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2013,06,14, Friday
日経新聞より 東京新聞より *1のように、電力の広域融通にメドが立ち、地域独占にくさびが打たれつつあるのは電力自由化への第一歩であり良いことだが、電力業界などの既得権益者がおとなしくしているわけがないため、決して油断はできない。また、この広域運用機関の役員の選任、解任を経産相が認可するのでは、電力の統制経済はなくならない。 電力供給を経産省による統制経済ではなく、市場経済に任せなければならない理由は、消費者(電力の需要者)が最低の価格で、必要十分な電力を自由に購入できるようにするためである。市場経済だから安定性に欠けるということはなく、統制経済の方が供給に不足が出て価格も高くなるというのは、近代経済学の常識だ。例を挙げれば、*4のように、現在、電気料金の値上げが各地で相次いで農業経営を圧迫しているが、これは、現在の、経産省による電力の統制経済の下で起こっていることなのであり、電力が市場経済に任され、いろいろな会社が自由に発電できていれば、このようなことはなかった筈なのである。この意味で、産業振興すべき経産省は、産業に不可欠な電力価格を高止まりさせてきたことによって、産業振興において大きな過ちを犯してきたことになる。 なお、地域間の周波数の違いは、この際解消し、すべて直流送電にすれば、太陽光発電、電車、電気自動車、パソコン、電池、LED電球などの使用時に電力変換の無駄が出ず、家電もモーターを直流方式に次第に変えていけば、日本全国、問題なく広域融通が可能となり、変換ロスが減って省エネとなる。直流ではどうしても都合の悪い家電の方に変換装置をつければよいのである。 今や、*2、*3のように、ドイツ、イギリスでは、合理的な判断をして次のステップに進みつつある。日本が、いつまでも原発に未練を残し、次のステップに進まずにいれば、世界の潮流に遅れて、(いつものように)オンリーワンだった技術が後追い型技術になってしまうのが目に見えている。それによって起こる景気低迷にカンフル剤を打つために、また、ばら撒きをやられたのでは、国民はたまったものではない。 *1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS13035_T10C13A6EE8000/?dg=1 (日経新聞 2013/6/13) 電力の広域融通にメド 電事法改正案が衆院通過 地域独占にくさび 電力システム改革のための電気事業法改正案が13日、衆院で自民、公明、民主各党などの賛成多数で可決した。2015年に全国で電力需給を調整する広域運用機関を設立するのが柱。参院に送付して今国会で成立する見通しだ。18~20年の完成を見込んで3段階で進める60年ぶり大改革の第一歩にようやくメドをつけたが、完全自由化に向けてなお課題は残る。 電力システム改革は、地域ごとの大手電力による独占を崩して電気契約の選択肢を増やしたり料金を抑制したりするのが狙い。消費者が全国から自由に電力を買うためには、他地域からの送電体制を整える必要がある。改革の第1弾の柱は、15年に設置する電力の広域運用機関だ。同機関は周波数変換設備など、地域をまたぐ送電インフラの増強を担う。発電所の事故などで、ある地域の電力が不足した場合には全国からの融通を指示する権限も持たせる。平時から各電力会社の発電量を把握して、緊急時のたき増しや需要の抑制を指示する。中立性を保つために新規参入の電力会社も含めて幅広く資本、人材を受け入れる。詳細設計はこれからだが、役員の選任、解任は経産相が認可する方針だ。企業が自家発電を使いやすくする規定も新設する。自家発電した電気を自社の工場に送る場合、大手電力会社が送配電網を貸し出す義務を課して使用料金を規制する。現行制度では送電網の貸し出しは電力会社の判断に委ねられ、企業が電気をたくさん作っても消費できる保証がなかった。 電気の利用者に対する罰則なしの節電勧告も創設する。いまは違反すると罰金を受けかねない「命令」しかなく、発動しにくい問題があった。法案の付則には3段階で進める改革の道筋を明記した。