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2018.4.6 女性活躍を、女性の地位向上ではなく、少子化対策と捉えた点が誤りなのである (2018年4月7、8、11、12、13、14、15、18、19日に追加あり)
   
 出生数と合計特殊出生率   人口の高齢化  未来予測     日本の人口推移
             2018.3.31朝日新聞
(図の説明:1番左のグラフのように、戦後しばらくは合計特殊出生率が2~5で人口過剰が懸念されたが、1970年以降は一貫して2を下回り、次第に下がった。その結果、左から2番目のグラフのように高齢者の割合が増えたが、これは戦後の特殊状況・産業革命・医療の進歩などによる一過性のもので、第1次及び第2次ベビーブーム世代が亡くなると、人口は漸減しながら安定する。しかし、人間も生物であるため、人口密度が低くなって住みやすくなると出生率が上がって均衡人口に達するため、一番右のグラフのような産業革命前まで戻る著しい減少はしない)

(1)文明の進歩とともに向上すべき女性の地位
1)女性を土俵に上げないという伝統
 多々見市長が土俵上で倒れ、すぐに女性2人が土俵に上がって心臓マッサージを始めたのに対し、*1-1のように、行司が、「(「お客様の中に医療関係者はいませんか?」ではなく)女性は土俵を降りて下さい」とアナウンスし、「行司が動揺したため」と弁解されているが、「①土俵は神聖な場所であるため、女性を上げないことが何より重要」「②人命にかかわる緊急時のみ不適切な対応だった」としており、これは相撲文化の本質的な問題である。

 そして、①は江戸期からの伝統だそうだが、「女性は不浄だから神聖な場所には入れない」という伝統こそ昔から行われている仏教や儒教に基づく女性差別の継承であり、女性に対して失礼である。これに疑問のある人は、「女性は不浄だ」という理由を挙げ、それは現在も本当か否かを考えてみればよい。

 また、②は、「緊急時に女性を使うことだけ許す」と言っているのであり、やはり女性蔑視だ。さらに、*1-2のように、兵庫県宝塚市で4月6日に開かれる大相撲「宝塚場所」では、同市の中川智子市長が、巡業実行委員会に「土俵上で挨拶したい」と意向を伝えたところ、「土俵の下で挨拶して欲しい」と断られたそうだが、かつて、森山眞弓官房長官や大田房江大阪府知事も土俵に上がるのを断られた経緯がある。

 そのため、女性首長に対して敬意がなく、「女性は不浄だから男性だけ神聖な場所に入る資格がある」などと考えているスポーツに女性ファンがいることの方が不思議であり、相撲は自らの顧客に女性がいることを忘れてはならない。

2)女人禁制の伝統に疑問を持たない女性活躍相は、ジェンダーの解消に役立たない
 野田女性活躍相は、*1-3のように、「土俵上での医療従事者の救命活動は当たり前」としながらも、「この国の伝統を重んじる一人として、これまで(女性が土俵に上がれないことに)疑問を持ってこなかった」としている。しかし、このようなジェンダーギャップに疑問を感じない女性活躍相では、いくらその地位にいても本当にやるべき改革はできない。

 このように、伝統や歴史の名の下に、女性を多くの土俵から締め出した結果、*1-4のように、世界経済フォーラムが2017年11月2日に発表したグローバル・ジェンダー・ギャップ指数で、日本は144カ国のうち114位となった。そして、*1-5のように、英誌が発表した「ガラスの天井ランキング(2018年版)」でも、主要29カ国中28位とワースト2位となり、OECDによると、日本の大卒女性の就業率は諸外国に比べて低く、日本は高学歴女性を生かしていないとのことである。また、日本は女性管理職比率や所得の男女差など10項目のほとんどで各国平均を下回っており、日本は存在する人材を活かして使っていないという結果になっている。

(2)ジェンダー(社会的性差別)はどうやって作られるのか 
1)女性への専業主婦の勧め
 私は、専業主婦を選択した女性が「働いていない」「活躍していない」と考えたことはなく、“お役所仕事”をしている人(男女とも)よりも、毎日、マルチタスクで結果を出さなければならない仕事をしていると思っている。

 しかし、*2-1のように、「①専業主婦の私は輝ける」「②夫や息子の幸せを支えるのが誇り」などと、自分の選択を正当化して唱えなければならないところが専業主婦の気の毒なところで、これは、家事がシャドウ・ワークであり、金を稼ぐことで評価されないからだが、家事を全部外部委託すれば、20~40万円/月の外部委託費がかかるので、外部委託していない人は、それだけの働きを自分でしていることになる。

 が、栄養が十分な現在、“土鍋で炊いた十六穀米”は過剰だろうし、オートミールクッキー・ヨーグルトババロアの手作りは、品質のよいそれらの既製品が容易に手に入る以上、効率性を欠いており、趣味の領域に入るだろう。

 ただ、「みんなの幸せを支えているのは私」と誇るのはよいが、人を支えるだけが誇りと言うのは女性に強いられる悲しいジェンダーであり、「で、貴女自身は何を志したの?」と、働き続けることを選択した私は言いたくなるのだが、本当は、どの選択をするのも自由な筈である。しかし、働き続けたくても社会的サポート不足でそれがかなわず、女性に二者択一を迫って少子化に導いたのが日本政府なのだ。
 
2)お母さんに強要される専業主婦と非正規雇用(雇用主から見れば、安価で雇用調整しやすい便利な労働力) ← 子供に降り注ぐジェンダー観
 *2-2のように、子ども番組の歌のお兄さんが、①母親になる前はヒールをはき ②ネイルをして立派に働けるって強がっていた ③おかあさんになった今、爪を切り、走ることができる服を着て、パートに行く と、日本全国の子どもたちに向かって歌って聞かせる。

 ネイルをするのは、爪の健康に悪い上、しっかり手を洗えないので衛生的でなく、知的とは言えないが、ヒールのある靴を履いてかっこよくおしゃれをしながら、いつも走って立派に働いているのは、教育を受けた女性なら当然のことだ。しかし、子どもの頃から、それを「強がり」と刷り込むのが、我が国のジェンダー(社会的性差)教育の始まりなのである。

 また、女性に対する自己犠牲の奨めが強く、それでも「おかあさんになれてよかった」と女性を締めさせ、子どもを産まない女性やバリバリ働く女性は間違っていると子どもに刷り込む。そのような社会的刺激のシャワーの中で育った子どもたちは、どういう母や女性を理想とするようになるか。こうして、女性に自発的に自由を捨て去ることを強い、女性差別を維持しようとしているのが、我が国の現在の問題なのである。

3)「主役として地位を得たがる女性は性格が悪い」という刷り込み
 政治家で、いろいろな組織の理事や監事をしている人は多いが、*2-3のように、熊本市議会議員の北口氏は兼業禁止規定に違反したとして、議員資格なしとする資格決定書を熊本市議会が全会一致で議決したそうだ。

 しかし、何を言われるかわからないので兼業しない私には、長く役職についておらずブランクが長いとして立候補にマイナスであるかのように言う人が少なくなく、女性が男性を支えるのではなく議員や管理職などの役職に就くのが気に入らないため、何とかケチをつけているのが見え見えである。

 そして、こういうことを多くの人が疑問を感じずに受け入れる理由は、「自己を犠牲にして夫や子どもを支えるのではなく、主役として地位を得たがる女性は性格が悪い」という、(2)2)のような幼い頃からの刷り込みのシャワーがあるからだ。

 なお、北口氏は市職員にパワハラ行為があったともされているが、若くない女性がいたらない部下に注意をするとパワハラと言われることが多いのも女性の仕事をやりにくくしており、これは私も経験済みで、長く働いている女性を「お局様」と言う陰口が今でも通っているのと同じ古い感覚によるものである。

(3)人口減という論点設定の誤り
 少子化と人口減が問題だと説き、1番上の1番右のグラフのような架空の人口動態を示して騒ぐ論調は多いが、*3-1のように、女性やシニアの労働参加率が上昇すれば、人口減の中でも、しばらくは就業者の数が増え続ける。その増加カーブが頭打ちになる頃には、AI利用による生産性の向上を失業なく行うことができ、外国人労働者も導入して、世界に貢献しながら日本の労働力を満たすことができるだろう。

 さらに、*3-2のように、 ①人口増加は経済成長の大きな要因でない ②終戦直後には人口過剰問題への懸念が強かった ③生産性の継続的な上昇を促す経済政策を行うべき と主張する人もおり、私はこれに賛成だ。つまり、労働者に差別なく経験を積ませて生産性を上げれば、人々の福利を増しつつ明るい未来を作り出すことができるが、そのためには、我が国に逆方向に突っ走っている余裕などはないのである。

