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2012.12.30 世襲議員が選挙に強く、多く大臣になる理由と、その是非 (2013.1.7に追加あり)
      (*1より)

 2012.12.27に、「民主主義に基づく選挙結果と民意のずれ」という題で、普通とはかけ離れた人が選挙で当選して国会議員になりがちだということを書いた。もちろん、国会議員としての適性があると言う意味で普通と違うのなら問題はない。しかし、そうではなく、選挙戦への有利さで普通とかけ離れた人が選ばれるため、国民のニーズとは異なる政策が如何にもよいことであるかのように決まっていくのが問題なのである。何故だろうか?今日は、その理由を説明しよう。

(1)政党は選挙に強い人を候補者に選ぶ理由がある。
 政党が公認しても、選挙後に当選していなければ、その政党は、選挙後、議員数で多数を占めることはできない。そのため、政党は、政策作成能力より当選力で候補者を選ぶことになる。

(2)世襲候補が多くなるのは何故か?
 当選力で候補者を選ぶと、世襲候補が多くなる。その理由は、前代に、ベテラン秘書、後援会組織、親派の首長・県議団・市議団がしっかりとできており、この人たちが選挙を支えてくれるからである。そのため、*1に書かれているように、全体で10%、自民党では25%が世襲候補となるのだ。なお、自民党は与党時代が長かったため、これら支持母体の団結が強く、世襲候補は、前代の秘書として働いていたり、家族も選挙戦に慣れていたりして、総合力で選挙に強くなる。

(3)世襲候補は、選挙に強いから選ばれているだけか?
 *1、*3に記載されているように、25%だった世襲候補は、大臣では50%を超える。これは、①世襲議員は地盤がしっかりしており、選挙に強いため連続して当選すること ②議員として取り立てられやすいこと ③①と②の相互作用 などが原因である。

 わかりやすい例を挙げれば、2008年に発足した自民党の麻生内閣で、少子化対策・男女共同参画担当大臣に小渕優子衆議院議員が任命されたが、その理由は、①小渕前首相の娘であること ②子どもを産んだこと などであった。もちろん、小渕議員は、男女雇用機会均等法改正や男女共同参画基本法改正に力を尽くしたわけではなく、特にそれらに問題意識があったわけでもない。敢えて言えば、猪口邦子氏や私の方が、それに関する経験も実績も豊富であったため、私は、当時、選択基準に関して「いい加減にも程がある」と思ったものである。また、当時80歳だった私の母は、「子どもを産んだだけで少子化担当大臣になれるのなら、私は2人も産んで自分で育てたのだから、私でもなれる」と言って憤慨していた。現在は、小泉進次郎代議士が、メディアでよく取り上げられるが、それより知識・経験・実績の豊富な議員はいくらでもいるため、何故、小泉進次郎氏がリーダーのように言われるのか不思議だ。つまり、自民党だけでなく、メディアも、本人の実力とは異なる評価を与えて、世襲議員を取り立てているのである。

 しかし、こうして、世襲議員が、大臣はじめ多くの経験を積める結果、*2のように、自民党の首相候補は5人全員が世襲議員になったのだろう。何故なら、偏った基準で選ばれても、政治家として多くの経験を積んだ人が、次第に首相になるための条件を備えていくからである。しかし、それでよいのだろうか?

(4)アジアは欧米より世襲が多いが、民主主義の成熟度が違うのだろう。
 *4のように、2012年12月19日の韓国大統領選挙で、与党セヌリ党の朴槿恵氏(60歳)が当選し、韓国初の女性大統領となった。韓国は、日本と並んで男女差別の大きな国であるため、朴槿恵氏は快挙であり、心からお祝い申し上げたい。しかし、朴槿恵氏も世襲だ。

 このほか、アジアの女性では、大統領になったインドのインディラ・ガンジー氏も、インドの初代首相であるジャワハルラール・ネルー氏の娘だし、国民民主連盟を率いて大勝したが軍事政権に権力の移譲を拒否され軟禁されていたアウンサンスーチー氏もビルマの独立運動を主導し、その達成を目前にして暗殺された「ビルマ建国の父」と言われるアウンサン将軍の娘である。また、フィリピンの初代女性大統領コラソン・アキノ氏は、マルコス政権下で国家反逆罪に問われ、1983年8月にマニラ国際空港で暗殺された元上院議員ベニグノ・アキノ氏の妻であり、アロヨ大統領は第9代マカパガル大統領の娘である(http://www13.ocn.ne.jp/~tip/president.htm 参照)。さらに、インドネシアのメガワティ大統領も初代大統領スカルノ氏の長女だ。つまり、アジアの政治家は、世襲や親族関係が多い。一方、ヨーロッパ系では、イギリスのサッチャー首相、ドイツのメルケル首相、オーストラリアのジュリア・ギラード首相は、世襲でも親族でもなく、この違いは、民主主義の意識の普及度や成熟度によるものではないかと思われる。

