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2016.8.2 政府の経済政策と日本の産業の低付加価値の問題(2016年8月5、6、7、8、9日追加)
     
  2016.7.5佐賀新聞     2016.6.15西日本新聞        2016.7.29佐賀新聞               

(1)金融緩和・物価上昇と国民生活について
 与野党が参院選の経済論争で挙げたデータでは、*1-1のように、自民党は「2013~2015年の国内総生産(GDP)の名目成長率を年平均1.6%に押し上げた」とし、民進党は「同期間の実質成長率は0.6%に留まる」としていた。

 では、名目と実質のどちらが生活者にとって意味のある数字かと言えば、物価変動による貨幣価値の変化を修正した実質の方である。また、貨幣価値(購買力)が下がったのは、大規模な金融緩和で通貨をジャブジャブにしたからで、これによって雇用環境が改善した理由は、2010年を100とすれば、2015年は94.6というように実質賃金が下がったからだ。つまり、日本では、付加価値の低い仕事をして低い実質賃金を受け取ることにより雇用を増やしているため、働いている人も消費を増やせないのだ。

 なお、*1-2、*1-4のように、「デフレ脱却の目安となる2%のインフレ目標の達成が重要だ」とする論調は多いが、それは、インフレにすれば、①国・企業の債務を目減りさせることができる(逆に債権を持っている人は実質債権額が目減りする) ②額面(名目)の賃金カットをせずに実質賃金を下げることができる という理不尽な目的によるものであるため、生活者は騙されてはいけない。

 さらに、*1-3のように、G20は「構造改革の重要な役割を強調しつつ、財政政策が同様に重要である」とし、財務省同行筋は「まさに日本のやろうとしていることと軌を一にしている」と自信を示したそうだが、G20は構造改革の方を重視しているのに対し、日本は構造改革をせずに選挙協力の報償のような生産性を上げない財政支出をしたがるため、国民が付加価値の高い仕事をできるようにはならず、国の借金だけが積み増されるという悪循環に陥っていることも忘れてはならない。

(2)経済対策としての財政出動について
 安倍首相は、*2-1、*2-2のように、「①財政措置の規模で13兆円、事業規模で28兆円を上回る総合的かつ大胆な経済対策を来週に取りまとめたい」「②しっかりと内需を下支えし、景気の回復軌道を一層確かなものにしなければならない」と表明しておられる。

 しかし、①については、1年間の消費税5.2%分の金額を、何のために、どう使い、それによってどういう効果があるのか についての根拠を明らかにしなければ、従来同様、ここにひそかに潜り込ませた不要な支出を否定できず、②からは、本物の投資や需要ではない景気対策のように思われる。

(3)グローバル化と一体化は異なること
 主権を放棄したいかのようにTPPを進めている日本は、*3のように、「英国の欧州連合(EU)からの離脱は世界経済混乱の原因になる」と主張しているが、英国を批判しているその日本は難民を殆ど受け入れていない上、開発途上国からの正規の労働移動にも消極的だ。しかし、私は、難民の受け入れや労働移動は、国によって状況が異なるため、人権を護りながらも、その国独自の判断をしたい場合は当然あると考える。

 では、英国が欧州連合から離脱すればグローバル化に逆行するのかと言えば、グローバル化は、一体化しなくても独立国の政策決定で決められるため、先進国なら他国と一体化しない方が、より進んだ政策を採ることも可能だ。そして、英国は、日本が鎖国していた17世紀から、東インド会社を通じてグローバルに商取引を行っていた国なのである。

(4)年金について

    
 上場企業の年金債務・資産・未積立額     株価の推移(名目)     非正規社員数の推移
       2016.7.26日経新聞       2015.4.10西日本新聞 

 上場企業の年金債務は、*4-1のように、2015年度末で91兆円と過去最大に膨らみ、マイナス金利で積立不足が26兆円になったそうだ。その理由は、年金債務要積立額は支払い時までプラス金利で運用する前提で現在価値に割り引いてきたが、利率が低いほど要積立額が多くなり、マイナス金利では将来支払う金額よりも大きな金額を現在積み立てておかなければならないからである。

 そのわけは、金利が高くて運用環境がよければ年金積立額は年金支払い時までに運用益でかなり増えるが、金利が低かったりマイナス金利になったりすれば、あまり増えないので企業は割引率を下げてより多く積み立てなければならないからだ。同じことは、公的年金、保険、個人資産などでも起こっているため、付加価値の低い生産しかできず、金融緩和で経済を持たせるのは、多方面に迷惑をかけている。

 さらに、*4-2のように、国民年金の納付率は90~100%ではなく、たった63.4%である。この割合では、日本年金機構の管理に甘さがあると言わざるを得ない。また、非正規労働者の増加も、年金保険料を支払えない人を増やしている。さらに、男女の性的役割分担に固執して女性が働きにくい社会を作った結果、専業主婦として三号被保険者となり、保険料の納付を免除されている人も多い。

