左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。
2013,02,22, Friday
図の説明 (*2より: ILO第98回総会(2009年)報告書「ディーセント・ワークの中心にあるジェンダー平等」から作成。報告書掲載国中、ILO100号条約(同一価値労働同一賃金)未批准国を除いて作成。なお、アメリカは、未批准国だが除外せず)
私は、*1の「女性の賃金は平成元年には男性の60%の水準でしたが、去年は70%と男性との格差がこれまでで最も少なくなり、女性は現在の方法で調査を始めた昭和51年以降、最も高くなりました」というNHKの報道を見た時に違和感を感じたが、それは、如何にも女性にとって福音であり、労働市場における男女差別がなくなったかのような言い方だったからである。 しかし、真実は、*2のように、「日本のように男女の賃金格差が30%以上ある国は世界では少なく、2007年のILO総会では日本の男女賃金格差の問題が議論された」「日本は、同一価値労働同一賃金を定めたILO100号条約にもとづく格差是正が求められる状況である」「ILO総会で、同一価値労働に対する同一の報酬を、法律上も事実上も積極的に促進するようにという強い要請が日本政府に対して行われた」「2008年3月にも、ILO条約勧告適用専門家委員会が日本の男女賃金格差問題に対し、批判と勧告を出している」という状況なのである。NHKを始めとする日本のメディアは、このようなことには全く触れないが、この男女間の報酬格差が、まさか、男女の職業能力の差に比例してきたとか、女性にチャレンジ精神や働く意欲、リーダーシップがなかったなど、女性の側に起因してきたとは言えるまい(皮肉)。 また、*1によると、厚生労働省は「依然として9万円余りの男女の賃金格差があるのは、フルタイムで働く女性には賃金が低い非正規の人が多いためだ。しかし、正社員の女性も増えており、徐々に格差が減少しているのではないか」と楽観的な分析をしており、①男女の労働者の賃金格差が非常に大きい状態を放置し ②非正規社員も女性が多くなるように放置し ③同一価値労働同一報酬の原則を十分に反映した法律案も作らず、④日本には、同一価値労働同一報酬の原則を反映するために必要な職務・労働の客観的要素にもとづいての比較が実施されていないことに対して、厚生労働省の労働基準監督署が正面から対応して改善した形跡もない。 そして、*3のように、非正規社員としてしか採用されないような人が独立して行っている事業の「賃金未払い」や「長時間労働批判」ばかりを行ってきたのであるが、現在は蟹工船の時代とは状況が全く変わっているため、現在の矛盾を正していくべきだったのである。 *1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130221/k10015688551000.html (NHK 2013年2月21日) 女性の賃金が過去最高に 格差縮小 月給から時間外手当などを除いた去年の賃金は、女性が平均で23万円余りとこれまでで最も高くなり、男性との賃金格差が最も少なくなったことが厚生労働省の調査で分かりました。 厚生労働省は従業員が10人以上いる全国の4万9000余りの事業所を対象に、月給から時間外や休日出勤の手当などを除いた去年6月分の賃金を調査しました。その結果、フルタイムで働く正社員と非正規の人の賃金は、平均で29万7700円で前の年よりも9000円増え、5年前のリーマンショックで大きく下落したあと3年連続で増加しました。男女別では、男性は32万9000円、女性は23万3100円で、女性は現在の方法で調査を始めた昭和51年以降、最も高くなりました。女性の賃金は平成元年には男性の60%の水準でしたが、去年は70%と男性との格差がこれまでで最も少なくなりました。 また、短時間勤務やパートで働く人の1時間当たりの賃金は、男性は前の年より2円上がって1094円、女性は前の年より13円上がって1001円で、女性は初めて1000円を超え、男女、共に過去最高となりました。 厚生労働省は「依然として9万円余りの男女の賃金格差があるのは、フルタイムで働く女性には賃金が低い非正規の人が多いためだ。しかし、正社員の女性も増えており、徐々に格差が減少しているのではないか」と分析しています。 *2:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-06-06/2009060605_01_1.html 男女の賃金格差 日本の異常くっきり ILO報告書にみる 日本の女性と男性の賃金の格差は深刻だと、国際機関から批判されていますが、開会中の国際労働機関(ILO)第98回総会に提出されている報告書でも、日本の実態を浮き彫りにするデータが示されています。 <男女間賃金格差 30%以上は、世界で少数> 報告書のタイトルは、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の中心にあるジェンダー(男女)平等」。そのなかで、国別の男女賃金格差の指標が世界地図入りで紹介されています。国際労働組合総連合(ITUC)が作成したものです。これまで世界規模のデータはなく、ITUCによって、初めて、職業別男女間の平均賃金格差に関する世界的なデータ収集が試みられたとしています。日本の場合、男性の賃金を100とすると、女性はその66・6%しかなく、世界地図には、賃金の男女格差(100から66・6を引いた)33・4%が記載されています。この指標が大きいほど格差が大きいということになります。日本以外の“経済先進国”を見ると、カナダが27・5%、アメリカが22・4%、EU(欧州連合)が平均で15・9%、オーストラリアが14・1%となっています。 「日本のように、男女の賃金格差が30%以上あるのは、世界では少ない。2年前の2007年のILO総会では、日本の男女賃金格差の問題が議論されました」と話すのはILO駐日代表の長谷川真一さん。日本は、同一価値労働同一賃金を定めたILO100号条約を批准しており、条約にもとづく格差是正が求められます。この総会では、同一価値労働に対する同一の報酬を、法律上も事実上も積極的に促進するようにという強い要請が、日本政府に対して行われました。2008年3月にも、ILO条約勧告適用専門家委員会が、批判と勧告を出しています。世界の多くの国が平均して男性の賃金の7割から9割の水準にあり、格差は1~2割程度です。さらに格差の是正をめざしています。長谷川さんは、「条約にもとづく同一賃金の徹底が求められています」と強調します。 <2008年のILO勧告> 2008年3月に、ILO条約勧告適用専門家委員会から出された批判と勧告の内容は次の通りです。 ●男女労働者の賃金格差が非常に大きい状態が放置されていること ●政府によるパートタイム労働法とその改正が、男女の賃金格差の削減に役立っているかどうか 疑問があること ●日本には、同一価値労働同一報酬の原則を十分に反映した法律が存在しないこと、日本には、 この原則に必要な、男女の職務や労働を、客観的要素にもとづいての比較が実施されている かどうか疑問があること ●委員会として、日本政府に対し、男女同一価値労働同一報酬の原則を規定するための法改正 の措置をとることを求めること ●間接差別の排除についても、日本の現状には、政府の決めた指針の内容も含めて、大きな問 題点があること *3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2323426.article.html (佐賀新聞 2012年11月6日) 賃金不払い容疑、総菜店経営者を書類送検 佐賀労働基準監督署は6日、最低賃金法違反(賃金不払い)の疑いで、総菜販売業を営んでいた小城市牛津町内の男性(61)を佐賀区検に書類送検した。書類送検容疑は昨年9月~今年6月までの間、従業員=当時=12人に対し、賃金総額約431万円を支払わなかった疑い。同労基署によると、男性は小城市内で営業していた。売り上げが落ち込み、今年6月に廃業した。
| 男女平等::2011.12~2013.5 | 10:01 AM | comments (x) | trackback (x) |
|
PAGE TOP ↑