■CALENDAR■
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30     
<<前月 2024年04月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2019.6.10 自民党の参院選公約について (2019年6月11、12、13日追加)
   
  シャクヤク     アジサイ       ハナショウブ      ヒマワリ

(1)外交について
1)北朝鮮
 自民党は、*1-1のように、北朝鮮に対しては、「現在実施している制裁措置の厳格な履行に加え、さらなる制裁の検討を行う」と公約したそうだ。しかし、拉致問題については、選挙前になると拉致被害者家族の話を聞くが、通常は北朝鮮の核保有を批判したり、金正恩氏を(批判というより)口汚く罵ったり、馬鹿にしたり、圧力をかけたりしているため(これは放送・新聞・SNS等を通じて北朝鮮にも同時に配信されている)、拉致被害者を取り戻すことを第一に考えて行動してきたとはとても思えない。

 そのため、(すべてを公表することはできないかも知れないが)拉致被害者を取り戻す明確な戦略を示さない限り、信用できなくなったわけである。

2)北方領土
 北方領土については、安倍首相は対ロ交渉への悪影響を懸念して「固有の領土」との表現を封印されたそうだが、自民党の公約は「北方領土はわが国固有の領土」と明記しており、*1-1のように、それではその矛盾をどうするかについての戦略と道筋を示さなければ、外向きと内向きでは言うことが異なるという主権者を馬鹿にした公約になる。

 そのため、小さな“不正行為”の追及に過度の時間を費やすのは時間の無駄だと思うが、北方領土に関する両国の認識の矛盾とそれを突破する戦略を、首相や外務大臣が放送される委員会で説明することは必要不可欠で、そうでなければ言いっぱなしの公約になる。

(2)改憲について
 自民党の参院選公約は、*1-1のように、「早期の憲法改正を目指す」と記しており、改憲項目は、①9条への自衛隊明記 ②緊急事態対応 ③合区解消 ④教育充実 の4項目を改憲案として記しているそうだ。

 しかし、私は、「他国は何度も改憲しており、外国に押し付けられた憲法だから、改憲自体が必要である」という改憲理由は何度も聞いたことがあるが、上記④に改憲を要する納得できる理由を聞いたことはない。何故なら、④は、教育基本法で既に定められており、不足部分は教育基本法を改正したり、財源を確保したりすればすむことで、改憲は不要だからだ。

 また、③の合区解消も、衆議院・参議院のどちらかは全員比例代表にした方が、同じ方法で選ぶのではないため二重チェックがしやすく、死票も少ない。しかし、あくまでも小選挙区制にこだわるのなら、憲法には「一票の格差」に関わる問題は書かれていないので、合区解消のためには公職選挙法に必要事項を記載すればすむと考える。

 さらに、①については、憲法は自衛権の範囲を定義していないため、個別自衛権なら合憲で集団的自衛権なら違憲とはならない。しかし、安全保障関連法の定め方を見て平和主義の国とはとても思えなかったため、選挙で勝った途端にすべての政策を信任されたと主張して①の改憲を進められては困る。従って、有権者は、冷静で厳しい目を持って公約を見る必要があるわけだ。
 
 最後に、②については、*2に書かれているとおり、非常事態の際に政府に権限を集中させ、国民の権利を制限するという内容が盛り込まれており、これは憲法の基本原則である国民主権や三権分立を停止して行政が何でもできるとするものであるため、暴走するリスクがある。そのため、言われている必要性が妥当であったとしても、それは改憲以外の方法で行うべきだと考える。

 なお、野党連合は、自民党の参院選公約について、*1-2のように、反論している。

*1-1:https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190609/KT190608ETI090009000.php (信濃毎日新聞 2019年6月9日) 自民参院選公約 党総裁の説明を聞きたい
 政権与党として責任のある公約なのか。自民党が参院選の公約を発表した。党総裁である安倍晋三首相が進める「外交」を前面に打ち出したことが特徴である。北朝鮮やロシア外交の行き詰まりが鮮明になる中、政府と異なる方針を打ち出した。安倍首相は党総裁として、理由を説明しなければならない。北朝鮮に対し、現在実施している制裁措置の厳格な履行に加え、「さらなる制裁の検討を行う」と記した。北方領土は「わが国固有の領土」と明記している。安倍首相は無条件での日朝首脳会談開催を目指し、北朝鮮に「圧力を加える」と言及することを避けている。北方領土では対ロ交渉への悪影響を懸念して「固有の領土」との表現は封印中だ。それでも自民党の岸田文雄政調会長は「これまでの政府、与党の方針を踏襲した」としている。野党は衆参両院の予算委員会で、首相に外交方針の変更などについて答弁することを求めてきたのに、与党は予算委の開催を拒否している。首相は詳細を明らかにしないまま、外国向けと国内向けで異なる方針を使い分けるのは無責任である。これまで最重要項目だった経済政策アベノミクスは、主張の2番手に後退させた。景気の後退傾向が出ている中で政策の限界を示している。「強い経済で所得を増やす」と記しているものの具体策は明記されていない。過去の実績をアピールしても、有権者の関心は今後にあるはずだ。現状を分析した上で対策を打ち出すのが筋である。改憲では、首相が掲げる2020年という目標年次の明示を見送り、「早期の憲法改正を目指す」と記した。「野党を刺激しても得にならない」という判断とみられている。さらに9条への自衛隊明記、緊急事態対応、合区解消、教育充実の4項目も党改憲案として記した。一方で改憲が必要な理由や今後の道筋を明らかにしていない。安倍政権は一内閣の判断で憲法解釈を変更して、違憲との批判を顧みないで集団的自衛権行使を容認する安全保障関連法を定めている。立憲民主党など野党は安倍政権下での改憲に反対し、議論に応じていない。具体策を示さないまま、選挙を終えた途端に信任されたと主張して、議論を一方的に進めるのではないか。有権者は厳しい視線で公約を見つめる必要がある。