 その上、*4-3のように、年金資産の運用を行っている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2015年度の運用損失は約5兆3千億円で、GPIFは2014年10月に株式(リスク資産)での運用割合を50%に増やし、昨夏や年明けからの株価下落で赤字を出したそうだ。これについて、政府とGPIFは、「累積では約45兆円の運用益を確保しているので問題ない」としているが、年金資産は短期の売り買いが不要であるため、株式などのリスク資産による運用は50%ではなく20%以下にして80%以上は債権で元本を保証しながら、株式などのリスク資産は高くなって利益が出る時に売却し、安くなった時に購入するという方法で、元本割れさせずに利益を出し続けることも可能なのである。

 従って、年金資産の50%という高い割合で、どういう銘柄の株式を買い、本当に年金資産にプラスになる運用をしたのかどうかも検証が必要だ。

 このようにして、年金生活者にも大きな実質収入減があるため、(泥棒でもしない限り)消費を控えざるをえず、いつまでも本物の需要で市場が満たされないわけである。

<金融緩和・物価上昇と国民生活>
*1-1:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/330380 (佐賀新聞 2016年7月5日) 成長率、雇用など経済論争 際立つデータの違い、参院選で与野党、共に実績を強調
 与野党が参院選の経済論争で挙げるデータの違いが際立っている。自民党は安倍政権3年半の成果として、2013~15年の国内総生産(GDP)の名目成長率を年平均1・6に%押し上げたと強調する。民進党は、同期間の実質成長率は同0・6%にとどまり、民主党政権3年3カ月より低いと反論。両者は共に実績を強調し、アベノミクスの評価は正面からぶつかる。2種類の成長率は、物価変動要素を含めた名目値と、除外した実質値の違いだ。名目値は、給料や物・サービスの値段など見掛けの状態を表すため国民の実感に近く、実質値は真の実力を示すとされる。与党が重視するのは名目値だ。民主党政権時の10~12年の名目成長率は年平均0・3%で、安倍政権になり上がったと胸を張る。名目値が高いのは、物価が上がったため。アベノミクス「三本の矢」による大規模な金融緩和を進めた結果と言えそうだ。民進党は実質値に寄った立場だ。10~12年は東日本大震災の発生もあった上で実質成長率が年平均2・0%あったが、13~15年は半分以下に落ち込んだと指摘。アベノミクスが失敗した証拠だと突き付ける。雇用統計でも与野党は対立する。自民党は参院選公約に(1)就業者数が12年から15年に106万人増加(2)有効求人倍率が24年ぶり高水準で47都道府県全て1を超えた-などと明記。雇用環境が改善したと訴える。野党が問題視するのは、雇用形態だ。こちらも公約に、非正規雇用は03年の34・6%から14年に40・5%へ増加したと明示。12年と15年の比較でも、非正規が167万人増え「雇用が不安定になる一方だ」と指摘する。賃金を巡っても、両者の主張は食い違う。与党は、3年連続2%水準で引き上げを実現したと成果を誇る。企業収益が過去最高の70兆8千億円(15年)に達し「政権から経済団体へ賃上げを働き掛けた。労組のお株を奪う実績だ」と自負する。野党は、物価要素を除いた実質賃金で見れば、安倍政権で連続して減少したと切り捨てる。10年を100とすれば15年は94・6と低迷しているのが実態だと示し「格差が広がり、消費も伸びない」と疑問視した。

*1-2:http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20160430_3.html
(京都新聞社説 2016年4月30日) 物価目標先送り  戦略立て直しが必要だ
 強弁を重ねても手詰まり感は誰の目にも明らかだろう。日銀は、デフレ脱却の目安となる2%の物価上昇目標の達成時期をさらに先送りする一方、金融政策は現状維持を決めた。追加金融緩和を予想していた金融市場では失望売りが広がり、日経平均株価が600円以上急落し、大幅に円高も進んだ。黒田東彦総裁は、追加緩和見送りの理由を2月導入のマイナス金利政策の「効果を見極めるため」としつつ、「2%目標は十分達成できる」と繰り返した。だが足元では景気や物価の低迷が浮き彫りで、家庭や企業、市場とも認識のずれは広がる一方ではないか。目標達成時期の先送りは1年間で実に4回目だ。1月に見直した「2017年度前半」を早くも「17年度中」へ最大で半年延ばした。黒田総裁は「2年で達成」を確約して13年4月に大規模緩和を始めた。任期5年内の達成の瀬戸際に追い込まれた形だが、実現は極めて困難との見方が大勢だ。それでも日銀は追加緩和に動けなかった。「奥の手」のマイナス金利導入でも企業、個人向け融資拡大の効果がいまだ見えず、収益悪化を懸念する金融機関や国民からも反発が根強いからだ。さらに短期間での追加緩和は通貨安誘導だと国際的批判を受けかねない。5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を前に、経済政策での国際協調に水を差すとの政治的配慮もあっただろう。黒田総裁はなお、経済の「前向きな循環は持続している」とするが、説得力を欠く。3月の消費者物価は前年同月比0・3%減と約3年ぶりの下げ幅、家計の実質消費支出も同5・3%の大幅減だ。これまで原油安が目標後退の要因としてきたが、「成長率や賃金改定が下振れした」と景気停滞を認めざるを得なくなっている。必要と判断すれば追加緩和すると強調するが、金融政策だけで景気や物価を上げるのに限界があるのは明白だ。日銀には柔軟に戦略を立て直すことが求められよう。実体経済に即して市場との「対話」がより重要だ。予想外の「サプライズ」で政策効果の最大化を図ってきた手法に陰りが出ている。表向きは強気一辺倒で手の内を明かさぬ姿勢が不信を招き、動揺を広げている面は否めない。政策の狙いと効果を系統的かつ丁寧に説明していく必要がある。政府も金融政策頼みから脱し、景気の鍵を握る内需の底上げや新産業の育成を強めねばならない。

