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2014.4.17 STAP騒動については、あら捜し競争をしてあおったのは、朝日新聞が中心だった。 (2014.8.5、8.7、8.8に追加あり)
    
          *3より
(1)新聞のマッチポンプには呆れた
 *1の朝日新聞社説は、あまりにもマッチポンプで、呆れたと言うほかない。何故なら、中心となってそれをやってきたのは朝日新聞であり、「割烹着」「黄色やピンクの壁」「子どもじみた服やぬいぐるみ」を愛用していると報道された小保方氏は、知識の深い学者というよりは、センスの悪い「ぶりっ子」という印象で、STAP細胞の使い方について話した内容も、「子どものいない人への福音」「美容目的」など、生物学や医学の知識のなさを露呈するものだったからである。

 そのため、私は、「この幼さの演出が、最近の若い日本女性の流行で、これをやらせる環境が可哀想だ」とは思ったが、「リケジョの星」とは、とうてい思わなかった。

(2)しかし、それと発見の重要性は異なる
 しかし、*1のように、「論文がずさんだ」「撤回しろ」とたたみかけたメディアは、まさに、STAP細胞の発見の重要性やその目的とブラックタイガーを「車エビ」という包装紙で包んだメニュー偽装との区別がついていない程度だ。そして、それが、現在の日本のメディアの限界なのである。

 2014.3.19、2014.3.26、2014.4.9、2014.4.15の記事のように、私は、このブログで何度もSTAP細胞の存在を強調したが、それは、小保方氏が割烹着を着て研究し、黄色やピンクの壁を好み、子どもじみた服やぬいぐるみを愛用していたからではない。むしろ、そのように小保方氏のセンスは幼稚で、お世辞にもよいとは言えないにもかかわらず、STAP細胞の発見は今後の再生医療の応用に重要であるため、第一発見者を抹殺して業績を横取りするような卑怯なことをしてはならないと考えたからである。

 さらに、*1は、「包装紙よりも中身の価値にこそ細心の注意を払う。そんな心眼をもつ社会でありたい」としているが、そのためには、少なくとも中身の価値を理解できるメディアが、国民に質の高い解説をすることが必要不可欠だ。

(3)あら捜しに対応したマウスでの証明より、速やかな人間への応用の方が大切だ
 *2で、理研の笹井氏が、「STAP現象は本物」と述べており、私もそう思うが、*3のように、STAP細胞の真実の行方を理研がゼロから立証、確認、検証するそうだ。 しかし、理研が検証に成功したところで、*5のように、「若いマウスの脾臓から採取したリンパ球が胎児に育ち、胎盤を形成することができた」と言えるにすぎない。これは、*4のように、本当なら「世紀の大発見」であるとはいえ、植物やトカゲでできることが、若いマウスでもできることを証明したにすぎない。

 しかし、大切なのは、哺乳類であるマウスでできるなら、人間の神経や皮膚や臓器を再生することもできるだろうということで、これができれば、自分のリンパ球から、悪くなった神経や皮膚や臓器を新しく作って、副作用なく取り替えることもできるため、人間への応用研究を急ぐべきなのである。

(4)再生医療について
 現在の臓器移植は、他人の臓器をもらわなければならないため、くれる人が現れ、それが適合する場合にのみ、拒絶反応を抑えながら移植することができる。そのため、くれる人にも、もらう人にも多くの問題が生ずる。しかし、自分の細胞から臓器・神経やそれらを補強する細胞シートを簡単に作ることができれば、拒絶反応もなく、必要な時に身体の部品を取り替えたり、補強したりできるわけだ。

 例えば、甲状腺癌で甲状腺を摘出しなければならないとしても、かわりの甲状腺を自分の細胞で作っておいて部品の取替えですむのなら問題は少ない。腎臓や大腸でも同様で、それができるためには、胎児や胎盤を作れるという特性よりも、あらゆる細胞に分化して増殖できるという特性の方が重要であり、それを3Dプリンターか何かで元の臓器と同じに形成できなければならない。

(5)人間はどこまで部品の取替えが許されるのか?
 自分のリンパ球で作ることを想像すれば誰にでもわかるはずだが、リンパ球は、血液を採取すれば容易に取り出すことができるが、それを使って勝手に胎児を作られては困る。それでは、「どこまで部品を変えても本人なのか」「どこまで許されるのか」については、極端な事例を書けば、前頭葉を取り替えれば別人になってしまうが、網膜は交換してもよいだろう。そして、今後は、この境界線の倫理をしっかり詰めた上で、早く実用に供するのが、皆のためになると考える。

