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2013.8.15 菅元首相が視察したことを問題にする前に、それならば東電は独自で対応できたのか。
 
            2013.8.9 朝日新聞より                2013.8.7 日経新聞より

(1)事故の事実は開示されていたのか
 2011年3月12~15日に東電福島第1原発が爆発して2年5ヶ月が経過しているが、事故の真相は未だ国民には知らされておらず、爆発した原発の地下や核燃料がどうなっているのかわからない。しかし、高濃度汚染水は確実に海洋に流出しており、経産省の担当者は、「汚染水は、事故直後から流出している可能性も否定できない」と言うが、東電が汚染水海洋流出の事実を認めたのは2013年7月であり、都合の悪い事実は隠していた。*5には、「恐れるべきは、この責任者が、国なのか東電なのか、はっきりしないことである」と書かれているが、国は、東京電力からの情報に基づいて対応しているため、東京電力が正確な情報を適時に国や地方自治体に開示していたか否かは重要な問題である。

(2)汚染水対策は的確だったのか
 そのような中、*3に書かれているように、海への流出防止のために薬剤で土を固めて地下に設置した「土の壁」を越えて、汚染水は海に流出している。その土の壁は、地表から深さ約1・8メートルまで作ったもので、横も上も閉じていないため、横と上から汚染水が流れ出ている。また、*2に書かれているように、地下水の水位が上昇した分、貯水槽が40センチ浮いたそうだが、これらは、やってみるまでもなく当然のことである。そういう土の壁を作ると地下水の流れを止めることができるというのは、誰の発案で実行に移されたのだろうか。無駄な税金を使ったのだから、責任追及すべきだ。

 次は、*4、*5に記載されているように、「抜本対策の切り札として、経済産業省と政府が原発1~4号機の周囲1.4キロの土壌を凍らせて地中に壁を作り、地下水の流入を抑制する『凍土遮水壁』で地下水を阻止する」とのことである。しかし、永久凍土地帯でもないのに、原発周囲の大量の地下水に熱を与えられ、これが成功するわけがない。人の生命線である社会保障を減らし、消費税率を上げようと言いながら、このように何も産まない無駄遣いばかりするのはいい加減にすべきだ。「大事なのは、一刻も早く汚染水の流出を止めることだ」と記載されているが、それならば、原発周囲に、コンクリートで遮水壁を作るべきだろう。結局、水で冷やし続ける方法は破綻したのだから。

(3)菅元首相が視察に行って邪魔したからベントができなかったというのは言い訳だ
 *5のように、いざという時には、「東電だけで事態を打開するのが困難だから、国が税金を使って前面に出よ」という声になるにもかかわらず、東電は、(1)でも明らかなように、菅元首相に適時、的確に情報を伝えたとは思えない。そのためもあって、菅元首相は視察に行ったのだと思う。それで邪魔されたからベントができなかったなどというのは東電の言い訳にすぎないが、*1によれば、「菅元首相が東日本大震災が起きた翌日に福島原発の視察を強行した」という理由で刑事責任を問うた人がいるので驚いた。何故なら、言いがかりも甚だしいからである。首相は、何も知らずに金だけ出せとでも言うのだろうか?それでは、国民が困る。

 しかし、勝俣前東電会長や東電関係者は、①事実や情報を正確に伝えなかった ②事故の対応が的確でなかった ③シビア・アクシデントを想定外にしていた などの理由で、業務上過失致死等の罪に問われるのは当たり前であり、急に与党となっていた民主党の菅元首相とは事情が違うだろう。

*1:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2533169.article.html
(佐賀新聞 2013年8月14日) 菅元首相、原発事故刑事責任ない / 告訴・告発で検察に文書提出
 東電福島第1原発事故をめぐり、業務上過失傷害容疑などで福島県の住民らから告発された菅元首相が「事故直後の対応に問題はなかった」と自身の刑事責任を否定する文書を14日、弁護士を通じて検察当局に提出した。 菅元首相は東日本大震災が起きた翌日に福島原発の視察を強行したとして批判を浴びた。関係者によると、提出した書面では、当時の対応を時系列で詳細に説明し、原子炉格納容器の圧力を下げるベントについては「視察前に東電側の要請を受けて了承しており、対応に問題はなかった」と主張したという。 検察は、勝俣前東電会長ら東電関係者も含む約40人について不起訴処分にする見通し。

*2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130813-00000032-asahi-soci
(朝日新聞デジタル 8月13日) 貯水槽40センチ浮く 福島第一原発、地下水の浮力か
 東京電力は13日、福島第一原発で4月に汚染水が漏れた地下貯水槽が最大40センチ浮き上がったと発表した。周囲を流れる地下水によって浮力が生じたことが原因とみられる。汚染水は地上タンクに移送され、貯水槽は空だった。東電は、新たな汚染水の漏れはないと説明している。東電によると、高濃度の汚染水が入っていた3号貯水槽(縦56メートル、横45メートル、深さ6メートル)が最大約40センチ浮き上がり、5、6号機の建屋地下の低濃度汚染水を入れていた4号貯水槽(縦40メートル、横25メートル、深さ6メートル)も最大約15センチ浮き上がった。3、4号貯水槽は、いずれも1~4号機の建屋の山側にある。1日千トンの地下水が流れているという。貯水槽周辺の地下水位は4月から1メートル程度上昇したという。対策として東電は、地下貯水槽の上に50センチほどの砂利を敷き、重しにする。ゲリラ豪雨などで急に地下水位が上がった場合は、地下貯水槽の周囲の井戸から地下水をくみ出し、別の地下貯水槽に移すという。

