観光地としての強みを支えていただけに、九州は危ないというイメージを持たれ続けると九州経済全体にとって長期的な打撃になると懸念している」と言っていることについては、企業の進出先として最もリスクが高いのは原発事故であるし、この地震によって阿蘇山を含む中央構造線の存在が有名になり、真実は隠しても限界があるため、隠すよりも日本列島の成り立ちまで考察しながら日本の自然を見る観光に活用する方が賢明だと考える。 *14-1:http://qbiz.jp/article/85868/1/ (西日本新聞 2016年4月28日) 九電が4年ぶり復配 1株5円、川内原発再稼働が寄与 九州電力が4年ぶりに株主配当を復活する方針を固めたことが27日分かった。配当額は1株5円で最終調整している。28日の取締役会で正式決定する。川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働による収支改善などで、2016年3月期連結決算が5年ぶりの最終黒字になることなどを踏まえて判断した。九電は管内の全原発停止により燃料費がかさみ、15年3月期まで4年連続の最終赤字を計上。株主配当は12年3月期を最後に途絶えていた。原油安による燃料費の低減に加え、昨年の川内原発再稼働で収支が改善。福岡高裁宮崎支部が今月、川内原発の運転差し止めを求める仮処分申請を棄却したことで当面の収支悪化リスクを回避できる見込みとなったこともあり、復配に踏み切る。 *14-2:http://qbiz.jp/article/85874/1/ (西日本新聞 2016年4月28日) 地震のイメージ払拭を 田代雅彦・九経調常務理事に聞く 西日本景気トレンド 熊本地震発生から約2週間。九州新幹線の全線再開など復旧の動きが本格化しているが、九州経済への影響は広範囲に及び、被害の規模も計り知れない。九州経済調査協会(福岡市)の田代雅彦・常務理事調査研究部長に現状と今後の見通しを聞いた。今回の地震は、ものづくりと観光、1次産業という九州の強みが集積する熊本と大分で起きてしまった。「地震がない」ことが、魅力的な企業進出先や観光地としての強みを支えていただけに、「九州は危ない」というイメージを持たれ続けると、九州経済全体にとって長期的な打撃になると懸念している。その意味では、九州新幹線の全線再開や高速道路の再開など、インフラが予想以上に早期に復旧している姿を示せていることは大きい。国内外に影響を与えている自動車や半導体大手の関連工場も復旧しつつあるようだ。東日本大震災のときほど影響は長期化しないのではないか。むしろ、人材と資金が不足しがちな中小企業や零細企業の被害と復旧の度合いが心配。早めの実態把握が必要だ。観光分野では国内外の宿泊キャンセルが相次いでおり、復旧が進んだ後も風評と闘う状況になるだろう。九州の官民が一体となって正確な情報を発信し続けることが欠かせない。忘れてはならないのは、被災された方々への生活支援の強化。当協会は昨年末、九州経済の2016年度実質成長率をプラス1・8%と予想した。地震による下押しリスクは当然あるが、復旧に伴う公共工事や設備投資など数字上はプラスに働く面もある。数字には表れない被災者の生活支援や防災計画の見直しなど「災害に強い九州」に官民で取り組み、対外発信することが、マイナスイメージの払拭(ふっしょく)にもつながると考える。 PS(2016年4月28日追加):*15のとおり、ルールさえ作ってそれを守ればよいのでないことは明らかで、そのルールの内容(適切性)が最も重要である。何故なら、「放射性セシウム濃度が1kg当たり8千ベクレル以下なら指定を解除して一般ごみと同様に処分を認める」というのは、分量が多ければ濃度が低くても有害物質の総量が非常に大きくなるからだ。従って、この基準は、原発事故処理を早く終えたいためだけの住民を置き去りにした棄民政策であり、どこに処分するか、どこで焼却するか(放射性物質は焼却しても残り、焼却時に周囲の広い範囲に拡散する)は、明確に開示すべきである。 *15:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/306101 (佐賀新聞 2016年4月28日) 指定廃棄物で新ルール、環境省、濃度下回れば一般ごみに 環境省は28日、東京電力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物に関し、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8千ベクレル超の基準を下回った場合は指定を解除し、一般ごみと同様の処分を認める新ルールを正式決定した。解除は国と自治体が協議して決める。解除後の処分費用は指定廃棄物と同様、国が負担する。放射性物質汚染対処特別措置法の省令を改正し、同日付で施行した。 PS(2016年4月29日追加):*16のように、原子力規制委は、「現状はすべて想定内で、我々が納得できる稼働を止めるべき科学的根拠はなく、川内原発で想定外の事故が起きるとは判断していない」とのことだが、原発の安全性は自動車のように実験して計ったものではなく、コンピューターでシミュレーションしたものにすぎない。そのため、シミュレーション時に想定していなかった事象は考慮されておらず、どこが破損するかわからないため、「安全だ」と言う科学的根拠こそないのである。 *16:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12334057.html (朝日新聞 2016年4月29日) (時時刻刻)地震、原発止めず大丈夫? 川内停止要望、約5000件 熊本県などでの地震が続くなか、九州電力川内原発(鹿児島県)は「安全性に問題ない」と運転を続けている。気象庁は今後も強い揺れに警戒するよう呼びかけているが、原子力規制委員会は運転に「お墨付き」を与える。活断層が動くことによる地震はわからないことが多い。想定外の事態が起きた時、原発は大丈夫なのか。川内原発は全国で唯一、稼働中の原発で、熊本地震を経ても変わらない。九州電力の瓜生道明社長は5年ぶりの黒字決算を発表した28日の会見でこう語った。「原子力は国の基本計画でも必要なエネルギー。安全を確認し、問題ないと判断して運転している」。16日未明のマグニチュード(M)7・3の本震時、川内原発で観測した揺れは最大で8・6ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)。緊急停止させる設定値(160ガル)を下回った。それでも「想定外」に備え停止を求める声が広がった。九電には15日からの1週間に、停止の要望がメールや電話などで約5千件寄せられた。九電の予想では今夏に2013年並みの猛暑になっても、電力需要に対する供給の余力(予備率)は14・1%。川内原発の供給力を単純に引くと、最低必要とされる3%を下回るが、昨年の計画並みに他社から融通を受ければ、余力は計算上6%を超える。九電幹部も「川内が動かなくても、安定供給は当面は維持できる」と明かす。ではなぜ原発にこだわるのか。当面の発電コストが火力などより安く、経営面でうまみが大きいからだ。九電は東日本大震災前の原発依存度が全国でもトップレベルで、発電量の4割近くをまかなってきた。原発の停止で経営は悪化したが、「切り札」(幹部)の川内原発が再稼働し、月100億~130億円ほど収支が改善した。九電の瓜生社長は会見で、次は「玄海原発の早期再稼働を目指したい」と語った。 ■規制委「想定外、起きない」 「我々が納得できる科学的な根拠はない。止めるべきだとの声があるから、政治家に言われたからと言って止めるつもりはない。現状はすべて想定内。今の川内原発で想定外の事故が起きるとは判断していない」。熊本県などで一連の地震が続くなか、原子力規制委員会の田中俊一委員長は18日、川内1、2号機などの状況報告を受けた臨時委員会の後でそう語った。