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2011.11.11 農業を取り返しのつかない状態にし、食料自給率を14%に下げるTPPへの参加に反対する
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、加盟国間で工業品、農業品を含む全品目の関税を撤廃し、
政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入等)、知的財産権、労働規制、金融、
医療サービスなどにおいてすべての非関税障壁を撤廃し自由化する協定のことである。2006年5月に
シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国が、域外への経済的影響力を向上させること
を戦略的な目的として発効して運用しており、現在は、これに加えて、オーストラリア、ペルー、アメリ
カ、ベトナム、マレーシアの5か国が参加を表明している。そして、日本政府が、バスに乗り遅れまいと、
あわててTPPへの参加を検討すると表明したのが2010年11月の管内閣の閣議決定である。日本を
加えた10か国は、小さな国が多いので、10か国のTPPでは、主に日本とアメリカ・オーストラリア・ニュ
ージーランドとの自由貿易協定が重要である。そしてTPPという協定は、すべての分野で関税をゼロに
し、例外規定は設けないというものである。     うしぶたにわとり 四葉 ぎょ

アメリカ・オーストラリア・ニュージーランドとの間で、すべての分野が関税ゼロになると、どういうことが
起こるかというと、農水省が、下の理由で、TPP参加により、農産物の生産額が4・1兆円減少し、食料
自給率が14%に低下し、雇用が340万人減少するという試算を出している。
①「大規模化」しても、米国は日本の平均耕地面積の100倍、豪州は1500倍であり、とても競争できな
い。
②安い輸入農産物との差額を補てんしたとしても、それは最低限の所得保障であるため、食料自給率が
下がり、それでも、差額補填に必要な額は2兆5千億円になる。

私は、これに加え、農産物の安全規制(アメリカなどから非関税障壁と言われる)が緩められる結果、長
くは説明しないが、これまで我が国が守ってきた食料の安全・安心のレベルも下がると断言する。これか
ら我が国で増加すると考えられるBSEの検査が、月齢30か月未満の牛に対して廃止されようとしている
のは、一例である。         (「チェルノブイリ原発事故と狂牛病の奇妙な関係」 
                            http://tabimag.com/blog/archives/2091 参照)

一方、TPPに賛成しているのは、経済産業省系の勢力であり、トヨタ社長、ホンダ社長、経団連などが、
強く賛成の意思を表しているが、自動車など経済産業省系の国際企業は、すでに貿易ではなく、対外
投資が進んで現地生産をしているため、TPPが成立すれば、現地から日本への輸入関税が0になって
儲かることはあっても(これは、我が国の雇用を失うということ)、日本からの輸出増加では、それほど
利益を受けると思えない。

つまり、TPP推進側の人は、農業や技術の維持・進歩に疎い人たちであり、単純に、「自由貿易を行い、
市場における神の見えざる手に任せていさえすればうまくいく」「地球人口の量と質の変化で、歴史の
必然として、いつまでも比較優位ではいられない現在の輸出産業を、これから貴重になる食料を生産
する農林水産業を犠牲にしてでも、60年1日のやり方で守る」としているのである。これは、経済産業省
の主導であろう。

しかし、この政策は、食糧自給率の向上による安全保障、環境(地球の収容可能人口や環境破壊に対
する回復力の限界まで含む)、地域政策、技術の維持・進歩など、経済学の市場原理が与件として考慮
していない事柄に関し、何の回答も準備していないので、私は反対である。

そして、どこに行くバスかも確認せずに、単にバスに乗り遅れてはならないとする強迫観念を押しつけて
疾走するさまは、我が国の国益にならない上、破壊されたものは元には戻らないため、浅薄すぎる。

それにもかかわらず、国会での議論も国民の合意もないまま、APECで外国に宣言してきたから首相の
リーダーシップがあるなどと、言えるわけがないではないか。私は、相手国によって条件を変えることの
できる、EPA、FTAを、本当に吟味しながら、2国間から地道に交渉してやっていくべきだと思う。

報道も、「野田佳彦首相は10日、政府・民主三役会議でTPP交渉参加問題をめぐる政府の方針決定
を11日に先送りすることを明らかにした。交渉参加する意向に変わりはないが、民主党内の反対・慎
重論に配慮した。」「藤村修官房長官は10日の政府・民主三役会議後の記者会見で、首相の方針に
変化はないと思うと述べた。」などとしているが、国家100年の計を左右する問題を、子ども騙しのガス
抜きで収まるなどと考えている人は、真剣に国益を考えておらず、有害無益であるから、マスゴミも含
めて、第一線から退いてもらいたい。

そもそも、田んぼがなくなれば、どじょう族の住むところはなくなるが、それからでは、遅いのである。

| 農林漁業::2013.6~2014.1 | 09:44 AM | comments (x) | trackback (x) |

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