*1-2:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-06-09/2019060902_04_1.html (赤旗 2019年6月9日) 自民党の参院選公約 5野党との対決鮮明
 自民党が7日発表した参院選公約で、安倍政権と日本共産党など5野党・会派の対決点がより鮮明になりました。民意を踏みにじって憲法改定、消費税10%増税、沖縄・米軍辺野古新基地建設、原発再稼働などを宣言した自民党公約に対し、野党党首が5月29日に合意した参院選の「共通政策」は安倍政治の転換を掲げています。
●憲法
自民 早期の改憲めざす
野党 国会発議させない
 自民党は参院選公約の重点項目で「早期の憲法改正を目指します」と明記。改憲は春の統一地方選公約や2017年の総選挙公約にも盛り込まれていましたが、新たに「早期改憲」と時期に踏み込みました。自民党は衆参憲法審査会への改憲4項目の提示を狙っており、選挙で早期改憲を公約にし、改憲論議の促進をはかる狙いです。17年に安倍晋三首相が9条への自衛隊明記を提案したときは、「北朝鮮情勢が緊迫し、安全保障環境が一層厳しくなっている」(「読売」5月3日)ことを強調しましたが、今度の公約では「北朝鮮の脅威」を強調できなくなっています。野党は共通政策で、▽安倍政権が進めようとしている憲法「改定」とりわけ第9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせないために全力を尽くす▽東アジアにおける平和の創出と非核化の推進のために努力し、日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との国交正常化、拉致問題解決、核・ミサイル開発阻止に向けた対話を再開する―などとしています。
●消費税
自民 10月に引き上げ
野党 増税中止めざす
 自民党は消費税増税については、重点項目では触れず、後段の各種政策集の中に「本年10月に消費税率を10%に引き上げます」と記述しました。争点化の回避をねらう意図が透けて見えます。公約では「誰もが安心、活躍できる人生100年社会をつくる」と掲げ、幼児教育・保育の部分的な無償化や低所得者世帯の学生への支援などをアピールしていますが、財源は低所得者ほど負担が重い消費税増税です。実際には誰もが不安でいっぱい。「年金の水準が当面低下する」ことなどにより、老後の資金が夫婦で2000万円不足すると自助を呼び掛けた金融庁の審議会の報告書案に対して、「『100年安心の年金』との説明はどこにいったのか」と批判が集中。政権が修正や釈明に追われています。公約で「目指す」とした最低賃金も「全国加重平均1000円」にすぎません。一方、野党は共通政策で▽10月の消費税率引き上げの中止と税制の公平化▽地域間格差を是正しつつ目指す最低賃金「1500円」を目指す▽保育、教育、雇用予算の飛躍的拡充▽選択的夫婦別姓の実現―などを掲げています。
●外交・安保
自民 軍事力を拡充・強化
野党 軍事費を他分野に
 自民党は重点項目の六つの柱の第一に「外交・防衛」を掲げ、「日米同盟をより一層強固にし、ゆるぎない防衛力を整備する」としました。政策集には、軍拡や基地強化、米国とともに海外で戦争する国づくりを加速させる項目が並びました。「防衛力の質と量を抜本的に拡充・強化」するなど軍拡路線を強調。「平和安全法制」(戦争法)で可能になった任務に関して「態勢構築や能力向上を着実に進めます」と明記しました。さらに、沖縄県民の民意を無視して「普天間飛行場の辺野古移設」を「着実に進める」としました。これに対して、野党は共通政策で▽膨張する防衛予算、防衛装備を憲法9条の理念に照らして精査し、他の政策の財源に振り向ける▽安保法制、共謀罪法など立憲主義に反する諸法律を廃止する▽沖縄県名護市辺野古における新基地建設を直ちに中止し、普天間基地の早期返還を実現し、撤去を進める―と打ち出しています。