*1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11088507.html
(朝日新聞社説 2014.4.17) STAP騒動 あおり競争で細る社会
 どうも空しさが漂う。STAP細胞という大発見の立役者から一変、不正の烙印を押された小保方さん騒動である。反論会見には300人以上が詰めかけ、テレビも中継した。これほど関心を集めたのは発見の真偽に加え、「30歳の割烹(かっぽう)着を愛用するリケジョの星」という当初の鮮やかな登場が人々の興味をかき立てたからだろう。確かに、経済が滞り、対立と閉塞(へいそく)感ばかりが強まる日本で、軽々とホームランを放ったような若い女性は、存在そのものが希望の明かりをともした。それを誇らしげに強調したのは、彼女が所属する理化学研究所だった。研究費獲得にしのぎを削る現実の中、看板となるスターを押し立てたかったのではないか。研究をくるんだ「包装紙」にメディアも目を引かれ、注目度は高まったが、肝心の論文はずさんだった。前に見たものとどこか似ている。交響曲を「全ろうの被爆2世作曲」という包装紙で包んだ佐村河内氏騒動。ホテルやデパートがブラックタイガーを「車エビ」という包装紙で包んだメニュー偽装事件――。いずれも中身より外観に振り回された。足元がぐらつく思いだ。不景気な時代を生き残るには、何を売るかだけでなく「どう見せか」が大切なのはわかる。それがいつのまにか、見せ方の方が主導権を握っている。一連の騒動はひとごとではない。消費社会は行き着くところまで行っているが、それでも買ってもらおうと、売り手も買い手も見せ方、見え方に傾きすぎて刹那(せつな)的な消費を繰り返す。その中で、じっくりと腰を据えた愚直な仕事が置いてけぼりになってはいないか。仕事の成果を世に問うとは、原点に戻れば、人に役立つモノや発見、サービスを生み出して喜んでもらい、お礼をもらうことだ。それを見失った「あおり」競争は誰をも豊かにしない。いくらお金が回っても、「だまし」「だまされ」の空虚な取引に終わりかねない。きれいごとで経済は回らない。だが騒動を機に売り手も買い手も、そして運び手であるメディアも、それぞれ原点に立ち返ることは無用ではあるまい。小保方さんは、いつかSTAP細胞が人の役に立つ日を夢見て来たと語った。上司の笹井芳樹さんもきのう、「発見」は今なお検証に値すると強調した。ならば、真実の解明に全力を集中してほしい。包装紙よりも、中身の価値にこそ細心の注意を払う。そんな心眼をもつ社会でありたい。

*2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11078910.html?_requesturl=articles%2FDA3S11078910.htmlamp (朝日新聞 2014年4月11日) 
「STAP現象、本物」 小保方氏指導、理研の笹井氏会見へ
 STAP(スタップ)細胞の論文問題で、理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーの指導役の笹井芳樹氏(52)が朝日新聞の取材に「STAPはreal phenomenon(本物の現象)だと考えている」とこたえた。小保方氏の現状については「こうした事態を迎えた責任は私の指導不足にあり、大変心を痛めた」と心境を説明した。来週中に会見を開く方針。笹井氏は理研発生・再生科学総合研究センターの副センター長で、ES細胞(胚性幹細胞)から体の組織をつくる研究の第一人者。小保方氏とともに主要著者の1人。記者が先月中旬から4月9日まで、メールで複数回、やり取りした。小保方氏は9日の会見で「200回以上STAP細胞の作製に成功した」などと主張した。一方、専門家の指摘では、STAP細胞が実は別の万能細胞(ES細胞)が混ざったものではないかという疑念が多い。笹井氏は「他の万能細胞を混ぜても、一つの塊にならない。実験をやったことのない人の机上の考えだ」と反論。ES細胞からつくれない組織がSTAP細胞ではつくれたことなどをあげ「ES細胞では説明のできないことが多すぎる」「STAPが存在しないなら、私たちが再立証に力を入れることはない」と指摘した。ただ、これまでのやり取りでは、STAP細胞が存在するか具体的な証拠は示されていない。論文撤回に反対する小保方氏と違って、笹井氏は「信頼が失われたのは否めない。撤回は適切な判断だ」と撤回に同意している。小保方氏の会見について笹井氏は「彼女の気持ちと考えを率直に語っていた」とした上で「若い研究者の芽を枯らせかねない状況になり慚愧(ざんき)の念にたえない」と胸の内を明かした。