(5)血筋にこだわっていては広く才能を集めることができない。
 中国では科挙による登用、日本では官僚制度を作ったように、血筋にこだわっては広く才能を集めることができないため、国政には血筋に関係なく人材を登用する制度が作られてきた。国政は、そのくらい選りすぐりの人材が行うべきものであり、国会議員を選ぶのに世襲が有利になるのはよくない。

(6)わが国では、メディアも女性議員に対する蔑視を含んだ論評をして、偏りを作っている。
 *5に書かれている題名は、「アレの差?女チルドレン“賞味期限”切れ15人全滅」というものだが、まず、女性議員の“賞味期限”は、高齢の男性議員よりずっと短いという発想自体、女性蔑視を含むものであり失礼だ。また、「アレの差」とは何の差だと言いたいのだろうか? 言ってもらおうではないか。そして、このように女性を馬鹿にした論調は、わが国のメディアには今でも多い。

 次に*5には、「角谷氏は『マドンナともてはやされて当選しても、研鑽を積まなければ結局は採決の数合わせ要員に終わり、使い捨てにされるだけだ。すべての候補者は、彼女たちを他山の石にしたほうがいい』と話している」と書かれている。しかし、女性議員は“マドンナ”でしかないと書いていること自体、女性議員の実力や実績を過小評価して吹聴しており、選挙妨害である。また、話したこともないのに研鑽を積んでいないと決め付けているのも、根拠なく人を馬鹿にした偏った論評であり侮辱だ。福島第一原発事故報道では、メディアの素人記者が勉強も研鑽も足りず、感傷的な報道を繰り返すばかりで、真実の情報を伝えるという社会的責任を放棄していた。また、採決の数合わせ要員に終わらされているのが女性議員だけでないのは、消費税増税採決時に反対した民主党議員に、党を出て行くよう、はやし立てていたメディアはよくわかっている筈だ。他山の石にすべきは、そのレベルのメディアである。

 最後に、角谷氏が「風に頼る選挙しか知らないし、4年間、なんら政治を勉強していない人もいる。逆風下で彼女たちが当選するのは非常に厳しい」と語ったと書いてある。しかし、まず、私が4年間も自民党議員をやって風に頼る選挙しか知らなかったというのは、事実とかけ離れており侮辱だ。また、「4年間、なんら政治を勉強していない」というのも、何も知らないくせに失礼極まりない。「勉強」という言葉の定義や生き方が違うのだろうから、自分と同じにしないでもらいたい。私は、権力に媚びない信念とそれを裏打ちする知識や経験を持った人間である。さらに、「逆風下で彼女たちが当選するのは非常に厳しい」とも書かれているが、2009年総選挙時の逆風下で当選するのが厳しかったのは、小泉チルドレンの女性だけでなく、世襲や長く議員をやって確固たる地盤を持っている議員を除き、多くの自民党議員が同じだった。そして、そういう状況を作って自民党を先祖返りさせ、本当の改革を阻んだのは、このように事情も知らずに真実とはかけ離れたことを言いたい放題言ったメディアであることを決して忘れてはならない。つまり、最も反省すべきは、メディアなのである。

PS(2013.1.6追加):なお、国会議員、閣僚、一般企業の上級管理職は殆ど男性だが、女性のグラスシーリング(ガラスの天井)も、世襲候補が取り立てられるのと同様に、不公正な基準で男性が取り立てられた結果、生じたものである。それにより、多くの才能を無駄にして、国の方針を誤らせ、生産性を落としているが、その背景には、メディアが、*5のように、「女は馬鹿だ」「女にはリーダーシップがない」等々のメッセージを発して、一般の人の”先入観”を作っていることも大きい。さらに、こういうことを言うと、「(女のくせに)生意気だ」「謙虚でない」というのもある。言わなければ気がつきもしないにもかかわらず、だ。これらが、重大な問題なのである。

