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2013,01,02, Wednesday
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)で得られる予測値に、それぞれのポイントで計測された実際の汚染度を示す実測値をインプットしていけば、逆に、風向きや地形も考慮して計算した上で東京電力福島第1原発で何が起こっているかが明確にわかった筈である。それをやらずに、*1のように、SPEEDIが単なる予測値で不完全であるため公開しなかったと説明したり、日本に派遣された米特殊チームをすぐに帰したり、汚染度を示す実測値を公開しなかったりしたのは、東京電力福島第1原発で何が起こっているかを知られないことが目的だったとしか思えない。つまり、人命が第一にされなかったということで、そのために、*3のようなことが起こっているのである。もし、病気の原因を正確に把握して統計をとれば、原発事故による被曝で発生する病気の理論的な発生率に近いと思われる。
なお、地方自治体も、原発を誘致して住民に「原発は安全だ」と説明する以上、「どういう危機管理体制で臨んでいるから、何故、安全なのか?」ということを、自ら理解しておかなければ、自分の言葉に責任を持てないし、「原発は安全だ」という説明はできない筈である。そして、原発を誘致した地域の病院やメディアも、事前に問題点と対応策を検討しておくのが当然だ。この点について、すべて国任せにしていたので、自分たちには何の責任もなく、単なる被害者だと言うのは、実はおかしい。 さらに、*2のように、東京電力が福島第1原発への想定津波を最大6.1メートルと小さめに設定していたのも、過去の貞観地震津波等の研究を調べれば津波の見積もりが小さすぎることはわかっていたのだから、危機管理は最悪の事態にも対処できるようにすべきなのに、あまりにも考えが甘すぎた。これに対し、東京電力幹部は、「原子力安全・保安院が具体的な判断基準を示さなかった」「評価が定まっていなかった」などを理由に挙げているが、国が判断基準を示さなかったから予測が難しかったのであれば(それもおかしいが)、「原発は、地震津波が起こった際には安全かどうかわからない」と説明すべきであって、「原発は安全だ」と説明してきた責任をあまりにも軽く考えすぎている。つまり、このような人たちに、当事者として原子力を扱う資格はないし、これまでの一連の行動に対する責任は当然あると思う。 *1:http://www.kahoku.co.jp/news/2013/01/20130101t63005.htm (河北新報 2013年1月1日) 福島原発事故 米特殊チームの情報生かせず「人災」地元怒り 東京電力福島第1原発事故を受けて日本に派遣された米特殊チームが収集したのは、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)で得られる予測値ではなく、実際の汚染度を示す実測値。住民避難の「指針」となるべき貴重な情報が生かされなかったことに、地元の怒りは収まらない。2012年7月、国会に参考人として出席した福島県浪江町議会の吉田数博議長は、原発から北西方向に高い放射線量が検出されたことを示す放射能汚染マップを見て、「(早期に)公表されていれば、多くの町民を放射能から守れたのではないか。無念さと同時に憤りを感じる」と政府対応を厳しく批判した。浪江町は中心部が第1原発の半径20キロ圏に入るが、北西部は20キロ圏外のため、一時は中心部から約8千人が北西部へ避難。その後、多くの人が町外へ移動したが、20~30キロ圏は屋内退避区域とされたことから、北西部にとどまった住民もいた。吉田議長は国会で「何の対策もデータも持たないわれわれには(米国の実測データは)得がたい情報であったはず。公開しなかったことは人災そのものだ」と怒りをあらわにした。最近の取材にも「政府は(汚染マップを)SPEEDIと同じようにとらえたのか。残念だ」と語気を強めた。当時、官房長官として危機管理に当たった枝野幸男氏は「(米データを活用していれば)屋内退避エリアの避難が早くなった可能性はある。なぜ政務まで上がってこなかったのか。本当に遺憾だ」と話した。 *2:http://mainichi.jp/select/news/20121230k0000m040061000c.html (毎日新聞 2012年12月30日) 福島第1原発:津波「過小評価」に注目 検察が任意聴取 東京電力福島第1原発事故の刑事責任の有無を捜査している検察当局が、東日本大震災発生前の08年に東電が15メートル級の津波を試算していたことに注目し、地震や津波の研究者から任意で事情聴取を始めたことが分かった。東電幹部らは業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発されており、検察当局は想定津波の科学的根拠を調べることで▽巨大津波は予見可能だったか▽事故は回避可能だったか、などの判断の中核に位置づけるとみられる。