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2013.1.17 それを報道したメディアにも責任があるのではないだろうか?
 私は、「オウム」や「アレフ」が国松孝次・警察庁長官銃撃事件を起こしたかどうかは知らない。しかし、*1のように、真犯人を検挙できず、裁判で証拠不十分になった件について、時効が成立してから公表することは、意味がない上、卑怯だ。そのため、東京地裁の判決は妥当だと思うが、100万円の賠償は、いつものことながら、損害と比較して低いと思った。

 しかし、メディアには「言論の自由」「表現の自由」があるから、何を書いても責任がないというのもおかしい。私は、証拠不十分で不起訴になった案件を、警視庁が、「オウムが敢行した組織的テロだった」と会見した時に、それを報道したメディアにも問題があり、メディアが報道しなければ、名誉棄損事件は予防できたと考える。つまり、誰かが容疑者になったら警察発表を鵜呑みにして報道する習慣になっているメディアにも大きな問題があり、誰でもこの被害者になる可能性はあるのだ。そして、本当は、裁判で判決が出るまでは、有罪か無罪かは不明であるにもかかわらず、メディアに容疑者として報道されただけで、すぐに、その人の人生は狂い、大きな被害を受けるという性格のものなのだ。仮に、数年後に裁判で「無罪」とされたとしても、その莫大な損害を取り戻すことはできない。従って、本人が望まない限り、容疑者の段階での報道は差し控えるべきだろう。

 そして、メディアも法務部などで、危うい記事に関しては、名誉棄損・侮辱・差別・人権侵害等を含む違法なものでないか否かについて、事前に法律家のアドバイスを受けておくのが正当な注意だ。相手が権力のあるなしにかかわらず、メディアが、売れさえすれば人権侵害や人格権の侵害をやってもよいという発想をしていたのでは、「表現の自由」「言論の自由」どころか、わが国の文化が劣化するからである。

*1:http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit2 (朝日新聞 2013年1月17日) 警視庁敗訴―当時の幹部に求償せよ
 恥の上塗りというほかない。オウム真理教の流れをくむ宗教団体「アレフ」がおこした裁判で、警視庁が敗訴した。国松孝次・警察庁長官銃撃事件の時効が成立した直後の2010年3月、警視庁公安部長が会見し、「オウムが敢行した組織的テロだった」と公表するなどしたことが、アレフの名誉を傷つけたと判断された。東京地裁は、所管する東京都に対し、賠償金100万円を教団に支払うことと、知事名の謝罪文を差し出すことを命じた。警視庁の完敗である。
 私たちは会見当時の社説で、警察のやり方を批判した。膨大な人手と費用、時間をかけながら犯人を検挙できなかったのに、失敗を棚にあげ、オウムの犯行と断じたのだ。こんな理不尽な行動がゆるされるようでは法治国家といえない。公権力が違法行為に進んで手を染めてどうするのか。判決理由にも「無罪推定の原則に反する」「わが国の刑事司法制度の基本原則を根底からゆるがす」といった、厳しく、かつ当然の言葉がならぶ。
 裁判で警視庁がくり広げた主張にもあきれてしまう。「仮にオウムの名誉を傷つけたとしても、アレフは別の団体なので賠償を求めることはできない」と反論したのだ。では、なぜアレフは、「オウム真理教の教義を広め、その実現を目的とする団体」として、法律にもとづく観察処分をいまも受けているのか。治安をあずかる機関がこんな支離滅裂なことを言う。信頼を著しくおとしめる行いである。一部の警察官の不祥事とはレベルが違う。捜査を主導した公安警察の失態を覆いかくし、組織の体面をただ守るための会見だったのは明らかだ。 かつて強調した「公表することの公益性」を、法廷で主張できなかったのも、説得力に欠ける言い分であることを自ら認めたからではないか。判決を受けいれ、これ以上恥を重ねるのを避けるべきだ。
 賠償金は東京都、つまり都民の税金から支出される。国家賠償法は、被害者がたしかに救済されるよう、責任は自治体が負うと定めているためだ。一方で、「公務員に故意や重大な過失があったとき、自治体はその公務員に対して求償できる」との条文もある。今回の公表行為は、まさにこの規定にあてはまるだろう。当時の警視庁幹部に支払いを求め、しっかりけじめをつける必要がある。都民に尻ぬぐいさせるのはおかしい。

| 報道の問題点::2012.11~ | 12:20 PM | comments (x) | trackback (x) |

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