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2013.9.8 女性が社会で普通に働き、成果によって差別なく昇進するのは、本来は当たり前のことだが、日本ではまだそれができていないのだということ
    
サッチャー首相    メルケル首相   ハリス司法長官    朴大統領   インラック首相
 (イギリス)       (ドイツ)      (アメリカ)        (韓国)     (タイ)

(1)社会で意志決定する立場の女性が少ないディメリットの一例(*1参照)
 食品表示法改正に加工食品も含む原産地表示がなければ、食品を選択することができないため困る。また、栄養成分表示がなければ液肥で作った野菜と有機栽培で作った野菜は、液肥で作った方が見かけはよいだろうが味も栄養も有機栽培に劣り、外見は区別がつかないため困る。また、加工食品に栄養表示がなければ、慢性病で療養中の人は加工食品を利用することができないので困るのである。

 これらは、家族の健康に気をつけながら買い物をする女性ならすぐわかることだが、この議論が紛糾したり、困ったことに対する改善案が浮かばなかったりするのは、議論の参加者に女性が少なく、問題意識が欠如していることが原因ではないかと思う。何故なら、女性は誰でも、中学、高校の家庭科で栄養学を勉強し、栄養士は大学でも専門的に勉強しており、栄養学は科学であるため、知らない人が議論に参加して意見を言っても、あまり意味がないからである。

 栄養表示について、現場の労力やコスト増に直結する不満が噴出し、栄養士の斉藤久美子さんが「業者にとって負担は大きい」と指摘したそうだが、農業者や食品業者に対しては、近くの保健所において、高くない価格で、放射性物質の含有量や栄養価を測定すればすむことである。そのくらいの設備が保健所になければ、これからの保健所は機能を果たさないし、測定は、栄養士や看護師などが担当すれば簡単な筈で、都道府県の収入にもなる。

(2)日本は、社会での女性の活躍が遅れている(*2、*3参照)
 女性も努力して職業能力を得て頑張っているのであるため、男性と同じ条件で評価され昇進しなければ、やり甲斐はない。そのため、女性を踏み台にして男性に下駄をはかせるのは、止めるべきである。外国ではすでに、*2のメルケル首相や上のサッチャー首相、ハリス司法長官、朴大統領のように、いろいろな分野で能力ある女性が活躍し、意志決定する立場への女性の昇進も進んでいる。

 一方、日本では、*3のように「女性政策にいよいよ『本気』になった日本政府?」と書いている程度であり、男女共同参画担当大臣は最も軽い大臣ポストで、女性の活躍には「保育所の整備」と「男性の育児参加が重要だ」とこぞってメディアがまくしたてている程度だ。はっきり言っておくが、女性の活躍には、女性自身の能力開発が最も重要であり、そのために長期に仕事を中断しなくてすむ手段として「保育所の整備」等があるにすぎない。そのため、能力開発やキャリア形成のやり方は、人によってさまざまであってよく、変な圧力をかけると、かえって女性の職場での立場をやりにくくするだろう。

(3)女性の能力開発やキャリア形成に必要なこと(*4、*5、*6参照)
 *5のように、「女子学生に研究者を志してもらおうと、九大女性研究者キャリア開発センターが、学内の女性研究者を紹介する冊子を作成」「各分野で輝く女性研究者を知ることで、高校生たちが興味のある分野で頑張るきっかけになればと期待している」というのは、高校、大学、大学院の段階で、女性が将来輝くために進路選択を行うにあたり、重要なことである。何故なら、高校、大学、大学院の段階で基礎を作っておかなければ、職場で、男性と同じ条件で昇進することなど、とてもできないからである。

 また、高校、大学、大学院の段階で基礎を作っても、それを磨く舞台が得られなければ、時が経つにつれて腐るだけである。そのため、遅ればせながら、*4のように、「女性管理職拡大へ」と、職場で、女性の管理職への昇進を前提とした育成が九州でも進められ始めたのはよいことだ。

 しかし、1979年の第34回国連総会において、*6のように女子差別撤廃条約が採択され、1981年にそれが発効して、世界がその方向で努力してきたことと比較すれば、建前と本音を分けてきた日本の感覚と成果は、世界に約30年遅れている。そして、それは、実際に公認会計士としてBig4の国際事務所であるプライスウォーターハウス・クーパースやKPMGで働き続けてきた私の肌感覚とも一致している。