<女性は土俵に上げない伝統>
*1-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13438719.html (朝日新聞 2018年4月6日) 「女性は土俵降りて」、波紋 大相撲巡業、救助中アナウンス
 京都府舞鶴市で4日にあった大相撲春巡業の舞鶴場所で、「女人禁制」の土俵上で倒れた多々見良三・同市長(67)の救助をした女性に、行司が土俵から降りるようアナウンスをした問題をめぐり、波紋が広がっている。日本相撲協会は5日、女性に直接謝罪したい意向を示した。
■「女人禁制」 行司「動揺し」
 4日午後2時過ぎ。土俵であいさつをしていた多々見市長が倒れた。70代男性は、市長のあいさつする声がいつもより力んでいるように聞こえたといい、「張り切っているんだな」と感じた。だが、間もなく市長は、何の前触れもなく後ろへ倒れたという。土俵の近くで見ていた60代女性によると、すぐに女性2人が土俵に上がり、「胸を開けてください」と叫ぶと心臓マッサージを始めたという。その後、「女性の方は土俵から降りてください」とのアナウンスが繰り返し流れたが、救急隊員らが交代するまで救助活動を続けた。70代男性は「なぜ降りろ、というかわからず、後になって女人禁制のことだとわかった」という。主催した実行委員会の河田友宏委員長(78)は「しきたりはしきたりだが、人の命がかかっているときに言うことではない。救命措置がなかったらどうなっていたかと思うし、とても感謝している」。女性たちには看護師も含まれていた。舞鶴市によると、多々見市長が倒れた原因は、くも膜下出血といい、市内の病院で手術を終え、経過は良好という。声を発したのは進行役の若手行司だった。「動揺した。女性が上がっているというのが頭の中で膨らんだ」と説明したという。八角理事長(元横綱北勝海)は同日夜、「とっさの応急処置をしてくださった女性の方々に深く感謝申し上げます」とした上で、アナウンスについて「人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くお詫(わ)び申し上げます」とコメントを出した。
■江戸期からの「伝統」
 女人禁制は、江戸時代の勧進相撲の頃から続いている。協会に残る資料には「女子は土俵に上がれない。固く禁じられている。理由は土俵は神聖なる場所であるため、このしきたりは勧進相撲当初より守られている」とある。現在も、引退相撲の際の断髪でも女性は国技館の土俵には上がれず、土俵下ではさみを入れている。協会は伝統・文化としての相撲道を守る立場として、ちょんまげや着物姿と同様に女人禁制も維持したい考えだ。米国出身のリー・トンプソン早大教授(スポーツ社会学)は「『女性であること』を何よりも優先する考えは時代遅れ」と指摘する。八角理事長のコメントに触れ、「かたくなに女性が土俵に上がることを拒否してきた協会が、緊急時では土俵に上がって良いと許容した。ある意味で『進歩』」と話す。ノンフィクション作家の長田渚左さんはアナウンスには「臨機応変な対応が出来ない。女性ならずともあきれかえったのではないか」とした上で、「協会が自分たちで作ったルールならそれはそれで結構。ただし、今後に備えて対応は考えて欲しい」とした。横綱白鵬は取材に「世界大会で女性が土俵に上がるのを見たこともあるし、(女性がいるのは)あまり違和感はない。本場所だったらまた別の話だけど」と話した。報告を受けた協会ナンバー2の尾車事業部長(元大関琴風)は「人命第一なのは誰もが分かっていること。女性が土俵に上がれないのは次元が違う話」と述べ、救命活動にあたった女性らに、八角理事長が直接感謝と謝罪を伝えたい意向があることも明らかにした。

*1-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13438721.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2018年4月6日) 土俵上あいさつ、女性市長できず 「宝塚場所」、実行委断る 大相撲巡業
 兵庫県宝塚市で6日に開かれる予定の大相撲の地方巡業「宝塚場所」で、同市の中川智子市長が、企業などでつくる巡業の実行委員会に「土俵上であいさつしたい」との意向を伝えたところ、断られていたことがわかった。中川市長によると、5日朝、土俵上でのあいさつについて実行委に打診したが、日本相撲協会と相談した結果として「相撲の伝統に配慮し、土俵の下であいさつしてほしい」と断られたという。中川市長は昨年の「宝塚場所」でも土俵の下であいさつしており、昨年同様の対応を求められたという。中川市長は「平等の観点からおかしいのではないか」と話している。

*1-3:https://digital.asahi.com/articles/ASL4632BVL46UTFK004.html?iref=comtop_8_03 (朝日新聞 2018年4月6日) 野田女性活躍相、土俵上の救命活動「至極当たり前」
 京都府舞鶴市での大相撲春巡業で、「女人禁制」の土俵上で倒れた市長を救助した女性に、行司が土俵から降りるようアナウンスしたことについて、野田聖子・女性活躍担当相は6日の閣議後会見で、「日本相撲協会が不適切だったと謝罪したのは、その通りだ」と述べ、行司の対応に問題があったとの認識を示した。野田氏は「土俵の上とはいえ、市長は生命の危機にあり、医療従事者が救命活動をすることは至極当たり前」と強調。土俵の女人禁制について「この国の伝統を重んじる一人として、これまで疑問を持ってこなかった」とも述べた。今後のあり方については「相撲協会が今回の事例を受けてどう歩んでいくか決めてほしい」とした。

*1-4:https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/171201.html (日弁連会長声明 2017年12月1日 日本弁護士連合会会長 中本和洋) 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数に対する会長談話
 世界経済フォーラム(WEF、本部・ジュネーブ)は、2017年11月2日、同年の世界各国の男女平等の度合を指数化した「グローバル・ジェンダー・ギャップ」を発表した。日本は、調査対象144か国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。2015年が101位、2016年が111位と年々順位を落としている。ジェンダーギャップ指数は、女性の地位を、経済、政治、教育、健康の4分野で分析し、ランク付けしているが、日本は、経済114位、政治参画123位であるのに対し、教育74位、健康1位と分野間のばらつきが大きい。特に、女性の地位改善の鍵ともいうべき政治分野が最も順位が低く、国会議員の男女比が129位、閣僚の男女比は昨年の50位から88位と大幅に落ち込んでいる。生活の基盤となる経済は昨年の118位から若干改善したが、給与格差、管理職や専門職での男女比は、いずれも100位以下と低い。教育の分野では、初等・中等教育や識字率が1位であるため、教育全体では74位であるが、高等教育は101位といまだに低い水準にとどまっている。日本政府は、「すべての女性が輝く社会づくり」をその重点課題に掲げ、2017年6月6日には「女性活躍加速のための重点方針2017」を明らかにした。その中で、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が完全に施行されてから1年余りが経過し、「女性活躍は大きなうねりになっている」との現状認識を示し、また女性活躍の実現に不可欠な働き方改革の取組を今後も強力に進めるとしている。しかし、2017年のジェンダーギャップ指数は調査が始まってから過去最低の順位を記録しており、上記施策が十分に成果を上げたとは言いがたい。国民の半数を占める女性の意見が十分に反映されてこそ、男女平等の視点を有する各種施策の立案が可能となることから、女性の政治参加は、あらゆる分野における女性の地位向上のための必須の条件である。当連合会においても、会内における男女共同参画の重点課題として、意思決定過程への女性会員の参画拡大に取り組んでいるところである。また、高等教育における格差解消は、社会に出てからの経済分野や政治分野における男女格差の改善に大きな影響を及ぼすことから、政府の掲げる女性活躍推進における有効な布石となるはずである。したがって、当連合会は、日本政府に対し、2017年のジェンダーギャップ指数の順位が過去最低となった事実を厳粛に受け止め、女性活躍を更に推進するために、働き方改革の取組にとどまらず、女性の政治参加及び高等教育における男女格差解消を重点課題とし、我が国のあらゆる分野にはびこっている性差別を根絶するためのより実効性のある具体的措置、施策を早急に講じるよう求めるものである。

*1-5:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27824790X00C18A3EA1000/?nf=1 (日経新聞 2018/3/7) 大卒女性、生かせぬ日本 先進国で就業率の低さ顕著
 3月8日は国連が定めた国際女性デー。英誌がこの日にあわせ発表した「ガラスの天井」ランキング(2018年版)で、日本は主要29カ国中28位とワースト2位に甘んじた。経済協力開発機構(OECD)によると、大卒女性の就業率が日本は諸外国に比べ低く、高学歴女性を生かしきれていない。労働力人口が縮むなか、「眠れる宝」の掘り起こしは急務だ。英エコノミスト誌のランキングは、女性管理職比率や所得の男女差など10項目のデータを基に計算。日本はほとんどの項目で各国平均を下回り、17年版と同じ28位。韓国と最下位を争った。安倍晋三首相が施政方針演説で「女性が輝く日本」をつくると明言したのは13年2月。17年の女性就業者が2859万人に上るなど、働く女性は5年間で200万人増えた。子育て期に就業率が下がる「M字カーブ」現象も解消されつつある。ただ、非正規女性の増加が数字を押し上げている面もあり、企業の女性管理職比率は12.1%(16年度)、役員比率は3.7%(17年、上場企業)にとどまる。女性活躍の質が伴わない一因は高学歴女性の就業率の低さにある。OECDの最新データ(16年)によると、日本の大卒女性就業率は74%でOECD加盟35カ国中29位。先進国の間でも低さが際立つ。男女格差も著しい。教育投資が経済活動に十分還元されておらず、社会的な損失は大きい。大卒女性の就業率が低いのは、仕事と生活の両立が難しく、結婚・出産での退職が多かったからだ。再就職先はパートタイムや定型業務などに限られがちで収入も低い。日本女子大学はこんな高学歴主婦らの再就職支援プログラム「リカレント教育課程」を開いている。会計学などを1年学び実践力を磨き直す。受講生の7割は他大出身。慶応大と東京女子大、早稲田大が上位を占める。人手不足を背景に企業も目を向ける。同教育課程が2月に開いた就職合同会社説明会には37社が参加した。「数年前まで参加は10社程度だった。ブランクはあるものの、高い潜在能力に企業も気づいた」(事務局)。女性総合職の離職を防ぎ、幹部候補として養成を急ぐ動きもある。サントリーホールディングスは育児休業でのキャリアロスを防ぐため、早期復帰を支援。保育所に入れなくてもベビーシッターを会社が手配するなど、希望時期に必ず復職できるようにした。女性役員養成に国も動く。内閣府は17年度、役員候補女性を育てる研修を開いた。グローバル経営など経営幹部に必要な知識を教えた。女性活躍の推進で多様な価値観を組織に入れると企業の競争力は高まる。先進国が取り組みを急ぐなか、その遅れは日本企業がグローバル市場で戦う際にマイナスとなる。OECD東京センターの村上由美子所長は「日本は取り組みのスピードが遅く、海外との差はむしろ広がっている。年功序列から成果主義への転換など、労働市場の構造改革が必要だ」と話す。