*1-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160725&ng=DGKKZO05206710V20C16A7NN1000 (日経新聞 2016.7.25) 財政・金融 相乗効果探る、政府、経済対策決定へ 日銀にじわり圧力
 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を終え、政府・日銀は来月初めにかけて政策決定の大詰めを迎える。安倍政権の経済政策アベノミクスの再点火へ、財政出動と金融緩和の相乗効果をどう高めるかが焦点だ。G20会議が打ち出した政策総動員を早速試されることになり、国際社会の注目を集める。「構造改革の重要な役割を強調しつつ、財政政策が同様に重要である」。24日採択した共同声明はそう強調した。麻生太郎財務相は財政出動について「政府内で検討しているところ」と発言。財務省同行筋は「まさに日本のやろうとしていることと軌を一にしている」と自信を示した。7月10日の参院選勝利を受けて安倍晋三首相は経済対策の策定を指示。政府は来月初めの決定へ調整を進めている。財務省幹部は首相が休暇中の先週も首相官邸や与党に頻繁に足を運んだ。「最大限にふかす」という首相の意向をふまえて、事業規模は総額20兆~30兆円に膨らむとの見方が足元で強まっている。日銀は政府の経済対策と相前後する7月28~29日に金融政策決定会合を開く。黒田東彦総裁は成都で「経済は緩やかな回復過程にある」「賃金・物価が緩やかに上昇していくメカニズムは続いている」と指摘。その上で「必要ならば追加的な金融緩和措置を講じる」と選択の余地を残した。最近の金融市場は政府・日銀の政策の先行きに敏感な展開。先週も黒田総裁の発言で円高が進む場面があった。第2次安倍政権は発足当初に財政出動を膨らませ、黒田日銀による異次元金融緩和を引き出した。「その当時の手法や雰囲気を連想させる」(ある財務省OB)との認識が市場の期待を高めている。財務省や日銀にとって4月の金融政策決定会合が苦い記憶になっている。直前の観測報道で追加緩和の期待が盛り上がったぶん、政策現状維持で市場の失望を誘い円高が加速した。麻生氏の円高をけん制する“口先介入”が米国の反感を買い、日米通貨当局の応酬につながった。4月との大きな違いは財務省の日銀への視線にある。最近は「日銀は今回は何かやるだろう」と観測めかして日銀の追加緩和を促す財務省幹部が複数いる。日銀は市場と財務省からの期待や圧力を背負って決定会合に臨むことになる。

*1-4:http://qbiz.jp/article/91536/1/
(西日本新聞 2016年7月29日) 日銀、追加金融緩和 脱デフレへ政府と協調
 日銀は29日、金融政策決定会合を開き、追加金融緩和を賛成多数で決めた。上場投資信託(ETF)の購入額を現行の年3・3兆円から6兆円に増やす。円高や消費低迷で物価の上昇基調が揺らぎ、デフレ脱却には政策強化が必要と判断した。黒田東彦総裁は、次回の金融政策決定会合で経済・物価動向や政策効果について、総括的な検証を行う準備をするよう日銀執行部に指示した。日銀は会合後、政府の経済対策と「相乗的な効果を発揮する」との認識も示した。決定を受けて金融市場では緩和が小規模だとして失望感が広がり、円相場は一時1ドル=102円台に上昇、日経平均株価も乱高下した。「2年程度で2%の物価上昇目標を達成」を宣言した黒田総裁の就任から3年余りで3回目の追加緩和となる。緩和策の効果を疑問視する見方が広がっており、実際に景気を押し上げて脱デフレを達成する効果があるかは未知数だ。ETF買い入れ増額には、9人の政策委員のうち7人が賛成、2人が反対した。英国の欧州連合(EU)離脱問題などで、金融市場で不安が高まっていることからドル資金供給を120億ドルから240億ドルに拡大することを決めた。民間銀行が日銀に預ける資金の一部に手数料を課すマイナス金利政策は、金融機関の収益悪化につながるとして反発が依然として根強い。このためマイナス金利の一段の引き下げは見送り、年0・1%で据え置いた。この日発表された6月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比0・5%下落と4カ月連続のマイナスで、目標から大きくかけ離れている。英離脱問題で、消費者や企業の心理が慎重になることへの危機感も日銀内で強まった。国内景気の現状判断は「基調としては緩やかな回復を続けている」と据え置いた。2016年度の物価見通しは引き下げた。