東京電力福島第一原発事故の教訓を受け、新規制基準では地震対策が強化された。原子炉建屋などの直下に活断層があると再稼働できず、北陸電力志賀1号機(石川県)や日本原子力発電敦賀2号機(福井県)は廃炉を迫られている。今回地震を起こした布田川(ふたがわ)・日奈久(ひなぐ)断層帯の活動も、川内原発の審査で、阿蘇から八代海の海底まで全長約90キロが連動してM8・1の地震が起こるケースを想定。川内原発の揺れを約150ガルと試算していた。原発の揺れは原子炉建屋地下の固い地盤でみる。地表では増幅され、揺れが大きくなることが多い。審査では未知の活断層なども想定。地表で最大1127ガルを記録したM6・1のモデル地震が川内原発の直下で起きたと仮定して、原発の揺れは最大620ガルと算出された。この値が、川内で耐震設計のもととなる最大の揺れ(基準地震動)になっている。仮に基準地震動を上回る揺れで設備が壊れても、消防車や電源車などを使って原子炉を冷やす過酷事故対策で放射性物質の放出を食い止める、というのが規制委の論理だ。ただ、今回は震度7が約28時間の間隔で連続するという専門家の想定を超える事態だった。熊本県益城町では復旧作業にあたっていた電源車が転倒し、道路や鉄道は広域で寸断され、余震を恐れて屋外や車で寝泊まりする人が相次いだ。過酷事故対策の作業中に激震の追い打ちを受けたらどうなるのか。5~30キロ圏の住民に指示される屋内退避は成り立つのか。27日の会見で問われた田中委員長は言い切った。「川内原発に活断層はない。耐震設計もしており、そういう心配はしなくていい」「丈夫な建物や遠くに避難することになると思う。5~30キロ圏の建物が全部だめになることは考える必要もない」 ■事故恐れ止めた例も 危険な状態がおさまるまで、原発を一時的に止めることはできないのか。前例はある。東日本大震災直後の2011年5月6日、当時の菅直人首相は中部電力に、浜岡原発(静岡県)の停止を要請した。巨大地震の想定震源域の真上にあり、被災して福島のような大事故が起きれば、東海道新幹線や東名高速などが断たれ、日本が壊滅的な打撃を受ける心配があったからだ。中部電内には「法的権限に基づかない要請に従う必要は無い」との反対論もあったが、政権トップの「政治決断」は受け入れるしかなかった。自民党政権だった1979年には、米スリーマイル島原発の事故を受け、当時の日本の規制当局である原子力安全委員会が、同タイプの関西電力大飯原発1号機(福井県)について、事故の原因となった装置に問題がないと確認できるまで停止するよう求めた。これを受け、当時の通商産業省(現経済産業省)は一時停止を求め、関電は約2カ月間の停止に応じた。米国でも、巨大ハリケーンなどが予測された際、緊急事態を想定して原発を停止した例がある。19日の衆院環境委員会。菅氏は浜岡の例を挙げて「予防的な観点から、しばらくは(川内原発を)停止するといったことを安倍総理に進言したらどうか」と規制委を所管する丸川珠代環境相に求めた。だが、丸川氏は「規制委の判断を尊重する」と答弁し、政府が責任を負うことに慎重な構えを崩さなかった。事故の教訓を踏まえて改正された原子炉等規制法では、「災害発生の急迫した危険」があれば規制委に停止を命じる権限はある。ただ、どんな想定が「急迫した危険」にあたるかは具体的に決まっていない。 PS(2016年4月30日追加):*18のように、4月29日に大分県由布市北部が震度5強の「最大余震」に見舞われた。これまでは日奈久断層帯、布田川断層帯が中心だったが、今回は別府−万年山断層帯が震源で、この断層帯は大分県東部の鶴見岳や別府湾の海底にも連なり「地下深くでつながっている」と指摘する専門家もおり、「本格的に動けば、M7級の地震を引き起こす恐れもある」とのことである。そのため、伊方原発と川内原発がリスクの高い危険な状態になっていることは間違いない。 2016.4.30 中央構造線と 2016.4.16 2016.4.19 西日本新聞 原発の位置 西日本新聞 西日本新聞 *18:http://qbiz.jp/article/86034/1/ (西日本新聞 2016年4月30日) 2016熊本地震、「本格活動でM7も」と識者 断層帯、連鎖やまず 「最大余震」に大分県が見舞われた。29日に由布市北部を震源として発生した震度5強の地震。これまで熊本地震の余震は、熊本県内の日奈久断層帯や布田川(ふたがわ)断層帯が中心だったが、今回は大分県中部地方を走る別府−万年山(はねやま)断層帯が震源とみられ、熊本地震の影響が広範囲に及んでいることをあらためて示した。複数の断層帯がひしめく九州。専門家は「連鎖はしばらく続く」との見方を強めている。気象庁によると、熊本地震で千回を超える余震(震度1以上)の震源は、これまで熊本地方と阿蘇地方が中心で、大分県中部地方は比較的少なく、規模も小さかった。ただ、このエリアには阿蘇地方と隣接する別府−万年山断層帯があり、16日の本震後、大分県中部地方を震源とする震度3以上の余震が36回観測されている。今回の地震についても、九州大地震火山観測研究センターの清水洋センター長(地震火山学)は「熊本地震の前震や本震から誘発されて起きた」と指摘する。別府−万年山断層帯の特徴は、多くの断層がひしめき合っている点。一つ一つの断層は短いが、福岡管区気象台の石原和彦地震情報官は「今回は震源の深さが7キロと非常に浅い地震だったため、大きな揺れとなった」とみている。一方、同断層帯は大分県東部の鶴見岳や別府湾の海底にも連なり「地下深くでつながっている」と指摘する専門家もいる。今回の地震の規模はマグニチュード(M)4・5だったが、清水センター長は「本格的に動けば、M7級の地震を引き起こす恐れもある」として警戒を呼び掛けている。 PS(2016年5月2日追加):*20にも書いてある通り、原発はシミュレーションしかしないため、シミュレーション時に予想しなかった要素は考慮していない。それでもまだ、①地震が原発にどう影響するかを研究すれば原発は安全になり ②原油開発の投資を拡大し ③再生可能エネルギーや水素などのクリーンエネルギーは経済と環境の両立という位置づけでしかない としていることに呆れた。何故なら、環境保全、エネルギー安全保障、エネルギー自給率の向上はいつでも不可欠の要素であり、①②は環境保持にもエネルギー自給率にもエネルギー安全保障にも適合しないため税金の無駄遣いにすぎず、③のみが無駄のない将来性のある投資だからである。 *20:http://qbiz.jp/article/86063/1/ (西日本新聞 2016年5月2日) G7エネ相会合開幕 日米、原発地震対策研究へ 北九州市 先進7カ国(G7)エネルギー相会合が1日、北九州市で開幕した。世界経済の成長に不可欠なエネルギーの安定供給に向けた対応策を議論し、2日に共同声明「北九州宣言」を取りまとめる。全体会合に先だって行われた個別会談では、日米が原発の地震対策で共同研究を進めることで合意した。会合には、議長を務める林幹雄経済産業相をはじめ、日米欧の担当閣僚や副大臣らが出席。1日夜に始まった全体会合では、エネルギーを安定的に確保するための協調策について意見交換し、原油価格の下落で減少している原油や天然ガスなどの資源開発について、投資を維持拡大していく必要性を確認した。また経済と環境の両立に向けて、再生可能エネルギーや水素などクリーンエネルギーの技術開発の重要性についても議論を深めた。林氏は全体会合の前に、米国のアーネスト・モニーツエネルギー長官やカナダのジェームズ・カー天然資源相など各国の代表ら5人と個別に会談。米国とは、地震が原発にどう影響するかのシミュレーションの研究開発で、日米の専門家が協力することを確認した。個別の会談では各国の代表らから熊本地震についての発言も相次ぎ、モニーツ氏は「米国から物資などの支援ができうれしく思う。