*1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=23238
(日本農業新聞 2013/9/7)  消費者庁の「食品表示法」説明会が終了 現場の負担増 支援必要
 消費者庁は6日、食品の表示ルールを一元化する「食品表示法」について説明会の全日程を終えた。説明会では、これまで任意だった加工食品の栄養成分表示が原則義務化されることに、加工業者や6次産業化を進める農家から不安の声が噴出、現場の実態に沿った対象事業者の範囲や経費負担の在り方をめぐって意見が相次いだ。また、食の安全・安心確保に向け、加工食品の原料原産地表示拡大にも根強い要望があった。
●全事業者対象に不安 「原料原産地」検討急げ
 説明会は、8月22日の福岡を皮切りに6日の仙台まで、全国7カ所で開いた。同法で定められた表示のポイントを解説、今後の検討課題となっている項目などについて参加者から意見を聞いた。参加者から関心が特に高かったのは、加工食品の栄養成分表示を義務化する業者の対象範囲だ。直売所をはじめ、小規模な事業者が手掛ける加工食品にまで義務化されるのかなど、現時点では詳細は決まっていない。消費者庁は今後、関係省庁や消費者委員会の意見を踏まえて原案を示す方針だ。「どんな準備が必要なのか」「栄養成分の検査費用や検査器具の導入に助成はあるのか」。説明会では消費者に分かりやすい表示を目指す一方で、現場の労力やコスト増に直結する不満も噴出した。群馬県桐生市の栄養士、斉藤久美子さん(51)は「業者にとって負担は大きい。一般への周知も足りない」と指摘。福岡市の中小食品業者も「景気回復の実感もなく、経費削減している中で表示の義務化は経営悪化に拍車が掛かる。制度の詳細が決まらなければ、不安は増幅するばかりだ」と懸念を示した。
 また、新法と切り離して検討課題となった加工食品での原料原産地表示の拡大にも、強い要望が上がった。参加した東京都練馬区の石黒昌高さん(82)は「加工食品も産地表示されれば、日本の農家にとって大きなPRになり、消費者にとっては安全・安心の確保につながる」と強調。この他、各地で「検討が進んでいないのはおかしい」「国の責任で制度化すべきだ。現場でのコスト増も政府が食の安全を確保する必要経費として、助成してほしい」との意見が出た。
消費者庁は説明会での意見に対し「制度の詳細は決まっていない。加工食品の栄養成分表示の義務化の対象は、小規模事業者の活動の妨げにならないことも論点に検討する」(食品表示企画課)と説明する。検討が始まっていない加工食品の原料原産地表示の義務化や遺伝子組み換え(GM)食品の表示規制強化といった課題には「検討の場を準備中で、時期などは明言できない」と述べるにとどまっている。説明会での意見に対し、食の安全・安心財団の中村敬一理事事務局長は「新たな表示ルールや検討課題の周知が不十分な証拠だ」と指摘。また、「こうした国民の不安に応えるため、相談窓口などの体制を消費者庁が早急に整備するべきだ」と訴える。
〈ことば〉食品表示法 食の安全性や品質などの表記を分かりやすくするため表示ルールを一元化する目的で6月に公布。今後2年以内に施行し、現行で任意の加工食品の栄養成分表示の原則義務化は、施行後5年以内を予定する。

*2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309020042.html
(朝日新聞 2013.9.2) 「脱原発、正しかった」 メルケル独首相が福島に言及
 ドイツのメルケル首相は1日、22日の総選挙に向けたテレビ討論で、東京電力福島第一原発の放射能汚染水漏れを念頭に「最近の福島についての議論を見て、(ドイツの)脱原発の決定は正しかったと改めて確信している」と述べた。独メディアは汚染水漏れについて批判的に報じている。
メルケル氏はまた、ドイツが米国主導のシリア攻撃に参加しないとの方針を表明。アサド政権による化学兵器使用は「途方もない犯罪」と批判したが、国際社会が共同で対応する必要があると強調した。国際的な対応について、国連安保理やロシアでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議でロシアや中国にも合意を働きかけると述べた。発言は、ドイツ連邦軍の海外派遣に消極的な国民世論を考慮したもので、討論に臨んだ最大野党・社会民主党の首相候補、シュタインブリュック前財務相も軍事行動への不参加を表明した。

