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2014.12.19 選挙制度改革の必要性について ← 男性が多い世襲政治の価値観から脱皮すべき (2014年12月21日、24日に追加あり)
              
2014.12.11日本農業新聞 2014.12.14日経新聞 2014.12.11、12佐賀新聞
   
(1)民主主義になっていない選挙
 *1-1に、日経新聞が、「①有権者の半数が棄権」「②無党派層は分散して組織政党が有利になった」としているが、①②から、棄権した人には、1)一般有権者の実態に全く合わない政策を並べている政党や実行力に疑問がある政党ばかりで、どの政党も負託に堪えないと思った人 2)普段から政治に関心がないためサボった人  の二種類があるだろう。

 しかし、*1-2のような50%程度の低投票率でも、菅義官房長官が「私どもは当然(信任を)受けたと思っている」と述べているとおり、選挙結果は公約にお墨付きを与えることになり、これが民主主義なのである。しかし、これによって、本当はもっと賢い方法があるにもかかわらず、i)消費税率を上げ ii)年金給付額を減らし iii)保育・介護が不足しているにも関わらず社会保障を削減し iv)ばら撒くことが目的の公共工事を増やし v)原発に無駄使いして vi)高齢者福祉を高齢者の既得権益などと呼ばせる 倫理観に欠けた政治が信を得たことになった。しかし、この見せかけだけの民主主義は、官にとっては、自らがやりたい政策に政治がお墨付きを与える制度になっているため、むしろ変えたくないものなのである。

 そのため、*1-3のように、「今回の選挙結果で安倍政権が信任されたと民意をはき違えては困る」という論調のメディアも少なくなかったのは、せめてもの救いだ。

     
     2014.12.12、13日本農業新聞     2014.12.10、13佐賀新聞 

(2)世襲議員と男性議員ばかりの害
 *2-1の麻生副総理兼財務相は、大久保利通、牧野伸顕、吉田茂(祖父)、麻生多賀吉(父)が祖先の世襲の中の世襲議員で、先日、「①子どもを産まないのが問題だ」と発言した。これは、自民党の公約よりもかなり遅れた価値観だが、菅官房長官は、これを「②全く問題ない」と擁護し、麻生副総理兼財務相は、問い詰められた後に「③保育施設などの不足で産みたくても産めないのが問題との趣旨だった」と釈明した。しかし、麻生氏は総理大臣の時に、子どもを産んだという理由で、小渕優子氏を少子化対策・男女共同参画担当大臣に任命しており、麻生氏の本音は①なのである。

 そのような麻生家では、妻の価値は子どもを産むことで、その他の価値は付属にすぎないのだろうが、少子化対策・男女共同参画担当大臣としての適格性を持てる知識や見識を、子どもを産んだだけで持てるわけはなく、逆に、子どもを産まなくてもそういう知識や見識を持っている人は多い。しかし、自民党は、①②のような価値観の議員が多いため、まだまともな介護や子育て支援制度ができていないのである。

 なお、小渕優子氏は、子どもを産んでも支障なく国会議員や大臣を務め続けていられるのだから、子育ての大部分を誰かにやってもらっているに違いない。これは、普通の働く女性から見れば、殆どの男性議員と同様、子育てをやったとか、仕事と子育てを両立したとか言えるようなものではない。

 しかし、このように行政の政策を鵜呑みにする世襲議員や男性議員が高い割合を占める中で政策を決めると、*2-2のように、①人口1億人を維持することが不可欠(イノベーション、女性・外国人の雇用、定年延長、失業率などを無視しており、根拠なし) ②そのためには2040年に出生率2.07が必要(人口置換水準を線形で計算しているため、計算間違い) ③合計特殊出生率を1.8まで引き上げることが、まず目指すべき水準と明記(女性の自己決定権を無視した出産の押しつけという人権侵害に疑問を持たない体質) などという政策を推し進めることになるのである。

