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2013.6.13 過去のエネルギーである原発を、世界で止めるのが日本の使命である。
  
東京新聞2013.1.24    海洋汚染       朝日新聞2013.3.10

 私も、*4のように、原発は、1)潜在的な危険性が高く 2)放射性廃棄物の最終処理の道筋が確立しておらず 3)仮に確立できたとしても十万年以上の長い管理が必要とされる高コストのエネルギーであり 4)原発の負債を負うのは現在世代の人間にとどまらず将来世代の人間もである という理由で、速やかに脱原発すべきだと考える。

 そのため、*3のように、菅元首相が、2013年6月4日、最悪の場合は、東京都を含め5000万人が避難しなければならない事態となり、日本が国としての機能を長期間失う可能性すらあったと、米環境保護団体主催のパネル討論会で指摘したのは、遅すぎたくらいだと思っている。

 そのような事態を、大メディアで報道されずとも、東北・関東在住の国民は察していた。それだからこそ、*2のように、経済成長の大義名分の下でも、原発の利用に59%の人が反対しているのである。これを無視して、原発再稼働、原発輸出を進めるのは、あまりにも鈍感と言わざるを得ない。一旦、理解した時には、開発途上国の国民でも、原発の輸出を進めた日本に対し、感謝するどころか恨みを持つだろうから、相手国のためを思いやり、わが国との関係を親密にする見識の高い判断にはならないだろう。

 そのような中、*1は、全く妥当であり、福島第1原発には、1本で約300キロの核燃料が、1~3号機の原子炉に1496本、1~4号機の使用済み核燃料プールに3106本もあったのである。これだけでも、如何にわが国の原子力関係者がリスクに無頓着だったかがわかるが、その上、事故の後始末の方法すら準備されていなかったのであるから、これで、安心、安全な原発などできるわけがなく、一刻も早く、*4の脱原発基本法案を成立させて原発から撤退するのが、わが国の使命であると考える。

*1:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-207887-storytopic-11.html
(琉球新報社説 2013年6月12日) 後退する脱原発 「福島の教訓」が泣く 
 原子力発電から脱却する電力政策が後退し、大きくきしんでいる。そんな中、東京電力福島第1原発の廃炉に向けた改定工程表が公表された。東日本大震災による未曾有の事故で、原子炉に残された溶けた核燃料を取り出す開始時期を、従来計画の2021年末から最大で1年半前倒ししている。だが、廃炉完了の予定時期は「30~40年後」とした計画に変更はない。1、2号機では最速で2020年度前半に核燃料取り出しを始めるとしているが、3号機を含めて溶融燃料が原子炉格納容器周辺のどこにあり、どんな状態にあるのかさえ確定していない。その上、燃料を取り出すクレーンなどの機材の開発が大前提となるが、そのめども立っていない。そのような段階で、打ち出された工程表の実現可能性は未知数だ。各号機の現状を踏まえて作業日程を提示したというが、楽観的にすぎないか。
 未曾有の事故に見舞われた福島第1原発には、1本で約300キロに及ぶ核燃料が、おびただしい量残されている。1~3号機の原子炉に計1496本、1~4号機の使用済み核燃料プールに計3106本もある。原子炉内の燃料は固まりとなっている可能性が高い。原子炉内にとどまる約450トンの放射性物質の巨大な塊を削り取り、回収する作業には、遠隔で操作する高度な機材とその技術が必要となる。絵に描いた餅になりかねないのに、7月の参院選に向けて、安倍政権が原発事故の収束に向けた前進を印象付けようとする思惑はないだろうか。疑念が浮かぶ。
 安倍晋三首相は来日したフランスのオランド大統領と会談し、新興国への原発輸出の推進や、事実上の破綻状態にある核燃料サイクル政策での連携を盛り込んだ共同声明を出した。その直前の5月末には、インドのシン首相と、原発輸出を可能にする原子力協定の早期妥結で合意している。福島の原発事故の収束は見えず、除染や被災者の帰還時期も定まらないにもかかわらず、首相は国民の約7割が支持する脱原発に背を向け、原発温存政策に血まなこになっている。それは、拙速な廃炉工程表の前倒しと地続きだ。民意がないがしろにされ、唯一の被爆国として非核を誓ったはずの平和国家の名が泣いている。

