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2013.4.9 汚染水漏出問題は、海への排出をしないという前提のない杜撰な環境意識の下で生まれたものである。このような行動主体を信用してよいわけがない。
   
                *1より                         *3より
(1)国及び東京電力に、放射性物質を海に流さないという基本方針はあったのか?
 *1のように、3枚の遮水シートを敷いただけの貯水池に汚染水を貯めていたのだから、もともと、放射性物質を決して漏らさず海に流さないという基本方針はなかったと思われる。何故なら、遮水シートの耐久性は長くはなく、貯水池の構造があまりにも貧弱だからだ。そして「水漏れの予兆」というべき異変があった時にも、東電は水漏れを否定する方向で調査を進めていたのだから、「絶対に自然界に出さない」「海に流さない」という意識はなかったと考えるのが妥当である。

(2)放射性物質を含む水は危険だと言う認識はあるのか?
 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は七日の会見で、「あらためて整理すると(水位の低下を)確認できるが、日々の作業で認識するのは難しい」と語ったそうだが、それでは、測っていたこと自体が無駄である。さらに、*2によれば、漏れた量は推定百二十トンと書かれているが、雨で増えた水量もあるので、減った水量のみが流れ出した水量ではない筈だ。これらを総合して考えれば、危険な毒物を排出しないように管理しているという意識がない。

(3)今後、汚染水をどうするつもりなのか?
 *2によれば、「福島第一には大小七つの貯水池が造られ、合計容量は五万八千トンで、処理水は、放射性セシウムの大半が除去されているが、ストロンチウムなどは残っている」とされる。これでは、環境に排出することは不可能であり、今後も溜めていくしかない。しかし、処理するというのは、環境に排出できるレベルまで処理することであり、そうでなければ意味がない。いったい、いくらかけて処理設備を導入し、今後、どれだけの期間にどうするつもりなのか、明らかにすべきだ。これは、最初に予算を使って処理設備を導入する時から見えていなければならない展望であるため、「うっかり・・」「試行錯誤で・・」「結果論だ」などという言い訳を聞く必要はない。

(4)土中にしみ込んだ汚染水が海に流れることに関する意識の低さ
 *3の「土壌に漏れれば海へ出るという可能性は考えていなかった」、*4の「貯水槽の外側で放射性物質が検出されて初めて気がついた」などというのは、土中にしみ込んだ汚染水は、地下水となって海に流れ込むことについて少しも考えていない。こういう人が広報をやっているのだから、他の人の意識も推して知るべしである。現在、日本の環境基準では、毒物を環境に排水してはならず、毒物を出す企業は、浄水してから排水しなければならない(http://www.env.go.jp/chemi/tmms/lmrm/02/ref02.pdf#search='%E6%97%A5%E6%9C%AC+%E6%AF%92%E7%89%A9%E3%81%AE%E6%8E%92%E6%B0%B4'参照)。日本では、政府と東電が揃って、これに反する行為を行っているのだから、とうてい中国を批判できるような状況ではない。

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013040890070131.html
(東京新聞 2013年4月8日) 東電予兆問題視せず 別貯水池も汚染水漏出
 東京電力福島第一原発の地下貯水池から、高濃度汚染水を処理した水が漏れた事故で、東電は先月二十日ごろには、貯水池の水位がじりじり下がり、池の遮水シートの近くで微量の放射性物質も計測しながら、水漏れの予兆を見逃していたことが分かった。早期に水漏れを疑って対応していれば、漏出量は最小限にとどめられた可能性が高い。東電の危機管理のあり方が問われる。東電の資料によると、問題の貯水池の水位は三月十日前後から不安定になり、二十日ごろには明らかな下降線をたどった。今月五日の公表時には、最高値だった時より0・5%下がっていた。
 東電は遮水シートの内外で放射性物質の濃度も測っている。これまで計測されなかったのに、二十日には、微量ながら放射性物質を計測していた。二つの小さな異変を「水漏れの予兆」と疑うべきだが、東電は逆に、水漏れを否定する方向で調査を進めていた。その根拠としたのが塩素濃度だ。シートの外側では、処理水に含まれる塩分を検知する塩素濃度も常時、計測している。水が外に漏れていれば上昇するはずの外側の値が、二十日の時点では大きな変化はなかったことから、このときは「水漏れはない」という判断に傾いたという。
 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は七日の会見で「あらためて整理すると(水位の低下を)確認できるが、日々の作業で認識するのは難しい。危機意識が足りなかった」と述べた。一方、東電は水漏れがあった貯水池の東側に隣接する別の貯水池でも、処理水が漏れていると明らかにした。この貯水池にも処理水約一万一千トンが貯蔵されている。シート外側で採取した水から一立方センチメートル当たり二〇〇〇ベクレル前後の放射性物質と塩素が計測された。東電は、漏えい量は〇・三~三リットルとみている。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013040690135415.html
(東京新聞 2013年4月6日) 福島第一 漏出汚染水120トン 「収束」後、最悪
 東京電力福島第一原発の地下貯水池から、高濃度汚染水を処理した後の水が漏れ出した問題で、東電は六日、漏れた量は推定百二十トンと明らかにした。周辺の地盤に流出した可能性が極めて高い。汚染水の漏出量は二〇一一年十二月に政府が「事故収束」を宣言して以来最大の規模となった。地下の貯水池は、上空に送電線があって地上タンクを造りにくい土地を有効利用するために考案され、地下に深さ数メートルの穴を掘り、三重の遮水シートを施工する方式。
 福島第一には大小七つの貯水池が造られ、容量は計五万八千トン。うち三つの貯水池には既に計二万七千トンの処理水が入っている。処理水は、放射性セシウムの大半が除去されているが、ストロンチウムなどは残っている。水漏れが確認されたのは、三つのうちの一つで、入れられている水量は一万三千トン。三日にシート外側の状況を確認した際、未検出だった放射性物質が検出されたため調べたところ、五日になって一番外側のシートの内側で採取した水から、一立方センチメートル当たり約六〇〇〇ベクレルの放射性物質を確認。塩分濃度も高かったことから、塩分を含む処理水が内側二層の遮水シートを越えて漏出していることが分かった。三層目の外の地盤でも、同二〇~三〇ベクレルの放射性物質が検出されている。漏れが確定的となり、東電は六日朝、隣接する未使用の貯水池に、一万三千トンの処理水を移す作業を始めた。移送完了には五日以上かかる見通し。