 そして、このビジョンが「人口減で国としての持続性すら危うくなる」という危機感に基づいているのは、環境を壊し、原発を推進し、食料やエネルギーの大半を他国に依存しながら、結論を導くためにあからさまなこじつけをしているところが、悲劇を超えて滑稽ですらある。つまり、これらを総合的に考えて解決できる総合力を持たない人が、政治や行政システムの中で意思決定しているのが、現在の日本の最も大きな問題なのである。

(3)選挙制度改革の必要性
 2014年12月14日投開票の総選挙では、小渕優子氏や小泉進二郎氏が早々に当選を決めたと、NHKなどのメディアが何度も何度もその状況を放送していたが、これらの世襲議員の選挙区では、対立候補が共産党からしか出ていなかったため、早々に当選が決まるのは当たり前であり、実際には公示日に候補者が確定した時には、選挙戦は終わっていたのである。

 これは、強力な対立候補と選挙戦を繰り広げざるを得ない立場の世襲でない候補者とは対照的で、それでも、この2人の映像が何度も流されたのは、これらの世襲議員には裏で何かの力が働いていたからにほかならない。そして、日本の政治は、こうやって世襲議員を大量に当選させ、大臣や総理大臣にしていく仕組みになっているが、これでよい筈はないのだ。

 それでは何故、世襲議員が当選に有利かと言えば、下のような理由がある。
  1)先代の後援会や慣れた秘書などの地盤を引き継ぐため、有力な選挙基盤が最初からある
  2)先代の地盤には、地元の首長・県議・市議などに先代の親派が多いため、候補者調整や
    選挙応援で有力である
  3)小選挙区では、地元への利益誘導が重要であるため、1)2)の総合力が力を発揮する

 では、これでいいのかと言えば、一般に一代目より二代目、三代目となるにつれ、世の中に矛盾を感じてそれを変えるために政治家になろうと志した人ではなくなるため、人物が小さくなってよくない。では、どういう選挙制度にすればよいのかと言えば、数を減らせばマイノリティーの政党や女性当選者が減って多様性が減るという副作用があり、国民にとっては数を減らせばよいわけでもない。

 そこで、私は、衆議院は、小選挙区制か中選挙区制で比較的狭い範囲の地域を地元として、地域の代表を議員として選び、これをチェックする立場の参議院は、狭い地元への利益誘導よりも国全体の視点を重視させるとともに一票の格差を完全になくすため、全員を全国区の得標順にするのがよいと考える。ただ、こうしても、本当に政治家にすべき人が選ばれるか否かは、やはり有権者と有権者に正確な情報を流すべきメディアの見識次第になる。