*1:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012120500311 (時事ドットコム 2012/12/5) 自民、4人に1人が世襲=全体では1割弱【12衆院選】
 父母、義父母、祖父母のいずれかが国会議員、または三親等内の親族に国会議員がいて同一選挙区から出馬した候補を「世襲」と定義すると、今回の衆院選は145人が世襲で、前回(158人)よりわずかに減った。全体に占める世襲候補の割合(世襲率)は9.6%で前回比1.9ポイント減。こうした中で自民党は89人、世襲率は26.4%と突出している。自民党では福田康夫元首相や武部勤、中川秀直両元幹事長ら重鎮の息子が父親の地盤を継いで出馬した。候補者の公募・予備選を通じて「脱世襲」を図ったがうまくいかず、最後は「世襲であれば絶対に駄目なのか。世襲でもいい人はいい」(石破茂幹事長)と開き直った。
 一方、民主党は21人で世襲率は7.9%。国土交通相の羽田雄一郎参院議員は引退した父・羽田孜元首相の長野3区からの出馬を模索したが、党が前回衆院選前に決定した、世襲を禁じる内規に抵触するため断念した。
「第三極」を見ると、新党大地は全候補者7人のうち鈴木宗男代表の長女・貴子氏ら2人が世襲のため、世襲率は28.6%と全党を通じ最も高かった。日本維新の会からは自民党の伊藤公介元国土庁長官や前職の西野陽氏の息子が出馬し、世襲率は7.6%。みんなの党は8.7%、日本未来の党は7.4%が世襲候補だ。共産、社民、国民新の各党は世襲候補はいなかった。

*2:http://sankei.jp.msn.com/life/news/120914/trd12091422530030-n1.htm
(MSN産経ニュース 2012.9.14)立候補5氏全員が世襲議員
 自民党総裁選に立候補した5氏は、全員が、父親らが政治家だった世襲議員だ。安倍晋三氏は父が晋太郎元外相。父方の祖父は寛元衆院議員、母方の祖父は岸信介元首相で大叔父は佐藤栄作元首相、弟は岸信夫参院議員という政治家ファミリー。石破茂氏は父、二朗氏が建設事務次官を経て鳥取県知事、自治相などを歴任。祖父の市造氏も大御門村長だった。町村信孝氏の父、金五氏は衆院議員、北海道知事、参院議員、自治相を歴任。いとこの娘婿には警視総監も務めた原文兵衛元参院議長がいる。石原伸晃氏の父は慎太郎東京都知事。弟は宏高元衆院議員で、現在は自民党東京3区の支部長を務める。林芳正氏は、厚生相や蔵相を務めた義郎氏を父に持つ。祖父は佳介元衆院議員で、高祖父の平四郎氏は貴族院議員、衆院議員を歴任。林氏自身は三井物産などで勤務経験がある。一方、民主党代表選へ出馬した野田佳彦氏(首相・党代表)は父が陸上自衛官で自身は松下政経塾出身。原口一博氏も同塾出身。赤松広隆氏の父は元衆院議員の勇氏、鹿野道彦氏の父も衆院議員を務めた彦吉氏と、ともに世襲議員だ。

*3:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDE26006_W2A221C1M10600/
(日経新聞 2012/12/26) 世襲10人、半数超える 第2次安倍内閣
 第2次安倍内閣では、親が国会議員だったり、親族から地盤を引き継いだりした「世襲議員」が安倍晋三首相を筆頭に計10人に上り、半数を超えた。また一時は女性5人を起用する方向で調整したが、最終的に森雅子少子化担当相と稲田朋美行政改革担当相の2人にとどまった。
 主な世襲では、首相は父が安倍晋太郎元外相、祖父が岸信介元首相。麻生太郎副総理は父が衆院議員、祖父が吉田茂元首相と政治家一族だ。谷垣禎一法相らも父親が閣僚だった。野田内閣や第1次安倍内閣の発足時はともに4人だった。
 世襲の多さを反映して、議員秘書経験者は9人。首相や谷垣氏のほか林芳正農相、岸田文雄外相、甘利明経済再生担当相らは父の秘書を務めた。官僚OBは根本匠復興相のみだった。〔共同〕