できることがあればいつでも対応する用意がある」と述べた。 PS(2016年5月3日追加):フクイチ事故前後から現在まで、何かと安全神話を作って自己満足に浸っているのは日本であり、それは現在も改善されていないため、*23-1のように、日本が原発の安全対策を主導することなどはできないと、私は判断している。また、ドイツとイタリアが速やかに脱原発を決めたのは賢明な選択だったと思う。なお、*23-2のように、大学教員・弁護士・学術研究者などでつくる日本科学者会議滋賀支部も、5月2日、九電川内原発の即時運転停止と四電伊方原発の再稼働中止を求める声明を出し、原子力規制委員会や電力会社などに送付するそうだ。 *23-1:http://qbiz.jp/article/86103/1/ (西日本新聞 2016年5月3日) 原発の安全対策、日本が主導 新興国の増設意識 G7エネルギー相会合声明では、原発に関する記載に「過去にない分量」(資源エネルギー庁関係者)が割かれた。福島第1原発事故後、新興国で新増設の動きが再び強まっていることを受け、国際的な原発の安全確保の必要性について文言に盛り込むことを日本が主導した形だ。G7では福島の事故後、ドイツとイタリアが脱原発を決め、維持・推進を続ける他国との違いが表面化。2014、15年のエネルギー相会合声明では、原発を基幹電源の選択肢として1行触れているにとどまる。これに対し、今回は会合終盤まで文言の調整を続け、4項目計25行を使って「いかなる国においても安全について自己満足に浸る根拠はない」などと明記し、情報公開と安全対策の徹底を求めることで一致した。中国やインド、中東各国などが原発新増設にかじを切る中、日本としても高い安全基準の導入をアピールし、原発技術の輸出につなげる狙いもありそうだ。 *23-2:http://www.kyoto-np.co.jp/environment/article/20160503000018 (京都新聞2016年5月3日) 熊本地震受け「川内原発停止を」 科学者会議滋賀支部が声明印刷用画面を開く 大学教員や弁護士、学術研究者らでつくる日本科学者会議滋賀支部は2日、熊本地震発生後も稼働を続ける九州電力川内原発(鹿児島県)の即時運転停止と、震源となった断層帯の延長線上にある四国電力伊方原発(愛媛県)の再稼働中止を求める声明を出した。国の原子力規制委員会や両電力会社などに送付する。声明では、川内原発は熊本地震の震源域となった日奈久断層帯の南方にあり、同断層帯が活発化すれば原発への影響は無視できないと指摘。地震で新幹線や高速道路などが寸断され、「避難計画が非現実的であることも立証された」と強調した。伊方原発は今回の地震で連鎖的に動いた可能性がある別府-万年山断層帯の東にあり、四国電が7月下旬に計画する3号機の再稼働も中止すべきとした。 PS(2016年5月6日追加):太陽光発電住宅なら、そもそも停電はしない。また、日本は自然エネルギーやLNGの豊富な国である。それにもかかわらず、まだ、①原発を止めれば電気料金が高くなる ②日本は資源に乏しい国で、原発に依存するしかない ③原発を止めれば昔のように電気のない生活をしなければならない ④どうすればフクシマの教訓が生かされるのか5年たっても答えは見えない などというとぼけたことを、西日本新聞のエネルギー・金融を担当して経済部にいる記者が言っているわけだ。この記者は、確かに計算に弱くて原価計算はできず、科学や経済学にも弱すぎて、これでは西日本新聞の記者のレベルと報道の姿勢が問われるわけである。 *25:http://qbiz.jp/article/86081/1/ (西日本新聞 2016年5月6日) 南阿蘇で考えた停電と原発 *川崎弘(西日本新聞社経済部所属。エネルギー担当を経て現在は金融担当。社内で「経済部にいるけど、足し算できるの?」と質問されることが多く、原因を鋭意分析中。佐賀市出身。) 日ごとに増える夜の明かりに、多くの村民が希望を託していたように感じられた。熊本地震の本震が起きた4月16日。夜明け前に福岡市をレンタカーで出発。下道で7時間かけて、熊本県南阿蘇村に入った。役場は大混乱で、行方不明者の情報や搬送を待つ透析患者の名字、宿泊客が孤立したホテルの名称などが生々しく飛び交っていた。村内全域は停電。家族や知人の安否を確認するうちに電池が切れたのだろう。役場のロビーには、数十人の住民が集まり、非常用発電機から携帯電話に充電をしていた。待ち時間の間は情報交換の場になっていて、平成版井戸端会議のようだった。日が暮れると、村は闇に包まれた。家の被害は軽微で済んだという住民も「余震が怖いから」と避難所に戻ってきた。言葉の裏には、電気が来ない自宅で夜を迎える心細さがにじんでいた。九州電力の復旧工事は深夜まで続いていた。現認した限り、村に電気が戻ったのは18日。19日になると、信号や街頭にも明かりが戻り、夜の住宅街に光の点線ができた。「電気が戻れば、夜も避難所に行かずに済む」という村民もいて、小さな明かりが被災者に安心感や勇気を与えることが見て取れた。 ◇ ◇ さて、少し理屈っぽくなるが、今回の復旧を通じて考えなくてはいけないのは、その電気の一部が国内の原発で唯一稼働している川内原発(鹿児島県薩摩川内市)からもたらされていることだ。もちろん、電気に色はついていないので、火力や太陽光などの発電方法ごとに分けることはできないが、九州全体の電力需給でみれば、被災地にも原発の電気が供給されていることになる。熊本地震の震源域と近いことから「川内原発を止めるべき」という意見もあったが、南阿蘇村にいると「とにかく早く電気がほしい」というのが多くの住民の本音だと思った。仮に川内原発を止めても、当面の電力需給はどうにかなるかもしれない。しかし、電気料金が高くなる可能性はある。4月に始まった電力の小売り自由化が浸透すれば、状況が変わるかもしれないが、今の段階での影響は限定的だと思う。東日本大震災から5年。災害と原発の関係は、今後も日本全体を覆う大きな問題であり続ける。原発をなくすのが理想だが、資源に乏しい国で空気のように電気を使える生活を維持するには、原発に依存するしかないのが現実だと思う。逆に言えば、停電を許容するタフさがあれば、原発をなくせる気がする。昔は電気がない生活が当たり前だったことを考えれば、不可能ではないはずだ。ただ、停電の村に身を置いてみて、悲しいかな、それがいかに困難かを思い知らされた。どうすればフクシマの教訓が生かされるのだろう。5年たっても答えは見えない。 <復旧・サポート情報の追加> PS(2016年4月24日追加):*5のように、感染症を防ぐ予防として、「消毒液」や「アルコール製剤による手洗い」などと報道するメディアが多いが、消毒液やアルコールで拭くことを「手洗い」とは言わない。清潔は、石鹸をつけて流水で洗い流すのが重要で、消毒液やアルコールをつけて手洗いが終わったと考えるのは不衛生この上ないため、こんなこともわかっていないメディアの誤った(無知にも程がある)報道が多いのには呆れている。また、栄養状態が悪いと抵抗力(免疫力)が落ちるため、白米の握り飯やカップラーメンのようなものだけを食べていてはならず、これらは精神的な問題ではなく実質的・基本的な問題なので、農業をやっていて手が離せないなどの特別の理由がない人は、問題を解決するため被害の少なかった周囲の自治体に速やかに避難すべきである。 *5:http://mainichi.jp/articles/20160424/k00/00m/040/041000c (毎日新聞 2016年4月23日) 避難所、感染症警戒 南阿蘇村ノロウイルス検出 熊本地震被災者の避難所になっている熊本県南阿蘇村立南阿蘇中学校で、避難者の男女25人が下痢や吐き気などの症状を訴え、一部の人からノロウイルスが検出されたことが23日、分かった。ノロウイルスの感染は他の避難所でも確認されているほか、インフルエンザ患者も出ている。