<民主主義と今回の総選挙について>
*1-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H1E_U4A211C1PE1000/
(日経新聞 2014/12/15) 漂う有権者 半数が棄権 無党派層は分散、組織政党有利に
 衆院選は与党がひとまず勝利をおさめた。安倍晋三首相が有権者から一定の期待を集める一方、野党は政権批判票を多く取り込めなかった。有権者の関心が高まらず、投票率は過去最低を更新。有権者の半数が棄権する状況は、組織力で勝る自民や公明、共産各党に有利に働いた。特定の支持政党を持たない無党派層の多くは棄権したとみられるが、1票を投じた無党派層は分散した。現行の小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降、自民が最も多い議席を得たのは小泉純一郎首相時代の2005年衆院選の296議席だった。情勢調査ではそれに迫る勢いを一時示していた自民だが、結局は公示前勢力を下回った。それでも政権側は信任されたという認識だ。菅義偉官房長官は14日夜のTBS番組で「私どもは当然(信任を)受けたと思っている」と述べた。減らしたとはいえ、291の獲得議席は過去の衆院選と比較しても高い水準にはある。各選挙区で1人しか当選できない小選挙区制は、得票率の差はわずかでも勝敗を大きく分ける。自民の小選挙区の得票率は約48%だが、全295選挙区の約76%の議席を確保した。野党の得票率は民主党が2割強、共産が1割強、維新の党が1割弱。05年、09年、12年と4回連続で1党に大きく振れる「雪崩」現象を招いた。与党勝利を後押ししたのは投票率の低下だ。小選挙区の投票率は過去最低だった前回12年の59.32%を下回る見通しで、組織型政党に追い風になった。企業・団体や個人後援会を基盤とする自民のほか、創価学会を支持母体とする公明や、固い支持層を持つ共産はいずれも好調な戦いだった。なぜ投票率が低かったのか。東大の境家史郎准教授(政治学)は「有権者の投票参加につながるような明確な争点や対立軸がなかった。安倍政権が争点に掲げた消費増税延期の是非も主要政党に大きな差はなかった」と指摘する。報道各社の情勢調査で自民の優勢が伝わり、政権交代の可能性が低いとみた有権者が投票意欲を一層低下させた、との見方も示す。今回の衆院選はインターネットを使った選挙運動の解禁後、補欠選挙を除いて初めての衆院選になった。13年参院選に続いて若年層の関心が高まるのか注目されたものの、効果は限定的だったとみられる。無党派層はどう動いたのか。投票行動論が専門の早稲田大の田中愛治教授は「多くが投票に行かなかった公算が大きい。無党派層はあまり風を起こさなかった」とみる。自民に無党派層を引き付ける力は弱い。民主政権時に味わった民主への失望は有権者の意識に残り、維新は前身の日本維新の会が分裂するなど、第三極の離合集散にも不信を抱いていると分析する。共同通信社の出口調査で「支持政党なし」と答えた無党派層に投票先を聞いたところ比例代表で21.1%が自民に投票した。民主は20.8%、維新は21.7%、共産は17.7%だった。公明7.4%、次世代の党3.9%、社民党3.2%、生活の党2.9%と続いた。小選挙区では自民31.7%、民主28.5%、共産18.8%、維新11.2%の順だった。自民は無党派層からも一定の票を獲得した。ただ、投票所に足を運び、自民を選んだ無党派層は「ほかよりはまし」という消極的な理由だった可能性がある。比例代表での政権批判票の「受け皿」は民主、維新、共産に分散した。無党派層を頼った民主は思うようには取り込めなかった。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141215&ng=DGKKZO80907900V11C14A2PE1000 (日経新聞 2014.12.15) 民主主義 迫る危機 投票率低迷、政治に不信
 衆院選の投票率が過去最低に落ち込む見通しになった。投票したくても、1票を投じたい政党や候補者が見つからない。有権者の多くはそんな政治不信を抱き、漂流している。議会制民主主義の正統性を揺るがしかねない危機が迫っている。棄権した人にはそれぞれの事情があるだろう。だが、議会制民主主義は、主権を持つ国民が選挙に参加して代表を議会に送ることで、民意が国政に反映される仕組みだ。憲法の規定で参院より優越される衆院で、投票率が50%に近づいたのは、極めて深刻な事態といえる。投票率は若い世代ほど低くなる傾向があり、今回も若者の投票率が一段と下がった可能性がある。投票所に足を運んだ割合の大きい高齢者を政党や政治家が政策決定などで配慮する「シルバー民主主義」の恐れが強まる。高齢者の既得権益が守られ、大胆な社会保障改革に踏み込みにくくなれば、ツケを払わされるのは投票に行かなかった若者だ。消費税率引き上げを延期する是非を問いかけて衆院解散・総選挙に踏み切った安倍晋三首相に、有権者が「解散の大義が分からない」と戸惑ったのは事実だ。だが、自民党に代わる政権の選択肢を示せなかった野党、とりわけ民主党が問われる責任は重い。小選挙区制を主体とした衆院選は本来、政権と首相を有権者が選択する選挙である。それなのに民主は候補者が198人と過半数(238)にも届かず、政権交代を目指す目標を早々とあきらめてしまった。政権交代につながる可能性のある野党第1党がなければ、選挙が緊迫感を欠くのは当たり前だ。野党が再生しなければ、日本の民主主義それ自体が漂いかねない。特定の支持政党を持たない「無党派層」の膨張に政治家はより危機感を抱くべきだろう。日本経済新聞社の世論調査では、7月に全体の47%に達し、かつてない水準にまで高まっていた。既存政党への警鐘は鳴らされていた。主要政党は投票年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げることにしている。投票率を上げようと有権者や将来の有権者である子どもたちへのキャンペーンを強めたり、投票所を増やしたりする提言が浮かぶ。しかし、こうした努力をいくらやったとしても、政党側の魅力が乏しいままならば、有権者が投票に行かなくなる問題の根源は解消しない。

