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2013.9.7 汚染水と食品汚染(特に漁業)について(2013.9.9最終更新)
  
     汚染水の海への流出経路       2013.8.1東京新聞より  フクイチの港湾
(1)消費者のリスク回避行動を風評被害と言えるのか
 *1によれば、「韓国政府が、福島など8県の全水産物を輸入禁止にした」そうだが、もっともである。私は、リスクを理解しているからこそ、残念ながら食卓のバラエティーは減ったが、この地域の海産物は原発事故以降、口にしていない。原発事故以降、汚染水はずっと漏れ続けていたのであり、メディアを通じた東電や日本政府の発表は信用できなかったからである。

 *1には「福島県は原発事故翌月の2011年4月から魚肉の放射線量の調査を続けているが、数値は減少しつつある」と書かれている。また、*2には、「取れた魚介類は放射性物質検査で検出限界値未満であることを確認したうえで、13府県の市場に出荷していた」「福島県では週1回、水産物のモニタリング結果を公表しており、セシウム134と同137の合計、ヨウ素131についてコウナゴなど全部を食べる魚はそのまま、ヒラメなどは筋肉部分をゲルマニウム半導体分析器で測定。8月28日に公表された分では海産物55種158検体、川や湖の魚5種9検体、内水面の養殖魚5種7検体を調べ、国の基準値1キロ当たり100ベクレルを超えたのはコモンカスベ(エイ)のセシウムだけだった」と記載されている。しかし、これでわかることは、週に1回、セシウムしか測っておらず、検体数も一種につき3個体程度であり、統計として全体を推測できる数ではないということである。

 従って、サンプルに偏りはないのか、どういう測定器を使って測っているのかも疑問だが、限られた個体のセシウムのみを測って、それが国の基準値1キロ当たり100ベクレルまたは検出限界値以下であったとしても、何年食べ続けても健康を害さないという保証は決してない。正確には、汚染が0でない限りは身体に負担をかけ、食べ続ければ心筋梗塞や癌になるリスクがあると考えるのが普通だ。

 このような杜撰な検査をした上で、「福島県は原発事故翌月の2011年4月から、魚肉の放射線量の調査を続けているが、数値は減少しつつある」と言われても意味がないのであり、その地域の海産物がすべて安全とは決して言えず、当事者が楽観的にものを考えている限り、消費者は口にしないのが賢明なのである。これを風評被害と言うのは、誰にも決して実害がないことを実証してからにすべきだ。

(2)日本のメディア、東電、日本政府の意識
 *2に「今、急に漏れたのではなく、海中の放射性物質のデータを見れば、原発事故当初から流出は続いていた。どの研究者も同じ見解を持っていた」「2011年4月には、2号機取水口付近から大部分を防波堤に囲まれた発電所専用港湾内へ高濃度汚染水が流れ出た」「1日に湾内の海水の44%が湾外と交換されていることが分かり、試算した11年6月から12年9月の間だけで17・1兆ベクレルのセシウム137が湾外に出たことになる」と書かれているが、誰でもそう思っていただろう。港湾内の水は港湾外の海水とは混じらないと言われて信じる人というのは、どういう人なのだろうか。

 *3に、「全国漁業協同組合連合会の岸宏会長が9月6日、原子力規制委員会の田中俊一委員長が『(汚染水を基準値以下にした後に)海に放出することは避けられない』と発言したことを受け『漁業者としては到底受け入れられない』と批判した」と書かれているが、基準値以下に薄めれば大量の汚染水を放出しても問題ないと考える人はいないだろう。もちろん、放射性物質が0なら問題はないが、放射性物質は総量でどれだけ出したかが問題なのである。

 *4には、「東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題で中断した福島県漁連の試験操業が、今月末に再開する見通しになった。検査結果に問題がない以上、流通も試験操業の一環。黙って反応を探るより、動いて確かめたい」「いわき市漁協の矢吹正一組合長は『延期が続けば、福島の漁業のイメージが薄れる。漁師の根性を見せたい』と述べた」と書いてあり、気持ちはわかるが、ここは根性よりも安全・安心の科学的根拠を示すことが重要である。そうでなければ、何も信じられなくなり、せっかく戻っていた魚食から消費者が離れるだろう。

(3)では、どうすればよいのか?
 *5の食品表示法だが、農産物の栄養表示、産地表示、放射性物質の含有に関する表示は、消費者が選択する上で大変重要であるため、行うべきである。それにより、手をかけてよい製品を作った人が報われる。また、海産物についても、産地表示、養殖・天然の別、栄養表示、放射性物質の含有に関する表示は必ず行ってもらいたい。

 現在は、缶詰、外食、加工品では、放射性物質の含有に関する表示も原産地表示も行われていないため、リスクを回避するには、危なそうな海域に住む魚はすべて買わない、外食は控える、日本産は買わないというような方法しかないのである。