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2530705.article.html
(佐賀新聞 2013年8月10日)  土の壁越え、原発の汚染水流出 / 地下水上昇し海側に
 福島第1原発の汚染水流出問題で、東京電力は10日、海への流出防止のため地下に設置した「土の壁」から約2メートル山側の地下水の水位を測ったところ、壁を越える高さだったと発表した。周辺の地下水からは高い濃度の放射性物質が検出されており、東電は「汚染された水が壁を乗り越えて海側に流出している可能性が高い」としている。土の壁は護岸の地盤を薬剤で固めて、汚染水が海へ流れ出さないようにする仕組みだが、地表から深さ約1・8メートルまでは薬剤がうまく注入できず壁をつくることができないため水が通過する。これに対し、10日に測定された地下水の水位は地表から深さ約1・2メートル。

*4:http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201308&storyid=50440
( 南日本新聞 2013.8.10 ) [汚染水対策] 東電に任せておけない
 東京電力福島第1原発の汚染水が海に流出している問題で、安倍晋三首相が「東京電力に任せるのではなく、しっかりと対策を講じる」と政府主導で対応する考えを明らかにした。経済産業省は、2014年度予算の概算要求に原子炉建屋への地下水流入防止策の関連費用を盛り込む方針だ。認められれば、汚染水対策で初の国費投入である。汚染水の流出が明らかになったのを受け、東電は護岸の土壌改良など防止策を急いでいるが、効果は不透明だ。加えて、敷地内の汚染水は毎日400トンのペースで増え続けているのに、対策の決め手はない。東電の汚染水対策は事実上、破綻している。
 このままでは海洋への汚染拡大が懸念される。責任を負うべき東電だけで事態を打開するのは困難だ。国が前面に出て、汚染水の封じ込めに全力を挙げてほしい。政府は、原発敷地内から毎日300トンの汚染水が海へ流出しているという試算を公表した。原発周辺で1日約1000トンの地下水の流れがあり、そのうち、地下にたまった高濃度の汚染水と混ざって汚染された水が、海へ漏れ出しているとみている。経産省の担当者は「事故直後から流出している可能性も否定できない」という。事故からもう2年5カ月になる。東電が海洋流出の事実を認めたのは先月のことだ。あまりに遅すぎると言わざるを得ない。問題を放置し、対策を講じてこなかった責任は重大である。政府は抜本対策の切り札として、原発1~4号機の周囲1.4キロの土壌を凍らせて地中に壁を作り、地下水の流入を抑制する「凍土遮水壁」に期待している。汚染水が増え続ける原因となっている地下水を阻止する作戦だ。ただ、これほど大規模な施工例はなく、効果は見通せない。工事費は300億~400億円、冷却のための維持費も膨大という。国費を投入する以上、実効性を慎重に検証する必要がある。そもそも汚染水問題は、原発事故直後の11年4月に超高濃度の汚染水漏れが見つかった時からの懸案である。廃炉計画を進めるにもこの問題の解決が欠かせない。安倍政権は発足直後から政府主導の廃炉対策推進を掲げてきたが、具体的な取り組みは遅れた。東電の対策の遅れを放置してきた責任も、国は重く受け止める必要がある。大事なのは、一刻も早く汚染水の流出を止めることだ。国は総力を結集して、具体的で実効性のある対策を講じなければならない。

*5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013081002000135.html (東京新聞 2013年8月10日) 福島原発対策 国際海洋汚染の自覚を
 何と恐ろしい話だろう。今この瞬間にも、放射能に汚染された地下水が海に流れ込んでいる。政府試算では、その量は一日三百トンにも上る。流出の元を誰かが断たねば、海洋汚染は広がるばかりだ。目の前の漁場を汚され、生活の糧を奪われ、なすすべもない漁師の心中は、察するに余りある。流出がこのまま続けば、英国の石油資本BPによる三年前のメキシコ湾原油流出事故を上回る、国際海洋汚染事件に発展する恐れもあるのではないか。九日の長崎平和宣言は「東京電力福島第一原発事故は、いまだ収束せず、放射能の被害は拡大しています」と訴えた。止められない汚染水は、被害拡大の象徴ではないか。恐れるべきは、この拡大の責任者が、国なのか東電なのか、はっきりしないことである。
 経済産業省は、1~4号機の周りにパイプを巡らせ、マイナス四〇度の冷却材を循環させて、凍土の壁で囲い込み、地下水の流入を食い止める計画に、国費を投入するという。トンネル工事に用いられる工法だが、これほど大規模な遮水工事に効果があるかどうかは未知数だ。事故直後から構想はありながら、実行に移されてはいなかった。冷却材を循環させ続けねばならず、電力も費用もかかる。恒久的な対策とは思われない。
 水の流れを、地中で完全に遮断するのは難しい。遮水工事を進めるのと同時に必要なのが、流出する地下水を減らす方法を見つけることだ。地下水の建屋への流入経路と、汚染水となって海へ広がる流出経路を突き止めて、完璧にふさいでしまうための調査こそ、必要なのではないか。建屋の周辺では、高い放射線量があらゆる作業を阻む、だとすれば、例えば日本のものづくり技術を総動員して、遠隔操作で探査や作業ができるロボットの開発を急ぐべきではないか。誰が費用を負担するかを議論しているような場合ではない。東電の負担なら電力料金に跳ね返る。国費なら税金だ。結局、負担するのは国民なのだ。その国民も、両者がそれぞれに全力を挙げ、一刻も早く汚染水の流出が止まり、廃炉への作業が安全に進むよう願っている。国費をつぎ込む以上、研究や作業の進み具合を、周辺住民はもちろん、国民すべてに速やかに報告すべきは、言うまでもない。

| 原発::2013.7~9 | 03:31 PM | comments (x) | trackback (x) |

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