<日本における専業主婦と非正規雇用のススメ>
*2-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13299330.html (朝日新聞 2018年1月4日) (家族って:3)専業主婦の私、輝けるのに 夫や息子の幸せ、支える誇り
 かつて「男は仕事、女は主婦」が理想とされた時代がありました。「女性活躍」の波が押し寄せるなか、専業主婦たちはやり場のない思いを抱えます。家族を送り出した後、リビングで1人。水戸市の斉藤綾さん(43)は、いつものように朝食をとりながら朝刊をめくる。安倍政権が掲げる「女性活躍」の記事を見るたび、ため息が漏れる。「専業主婦は、活躍していないの?」長男(17)の妊娠を機に勤めを辞めた。午前6時に起きて朝食作り。家族の健康のため、平日は土鍋で炊いた十六穀米と、ネギとすりゴマ入りの納豆を欠かさず用意する。午前7時40分からが自分の朝食の時間。起床後、初めて腰を下ろす。その後は朝から3回転させた洗濯物を干す。ベランダの限られたスペースに、乾きやすく干すよう気を配る。そして掃除機をかけ、床や窓を拭く。3LDKすべての部屋をきれいにする。次男(12)が下校すると、おやつの時間だ。オートミールクッキーやヨーグルトババロアは手作り。その後、宿題を見て、習い事へ送る。会社員の夫(46)と長男は帰宅時間が異なるため、それぞれに夕食を温め直して出す。後片付けや翌日のお弁当の準備を終えると、午後11時を回る。疲れと満足感で、すぐ眠りに落ちる。毎日、ほぼ同じ流れを繰り返す。昨年のクリスマスイブ。子どもたちと作ったピザやケーキで食卓を囲むと、夫が「幸せだな」とつぶやいた。「みんなの幸せを支えているのは私」。誇らしかった。ずっと勤めに出ないでいると、「具合でも悪いの?」と心配する人もいた。友人からは「働かざる者食うべからずよ」と言われた。専業主婦世帯は1997年以降、共働き世帯を下回り続けている。女性の社会進出に加え、景気の低迷から共働きでないと生活できない世帯が増えたことも背景にある。斉藤さんも、司書の資格を取って図書館で働きたいと思うこともある。でも、一番力を注ぎたいのは家族のサポート。外でパワー全開で頑張れるよう、日常のすべてを整えることに徹したい。家族の予定や健康の管理など、物事を同時並行でこなす家事は「マルチタスク」だと思う。専業主婦には多くの能力が必要とされる。そんな自負がある。「女性活躍」を押し出して女性に働くことを奨励する政権に、「家事や育児だって働く人と同じように輝けるのに」と感じる。仕事をしたい女性が働きやすい社会にするのは大事なこと。でも、こんな思いはぬぐえない。「国は働け働けと言うけれど、専業主婦は十分働いている。社会は、どんな選択も受け入れてほしい」
■子どもが成長した後は…焦りも
 覚悟したはずだった。それなのに、子どもの寝顔を見ながら自分の存在価値を確かめたくなる夜がある。福島県の真由美さん(34)は、会社員の夫と2歳の長男の3人暮らし。大学卒業後、大手証券会社の専門職などで働いた。遠距離恋愛の末に結婚した夫は、毎年のように転勤がある。「一緒にいたい」という思いが勝り、専業主婦になった。夫は激務。ほとんどの時間を長男と過ごす。スイミングやリトミックと、2人一緒にいるのは楽しい。だけど、いつも不安と隣り合わせだ。「息子が成長した時、自分には何が残っているんだろう」。為替の動きを注視し、情報の最先端に触れていた日々は遠くなった。夫の転勤のたびに転職はできないが、「社会の波に乗っていない」と感じる。ブランクが長くなるほど仕事を見つけづらくなる。焦りを覚える。東京都の佑子さん(32)は金融機関で働き、早朝から夜まで仕事に明け暮れていた。やりがいを感じていたが、子育て中の社員はほとんどいなかった。5年前の結婚を機に転職。その会社も妊娠中に入院が長引き退職した。4歳になった長女は、ひらがなを覚え、ピアノで曲も弾けるようになった。なのに、自分は何も変わっていない。娘の幼稚園ではパートに出るママ友が増えた。娘の教育費のために自分も働きたい。でも、夫は残業が多く、休日も出勤する。夫に相談すると「申し訳ないけど、家のことはお手伝い程度しかできないと思う」と返された。遠方に住む両親には頼れない。「仕事をしたら自分に負担がかかるのは目に見えている」。専業主婦は365日営業。終わりが見えない。

*2-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180212&ng=DGKKZO26738260Z00C18A2TY5000 (日経新聞 2018.2.12) 歌詞が「自己犠牲を美化」と炎上 何とも苛烈な「理想の母」 詩人・社会学者 水無田気流
 絵本作家・のぶみ作詞、元NHKの子ども番組の歌のお兄さん・横山だいすけ歌の「あたし おかあさんだから」の歌詞が、ネット上で炎上している。とりわけ当事者である母親たちからは反発され、ツイッター上には「あたし おかあさんだけど」という反論があふれている。歌詞は「母になって我慢するようになったこと」が列挙される構成で、批判の内容は(1)母の過度の自己犠牲の当然視、(2)働く女性や子どもを産んでいない女性への無自覚な非難の2点に集約される。作者は実際に母親たちの話を聴いて作ったと説明するが、反感を買ったのはなぜか。第一に「子どものためにすべてをささげて自己犠牲に励む母」対「自分のことだけ考えるキャリアウーマン」の二項対立図式が、独善的だからであろう。歌詞が描く「おかあさん」はこうだ。母親になる前はヒールをはき、ネイルをして「立派に働けるって強がってた」。しかし今は、爪を切り、走ることができる服を着て、パートに行く。なぜなら、「あたし おかあさんだから」。これでは、子どもを産まない女性やバリバリ働く女性は間違っていると読めてしまう。第二に、母の自己犠牲の程度が極端で、俗世を離れ一切の我欲を捨てるべしという、修行僧か修験者のような子育てを推奨する点だ。歌の中で「おかあさん」は、好きなことも服を買うこともやめて、食事も趣味も子ども中心に変え、「それ全部より おかあさんになれてよかった」と締める。最後まで父親は不在だ。私見では、母子の生活とは、他の家族や地域コミュニティなどからなる日常生活の一環だ。そしていつか、子どもは社会に出ていく。そのときまでには、親が子を一方的に守るだけではない、互いに独立した個人として尊重し合う人間関係を築く必要がある。だが「あなたのために、すべてあきらめて尽くしたのに……」という母では、健全な巣立ちも子どもの自立も困難になるのではあるまいか。女性は「母」になると「個人」として生きることが困難になる。自由は誰もが保障された権利だが、極論すればこの国で「理想の母親」となることは、「人として当たり前の自由や権利の放棄」に結びつくほど苛烈だ。しかもそれは、「美しい」「正しい」母親像の称揚によって、女性たちに「自発的に」自由を捨て去ることを強いてきた。本件が示す問題の根は深い。

*2-3:https://mainichi.jp/articles/20180327/k00/00m/010/100000c (毎日新聞 2018年3月26日) 熊本市議会:北口和皇氏が失職 兼業禁止規定に違反
 熊本市議会は26日、北口和皇(かずこ)市議(59)が地方自治法の兼業禁止規定に違反したとして、議員資格なしとする「資格決定書」を全会一致で議決した。同日付で失職した北口氏は決定の取り消しを求め熊本県知事に審査請求する方針。市議会によると、北口氏が組合長だった市漁協は、北口氏が会長を務める別の団体からの再委託分を含めると、市からの業務委託費が2015年度に事業収入の6割を超えていた。市議会特別委員会は議員が自治体と請負関係になることを禁じた兼業禁止規定に抵触するとしていた。北口氏は「再委託は請負と評価すべきではない」と反論しており「最後まで徹底的に争いたい」とコメントした。北口氏を巡っては市職員へのパワハラ行為があったなどとして、15年11月以降、議員辞職勧告を4回受けていた。

<人口減という論点設定の誤り>
*3-1:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25268100Q7A231C1SHA000/?n_cid=NMAIL006 (日経新聞 2017/12/31) 人口減でも増える労働力 18年最多へ、女性けん引
 働く人の数が2018年に過去最高となりそうだ。人口が減少する中でも女性やシニアの労働参加率が上昇しているためで、就業者の数は当面、増え続ける見通し。ただいずれ臨界点が訪れ、20年代前半にも就業者の増加カーブが頭打ちになるとの観測も広がる。今後の成長には誰もが働きやすい労働慣行づくりや、人工知能(AI)などによる生産性向上が一段と重要になる。主な働き手となってきた15~64歳の「生産年齢人口」は現在、約7600万人。少子高齢化が進み、この20年で約1割減った。主要国の中でも突出したテンポで減少が続いている。にもかかわらず実際に働く就業者数は伸び続けている。17年は11月までの平均で6528万人と、前年を約1%上回った。過去2番目の水準だった98年の6514万人を超えるのが確実だ。18年も過去5年並みの伸び率が実現すれば、統計が残る53年以降で最高だった97年の6557万人を突破する可能性が高い。高度成長期の「いざなぎ景気」を上回る長さで12年末から続く緩やかな景気回復で労働参加が増え、働く意思のある人のうち就業している人はこの5年で急増した。生産年齢人口に対する比率で見ても13年に初めて8割を超え、足元では85%を上回る。けん引しているのは女性やシニアだ。15~64歳の女性で働いている人の割合は11月に68.2%と5年前に比べて6.7ポイント上昇し、過去最高水準にある。経済協力開発機構(OECD)によると、生産年齢人口に占める女性の就業率は米国を13年に抜き、主要先進国と遜色ない水準まできた。65歳以上の働くシニアの割合も98年以来の高さで、体力が必要で若い人を求めてきた介護現場で働く人も増えている。すでに働く意思を持つほぼ全員が職に就ける完全雇用の状態にある。問題は働く人をどこまで増やせるかにある。SMBC日興証券は人口の動きから判断して、最も楽観的なケースで就業者数は6950万人くらいが限界だとはじく。息の長い景気回復で各年齢層の労働参加率の上昇テンポが2倍に速まると仮定すると、働く人は年およそ50万人ずつ増やせる。女性の労働参加率が男性並みに高まるという前提だ。ただいずれ女性の働き手も枯渇し、25年をピークにいよいよ減少に転じる見込み。今のような景気回復が続けば「20年代前半に頭打ちになる可能性が高い」(同社の宮前耕也氏)。さらに厳しい見方もある。みずほ総合研究所の堀江奈保子氏は「人口減少と高齢化で労働参加率が今後上昇する余地は限られており、20年ごろには減少に転じるとみるのが現実的」とみる。失業率や各年齢層の労働参加率がほぼ変わらないと仮定して推計すると、25年に就業者数は6000万人を割るという。働く人の数が減少し始める中で成長し続けるには、従業員1人当たりの付加価値(労働生産性)向上が必要になる。日本生産性本部によると、16年の1人当たり労働生産性はOECD加盟35カ国の中で21位にとどまっている。人手不足を受けて企業は省力化の設備投資を増やしている。リクルートワークス研究所によるとAIや機械による労働の代替が進んで労働力が余り、今は24年ぶりの低水準にある失業率が25年までに再び大きく上がる可能性がある。多くの企業では余剰人員が生まれるため、より成長性の高い分野に人が転職しやすい市場を整備すれば、人材難を緩和できそうだ。より少ない人数で多くの付加価値を生み出せるようになれば収益力は落とさずにすむ。大きな課題としては、外国人労働者の受け入れもある。日本で働く外国人は16年10月時点で108万人と5年間で5割以上増えた。ただ留学生のアルバイトや、国際貢献を建前として受け入れている技能実習生が全体の4割を占める。日本総合研究所の山田久主席研究員は「意欲や能力が高い外国人を真正面から受け入れる制度にすべきだ」という。共働きの制約となっている配偶者控除など、税制面でも抜本的な見直しが必要との指摘は多い。働く女性を支えるため、男性が育児休業を取得しやすくするような環境も大切だ。年金制度を含む社会保障制度についても、高齢者の就労をさらに促進する方向で改革を進める。労働供給のカベとの闘いは、これからが本番となる。