<財政出動>
*2-1:http://qbiz.jp/article/91413/1/ (西日本新聞 2016年7月28日) 経済対策 事業規模28兆円超 首相表明、財政措置は13兆円
 安倍晋三首相は27日、福岡市で講演し、近く策定する経済対策について「財政措置の規模で13兆円、事業規模で28兆円を上回る、総合的かつ大胆な経済対策を来週取りまとめたい」と表明した。8月2日にも閣議決定する。一部はその後に編成する本年度第2次補正予算案に盛り込み、秋の臨時国会で成立を目指す。首相はこの日、同市で始まった「一億総活躍・地方創生 全国大会in九州」に出席した。経済対策に関しては「しっかりと内需を下支えし、景気の回復軌道を一層確かなものにするものでなければならない」と指摘。外国クルーズ船が着岸する港湾の整備や農水産物の輸出促進、子育てや介護と仕事の両立などを列挙し、「経済対策のキーワードは未来への投資。力強いスタートを切る」と意欲を語った。熊本地震の復興をめぐっては、参院選の公示日に熊本城前で第一声を上げたことに触れた上で「熊本城が威風堂々たる姿を取り戻す日まで復興に全力を尽くす。その決意を新たにした」と強調。「今後、住まいの復興、なりわいの復興を一層加速させる必要がある」との考えを示した。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/338816 (佐賀新聞 2016年7月29日) 低所得者に1万5000円 対象2200万人、国債増発で公共事業 政府経済対策
 政府、与党は28日、経済対策を大筋で取りまとめ、低所得者に1万5千円を給付する方針を固めた。対象は2200万人。対策全体の追加歳出は地方自治体分を含めて7兆円程度とし、うち2016年度第2次補正予算案への計上額は2兆円台後半で調整する。財源が不足するため借金(建設国債)を積み増して公共事業を行い「アベノミクス」を加速する。金融政策決定会合を29日まで2日間開く日銀と一体で経済の底上げを目指す。年度途中での国債増発は4年ぶり。民間支出や融資をかき集めて事業費を28兆円超に膨らませる苦肉の策となる。財政、金融政策とも限界論が指摘される中、効果に見合わない財政リスクが蓄積されるとの懸念が現実味を増してきた。政府は28日、自民、公明両党に対策案を示し、大筋で了承を得た。この日の提示には事業の規模や予算額を含んでいない。細部を詰めた上で8月2日に閣議決定し、9月召集の臨時国会に補正予算案を提出する。低所得者への現金給付は最低賃金引き上げなどと合わせて家計を支え、消費を底上げするのが狙い。消費税増税の負担軽減策として16年度末までの予定で年6千円を給付した「簡素な給付措置」を引き継ぐ。消費税率10%への増税を2年半延期するのに伴い、2年半分に当たる1万5千円を一括給付する形に改めて消費を喚起する。現行制度と同様、住民税非課税の人を対象とする方針だ。政府は給付額を1万円に抑えることも検討したが、現行水準を下回ることに公明党が反発、1万5千円で決着した。対策案では1億総活躍社会の実現を目指し、保育士や介護人材の処遇を改善。労使が負担する雇用保険料も軽減する。無年金者救済策として、年金受給資格を得られる加入期間を現行の25年から10年へと短縮する。防災対策などの公共事業を行うほか、財政投融資を活用してリニア中央新幹線の大阪延伸を最大8年前倒しし、整備新幹線の建設を加速する。日銀は金融政策決定会合で追加金融緩和の是非を検討し、29日に決定内容を公表する。政府、与党内には経済対策との相乗効果を求め、追加緩和を期待する声がある。