*1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309060065.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201309060065
(朝日新聞 2013.9.6) 福島など8県の全水産物、韓国が輸入禁止へ 汚染水問題
 韓国政府は6日、東京電力福島第一原発の汚染水漏れを受け、福島など8県の水産物の輸入を9日から全面禁止すると発表した。これまでは輸入禁止を50種に限ってきたが、汚染水による水産物への影響が見通せないことから、対象を全水産物に拡大した。韓国政府によると8県は福島のほか茨城、群馬、宮城、岩手、栃木、千葉、青森。この8県の水産物は今後、放射能汚染の有無と関係なく韓国内での流通が全面的に禁止される。昨年の日本産の輸入量は約4万トンで、うち8県からの輸入は約5千トンという。8県以外の水産物についても、放射性物質のセシウムが微量でも検出されれば、他の放射性物質の検査証明書を追加で要求することを決定。韓国政府関係者は「追加検査には時間がかかるため、微量でも放射性物質が検出された水産物は事実上、遮断される」としている。さらに、日本産が国内産と偽って流通されることを防ぐため、国内産食品の放射能検査基準を強化し、日本産に適用している基準と同じにするとしている。一連の措置について韓国政府は、海への汚染水流出に対する韓国国民の懸念が強まっている▽日本政府から提供された資料だけでは今後の事態を正確に予測することが難しい――などを理由として挙げた。韓国では、日本の汚染水流出が連日報道され、市場で日本産水産物の販売が不振になったり、韓国内の魚の消費にも影響が出始めたりしていた。
 農林水産省のまとめでは、福島の事故を受け、韓国や中国、米国、欧州連合(EU)、ロシアなどが福島県などの水産物の輸入を規制していた。事故直後は全面停止の国が多かったが、2011年6月から今年3月にかけ、ニュージーランド、カナダ、マレーシアが完全に解除。米国も一部の魚種以外は、事故直後から米国内で検査することを条件に規制を解いた。EUは12年10月に対象県を減らすなど緩和した。一方、中国は7月末現在、福島、宮城、千葉など10都県の水産物について、放射性物質の数値を問わず輸入を停止したままだ。他道府県には、日本政府の放射能検査証明書と原産地証明書の提出を求めている。水産物の輸出量は、震災前の10年は約56万5千トンだったが、11年は25%減の約42万4千トン。水産庁は原発事故による輸出規制の影響とみている。福島県は原発事故翌月の11年4月から、魚肉の放射線量の調査を続けているが、数値は減少しつつあるという。

*2:http://mainichi.jp/feature/news/20130903dde012040014000c.html
(毎日新聞 2013年9月3日) 福島第1原発の汚染水漏れ 食卓の魚は大丈夫か
◇放射性物質は減少傾向/サンマ、心配なし/じゃこ、海藻がお勧め
 東京電力福島第1原発から放射性汚染水はやはり海に漏れていた−−。専門家は「当然の事態」と口をそろえるが、消費者の不安は増すばかりだ。次々に新しい事実が公表され危機の深刻度が高まる中、食卓に上る魚たちは大丈夫なのだろうか。福島県漁業協同組合連合会(県漁連)は8月28日、9月初旬から同県沖で再開予定だった相馬双葉漁協といわき市漁協の試験操業を延期することを正式決定した。いわきの試験操業は原発事故後、初めてとなるはずだった。「東電が『汚染水が海に流出したかもしれない』と言っている今、見送りはやむを得ない」と県漁連の復興担当者は嘆く。福島県沖では、昨年6月から比較的汚染が少ないとされる県北部の相馬双葉漁協が試験操業を開始。対象を16魚種に拡大し、海域も双葉町沖から広野町沖にまで広げた。取れた魚介類は放射性物質検査で検出限界値未満であることを確認したうえで、13府県の市場に出荷していた。
 福島県では週1回、水産物のモニタリング結果を公表している。セシウム134と同137の合計、ヨウ素131についてコウナゴなど全部を食べる魚はそのまま、ヒラメなどは筋肉部分をゲルマニウム半導体分析器で測定。8月28日に公表された分では海産物55種158検体、川や湖の魚5種9検体、内水面の養殖魚5種7検体を調べ、国の基準値1キロ当たり100ベクレルを超えたのはコモンカスベ(エイ)のセシウムだけだった。今年6月以降、汚染水問題は深刻化の一途をたどってきた(別表)。「後出しじゃんけん」のように相次ぐ東電の発表に不信感を強めるのは、魚を食べる消費者も同じだ。
 福島沿岸で2011年夏から調査を継続中の東京海洋大の神田穣太(じょうた)教授は「汚染水漏れのニュースが出始めてから特に魚の汚染が悪化したわけではないと捉えています」と語る。しかし、だから安心という話ではない。「今、急に漏れたのではなく、海中の放射性物質のデータを見れば、原発事故当初から流出は続いていた。どの研究者も同じ見解を持っていました」。11年4月には、2号機取水口付近から大部分を防波堤に囲まれた発電所専用港湾内へ高濃度汚染水が流れ出た。神田教授は同港湾内の海水中のセシウム137の減り方から海水の動きを分析。1日に湾内の海水の44%が湾外と交換されていることが分かった。試算した11年6月から12年9月の間だけで17・1兆ベクレルのセシウム137が湾外に出たことになる。公には「海への流出はない」とされていた時期に、である。