*4:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8BI04N20121219 (ロイター 2012年12月20日) 韓国大統領選で朴槿恵候補が勝利、初の女性大統領誕生へ
 19日の韓国大統領選挙は、与党セヌリ党の朴槿恵(パククンヘ)候補(60)が接戦を制し勝利した。同国で初の女性大統領の誕生となる。朴氏は分断された社会の融和に努める考えを示した。開票率約88%の時点で、朴氏の得票率は51.6%と、民主統合党の文在寅(ムンジェイン)候補の48%を引き離した。これを受け、文氏は敗北を認めた。朴氏はソウル中心部で熱狂的な支持者らに出迎えられ、「これは危機克服と景気回復を願う国民によってもたらされた勝利だ」と勝利宣言した。来年2月に就任する。任期は1期限りで5年間。朴氏は、北朝鮮問題や景気底上げなど待ったなしの課題に対応していくことが求められる。韓国の国内総生産(GDP)伸び率は、急成長を遂げた過去数十年の年平均5.5%から2%程度に鈍化。また近年は貧富の差が拡大しており、とりわけ若者層は経済問題とともに、十分な収入が保証される雇用の創出が大きな関心事だ。また前週には、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル技術を試したとみられるロケットの発射を強行。朴氏に対しても北朝鮮に「恨み」を抱き「対立」をあおっていると非難するなど対決姿勢を強めており、景気対策とともに喫緊の課題となっている。朴氏は北朝鮮の金正恩第1書記と交渉する意向を示しているが、支援の前提条件として核兵器プログラムの断念を求めている。朴氏は米国との自由貿易協定(FTA)を強く支持しており、経済政策では李明博(イ・ミョンバク)大統領の自由市場政策を堅持するとみられている。

*5:http://www.zakzak.co.jp/top/200907/t2009073128_all.html (ZAKZAK 2009/7/31) アレの差?女チルドレン“賞味期限”切れ15人全滅 ー 灼熱8・30投開票2009総選挙 
(但し、角谷 浩一(1961年4月3日~)は、日本の政治ジャーナリスト、ラジオパーソナリティ、経歴:1961年神奈川県横浜市生まれで1985年に日本大学法学部新聞学科卒業、1985年4月より株式会社東京タイムズ入社、編集局勤務)
 8・30総選挙に向け、民主党は与党大物に女性新人を次々とぶつける戦略に出ている。これに対し、2005年の郵政選挙で初当選した小泉チルドレンのうち、「マドンナ候補」ともてはやされた女性前職15人は軒並み落選危機だ。31日には、うち1人が離党する事態に陥ったが、政治ジャーナリスト、角谷浩一氏の分析では全滅も現実味を帯びている。
【広津素子は離党届】
 「政権交代という四文字熟語にばかりとらわれず、候補者や政策本意で選んでほしい」
 東京5区に出馬する自民党の佐藤ゆかり氏(47)は30日夕、東京都目黒区の都立大学駅付近でこう演説し、支持を訴えた。これに先立ち、佐藤氏は10年以上愛用しているというマウンテンバイクに乗って商店街を遊説した。(中略)角谷氏が個別の最新選挙区情勢を分析した当落予測は表の通り。対立候補をリードしている候補はひとりもいない。キャラが立っている人は多いように見えるが、賞味期限切れなのか。角谷氏は「風に頼る選挙しか知らないし、4年間、なんら政治を勉強していない人もいる。逆風下で彼女たちが当選するのは非常に厳しい」と語る。
【猪口邦子ら比例単独組「中ぶらりん」】
 かろうじて接戦を繰り広げているのが、「やや劣勢」の佐藤氏や静岡7区の片山さつき氏(50)ら5人。片山氏は郵政造反組の無所属、城内実氏(44)に地元有力企業が付いたことなどが響きそうだ。(中略)佐賀3区で保利耕輔政調会長との公認争いに敗れた広津素子氏(56)は31日、党本部に離党届を提出した。かねてから「他党や新党からの出馬も選択肢」と話しており、事態を打開するための行動とみられる。ただ、新党に入れるかどうかも含めて先行きは不透明だ。猪口邦子氏(57)ら比例単独組は、中ぶらりん状態が続いている。角谷氏は「マドンナともてはやされて当選しても、研鑽(けんさん)を積まなければ結局は採決の数合わせ要員に終わり、使い捨てにされるだけだ。すべての候補者は、彼女たちを他山の石にしたほうがいい」と話している。

| 民主主義・選挙・その他::2010.4~2012.12 | 05:58 PM | comments (x) | trackback (x) |

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