<グローバル化と一体化は異なる>
*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160725&ng=DGKKASDF24H0T_U6A720C1MM8000 (日経新聞 2016.7.25) EU離脱の混乱回避へ連携 G20財務相会議 政策総動員を確認
 日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は24日、英国の欧州連合(EU)からの離脱で世界経済が混乱しないように連携していく方針を打ち出した。世界経済の不確実性が高まっており、各国は政策を総動員すると再確認した。為替問題では「通貨の競争的な切り下げを回避する」と改めて指摘した。G20財務相会議は、英国が6月23日の国民投票でEUからの離脱を決めてから初めて。同問題で金融市場も不安定な動きをしており、今回の会議で最大の議題となった。24日公表した共同声明では世界経済について「回復は続いているが、期待していたほどではない。下振れリスクが残る」と分析。その原因として英国のEU離脱のほか、テロ・難民・紛争といった地政学上の問題を挙げた。英国のEU離脱については「G20は積極的に対処する態勢を整えている」と連携を強調。当事者の英国とEUには「緊密なパートナーである姿を望んでいる」と注文を付けた。共同声明の作成には英国も積極的に関わった。会議の主役となった新任のハモンド英財務相は日本、ドイツ、EUなどとの2者会談を重ね、経済の下振れを最小限にとどめたいと説明した。さらに英メディアを通じて秋にも財政政策を景気配慮型に「見直す」と対外発信した。今年2月、同じ中国の上海で開いたG20財務相会議でも景気の不透明感が指摘され、各国が政策を総動員すると表明。今回も持続的な成長に向けて「金融、財政、構造政策を総動員する」と確認したが、世界経済の状況は様変わりした。当時は中国の景気減速に対する懸念が強かったが、いまは政治・地政学リスクに焦点があたっている。財務相らは「テロ資金供与のすべての資金源、技術と戦っていく」と強調。難民問題では米国のルー財務長官が「あらゆるところで難民問題が大きなインパクトを与えている」と懸念を示した。米欧諸国は議長国の中国に対し、鉄鋼の過剰生産能力問題に対応するように迫り、共同声明には「世界的課題」と盛り込まれた。

<年金>
*4-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160726&ng=DGKKASGD25H4W_V20C16A7MM8000 (日経新聞 2016.7.26) 金債務最大 上場3600社で91兆円、昨年度末、マイナス金利で膨張 積み立て不足26兆円、重荷に
 上場企業の年金債務(総合2面きょうのことば)が2015年度末で91兆円と過去最大に膨らんだ。年金債務は企業が年金・退職金を支払うために現時点でどれだけ蓄えておくべきかを示す。日銀のマイナス金利政策の影響で金利水準が全般に下がって運用環境が悪化し、年金債務を厳しく見積もらないといけなくなった。この結果、企業年金の未積立額は26兆円に拡大し、業績の重荷になるのが避けられない情勢だ。このほど出そろった有価証券報告書をもとに、3642社(金融含む)を集計した。年金債務は前の年度末比で5.1%増え、91兆2151億円に達した。年金債務を算出する際は金利水準に応じて調整を加える。運用環境の変化を織り込む会計処理だ。金利が高ければ運用で資産を増やしやすいので、将来の年金などの支払額に比べて現時点で用意すべき額は小さく見積もる。反対に金利低下が進むと多めに準備しておく必要があると見なし、年金債務は増加する。年金債務を調整するための利率を「割引率」と呼ぶ。上場企業の割引率は15年度に平均で0.863%と過去最低になった。マイナス金利政策を受けて10年物国債の利回りがマイナス圏まで落ち込み、企業は割引率を下げざるを得なかった。トヨタ自動車は国内年金で割引率を0.5%に下げ、年金債務は1兆9121億円と1909億円増えた。東武ストアなど31社はマイナスまで引き下げた。割引率がマイナスだと年金債務は将来の年金などの支払額よりも大きくなる。年金の運用資産は株安・円高が響いて65兆2380億円と7年ぶりに減った。この結果、年金債務と運用資産との差額である未積立額は25兆9770億円と4年ぶりに増加。日本では未積立額のうち割引率低下や運用悪化による部分は一定期間内に年金費用として計上する必要がある。年金債務の増加は会計上の処理だが、企業業績には実際に悪影響が及ぶ。ヤマトホールディングスは割引率引き下げに伴って30億円費用が増え、17年3月期の営業利益は7%減となる想定だ。東京ガスも割引率を下げたことで240億円の費用を今期に計上する。未積み立て分は負債としても計上する必要があるため、自己資本比率の低い企業などでは年金債務の負担で財務悪化が加速する恐れもある。野村証券の西山賢吾氏は「マイナス金利の長期化で、未積立額は16年度以降も拡大する可能性がある」と分析している。

*4-2:http://mainichi.jp/articles/20160701/k00/00m/040/069000c
(毎日新聞 2016年6月30日) 国民年金、.納付63.4%…15年度 情報流出で伸び鈍化
 厚生労働省は30日、2015年度の国民年金保険料納付率が63.4%となり、前年度より0.3ポイント改善したと発表した。納付率の上昇は4年連続だが、昨年6月に日本年金機構の加入者情報の流出問題が起き、滞納者対策が遅れたため、改善の幅は前年度(2.2ポイント)に比べて鈍化した。年金機構は保険料の収納業務を担い、納付率向上を目指して特別催告状の送付や戸別訪問などによって納付を促している。しかし、情報流出後はこれらの督促業務が一時中断していた。20〜59歳の年代別納付率をみると、20〜24歳は前年度比0.33ポイント減の58.94%、50〜54歳は同0.1ポイント減の67.27%だった。その他の年代は同0.3〜0.9ポイント改善した。また、保険料を滞納した場合、過去2年分の追納ができ、追納分を含めた13年度の最終納付率が70.1%になった。70%台を回復するのは7年ぶり。13年度末時点からは9.2ポイント上昇し、最終納付率の統計を取り始めた02年度以降、過去最高の伸び幅だった。