*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140417&ng=DGKDZO69974470W4A410C1M10600 (日経新聞 2014.4.17) 
STAP細胞 真実の行方、理研、ゼロからの立証 万能性確認へ検証実験
 STAP細胞はあるのか、ないのか。16日に記者会見した笹井芳樹・理化学研究所発生・再生科学総合研究センター副センター長は「何度も自問自答している」と気持ちの迷いを吐露した。理研が存在の有無をゼロから調べるため着手した検証実験に、結論を委ねるという。小保方晴子研究ユニットリーダーは一時期、1日に1個のペースで作ったと主張するが、検証には1年かける。理研の検証実験は、論文の共著者でもある丹羽仁史プロジェクトリーダーらが進める。方法は大きく2通りある。1つは丹羽氏が論文を補足して3月に公表した作製手順に従う。小保方氏は補足文書の内容に関与していない。小保方氏が持つ作製の「コツ」や「レシピ」は検証実験に生かされていない可能性がある。具体的には若いマウスの脾臓(ひぞう)からとった血液の細胞を酸に浸し、STAP細胞ができるか調べる。様々な細胞に変わる万能性に関連した遺伝子が働くかを、蛍光を出す目印(マーカー)で確認する。もしマーカーが光っても、これだけでは本当に万能性があると証明できない。細胞を変える働きが十分でなくてもマーカーが光ることもある。そこで検証の際は、できた細胞を胚に入れて育て、それが体のあらゆる部分に成長してキメラマウスができることを示す計画だ。これが最もハードルが高い。小保方氏は9日の記者会見でSTAP細胞の作製に「200回以上成功した」と明らかにした。14日に弁護団を通して出した補充説明から、主にマーカーによる確認とみられる。キメラマウスなどの実験は「複数回」としている。笹井氏も16日の会見で「キメラマウスを200回作ったわけではないだろう」と述べた。検証実験の2つ目は論文から離れ、血液以外の細胞からSTAP細胞の作製を目指す。例えば肝臓の細胞の様子を蛍光で識別できるマウスを作り、採取した肝臓細胞を酸に浸してからキメラマウスを作る。最初の識別処理のおかげで肝臓細胞からSTAP細胞ができたかを確認ができ、別の細胞の混入やデータの混同を避けられる。論文の共著者で、米ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授は細胞を極めて細い管に通して物理的な刺激を加えた後、酸で処理する方法を提唱する。丹羽氏らはこの方法も並行して試す。小保方氏の会見での説明などから、STAP細胞の「成功」例には、こうした物理的な刺激のケースも含まれるとみられる。作った細胞に、胚性幹細胞(ES細胞)やiPS細胞と同じように無限に増える能力を持たせられるかも大切なポイント。培養条件などの工夫でSTAP細胞を、増殖するSTAP幹細胞に変え、そこからキメラマウスのもとになるキメラ胚を作製する計画だ。発生学の専門家によると、ある種の腫瘍細胞からキメラ胚を作ったとの報告もある。理研の検証実験でSTAP細胞のキメラマウスができても、第三者を含む複数のグループが再現に成功しないと、STAP細胞が確実に存在するとは言い切れない。専門家からは今回の検証実験とは別に、小保方氏の実験のどこにどんな問題があったのか経緯を明らかにすべきだとの声が多い。小保方氏の研究室にはSTAP細胞から作ったキメラマウスや、STAP幹細胞とみられるものが複数保管されているという。これらのゲノム(全遺伝情報)を解析すると、論文で報告された通りの細胞からできた新しい万能細胞なのか、ES細胞の混入がないかなどを知る手掛かりが得られる。検証実験の総括責任者である相沢慎一特別顧問は「残っているSTAP幹細胞やキメラマウスを調べてもSTAP細胞の存在の証明にはならない」と消極的だ。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140417&ng=DGKDZO69974570W4A410C1M10600 (日経新聞 2014.4.17) 
「世紀の大発見」本当なら… 初期化の解明に道、体内で臓器再生も
 STAP細胞はなぜ生物学の常識を覆す「世紀の大発見」と騒がれ、国内外の研究者が再現実験を試みたのか。理化学研究所は1月末の成果発表時に、様々な組織や臓器になる万能性があるにもかかわらず、iPS細胞よりも作製方法が簡単だと説明した。胚性幹細胞(ES細胞)のように命の始まりである受精卵を使わなくても済む。第三の万能細胞として浮上した。STAP細胞はマウスの血液細胞を弱酸性の溶液に30分浸すというストレスを与えるとできる。細胞が若返る「初期化」が起きる。山中伸弥京都大学教授はこの初期化を使ってiPS細胞を作製、2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。1個の受精卵から胎児ができ、赤ちゃん、子供、大人へと成長するように、細胞は初期化すると、神経や筋肉、腸管など様々な細胞になることが可能になる。マウスやヒトでは、一度、役割の決まった細胞になると受精卵のような状態に戻ることはなく、例えば、皮膚の細胞は筋肉の細胞にはならないと考えられてきた。爪や髪の毛が伸びることはあっても、同じ細胞が分裂して増えているだけで、ある日突然爪が髪の毛に変わることはない。ところが植物や、イモリなど一部の動物では事情が違う。木の枝を折って水につけると断面部分から根が生える。イモリでは切断面の細胞が反応して再び尾が生えてくる。こうした現象は細胞が置かれる環境が大きく変わることがきっかけで起きる。STAP細胞がもし本当なら、「若返る」仕組みが高等生物である哺乳類にも存在することになる。再生医療への応用を想定した場合も、iPS細胞やES細胞ではできないような新しい治療法の実現につながると期待された。切断した指そのものを再生したり、一部が損傷した臓器を体内で再生したり、といった具合だ。マウスの受精卵にSTAP細胞を移植すると胎児と胎盤に成長するとされる点も従来の万能細胞にない特徴だ。家畜分野に応用すれば、同じ品質の肉牛を安定して作ることが可能になると期待された。基礎的な成果も見逃せなかった。再生医療への活用がまもなく始まるiPS細胞だが、初期化が起きる仕組みは実はよくわかっていない。特定の遺伝子を導入して作製するiPS細胞と、酸処理によってできるSTAP細胞とでは初期化に至る過程が異なる。2つの細胞を比べれば初期化の解明が進むともいわれた。こうなると「不老不死」だって夢物語でなくなるかもしれない。