*3-2: https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180109&ng=DGKKZO25360070V00C18A1KE8000 (日経新聞 2018.1.9) 時代の節目に考える(4)人口減・高齢化言い訳にせず、逆手に生産性上昇めざせ 星岳雄(ほしたけお:スタンフォード大学教授 1960年生まれ。東京大教養卒、MIT博士。専門は金融・日本経済)
<ポイント>
  ○人口増加は経済成長の大きな要因でない
  ○終戦直後には人口過剰問題への懸念強く
  ○生産性の継続的な上昇を促す経済政策を
 2018年はいろいろな意味で節目の年である。世界金融危機から10年、日本の銀行危機のピークからも20年になる。そして平成の時代は30年目を迎え、19年には元号が改まることになった。また中国の改革開放が始まったのは40年前であり、全世界で反体制のデモや暴動が広がった「動乱の1968年」からも50年だ。もっと長期的にみると、18年は明治維新から150年にあたる。この150年間、日本は目覚ましい成長を遂げた。明治初期には3500万人に満たなかった人口は、大正に5千万人、昭和に6千万人を超えた。67年に1億人に達した後も増え続け、今世紀には1億2700万人台に達した。1人あたり国内総生産(GDP)は、明治初期には750ドル程度(各国の購買力平価と物価変動率を基に90年時点のドルに換算)だったが、1916年には2倍の1500ドルを超えた。第2次世界大戦など多くのショックはあったが、57年にそのまた2倍の3千ドルに達し、高度成長期を経て90年代半ばには2万ドルを超えた(英経済学者アンガス・マディソン氏の統計による)。しかし2000年代半ばになると人口は減少に転じ、50年代には1億人を切る見通しだ。2115年には大正初期の人口とほぼ同じ5千万人に戻ってしまうと予測される。経済成長もこのところ停滞が続いている。2017年の成長率は久しぶりに2%に近づきそうだが、この好景気が長く続くとみる人は少ない。人口減少と高齢化は今後の経済成長にどのような影響を与えるのか。それを考えるのが本稿の目的だ。人口が減少する中で、経済も停滞を続け、このままでは日本は超長期的には消滅してしまうのか。新春にふさわしくない話題だと読むのをやめる読者がいると困るので結論を先に言うと、人口減少と高齢化は経済の停滞を運命づけるものではない。むしろ場合によっては、人口減少や高齢化が経済を活性化する可能性すらある。人口減少と経済成長を考えるとき、GDPなどにより測られる経済全体の産出量を、「人口」「労働力/人口」「産出量/労働力」の3つに分解すると説明しやすい。すなわち産出量は人口と労働参加率と労働生産性を掛け合わせたものであり、経済成長率は人口増加率、労働参加率の上昇率、そして生産性上昇率の3つの要因を足し合わせたものになる。表は、この数式に1956年から2015年の日本の数値を当てはめて計算した結果を示したものだ。日本の経済成長率がここ60年で著しく低下したことが明らかにみてとれる。高度成長時代の年率約8%の成長率が、1970年代後半からは3~4%に低下し、90年代半ば以降は1%程度に落ちてしまった。また高度成長への人口要因の直接的な貢献(人口増加率と労働参加率の上昇率を足したもの)は1~1.5%にすぎなかったこともわかる。残りの7%程度の成長は生産性上昇によるものだった。76~95年の期間は、人口要因の貢献がほとんど変わらなかったにもかかわらず、経済成長率が鈍化した時代だった。そして96年以降は、最終的には人口要因により、年率0.1%以下ではあるが、成長に対してマイナスの影響を与えるようになった。さらに生産性上昇率が一段と低下することにより、日本経済は停滞に陥った。こうして実際の数値をみると、人口増加は経済成長の大きな要因ではなかったことがわかる。同様に最近の人口減少と高齢化も経済成長にマイナスの影響を与えるものの、決定的な要因とは言えない。高度成長にしても最近の経済停滞にしても、人口要因の直接的な影響よりも、生産性上昇のほうがより大きな役割を果たしたのである。経済成長が人口増加によりもたらされるわけではなく、経済停滞も人口減少の必然的結果ではない。そもそも人口減少が経済成長の大きな制約要因と認識されるようになったのは最近のことだ。70年前の1948年、日本の人口が8千万人を超えた年に、読売新聞(9月14日付)は「人口問題に関心を持て」という社説を掲載した。ここでの人口問題とは人口過剰問題だ。日本の国土に相応な5千万人程度の人口を超える無責任な人口増加が「戦争誘致の最大なる原因」だったと指摘した。人口8千万人という「われわれの歴史あつて以来初めて」の状況でまた過ちを繰り返さないように、「国民が如何(いか)なる原因でこうした非合理な無自覚な出産をつゞけているかという根本問題」を考えなければならないと論じた。人口問題とは人口過剰問題であるという認識は、当時は常識的なものだった。実際にはその後、日本は高度成長を達成することで、8千万人が何とか生活を維持できるかどうかという状態から、1億人以上の人々が豊かな生活を実現できるまでに発展した。人口増加が経済成長を引き起こしたのではなく、むしろ経済成長が人口増加を可能にしたのである。こう考えると人口が減少すると、極端に高い生産性の上昇がなくても、豊かな社会の維持が可能になることがわかる。人口減少と高齢化が進むので、経済の停滞は避けられないという議論は、単なる言い訳にすぎない。重要なのは、人口が減っても高い経済成長を実現する生産性の上昇であり、それを可能にする経済改革である。具体的にはどのような改革なのか。詳しく立ち入ることはできないが、アニル・カシャップ米シカゴ大教授との共著「何が日本の経済成長を止めたのか」(2013年)での結論を繰り返そう。最も重要なのは、規制改革、国際的経済活動の自由化、健全な競争を妨げるような弱者保護の政策の是正などの思い切った施策を通じて日本経済の新陳代謝を高め、最新の知識や技術がより早く経済活動に反映される環境を整えていくことだ。人口減少と高齢化は、経済成長に与える負の影響がそれほど大きくないだけでなく、むしろ逆手に取ることで生産性の上昇の誘因ともなる。例えば日銀の2017年7月の「経済・物価情勢の展望」では興味深い分析を報告している。産業レベルでみると、人手不足の度合いが高い産業で、IT(Information Technology=情報技術)を活用した効率化投資がより活発になっているというのだ。人口減少と高齢化が、従来の生産方法の継続に大きな課題を与えるときに、労働生産性を上げていくような投資が起こりやすくなるのは、理にかなったことだ。こうしたことが実際に起きているのか、今後緻密な実証研究が期待される。人口減少は、AI(Artificial Intelligence=人工知能)の発達により今後人間の職がなくなっていくという、現在注目を浴びている問題にも関わってくる。労働力人口が減っていく社会では、そうしたAIによる人間労働の代替は、むしろ歓迎される可能性が高い。日本の持続的な経済成長にとって、人口減少と高齢化は致命的な問題ではない。生産性の継続的な上昇を可能にするような経済改革を実現することにより、日本経済は成長を続けることができる。こう考えると、日本経済の近未来は明るくなる。人口減少を恐れるべきではない。

<ジェンダー押し付けの結果>
PS(2018年4月7日追加):遺伝子によって生物学的に決まる性以外に、人間には社会的に押し付けられる性(ジェンダー)が存在する。この社会的性差は、時代によって変化する上、同時代の人の中にも当然バラエティーがある。しかし、近年は、誰でも“普通”でなければならないかのような圧力が強く、よほどしっかりした人でなければ自分が性同一性障害と勘違いしてしまうこともありそうであるため、不可逆的な性別適合手術を行うにあたっては、必ず遺伝子検査をして生物学的性が第二次性徴と異なるか否かを確かめる等、慎重な対応が求められる。

*4:https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-696427.html (琉球新報 2018年4月7日) 性別適合手術で保険初適用 岡山大病院、負担3割に
 心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人の性別適合手術で、公的医療保険の対象となる全国初の手術が岡山市の岡山大病院で実施されたことが7日、分かった。今月から始まった制度で、保険適用により自己負担は3割となる。GID学会理事長の中塚幹也・岡山大大学院教授(生殖医学)によると、手術を受けたのは近畿地方に住む20代。女性から男性の体にするため、6日に乳房を切除した。性別適合手術は保険外のホルモン療法を受けている場合、全額自己負担となる。患者の多くはホルモン療法を受けるが、今回の当事者はまだ始めていなかった。

<農業の人材不足と外国人労働者・女性活躍>
PS(2018年4月8日追加):*5-1のように、農業の労働力不足は深刻で、沖縄では6割の自治体が労働力不足としており、花卉・野菜・キビなどの「耕種分野」は145の経営体で外国人材の雇用を要望しているそうだ。そのため、JA沖縄中央会は外国人材の採用に関する特区導入を希望しているが、言語や生活習慣の違い、農業技術の流出などの課題もあるとのことである。
 文化の違いについては、①沖縄からアメリカやブラジル等に移住した人の子孫を募集すれば、文化の違いが克服しやすい ②日本の都会で人材募集すれば、沖縄独特の自然の豊かさから日本人の男女でも手を挙げる人は少なくない ③外国人であれば、国別に住居をまとめて住んでもらい、その地域の公共施設はその国の言語にも対応できるようにする などの方法がある。
 また、*5-2のように、近年、女性農業者の活躍が目覚ましく、彼女たちが思う存分能力を発揮できる環境を整えれば貴重な人材となる上、*5-3のように、各地の大学や学科で本格的に食や農を学ぶ農学系女子(ノケジョ)も増えているそうだ。女性は、農業関連の知識だけでなく、食の安全・安心や産地と栄養・料理(=ニーズ)の関連、農山村の可能性など、具体的で広い関心を持っている点が特徴である。