*1-3:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201412/0007586579.shtml
(神戸新聞 2014/12/16) 安倍政権継続/民意をはき違えては困る
衆院選から一夜明け、引き続き政権を担う安倍晋三首相が会見した。与党圧勝の選挙結果について「アベノミクスをさらに前進せよ、との国民の声だ」と述べ、政権が信任を得たとの認識を強調した。不意打ちの解散を仕掛け、経済政策の単一争点化に成功し、全議席の3分の2を超える巨大与党を維持した。思惑通りの展開といえるだろう。来年9月の自民党総裁選で再選され、さらに3年間政権を担うとの見方が有力だ。長期政権を視野に入れる首相にとって、最大の政治課題が安全保障法制の見直しであり、憲法改正であることは間違いない。案の定、会見では集団的自衛権の行使容認と関連法整備にも「国民の支持を得た」と主張し、憲法改正にあらためて意欲を示した。だが、いずれも選挙戦では与党が深入りを避けてきた問題だ。自民党の公約に「集団的自衛権」の文言はない。菅義偉官房長官は解散直前、行使を認める閣議決定や特定秘密保護法の是非については争点化に消極的だった。世論を二分する重要政策を正面から問わず、選挙に勝ってしまえば思い通りにできるかのように振る舞うのは国民を欺くことになる。民意をはき違えてはならない。自民候補が小選挙区で全敗した沖縄県の選挙結果を、首相がどう受け止めるかも焦点だろう。政府が進める米軍普天間飛行場の辺野古移設に対して県民ははっきり「ノー」の意思表示をした。だが首相は「唯一の解決策であり、考えに変化はない」とし、移設を進める構えを崩さなかった。地域の民意を無視して強引に突き進めば、問題はこじれ、世論の反発を招いて政権の致命傷になりかねない。一度立ち止まり、異論にも耳を傾ける姿勢が要る。今回の選挙で国民の多くが求めたのは「景気回復」である。首相は宿願達成に前のめりにならず、約束した経済対策に全力を挙げるべきだ。安倍政権を暴走させないためには野党の立て直しが急務だ。野党第1党の民主党の責任は大きい。海江田万里代表は議席を失い辞任を表明した。後任選びとともに安倍政権への対抗軸を明確にする必要がある。党内の議論を尽くし、国民の信頼回復に努めねばならない。

<この発言の本音はジェンダーである>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/133847
(佐賀新聞 2014年12月9日)麻生氏が釈明「誤解招いた」、産まない発言、菅氏擁護
 麻生太郎副総理兼財務相は9日の閣議後の記者会見で、少子高齢化に伴う社会保障費増に絡み「子どもを産まないのが問題だ」とした発言に関し「誤解を招いた」と述べ、不適切な表現だったとの認識を示した。麻生氏の釈明を受け、菅義偉官房長官は「全く問題ない」と擁護したが、上川陽子法相は「閣僚はいかなる状況でも、理解してもらえる発言をすべきだ」と苦言を呈した。麻生氏は、保育施設などの不足で産みたくても産めないのが問題との趣旨だったと釈明し「きちんと説明するのを省いてしまった。時間をかけるべきだった」と述べた。