衛生状態の悪化で感染症流行の恐れが高まっており、県は「手洗いを徹底してほしい」と注意を呼びかけている。日本医師会から南阿蘇村に派遣された松本久医師によると、断水で水が出ないため、避難者らはトイレで、くみ置きの水を使って手を洗ったりしていた。この水を介して感染が広がった可能性があるという。村はトイレを消毒した。熊本県などによると、避難所のノロウイルスの感染者は南阿蘇村のほか、菊池・阿蘇・御船の三つの保健所管内の4避難所で8人、熊本市の7避難所で7人が確認されている。いずれもトイレが感染源になっている可能性が高いという。自治体の管理が行き届かず、避難所のトイレの清掃が十分でなかったり、トイレと避難スペースを土足で行き来したりするケースもある。一方、インフルエンザ患者は菊池、御船、宇城の三つの保健所管内の4避難所と、熊本市の6避難所で計16人の患者が確認されている。蒲島郁夫知事は記者団に「市町村と一緒に予防と対応、治療に取り組む」と述べた。避難所で感染症が流行しかねない状況に、南阿蘇村の避難者から不安の声が漏れた。同村河陽の古沢五年生(いねお)さん(74)は「疲れもたまり、ここで病気になってしまうと長引かないか心配だ」。同村長野の渡辺茂子さん(72)は「避難所は人が多く、すぐに感染してしまわないか不安。しっかり予防して、自分の身は自分で守りたい」と話した。14日の地震発生から9日を過ぎても熊本県内では6万7000人以上が避難生活を余儀なくされている。 ●感染症を防ぐ主な予防や対策 ◆ノロウイルス ・消毒液で扉の取っ手や水道の蛇口、トイレの便座、ふた、吐しゃ物で汚れたところを消毒 ・消毒液がなければ水500ミリリットルに対しペットボトルのキャップ2杯分の家庭用塩素系漂白剤を混ぜて作る ・吐しゃ物、汚物はマスクや手袋を着用してペーパータオルなどで拭き取りビニール袋に入れ、封をして廃棄 ◆インフルエンザ ・アルコール製剤による手洗い ・せきやくしゃみが出るときはマスクを着用 ・十分な休養とバランスの取れた栄養摂取 ※厚生労働省などの資料を基に作成 PS(2016/4/25追加):*6のように、JA女性部のおかげで、益城町の避難所は、栄養のある美味しい食事で一息つけてよかったですね。 *6:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37172 (日本農業新聞 2016/4/25) JA熊本県女性協が炊き出し 被災者に温か豚汁 「平成28年熊本地震」の避難者を支援しようと22~24日、JA熊本県女性組織協議会が益城町で計3000食のおにぎりや豚汁、カレーライスの炊き出しを実施した。余震が続く中、「温かい食べ物を届けたい」と、女性部員40人が結集。今後は各JA女性部に呼び掛け、小規模な避難所への炊き出しなども計画する。豚汁に使う材料はJA菊池の直売所「きくちのまんま」で調達、みそもJA菊池女性部が仕込んだ手作りだ。JA熊本市がミニトマト、JAあまくさ女性部が手作りのタケノコの酢漬け、高菜の油炒めも持ち込んだ。作業にはJA熊本中央会や連合会の職員が加わった。おにぎりに使う米は、農機具メーカーのサタケ(広島県東広島市)が2トンを提供。緊急用として140キロの米を一度に炊ける炊飯器も持参した。22日は約350人が避難する益城中央小学校で約400食を配った。熊本女性協会長の寺本眞理子さんは「テレビや新聞を見るたび、つらかった。なんとかしてあげたい思った」と目を潤ませた。「多くの女性部員が余震の続く中でも、手を挙げて集まってくれた。これから長い戦いになるが、支援を続けていきたい」と力を込めた。 PS(2016年4月26日追加):*8-1、*8-2のように、九州新幹線や自動車道は、殆ど月内に開通する。それにもかかわらず、*8-3に仮設住宅を建設すると書かれているが、100%近くの人が自家用車を持ち、新幹線も通じているのに、*8-4のような近隣地域のホテルやアパートの空室を使わず、断熱効果が低くて居住性の悪いプレハブの仮設住宅を2900戸も建てるのは、選挙目当ての無駄遣いのように見える。土地から離れられないのは農林業関係者だけであるため、一般市民は、現在あるホテルやアパートの空室を優先して利用することを考えた方がよいと思う。 *8-1:http://qbiz.jp/article/85635/1/ (西日本新聞 2016年4月26日) 九州新幹線全通 4月27日夕に前倒し 熊本地震の影響を受けて運休が続いている九州新幹線の熊本−新水俣について、JR九州が27日夕にも営業運転を再開させる方針であることが分かった。25日、同社関係者が明らかにした。再開はこれまで28日を目指していたが、復旧作業が順調に進んだため、1日前倒しが可能になったという。27日午後に試験運転を実施し、問題がなければ営業運転に踏み切る。ただ、今後の作業の進捗次第では遅れる可能性もある。 *8-2:http://qbiz.jp/article/85666/1/ (西日本新聞 2016年4月26日) 嘉島−八代、26日中に復旧へ 九州道 石井啓一国土交通相は26日の閣議後会見で、熊本地震の影響で通行止めが続く九州自動車道の嘉島ジャンクション(JCT)―八代インターチェンジ(IC)、九州中央道の嘉島JCT―小池高山ICが同日中に復旧、一般車も含め走行可能になると明らかにした。復旧は午後の見通し。残る通行止め区間のうち、九州道の植木IC―嘉島JCTは月内に復旧の見通しだが、大分道の湯布院IC―日出JCTはめどが立っていない。 *8-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJ4Q5TGXJ4QUTIL04D.html (朝日新聞 2016年4月22日) 熊本県、仮設住宅建設へ 被災者に公営住宅貸し出しも 熊本県などでの一連の地震で、熊本県は22日、被災者向けに仮設住宅を建てる方針を発表した。同県西原村にまず約50戸を建てる。また県と熊本市は、公営住宅320戸前後を無償で被災者に貸し出すことを決めた。住まいを失った被災者への仮住まいに関する具体的な計画が決まったのは初めて。西原村の仮設は木造で、5月中に着工、6月中の完成をめざす。村は約200戸の建設を希望している。他の市町村については今後、入居希望者の把握や住宅の損壊の程度などをもとに、方針を決める。県は5月中に土地の選定を終えることをめざす。また公営住宅のうち、県営住宅約70戸は住宅が全半壊した熊本市以外の人向け。入居期間は原則6カ月間、最大1年間で、5月3日に抽選して入居者を決める。熊本市民向けには、同市が市営住宅250戸程度を無償で貸し出す予定。23日から受け付ける。県は22日、災害時の仮設住宅建設の協力協定を結ぶプレハブ建築協会が約2900戸分の仮設住宅を建てる準備があることを確認したと発表。熊本県優良住宅協会も同様に約100戸分の準備があるという。熊本県と大分県によると、22日時点で住宅の被害が約1万1千棟にのぼる。約8万人が避難生活を余儀なくされている。熊本県によると、地震による死者は22日現在48人。災害関連死の疑いは22日に同県阿蘇市で新たに1人が判明し、11人となった。亡くなったのは同市の70代女性。同市によると、女性は16日未明の本震後、家族と自宅敷地内の車中に避難後、近くの高校に移動。同日午前4時ごろに「胸が痛い」と訴え病院で治療を受けたが、正午ごろに亡くなった。高血圧で通院中だったという。一方、同県南阿蘇村は22日、地震で自宅の下敷きになった同村の女性(69)が、21日に入院先の病院で死亡したと発表した。2人が安否不明となっている南阿蘇村では、雨の影響で中断していた捜索が22日午後に再開された。JR九州は22日、運転を見合わせている九州新幹線の博多―熊本間で23日正午前から運転を再開することを正式に発表した。 *8-4:http://mainichi.jp/articles/20160425/ddl/k41/040/259000c (毎日新聞 2016年4月25日) サポート情報 県内 /佐賀 県内約150の宿泊業者が加盟する「県旅館ホテル生活衛生同業組合」(小原健史理事長)が、熊本地震による熊本県の被災者の受け入れを始めた。無料で宿泊と食事を提供する。24日午前11時半時点で55件200人以上の予約を受け付けた。組合は、車中泊によるエコノミークラス症候群の続発などを受け、各施設に受け入れ可能人数を調査。1日200〜1200人程度の受け入れが可能とまとまった。県の公費支援も受け、空室を最大2カ月程度、無償で提供する。小原理事長は「熊本県のお客様にはこれまで大変お世話になっており、恩返しがしたい。心と体を休めてほしい」と話した。事前予約が必須。問い合わせは同組合0954・42・0240。 PS(2016年4月27日追加):*10のように、九州新幹線は27日に全通し、九州道の植木IC−嘉島JCTは月内に復旧の見通しだそうだ。しかし、熊本よりも被害が小さかったとされる大分道の湯布院IC−日出JCTでめどが立っていないのは変である。 *10:http://qbiz.jp/article/85705/1/ (西日本新聞 2016年4月27日) 九州新幹線27日全通 九州道、嘉島−八代も復旧 JR九州は26日、熊本地震の影響で運休が続いている九州新幹線熊本−新水俣の営業運転を27日午後に再開し、博多−鹿児島中央の全線が復旧すると発表した。高速道路では九州自動車道の嘉島ジャンクション(JCT)−八代インターチェンジ(IC)、九州中央道の嘉島JCT−小池高山ICが26日午後、復旧した。新幹線の運行ダイヤは、27日午前に公表する。同日の運行本数は通常より大幅に減便。各駅停車で、全て自由席扱いになる。山陽新幹線との直通運転もしない見通し。一部区間で徐行運転をするため、博多−鹿児島中央は通常なら各駅停車で約1時間50分だが、数十分程度長くなる見通し。JR九州は当初、全線再開時期を28日と設定したが、復旧作業を加速させて1日前倒しを実現した。27日朝、熊本−新水俣を中心に試験運転を実施し、安全を確認した上で再開する。同社は、14日の前震で回送中の車両が熊本駅近くで脱線した問題を重視。安全対策強化のため今後、レールに取り付ける「脱線防止ガード」の設置対象範囲を拡大する方向で検討する。九州の高速道で残る通行止め区間のうち、九州道の植木IC−嘉島JCTは月内に復旧の見通し。大分道の湯布院IC−日出JCTはめどが立っていない。 PS(2016年4月27日追加):*12-1のように、焼却できないごみが復興の妨げとなっているが、福岡市、佐賀市、北九州市などが受け入れている。しかし、福岡県や鹿児島県などの近場にも、受け入れ可能な自治体があるのではないだろうか?なお、私は、九州のゴミの分別は緩やかで、資源化するゴミが少なく燃やすゴミが多くなっているため、今後はゴミの分別をしっかりやった方がよいと考える。 また、*12-2のように、被災地応援の「ふるさと納税」を、「ふるさとチョイス」と他の自治体が受付代行しており感心したが、このうち特に石川県輪島市は目を引いた。唐津市、伊万里市、有田町などは、「熊本城、熊本神社、阿蘇神社などの修復費」と使い道を指定して受付代行し、修復された暁には、その中の雰囲気の合う場所に展示させてもらってはどうだろうか? 受付を代行 熊本城 熊本神社 阿蘇神社 古伊万里 する自治体 *12-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/305664 (佐賀新聞 2016年4月27日) 佐賀市清掃工場 熊本のごみ受け入れ、1日50トン 佐賀市は26日、熊本市の家庭ごみを1日50トンまで受け入れると発表した。熊本市内にある二つの焼却施設のうち1施設が地震の影響で焼却炉が停止し、焼却できないごみが復興の妨げとなっている。熊本市側の運搬準備が整い次第、佐賀市高木瀬町の市清掃工場で受け入れを始める。熊本市では現在、焼却施設の停止で処理能力が不足し、東区内の仮置き場に運んで保管している。佐賀市によると、停止中の焼却炉は1日600トンの処理能力がある。既に福岡市が1日100トンを受け入れており、北九州市も1日50トンの受け入れを表明している。佐賀市には、25日に環境省所管の公益社団法人「全国都市清掃会議」を通じて熊本市から要請があった。期間は被災地の復興状況を見ながら判断する。佐賀県が復興を支援している西原村にも、佐賀市は26日からごみ収集車2台と職員4人を派遣した。避難所や家庭から出るごみの収集が一部で滞っており、市職員がごみを収集、益城町の仮置き場に運ぶ。派遣は30日まで5日間。今回の支援により、村の住民が出せるごみは、生ごみから可燃ごみに拡大したという。市環境部は「被災地のごみを少しでも減らすことで、復興に貢献したい」としている。 *12-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37219 (日本農業新聞 2016/4/27) 被災地応援へ ふるさと納税活用 他自治体が業務代行 返礼品なし 熊本、大分に 地震で大きな被害を受けた熊本県を応援しようと、「ふるさと納税」=メモ=の制度を活用し、被災した自治体に返礼品なしで寄付金を送る取り組みが急速に広がっている。インターネットの専用サイトでは「頑張れ熊本」「地震に負けるな」といったメッセージとともに、既に5億円を超える寄付金が集まった。被災自治体の負担を軽減しようと、過去に災害を経験した自治体などが受け付け業務を代行しているのも支持を集める理由だ。ふるさと納税を通して、熊本地震への支援を呼び掛けているのは、全国自治体のふるさと納税を仲介するサイト「ふるさとチョイス」。地震が発生した14日の翌日から「災害支援でチョイス」の中で熊本支援ページを立ち上げた。1県16市町村が益城町などの被災自治体に代わって、ふるさと納税による寄付金を受け付けている。同制度は通常、当該の自治体が入金確認や確定申告に必要な受領証明書の発行業務を伴うが、「肩代わりすれば、震災対応に注力してもらえる」と他の自治体が代行支援を買って出た。寄付金は甚大な被害があった益城町や阿蘇市、西原村、熊本県などに全額送られ、農畜産物などの返礼品はない。昨年9月の関東・東北豪雨被害からの復興に、ふるさと納税による寄付金を当てた茨城県境町も名乗りを上げた。16日から熊本県に代わって、寄付金を受け付ける。26日現在、同町には5000件、計1億1000万円の寄付金が集まった。同町では「寄付をしても被災地に負担を掛けてしまうからと、ためらっていた人からも好評。豪雨被害で全国から応援してもらった恩を返したい」(まちづくり推進課)と意義を強調する。2007年3月の能登半島地震で被災した石川県輪島市も23日、阿蘇市や西原村などの代行受け付けを始めた。震災時の業務の大変さを経験したからこそ、「力になりたい」(地方創生室)と話す。熊本県に加え、同県宇土市、小国町、嘉島町、熊本市、八代市、山都町、菊池市、宇城市、大分県は、ふるさと納税による直接支援を受け付けている。100人以上が避難所生活を送る菊池市では25日現在、「数千件の寄付の申し込みがある」(企画振興課)という。「避難者が多く、どれだけ被害が広がるか調査中だが、復興のため大切に使わせてもらいたい」(同)と感謝する。 〈メモ〉 ふるさと納税 応援したい自治体に2000円を超える寄付をすると、一定額が所得税と住民税から控除される仕組み。14年度寄付実績は389億円と前年度(145億円)を大幅に上回った。寄付先の自治体から米や牛肉、果物といった返礼品を目当てにした利用者は多いが、熊本地震をきっかけに返礼品なしの寄付も根付き始めている。 