*4-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/338942
(佐賀新聞 2016年7月29日) 年金運用損失5.3兆円 2015年度
 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2015年度の運用損失が約5兆3千億円だったことが28日、分かった。GPIFは14年10月に株式の運用割合を増やしており、昨夏や年明けからの株価下落が響き、5年ぶりの赤字となった。損失額はリーマン・ショックを受けた08年度より後では最大。GPIFが29日に発表する。政府とGPIFは、市場運用を始めた01年度から累積では約45兆円の運用益を確保していることを強調。「年金積立金は長期的な視点で運用しており、短期的な変動にとらわれるべきではない」としている。GPIFは14年10月、積立金を株価浮揚に活用したい政府の意向も踏まえて運用資産の構成割合を変更した。国内外の株式の目安を計50%に引き上げたため、15年度は株安の影響を大きく受けて損失が膨らんだ。株式市場は本年度に入ってからも、株価が乱高下するなど不安定な状況。国内債券でも利益を得ることが難しくなっており運用環境は厳しい。今回の運用実績の発表は例年より3週間ほど遅く、野党は「参院選前に損失を明らかにしたくなかった政権の情報隠しだ」と批判している。
■年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 国民年金や厚生年金の保険料収入の余剰分を積立金として管理し、市場に投資して運用する。厚生労働省の所管で2006年に設立された。前身は年金資金運用基金。債券や株式などにどうお金を振り分けるかという資産構成割合は、外部の専門家らで組織する運用委員会で協議して理事長が決める。政府は理事長に権限が集中する体制を改め、重要事項は合議制で決めることなどを盛り込んだ年金関連法案を先の通常国会に提出したが、継続審議となっている。


PS(2016年8月5日追加):これは、低金利と金融緩和が国民資産に悪影響を与えている事例だが、現在、退職給付会計を使って比較的正確に退職給付債務を計算しているのは上場企業だけで、その他の企業や公的年金は不足額の把握すらできていないため、全年金の積立不足額が25兆円超だと考えたら甘い。そのため、まず、その他の企業や公的年金についても退職給付会計を使って退職給付債務を正確に把握すべきだ。

*5:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/341503
(佐賀新聞 2016年8月5日) 年金積み立て不足、25兆円超、マイナス金利響き、15年度末
 年金や退職金を支払うために用意しておくべき「退職給付債務」の上場企業の積み立て不足額が15年度末時点で約25兆6千億円に上り、不足額が前年度末から約7兆7千億円増えたことが、野村証券の集計で5日分かった。日銀が導入したマイナス金利政策の影響で長期金利が下がったり、株価が下落したりして期待できる運用利回りが低くなったことが響いた。積み立て不足が深刻化すれば、企業収益を圧迫し財務体質の悪化につながる。企業が給付水準を保障する確定給付型の年金制度の維持が難しくなり、確定拠出年金など、従業員がより運用リスクを負う方向に企業年金の制度見直しが進む可能性もある。


PS(2016年8月6日追加):佐賀県のJAは、*6のようにアクションが速いのはよいが、年金は、老後確実にもらえるのが最もよいサービスであるため、これを実現するには、(例えば「九州農業者年金」のように)合併などで年金の規模を大きくして上場企業と同じ会計処理や管理を行うのがお薦めだ。それには、農協を担当している監査法人もやり方を熟知しているため相談すればよい。また、「農業に従事すれば、年金も含めて一生困らない」という環境を作れば、質の良い後継者候補が増えることは間違いない。

*6:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/341702
(佐賀新聞 2016年8月6日) JA年金友の会 会員3%増目標、佐賀市で県大会
 年金をJAバンク口座で受給する利用者でつくる「JA年金友の会」の県大会が、佐賀市文化会館であった。2015年度末の会員数は前年同期比1183人増の6万6294人、振込額は同17億4500万円増の639億3千万円で、本年度中に会員を3%増やす目標や会員同士の親睦事業の活発化を確認した。年金受給者が増える中、JAバンク佐賀は地方銀行やゆうちょ銀行などとの競争激化を念頭に、会員増強運動を展開している。大会で中野吉實会長は「会員同士の交流を図るカラオケ大会など、会員になってよかったと言ってもらえるように顧客サービスを充実したい」とあいさつした。会員増加率が高かった支部の表彰もあり、最優秀賞に輝いたJA佐賀市中央・神野支部の会員代表らが表彰状と副賞を受け取った。