*5:http://syodokukai.exblog.jp/20326345/
 STAP細胞は、胚と胎盤へという2方向の分化能を持っている
【まとめ】
 このグループは体細胞に致死以下の刺激を加えると多能性細胞へとリプログラミングされる現象を報告し、これを刺激惹起性多能性獲得(stimulus-triggered acquisition of pluripotency; STAP)と名付けた。
① このSTAP細胞は、胚盤胞注入によるキメラマウスの作製において、ES細胞と違って、胚だけでなく、胚と胎盤組織の両方に寄与した。
② また、STAP細胞はES細胞と違って自己増殖能を持たないが、ACTHとLIFを添加した培地で培養すると増殖能をもつSTAP幹細胞(STAP stem cells; STAP-SC)に転換した。STAP幹細胞は増殖できるES細胞様の性質を持ち(expandable ES-like cells)、胎盤への分化を表す栄養膜細胞(trophoblast)マーカーを発現せず、in vivoの分化で胎盤組織ではなく胚に寄与した。
③ 一方で、STAP細胞にFgf4を添加して培養すると、栄養膜細胞の性質を持つ、増殖する幹細胞となった(Fgf4誘導性幹細胞; Fgf4-induced stem cells; FI-SCs)。さらにこのFI-SCsをLIF含有培地で培養すると、胚と胎盤組織に寄与するES様細胞へと転換した。この幹細胞は、in vivoで胎盤組織に寄与する栄養膜幹細胞(trophoblast stem cell; TS細胞)とは異なる幹細胞であった。
④ 上記の、in vivoの胚盤胞注入実験とFgf4やLIFを用いたin vitro細胞転換実験によって、STAP細胞は発生のためのさまざまな多能性状態を示すことが明らかになった。
(STAP細胞を異なる条件で培養することにより、2方向の幹細胞へと転換することを示した模式図で、H Obokata et al. Nature 505, 676-680 (2014) のFig 4a部分を引用させていただいた。)
 *全文は下の「続き▽」をクリックすると出ます