PS(2016年4月27日追加):*13のように、修学旅行などの団体客4万5493人、個人客2万7924人のキャンセルがあり、「旅館やホテルの経営に影響を来す可能性もあるので支援措置を検討している」のなら、自分のことだけを考えずに熊本県の避難者を受け入れればよいだろう。そのくらいの社会貢献を思いつかない旅館やホテルが修学旅行生を受け入れても、よい教育はできないのではないか? *13:http://qbiz.jp/article/85801/1/ (西日本新聞 2016年4月27日) 長崎県宿泊 地震の余波 予約取り消し7万人超 知事「安全を発信する」 長崎県の中村法道知事は26日の記者会見で、熊本地震後にあった県内の宿泊施設へのキャンセルが7万3417人分に上っていることを明らかにした。中村知事は「県内の観光施設や宿泊施設は通常通り営業を行っている。観光ホームページなどでは伝えているが、時期をみて安全という情報を発信していきたい」と述べた。宿泊施設へのキャンセルは、県観光連盟が113施設に調査をかけ、26日午前9時時点で回答があった100施設の結果をまとめた。内訳は修学旅行などの団体客が4万5493人、個人客が2万7924人。中村知事は「旅館やホテルの経営に影響を来す可能性もあるので、支援措置を検討している」と語った。県緊急支援室によると、県内へ一時避難を求める被災者からの相談は26日午後3時までに125件あり、うち40件が旅館などの宿泊施設へ、23件が県営住宅などへの入居手続きに入っている。中村知事は「県民の協力をいただきながら、県全体で被災地の復興支援に努めたい」と発言。県内にも活断層があることから、防災対策を計画的に進める考えも示した。 PS(2016年4月29日追加):今後、高齢者が増える中、*17-1のように、熊本市やその周辺地域もサービス付集合住宅、デイサービス、特別養護老人ホームが足りなくなると思われるため、家を新築することのできない高齢者等のためには、これらを街に近い安全な場所に建設して被災者を受け入れればよいと考える。そして、*17-2のプレハブ仮設住宅のような作っては壊すようなものに税金を使うのではなく、まっすぐ最終形の街づくりをした方が、その後に生産性が上がり、税金の節約にもなる。さらに現在は、*17-3のように、金融緩和・マイナス金利で資金調達が容易である上、広い屋根に太陽光発電を付ければそれによる収益を建設費の返済に充てることもできるため、今、熊本県がやるべきことは、この地震を踏まえ住民が満足して生活できる新しい都市計画を速やかに作って実行することだ。それが完成するまで、被災者は、他県も含め被災していない地域の福祉施設や住宅を利用していればよいと思う。 *17-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12334116.html (朝日新聞 2016年4月29日) 高齢者続々、もう限界 熊本地震、入居断る福祉施設も 28日夕、熊本市南区の複合型老人福祉施設「ケアタウンかわしり」は約130のベッドがすべて埋まっていた。さらに会議室などに300人余りが段ボールや毛布を敷いて避難していた。「困った人を助けたいが能力的に限界。共倒れになりかねない」。中村幸子施設長は訴えた。18日ごろから1日20件前後、避難所の閉鎖や家の倒壊で居場所を失った要介護者の入居希望が相次ぐ。しかし、要介護度の低い人は断らざるを得ない。「職員も被災し、疲労がたまっている。毎日厳しい判断を迫られている」。「今はまだ頑張れているが、長期になったら心が折れてしまう」。益城町で最大規模の特別養護老人ホーム「ひろやす荘」の永田恭子施設長も悲鳴をあげる。運営主体が同じ介護老人保健施設で被災した入居者約60人を受け入れ始めた。定員155人に対して200人以上。周辺施設はどこも人であふれ、移転先を探すのは至難の業だ。避難を続けながら出勤したり、自宅に倒壊の恐れがあったりする職員も多い。「これから長期にわたり、職員の確保が必要になります」と課題を口にした。デイサービスなどを手がける熊本市東区の小規模多機能施設「健軍くらしささえ愛工房」は益城町に近く、職員約20人には被災した人も多い。通常、宿泊と通所の利用者は計30人ほど。まだライフラインや設備が復旧しておらず、これまでは他の施設や県の担当窓口を紹介してきた。宮川いつ子施設長は「復旧に伴い、利用者が増えれば人手が不足しそう」。すでに同種施設の連絡協議会を通じて2日間、新潟県と千葉県から2人の介護職が支援に入ったという。一方、同じグループの特別養護老人ホームは地域の高齢者ら約60人の避難を受け入れた。小笠原嘉祐理事長は「職員と利用者の配置など関係なくとにかく受け入れた。パニックになった利用者を家に帰すわけにはいかない」と話す。小笠原さんは、さらに利用者の増加が続くことを予想し、被災した職員の疲労が蓄積して適切なサービスを提供できなくなる恐れを指摘した。 *17-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160429&ng=DGKKZO00265210Z20C16A4EA1000 (日経新聞社説 2016.4.29) 被災者向け住宅の確保急げ 熊本県などで発生した地震から2週間余りが過ぎ、避難者はなお3万人を超す。水道などの完全復旧を急ぐと同時に、避難所の生活環境の改善が必要だ。被災者の生活再建にも乗り出したい。まず、400カ所を超す避難所の衛生を保ち、被災者の不便や不安を減らすことが急務だ。一部の避難所ではノロウイルスによる感染症も発生している。巡回する医師や看護師らが目配りし、被災者が気楽に相談できる体制を整えたい。車中泊を続ける人にエコノミークラス症候群への注意を促すことも欠かせない。避難生活の長期化を避けるためには仮設住宅の早期整備が要る。プレハブ住宅の建設が基本になるが、民間などの賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設」も積極的に確保すべきだろう。熊本県は全体で4200戸を整備する方針だ。県外の自治体が公営住宅を提供する動きもある。県内の物件で足りなければ、県外に一時的に移ってもらい、仮設住宅が完成した後に戻ってもらうような柔軟な対応も考えるべきだ。仮設住宅への入居では高齢者や障害者への配慮が欠かせない。阪神大震災では独り暮らしの高齢者が仮設住宅で孤立し、孤独死に至るケースもあった。できるだけこれまでの集落単位や隣近所の関係を保てるような入居を働きかける必要があるだろう。熊本県によると、被災した住宅は一部破損を含めて3万棟を超す。国土交通省の集計では建物の応急危険度判定で「危険」とされた物件は8400棟に上る。最終的にどれだけの住宅が必要かまだ判然としない。仮設住宅に入るためには住宅の被害の程度を示す罹災(りさい)証明書が要る。しかし、庁舎が被災した市町村を中心に証明書の発行作業は遅れている。他の自治体職員の応援が必要だ。避難所生活から脱することは生活再建の第一歩になる。政府と自治体、民間が協力して被災者への住宅提供に全力を挙げたい。 *17-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160429&ng=DGKKASGF28H1A_Y6A420C1MM8000(日経新聞 2016.4.29) マイナス金利「効果見極め」 日銀総裁「変化表れにくい」 金融政策を維持 日銀の黒田東彦総裁は28日、金融政策決定会合後の記者会見で、2月に導入したマイナス金利政策について「(経済や物価に対する)効果の浸透度合いを見極めていくことが適当だ」との考えを示した。日銀は同日、金融政策の現状維持を決めた。黒田総裁は「経済や物価の下振れリスクは引き続き大きい」と語り、必要と判断すれば追加的に金融を緩和する考えを重ねて表明した。マイナス金利政策を受けて国債利回りに低下圧力がかかり、企業向けの貸出金利や住宅ローン金利が一段と下がっている。