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2013,02,01, Friday
*1のように、原子力規制委員会がまとめる安全基準は、原発を運転する以上、最低、守らなければならないルールだ。そのため、その基準に適合していない原発を稼動させるという発想自体、電力会社が、如何に住民の安全より経済性を大切にしているかという姿勢の現われである。
また、経済性についても、原発は安価で、天然ガスや再生可能エネルギーは高いという屁理屈を何度も聞いたが、それならば、原発もすべてのコストを電力会社で負担した上で、他のエネルギーと比較すべきである。実際には、私が、このブログの2012.9.2に記載したとおり、原発の本当のコストは他の発電方法と比較して、決して安いものではなく、国が負担している費用が多い。確かに、これまで国策だったので、福島第一原発事故の損害賠償費用等は、東京電力を主体としながらも、国がバックアップするのは妥当と言わざるを得ないが、それでも納得いかない点もあるだろう。 しかしながら、このブログの2012.9.15に記載したように、原発0シナリオを選んだ国民が87%もおり、その時の政府が少なくとも2030年代での原発ゼロを目標にすると決定したのだから、今後は、原発の維持は国策ではなく、原発維持のために国民の税金を使うのは妥当ではない。どうしても原子力で発電したい電力会社は、国策ではないのだから、一切の公害を出さず、公害を出したら自分で損害賠償できるように、事故時のための保険料も私企業として自らが支払うべきである。それが、他産業の通常のあり方だ。“安全”と主張する以上、保険料は安いと考えているのだろうから(皮肉)。 そして、発電コストの比較は、そこまでのすべての費用を電力会社が負担した上で、他の発電方法と同じ次元で比較して行うべきである。 PS(2013.2.2追加):*2では、「7号機でベントの基礎工事が始まり、他の号機も順次着手する予定」と記載されているが、廃炉にする原発に追加工事を行うのは、無駄以外の何ものでもない。どういう意図で、追加工事を行っているのだろうか。 *1:http://mainichi.jp/opinion/news/20130201k0000m070115000c.html (毎日新聞社説 2013年2月1日) 原発新安全基準 「猶予」で骨抜きにするな 原発の新しい安全基準の骨子を原子力規制委員会がまとめた。東京電力福島第1原発の過酷事故の背景のひとつに、安全基準の甘さがあったことを思えば、今回は、妥協は許されない。新基準は既存の原発にも適用される。大規模な改修が必要となる場合もあるだろうが、それにかかる時間やコストを考えれば規制がゆがむ。田中俊一・規制委員長は「コストのことは全く頭にない」と述べているが、当然のことだ。対応できない施設が淘汰(とうた)されていくのは健全な姿であり、規制委は今後も政治や行政、産業界からの独立性を貫いてもらいたい。新安全基準は、地震・津波対策も、設計基準や過酷事故対策も強化しており、その点は評価したい。福島の事故前は、津波に対する基準があまりにおざなりだった。新基準はこれを厳格にし、活断層の評価も従来よりさかのぼり約40万年前以降を考慮するよう求めている。地震の揺れだけでなく、断層のずれによる施設の損傷も考慮の対象となる。福島の事故では、すべての電源が長時間喪失し、原子炉が冷却できなくなった。新基準は、電源の多重性や多様性を求めており、電力事業者はしっかり受け止めてほしい。対策を取っても事故は起こりうるというのが福島の教訓であり、過酷事故対策を法的に義務づけたのも当然だ。航空機事故やテロ攻撃なども可能性が否定できない以上、考慮に入れる必要がある。安全基準が新たに求める免震重要棟のような「緊急時対策所」、放射性物質をこし取るフィルター付きベント装置、原子炉の冷却を遠隔操作できる第2の中央制御室など「特定安全施設」も必要不可欠だ。福島の事故では、免震重要棟が事故対策の拠点となった。これがなければ、事故はさらに拡大したに違いない。 一方で、気になるのが重要な施設の設置に対する「猶予期間」だ。規制委は地震・津波対策には猶予期間を置かない方針だが、緊急時対策所や特定安全施設、一部のフィルター付きベントなどについては、一定の猶予期間を設ける可能性がある。その際には、こうした重要施設が設置されないままに事故が起きた場合に、どう対策が取れるかが示されなくてはならない。納得のいく事故対策ができないのであれば、猶予を許すべきではない。電力事業者にも再認識を求めたいことがある。国の安全基準は最低限守るべき基本線であり、原発の安全を守る一義的な責任は事業者にあるという点だ。安全基準が厳しいと訴えるより先に、安全確保の決意を新たにしてほしい。 *2:http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/ (新潟日報社説 2013/2/2) 原発新安全基準 厳格な運用担保できるか 東京電力福島第1原発事故を踏まえ、原子力規制委員会が検討を進めてきた原発の新たな安全基準の骨子がまとまった。新基準は過酷事故対策と地震・津波対策から成る。意見公募を経た上で7月に施行される予定だ。新基準のハードルは高く、施行直後に再稼働を申請できる原発は極めて限られるとの見方が強い。火力発電などの燃料費が経営を圧迫し再稼働を急ぎたい電力業界は抵抗を強めている。 だが、安全神話をうのみにして対策を十分に講じなかったことが、放射性物質の大量放出と住民の暮らしを奪った一因であるという事実を忘れてはなるまい。むしろ、率先して安全性の向上を図る。電力業界にはそうした姿勢を望みたい。新基準では活断層の定義を「13万~12万年前以降に活動した断層」から「約40万年前以降」に実質的に拡大し、活断層の真上に原子炉など重要施設を設置できないとした。原発ごとに想定される最大規模の津波を設定し、防潮堤などの整備も求めている。事故時に原子炉格納容器の圧力を下げるために蒸気を排出するフィルター付きベント設備のほか、テロなどがあっても制御できるよう「特定安全施設」の設置も義務づけた。いずれも断層の再調査や大規模な改修工事が必要となり、対策に長期間を要する可能性が高い。場合によっては再稼働が困難となる原発も出てこよう。 注目されるのが柏崎刈羽原発だ。24万年前の前後以降に活動した断層が多数見つかっているのに加え、沸騰水型原発ではフィルター付きベントの設置が必須となったからだ。7号機でベントの基礎工事が始まり、他の号機も順次着手する予定だが、設備本体は設計中のため完成のめどは立っていない。断層も、重要施設に影響を与えるのかどうか、具体的な調査と審議はこれからだ。安全性が確保されない以上、運転停止が長期化したとしてもやむを得ないだろう。
| 原発::2013.1~4 | 05:37 PM | comments (x) | trackback (x) |
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