PS(2014.8.5追加):*6-1の笹井氏の自殺の仕方は、一連の報道や理研の対応に対する抗議のように思われた。また、*6-2に書かれているように、世界で初めてES細胞による網膜の分化誘導に成功して立体的な網膜生成に成功した笹井氏の先見性ある実績は、人の話を聞いてレベルの低い薄っぺらな記事を書いているだけの記者が1,000人集っても決して達成できないものである。また、論文のコピペ問題等については、メディアの記事と先端研究者の論文とは次元が異なるにもかかわらず、その違いすら理解できずに論文の内容とは関係のないことまで含む誹謗中傷をしているのが眼に余り、それで落ち込まない人がいたら、その方が異常なくらいだった。そのため、これを機会に、質の悪い人権侵害をして憚らないメディアの真摯な反省と改善を求めるものである。

*6-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/90748
(佐賀新聞 2014年8月5日) 理研・笹井氏が自殺図る、センター内で首つる、死亡確認
 理化学研究所の発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹副センター長(52)が5日、センター内で自殺を図ったことが分かった。理研によると、同センターに隣接する病院の医師が死亡を確認した。兵庫県警によると、笹井氏はセンターの研究棟の階段の手すりに、ひも状のものをかけて、首をつっていた。午前9時すぎに110番があったという。笹井氏は新たな万能細胞とされたSTAP細胞の論文を執筆した小保方晴子研究ユニットリーダー(30)の指導役。今年1月に理研が成果を発表した記者会見にも同席しており、論文疑惑が発覚した後も、細胞が存在する可能性を強調していた。

*6-2:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%B9%E4%BA%95%E8%8A%B3%E6%A8%B9 笹井 芳樹(ささい よしき、1962年(昭和37年)3月5日 - )
 神経系の初期発生の遺伝子・細胞レベルの研究者として知られる。世界で初めてES細胞による網膜の分化誘導に成功し、立体的な網膜を生成することにも成功した。京都大学助教授、教授、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(Center for Developmental Biology)グループディレクター、同 副センター長を歴任。受賞実績多数。2014年に発表・撤回されたSTAP論文では、様々な責任が追究されている。(以下略)


PS(2014.8.7追加):*7のように、笹井氏は、よい研究をしていたのにもったいないの一言に尽きる。日本は、“普通”であることを強要し合理化し過ぎるあまり、新理論や新技術にチャレンジして成功し続けていく必要がある人にとって、やりにくい国になっている。

*7:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10203/91428
(佐賀新聞 2014年8月7日) 笹井氏グループに理研が聞き取り、自殺受け、心理的負担を調査
 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹副センター長(52)の自殺を受け、理研が笹井氏のグループに所属する研究員に聞き取り調査を始めたことが7日、分かった。研究を続けたいかどうかや、心理的負担の程度を調べ、研究室の新しいリーダーも検討する。理研によると、笹井氏のグループは「器官発生研究グループ」。胚性幹細胞(ES細胞)を使った組織再生に取り組み、脳の一部や目の網膜の立体組織を作成していた。理研関係者によると、研究員は大きなショックを受けており、カウンセリングなど心理的なケアも想定している。


PS(2014.8.8追加):*8のように、初めに「理研の再生研究センターを解体する」という結論があって、メディアは今回の批判キャンペーンを行ってきた。しかし、研究者が自由に研究でき、お互いを信用しあうのは、第一線の研究所では当たり前であり、経営と称して研究内容を強制されることこそ、学問の自由を害し、国の発展を妨げる。しかし、それができるためには、それぞれの研究者が信用されるに値する知識と研究姿勢を身につけている必要があり、小保方氏の場合は、ここが足りなかったのである。

*8:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/91809
(佐賀新聞 2014年8月8日) 理研、再生研究センター存続へ、「解体的」も見直しにとどまる
 理化学研究所がSTAP細胞問題を受けて策定中の改革案で、舞台となった発生・再生科学総合研究センター(神戸市)を存続させる方向で検討していることが7日、関係者の取材で分かった。改革案の中でセンターの扱いを「解体的再生」とするが、内容は運営体制の見直しにとどまり、改革が骨抜きになる恐れがある。改革案の方向性は8月中にも固まる見通し。野依良治理事長の直轄で研究不正防止のための本部を9月に設置し、理事と同数の委員でつくる経営戦略会議(仮称)の新設も検討する。一方、改革委員会(岸輝雄委員長)が求めた改革の進行をチェックするための監視委員会は設置しない方針。

 <下の「続き▽」をクリックすると、*5の論文全文が出ます>

続き▽
| STAP細胞::2014.1~ | 11:48 AM | comments (x) | trackback (x) |

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