*2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201306090137.html
(朝日新聞 2013年06月10日) 経済成長に原発利用、「反対」59% 朝日新聞世論調査 
 朝日新聞社が8~9日に実施した全国定例世論調査(電話)によると、日本経済の成長のためだとして原発を積極的に利用する安倍政権の方針について、反対が59%に上り、賛成27%を大きく上回った。
●質問と回答(6月8、9日実施)
 停止している原発の運転再開の賛否も聞くと、やはり反対は58%で、賛成28%と大きく差がついた。安倍首相は5日、成長戦略の第3弾を発表。この中に「原子力発電の活用」や「安全と認められた原発の再稼働」を盛り込んだが、原発に対する有権者の抵抗感はなお根強いようだ。
また、「安倍首相の経済政策で、日本経済が成長することを期待できると思うか」と尋ねると、「期待できる」51%が「期待できない」33%を上回った。ただ、「安倍首相の経済政策が賃金や雇用が増えることに結びつくと思うか」と聞くと、「結びつく」が36%にとどまり、「そうは思わない」が45%。「安倍政権になってから景気が回復したという実感があるか」という質問では、「ない」78%が「ある」18%を大きく引き離した。安倍内閣の支持率は59%で、前回の5月定例調査の65%からやや下がった。不支持率は20%(前回18%)だった。
 いま投票するとしたらとして聞いた参院比例区投票先は、自民45%、民主7%、みんなの党6%、日本維新の会5%、公明5%、共産4%など。今夏の参院選で、「参議院全体で自民党と公明党の議席が過半数を占めた方がよいと思うか」と尋ねると、「占めた方がよい」51%、「占めない方がよい」34%。一方で、「自民党に対抗できるような大きな政党があった方がよいと思うか」と聞くと、「あった方がよい」が71%に上り、「そうは思わない」は21%にとどまった。
   ◇
〈調査方法〉 8、9の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は3444件、有効回答は1781人。回答率は52%。

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2476012.article.html
(佐賀新聞 2013年6月5日) 菅元首相、米で脱原発を訴え / 「人類は核と共存できず」
 脱原発を掲げる米環境保護団体が4日、西部サンディエゴで開催したパネル討論会に、東京電力福島第1原発事故が発生した当時に首相だった菅直人氏が参加、「人類は核エネルギーと共存できないと考えるに至った」と述べ、世界が脱原発に向けてかじを切るべきだと訴えた。菅元首相の秘書によると、菅氏が海外で原発に反対するイベントに参加するのは2011年の首相退任後初めて。菅氏は事故の直後に、最悪の場合として東京都を含めて5000万人が避難しなければならない事態も想定したと指摘。「日本が国としての機能を長期間失う可能性すらあった」と振り返った。

*4:http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18001039.htm
第一八〇回  衆第三九号  脱原発基本法案
 東日本大震災における原子力発電所の事故から学び取るべきものは何か。世界で唯一の原子爆弾の被爆国でありながら、虚構の安全神話の下で推進してきた我が国の電力政策の見直しが、その重要な課題であることは論をまたない。原子力発電は、潜在的な危険性の高さにおいても、放射性廃棄物の処理においても、信頼性及び安全性が確保されたエネルギーではない。一旦事故が起これば幾多の人々が故郷を追われ、働く場を失い、家族を引き裂かれるのみならず、周辺地域や国民経済に与える甚大な被害や人々の不安と恐怖を考えれば、むしろエネルギーとして、極めて脆(ぜい)弱なものであった。原子力発電所において重大な事故が発生した場合に被害を受けるのは、原子力発電の利益を享受している現在の世代の人間にとどまらない。将来の世代の人間も、その事故に起因する数々の危険にさらされる。また、事故が発生しなくても、いまだに放射性廃棄物の最終処理の道筋が確立しておらず、仮に確立できたとしても、十万年以上の長い管理が必要とされる。原子力発電所の事故がもたらす重大な影響を知った我々は、今こそ「脱原発」の意思決定をする責務がある。
 一方、今後の我が国は、低炭素社会を目指すとともに経済の活力を維持することが不可欠である。省エネルギーを一層推進すること、再生可能エネルギー電気を普及させること、発電方式等を高効率化すること、エネルギーの地産地消を促進すること等と併せ、原発立地地域の経済雇用対策も重要である。このような状況に鑑み、原子力発電を利用しなくなることに伴う各般の課題への適確な対応を図りつつ、原子力発電を利用せずに電気を安定的に供給する体制を早期に確立することは緊要な課題である。ここに、我々は、国家として「脱原発」を明確にし、その確実な実現を図るため、この法律を制定する。