<緊急事態条項について>
*2:https://www.huffingtonpost.jp/2018/05/03/kinkyu-jitai-joukou_a_23426043/ (Huffingtonpost  2018年5月3日) 憲法改正「緊急事態条項」は本当に必要なのか? 被災者を支援してきた弁護士が分析 有効性は? そして歯止めは?
 憲法改正が議論される中、改正理由のひとつとされているのが「緊急事態条項」だ。自民党が3月に示した案では、非常事態の際に政府に権限を集中させ、国民の権利を制限するという内容が盛り込まれている。権限の集中は、効果的な場面がある一方で、暴走のリスクもある。今回、取り沙汰されている緊急事態条項には、どれぐらいの必要性があるのか。そして、歯止めは十分なのか。岩手県宮古市で東日本大震災の被災者支援に携わった経験があり、災害時の法律問題にくわしい小口幸人弁護士に解説してもらった。2018年3月25日に開かれた自民党大会で示された、憲法改正「条文イメージ・たたき台素案」。このうち、緊急事態条項の部分である新73条の2と新64条の2について分析する。《第七十三条の二 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。② 内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない。》
第1 新73条の2
1 独立命令の制定権限を付与する案
 一見すると少しわかりにくいが、ザックリいうとこれは、内閣だけで法律をつくったり改正したりできるようにする案である。以下詳しく述べる。まず、学校で教わったように、国会が定めるのが「法律」、内閣が定めるのが「政令」である。現行憲法では、常に政令は法律の「下」にあり、法律の定める範囲内に限って定めることができる。内閣が、国会で定めた法律に反することを、政令で定めても無効だし、政令で法律を変えることはできない。新73条の2は、「大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるとき」に、内閣に、法律と同一の効力のある政令(俗に言う「独立命令」)を制定できるようにする案だ。このときに限り、内閣は政令で法律を変えたり、新たにつくったりすることができるようになる。2項で、「速やかに国会の承認を求めなければならない。」とすることで、歯止めを設けているつもりなのであろう。自民党は、2012年の憲法改正草案98条で、「法律と同一の効力を有する」政令制定権限を、内閣に認めていたが、新73条の2はその改訂版だ。歴史的には、戦前の大日本帝国憲法が定めていた緊急勅令の復活案と整理することができる。実際、緊急勅令の条文と新73条の2のつくりは似ている。なお、大日本帝国憲法8条2項は、議会が承認しなかった場合、緊急勅令の効力が将来に向かって失われると定められていた。しかし、新しい憲法73条の2、第2項には効力を失うとは書いていない。
2 歴史が語る独立命令の危険性
 法律は国会しか制定できない。国民が直接選んだ国会しか法律を制定できないという仕組みは、民主主義の根幹だ。内閣だけで、法律と同じ効力がある政令を制定できる独立命令は、この根幹を変えるものであり、三権を分立した意味を失わせかねない危険な枠組みである。濫用の恐れがあることは言うまでもない。戦前のドイツの憲法、ワイマール憲法は20歳以上の男女に普通選挙権を認めるなど、当時最も民主的だと言われた憲法であった。しかし、その48条には、「公共の安全、秩序に重大な障害が生じる恐れがあるときは、大統領は、公共の安全および秩序を回復させるために必要な措置をとることができる」という定めがあった。1933年2月27日に国会議事堂が放火されるという事件が起きるなり、当時第一党の党首であったヒトラーはヒンデンブルグ大統領に迫り、48条に基づき独立命令を制定させ、言論・報道・集会・結社の自由、通信の秘密を制限。さらに、令状によらない逮捕・拘束を行った。戦前の日本の憲法、大日本帝国憲法8条の緊急勅令も濫用されたことがある。1928年、帝国議会に出された治安維持法の改正案は、異論が噴出し、廃案となった。しかし、緊急勅令により法改正が強行された。1920年代、30年代、そして戦争の教訓を踏まえて制定されたのが日本国憲法だ。独立命令は、国家を運営する者にとっては実に便利なものだが、民主主義の根本原則に反し、濫用の危険を払拭できないとして、日本国憲法には定められなかった。つまり、大日本帝国憲法にあった緊急勅令も廃止された。こういった経緯を観れば、仮に必要性があったとしても、安易に、内閣だけで法律と同一の効力を有する政令(独立命令)を制定できる権限を与えてはならないことがわかる。法案の内容は慎重に検討されなければならない。濫用された過去を踏まえ、歯止めは十分にしなければならない。
3 歯止めは不十分
 しかし、この法案には、歯止めが不十分だ。問題点を挙げていこう。
(1) 対象に限定なし
 濫用された場合の弊害を小さくするためには、独立命令を制定できる対象をあらかじめ制限しておくことが考えられる。例えば、自然災害直後の避難者の避難に関する事項に限る等である。しかし、新73条の2は対象を一切限定していない。つまり、刑法や刑事訴訟法、公文書管理法、情報公開法、民法、土地収用法等はもちろん、公職選挙法、国会法、裁判所法、警察法、地方自治法等の改正もできる案になっている。濫用されたら令状なしの逮捕も、新たな罪を設けることも、都合の悪い文書の一切を破棄することも何でもできる。
(2) 手続きの制限なし
 濫用される場合を少しでも減らすため、手続きを厳格にしたり、段階を踏ませたり、期間を制限することも考えられる。例えば、2012年の自民党憲法改正草案も事前に「緊急事態宣言」という手続きを必要とした上で、100日という期間制限を設け、継続するには国会承認が必要という枠組みにしていた(無論、これでも不十分である)。しかし、新73条の2については、「法律で定めるところにより」としか書かれておらず、何の制限もかけていない。内閣はある日突然、独立命令を制定できてしまう。しかも、「法律で定めるところにより」の「法律」自体も独立命令で変えることができてしまう。