*3:http://mainichi.jp/select/news/20130406k0000e040187000c.html
(毎日新聞 2013年4月6日) 福島第1原発:汚染水漏えいで会見 終始苦しい説明
 東京電力福島第1原発の地下貯水槽から汚染水が漏えいした問題で、東電は6日未明から昼にかけて記者会見を2回開いた。最初の会見は、6日午前1時半に開始。終始苦しい説明に追われた。4月3日に貯水槽の外側から採取した水から微量の放射性物質が検出されたが、原子力規制委員会への報告も、会見もしなかったことについて、記者から「本店や現場で漏えいを疑わなかったのか」と問われ、尾野昌之原子力・立地本部長代理は「外部からの影響の可能性などに頭がいっていた。後から振り返ってみれば、証拠が出た時に発表していればよかったなと申し訳ないところもある」と弁明した。東電は、貯水槽の水位が4センチ下がったことについても「誤差の範囲」と認識したと振り返り、「土壌に漏れれば海へ出る可能性があると考えなかったのか」との質問には、「おっしゃる通り。(報告が遅れて)申し訳ない」と陳謝した。その一方で、記者から「薄いシートではなく、なぜもっと頑丈なものにしなかったのか」と問い詰められた尾野本部長代理が、「反論はしないが結果論の部分もある」と言い返す場面もあった。

*4:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG08011_Y3A400C1CR0000/?dg=1
(日経新聞 2013/4/8) 福島第1原発の汚染水漏れ、半月以上気づかず
 東京電力福島第1原子力発電所の地下貯水槽(容量1万4千トン)から汚染水が漏れた問題で、最初に漏洩が発覚した貯水槽では3月10日すぎから、水位が下がり始めていたことが分かった。東電が予兆を見逃し、4月5日まで漏洩を確認できなかったという。外部への放射性物質の流出量もまだ確定されていない状況だ。今回、最大で120トンの汚染水が漏れだしたとみられるのは7つある貯水槽のうちの1つ。1月に完成し、2月上旬から汚染水を入れ始め、ひと月かけて満水にした。その直後から水位が変動し始め、3月中旬以降は下降傾向が続いた。
 3月3日には容量の95%だった水位が、4月4日には94.5%まで下がった。貯水槽の外側で放射性物質が検出されてはじめて漏洩に気づいたという。ほぼ毎日、水位の計測を続けながら漏洩を見逃していた理由について、東電は「差が少ないので評価ができなかった」と弁明する。だが水位を記録したグラフからは明らかに右肩下がりの変化が読み取れる。一方、7日には隣接する別の同型貯水槽(容量1万1千トン)からの汚染水漏洩も発覚した。発見のきっかけは隣の槽での水漏れを受けた調査だった。こちらの貯水槽からの漏洩量は3リットル程度とみられている。全体の漏洩量について東電は最大120トンと見積もっているが「他のデータとの整合性がとれず、まだ確定できない」としている。

| 原発::2013.1~4 | 04:38 PM | comments (x) | trackback (x) |

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