*3:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF0600J_W3A900C1EE8000/
(日経新聞 2013/9/6) 全漁連、汚染水の海洋放出「受け入れられず」
 全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は6日、東京電力福島第1原子力発電所の汚染水問題の早期収束を求める要望書を茂木敏充経済産業相に手渡した。岸氏は原子力規制委員会の田中俊一委員長が「(汚染水を基準値以下にした後に)海に放出することは避けられない」と発言したことを受け「漁業者としては到底受け入れられない」と批判した。茂木氏は「いかなる状況でも汚染水の海への安易な放出はしない」と応じた。岸氏は韓国政府が福島県など8県の水産物の輸入を全面禁止した措置について「輸出に大きな影響が出ることを憂慮している」と述べた。一方、茂木氏は同日、福島第1原発周辺の同県楢葉、大熊、富岡、双葉4町の町長らとも会談した。楢葉町の松本幸英町長は、東電の汚染水対策への監視を強化したり、対策の進み具合を地元住民に分かりやすく説明したりすることを求めた。茂木氏は「情報を迅速、的確に発信できる体制をつくりたい」と応じた。

*4:http://mainichi.jp/select/news/20130907k0000m040055000c.html
(毎日新聞 2013年9月6日) 福島第1原発事故:県漁連、試験操業再開へ…汚染水で中断
 東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題で中断した福島県漁連の試験操業が、今月末に再開する見通しになった。相馬双葉漁協といわき市漁協などの代表者が6日、会合を開き方針を決めた。操業海域で県が実施した海水の放射性物質検査で汚染水の影響が見られなかったことなどから、対象魚種や海水の検査を強化して再開する。相双漁協の佐藤弘行組合長は会合後、「検査結果に問題がない以上、流通も試験操業の一環。黙って反応を探るより、動いて確かめたい」と話した。いわき市漁協の矢吹正一組合長は「延期が続けば、福島の漁業のイメージが薄れる。漁師の根性を見せたい」と述べた。

*5:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=23225 (日本農業新聞 2013/9/6) 食品表示法 不安の声 根強く 消費者庁説明会 消費者、業者とも懸念
 消費者庁は5日、東京都内で、加工食品の栄養成分表示を義務化する「食品表示法」の説明会を開いた。食品関連事業者や消費者ら350人が参加。会場からは「栄養成分の検査や表示費用がかさみ経営を圧迫する」といった不安の声が上がった。原料原産地表示の義務拡大や遺伝子組み換え(GM)表示の検討が始まらないことに不満の声も相次いだ。同庁は、食品表示に関する三つの法律(食品衛生法、JAS法、健康増進法)を一元化する意義を説明。「安全性や品質などの表記を分かりやすくするため、原材料や添加物、食品表示のルールの統一が不可欠」とした。
 大きく変わる点として、加工食品の栄養成分表示の義務化を挙げた。食品の加工業者などからは「表示の義務化は、どの規模の事業者までなのか」といった質問が出た。消費者からは、加工食品の原料原産地表示の義務化拡大や、GM表示の規制強化について同庁の検討が始まらないことに業を煮やし、「なぜ(検討を)進めないのか」といった厳しい質問も出た。これに対し、同庁は「今後関係者の意見を聞きながら検討したい」と答えるにとどまった。説明会後、千葉県の70代の農家男性は「安い海外の原材料を使って日本で作ったから、日本製と表示する業者もある。原料原産地表示は絶対に必要だ」と強調した。

PS(2013.9.9追加):*6のように、私もオリンピック誘致のためとはいえ、「状況はコントロールされている」という回答には納得できなかった。さらに、「汚染水は港湾内に排出されたから、外洋には出ない」というのも、潮の満ち引きで海水が入れかわるのに、誰が考えてもあり得ないだろう。

*6:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013090801001923.html
(東京新聞 2013年9月8日) 汚染水めぐる首相発言に批判の声 福島の漁業者ら「あきれた」
 「状況はコントロールされている」。安倍晋三首相は、国際オリンピック委員会(IOC)総会で、東京電力福島第1原発事故の汚染水漏れについて、こう明言した。しかし、福島の漁業関係者や識者らからは「あきれた」「違和感がある」と批判や疑問の声が上がった。「汚染水の影響は福島第1原発の港湾内0・3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」とも安倍首相は説明した。だが、政府は1日300トンの汚染水が海に染み出していると試算。地上タンクからの漏えいでは、排水溝を通じて外洋(港湾外)に流れ出た可能性が高いとみられる。

| 原発::2013.9~11 | 01:10 PM | comments (x) | trackback (x) |

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