黒田総裁は実体経済や物価を押し上げる効果を指摘しながらも「市場で新興国や資源国経済の先行き不透明感が続くなかで前向きな変化が表れにくい状況」と語り、現段階では政策効果を見極めたいとの姿勢を示した。日銀は28日の決定会合で、政策目標とする2%の物価上昇の達成時期をこれまでの「2017年度前半ごろ」から「17年度中」に再び先送りした。4月公表の企業短期経済観測調査(短観)などの統計で企業や家計の物価上昇期待が後退していることを映した。黒田総裁は「直近のデータを分析して最も適切な見通しをつくった。2%の物価目標は十分達成できる」と述べた。そのために「必要と判断した場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」と強調した。日銀は景気の現状判断について、前月の「基調としては緩やかな回復を続けている」を据え置いた。消費は前月に続き「底堅く推移している」としながらも「一部に弱めの動きもみられる」との表現を加えた。熊本地震の被災地の金融機関を対象とする総額3000億円の貸し出し支援も決めた。 PS(2016年5月1日追加):今回の地震は、原発事故を併発しておらず、阪神大震災の経験も活きたため、*19-1、*19-2のように、道路・電気・ガスの復旧が迅速で火事も出なかった。そのため、全国から応援に来られた方を含め、24時間体制で工事に携わった方々には敬意を表する。なお、「自由化以降は、非常時の閉栓・開栓作業に問題が生じる」というのは、他産業は自由市場で競争していても非常時には協力しているため、問題ないだろう。 このような中、*19-3のように、厚生労働省が中心となって残業制限への法改正を検討しているが、形ばかりで本物の仕事をしていない労働基準監督署をはじめとする暇な役所と異なり、国会議員も含めて、9時~5時の勤務時間では責任を果たせない仕事は多いため、「女性の活躍のためには残業規制が必要だ」などと主張して一般的に残業規制を強めるのは、均等な雇用機会を失わせて女性にとってもマイナスになるため迷惑だ。そのため、特に悪質で不合理なことをしていれば摘発したり改善したりすればよいのであって、残業規制の強化として一般に敷衍する必要はないと考える。 *19-1:http://qbiz.jp/article/86054/1/ (西日本新聞 2016年5月1日) 都市ガス復旧完了、4600人が24時間突貫作業 当初見込みより8日早く 西部ガス(福岡市)は30日、熊本県内での都市ガスの復旧作業を完了。被災者が待ち望んでいた自宅での入浴や自炊がほぼ可能な状態になった。電気などに比べると全面復旧に時間を要したものの、当初見込みよりも8日早い完了は、他の都市ガス各社の応援も得た24時間態勢の作業によって成し遂げられた。26日、熊本市西区の住宅街。道路に掘った深さ約1・3メートルの穴の周りに西部ガスと協力会社の社員6人が集まっていた。地震の激しい揺れで金属製のガス管の接合部が緩み、水が混入したようだ。担当者は交代で、長さ約80メートルの区画を丸1日かけて調査。水抜き対策を行い、ガスが使える状態に戻した。西部ガス福岡支社供給管理センターの吉野英夫さんは「こうした場所が点在する。一つ一つ、つぶすしかない」と話した。西部ガスは、同県の熊本市や合志市など7市町の約11万2千戸にガスを供給。16日の本震で約9割の供給を止めた。過去最大の被害だった長崎大水害(約4万2千戸)の2倍超に上る。都市ガス復旧には、多くの手順が必要だ。供給停止後、二次被害を防ぐため各家庭を訪ねて閉栓。次に地区を細分化してガス管を調査し、損傷があれば修繕。異常がなければ順次、供給再開する。復旧に時間を要するのはこのためだ。導管の多くは地中。県内の総延長は1375キロに及ぶ。同社は業界団体の日本ガス協会に協力を要請し、22社が最大約2600人を派遣。計約4600人による人海戦術を展開した。阪神大震災後、柔軟性に優れ震災に強いポリエチレン製のガス管の導入を進めていたことも奏功し、復旧は想定より早く進んだ。しかし、顧客先での開栓作業は約2割が残っており、作業はなおしばらく続く。震災は、来年4月の都市ガス小売り自由化にも課題を残した。自由化以降は供給エリアを越えた顧客争奪が予想されるが、非常時の閉栓・開栓作業を誰が担うかはまだ決まっていない。「今後も災害時に他社から協力を得られるかどうかも、十分議論しておく必要がある」。一橋大の山内弘隆教授(公共経済学)は指摘する。 *19-2:http://www.yomiuri.co.jp/national/20160424-OYT1T50034.html (読売新聞 2016年4月24日) 九州自動車道、今月中に全線復旧見通し…国交省 熊本地震の影響で一部区間が通行止めとなっている九州自動車道について、国土交通省は24日、今月中に全線で復旧するとの見通しを明らかにした。石井国交相は「九州を南北に連絡する大動脈が回復する」と述べた。JR九州は24日、熊本駅付近で脱線した九州新幹線の回送列車について6両全ての撤去を終えた。運休中の熊本―新水俣で線路の修復などを急ぎ、28日にも全線で運行を再開する予定。2人が安否不明となっている熊本県南阿蘇村では24日、捜索が再開された。県警などによると、土砂崩れが起きた河陽(かわよう)地区で、安否不明の男性の携帯電話が見つかった。阿蘇大橋付近では無人重機も投入して捜索が続いた。 *19-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/293313 (佐賀新聞 2016年3月25日) 首相、残業制限へ法改正検討、働き過ぎ是正指示 ●首相、残業制限へ法改正検討 安倍晋三首相は25日、長時間労働を是正するため、残業規制を見直すよう指示した。労働基準法の改正などで残業時間を制限し、違反した際の罰則を設けることを検討する。仕事と育児の両立や女性の活躍推進、過労死の防止が狙い。残業時間の上限設定の検討に加え、残業が月80時間超の企業には労働基準監督署が立ち入り調査をする。安倍首相は官邸で開かれた1億総活躍国民会議で「時間外労働(残業)規制の在り方を再検討する」と述べた。労基法は労働時間を1日8時間、週40時間までと定めているが、「三六協定」と呼ばれる労使協定を結べば、法定時間を超えて働く「残業」が可能になる。 PS(2016年5月2日追加):今回の地震で5市町の庁舎が損壊したというニュースは驚きだったが、よく見ると熊本県の市町は合併が進んでいないため、規模が小さく数が多い。それにより、財政力・行政力が小さくなりがちで財政効率も悪いため、この際、合併して市を増やせばよいと考える。合併した後の名前は、人口規模より歴史に残る名前を残して歴史探訪をしやすくし、これまでの名前は町名として下につければ、どの人も納得できるだろう。なお、「合併すると住民のニーズに合ったきめ細かな行政サービスができなくなる」という声が郡部からよく聞かれるが、専用線で繋いでおけば窓口でどんなサービスでもできるので、これまでの庁舎近くに小さな窓口(支所)を残してニーズを汲んだ業務をすればよいと思う。 *21:http://mainichi.jp/articles/20160502/k00/00e/040/161000c (毎日新聞 2016年5月2日) 5庁舎損壊使用できず 人吉市など機能分散移転 熊本地震で庁舎が損壊した熊本県人吉市が2日、庁舎での業務を終え、役場機能を分散移転させる。地震で庁舎が使えなくなるのは同県で5市町目。地震発生から間もなく3週間となるが、庁舎に倒壊の恐れがあったり、庁舎に戻れても行政機能の完全復旧にはまだ日数を要したりするとみられ、市民生活への影響の長期化が懸念されている。 ●4庁舎は旧耐震基準 2日午前、人吉市の市役所には連休のはざまを使って市民が訪れ、窓口で必要な手続きを済ませていた。