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2013.8.3 農林漁業は女性の視点が役立つ場所である割に、そこで働く女性の地位が低いこと
   

 農林漁業で作られた製品は、女性が中心となって使用し、購入の意思決定権も女性が持っていることが多い。そのため、*1のように、農業者の中でも、女性が加工・販売などのニーズを把握しやすいという特性があり、農林漁業やその6次産業化は、女性により適正のある仕事と言えるだろう。

 しかし、*1の「家事・育児との両立に30代の6割が悩み」「地域の理解が必要」というのは、①農業従事者はサラリーマンと異なり、昔から女性が働くのは当然であったこと ②都会のサラリーマンと違って、子どもは親が働いている側にいられること ③農村では保育園の敷地が広く、待ち行列もないこと ④農村では3世代同居が多く、都会よりも家事・育児と仕事の両立は簡単であること などから、都会のサラリーマンが先入観を持って分析したステレオタイプの結果だと思う。

 また、「女性の活躍に必要なこと」を、「女性自身の意欲・意識の向上」などと女性に起因するのはおかしい。何故なら、女性の方にではなく、受入体制の方に問題があるのであり、誰でも、仕事に見合って収入や社会的地位が上がるのであればやる気が出るものだが、そうなっていないことが問題なのだからである。すなわち、基幹的農業従事者に占める女性の割合は45.8%であるにもかかわらず、認定農業者数に占める女性の割合は2.4%、農業委員数に占める女性の割合は4.1%しかないことから、女性が働くことが当然の農村にも、女性の活躍を阻む女性蔑視の文化があることがわかる。さらに、農業所得(収入―経費)は家族労働で稼いでいるので農家の一人当たり所得は小さい上、女性の働きは過小評価され、農協などの役員にも女性の割合が極端に少なく、農村の議員にも女性はあまりいない。その上、子どもの少ない今でも跡取りは男でなくてはならないとされるなど、女性の権利を踏みにじるような古さが残っていることが問題なのである。

 私は、農業でも女性が主たる立場で働き、意思決定できる立場に多くいたとすれば、とっくの昔に6次産業化や家庭のニーズにあった製品の生産が安価にできていたと思う。つまり、女性の地位を意図的に貶めていたことで、多角的な視点を活かすことができなかったのである。そのような中で、*2の九州の林業の第一線で女性を活躍させることができたなら、日本も少しは変わるかも知れない。

*1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=22458
(日本農業新聞 2013/7/28) 経営ビジョン 6次化、直売意欲 農水省が女性農業者意向調査
 女性農業者が直面している課題に、「家事・育児との両立」を挙げる意見が最も多いことが、農水省の調査で分かった。このうち、30代では6割、40代では5割が悩みを抱える。農業の担い手にとどまらず、加工や販売を一体的に行う「6次産業化」などにも関心が高い女性農業者の増加・定着には、家族や地域内の理解と協力が欠かせないことがうかがえる。
●家事・育児との両立 30代6割が悩み 家族、地域の理解必要
 農業経営の方針への関わり方については、7割が「関わっている」と回答。一方、自分が「経営者である」という認識は20代が最も低く15%。年代が上がるに連れて多くなり、60代では59%が経営者の認識を持つ。農業を続ける上で生活上の課題(複数回答)で「家事・育児との両立」を挙げているのは全体で36%。30代、40代、50代ではそれぞれ最も多い。20代では「プライベートの時間の確保」が最も多く35%。60代は「特にない」との回答が最多で30%だった。「女性の活躍に必要なこと」(複数回答)という問いには、「女性自身の意欲・意識の向上」とする意見が最も多かった。ただ、40代だけだと「家族の理解」という回答が最も多く、家事や育児と両立させることへの課題があらためて浮かぶ。農業経営をしながら、今後どのような事業に領域を広げたいか(複数回答)については、農産物加工が50%、直売所での販売が31%と、6次産業化に取り組む意欲が多数を占めている。体験農園や農家レストランなど、地域の内外からも積極的に人を呼び込む意欲が高いことも分かった。調査は全国の女性農業者に対し、都道府県や全国農業法人協会を通じて実施した。7059票を発送し、回収率は29%だった。調査結果は、同省のホームページからも見ることができる。

*2:http://qbiz.jp/article/21196/1/
(西日本新聞 2013年7月30日) 九経連、林業復活へ新組織 九州産材の利用、輸出促進
 九州経済連合会は、低迷する林業の復活に向けて行動を起こす新組織「九州次世代林業特別部会」を30日に設立する。九州7県と連携し、九州林業の潜在力を引き出すのが狙い。筑後川流域▽長崎県対馬市▽鹿児島県霧島市国分地区などをモデル地域に指定し、地元産材の利用や輸出の促進に取り組む。同日の会合で特別部会のメンバーなどを正式決定する。九経連によると、森林は日本の国土の66%を占めるが有効活用されず、木材自給率は20%台。木材自給率が約60%に達する九州でも森林の荒廃や住宅市場の縮小が深刻なため、2011年6月に「九州次世代林業研究会」をつくり、課題や対策の検討を始めた。今年5月、川上から川下までの業界関係者を集めた交流会の実施や輸出に向けた海外バイヤーの招待など、林業活性化に向けた行動計画を策定した。特別部会は、この計画を実行するのが目的。九州電力グループの九州林産(福岡市)の長宣也社長が部会長を務め、九州各地の林業、木材市場、製材業、住宅会社など20社が加わる見込み。2013年度はモデル地域を指定し、筑後川流域では林業地の大分県日田市、家具で知られる福岡県大川市などと連携し、木材の利活用を促進する。対馬市では韓国への木材輸出を支援し、国分地区では国産材の日本農林規格(JAS)認証の推進に取り組む予定だ。

