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2013.7.26 原発事故の被害を意図的に小さく見せると、それが原因で病気になった人が、保障を受けられずに苦しむということ
   
ストロンチウム分布(朝日新聞)     海の汚染(東京新聞)       フクイチ3号機爆発 

 原発推進派の中には、「原発事故で亡くなった人はいない」と言う人がいるが、*1のように、もともと健康だった人が甲状腺癌などの原発由来の病気になり、心配しながら生きていかなければならないこと自体が、既に大きな被害である。その上、*1では、「放射線の影響を明らかに示すものではない」として、原発事故由来であることを曖昧にしている。しかし、その気があれば、福島原発事故の影響を受けなかった西部地域で同じような母集団について同様の検査をして比較すれば、福島県の「県民健康管理調査」の結果が原発事故由来か否かは、すぐに判明する筈である。

 *2の意図的な甘さは、癌が増えるのは100ミリシーベルト以上の被曝をした人としていることである。実際には、生物の反応は正規分布になるので、100ミリシーベルト以上になると突然癌が増えるのではなく、なだらかなカーブを描いて増加する。このブログの2013.6.18の*2で引用したとおり、原発労働者は、累積被ばく線量5~130ミリシーベルトの被曝で白血病、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫として労災認定を受けている。

 *3の楢葉町井出の井出川河口付近で表面放射線量の高い破片4点が発見されたのは、福島第1原発事故の爆発で飛散したものと考えるのが自然だが、やはり「引き続き調べる」として曖昧にしている。これも、いつまでも不明としている点がおかしい。

 そのような中、*4の盛岡市(福島第一原発から約250km)の対応は、遅ればせながら適切である。実は、私の自宅の埼玉県(福島第一原発から200~250km)でも、屋内で0.15~0.25マイクロシーベルトを記録しているが、埼玉県は何の対応もしていないばかりか、放射線量を測ってすらいない。アメリカ政府は、事故直後、原発から80km圏内の米国人は退避するよう指示していたが、チェルノブイリ事故の際は風向きによっては最大600kmまで濃度の高い放射性物質が拡散したとのデータがあり、距離だけではなく風向きも重要な要素である。これからは、きちんと放射線量を計測して、年間1ミリシーベルトを超える場所は公表してもらいたい。何故なら、それによって、福島第一原発事故の本当の被害や原発のコストが明らかになるとともに、原発事故が原因で病気になった人がその保障を受けられるからである。

*1:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/science/article/7847
(西日本新聞 2013年6月5日)  甲状腺がん「確定」12人に 福島18歳以下、疑いは15人
 東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会が5日、福島市で開かれ、甲状腺がんと診断が「確定」した人は前回2月から9人増え12人に、「がんの疑い」は15人になったとの結果が報告された。甲状腺検査は、震災当時18歳以下の約36万人が対象。これまで1次検査の結果が確定した約17万4千人の内訳を、調査主体の福島県立医大が説明した。前回2月の検討委では、がん確定は3人、疑いは7人だった。検討委の星北斗座長は、記者会見で「現時点では放射線の影響を明らかに示すものではないと理解している」と述べた。