(3) 国会が承認しなくても効力は失われない
 先に述べたように、新73条の2第2項には、国会の承認が得られなかったときの効果が定められていない。大日本帝国憲法の8条2項でさえ、将来にわたって効力を失わせると定めてあったのに何もないのである。なお、現在の憲法54条3項には、緊急集会で参議院がとった臨時の措置について、「次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。」という定めが置かれており、その構造は新73条の2第2項とよく似ている。よく似ているのに、54条には効力を失うと明記されている一方、新73条の2には明記されていないとなったとき、この「違い」には意味があるとするのが、普通の法解釈だ。つまり、新73条の2については、国会が承認しなかったとしても、独立命令の効力は失われないということになる。そのため、仮に、独立命令のせいで何らかの被害を受けた国民が、事後に裁判を起こして補償等を求めたとしても、「当時は適法だった」となり、原則補償されないことになる。
(4) 自然災害に限られていない
 「災害」という文字をみると「自然災害」だけを思い浮かべてしまうが、法律ではそうではない。例えば、災害対策基本法2条1号は、「災害」の中に大規模な爆発を含んでいる。爆発の原因がテロや戦争でも「災害」に含まれる。改正案が、「自然災害」ではなく「災害」という文言を使っているのは、有事全般を対象にするためだと見るべきであろう。テロや戦争は、つねに「異常」事態だから、残る歯止めは「大規模」と、「国会による法律の制定を待ついとま」の有無だけになる。
(5) 内閣だけの判断で可能
 新73条の2は、内閣だけで独立命令を制定できる。国会や裁判所の承認等は不要である。「異常かつ大規模な災害」にあたるかどうか、「国会による法律の制定を待ついとま」があるかどうかは、内閣だけで判断されることになる。さて、内閣だけの判断に委ねて大丈夫だろうか。例えば、現在の安倍政権は、2017年6月22日に総議員の4分の1以上が要求した臨時国会の召集を実質的に無視した。憲法53条が、召集「しなければならない」と定めているにもかかわらずである。さらに同年8月10日、国会で北朝鮮のミサイル発射実験が、存立危機事態、すなわち「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」にあたるか否かが問われたが、安倍政権はこれを否定しなかった。「根底から覆される明白な危険」なんて、どう見てもないにも関わらずだ。こうした実情をふまえれば、内閣だけの判断で独立命令を制定できるのは余りにも危険だ。
(6) 国会も裁判所も歯止めになれない
 実は国会は、召集されているときしか力を発揮できない。そして、国会を召集する権限は内閣にある。つまり、国会が開かれていないときに、内閣が暴走しだしたら国会は歯止めになれない。もちろん、国会は内閣に召集を求める権限を持っているが、すでにこの権限は、2017年に安倍政権により無視されたことがある。では裁判所はどうか?残念ながら、我が国の裁判所は、具体的に誰かが被害を受けて訴え出ない限り判断してくれない。具体的な被害が訴えられたときでも、高度に政治的な問題については「統治行為」だからといって、判断を避けがちなのが我が国の裁判所だ。内閣に独立命令の制定権限を付与するなら、国会や裁判所が歯止めになれるよう、これらをパワーアップする改正を同時に検討すべきだが、自民党の案は内閣をパワーアップさせるだけなので、国会も裁判所も歯止めになれない。
4 新73条の2はあまりに酷い
 以上のように、新73条の2には権力濫用の歯止めがみあたらず、2012年の自民党憲法改正草案や、戦前の大日本帝国憲法8条と見比べても、酷いと言わざるを得ない。近代立憲主義は、権力の暴走を防ぎ基本的人権を遵守するための英知だ。しかし、新73条の2は、内閣は暴走しないという前提に立っており、憲法の何たるかを誤解している恐れすら感じさせる。なお、自然災害に絞ってみると、そもそも災害が起きた後、中央である内閣に権限を集中させて対処するという発想自体が間違っている。災害直後、国に各地の情報が集まるのはだいぶ後になってからである。国に権限を集め現場を「指示待ち」にさせてはならない。情報のある「現場」に権限と人を送るのが基本的な対処法であり、我が国の災害法制はそのようにできている(地方公共団体に権限を委譲する方向)。そもそも、災害が起きた後、泥縄式に慌てて法律をつくっても上手く機能しない。混乱するだけである。事前に対処法を決めておき、それが実践できるよう、平時から訓練を重ねておかない限り、災害直後は役に立たない。なお、政府が2015年3月30日にまとめた「政府の危機管理組織の在り方について(最終報告)」にも同様のことが書いてある。つまり、実は政府(官僚)は災害対策を結構ちゃんとやっていて(安倍総理ら政治家が、どの程度把握しているかは怪しい)、内閣に独立命令を制定できるようにする「必要」はないことを知っている。憲法を変えたがっている人が、災害をダシにている、そしてついに改正案までできあがったというのが現在の状況だ。
第2 新64条の2