| 男女平等::2013.5~2013.11 | 03:47 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.7.29 これが典型的な財務官僚の考え方であり、どの政党が与党になっても消費税増税を目的にせざるを得ない理由である。(2013年8月3日最終更新)
   

 現在の景気は、①トップクラスの人は恩恵を受けた ②中流の人には、少しは波及した ③普通とそれ以下の人は、物価が上がっただけで賃金は上がっていない ④年金受給者の受給額は増えておらず、生活保護受給者の受給額は減っているため、物価が上昇してその分だけ生活がきつくなった という状況であり、本当に金融緩和や景気回復の恩恵を受けた人は2割にも満たないだろう。

 そのような中で、財務省出身の黒田日銀総裁は、「日本経済の成長が大きく損なわれることはないので、消費税を引き上げる決断をすべきだ」と言っている。消費税を引き上げれば、上の②の大部分と③④の全員の生活が苦しくなり、買い控えが起こるのだが、官僚は国民の生活や幸福は眼中になく、日本経済の成長が損なわれなければよいという発想だからである。これが、典型的な官僚の発想なのだが、日本のメディアは官僚に追随して政治家を批判するだけであるため、本質に迫って現状を打破しようとする政治家の方が叩かれることになる。その状況について、「人間を幸福にしない日本というシステム」という著書で、オランダ人ジャーナリストのカレル・ヴァン・ウォルフレンが指摘しており、私もまさにそのとおりだと思うので、政治改革に関心のある方には、ご一読を奨めたい。

 そして、とにかく消費税を上げない政治家は、先を見ておらず悪いことをしているかのように吹聴したり、妬みを煽ったりするのではなく、日本のメディアも本質に迫る報道をしてもらわなければ、日本の民主主義は成熟しない。より公正でスマートな方法が、他にいくらでもあるのだから・・。

*1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2900K_Z20C13A7MM0000/?dg=1
(日経新聞 2013/7/29) 黒田総裁、増税「成長損なわず」 財政再建重視
日銀の黒田東彦総裁は29日、都内で講演し、日本の財政の信認が失われた場合、「(金利の上乗せ分である)リスクプレミアムの拡大から長期金利が上昇する」と語った。政府による消費税増税の決断を前に、財政再建に向けた積極的な取り組みを求めた。仮に消費税を引き上げても「日本経済の成長が大きく損なわれることはない」との見通しも強調した。「最近の金融経済情勢と金融政策運営」と題して講演した。足元の経済情勢について「デフレ脱却の道筋を着実にたどっているが、2%の目標達成にはまだまだ時間がかかる」と語った。また「最大のリスク要因は海外経済の下振れ」と、中国など新興国の先行きや米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和縮小の影響を今後注視したいとの考えを示した。

・・・
PS(2013年8月2日追加): *2の自民党野田税調会長は財務省(旧大蔵省)出身であり、民主党政権時代に消費税増税を進めた藤井氏も財務省(旧大蔵省)出身だった。また、*3の国際通貨基金(IMF)には、日本から多額の資金援助を行っているため、その発言には財務省の影響が大きいが、外国人を喜ばせるために日本人を苦労させる理由はない。さらに、消費税増税派には、「消費税増税しなければ金利が上がる」と言う人もいるが、金利は、資金の需要と供給で決まるものであるため、金融緩和して資金がだぶついている場合には金利は上がらない。これまで、不必要な所に行って単に物価(特に土地価格)を上げていただけの資金を、必要な場所に集中すればよいのである。なお、新聞は、消費税率が上がって軽減税率適用になると得するため、消費税増税に意欲的であるが、これは利己主義である。

*2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201308010450.html (朝日新聞 2013年8月2日)  増税決断「やはり9月中でないと」 自民・野田税調会長  野田毅・自民党税調会長
 日本は世界一の国債残高があるが、政府として財政健全化への強い決意を内外に明らかにし、着実に実行に移しつつあることが前提で、今の金利体系が成り立っている。消費税の引き上げは政治的には大変なエネルギーを費やす。今の様々な経済指標は数少ないチャンスになりつつある。そもそも(増税が)そんなに大きな議論になることなのかなあと思う。タイミングがくれば(安倍晋三首相に)淡々とご決断していただけることを期待している。やはり9月中でないと、皆さん今日まで段取りをしてきたので、10月では逆に混乱が発生するだろう。