*5-1:https://ryukyushimpo.jp/news/entry-669143.html (琉球新報 2018年2月21日) 労働力不足、農業も深刻 沖縄、6割の自治体「不足」 花卉、野菜、キビ…外国人受け入れに期待も
 沖縄県内の農業・畜産業の労働力に関して都市部以外の市町村を中心に、約6割の自治体が「労働力が不足している」と認識していることが、県の調査で20日までに分かった。品目別では花卉(かき)、野菜、サトウキビなどで不足し、12月~3月の冬春期に不足人数が多かった。他の期間にも常に100人以上が不足するなど、農業の労働力不足の深刻さが浮き彫りとなっている。県が導入を検討する国家戦略特区の農業の外国人材の受け入れに関し、県農林水産部が調査した。調査は昨年12月から今年1月、県内41市町村と農業関係11団体を対象に実施。市町村の労働力不足については、29市町村が回答し、18市町村(62%)が「不足している」と答えた。農業団体の調査で農業生産に関わる労働力不足人数を月別に見ると、12月から3月までの冬春期に最大282人が不足していた。沖縄は県外が寒くなる冬春期に農業生産が活発で、とりわけ季節性があり通年雇用が困難なことから労働力の確保が難しいとみられる。年間を通じて100人以上が不足していた。花卉や野菜・キビなどの「耕種分野」は145の経営体で外国人材の雇用を要望しているが、一方で「畜産分野」の要望は8経営体にとどまった。畜産では海外の伝染病などの侵入を懸念し、受け入れに慎重な声もある。アンケートでは他に、外国人材の採用に関し、言語や生活習慣の違い、農業技術の流出などの課題が挙がった。労働力の確保には前向きな意見もある半面、国内の若手就労者、後継者などへの支援充実に注力すべきとの指摘もあった。現在、県内で受け入れが進む外国人技能実習生と比較して、農業特区の外国人材は活動範囲の広さなど関係者の期待も大きい。JA沖縄中央会の担当者は本紙の取材に「(特区の導入は)当然、必要だ。かなりの人数で労働力が必要となり、特区に期待している」と述べた。別の農業関係者は「外国人材に慎重な人もいるだろうが、潜在的な需要はまだまだある」と話した。

*5-2:https://www.agrinews.co.jp/p41934.html (日本農業新聞 2017年9月18日) 女性農業者の活躍 能力発揮へ地域の理解
 農水省の農業女子プロジェクトのメンバーが9月下旬から、香港でイベントを開く。日本の農産物や加工品をアピールし、輸出の足掛かりになると期待される。こうした女性農業者の活躍が最近、目覚ましい。農業に夢を描き、その実現へ奮闘する彼女たちをもっと支援しよう。家族に加え、地域の理解が欠かせない。思う存分能力を発揮できる環境を整えたい。香港のイベントは27日から10月31日まで。今年1月に続く2回目だ。百貨店やスーパーでの試食PR・店頭販売の他、農業女子が講師となり、自ら生産した農産物を使った料理レッスンを開き、現地レストランで特別メニューを提供する。初回のフェアをきっかけに香港への輸出を始めたメンバーもおり、販路開拓の意気込みは盛んだ。女性農業者の活躍が求められる背景の一つに、農業の6次産業化がある。農業者自身が生産・加工・販売に取り組む形は、これまでの「作れば売れる」から「売れるものを作る」発想への転換が必要となる。女性農業者は、生産者であると同時に家庭を切り盛りする生活者・消費者の視点を持つ。買い物好き、ネットワークづくりに優れた人も多い。そんな彼女たちの感性が、6次産業化を進める上で不可欠だ。生産物の品質はもちろん、消費者ニーズを捉えた加工品開発、見栄えのいい包装、直売やカフェに売り場を広げるなどして顧客の心をつかみ、起業家や経営者としての手腕を発揮する。一方、男性を中心とした農村社会の構図は依然として残る。「夫が経営の収支を教えてくれない」「妻は労働力としか思われていない」といった意見をいまだに聞く。農業女子からさえも「自治体からの通知がないと会合に外出しづらい」との声が出る。活躍する姿の裏に、こうした課題が潜んでいることを見逃してはならない。女性農業者はかつて無報酬労働が当然とされ、子どもの服を買う小遣いすらままならなかった。彼女らは思い切って義父母に要望したり、こっそりと内職をしたりして、わずかでも自由になる小遣いを稼いできた。そんな中で生活改善を進め、家族経営協定を結び、少しずつ地位向上を果たしてきた歩みがある。支えたのは義父母や夫、子どもたちなど家族の理解だ。現在、農業者の高齢・減少化が深刻さを増し、女性農業者の活躍が農村社会の活性化に欠かせなくなっている。これを後押しするには、家族の理解だけでなく、農村社会の中軸であり地域農業に従事する男性の協力が必要だ。JA役員や農業委員で女性登用を増やすため、こうした組織リーダーである男性の意識改革をさらに進めなければならない。政府が女性活躍推進へ積極的に取り組む今こそ、真の意味で女性が輝ける仕組みをつくり上げるべきだ。農業発展の鍵を握る女性たちが、活躍する“芽”を育てていこう。

*5-3:https://www.agrinews.co.jp/p43752.html (日本農業新聞 2018年4月7日) 農学系女子 ノケジョ 食・農の未来「任せて」 年々増加 今や半数近くに 大学側も期待
 入学シーズンを迎える中、各地の大学や学科で食や農を学ぶ農学系女子(ノケジョ)が増えている。既存の農業系の学校だけでなく、今春開設した食・農学系の大学や学部でも、ノケジョ率は高い。農業関連の知識だけでなく、食の安全・安心や産地との連携、農山村の可能性などを幅広く学べるところが人気の要因だ。
●男性しのぎ 続々入学
 6日に入学式をした日本農業経営大学校(東京都港区)では、新入生16人のうち女性は過去最多の5人。昨年は女子の入学はゼロで、例年は1、2人だった。青森県南部町の果樹農家出身の沼畑恵夢さん(20)は「地元には後継者がいないために土地を手放した農家が多数いる。女性の力で現状を打破したい」と意気込む。東京農業大学は今春、神奈川県厚木市の農学部に新たに生物資源開発学科、デザイン農学科の2学科を開設した。特に、デザイン農学科は新入生126人のうち71人が女性。同大は「農業生産の研究だけでなく、食の安全・安心や農村の持続性など幅広い分野を学べる農学部に、女性の支持が集まっている」(厚木キャンパス事務部)と分析する。
●酒造り人気に
 今春、吉備国際大学は兵庫県南あわじ市の農学部に新たに醸造学科を開設した。酒造りの世界は男性のイメージがある中、新入生20人のうち女性は5人。大学への問い合わせも女性が多かったという。同学科の井上守正教授は「酒造りだけでなく、チーズやバター、漬物などモノづくりに関する女性のポテンシャルは高まっている。来年度以降、女性の割合はさらに高まる」と見込む。新設した新潟食料農業大学(新潟市)は7日、入学式を迎える。少子高齢化で学生の絶対数が少なくなる中での開校は大きな挑戦だったというが、県内外の調査で女性の進学希望が多かったことも設立を後押しした。新入生99人のうち、女性は25人。同大は「女性の潜在的な入学希望はもっとあるはず。来年度からはさらに女性比率を高めるよう、情報発信したい」(入試広報課)と意欲を示す。
●獣医師志望も
 3日に入学式を終えた学校法人「加計学園」が運営する岡山理科大学獣医学部(愛媛県今治市)は、新入生186人のうち、女性は男性を上回る95人を占めた。同大学は「昔は獣医師は男性のイメージがあったが、女性を集めることが安定的な学校運営につながる。命を扱う獣医師に女性は向いており、畜産農家に貢献できる人材育成を進めたい」(入試広報部)と狙う。
●細やかさ生かし新時代けん引を
 新設される学部だけでなく、既存の大学農学部でもノケジョが目立つ。文部科学省によると、最新の2017年の調査では、農学を学ぶ大学生は10年前より3703人も増え7万6676人。うち女性の割合は45%。10年前は39・5%だった。農学部の女性は10年間で5472人も増えている。早稲田大学名誉教授で、日本農業経営大学校の堀口健治校長は「6次産業化などで農の付加価値を高めるべき時代に、女性の細やかな視点が生かせる場面は多い。農業をけん引してほしい」と期待する。 

<民営化後の郵便局の利用>
PS(2018年4月11日追加):*6のように、郵便局が自治体事務の一部を受託してくれれば、近くに郵便局しかない離島・山間部の人は便利になる上、コンピューターネットワークを駆使すればそれは可能で、外国語対応も安価にできそうだ。また、全国で郵便局や社宅の跡地を開発する司令塔になるのもよいだろう。しかし、ゆうちょ銀行が民営化した以上、通常貯金の預入限度額は撤廃すべきだと考える。何故なら、「地方銀行からゆうちょ銀行に預金が流出して民業圧迫する」というのは、これまで長く銀行業務をやってきて、地域の事情や銀行業務のノウハウに精通している筈の地方銀行の甘えにすぎないからである。

*6:http://qbiz.jp/article/131625/1/ (西日本新聞 2018年4月11日) 郵政社長、郵便局機能絞り込みも 将来的な可能性を示唆
 日本郵政の長門正貢社長(69)は11日、共同通信のインタビューに応じ、全国約2万4千の郵便局網に関して「全て同じ機能を持つ必要があるかという議論はある」と述べ、将来的な機能絞り込みの可能性を示唆した。首都圏など都市部で担当エリアが重複する店舗の統廃合を進める一方で、過疎地などでは利用状況に応じた平日休業といった運営形態の見直しが今後、議論されそうだ。郵便局で自治体事務を受託することについては「収益は踏まえるが、かなり引き受けられる」と積極姿勢を示し、「全国一律のサービスは今後も守る」と強調した。4月2日に設立した不動産開発の100%子会社の日本郵政不動産は、東京や大阪での案件を皮切りに、全国で郵便局や社宅の跡地を開発する「司令塔になる」との考えを示した。一方、政府の郵政民営化委員会が近く是非を判断する、ゆうちょ銀行の通常貯金の預入限度額撤廃案に関しては「撤廃を希望する考えを取り下げるつもりはない」と明言した。地方銀行などからゆうちょ銀に預金が流出し、民業を圧迫するとの懸念に対しては「預金集めではなく、投資信託の販売など資産形成支援に注力していく」と否定的な見方を示した。策定中の新中期経営計画で対象となる2018〜20年度は、低金利の長期化が見込まれるとして「収益を上げるには最も厳しい3年間になる」と語った。