第2弾は16年の電力小売りの参入自由化で、家庭向けの電力供給の地域独占をなくす。最終段階は18~20年で、電力会社の送配電部門の中立性・独立性を高める発送電分離を実施する。政府は14年と15年の通常国会でそれぞれ第2弾、第3弾の関連法案の提出を目指している。 電力業界は「資金調達に悪影響を及ぼす」として組織の改編を迫られる発送電分離に強く反対しており、残す2回の法案提出も一筋縄ではいかない。電力システム改革の発端は、東日本大震災後に東京電力が計画停電に踏み切ったことで大手電力に頼らない体制を求める機運が高まったことにある。今後、原子力発電所の再稼働が進み電力供給に余裕が出てくれば改革の機運がしぼみかねないと危惧する声もある。 *2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130523/k10014777331000.html (NHK 2013年5月23日) 独議長「脱原発で経済成長や雇用創出」 日本を訪れているドイツの連邦参議院のクレッチュマン議長は、NHKの取材に対し、ドイツが進めている脱原発の取り組みについて、原発の安全対策にかかる費用を節約できるだけでなく、再生可能エネルギーの普及によって経済成長や雇用の創出につながるとして、経済面での正当性を強調しました。日本の国会議員などとの政策協議のため来日している、ドイツの上院にあたる連邦参議院のクレッチュマン議長は、22日夜、都内でNHKのインタビューに応じました。 ドイツは、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、2022年までに国内すべての原発を閉鎖する取り組みを進めていますが、電気料金の値上げにつながっているなどとして、経済面での課題が指摘されています。これについて、クレッチュマン議長は「脱原発政策は、原発の安全対策にかかる費用をゼロにするだけでなく、再生可能エネルギーの普及によって経済成長や雇用の創出にもつながり、経済的にも正しい道だ」と述べ、脱原発政策の正当性を強調しました。 また、クレッチュマン議長は、今回、福島県の佐藤知事とも会談して、福島第一原発の廃炉作業について意見を交わしたことを明らかにしたうえで、「ドイツは、福島での事故の前から2基の原発を廃炉にするなどこの分野で実績を積み重ねてきており、それを生かすべきだ」と述べ、ドイツとして福島第一原発の廃炉作業に協力していきたいという考えを示しました。 *3:*2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2463474.article.html (佐賀新聞 2013年5月26日) 再生エネ発電量37%に拡大 / 2030年、英の調査機関試算 風力や太陽光などの再生可能エネルギーの開発は予想を超えるペースで進んでおり、2030年には、大型水力発電を含めると最大で総発電量の37%を担う可能性があるとの試算を、英国の調査機関「ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス」(BNEF)が26日までにまとめた。30年まで新たに建設される発電設備の70%前後が再生可能エネルギーとなる見通しで、化石燃料による発電所は25%、原子力は5%程度にとどまるという。BNEFは「化石燃料価格が上昇する一方で、再生可能エネルギーのコストは低下し、エネルギー市場で中心的な役割を果たすだろう」と分析している。 *4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=21022 (日本農業新聞 2013/5/17) 電気代値上げ 農業経営を圧迫 節約は限界 農家悲鳴 電気料金の値上げが各地で相次ぎ、農業経営を圧迫している。電力会社は、原子力発電所の稼働停止で、火力発電の燃料費がかさんでいることを理由に挙げる。円安などに伴う資材高に加え、電気料金の引き上げで農業のコスト上昇は避けられない見通し。農産物価格への転嫁も難しいのが実情だ。