*3:http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM02010_S3A800C1MM0000/?dg=1
(日経新聞 2013/8/2) 「安倍政権、消費税上げ堅持を」 IMF専務理事
 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は1日、日本が2014年4月に予定する消費増税について「適切な短期間のうちに税率を5%から8%、10%に上げていくことを支持する」と述べ、予定通りの税率引き上げが望ましいとの見解を示した。安倍晋三首相に「全幅の信頼を置く」とアベノミクスの断行を求めた。日本経済新聞と一部欧米メディアとのインタビューで語った。安倍首相は来年4月から消費税率を法律に沿って10%まで2段階で引き上げる場合を含め、引き上げ方や開始時期にも幅を持たせた複数案を慎重に検証するよう事務当局に指示している。ラガルド氏は、法律に沿った税率引き上げが「持続可能な形で財政健全化を進めるという日本当局の強い意思表明につながる」と強調した。景気などへ一定の配慮を示しつつも、中期財政計画の前提で国際公約でもある消費増税が適切だとの理解は「IMFとして変えていない」と述べた。積極的な財政、金融政策と成長戦略による「アベノミクス」には「参院選を終えた今、安倍政権が3本の矢と構造改革の実行段階に移るのを見届ける必要がある」と指摘した。世界経済には「期待したほど力強くない」との認識を示した。9月にロシア・サンクトペテルブルクで開く20カ国・地域(G20)首脳会議で各国に政策提言するとともに、世界経済の成長確保が大きな課題になるとの見方を示した。そのうえで「各国が適切な政策を遂行すれば、世界の成長率は3%上昇する」とも強調した。中国経済について経常不均衡の修正が進みつつあるとしながら「国内投資から消費主導型経済への移行をさらに進めなければならない」と指摘。影の銀行(シャドーバンキング)問題に関し「中国監督当局による厳しい(資産内容の)調査、監査を歓迎する」と語った。

・・・
PS(2013.8.3追加):このように、メディアがこぞって消費税増税を言いたてるため、一般の人は本当にそうかと思ってしまう。しかし、実際には、財政規律は、福祉の削減ではなく、福島第一原発の遮水壁(ほんの一例)のような無駄なことに金を使うのを止めることによって達成すべきだ。さらに、福祉は消費税から支出しなければならないとは決まっておらず、消費税増税分を社会保障に回すというのも人間が決めたことであるため、人間が、いつでも変えることができる。また、「日本経済は、本当に増税に耐えられないのだろうか」とも書かれているが、家計を預かっている女性が言うのだから間違いない。信じられないなら、この物価上昇の中で、自分が非正規雇用の賃金や最低の年金支給額や生活保護額で生活してみるべきであり、本来は、言われなくともその立場の人への思いやりを欠かさないのが大人の常識だ。

*4:http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit1
(朝日新聞 2013年 8月 3 日) 消費増税―先送りの危うさに目を
 いまは5%の消費税率を、来年4月から8%に、15年10月には10%へと引き上げる「社会保障と税の一体改革」の柱であり、法律も成立している2段階の消費増税について、安倍首相が慎重な姿勢を見せている。最終決断するのはこの秋で、さまざまな経済指標を見極めつつ、有識者からも意見を聞くという。心配は、わかる。経済はやっと上向いてきたものの、企業の業績改善が投資や家計消費を押し上げ、それが企業業績を支えるという好循環には乗り切れていない。デフレ脱却と本格的な経済成長への入り口にこぎつけたのに、増税で台無しにならないか――。
 しかし、同時に財政規律への目配りを忘れてはならない。先進国の中で最悪の財政難のなか、日本銀行は金融緩和のために、市場を通じて国債を大量に買っている。これが「中央銀行による財政の尻ぬぐい」と疑われれば、国債相場は急落し、金利が急上昇して景気の足を引っ張る。そうなるとデフレ脱却と経済成長、財政再建のすべてが遠のいてしまう。政権が消費増税から逃げるかのような姿勢を見せれば、その危うさは高まる。国際社会から「信頼できる中期財政計画」を示すよう求められているだけに、なおさらである。消費税の増税分は、社会保障に回される。その一部は保育所の整備など子育て支援策に充てることが決まっている。成長戦略の中で首相が重視する「女性が活躍できる社会」には欠かせない対策だが、増税を先送りすれば、その実現もおぼつかなくなる。
 日本経済は、本当に増税に耐えられないのだろうか。注目されるのは、8月中旬に発表される4~6月期の経済成長率だ。民間調査会社の多くは年率換算で3%台の成長を予測しており、「増税の環境は整いつつある」との見方が強い。リーマン・ショックのような世界経済の激変に見舞われない限り、予定通り増税を実施する前提で、残された課題に力を注ぐべきだ。経済を自律的な回復軌道へと後押しするため、成長戦略の具体化と補強を急ぐ。所得が少ない人たちへの現金給付など、負担増を和らげるための対策をまとめる。増税前の駆け込み需要とその後の落ち込みをできるだけならすよう、知恵を絞る。手をこまぬいている時間はない。

| 消費税増税問題::2012.8~2014.11 | 11:52 AM | comments (x) | trackback (x) |

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