PS(2016年8月7日追加):*7に、「①年金を受け取るのに必要な受給資格期間が、現在の25年から10年に短縮される」「②無年金者の救済策として、政権が来年度中に実施する方針を示した」「③年に約650億円が必要になるが、安定した財源が確保できているとは言えない」「④受給資格期間の短縮は社会保障の充実策」「⑤10%への消費増税に合わせて実施予定だったが、増税先送りで実現が不透明」等と記載されている。
 しかし、①については、25年も保険料を支払わなければ受給資格をもらえないのがおかしなルールなのであり、このルールによって被害を受けたのは子育てで退職せざるをえなかった女性や転職を余儀なくされて他の年金制度に移り、一つの年金制度への加入期間が25年や10年に満たない人である。つまり、25年から10年に受給資格取得期間を縮めるだけで、③のように、年に約650億円も必要になるというのは、日本の年金制度が今まで弱者からこれだけの金額を搾取してきたということだ。しかし、本当は、年金保険料を1年しか支払わなくても、それに見合った年金は受け取れるようにするのが公平であるため、この前提で計算すれば国の不当利得は年間1000億円にも達するだろう。
 また、②については、働いている時には少なからぬ年金保険料を納めているため、受給時に「救済」などと言われるのは不本意であり、支払った年金保険料に見合う年金を受け取るのは当然の権利であって、②の救済や④の社会保障と言う言葉を、(生活保護ではなく)年金に使うのは無理がある。
 そして、⑤のように、いつもの消費増税先送りで実現が不透明などと消費税財源論が書かれているが、税金は消費税だけではない上、景気対策と称するヘリコプターマネーの無駄遣いが多く、年金は国民が税金とは別に年金保険料を支払って加入しているものであるため、国民が支払った年金資産を杜撰にではなく的確に管理・運用して増やし、本来の目的である公平・公正な年金を支払うのが年金保険機構(前は社会保険庁)と厚労省の責任なのである。

*7:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12500401.html
(朝日新聞社説 2016年8月7日) 無年金救済 多様な取り組みで
 年金を受け取るのに必要な受給資格期間が、今の25年から10年に短縮されそうだ。無年金者の救済策として、政権が来年度中に実施する方針を示した。今は保険料を納めた期間が25年に満たないと年金を受け取れないが、そうした人のうち約64万人が新たに年金をもらえるようになると見込まれている。高齢になっても働き続ける必要に迫られるなど、厳しい生活を送る無年金の人には朗報だ。ただ、年に約650億円が必要になる。安定した財源が確保できているとは言いがたい。受給資格期間の短縮は税・社会保障一体改革に盛り込まれた社会保障の充実策で、10%への消費増税に合わせてもともとは昨年10月に実施予定だった。増税先送りで実現が不透明になるなか、先の参院選で自民、公明両党が早期の実施を約束していた。いわば見切り発車である。政権は、消費税率を10%にするまでの当面の財源をやりくりすれば乗り切れると考えているようだが、19年10月に消費増税が必ず実施されると本当に言えるのか。増税から逃げ腰のまま財源が続かなくなり、他の社会保障予算を削って捻出するようなことになれば本末転倒だ。関連法案の審議が予定される秋の臨時国会でしっかり議論してほしい。忘れてならないのは、受給資格期間の短縮は、すべての問題を解決してくれる「特効薬」ではないということだ。例えば年金額の問題がある。国民年金は20歳から60歳まで保険料を納めると毎月6万5千円程度の年金がもらえるが、納付期間が10年にとどまれば年金額もその4分の1になる。「10年間保険料を納めれば年金がもらえる」ことばかりが強調され、10年で保険料納付をやめてしまう人が相次ぐようでは、低年金で生活保護に頼らざるを得なくなる人がむしろ増えかねない。受給資格期間が短くなっても、老後に十分な年金をもらうには長期的に保険料を納める必要があることを周知する。未納者には納付をはたらきかける。そんな取り組みも重要だ。生活が苦しく保険料を納められない人には保険料を免除・猶予する制度の利用を促したい。免除や猶予の期間は受給資格期間に数えられる。一定の条件はあるが、経済的に余裕ができてから免除・猶予期間の保険料を納めて年金額を増やすこともできる。さまざまな制度をフルに活用し、重層的な取り組みを通じて老後の安心を守りたい。


PS(2016年8月8日追加):*8のように、日本では資源は高値で輸入しなければならず、外国への資源投資が不可欠だと考えるのは、経産省の暗愚な思考停止だ。何故なら、①日本にはLNGが多く存在し ②LNGは化学工業にも使え ③輸送コストが小さく ④資源を産出する企業も日本に税金を納め ⑤環境にもよく ⑥乗り物も電動か水素燃料に変えれば化石燃料を輸入する必要がないからである。

*8:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/312897
(佐賀新聞 2016年5月18日) 原油安、将来の供給に懸念 エネ白書
 政府は17日、2015年度版のエネルギー白書を閣議決定した。原油価格の低迷で資源開発への投資が減り、将来の安定供給に懸念が強まっていると指摘し、投資促進の必要性を強調した。液化天然ガス(LNG)の市場改革や、省エネにつながるインフラ輸出や制度作りで国際協力を進め、原油依存からの脱却を世界規模で実現するとした。15年の世界の石油や天然ガス開発投資は約65兆円で、14年と比べて約15兆円減少した。16年も落ち込みが続く見通しだ。生産量を維持するためには年約70兆円の投資が必要だが、資源開発を手掛ける企業の財務基盤は弱っている。企業が必要な資源開発に取り組めるよう、政府が投資資金を安定して供給する必要があると分析した。LNGを巡っては、東京電力福島第1原発事故後に原発が停止し、火力発電の燃料に使うため輸入が急増した。一方、余ったLNGを他国に転売できないなどの商慣行があり、調達費の引き下げを難しくしている。日本はLNGの最大の輸入国という立場を生かし、柔軟で透明な取引市場を構築すべきだとした。