<外国人労働者の必要性と待遇>
PS(2018年4月12日追加):*7-1のように、政府は2019年4月にも外国人労働者向けに新たな在留資格を作り、最長5年間の技能実習を修了した外国人に、さらに最長5年間の就労資格を与えるそうだ。対象は農業・介護・建設などとしているが、*7-2のように、林業や水産業も人手不足で、さらに中小企業も事業承継する人がいないという問題を抱えているところが多いため、業種は限らない方がよいと考える。なお、技能実習終了後は母国に帰って再来日した後に新資格を与え、「引き続き10年以上の在留」という外国人の永住権取得の要件に当てはまらないようにするそうだが、世界の人材獲得競争の中で条件を悪くすれば、研究者の動向と同様、選択肢の多い優秀な人ほど日本に来なくなるので注意すべきだ。

    
                       2018.4.12日経新聞
(図の説明:先進国に先駆けて日本の高齢化率は高く、生産年齢人口の割合は低くなるが、これに対応するには、高齢者の定義変更や女性労働力の活用だけでなく、外国人労働者も重要だ。しかし、外国人に対する処遇を差別的なものにしすぎると、優れた人ほど他国に行ってしまい、その結果は、現在、研究者の母集団の数と多様性によって科学技術分野の論文数に現れている)

*7-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180412&ng=DGKKZO29256530R10C18A4MM8000 (日経新聞 2018年4月12日) 外国人、実習後に就労資格、最長5年、本格受け入れ 農業や介護、人材を確保
 政府は2019年4月にも外国人労働者向けに新たな在留資格をつくる。最長5年間の技能実習を修了した外国人に、さらに最長で5年間、就労できる資格を与える。対象は農業や介護などで、試験に合格すれば、家族を招いたり、より長く国内で働いたりできる資格に移行できる。5年間が過ぎれば帰国してしまう人材を就労資格で残し、人手不足に対処する。外国人労働の本格拡大にカジを切る。政府は単純労働者の受け入れを原則、認めていない。一方で働きながら技能を身につける技能実習の範囲拡大や期間延長で事実上、単純労働者の受け皿をつくってきた。幅広く就労の在留資格を与える制度の導入は大きな政策の転換点になる。政府は今秋の臨時国会にも入国管理法改正案を提出し、来年4月にも新制度を始める方針だ。新設する資格は「特定技能(仮称)」。17年10月末で25万人いる技能実習生に、さらに最長5年間、就労の道を開く。技能実習は農業や介護などが対象。新設する資格とあわせれば、通算で最長10年間、国内で働き続けることができる。新資格で就労すれば技能実習より待遇がよくなるため、技能実習から移行を希望する外国人は多いとみられる。政府は少なくとも年間数万人は外国人労働者が増えるとみている。農業、介護、建設など人手不足の業界を対象にする。そもそも技能実習は学んだ技術を母国に伝えることが前提。経験を積んだ人材も実習後に国外に退去しなければならない。長く働きたい外国人や、実習で経験を積んだ外国人を育てた国内の雇用主からは、改善を求める声があった。技能実習制度とその本来の目的は維持するため、新資格は一定期間、母国に帰って再来日した後に与える。外国人の永住権取得の要件の一つに「引き続き10年以上の在留」がある。いったん帰国してもらうため、技能実習と新資格で通算10年を過ごしても、直ちに永住権取得の要件にはあたらないようになる。外国人労働者をさらに増やすため、実習修了者と同程度の技能を持つ人にも新資格を付与する方針だ。既に実習を終えて帰国した人も対象になる見通しで、経験豊かな労働者を確保できる。新資格の保有者は、より専門性が高い在留資格に変更できるようにする。専門技能を問う試験に合格すれば、海外の家族の受け入れや、在留期間の更新ができる既存の資格に切り替えられる。国内では25年度に介護職員が約38万人不足する見込み。農業人口はこの10年で約4割減り、人手不足が深刻だ。技能実習生の多くが新資格に移行すれば、長期間、国内労働力に定着させることができる。アジア各国の賃金上昇で外国人労働力の獲得は難しくなっているが、人材獲得競争にもプラスに働くと見ている。日本の労働力人口は約6600万人。17年10月末時点の外国人労働者数は技能実習生の増加などがけん引し127万人と過去最高を更新した。労働力の50人に1人は外国人が担う状況だが、政府はさらに増やす方針だ。ただ多くの外国人の受け入れを前提とした社会基盤については整備が遅れており、受け皿づくりに向けた国民的議論を進めることが急務となる。

*7-2:https://www.agrinews.co.jp/p43787.html (日本農業新聞 2018年4月12日) 新たな森林管理制度 人員確保策が焦点 衆院農林水産委員会
 手入れが行き届いていない森林を、担い手に集約化する新たな森林管理制度の創設を目的とした森林経営管理法案が、11日の衆院農林水産委員会で本格審議に入った。農水省が今国会に提出した9法案の目玉の一つ。安倍政権が掲げる林業改革の具体化を目指す。林業の人手不足が深刻化する中、管理を担う人員をどう確保するか現場の懸念は根強く、今後の審議の大きな論点となる。同法案は、所有者が管理できない森林を、市町村を介して、意欲と能力ある民間事業者に集約化する制度を創設する。条件不利で収益が見込めない森林は、市町村が管理する。今国会の重要議案に位置付けられ、委員会審議に先立ち、先月29日の衆院本会議で、斎藤健農相による趣旨説明と、与野党による代表質問が行われた。12日には同委員会で参考人質疑も予定する。11日の同委員会では、新制度で市町村が担う森林の所有者や境界の特定といった業務に対して、「明らかに(人員が)不足している」(立憲民主党の神谷裕氏)などと懸念する声が続出。市町村の林務の専門職員は全国で約3000人で、3分の2の市町村は、こうした職員がゼロか1人という現状が背景にある。同省は、林業従事者らを対象に市町村の林務を全般的に支援する「地域林政アドバイザー」の資格取得を進め、市町村がアドバイザーを雇う経費などを地方交付税で措置し、体制整備を後押しすると説明。近隣市町村と共同での新制度の運用や、都道府県による事務の代替も可能だとした。国は市町村が新制度を運用する財源として、新税「森林環境税」を元手にした「森林環境譲与税」を配分する。野党からは、その使途も幅広くするよう求める声が上がった。斎藤農相は、新制度の当初の目的は私有林の整備促進だとしつつ「私有林よりも公有林の整備が優先される事態に対しては、市町村の判断で公有林の整備に当てることは可能だ」と説明。一方で同省は、財源の適正な利用へ、地方公共団体にインターネット上などでの使途の公表を義務付けるとした。

<高齢者いじめをしている馬鹿は誰なのか>
PS(2018年4月13日追加):人口構造の変化で高齢者に対する年金・医療・介護などの社会保障負担に堪えられないため、「高齢者(⁉)への負担増・給付減を行うべきだ」とする官製の論調に対しては、メディアだけでなく国会議員の中にも疑問を持たずに同じことを言う人が多い。しかし、この官製の論調は、「他のあらゆる努力をした上で、仕方なく高齢者の権利を奪う選択もする」というのではなく、他では無駄遣いを垂れ流し愚策を重ねながら、高齢者から巻き上げることで解決しようとするものであるため、説得されてしまう人は頭が弱いと言わざるを得ない。ただ、*8-1のように、八方を幸福にしながら社会保障費を削ることには、私も賛成だ。
 また、*8-2のように、政府は経済財政諮問会議で、2019年度からの3年程度、社会保障費の抑制に向けて歳出の目安を設ける方向で検討に入り、医療・介護などの社会保障費の自然増を抑えるとのことだが、必要だから受けている医療・介護を削って国民一人当たりの福利を減少させるのは問題だ。特に、生活支援に対する扱いが悪いが、高齢化社会で医療・介護・生活支援は必要不可欠なサービスで、これは、現在から将来にわたって世界で必要とされる(無駄遣いではない)本物のニーズであるため、これを磨いておくことは、我が国の高度なサービス産業の育成にもなるのである。そのため、そんなこともわからずに、EV・再生可能エネルギー・再生医療の二の舞にしようとしているのは、我が国の官製政策の重大な欠陥である。
 なお、*8-3のように、日本年金機構の外部委託業者の情報処理にミスがあり、その委託業者は、機械の読み込みではミスが出やすい氏名などの入力作業を中国の関連企業にやらせていたそうだが、国民は、日本年金機構や厚生労働省に個人情報を知られることを了承したものの、外部委託業者や再委託業者に個人情報を知られることを了承した覚えはない。つまり、個人情報保護や人権に無頓着というのが我が国の官僚機構で、その無神経さに呆れるのである。


                  2018.1.27日経新聞     2016.2.18毎日新聞

(図の説明:金融緩和して貨幣価値を下げる政策をとったため実質賃金は下がり、年金が減らされ介護保険料負担が増えたため年金生活者はこれら3つの影響でさらに実質手取額が減った。そのため、いくつかのメリットはあったかもしれないが、実需の国内需要が増えるわけはないのである。また、本当に必要とされ利用が進んでいる医療・介護サービスをめくらめっぽう減らし、介護保険料負担は40歳以上のみのまま高齢者負担を増やしたため、人口の30%以上を占める高齢者の生活が危うくなった。そのため、どういう人が考えるとこういう政策になるのかを、主権者である国民はよく考えるべきである)