*3:http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130418/246868/?bpnet
(日経BP 2013年4月19日) 女性政策にいよいよ「本気」になった日本政府? もはや不可欠、やり方次第ではEUにも勝てる
 民主党政権時代、最も「軽い」大臣ポストの1つが男女共同参画担当大臣だった。3年3カ月の間にこのポストに就いたのは官房長官の事務代行を除いても8人。少子化対策担当大臣の9人に次いで頻繁に交代したポストだった。男女共同参画担当という大臣が初めて置かれたのは森喜朗内閣時代の2001年。主として官房長官の兼務ポストだったが、第1次安倍晋三内閣で内閣府特命大臣として上川陽子氏が任命された。以後、中山恭子氏、小渕優子氏と引き継がれた。自民党時代はほぼ1内閣1人だった。民主党も最初は女性議員の福島瑞穂氏を据えたが、その後は他の大臣の兼務ポストとなり「たらい回し」の状況になった。民主党はイメージとは違って「男女共同参画」や「少子化対策」を政策としてはあまり重視していなかったということなのだろう。
 安倍内閣になって、がぜんこのポストの重みが増している。第1次安倍内閣同様、女性議員を大臣に据え、少子化対策と消費者及び食品安全担当を兼務させた。任命されたのは森まさこ参議院議員である。実は「男女共同参画」や「少子化対策」は、経済の再生を目指すアベノミクスと密接に関係している。関係しているというよりもアベノミクスの主要政策の1つと言ってもいいものなのだ。昨年末、安倍自民党が総選挙を戦った際、政権公約の細目である「自民党政策BANK」を公表した。その中に、「女性力の発揮」という項目があるのだ。それも「経済成長」の具体策の1つとして盛り込まれている。そこにはこう書かれている。
●「にぃまる・さんまる」に込められた目的
 「社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする目標(“20年30%”〈にぃまる・さんまる〉)を確実に達成し、女性力の発揮による社会経済の発展を加速させます」。この「にいまる・さんまる」という数字自体は、民主党政権時代の2010年に作られた男女共同参画基本計画に盛り込まれていたもので、安倍自民党のオリジナルというわけではない。だが、安倍首相は自らの強いリーダーシップで実現に向けて具体策を打っていこうとしている。その背景には、アベノミクスの目的がある。強い日本経済の再生には女性力の活用が不可欠だという認識がある。安倍氏の「本気度」は政権発足直後の人事にも表れた。前述の通り、男女共同参画担当相に森氏を起用したほか、規制改革担当相に稲田朋美氏を当てた。首相を含む19人の閣僚のうち女性が2人というのは、民主党政権時代を通じて「標準的」な水準だが、党人事ではサプライズを演出した。自民党の3役人事で、政調会長に高市早苗氏、総務会長に野田聖子氏を抜擢したのだ。自民党3役に女性を当てたのは野党時代の小池百合子・政調会長の例があるが、与党としては初の起用。しかも3役のうち2人、つまり「過半数」が女性というのは自民党の歴史始まって以来の初めての事である。当選回数でみれば適齢期とも言えるが、2人とも無派閥。総裁の決断がなければ実現できない人事だった。記者会見で安倍氏は「女性の力を生かしていく。自民党が変わったことを理解していただけるのではないか」と述べた。

*4:http://qbiz.jp/article/22757/1/
(西日本新聞 2013年8月30日) 女性管理職拡大へ、福岡の15社・団体が数値目標
 女性の社会進出や管理職への登用を進める「女性の大活躍推進福岡県会議」は30日、福岡県、福岡市、TOTO(北九州市)、岩田屋三越(福岡市)など15社・団体が女性の管理職を増やす数値目標を新たに設定したと発表した。同会議は、企業や団体への働きかけを強め、2013年度内に目標導入を100社・団体に、14年度末には500社・団体に増やしたい考え。同会議には福岡県内の企業や自治体など約60団体が参加。女性の活躍の拡大に向けて育児支援などの環境整備や啓発活動に取り組むほか、将来的には九州全域に活動を発展させる方針。数値目標は「17年度に管理職に占める女性比率10%」(TOTO)などで、15社・団体が自主的に設定した。福岡市で記者会見した松尾新吾共同代表(九州経済連合会名誉会長)は「女性の活躍については、企業や社員、社会全体の意識がまだ低い」と指摘。久留百合子共同代表(ビスネット社長)も「女性管理職が珍しくない社会になるよう、積極的に情報発信していく」と話した。

*5:http://qbiz.jp/article/22841/1/
(西日本新聞 2013年9月2日) 女性研究者の卵を増やそう 九大が高校生向け冊子作成
 女子学生に研究者を志してもらおうと、九州大学(本部・福岡市東区)が学内の女性研究者を紹介する冊子「ブリランテ」を作成した。研究概要だけでなく、一日の過ごし方や好きな国なども紹介し、研究者たちの“素顔”が分かる内容。5千部を九大のイベントで配ったり、九州・山口の高校に送ったりする。制作したのは九大女性研究者キャリア開発センター(愛称・ソフル)。「女性研究者の卵を増やそう」と高校生向けの冊子の刊行を企画し、スタッフ7人が、文系理系を問わず、各世代の研究者や大学院生計15人にインタビューした。ブリランテはイタリア語で「輝く」という意味。カラー40ページで副題は「女性研究者のキラキラの素、届けます」。プラズマ研究で著名な伊藤早苗副学長や新種ブドウを開発した酒井かおり助教らが登場し、それぞれの研究内容や魅力、仕事に欠かせない道具、落ち込んだときの対処法、尊敬する人などを語っている。大学院生は3人で、進路選択の経緯や日ごろの研究、後輩へのアドバイスなどをつづった。九大によると、学内の女性教員は280人。年々増えているが、教員全体の12%にとどまる。菊川律子センター長は「各分野で輝く女性研究者を知ることで、高校生たちが興味のある分野で頑張るきっかけになれば」と期待している。

*6:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/
 女子差別撤廃条約は、男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として、女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念としています。具体的には、「女子に対する差別」を定義し、締約国に対し、政治的及び公的活動、並びに経済的及び社会的活動における差別の撤廃のために適当な措置をとることを求めています。本条約は、1979年の第34回国連総会において採択され、1981年に発効しました。日本は1985年に締結しました。(以下略)

| 男女平等::2013.5~2013.11 | 04:04 PM | comments (x) | trackback (x) |

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