*2:http://www.asahi.com/national/update/0719/TKY201307180504.html
(朝日新聞 2013年7月19日)甲状腺被曝、公表の10倍 福島第一作業員、半数未受診
 東京電力福島第一原発事故で、がんが増えるとされる100ミリシーベルト以上の甲状腺被曝をした作業員が、推計も含め2千人いたことが分かった。対象を広げ詳しく調べ直したことで、昨年12月の公表人数より10倍以上増えた。東電は、大半の人に甲状腺の異常を調べる検査対象となったことを通知したというが、受検者は半数程度にとどまるとみられる。作業員の内部被曝の大部分は事故直後の甲状腺被曝だ。だが、厚生労働省も東電も、全身の線量だけで作業員の健康を管理しており、甲状腺被曝の実態把握が遅れている。国の規則が全身の被曝線量の管理しか求めていないためだ。東電は昨年12月、一部の作業員の甲状腺被曝線量を初めて公表した。世界保健機関(WHO)に報告していた、実測値のある522人のデータで、100ミリシーベルト以上の人は178人、最高は1万1800ミリシーベルトとしていた。東電はこれをきっかけに、対象を広げ、甲状腺の線量をきちんと実測しなかった作業員についても、推計した。さらに今年に入り、東電からデータの提供を受けた国連科学委員会が、作業員の甲状腺被曝線量の信頼性を疑問視していることが判明。厚労省も、東電と関連企業に内部被曝線量の見直しを指示した。実測値を再評価したほか、体内に入った放射性ヨウ素の量がはっきりしない場合、セシウムの摂取量をもとに、作業日の大気中のヨウ素とセシウムの比率などから推計した。この結果、100ミリシーベルトを超えた作業員は1973人と分かった。中には、線量見直しで甲状腺被曝が1千ミリ以上増えた人もいた。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の経験などから、甲状腺に100ミリ以上の被曝をすると、がんのリスクが高まると考えられている。従来は、40歳以上はがんが増えにくいとされていたが、最近は40歳以上でもリスクが増えるとの報告も出ている。  東電広報部は「甲状腺被曝線量が100ミリを超えていた作業員全員に対し、東電の負担で生涯、年1回の甲状腺の超音波検査を行う。検査対象者にはすでに通知した」としている。検査を受けた作業員の割合は確認中というが、関係者によると、甲状腺検査を受けた作業員は半数程度にとどまっている。
     ◇
〈甲状腺被曝(ひばく)〉 主に吸入などで体内に入った放射性ヨウ素による内部被曝。100ミリシーベルト以上被曝するとがんが増えるとされるが、チェルノブイリ原発事故では50ミリシーベルト以上でがんが増えたとの報告もあり、予防目的で甲状腺被曝の防護剤を飲む国際基準は50ミリシーベルトだ。

*3:http://www.minyu-net.com/news/news/0724/news11.html
(2013年7月24日 福島民友ニュース) 高線量は原発事故原因 楢葉で発見の破片4点
 避難指示解除準備区域となっている楢葉町井出の井出川河口付近で表面放射線量の高い破片4点が発見された問題で、東京電力は23日、破片に付着した放射性物質が福島第1原発事故によるものとする推定結果を発表した。破片に放射性物質が付着した経緯は不明で、水素爆発などで飛散したのかなどを引き続き調べるとしている。東電によると、破片に付着した放射性セシウムの量は、半減期の長いセシウム137が、半減期の短い同134に比べて多かった。このセシウム量の比率が、事故から2年後に検出されるセシウムの比率の試算と一致したため原発事故が原因と判断した。また4点のうち、最も表面線量が高かったのは長さと幅が約2センチ、厚さ約0.1センチのゴムシートのような破片で、毎時3万6千マイクロシーベルトあった。

*4:http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20130726_4
(岩手日報 2013/7/26) 盛岡市、除染基準を厳格化 多数の施設超過か
 盛岡市は空間の放射線量の除染基準を引き下げ、従来の「日常の生活空間毎時0・23マイクロシーベルト以下」、「雨どいの下など局所的に高い空間同1マイクロシーベルト以下」をいずれも「毎時0・19マイクロシーベルト以下」とした。県内市町村では最も厳しく、全国でもトップ級の厳しさ。大幅引き下げとなる局所的空間では基準超えが相次ぎ、今後多数の施設を除染することになる。市環境企画課によると、市内の小中学校、保育所、公園、学童保育クラブなど878施設を昨年測定したところ、従来基準を上回った施設はなかったが、新基準に照らすと局所的空間では164施設が上回った。基準引き下げに伴い、市は今年6月から、廃止した1施設を除く163施設を再測定。これまで測定を終えた約70施設の約7割に当たる約50施設が局所的空間で0・19マイクロシーベルトを超え、同課は「相当数の施設が新基準を超える」とみている。土壌調査は今月から学校や公園約270施設で行い、数値を公表する。 市は5月に基準を引き下げたが公表していなかった。市環境企画課の桜正伸課長は「従来の基準でも健康に悪影響を及ぼすことはないが、不安に思う市民のためより安心感を高めようという措置」と語り、公表しなかったことについては「測定の途中であり、除染の規模や方法を見定めた上で公表したいと考えていた」と説明する。

| 原発::2013.7~9 | 07:50 PM | comments (x) | trackback (x) |

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