*8-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180413&ng=DGKKZO29334950S8A410C1EN2000 (日経新聞 2018年4月13日) 高齢者の就業促進
 日本では、生産年齢人口(15~64歳)が絶対数でも人口比でも減少するという「人口オーナス」が進行中である。人口オーナスは人手不足をもたらし、社会保障制度の持続可能性を脅かし、地域を衰退させる。この人口オーナスに対抗する有力な道が、高齢者の就業促進である。高齢者の就業が増えれば、一石四鳥の効果をもたらす。第1に、働き手が増えるから人手不足が緩和される。第2に、年金の支給開始年齢を引き上げるなどの社会保障改革を進めることができる。第3に、就業に伴い所得が増えるから、高齢者家計の将来不安も軽減される。そして第4に、医療費の削減にも寄与するだろう。高齢者の労働参加率が高い地域は高齢者ひとり当たり医療費が少ないという関係があるからだ。こうした期待に応えて、高齢者の就業はかなり増えている。総務省「労働力調査」によれば、2012年から17年までの間に、55歳以上の就業者数は140万人も増えている。これはこの間の全就業者ベースの増加数の56%に相当する。人口オーナスによる人手不足の顕在化を、相当程度高齢者の就業増加が防いだことになる。一方で、大きな課題も残されている。それは、同一企業内での就業促進になっていることだ。高齢者の継続雇用を法律で義務付けられた企業が、多くの場合、定年後の雇用に対して別途の制度を設けて雇用の場を提供しているからだ。企業内の高齢者就業促進は誰にとっても不満を残すことになる。法律上の義務を果たすために、企業が無理に高齢者のための就業の場をつくり出しているとすれば、企業全体の効率性は損なわれるだろう。賃金水準が低く、高齢者の側にも「自らの能力と経験にふさわしい場が得られない」という不満が残る。定年を迎えた高齢者に最もふさわしい仕事が、同じ企業内に存在するとも限らない。現状のような不幸な就業形態を防ぐには、高齢者に限らず雇用の流動性を高めるなかで、企業の枠を超えて高齢者の就業の場を確保していくことが必要である。流動性が高まって、高齢者が能力と経験にふさわしい就業の場を持てるようになれば、前述の一石四鳥の効果はさらに高まる。働き方改革の重要なテーマである。

*8-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13448427.html (朝日新聞 2018年4月13日) 社会保障費抑制へ、歳出の目安を検討 来年度から3年間 政府
 政府は12日の経済財政諮問会議で、2019年度からの3年程度、社会保障費の抑制に向けて歳出の目安を設ける方向で検討に入った。団塊の世代が75歳になり始める22年度以降、社会保障費が大幅に膨らむためで、6月にまとめる新たな財政再建計画に盛り込む。安倍晋三首相は「今後3年程度で取り組む改革の方向性について、歳出の水準も含め、しっかりと検討する必要がある」と述べ、社会保障費の目安を検討するよう指示した。内閣府の試算では、医療費や介護費などの社会保障費の自然増は、これまでの年6500億円から、22年度以降は年9千億円に膨らむ見通し。政府は18年度までの3年間、予算編成で社会保障費の伸びを年5千億円程度に抑える目安を設けてきたが、19年度以降も歳出抑制のための目安が必要と判断した。厚生労働省は次回以降の諮問会議で、40年までの社会保障費の伸びの推計を公表予定で、これが議論のベースになる。一方、経団連は12日、社会保障や公共事業などの政策経費を税収などでどのくらいまかなえるかを示すプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)の黒字化の達成時期について「20年代半ばを目標とすべきだ」との提言をまとめた。政府はもともと20年度までに黒字化する目標を掲げていたが、補正予算の編成や税収下ぶれ、消費増税延期などを受けて目標達成を断念した。財政再建計画には、黒字化の新たな目標時期も盛り込む方針だ。

*8-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018041302000178.html (東京新聞 2018年4月13日) 【社説】年金支給ミス 制度の信頼を壊すな
 日本年金機構の情報管理のずさんさがまた露呈した。外部の委託業者の情報処理にミスがあった。調査委員会が検証を始めたが、適切な情報管理と運用が年金制度の信頼の基本と自覚すべきだ。約十万人の年金の二月支給分が少なかった。総額約二十億円になる。一方で多く支払われていた人も約四万五千人いた。発覚の端緒は、二月に入り年金額が減ることに気付いた受給者から問い合わせが増えたことだった。年金を頼りに生活している人にすれば、少しの減額でも敏感になることは当然だろう。加えて四月から、介護保険料が多くの自治体で値上げされる。七十五歳以上の医療保険料も上がる地域がある。機構は、負担増や給付減が生活に影響する受給者の実情を認識する必要がある。支給ミスは機構がデータ入力を委託した外部業者の処理がずさんだったためだ。年金に所得税がかかる人の控除手続きに必要な書類のデータ入力作業で発生した。機構によると、契約では入力後に担当者二人が確認する手順だったが、書類を機械で読み取らせていた。そのため誤入力が発生した。入力漏れもあった。委託業者は、機械の読み込みではミスが出やすい氏名などの入力作業を中国の関連企業にやらせていた。これも契約違反だという。委託業者は五百万人を超える大規模作業は初めてで、人材不足からこうした対応になったようだ。厳重な管理が求められる公的年金情報を扱う責任感が欠けていた。機構は委託業者の対応能力についてチェックが不十分だった。しかもミスに気付いた後も代わりの業者が見つからないという理由で委託を続けた。機構は業者へ損害賠償請求を行う方針だが、自身の責任も重い。機構を監督する厚生労働省も責任を自覚すべきだ。その後、別の業者も入力作業を外部に委託していたことが分かった。業務量が増え外部委託が避けられないのなら、業者の管理体制を再考する必要がある。機構は有識者による調査委員会を設け十日に初会合を開いた。業務委託のあり方などを検証し六月に報告書をまとめる。調査に協力し管理体制を見直してほしい。機構は、旧社会保険庁時代の「宙に浮いた年金記録」問題や二〇一五年のサイバー攻撃による年金情報百二十五万件の流出など情報管理の不祥事が絶えない。高齢期の生活を支える制度を担っていると肝に銘じるべきだ。

<メディアの報道内容のレベルの低さ>
PS(2018年4月14日追加):メディアはモリカケ問題を通じて権力闘争を煽るような報道しかせず、その内容もレベルが低い。しかし、*9のように、政治分野で男女比率が均等になるように推進する法案が衆議院で成立しており、各党が目標設定すれば、「秘書や後援会員には女性もいるが、議員は男性」という形が減って女性議員が増え、「女性は支える立場で、主役やリーダーの器ではない」というような誤った“常識”は消えていくことが期待できる。

*9:https://mainichi.jp/articles/20180412/k00/00m/010/063000c (毎日新聞 2018年4月11日) 政治の男女均等推進法案成立へ 各党に取り組み促す
 国政選挙などで候補者の男女比率を均等にするよう政党に努力義務を課す「政治分野における男女共同参画推進法案」は11日、衆院内閣委員会で採決され、全会一致で可決された。12日に衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなった。同法案は衆参両院や地方議会の選挙について、各党に候補者の男女比率が「できる限り均等」となるよう求めている。各党に目標設定など自主的な取り組みを促すもので、罰則規定はないが、国際的にも遅れた日本での女性の政治参画を後押しすることが期待される。

<リケジョの作物選び>
PS(2018年4月15、18日追加):*10-1のような種苗の品種改良と特許権の取得は重要だが、沖縄で菊の栽培に取り組むのは、他の地域と異なる季節に花を咲かせやすいなどのメリットがあるからだろうか?そう言う理由は、私にとって菊は、①切り花が長持ちするという長所はあるものの ②バラのように華やかではなく、ユリや胡蝶蘭のように優雅でもなく ③どこか寂しくて仏壇以外で使いたいとは思わない(仏壇でも、白い他の花の方が気品があって美しかったりする) ④どこにでもある 花だからである。もし、特にメリットがなければ、ブーゲンビリア(鮮やかな花)やキャッサバ(タピオカの原料)のように、沖縄に自生しているため地元の人は雑草のようにしか思っていないが他地域の人には価値ある植物を、他地域でも楽しめるように生産した方が、オンリーワンの製品を安価に作れるだろうと思った次第だ。
 なお、*10-2のように、熊本県宇城市の大規模洋蘭農家は、形が出荷に向かず廃棄していた花でグラスブーケを作り、生花を持ち込めない病院のお見舞いなどに役立てているそうだ。花は、香水の原料にもなり、これからが楽しみである。

*10-1:https://www.agrinews.co.jp/p43603.html (日本農業新聞 2018年3月22日) [改革最前線 生産コスト低減 6] 種苗 JAおきなわ 許諾料2000万円超削減 独自育種 「半額以下」に
 JAおきなわは、菊の品種開発、育成を独自で行うことで、生産者のコスト低減につなげた。菊は購入した種苗で農家が自家増殖する場合は、その購入先にロイヤルティー(許諾料)の支払いが発生する。JAがその許諾料を種苗会社の半額以下に抑えた品種を提供。JAの試算によると管内の生産者が支払う許諾料を、1年間で2325万円削減する効果があるという。100万円以上手取りが増えた農家も数多い。JAが専用施設を作り、単独で育種をするのは全国でも珍しい取り組みだ。
●小菊33%占有
 オレンジ、紫、白・・・。沖縄本島の最南端・糸満市にあるJAの花き実験農場。所狭しと色とりどりの花が並ぶ。草丈も茎の太さもばらばらなのは、多様な特徴を持つ「新品種候補」を育て、その中から有望なものを見つけ出すためだ。これまでに16品種がこの畑から誕生。現在は県内で作る大菊の65%、小菊の33%をJAの品種が占めるまでになった。生産者の支持を集める理由が許諾料の安さだ。種苗会社だと自家増殖した場合、1本当たり2、3円のコストがかかるが、JAの品種は1円以下で済む。同県では年間100万本以上を出荷する生産者も多い。JAの品種を使えば、数十万円単位で削減できる。取り組みを始めた当初は、いくつも課題があった。種苗会社や都道府県の試験場と違い、品種改良の専門知識を持つ人材がいなかった。「プロと戦って太刀打ちできるはずがない」。JA内外からそんな不安の声が聞こえてきた。新品種の育成は困難を極めた。さまざまな品種を掛け合わせ年間80万粒の種を作るが、実用化できる花は滅多に生まれない。ようやくできても、生産者や花卸の目にかなわず、栽培が広がらなかったこともあった。それでもJAは農家負担軽減を目指し、毎年数百万円をかけて挑戦を続けた。花の交配はJA営農販売部の徳元清春さんが一手に担う。開発に行き詰まったときは、他県の試験農場に足を運んで研究した。徳元さんが作った赤い小菊「琉のあやか」は2014年に品種登録を受けた。樹姿が良く病害虫に強い同種は、小菊出荷量全国一の同県で欠かせない品種になった。徳元さんが作ったものは品種名に「琉球」の「琉」の字を使っている。同県には種苗会社の研究農場がなく、同県での生産に特化した品種はほとんどない。「ただ安いだけではなく、沖縄に合った品種を作りたい」。思いが込められている。
●実用化加速へ
 今では、3年に1品種のペースで実用化するまでになった。依然はリスクを恐れて慎重だったJAの姿勢も、変わってきた。JAの上江洌進常務は「良いと思ったら、迷わず普及しろ」と担当者にげきを飛ばす。今後は、実用化ペースを1年1品種に高める方針だ。