 新64条の2は、俗に言う国会議員の任期を延長する条文である。その必要性については、これまで次のように説明されてきた。憲法は、参議院の緊急集会という制度を設けて、衆議院が解散され、衆議院議員がいない場合の対策はしている。しかし、衆議院議員が、任期満了によりいなくなった場合の対策が抜けている。仮に、大規模災害が起きて選挙の実施が困難になると、機能不全に陥りかねない。そこで、憲法を改正し、大災害などで選挙ができないときに、国会議員の任期を延長できるようにする必要がある、という説明である。しかし、この説明には大きな落とし穴がある。まず、衆議院議員の任期が満了になったのは戦後一回しかない。残りは全て解散総選挙である。そして、選挙が大規模災害で延期になったのも二回しかない。阪神淡路大震災のときと、東日本大震災のときだ。つまりこの議論は、戦後一回しかないできごとが、戦後二回しか起きていないような大災害のときに偶然重なるという、めったにない場合に備える議論でしかない。さらに、災害が起きて選挙ができないという問題があるなら、その対策は、選挙制度を改善して災害が起きても影響を受けにくいものにすることなのに、その検討は一切されていない。選挙が災害の影響を受けるのは、今の選挙が、決められた投票所に足を運ばないと投票できないという、限りなくアナログな方法になっているからだ。それこそ、スマホで、郵便局のATMで投票できるなら、災害による影響も最低限で済む。なお、日本弁護士連合会は、公職選挙法を改正して選挙制度を改めれば、首都直下地震や南海トラフ地震が起きても選挙は実施できると具体的に提言している。以下、自民党の改正案(新64条の2)を検討してみる。
1 期間の限定がない
 災害で選挙が実施できないのであれば、任期を延ばすのも一つの解決方法ではある。しかし、我が国は民主主義国家で、選挙は国民が直接意思を表示できる唯一の機会だから、延長は最小限度にしなければならない。政府の南海トラフや首都直下地震の被害想定に照らせば、延長期間としては1~2カ月程度だろう。しかし、新64条の2は、「任期の特例を定めることができる」とするだけで、特例の内容を限定していない。つまり、1年延ばすのはもちろん、3年、5年、10年延長するのも可能な案となっている。任期が伸びれば伸びるほど、国会や政府の正当性は失われていき、それが一定限度を超えたら、我が国は実質的に民主主義国家はなくなってしまう。国会議員の任期を延ばすというのは、実はそれぐらい危険なものであるにもかかわらず、改正案は、延ばせる限界を全く明記していない。
2 お手盛り
 国会議員の任期を国会で延期できる、まさにお手盛りである。よって、どんなに要件を厳しく定めても、運用が甘くされてしみあう恐れがある。自分のこととなると、甘くなってしまうのは人も国会も同じだ。3分の2というハードルも、小選挙区導入後、与党の議席が3分の2を超えることが頻繁になっている現状に照らせば高いとは言えない。国会の多数派が、自らの保身のため、いたずらに任期が延長される恐れも否定できない。
3 「適正な」という言葉の恐怖
 改正案は、「選挙の実施が困難」ではなく、「選挙の適正な実施が困難」としている。前者なら物理的、時間的な話だとわかるが、「適正な」という三文字が入るだけで濫用の恐れは飛躍的に高まる。いま選挙をしたら政権交代が起きてしまうと思った多数派が、何らかの理由で、任期を延ばす恐れはないだろうか。フェイクニュースが際限なく広がっており選挙の適正な実施が困難だ、ミサイルが飛んでくる恐れがあるという危機的な状況にあるから選挙の適正な実施は困難だ、リーマンショック再来の兆候がある今選挙の適正な実施は困難だなどなど、色々な濫用のケースがが頭をよぎる。はっきり言って、ここに「適正な」という文字を挿入するのは余りにもナンセンスだ。「濫用の恐れ」という発想、それ自体が欠落している恐れすら感じゾッとする。
4 対応できない場合が多すぎる
 憲法改正までするわりには、実は、新64条の2で対応できるケースは多くない気がする。まず、新64条の2は国会議員の任期を延ばすだけだから、解散の場合は対応できない。解散の場合はこれまでどおり、参議院の緊急集会で対応することになる。次に、新64条の2に基づいて国会議員の任期を延長するためには、国会の決議が必要だから国会開会中しかできない。召集には10日以上かかる。仮に国会開会中であったとしても、議員は毎週末地元に帰っている。大規模災害直後、交通網が遮断されている中、東京に集まるには時間がかかるだろう。さらに、起きた災害が首都直下地震だったらどうだろうか。その直後、余震や本震の発生が懸念されているときに、国会議員を国会議事堂に集めるのは果たして適切だろうか。
4 新64条の2よりは優れた方法
 以上のように、新64条の2は、濫用とお手盛りの危険がある上に、対応できるケースが実は多くない。そもそも、任期満了より圧倒的に多い「解散」の場合の対応を、今後も参議院の緊急集会で行うなら、任期満了のときも緊急集会で対応すればいい。それなら濫用の恐れもない。もし今の憲法ではできないというなら、改正して任期満了のときも緊急集会を開けるようにすればいい。なお、現在の憲法のままでも、つまり改正しなくても、衆議院の任期満了時に緊急集会を開催できるという有力な説がある。憲法制定当時の帝国議会の答弁と、解散と任期満了の問題状況(衆議院の欠缺)が同じであることから、類推適用できるという解釈だ。
第3 最後に
 自民党は、長い時間をかけて緊急事態条項の検討をしてきた。2012年の案にも明記されているし、特に2015年以降、党内の憲法改正推進本部で検討が重ねられてきたはずだ。それにもかかわらず、なぜ最終案がここまで酷いものになったのか。一連の経過を見てきた者としては、正直残念である。戦後直後の帝国議会、その憲法改正委員会では、大日本帝国憲法にあった緊急勅令(独立命令)が廃止された。独立命令は国家を運営する者にとって便利なものであることを率直に認めた上で、便利だが国民の意思を無視する制度であり、民主政治の根本原則に反するからという理由で廃止された。憲法改正を党是とする自民党が熟慮を重ねた結果できあがったのが、国会を不要としかねない新73条の2と、選挙の機会を失わせかねない新64条の2という、民主政治の根本原則に真っ向から反するものであった。このことを、国民は重く受け止め、改正への賛否を検討すべきであろう。