一方で壁にいくつものひびが走った庁舎の中で、職員らは通常業務の合間に急ピッチで引っ越し作業を進め、荷物を詰め込んだ段ボールを積み上げていた。市民向けの主な窓口業務は約600メートル南西の別館に移し、9日から業務を開始する。さらに総務や教育、経済関係の部署は別館から約2キロの体育施設や文化施設に入る。この日、住民票を取りに来た会社員の中神康行さん(30)は「庁舎が危ないのなら移すのは仕方ないが、しばらく部署ごとに別々の場所で対応するらしいので少し不便になる」と心配そう。総務課職員係長の熊部哲也さん(49)は「長年親しんできた庁舎を離れるのは寂しいが、市民や職員の安全を考えると仕方ない。市民に不便をかけるが、ご理解とご協力をお願いしたい」と話した。地震で庁舎が使えなくなったのは人吉市の他、宇土市、八代市、大津町、益城町の4市町で、いずれも役場機能を移転させた。16日未明の本震で震度6強を記録した宇土市。本庁舎は4階部分が完全に押しつぶされて倒壊寸前となり、立ち入り禁止となっている。機能は分散移転され、市民は罹災(りさい)証明書を申請するなら本庁舎から約600メートル離れた市民体育館に、生活保護などの手続きは体育館から約520メートル南の保健センターに行く必要がある。市幹部は「本庁舎隣の別館に住民のデータが入ったシステム機器があるが、別館も立ち入り禁止だ。本庁舎が倒壊して機器が損傷すれば数カ月は業務に支障が出る」と話す。八代市の庁舎も多数のひびが入り、使えなくなった。市は各部署を市内の5支所など14カ所に分散。住民票や罹災証明書などは支所で対応しているが、市営住宅関係は庁舎から約5キロの水処理センターのみで受け付ける。大津町は庁舎の壁に亀裂が入り、天井の一部が落下。庁舎近くの町民交流施設で窓口業務をしている。益城町庁舎は2012年度に耐震工事を終え、耐震基準は満たしていた。しかし、震度7に2度も襲われ、壁に亀裂が入り、災害対策本部を庁舎から約1.5キロ西の保健福祉センターに移した。町のほとんどの機能が停止したままだったが、罹災証明書の申請受け付けを1日から開始。庁舎の安全も確認され、対策本部は2日に庁舎に戻る。しかし、行政機能は庁舎に戻らず、9日以降に分散移転で順次再開していく。市民サービスが地震前の状態に戻るには時間がかかりそうだ。庁舎が損壊した5市町の庁舎のうち、4庁舎が1960〜70年代の建設で、いずれも現行の耐震基準を満たしていなかった。自治体庁舎の耐震化や建て替えには多額の費用がかかるが、総務省などによると、学校などと違って国の補助制度はなく、自治体は積み立てた基金などを充てている。八代市では新庁舎建設計画が本格化していたが、担当者は「小中学校の耐震化工事などを優先させたため、庁舎の建設計画が遅れてしまった」と話す。 PS(2016年5月3日追加):田植えの時期を前にして、*22のように、農地、用排水路、ハウスなどの農業基盤を中心とする農業被害額が熊本県だけで767億円に達するため、スピーディに復旧・復興することが重要だが、TPPに入るか否かにかかわらず、農業における生産性の向上は重要であるため、大型の機械が入りやすい区割りにするなど、これを機会に単なる復旧ではなく改良もした方がよいと考える。また、被害で廃業したくなったような農家は、農業生産法人の設立、パートナーシップの設立、集落営農など、個人の力のみに頼るのではない農業への移行も選択肢として考えられる。 *22:http://digital.asahi.com/articles/ASJ525GG3J52TIPE020.html?iref=comtop_urgent (朝日新聞 2016年5月3日) 熊本県、農業被害767億円 用排水路・ハウスなど打撃 熊本県などでの一連の地震で、熊本県内の農業被害額が767億円に達することが県のまとめでわかった。このうち756億円(約99%)を農地や用排水路、ハウスなど農業基盤の被害が占めた。森山裕農林水産相は2日、被災地を視察後、報道陣の取材に「できる限りの努力をする。農家のみなさんに負担の少ない形で復旧復興の制度をフル活用したい。前例にとらわれず、スピード感を持ってやることが大事だ」と述べた。被害額の大きさを踏まえて、今後、再度の補正予算編成も必要になるとの見方も示した。県の推計では、一連の地震による被害(1日現在)は、林業や水産業を加えた農林水産関係で1022億円。911億円の被害額となった阪神・淡路大震災の被害額を超え、2012年に熊本、大分、福岡3県を襲った九州北部豪雨の1265億円に迫った。農業被害では、農地のひび割れや用排水路の損傷、ハウスや選果場などの施設損壊など、生産の前提となる農業基盤への損害が目立った。地域的には震源に近い熊本市や上益城郡、阿蘇地域などに集中。田の被害は1574カ所、畑は1147カ所だった。JA熊本中央会の梅田穰会長らは2日、県庁で森山農水相と蒲島郁夫知事に面会。復旧へ向けた財政措置や、農地や農業用水、選果場などの共同利用施設といった農業基盤の早期復旧などを求めた。農業基盤への打撃により、梅雨時期の田植えなど営農の先行きが見通せない状態で、梅田会長は「TPP(環太平洋経済連携協定)をはじめ、将来に不安を抱いている農家が今回の被害で廃業に向かうのではと心配している。スピード感をもって対応してほしい」と訴えた。気象庁によると、一連の地震で震度1以上の地震回数は1150回を超えた。熊本県や大分県では3日に大雨が予想されている。熊本県によると、2日午後現在、県内391カ所に計2万2人が避難している。 PS(2016年5月4日追加):海外市場で円相場が一時「1ドル=105円台半ば」に急伸したことについて、麻生財務相が「投機的動きが強まっていることを憂慮している」との認識を示されたそうだが、私は「1ドル=105円」は実力程度ではないかと思った。円安が続くと、輸出企業の業績はよくなり輸入企業の業績は悪くなるが、為替相場は輸出超過で円高になるので、これだけの災害が起こっても円高というのは国民が自らの消費を控えて輸出ばかりしている姿を反映している。そのため、この際、価格が安くて質も悪くない住宅・太陽光発電設備・労働力などを海外から輸入して、迅速に復興すればよいと考える。 イギリスの住宅街 フランスの住宅街 アメリカの住宅街 日本の太陽光発電住宅 <どの国も高級住宅街は緑が多くて敷地が広いが、熊本なら作れるのでは?> *24:http://qbiz.jp/article/86158/1/ (西日本新聞 2016年5月4日) 円急伸「憂慮している」 財務相、再び市場けん制 麻生太郎財務相は3日、ドイツのフランクフルトで記者会見し、海外市場で円相場が一時1ドル=105円台半ばに急伸したことについて「一方的で偏った投機的な動きがさらに強まっていることを憂慮している」との認識を示した。その上で「投機的な動きが継続しないよう、これまで以上に注視し、必要な時にはしっかり対応する」と述べ、改めて市場をけん制した。会見に同席した日銀の黒田東彦総裁は「為替などの変動が経済、物価の動向に与える影響を十分注視し、物価安定目標の達成に必要ならちゅうちょなく追加の金融緩和を講じる」と強調した。中国主導で設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)への日本の参加について、麻生氏は「これまでのスタンスは変わらない。運営方法などを引き続き注目していきたい」と述べ、慎重な姿勢を示した。麻生氏と黒田氏は東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)の財務相・中央銀行総裁会議などに出席するため、フランクフルトを訪問している。
| 資源・エネルギー::2015.5~2016.12 | 02:50 PM | comments (x) | trackback (x) |
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