PS(2016年8月10日追加):既に国民は、原発は高リスク・高コストで金食い虫であることを認識しており、現に100%安全どころか公害を出し放題であるのに、*9のように、「再稼働はゴールでなく、スタートだ」などとしているのは、当事者の利益中心で周囲の迷惑を考えない利己的な判断だ。なお、日本の電気料金は、原発が自由に稼働していた頃から世界の中で高い方であった上、電力会社が負担する原発のコストは全体のごく一部であることを忘れてはならない。
 
   
         電気料金国際比較(産業用・家庭用)            太陽光発電のコスト

*9:http://digital.asahi.com/articles/ASJ852S5NJ85TIPE003.html
(朝日新聞 2016年8月9日) 川内原発再稼働、11日で1年 九電の対応が焦点に
 九州電力川内原発(鹿児島県)が再稼働してから11日で1年になる。九電の経営への貢献は大きく、業績は黒字に転換、余った電力の販売攻勢に乗り出した。ただ、原発停止を求める三反園訓・鹿児島県知事の就任で風向きは変化しつつあり、九電の対応が焦点になっている。川内原発は昨年8月、東日本大震災後の新しい規制基準のもとで、全国に先駆けて再稼働した。「再稼働はゴールでなく、スタートだ。今後も安全管理の向上に努めていく」。瓜生道明社長は7月29日の会見で淡々と語った。再稼働は九電の経営改善のスタートにもなった。九電によると、火力発電の燃料代が減り、収益改善効果は毎月100億~130億円。純損益は2015年3月期の1146億円の赤字から、16年3月期は734億円の黒字になった。ボーナスや株主への配当を復活し、役員報酬も増やした。一方で、「本格的な収益力回復は途上」(瓜生社長)として電気料金の値下げは見送っている。九電がホームページで公表する「でんき予報」。当日や1週間の電力需給の見通しを示す。最高気温が35度を超える猛暑日もあるなかで電力需給は連日、「安定」のマークが並ぶ。家庭や企業で節電が定着し、他社からの融通などもあるため再稼働前でも供給に大きな支障はなかった。再稼働後の九電の供給力は全国でも高水準の余力を抱え、余るほどの電気をどう売るかが課題だ。東日本大震災後に節電を呼びかけるなかで自粛した「オール電化」の営業を7月に再開した。4月に電力小売りが自由化されたが、原発がつくる電気の比重が高まる夜間に割安で使えるプランは、新電力に対抗する強力な武器になっている。
■新知事誕生、変わる風向き
 一方、今年4月には熊本地震が起き、7月には鹿児島県知事に三反園氏が就いた。熊本地震後には、川内原発の停止を求めるメールや電話が九電に殺到。安全性への不安の高まりは三反園知事への支持と無縁ではない。「誰も予想していなかった事態だ」と九電首脳は言う。昨年の再稼働に同意した伊藤祐一郎前知事には、九電首脳も「恩義を感じている」という。一転して三反園知事は8月下旬から9月上旬をめどに、九電に一時停止を申し入れる考えだ。今後は九電がどう動くかが焦点。「知事としっかり話をしながら適切に対応したい」(世耕弘成経済産業相)とする政府とともに稼働に理解を求める方針で、「知事の考えが知りたい」と水面下で情報収集を進める。川内原発は、もともと1、2号機とも年内に定期検査で止まる予定だが、知事の同意が得られないと再稼働も長くずれこむ可能性がある。川内に続いては玄海原発(佐賀県)を再稼働させ、「原発効果」をさらに高めることが九電の思惑だ。幹部は警戒する。「川内原発が知事の意向で稼働できない事態になれば、全国のほかの原発にも影響が及びかねない」
■川内原発の再稼働後の主な動き
●2015年
・8月 川内原発1号機が再稼働
・10月 2号機が再稼働
・12月 重大事故時の拠点施設を「免震構造」にする方針を撤回
●2016年
・3月 重大事故時の拠点施設を「耐震構造」にする方針を表明。安全は確保と主張
・4月 熊本地震から1週間で停止を求める電話などが約5千件に
・7月 三反園訓氏が鹿児島県知事に就任
・8月下旬~9月上旬? 三反園知事が九電に停止申し入れ
・10月 1号機が定期検査入りの予定
・12月 2号機が定期検査入りの予定

| 経済・雇用::2015.11~2016.8 | 11:14 PM | comments (x) | trackback (x) |

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