<年金問題について>
PS(2019年6月11、12日追加):*4-1のように、参院選前に年金問題が浮上し、「①国民が怒っているのは、公的年金の100年安心がウソだったこと(野党)」「②自分で2千万円貯めろとはどういうことか(野党)」「③100年安心と言っていたのに国家的詐欺(野党)」「④100年安心はウソではなく年金制度の持続可能性を担保できる(首相)」「⑤首相が100年安心とする根拠は、現役世代の平均的手取り収入の50%を割り込まない所得代替率とマクロ経済スライド(年金加入者の減少・平均寿命の延び・社会の経済状況を考慮して年金の給付金額を変動させる制度)」「⑥公的年金の水準は今後調整されていく(金融庁)」等の論戦が行われた。
 このうちの④⑤は、発生主義で年金資金を引き当てず、管理も徴収もいい加減だった厚労省(政府)管轄の社会保険庁の失政を給付抑制によって解決しようとするもので、そのやり方は、2016年に高齢者は現役平均所得の50%を割り込まなければ生活できるとする所得代替率の概念とマクロ経済スライドを導入し、インフレにして⑥のように年金を目減りさせて調整しようとするものであり、まさに③の詐欺なのである。
 また、①②は、これらの法改正があったにもかかわらず、高齢者の生活が100年安心だと思っていたこと自体が甘すぎ、さらに2000万円貯めれば十分であるとも限らない。そのため、私は、年金を大きな争点として参院選を戦うことに賛成で、その結果として、これまで既に年金保険料を支払ってきた国民に二重払いさせることなく、必要な年金支払額を発生主義で引き当てるようにしてもらいたい。そして、これは可能なことである(マニフェスト参照)。
 与党は、*4-2のように、参議院議員選挙を前に集中審議を拒否しているが、野党には追及のための追及ではなく、年金支払額へのマクロ経済スライド導入など高齢者を生活困窮者にする制度改革の是非を徹底的に追究してもらいたい。また、与党はそれなりに考えがあってやったことだろうから、参議院議員選挙の前に、その考え方と根拠を示してもらいたい。何故なら、その内容によって、政権を託すに足るか否かがわかるからである。