以下は、「続き▽」をクリック

 (目的)
第一条 この法律は、原子力発電所の事故による災害が発生した場合に国民の生命、身体又は財産に重大な危険が生ずること及び経済社会に及ぼす被害が甚大になること、原子力発電の利用を継続した場合に使用済燃料(原子炉において燃料として使用された物質をいう。以下同じ。)の長期にわたる保存及び管理が一層困難となること等に鑑み、脱原発について、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、脱原発のための施策に関する基本的な計画について定めることにより、できる限り早期に脱原発の実現を図り、もって国民の生命、身体又は財産を守るとともに国民経済の安定を確保することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において、「脱原発」とは、原子力発電を利用しなくなることに伴う各般の課題への適確な対応を図りつつ、原子力発電を利用せずに電気を安定的に供給する体制を確立することをいう。
2 この法律において、「再生可能エネルギー電気」とは、太陽光、風力等の再生可能エネルギー源を変換して得られる電気をいう。
 (基本理念)
第三条 脱原発は、遅くとも、平成三十二年から平成三十七年までのできる限り早い三月十一日までに実現されなければならない。
2 脱原発を実現するに当たっては、電気の安定的な供給に支障が生ずることとならないよう、かつ、二酸化炭素の排出量の増加ができる限り抑制されるよう、省エネルギー(エネルギーの使用の合理化をいう。以下同じ。)が一層推進されるとともに、再生可能エネルギー電気及び天然ガスを熱源として得られる電気の利用の拡大が図られるものとする。
3 脱原発を実現するに当たって生ずる原子力発電所が立地している地域及びその周辺地域の経済への影響については、その発生が国の政策の転換に伴うものであることを踏まえ、適切な対策が講じられるものとする。
4 脱原発を実現するに際し、発電の用に供する原子炉は、その運転を廃止するまでの間においても、最新の科学的知見に基づいて定められる原子炉等による災害の防止のための基準に適合していると認められた後でなければ、運転(運転の再開を含む。)をしてはならないものとする。
 (国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、脱原発を実現するための施策を総合的に策定し、脱原発を実現するため、省エネルギーの推進並びに再生可能エネルギー電気及び天然ガスを熱源として得られる電気の利用の拡大のために必要な政策を推進するとともに、脱原発を実現するに当たって生じ得る原子力発電所を設置している電気事業者等(以下「原子力電気事業者等」という。)の損失に適切に対処する責務を有する。
2 国は、前条の基本理念にのっとり、脱原発を実現するに当たって原子力発電所が立地している地域及びその周辺地域における雇用状況の悪化等の問題が生じないよう、エネルギー産業における雇用機会の拡大のための措置を含め、十分な雇用対策を講ずる責務を有する。
 (地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、国の施策を当該地域において実施するために必要な施策を推進する責務を有する。
 (原子力電気事業者等の責務)
第六条 原子力電気事業者等は、第三条の基本理念にのっとり、第八条第一項に規定する脱原発基本計画に基づいて、脱原発を推進する責務を有する。
 (法制上の措置等)
第七条 国は、この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改廃を行わなければならない。
2 政府は、この法律の目的を達成するため、必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
 (脱原発基本計画)
第八条 政府は、脱原発を計画的に推進するため、脱原発のための施策に関する基本的な計画(以下「脱原発基本計画」という。)を定めなければならない。
2 脱原発基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 発電の用に供する原子炉の運転の廃止に関する事項
 二 電気の安定供給を維持し、及び電気料金の高騰を防ぐために必要な措置(省エネルギーの推進及び化石燃料の適切な調達を含む。)に関する事項
 三 再生可能エネルギー電気及び天然ガスを熱源として得られる電気の利用の拡大並びにエネルギー源の効率的な利用に関する事項
 四 発電に係る事業と変電、送電及び配電に係る事業との分離等の実施に関する事項
 五 発電、変電、送電又は配電の用に供する施設によって構成される電力系統の強化等の電気の供給に係る体制の改革に関する事項
 六 発電の用に供する原子炉の運転の廃止を促進するための原子力電気事業者等への支援その他脱原発を実現するに当たって生じ得る原子力電気事業者等の損失への対処に関する事項
 七 原子力発電所が立地している地域及びその周辺地域における雇用機会の創出及び地域経済の健全な発展に関する事項
 八 使用済燃料の保存及び管理の進め方に関する事項
 九 発電の用に供する原子炉の廃止に関連する放射性物質により汚染された廃棄物の処理、放射性物質による環境の汚染への対処、原子炉において燃料として使用される物質の防護等のための措置に関する事項
 十 発電の用に供する原子炉の廃止及び前号に掲げる事項に係る原子力に関連する技術並びにその研究水準の向上並びにそのための人材の確保に関する事項
 十一 その他脱原発の実現に関し必要な措置に関する事項
3 内閣総理大臣は、脱原発基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定により脱原発基本計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては、当該行政機関)と協議するものとする。
5 原子力規制委員会は、前項の規定により内閣総理大臣に協議を求められたときは、必要な協力を行わなければならない。
6 内閣総理大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、脱原発基本計画を公表しなければならない。
7 第三項から前項までの規定は、脱原発基本計画の変更について準用する。
 (年次報告)
第九条 政府は、毎年、国会に、脱原発基本計画の実施の状況に関する報告書を提出しなければならない。

   附 則
 この法律は、公布の日から施行する。

     理 由
 できる限り早期に脱原発の実現を図り、国民の生命、身体又は財産を守るとともに国民経済の安定を確保するため、脱原発について、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、脱原発のための施策に関する基本的な計画について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
| 資源・エネルギー::2013.4~2013.10 | 03:28 PM | comments (x) | trackback (x) |

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