*2-2: http://digital.asahi.com/articles/ASGDL52NJGDLULFA01Q.html?_requesturl=articles%2FASGDL52NJGDLULFA01Q.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGDL52NJGDLULFA01Q (朝日新聞 2014年12月19日) 人口1億人維持には… 「40年に出生率2.07必要」
 政府の人口減対策と地方創生の方針となる「長期ビジョン」と、2020年までの施策を盛り込んだ「総合戦略」の原案が明らかになった。1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数である合計特殊出生率を1・8まで引き上げることが「まず目指すべき水準」と明記し、2030年に達成する想定にした。政府が目標に掲げる「50年後に総人口1億人」が確保される出生率の推計として「2040年に2・07」との仮定も示した。政府は出生率を「数値目標」とは位置づけていないが、達成水準を数値で示すことは有識者から「出産の押しつけ」といった指摘もあり、議論を呼びそうだ。13年の出生率は1・43だった。ビジョンの原案では、出生率について「若い世代の結婚・子育ての希望が実現すれば、1・8程度の水準まで向上することが見込まれる」と説明した。「子供を何人欲しいか」という厚生労働省の調査結果をもとにした民間の試算を参考に、政府が算出した数字だ。また、人口規模が長期的に維持される「人口置換水準」(現在は2・07)についても、「将来いつかの時点で回復することが必須の条件」とした。そのうえで、出生率が30~40年ごろに人口置換水準まで回復すれば、「50年後の60年に総人口1億人」が確保されるとのシナリオを示した。その推計で、出生率が「20年に1・6、30年に1・8、40年に2・07が達成されるケース」と仮定していることにも触れた。ただ、数値明記への批判にも配慮して「結婚や出産はあくまでも個人の自由な決定に基づくもので、個々人の決定にプレッシャーを与えるようなことがあってはならない」とも記した。ビジョンは人口減で「究極的には国としての持続性すら危うくなる」と危機感を表明。人口減に歯止めをかける「積極戦略」と、人口減に対応した社会に再構築する「調整戦略」を同時に進める方針を示した。とりわけ①東京一極集中の是正②若い世代の就労、結婚、子育ての希望の実現③地域特性に即した課題解決――に取り組むとした。「総合戦略」の原案はその具体策として、地方が自由に使える交付金の創設といった施策と、「地方への人材還流と人材育成を20年までに10万人」などとする数値目標を盛り込んだ。


PS(2014.12.21追加):下のグラフのように、今回の総選挙の投票率は59.32%で戦後最低であることが問題だとする論調が多い。しかし、投票率は、①1928年の男子普通選挙導入時にそれまでの85~95%から75~85%くらいに下がり ②1945年の男女普通選挙実現時に70~75%くらいに下がり ③小選挙区制導入後、60~70%の間を推移していたが、最近、また下がったのである。これを世代毎にみると、若い世代ほど投票率が低く、①②から「母集団の増加とともに棄権する人は増えるが、普通選挙の有難味がわかっている世代は投票に行く確率が高い」、③から「小選挙区制による無力感と支持政党なしという理由が加わった」「普通選挙の有難味を意識しない世代の割合が増えた」と分析できる。
 基本的には、*3の日本国憲法に書かれているとおり、選挙権は権利であって義務ではないため、棄権するのは自由である。しかし、「政治にかかわらないのが美徳でスマート」という主権在民とは相いれない価値観が広く存在するのは問題であり、これらの人々は国や地方自治体の意志決定を他人に委ねているわけだ。そのため、オーストラリアのように、こういう価値観がなくなるまで、例えば10年という時限立法で、やむを得ない理由がないのに選挙権を棄権した人からは1人1万円の罰金をとる方法が考えられる。そうすると、総選挙の場合は、約5000万人の有権者のうち約1500~2000万人が棄権し、1500~2000億円の収入がある。2回連続して棄権すれば2万円、3回連続して棄権すれば3万円と値上げしてもよい。そして、この収入を選挙費や民主主義のコストに充てるのはどうだろうか。もちろん、地方自治体の選挙については、罰金はその地方自治体の収入にすべきだろう。

   

*3:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html (日本国憲法)
第十五条  ①公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 ②すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。 ③公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。 ④すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。