    
          2019.3.7東京新聞            2019.6.11東京新聞 

(図の説明:左図は、現時点の全国平均年金支給額と生活費支出額を比較したものだが、マクロ経済スライドによる給付水準の低下により将来の年金受取額は次第に減少する。また、支出額は、全国平均にしているので、参考にならない。それにしても、右図のように、次々と制度を変更し、国民が気づかないようにしながら年金受取額を減少《“調整”と表現している》させるマクロ経済スライドは、年金保険料を支払ってきた人に対する詐欺行為だ)

*4-1:https://digital.asahi.com/articles/ASM6B51DLM6BUTFK012.html?ref=mor_mail_topix1 (朝日新聞2019年6月11日)年金は安倍政権の鬼門?「老後2千万円」野党争点化へ
 参院選を控えた与野党論戦の論点に、老後の資産形成における「2千万円不足」問題が急浮上した。安倍晋三首相ら全閣僚が顔をそろえた10日の参院決算委員会で、野党側はこの問題に照準を合わせて政権を追及。これと合わせ、消費税率引き上げや安倍首相が掲げる憲法改正、米国との貿易交渉などへの批判を強め、参院選の争点に位置づける構えだ。「国民が怒っているのは(公的年金が)『100年安心』がウソだったことだ。自分で2千万円をためろとはどういうことか」。10日の参院決算委。4月の同委の質疑以来、初めて全閣僚が出席した論戦の場で、立憲民主党の蓮舫副代表は強い口調で「2千万円不足」問題を取り上げた。3日公表された金融庁の報告書にある「公的年金の水準は今後調整されていくことが見込まれる」との記載について、蓮舫氏は「足らざる部分のためにもっと働け、と。公助から自助にいつ転換したのか」と質問を投げかけた。首相は「老後に月5万円、30年で2千万円の赤字であるかのような表現は、誤解や不安を広げる不適切な表現だった」と釈明。だがその後、簡潔な答弁を求める石井みどり委員長(自民)の注意をよそにたたみかけた。「100年安心はウソではない」。反論の材料にしたのは、首相が「100年安心」の根拠としている「所得代替率」だ。所得代替率とは、現役世代の平均的な手取り収入に対する年金支給額の割合を示す数値で「100年安心」で約束したのは50%。厚生労働省によると今は約6割で、当面は50%を割り込まない見通しだ。首相はこの点を踏まえ「(現行制度で)給付と負担のバランスは取れている」とし、野党の批判は当たらないという認識を示した。首相はさらに「マクロ経済スライド」という、平均余命の延びなどに応じて年金支給を調整する仕組みの説明を駆使して反論した。2019年度の支給額の見直しで4年ぶりにこの制度を適用し、賃金の伸び率(0・6%増)を下回る0・1%増に支給額を抑制しつつ、プラス改定ができた成果を強調。これにより年金制度の持続可能性を担保できたとして、「現在の受給者、将来世代の双方にプラスになる。公的年金の信頼性はより強固になった」と胸を張った。今回の「2千万円問題」の議論では、現役世代の負担で高齢者の生活を支える年金制度について、制度の持続可能性という「根幹」を守るのか、支給水準を重視するのかという認識のギャップも浮かぶ。少子高齢化で現役世代が受給世代を支える年金制度の仕組みが限界に近づきつつある、との指摘もある。金融庁の報告書も年金が老後の収入の柱であることは認めつつ、支給額の目減りは避けられないという文脈で作成された。同庁幹部は「あくまで平均的なモデルケース」として「2千万円」と明示したとするが、野党側は政権追及の好材料を得たとして批判を強める。この日、共産党の小池晃書記局長は「100年安心と言っていたのに、いつの間にか年金は当てにするな、と。国家的詐欺に等しい」と追及すると、首相は「100年安心は仕組みとして確保する。給付と負担のバランスを取る」と答弁し、給付よりも制度を維持することを重視する考えをにじませた。
●記録問題、受給開始時期繰り下げ…野党追及
 参院選に向けて弾みをつけたい野党は、今回の「2千万円問題」をきっかけに「年金」に戦線を拡大させる構えだ。第1次安倍政権の07年、年金記録のずさん管理が発覚。持ち主不明の年金記録は約5095万件にのぼり、この年金記録問題なども影響し、自民党はこの年の参院選で大敗し、安倍政権退陣につながった。年金は有権者の関心も高く、「安倍政権にとって鬼門」(野党中堅議員)とみるためだ。蓮舫氏はこの日、麻生太郎財務相兼金融相に金融庁の報告書を読んだかどうかをただし、麻生氏から「全体を読んでいるわけではない」との答弁を引き出し、「国民の間で怒りが蔓延(まんえん)している大問題なのに」と突き放した。さらに、いまなお2千万件弱の記録の持ち主が不明のままの年金記録問題も取り上げ、当時「最後の1人まで徹底的にチェックし、全て支払う」と発言した首相に「口約束だったじゃないか」と迫った。一方、国民民主党の大塚耕平氏が問題視したのは、日本年金機構が年金の受給開始(原則)65歳を前に送付する年金請求書だ。現行制度では、受給開始時期を繰り下げると年金額は増額され、70歳開始の場合は65歳開始と比べて年金額は42%増える。このため、請求書には「年金額を増額させますか?」などの設問があり、受給開始を繰り下げる場合は請求書の提出は不要だとしている。大塚氏は「70歳まで繰り下げる方に誘導しているのではないか」と指摘した。平均余命よりも前に死亡した場合、65歳からの受給開始に比べて受け取る年金額が少なくなりうるため、大塚氏は「年金請求書を『年金詐欺』と言う人たちがいる」と批判した。さらに大塚氏は、年金財政の「定期健診」と言われ、5年に1度のその健全性を確認する「財政検証」も取り上げ、「(物価上昇率など)非現実的な前提で出てきたら大論争になって、これまたかんかんがくがくの議論が続く」と牽制(けんせい)した。財政検証を巡っては、14年の発表が6月3日だったため、今回も6月初めとなる見通しだったが、厚労省幹部は「まだしばらくかかる」。野党は参院選で年金問題が争点化するのを避けるため、政権が意図的に遅らせようとしているとの疑念を深めており、「財政検証は参院選前に速やかに出すべきだ」(国民・玉木雄一郎代表)と問題視している。野党側は参院選に向け、10月に予定される消費増税や、首相が目指す改憲に反対姿勢を強め、米国との貿易交渉や、日ロ、日朝関係など安倍政権の外交姿勢なども争点化する構えだ。ただ、金融庁の報告書をきっかけに年金問題が急浮上。旧民主党政権も年金制度の抜本改革を掲げつつ実現できなかった経緯があり、野党にとっても無傷ではいられないテーマだが、国民民主党の玉木雄一郎代表は10日、「年金を大きな争点として参院選を戦わなければならない」と山形市内で記者団に強調した。こうした野党側の攻勢を受け、10日の自民党役員会では改選組の参院議員から「2千万円問題は参院選に影響がある」と懸念する声が出た。二階俊博幹事長はその後の記者会見で「(金融庁の)報告書は老後に備えて個人の置かれた状況に応じ有利な資産形成ができるようにという観点からの提言。年金制度の信頼性とは別のものではないか」と火消しに回った。
●主要野党が参院選で争点化を狙うテーマ
・老後「2000万円不足」問題・年金問題
・安倍政権の姿勢・体質
・日米貿易交渉問題
・10月の消費増税の是非
・アベノミクスの功罪
・日朝・日韓・日ロ外交
・自民党が掲げる9条改憲の是非

