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2013.5.7 日本は、労働条件や社会意識における男女平等で、他国より30年遅れている。(2013年5月14日最終更新)
        
      農業で働く女性        パイロットの女性     ハリス州司法長官(アメリカ)

 *1、*2、*3は、比較的、雇用における女性差別の問題点を正しく指摘しているが、以下のように、女性差別の原因を本人や家族の努力不足、理解不足のせいにしている点で正しくない。その理由は、女性差別は、正確には、雇用の調整弁として行われ、安価な労働力を確保するために便利に使われてきたものであり、うまく搾取されてきた女性やその家族に問題があるのではないからである。また、私が、このブログの2012年10月27日に記載しているとおり、世界では女子差別撤廃条約が1979年に第34回国連総会において採択され、1981年に発効して、わが国は1985年に最初の男女雇用機会均等法を作って、同年、その条約に批准した。そして、その後、他国は真面目にその対応を行ったにもかかわらず、わが国では、それを骨抜きにするための行動が多かったため、わが国の男女平等は他国より30年遅れた。その間、厚生労働省や労働基準監督署がこの骨抜きに対抗するため尽力したかと言えば、全く尽力していない。その総合的な結果が、現在の状態を導いたのである。

(1)「女性の社会進出=パートタイマー、時間と場所を選ばずに仕事ができる環境」は正しいか?
 *3に、「主婦の能力を引き出すには、時間と場所を選ばずに仕事ができる環境を整えることも必要」「主婦が働くことに対し、夫など家族が理解する機運も重要」と書かれているが、これは、安価な労働力として主婦を使う方法を正当化している。何故なら、多くの主婦は、他の選択肢があってパートタイマーになっているのではないからである。また、その底には、「主婦の女性は家庭責任を負っており、仕事は夫の手助け程度」という前提があるが、実際には、夫婦のどちらがより大きな「家庭責任を負うか」「所得獲得責任を負うか」は、働いた場合の夫婦の所得獲得能力の違いや社会の受入態勢で決まっており、主婦が働くことを夫が理解しないのではなく、家庭全体の所得を考慮した結果が出ているのだからである。

(2)なぜ、わざわざ「なでしこ」と命名しなければならないのか?
 *1の「東京証券取引所が女性社員を積極的に登用し、経営効率も高い「なでしこ銘柄」として花王など17社を選定した」というのはよいことだと思う。しかし、ここにどうしてわざわざ「なでしこ」と命名したのだろうか。そう命名した理由は、多分、社会進出をして上昇志向の女性は、「大和なでしこ(日本女性を可憐で繊細だが、心は強いナデシコの花に見立てて言う美称)」ではないという批判があるからだろうが、日本女性がすべて「可憐」で「繊細」であるわけがなく、それを押し付ける文化こそジェンダーであって、なくすべきものなのである。例えば、私自身は、毅然としてことに当たり、細かいことにはこだわらないが、これは公認会計士というプロフェッショナルとして重要な資質であるため、「繊細で可憐だが心だけ強い」などという先入観があれば、それは公認会計士としての能力と矛盾し、迷惑なわけである。

(3)管理職比率に男女差が生じることに女性の責任があるか?
 *2に、「なぜ管理職比率の男女差が生じるのか。採用や配置、仕事配分、人事評価など雇用の本質部分に、男女を差別する考え方が根強くはびこっている現実が透けて見える」と書かれており、これは正確な事実だ。それだからこそ、改正男女雇用機会均等法では、採用、配置、昇進、退職で差別してはならないと義務付けた。しかし、その男女雇用機会均等法改正後、企業は、女性労働者をパートタイマーにしたり、派遣労働者に置き換えたりして、男女雇用機会均等法で守られるべき女性の範囲を狭めたのである。そして、それを是として支える制度及び文化が、(1)及び(2)なのだ。

 *2の「周囲の目を気にして女性が管理職登用を辞退するケースもある。女性の側にも、責任ある立場を敬遠しないなど、男女共同参画社会に向け新たな一歩を踏み出す覚悟が必要だろう」というのは、責任転嫁の居直りも甚だしい。気にしなければならない「周囲の目」があるとすれば、それが女性差別を是とするジェンダーであり、なくすべきものはそれなのである。

 また、「女性の側にも責任ある立場を敬遠しないなど、男女共同参画社会に向け新たな一歩を踏み出す覚悟が必要だろう」と、女性に積極性、上昇志向、責任感がないかのような批判も述べられているが、私は、完全に積極性も上昇志向も責任感もあり、男性以上に努力もした上で、評価上の差別を受けたことがある。つまり、賃金格差や管理職割合の格差があることの責任を女性に転嫁するのは、すべての取り扱いが平等になってからにすべきだということだ。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130416&ng=DGKDASFS15046_V10C13A4EA2000
(日経新聞 2013.4.16)女性の登用、情報開示促す 内閣府・5証取、役員数など企業に要請
 内閣府と東京証券取引所など全国5証券取引所は企業で働く女性の活躍ぶりを示す情報の公開を強化する。全国の証券取引所が上場企業に提出を義務付けている「コーポレート・ガバナンス報告書」の中で、女性役員の人数や役員会における男女別の割合などの情報の開示を推奨する。女性登用の「見える化」に向け、各証取は近く全上場企業に要請を始める。
 現在、同報告書で情報を開示するのは女性の登用に積極的な一部の企業に限られる。経済同友会が大企業を中心に昨年実施したアンケートでは取締役のうち女性は2.6%、管理職(課長級以上)も4.6%にとどまった。東証などは今月中にも新たに公表を求める項目の様式をまとめたガイドラインの送付を始める。実際に情報を公開するかは企業側の判断に委ねるが、女性を登用する企業ほど株式市場で評価される仕組みを整え、浸透を促す方針。政府は女性の活躍の場を広げるには情報開示を通じた「企業トップや社会全体の意識改革が必要」(内閣府男女共同参画局)とみている。情報開示が進めば、投資家が女性登用の具体的な取り組みを把握しやすくなり、投資する際の目安にもなる。東京証券取引所は2月から、女性社員を積極的に登用し、経営効率も高い「なでしこ銘柄」として花王など17社を選定し、個人投資家などを市場に呼び込むプロジェクトも実施。政府は資本市場の動きも通じ、女性の登用を促す。各証取の動きに合わせて、内閣府は今年度から全上場企業を対象に働く女性に関する情報公開のモニタリング調査を初めて実施する。