PS(2014.12.24追加):*4の論調は、①高齢者から若年層への世代間資産移転を促す税優遇制度の拡大を行い、個人消費の活性化に繋げる ②非課税贈与制度の拡充で消費増税後に低迷する住宅市場のてこ入れを図る ③この税制改正で、個人金融資産1650兆円の大半を持つ高齢者から消費が旺盛な若年層に資産を移し消費拡大に繋げる という内容で、自民党内部の会議でよく発言されるものだが、私は、これは、金持ちか世襲の男性議員が大半を占めるからこそ出てくる政策の間違いだと思う。
 何故なら、①については、若年層のみ個人消費が盛んであるように思っており、高齢者は通常の消費の上に医療・介護・家事支援などの新たな消費を大きな金額で必要とするという一般消費の実態を理解していない、また、②のように、消費税増税と産業の支援しか考えておらず、生活向上の視点がない、さらに、③のように、高齢者が個人金融資産1650兆円の大半を持つため、高齢者から若年層に資産を移せば消費拡大に繋がるという程度の考慮しかない からである。
 しかし、高齢者が個人金融資産を持っているのは、働けなくなってから医療・介護で多額の支出が生じるため必要に迫られてのことであり、普通は、それは働ける期間にこつこつと貯めてきたものだ。にもかかわらず、「高齢者は個人金融資産の大半を持つから、高齢者から若年層に資産を移せ」というのは、余程の金持ちで自らは介護サービスを必要とせず、親から低い相続税・贈与税で金をもらうことしか考えず、生涯所得・消費・貯蓄の関係については考えたこともない人にしか思いつかない愚策である。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141224&ng=DGKKASFS23H2E_T21C14A2NN1000 (日経新聞 2014.12.24) 若者に資産移転 消費促す、子育て贈与非課税/子ども版NISA 税制改正作業が大詰め
 2015年度税制改正の議論が大詰めを迎えている。子育て資金の贈与を非課税にする制度や子ども版の少額投資非課税制度(NISA)など、高齢者から若年層に資産移転を促す仕組みを盛り込み、個人消費の活性化につなげる。法人実効税率は15年度の引き下げ幅を2.4%台にする方向で最終調整を進める。自民、公明両党の税制調査会は30日に税制改正大綱をまとめる。15年度改正の柱の一つは、世代間移転を促す税優遇制度の拡大だ。子や孫に教育資金を一括贈与した場合、1人あたり1500万円まで贈与税が非課税になる制度の期限を15年末から18年度末まで延長する。入学金や授業料などに限っていた使い道も、留学渡航費や定期券代などに広げる。少子化対策として20歳以上の子や孫に結婚、出産、子育てに使う資金を贈与した際の非課税制度も15年度に創設する。期限は18年度末。株式投資などの運用益が非課税になるNISAは16年から子ども版をつくる。親や祖父母が20歳未満の子や孫の代理で専用口座を作って投資する場合、年80万円までの投資が非課税になる。非課税の贈与制度で消費増税後に低迷する住宅市場のてこ入れも図る。最大1000万円まで認めている住宅資金の非課税贈与制度は15年から最大1500万円に拡充。17年4月に予定する消費再増税に向け、最大3000万円に拡充する案も検討している。こうした税制改正を通じ、個人金融資産1650兆円の大半を持つ高齢者から、消費が旺盛な若年層に資産を移し、消費拡大につなげる。消費喚起策では、急増する外国人旅行者が免税店を使いやすくなる仕組みも導入する。店舗ごとに必要だった免税手続きをショッピングセンターや商店街では1カ所で済ませられるようにする。外航クルーズ船の寄港に合わせて仮設の免税店を出す場合の手続きも簡素化する。安倍政権の成長戦略の柱で、最大の懸案だった法人税改革も盛り込む。現在35.64%(東京都)の法人実効税率を15年度は33%台に下げる方向で調整。所得ではなく給与総額などを基に課税する外形標準課税の拡大など大企業への課税強化で財源を確保する。企業が関連会社から受け取る配当への課税強化や研究開発減税の縮小も進める。初年度の税率の下げ幅を大きくする先行減税で企業の負担を減らす。

| 民主主義・選挙・その他::2014.12~2020.9 | 04:27 PM | comments (x) | trackback (x) |

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