*4-2:https://adclick.g.doubleclick.net/aclk?sa=L&ai=Cg2afcH8AXfaGKMXzrQTxj4・・ (佐賀新聞 2019年6月12日)与党、集中審議の開催拒否、老後2千万円で攻防激化
 参院予算委員会は12日午前、理事懇談会を開いた。与党は、野党が求めていた安倍晋三首相出席の集中審議開催を拒否した。95歳まで生きるには夫婦で2千万円の蓄えが必要と試算した金融庁金融審議会の報告書に関し、野党は安倍政権を徹底追及する方針で、参院選を前に、与野党攻防が激化した。野党は、麻生太郎副総理兼金融担当相が報告書受け取り拒否を表明したことを報告書が「消された」と批判した。自民党の森山裕国対委員長は記者団に「政府は報告書を受け取っておらず、予算委にはなじまない」と、衆参の所管委員会での議論が望ましいと指摘した。

<皇位継承を男系男子に限るのなら、公約に書くべき>
PS(2019年6月13日追加):「皇位継承を男系男子に限る」とする人がおり、*5に書かれている5人だけではないが、それは女性を男性より一段低い存在とみる女性を馬鹿にした態度だ。そのため、そう主張する議員の名前(政党としてそう判断するのなら、その政党の公約に記載すべき)とその主張の根拠を、参院選前に明らかにしておいてもらいたい。

*5:https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-935213.html (琉球新報 2019年6月12日) 自民有志、男系の皇位継承を 年内提言へグループ発足
 自民党の保守系有志議員が12日、父方に天皇を持つ男系の皇位継承を求める議員グループ「日本の尊厳と国益を護る会」を発足させた。旧宮家(旧皇族)の皇籍復帰を検討する。女性天皇、父方に天皇がいない女系天皇のいずれにも慎重な立場を取る。年内に提言をまとめ、安定的な皇位継承策に関する政府の議論に反映させたい考えだ。グループは他に、中国など外国資本による土地取得を制限する立法を目指し、外国スパイの活動を阻むための法整備も働き掛ける。発起人は鬼木誠、高木啓、長尾敬の3衆院議員と青山繁晴、山田宏両参院議員の計5人。

| 民主主義・選挙・その他::2014.12~2020.9 | 03:07 PM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