*2:http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2013/04/20130422s01.htm
(河北新報 2013年4月22日) 男女賃金格差/「4月15日」の現実を知ろう
 日本をはじめ世界約100カ国に活動拠点を置く女性団体・国際BPW(ビジネス・プロフェッショナル・ウーマン)が「イコール・ペイ・デー」という世界共通の基準を作り、男女の賃金格差是正に向けキャンペーンを展開している。「イコール・ペイ・デー」は「同じ賃金を手にする日」と訳される。男性が1年間働いて得られる賃金を、女性はどの程度働けば手にできるかを分かりやすく表す指標だ。日本BPW連合会によると、2013年の日本の「イコール・ペイ・デー」は4月15日だった。
 男性が昨年12月末まで1年間で得た賃金を、女性は1年働いただけでは得られず、男性より3カ月と15日間、余計に働いてようやく手にできるという計算だ。女性の賃金が男性に比べいかに低い水準にあるかを、実感を伴って教えてくれる。昨年が「4月16日」だったので、1日分だけ男女格差が縮まったことにはなるが、先進国の中ではスイス(3月7日)、フランス(同15日)、ドイツ(同23日)、米国(4月12日)などに後れを取っている。日本の男女賃金格差は、厚生労働省も頭を悩ます社会問題だ。企業と経済界はもう一段高い意識レベルを持ち、格差解消に真剣に取り組むべきだ。厚労省の統計によると、昨年の月額平均賃金は男性32万9000円に対し、女性23万3100円と10万円近い開きがあった。男性賃金に占める女性賃金の割合は70.9%にとどまる。
 賃金格差を生む大きな原因とされるのが、男女間における平均勤続年数と管理職比率の違いだ。賃金の男女差別は違法行為であり、各職場とも制度面では男女平等の原則が確立されているが、運用面では依然として改善の余地が多いと言える。女性の勤続年数が男性より短いのは、結婚や出産・子育てで退職する人が多いためだ。育児休業制度の普及で、仕事と子育てを両立する環境は整いつつあるものの、職場によっては、育児休業を取得しにくい状況が続いているとみられる。
 一方、企業の課長担当職以上や管理的公務員といった管理職のうち、女性の占める割合は10年の統計で10.6%だった。米国は42.7%、ドイツは37.8%、英国は34.6%に上り、日本は他の先進国に大きく水を開けられている。なぜ、管理職比率の男女差が生じるのか。採用や配置、仕事配分、人事評価など雇用の本質部分に、男女を差別する考え方が根強くはびこっている現実が透けて見える。経済団体が先頭に立ち、企業トップの意識改革を大胆に図ることが根本的な改善に不可欠ではないか。小さな職場では、周囲の目を気にし、女性が管理職登用を辞退するケースもあるという。女性管理職に理解ある職場の雰囲気づくりが重要なのはもちろん、女性の側にも、責任ある立場を敬遠しないなど、男女共同参画社会に向け新たな一歩を踏み出す覚悟が必要だろう。

*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130506&ng=DGKDZO54695670V00C13A5TJE000
(日経新聞 2013.5.6)労働参加見劣り 7割弱 30代女性
 政府は4月、成長戦略の一環として「女性の活躍」を掲げた。保育所の充実などを通じ、出産や育児で離職しがちな女性の就業率を高める。「少子高齢化が進むなか、女性の潜在力を引き出すことは企業や社会の活力につながる」(厚生労働省雇用均等政策課)。総務省の調査によると、日本の女性の労働参加の割合(労働力率)は2010年に30~34歳と35~39歳がいずれも60%台。70%を超す20代後半、40代、50代前半に比べると低い。30代は子育てなどに忙しい時期だが、欧米やシンガポールなど70~80%台の国も多い。
 政策に加え、企業側も産前産後や育児のための休暇の充実やキャリア形成の支援を進めるとともに主婦らを戦力に生かす工夫が求められる。「主婦が働くことに対し、夫など家族が理解する機運も重要」(福井ナビット社長)という。人件費などコストを大手企業ほどかけずに質の高い商品やサービスを提供することで成長をめざすベンチャー企業にとって、十分に発掘しきれていない主婦の活用がカギになる可能性がある。主婦の能力を引き出すには、時間と場所を選ばずに仕事ができる環境を整えることも必要だ。クラウドワークス(東京・渋谷、吉田浩一郎社長)は企業から注文を受けた業務をインターネットを通じて在宅者らに依頼する「クラウドソーシング」を手がける。同社は4月、ベネッセコーポレーションが運営する子育て中の主婦ら400万人が登録するコミュニティーサイト「ウィメンズパーク」で仕事の情報の提供を始めた。

| 男女平等::2011.12~2013.5 | 06:50 PM | comments (x) | trackback (x) |

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