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2013,04,02, Tuesday
過去100日間の震央分布 東日本のγ線空間線量率 (ブルーは平常値で茶色は高い場所) この頃、*1、*2のように、原発維持や再稼働のための動きが激しいが、「原発は、安全で、コストが安く、クリーンだ」などとする屁理屈は、いい加減にやめるべきだ。国民は、それほど馬鹿ではない。 なお、*3のように、電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」を2018~2020年をめどに実施することを柱とした電力制度改革方針が閣議決定されたのは、よいニュースだった。 *1:http://www.shinmai.co.jp/news/20130330/KT130329ETI090002000.php (信濃毎日新聞 2013年3月30日) エネ基本計画 福島を出発点に据えよ 経産省の総合資源エネルギー調査会が、新たなエネルギー基本計画の策定に向けて議論を再開した。有識者による総合部会がその場である。安倍政権の意向を受け、原発維持を盛り込んだ新計画を年内にまとめる可能性が高い。論点が安定供給やコスト低減など経済性に傾き過ぎている。暮らしの安全、持続可能性、将来世代への責任、市民参加や地域分散などの観点がないがしろではないか。論議はあくまで福島の原発事故を出発点にすべきだ。計画は中長期的な指針で3年ごとに見直す。現行は2010年6月の策定。CO2排出削減を理由に原発推進を明記した。 原発事故を受け、民主党政権が調査会の基本問題委員会で議論を進めた。だが、脱原発派と維持派の対立から意見が集約できないまま政権交代した。総合部会は基本問題委員会の委員のうち、脱原発派の多くが排除された。再稼働を目指す安倍政権の意向をくんだとみられる。 今月中旬の第1回会合で、部会長の三村明夫・新日鉄住金相談役が安定供給とコスト低減を強調。経産省が示した主な論点には、原発再稼働を見据え、使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクル政策の在り方まで掲げた。化石燃料の輸入増と貿易収支の赤字を理由に、安易に原発依存に回帰すれば、エネルギー政策を過去に後戻りさせるだけだ。地域分散の再生可能エネルギー普及や省エネに欠かせない発送電分離は自民党総務会で了承されたものの、反対論は根強く、後退する恐れは消えていない。 総合部会では、「3・11を踏まえリアルでポジティブな原発のたたみ方を考えるべきだ」「将来世代への責任を果たすのが課題」といった意見も出た。意見聴取会や討論型世論調査など市民参加のプロセスがエネルギー政策に初めて取り入れられた。民主党政権が掲げた「2030年代の原発ゼロ」目標は、曲がりなりにも民意の反映である。脱原発を打ち出し、具体的な道筋を示す。それが民意を受けた基本計画の進むべき道だろう。2022年末までの原発全廃を決断したドイツは、メルケル首相の諮問を受けた倫理委員会が脱原発を打ち出した。委員は哲学者、宗教家、社会学者ら広範な分野の知識人だ。原発は文明、社会の在り方や倫理にかかわる。その認識は福島を経験した日本こそ肝に銘じなければいけない。 *2:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-204660-storytopic-11.html (琉球新報社説 2013年4月1日) 東電最終報告 再稼働の免罪符にするな 東京電力は、福島第1原発事故について「天災と片付けてはならず、防ぐべき事故を防げなかった」と総括し、経営陣の意識改革などの対策を盛り込んだ原子力部門改革の最終報告書をまとめた。自戒や反省の文言こそ並ぶが、東電が経営再建の柱と位置付ける柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を強く意識していることは疑いようがない。東電の広瀬直己社長は「過信やおごりを一掃し、安全の取り組みを根底から見直す」と強調したが、企業体質の変革につながるかは不透明と指摘せざるを得ない。報告書は原発事故について「炉心溶融し、広域に大量の放射性物質を放出させる深刻な事故を引き起こしたことを反省する」と、過酷事故の引き金となった全電源喪失を招いた責任を認めた。原発の再稼働差し止めを求める住民訴訟などで、東電は「想定外の津波が原因」と主張していただけに、従来よりは、踏み込んで自らの責任に言及したとは言える。 しかし、事故原因については津波が来る前に地震により配管が破損した疑いも消えておらず、今回の報告をもって一件落着とはいくまい。低姿勢で殊勝な態度に見えるからと言って、閉鎖的で官僚的と指摘された企業体質が改善されたと見るのは早計だろう。実際、事故から2年が経過した3月18日に第1原発で発生した停電は、公表が3時間遅れ、全面復旧までに2日を要した。公表遅れは、原子炉への注水に異常がなく水温が制限値に達するまでに時間的余裕があったためとされる。報告書は、この点についても「立地地域の心情への感度が著しく鈍く考え方や判断の尺度が社会とずれていた」としたが、これは2年前の過酷事故を招いたおごり、過信と同根ではないか。これでは原発事故から何も学んでいないと批判されても言い訳できまい。経営再建に向け東電改革は不可欠だが、最終報告書が、原発再稼働に向けた免罪符にはならないと認識すべきだ。東電の企業体質が変わったと、社会に認められたいのならば、被害者と真摯(しんし)に向き合い、賠償や除染、廃炉など事故収束に向け、今まで以上に誠実に取り組む必要がある。それこそ旧態依然の「電力ムラ」「原子力ムラ」と決別する覚悟が求められる。巨大な事故リスクを伴う原発事業からの撤退も選択肢から排除すべきではない。 *3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013040202000239.html (東京新聞 2013年4月2日) 「発送電分離」18~20年に 閣議決定 政府は二日、電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」を二〇一八~二〇年をめどに実施することを柱とした電力制度改革方針を閣議決定した。電力システムの改革に必要な電気事業法を今年から三年連続で改正して段階的に進める。まず、今国会の法改正に各地域の電力会社の垣根を越えて電力を融通する「広域系統運用機関」を一五年に設立することを盛り込む。続く一四年の改正では現在は大手電力会社が地域独占している家庭向けの電力販売を一六年から自由化し、新規参入を認める。さらに改革の仕上げとなる一五年の改正では発送電分離の実施と料金規制完全撤廃を打ち出す。販売の自由化は、各電力会社が独自に料金やサービスを決め、消費者は購入先の電力会社を選べるようになることを目指す。茂木敏充経済産業相は二日の記者会見で「消費者にとって多様な料金メニューの選択肢の幅が増え、最終的に支払う料金の低下にもつながる」と述べた。 ただ、競争を進めるには、誰もが公平に送電網を使える発送電分離が不可欠だが、既得権を失う電力会社や、その支援を受ける一部の自民党議員は慎重姿勢を崩さない。政府が党に提示した「一五年の国会に提出する」とした改革案も、一部議員の反発で「提出を目指す」と努力目標に後退させられている。改革の本丸である発送電分離に向けた改正法案提出は二年後になるため、その間に「骨抜き」が進む恐れもある。 <電力システム改革> 電力市場の新規参入を促し、価格やサービスの競争で消費者の利益を拡大しようとする改革。企業向けに限定されている電力小売りの自由化の範囲を家庭向けに拡大する全面自由化と、大手電力の発電部門と送配電部門を別会社にする発送電分離が2本柱となる。いずれも欧米に先行事例があるが、安定供給ができなくなったり、自由化で料金が上がったりする恐れもあるなどの慎重論もあり、実現していなかった。
| 資源・エネルギー::2013.4~2013.10 | 06:08 PM | comments (x) | trackback (x) |
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