帝国データバンクが16日発表した調査では農林水産業者の8割が業績に「悪影響がある」と答えている。電気料金の値上げは昨年9月の東京電力を皮切りに、5月1日には関西電力と九州電力が踏み切った。東日本大震災から復興途上の東北地方でも東北電力が、需要が増える7月1日からの値上げを政府に申請。北海道、四国電力も同様だ。 ●業績に「悪影響」 農林漁業の78% 帝国データバンクの調査では、電気料金の値上がりで業績に「悪影響がある」と答えたのは農林水産業が78%で、全業種の中で最も高かった。農産物などの価格に値上げ分を「全く転嫁しない」との回答も農林水産業では49%。「値上がりは事業の存続にも影響する」という声も出ている。調査は4月17日から30日まで行い、1万244社(45%)が回答。全業種では60%が業績に「悪影響がある」と答えた。値上げ分を価格に「全く転嫁しない」は46%。「ほぼ全額転嫁する」は2.4%にとどまった。 ●[ニュースサイト] 節約は限界 農家悲鳴 価格転嫁の環境整備を 電気料金の値上げが、重油の高騰などに苦しむ農家の経営に追い打ちをかけている。海外や他産地との競合が強まる中で、値上げ分を農作物の価格に転嫁することが難しいのが実情だ。生産現場からは「節電も限界だ。コスト上昇は避けられない」という切実な声が上がっている。電気料金の値上げに踏み切った電力会社3社の中で、家庭用の上げ幅が平均9.75%と最も大きい関西電力。「なんぎやなぁ」。奈良県平群町で「ブロッサムピンク」など10品種を40アールで栽培し、平群温室バラ組合の組合長を務める谷田昌信さん(46)が嘆く。冷房や除湿など、夏場に向けてヒートポンプの利用が増えるのがバラ栽培。周年でバラを栽培する谷田さんが値上げ前と同量の電気を使い続けるとすれば、5月から1年間の電気料金は約280万円になり、前年より約40万円増える見込みだ。今冬は円安などの影響で重油価格が1リットル80円近くまで上昇。昨年に比べて3割高となり、既に経営を圧迫している。重油高騰を乗り切ろうと、谷田さんは組合の仲間4人と協力して鮮度の良い朝取りのバラを出荷して単価を高める努力をしてきた。だが、「電気代も上がれば経営はもっと苦しくなる。ハウスの増設もしたいが、こんな状況では取り組めない」と肩を落とす。収穫したバラの開花が進まないように予冷する際の電気代も悩みの種だ。組合はコンビニの売り場ほどの広さがある共同の冷蔵室を所有するが、年間でかかる電気代は100万~120万円。今年は2割近く上がる見通しで、組合員の負担が増えるのは確実だ。昨年値上げに踏み切った東京電力の管内では、既に農業現場に影響が出ている。田に水をくみ上げるポンプに使う農事用電力は家庭用より5カ月早く、昨年4月から値上げになった。需要期の夏場は、1時間当たり1キロワット9.36円から12.26円へ上がり、値上げ率は3割と、家庭用(平均8.5%)を大幅に上回った。千葉県野田市で1000ヘクタール余りの耕地をカバーする土地改良区では、2012年度の電気代が前年比で25%上昇し、年間1350万円になった。ポンプの稼働時間を見直し、価格が安い時間帯に使うなどの工夫で5%節電したものの、これ以上の削減は難しいという。県土地改良事業団体連合会は「電気代の負担が重く、今後は農家の賦課金を上げることも考えなくてはいけない」と漏らす。同連では昨年4月、森田健作知事に農事用電力の値上げに関する要望書を提出、農業現場の苦境を訴えた。値上げ“ラッシュ”に産地はどう対応すればいいのか。農林中金総合研究所の渡部喜智理事研究員は、エネルギー利用では「産地の努力で削減できる量に限界がある」と指摘。その上で「生産コストの上昇分を農作物の販売価格に転嫁できる環境づくりが必要。産地は、円安などの環境変化でコストが増えている実態を市場関係者や消費者に訴えていくべきだ」と提言する。政府に対しても「価格転嫁に理解が広がるよう、主導してほしい」と注文を付ける。
| 資源・エネルギー::2013.4~2013.10 | 07:54 PM | comments (x) | trackback (x) |
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