東電は、同原発への想定津波を最大6.1メートルと設定していたが、震災では10メートル以上の津波が到達。冷却用ポンプや非常用のディーゼル発電機が水没し、1〜3号機は全電源が喪失して炉心溶融(メルトダウン)や放射性物質拡散につながった。東電の事故調査委員会などによると、最大6.1メートルの想定津波は2009年2月、電力会社の研究者や大学教授らでつくる「土木学会」が策定した津波の計算式「津波評価技術」に基づき設定された。一方、その約8カ月前の2008年5〜6月に文部科学省の地震調査研究推進本部が発生の可能性を指摘した福島県沖の海溝沿いの地震津波についても社内で独自に検討。最大15.7メートルの津波を試算していた。しかし、東電幹部は15メートル級の津波について▽原子力安全・保安院(現・原子力規制委員会)が具体的な判断基準を示していない▽福島県沖の海溝沿いでは大きな地震は起きないとされていて評価が定まっていない−−ことなどを理由に、対策を先送りした。また、2008年12月ごろには、貞観(じょうがん)地震(869年)に伴う津波の論文に基づき、最大9.2メートルと試算したが、同様の理由から対策を見送っていた。 検察当局は、複数の科学者にそれぞれの想定津波の発生可能性や試算方法などについて詳しく事情を聴いている模様だ。その上で、より低い「最大6.1メートル」を想定津波と設定した判断が妥当だったかを見極めていくとみられる。【島田信幸、山本将克】 ◇予測の難しさ 立証の壁に 原発事故を巡っては全国の1万4000人余が、当時の東電幹部ら計33人について「津波の危険性を踏まえた対策や事故防止の注意を怠り、事故を発生させ住民らに被ばくによる傷害を負わせた」などとして業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発している。検察当局は来春をめどに刑事処分の判断を行うとみられるが、「起訴は困難」との見方が強い。 *3:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130102/k10014552111000.html (NHK 2013年1月2日) 被災地で新たに要介護者5万人 震災や原発事故で被害が大きかった東北3県の42の自治体では、震災が起きてから新たに介護が必要になった人は5万人余りに上り、今後、どのように支援していくかが大きな課題となっています。岩手、宮城、福島の3つ県の沿岸部と福島第一原発事故の影響で避難区域に指定されている地域の合わせて42の市町村では、震災が起きてから去年11月までに新たに介護が必要だと認定された人は、▽宮城県で2万9400人、▽福島県で1万6206人、▽岩手県で6609人と合わせて5万2215人に上っていました。このうち、津波や原発事故の影響で過去の記録が把握できない自治体を除く38の市町村では、去年9月までの1年間だけでも合わせて2万9094人が認定され、震災前の3年前の同じ時期と比べるとおよそ4000人、16パーセント余り増えています。市町村別では、▽福島県浪江町で震災前の3.1倍、▽富岡町で3倍、▽楢葉町で2.1倍と、いずれも原発の周辺の福島県の自治体で急増していました。被災地では長引く避難生活による体調の悪化や将来への不安などから、介護が必要な人がさらに増え続けることが予想され、健康対策や独り暮らしの高齢者の見守りなど、支援態勢の強化が求められています。 PS(2013.1.4追加):この記事を書いて後、下のHPを紹介して下さった方があったため追加するが、私は「やはり・・」と思った。大メディアは何をしていたのだろうか? つまり、記者や編集者は、どういう人材が担当していたのだろうか? *4:http://www.chibanippo.co.jp/c/newspack/20120303/71388 (ちばとぴ 2012年3月3日) SPEEDI予測「公表できない」 文科省文書に記載 東京電力福島第1原発事故5日目の昨年3月15日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測について、当時の高木義明文部科学相ら政務三役や文科省幹部が協議し「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書が作成されていたことが2日、同省関係者への取材で分かった。文科省は「事務方が作ったメモだが不正確。公表の具体的な判断はしなかった」と内容を一部否定している。事故直後のSPEEDIの試算公表をめぐる文科省の議事録などは公表されていなかった。
| 原発::2013.1~4 | 03:44 PM | comments (x) | trackback (x) |
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