*10-2:https://www.agrinews.co.jp/p43832.html (日本農業新聞 2018年4月18日) [活写] 咲かせてみせましょもう “一花”
 熊本県宇城市の宮川洋蘭が作る、規格外のランの花を使ったボトルフラワーが人気だ。デンファレやカトレアを乾かしてガラス容器に密封し5年以上、色が保たれるという。同社は約300種類のランを栽培し、年間およそ20万鉢を出荷する。形が出荷に向かず廃棄していた花を生かそうと、水分が多いランの花を1週間ほどかけて乾かす方法を考案。「森のグラスブーケ」と名付け2013年に売り出した。製作担当の小田美佐登さん(37)は「乾かした花は破けやすく、丁寧に作業している」と話す。贈り物向けに人気を集め、インターネットなどを通して年間約3万個を販売。1個1500円(税別)から。専務の宮川将人さん(39)は「生花を持ち込めない病院の場合でもお見舞いに役立っている。多くの人に華やぐ気持ちを味わってほしい」と話す。

<セクハラの範囲>
PS(2018年4月19日追加):「セクハラは人権侵害で、女性の仕事をやりにくくする」というのには私も賛成だが、*11-1の女性記者に対する財務省の福田次官のセクハラは、普段から男社会でセクハラへの認識が甘い財務官僚が、権力闘争のために仕組まれたセクハラ問題に乗ってしまった感があった。何故なら、人事は財務省内で大筋が決まっており、そのような部下の不始末の責任までとらされたらたまったものではない麻生財務相や安倍首相の任命責任にまで言及しているからで、週刊新潮に録音されたマイクを渡した記者が傷ついたり、メディアと政治家・官僚の間にメディアの方が弱いという力の差があるとも思えないからである。ちなみに、私は電車の中で少し美人の女性が横にきて座り、「足を擦りつけてきた」と言って因縁をつけられた経験がある。それは、私がレズビアンだとでも言いたげで、周囲に人もいたため、「何で私が貴女に足を擦りつけなければならないのですか?気持ち悪い!」と大きな声で言って追っ払ったが、「被害者だ」と主張する女性には、そういう人もいるわけだ。
 ところで、セクハラは身体を触ることだけでなく、*11-2のように、救命活動をする女性に「(女人禁制だから)土俵から降りて」とアナウンスしたり、出産や月経の血で穢すとして女性市長に土俵上で挨拶させなかったり、特定の儀礼に女性を参加させないようにしたりするような男尊女卑も立派なセクハラである。しかし、こういうセクハラには感受性が鈍いせいか、メディアも疎いのが我が国の問題だと、私は日頃から感じている。

*11-1:http://www.shinbunroren.or.jp/seimei/180418.html (日本新聞労働組合連合 中央執行委員長 小林基秀 2018年4月18日) 「セクハラは人権侵害」財務省は認識せよ
 女性記者に対する財務省・福田淳一事務次官のセクシャルハラスメント疑惑に関し、麻生太郎財務相や同省の一連の対応は、セクハラが人権侵害だとの認識が欠如していると言わざるを得ない。セクハラは、圧倒的な力関係の差がある状況で起きることを理解しているとも思えない。新聞労連は同省の対応に強く抗議するとともに、被害者保護のため早急に対応を改めるよう求める。週刊新潮が福田次官のセクハラ疑惑を報じた際、麻生財務相が当初、事実関係の調査や処分はしない方針を示したことは、セクハラが人権侵害であるという基本を理解していない表れだ。その後、音声データが出てから調査に踏み切ったのは遅きに失しており、国際的にみても恥ずかしい対応であり、看過できない。セクハラの二次被害を生み出さないためにも、被害者を矢面に立たせないための配慮は調査の最優先事項だ。財務省が、同省と顧問契約を結ぶ弁護士事務所に被害者本人が名乗りでるよう求めていることは容認できない。被害者への恫喝であると同時に、報道機関に対する圧力、攻撃にほかならない。「女性活躍」を掲げる安倍晋三政権は、疑惑を持たれた人物が官僚のトップである財務省に調査を任せて良いのか。省庁を統轄する首相官邸がリーダーシップを発揮して、福田次官に厳格な事情聴取を行うことがなぜできないのか。それなしに、被害女性に名乗り出ろという見識を疑う。政府はこれを機に、全省庁に対し、他にセクハラ事案がないか徹底調査を指示するべきだ。福田次官にも問いたい。あなたは本当に女性記者の尊厳を傷つける発言をしたことはないと断言できるのか。であれば堂々と、記者会見を開いてあらゆる質問に答えてほしい。新聞社が新規採用する記者の半数近くが女性だ。多くの女性記者は、取材先と自社との関係悪化を恐れ、セクハラ発言を受け流したり、腰や肩に回された手を黙って本人の膝に戻したりすることを余儀なくされてきた。屈辱的で悔しい思いをしながら、声を上げられず我慢を強いられてきた。こうした状況は、もう終わりにしなければならない。今回の件を含め、記者が取材先からセクハラ被害を受けたと訴え出た場合、会社は記者の人権や働く環境を守るため、速やかに毅然とした対応を取るべきだ。「事を荒立てるな」「適当にうまくやれ」など記者に忍耐を強いる指示や黙認は、セクハラを容認しているのと同じであり、到底許されない。いまなお、女性記者が取材先からセクハラ被害を受ける事例は後を絶たない。新聞労連は性差を超えた社会問題としてセクハラを巡る問題に正面から向き合い、今後も会社や社会に対しメッセージを発信していく。                       以上

*11-2:https://digital.asahi.com/articles/ASL4F56VXL4FUCVL01Y.html?iref=comtop_8_02 (朝日新聞 2018年4月18日) 学者も「よく分からない」 大相撲の女人禁制、起源とは
 土俵上で懸命に救命活動をする女性に「降りて」とアナウンスした日本相撲協会の対応が物議を醸している。大相撲における「女人禁制」はどのように「伝統」となったのか。奈良時代の古事記や日本書紀に記述があり、1500年以上の歴史があるとされる相撲。なぜ、大相撲の土俵は女人禁制になったのか、いつからなのか。高埜(たかの)利彦・前学習院大教授(日本近世史)は「よく分からない」と話す。一方、中世から寺社の造営や修復の費用を集めるために開かれてきた「勧進(かんじん)相撲」が、江戸時代に権威と人気を得て大相撲につながる過程で、タブーが強化された可能性を指摘する。まず、江戸時代の勧進相撲では「女性の観戦は禁じられていた。土俵の周辺に女性の姿はなく、女人禁制と言うまでもなかった」。背景として考えられるのが5代将軍徳川綱吉の「服忌(ぶっき)令」だ。生類憐(あわ)れみの令と同じ頃、近親の死で喪に服す期間を定めた。死を忌み嫌い、血の穢(けが)れを排する公家や神道の価値観を武家社会が取り入れ、武士以外にも浸透した。高埜さんは「このころから、女性の月経や出産を遠ざける傾向が強まったのではないか」とみる。「勧進相撲」は江戸時代に、庶民の辻相撲などとの違いを強調し、権威を得ていく。18世紀半ば、8代吉宗の時代には年4回の「四季勧進相撲」が幕府公認に。11代家斉の時代には将軍上覧相撲が開かれ、横綱が白い麻で編んだしめ縄を締め、地鎮祭の地固めにちなむ四股を踏むなどの神事的な要素も導入された。大相撲と呼ばれるようになる過程で「神事」「伝統」が結びつき、土俵から女性を遠ざけた可能性がある。明治維新になると、文明化を目指す新政府によって「男女相撲」が禁じられる。「女相撲や座頭(盲人)相撲など多様な相撲のあり方は『野蛮』だとして排除された」と今西一・小樽商科大名誉教授(日本近現代史)は指摘する。一方、幕府や大名家の支援を失い、一時は危機に見舞われた大相撲は、国家神道の確立やナショナリズムの盛り上がりを追い風に、「聖なるもの」としての側面を強調していく。明治天皇による「天覧相撲」は回を重ね、相撲常設館は「国技館」と命名された。昭和には「相撲道」が強調され、国威発揚の一翼を担う。今西さんは「天皇を頂点とした身分制や家族制度のもとで男尊女卑が強まり、土俵の女人禁制は当然のこととされていく」と話す。
●出産・月経「穢れ」の宗教的観念
 女人禁制はそもそも、聖域への立ち入り禁止、特定の儀礼に参加させない、など宗教に関わる領域で目立つ慣習だ。だが「古代においては男女を問わなかったが、時代をおうごとに女性への禁忌が強まった」と鈴木正崇・慶応大名誉教授(文化人類学)は話す。古来の山岳信仰では、修行者や僧侶が山自体を修行場として霊力を得ようとして、俗人の立ち入りを禁じた。僧侶の修行の妨げになるという仏教上の戒律による女人禁制は、尼寺では男子禁制となった。それが平安時代になり、女性は男性に一度変身してからでないと成仏できないという変成男子(へんじょうなんし)思想や、女性は梵天(ぼんてん)・帝釈天などになれない五障といった差別的な教えが広まる。さらに「女性を劣位に置く慣習を決定づけた」と鈴木さんが指摘するのは、「血の穢(けが)れ」の観念だ。もともと平安時代の法令集「延喜式(えんぎしき)」では、死や出産を穢れと定めていたが、期間限定のものだった。ところが、室町時代に中国伝来の偽経「血盆経(けつぼんきょう)」が広まり、出産や月経の血で大地を汚すという女性の不浄観を浸透させたという。島薗進・上智大教授(宗教学)も「卑弥呼の時代から女性は神に近い存在。神事だから女性は立ち入れないというのは、歴史的にも宗教学的にも当たり前の話ではない」と指摘する。現代でも大峯山(奈良県)など一部に女人禁制は残るが、「修験道は修行全体が厳しい掟(おきて)に支えられていて、急にそれを変えられない面がある」と島薗さんは理解を示す。一方で大相撲については「土俵の女人禁制がどれだけ意義深いものなのか」と疑問視。「国民的行事であり、特定の信仰を持つ人たちのものではない。相撲協会は時代の変化に対応すべきだ」

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