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2012.10.13 iPS細胞は、再生医療に適しているのか?(「再生医療=iPS細胞」ではないこと)
 京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞されたのは大変おめでたいことだが、*1で本人もおっしゃっているとおり、iPS細胞の利用は最終的な形ではなく、体の中でその人自身の再生能力で再生するという流れに変わると、私も思う。iPS細胞は、正常な細胞に別のDNAを加えて細胞の初期化を行うため、細胞が元のものとは変り、癌化する可能性もあり、あまり安全とは言えないからだ。(*3参照)

 例を挙げれば、*2で、森口尚史氏がiPS細胞を心臓治療に使ったと言っているが、心臓治療であれば、本人の足の筋肉を増殖させて心臓治療に使い、すでに成功例があった。足の筋肉細胞の方がiPS細胞より優れている理由は、iPS細胞は、細胞を初期化するために、もともとなかったDNAを加えているため癌化する可能性があるが、本人の足の筋肉細胞であれば本人と全く同じ細胞であるため、癌化しないからである。そのほか、身体のいろいろな部分に幹細胞が存在し、造血幹細胞移植や脂肪幹細胞移植などが再生医療として研究されており、免疫細胞による癌治療も始まった。

 そのため、すでに外国で認められた「再生医療=iPS細胞=山中教授」という1ルートだけに注目して、そこのみに多額の研究予算をつけるのではなく、今後の可能性がある研究を見抜いて、それぞれに研究予算をつける必要がある。しかし、予算をつける担当者には基礎研究の可能性や将来的展望を見抜く能力はないのが通常であり、これが問題であるため、これを解決して研究者を支えるべきである。なお、わが国の基礎研究者は、外国で名を挙げれば日本でも認められるが、先に日本で認められてよい研究環境を与えられ、成果に結びつくことが少ないのも問題である。

*1:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/328717  (西日本新聞 2012年10月12日) iPS細胞「過渡的なもの」 再生医療で山中教授
 ノーベル医学生理学賞が決まった京都大の山中伸弥教授は12日、横浜市内のバイオ関連のセミナーに出席し、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った再生医療について「iPS細胞(の利用)は究極の形ではなく、体の中でその人自身の再生能力で再生するという流れに変わると思う。iPS細胞は過渡的なものだ」と話した。ノーベル賞については、高コレステロール治療薬を発見した東京農工大の遠藤章特別栄誉教授が選ばれると予想していたと明かした。iPS細胞は「結局、何でできるかもまだ分かっていない。出来方はそんなに単純ではないのではないか」と述べ、さらなる基礎研究が必要だと強調。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012101202000100.html 
(東京新聞 2012年10月12日) 「iPS治験」病院が否定 「審査委承認の事実ない」
(ポイント)人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った初めての臨床応用を行ったとの森口尚史氏の説明に対し、治療を実施したとされた米マサチューセッツ総合病院の広報担当者は十一日、共同通信の取材に「病院や(関連する)ハーバード大の内部審査委員会が治験を承認したとの事実はない」と否定した。またハーバード大は、森口氏が一九九九年十一月末~二〇〇〇年初めにかけ一カ月ほど在籍したが、その後の関わりはないとしている。森口氏は客員講師を務めていると話していた。森口氏はロックフェラー大で開かれているトランスレーショナル幹細胞学会で治療の内容をポスターで発表したが、主催するニューヨーク幹細胞財団は「内容に疑義がある」として、ポスターを撤去した。心臓の治療には細胞を大量に用意する必要がある上、移植手術をした後の細胞の異常に対処したりするのが難しく、治療研究の中でも最難関とされ、臨床応用はまだ数年先とみられている。取材に対し、国内の複数の専門家も、森口氏の治療の効果を疑問視する姿勢を見せていた。森口氏は取材に「大学の倫理委員会を通すなど、きちんと手続きを経て研究を進めている。iPS細胞を作る手法が京都大の山中伸弥教授と違うと言われるが、私は私のやり方でやっていて、移植後も問題は生じていない」と説明していた。
  
*3:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E5%A4%9A%E8%83%BD%E6%80%A7%E5%B9%B9%E7%B4%B0%E8%83%9E
(ポイント)人工多能性幹細胞(Induced pluripotent stem cells)とは、体細胞へ数種類の遺伝子を導入することにより、ES細胞(胚性幹細胞)のように非常に多くの細胞に分化できる分化万能性 (pluripotency)と、分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複製能を持たせた細胞のこと。幹細胞生物学者・山中伸弥率いる京都大学の研究グループによって、マウスの線維芽細胞(皮膚細胞)から2006年に世界で初めて作られた。

| 教育・研究開発::2012.4~2013.10 | 12:10 AM | comments (x) | trackback (x) |

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