■CALENDAR■
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30     
<<前月 2024年04月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2012.10.16 森口尚史氏の「iPS心筋を移植」「初の臨床応用」発言は、新聞週間前のやらせではないのか?
 *1のように、研究者がやっていないことをやったとして嘘をつくのは言語道断だが、そもそも、その発言が真実か否かを判断し、裏付けをとってネタを選別する能力が、メディアの記者には求められる。ちなみに、私は、最初の一報を聞いただけでおかしいと思った。しかしながら、読売新聞等が十一日朝刊一面トップで「iPS心筋を移植」「初の臨床応用」と報じ、その後は十三日朝刊で誤りと認めて検証記事を一度載せただけで、後は、研究者が嘘を言ったことを連日批判する報道をしているのである。そのため、私は、これは、新聞週刊に合わせたやらせではないかと思っている。

 つまり、十月十五日からの新聞週間の4日前にこの事件が起こり、*1では、「ネット社会で誰もが発信でき、情報が氾濫する時代だ。新聞の生命線は速報性よりも正確性にある」として、ネットよりも新聞の方が正確な情報を出すと言っているのである。しかし、原発事故に関しては、ネットの情報の方が正確だったことを、私は、ここで断言する。また、避難するための情報は早くなければ意味がなく、結果が出てから「確実な情報」を出しても遅いのである。

 また、「確かな裏付け取材によって価値を判断した上で、信頼できる情報を提供することがとりわけ新聞社の重要な使命となってきた」と書いているが、そんなことは前から当然のことで、戦後に、そうでなかった時代があったとでも言うのだろうか。まだ、正確には反省していないようだ。

 「殊に大震災と原発事故は、たとえ権威や専門家といえども、検証なしにはその主張をうのみにはできないということを教えた」とも書かれているが、何に対しても、うのみにしてならないのは同じである。また、日本では、専門家と称して他分野の専門家(その分野では素人)に話を聞いたり、利害関係のある専門家や事実関係をよく知らない専門家に話を聞いたりするが、それで、信用に値する情報が得られるわけがない。そもそも、このような人に話を聞き、うのみにすること自体、メディアとしてセンスがないということを反省すべきなのである。

 「東大、ハーバード大、学会、政府などの権威に頼らず」というのは、これこそ、この新聞週刊に述べたかったやらせの目的のように思われるが、もともと盲目的に何かに頼るのは間違いである。より確かな取材源からのいくつかの情報を集めて判断すべきだし、その時に正しい判断をする能力がなければ、その分野の記者は勤まらないだろう。「取材と検証を重ね、真実を提供することが新聞の責任だ」というのは、新聞社が今さら言うべきことではない。

 なお、森口氏の東大での立場である特任研究員というのは、*2のように、プロジェクト等において専ら研究に従事する有期雇用の研究員であり、もともと権威などない。一般企業で言うなら、特定の業務のみを行う契約社員だ。このような人が嘘をついたからと言って、「東大、ハーバード大、学会、政府などの権威に頼らず」などとしているのも、私が結論ありきのやらせだったのではないかと考える理由である。

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012101602000117.html
(東京新聞社説 2012年10月16日) 新聞週間 報道の責任あらためて
 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った臨床研究の真偽で新聞報道が混乱した。正確な情報を伝えることは新聞の命だ。十五日からは新聞週間。この当たり前の責任をいま一度胸に刻みたい。発端は、読売新聞が十一日朝刊一面トップで報じた「iPS心筋を移植」「初の臨床応用」の記事だった。米ハーバード大客員講師の森口尚史氏らが今年二月にiPS細胞から心筋細胞を作り、重症の心不全患者に移植治療を施したとの内容だった。ノーベル医学生理学賞が京大教授の山中伸弥氏に授与されることが決まってから三日後。iPS細胞実用化への夢と期待がさらに大きく膨らんだ時期で、本物なら世界的な大ニュースである。読売を追いかけるように、共同通信は十一日夕刊用にほぼ同じ内容の記事を配信した。本紙をはじめ北海道新聞、河北新報、西日本新聞、中国新聞など有力地方紙の多くが一面トップ級で載せた。ところが、森口氏が客員講師を務めるとしたハーバード大も、治療を行ったとした米マサチューセッツ総合病院も、報道の事実を否定し、論文の共著者とされた研究者も、論文の存在や中身を知らないと答えた。森口氏の説明は虚偽の疑いが濃厚となった。読売は十三日朝刊で誤りと認めて検証記事を載せ、共同は十二日におわびなどを配信した。読売は「取材の過程で何度か、虚偽に気づく機会はあった」と反省し、共同は「速報を重視するあまり、確認がしっかりできないまま報じた」と振り返った。難治の病に苦しんでいる患者やその家族を落胆させ、iPS細胞の研究者を困惑させる誤報だった。森口氏に取材しながら報道を控えた新聞社もあった。本紙も共同記事の掲載責任は免れない。ネット社会で誰もが発信でき、情報が氾濫する時代だ。新聞の生命線は速報性よりも正確性にある。確かな裏付け取材によって価値を判断した上で、信頼できる情報を提供することがとりわけ新聞社の重要な使命となってきた。殊に大震災と原発事故は、たとえ権威や専門家といえども、検証なしにはその主張をうのみにはできないということを教えた。エスタブリッシュメント側の意図的な情報操作もある。東大、ハーバード大、学会、政府などの権威に頼らず、取材と検証を重ね、真実を提供することが新聞の責任だ。その姿勢で身近な問題に迫りたい。

*2:http://www.u-tokyo.ac.jp/gen01/reiki_int/reiki_syuki/syuki10.pdf
東京大学特定有期雇用教職員の就業に関する規程
(特任研究員の定義)
第7条 特任研究員とは、プロジェクト等において、専ら研究に従事する者をいう。
(就業に関する特例)
第8条 特任研究員には、就業規則第21条、第26条第1項及び第51条の規定は適用
しない。
2 第4条第3項の規定は、特任研究員について準用する。
(契約期間及び契約の更新)
第9条 特任研究員の契約期間及び契約の更新は、第5条の規定を準用する。
(特任研究員に支給する給与)
第10条 特任研究員に支給する給与は、俸給及び通勤手当とする。
2 前項の給与は、給与規則第2条から第9条まで及び第19条の規定を準用し、支払う。
3 俸給は、別途定める特任教員等俸給表により、決定する。ただし、当該俸給表に定め
る号俸の俸給月額を超える給与を支給する場合は、役員会の承認を得なければならない。
また、教育研究評議会に当該承認を得た旨を報告するものとする。
4 通勤手当は、給与規則第26条の規定を準用し、支給する。

| 報道の問題点::2012.4~2012.10 | 04:17 PM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