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2013,08,20, Tuesday
*1より (1)誰のどの政策を決めたかったのに、決められなかったというのか *1に、①政府・与党は工程表に盛り込んだ改革内容を具体化するため、社会保障制度改革国民会議の後継組織として新たな有識者会議を年内にも設置する検討に入った ②党内に根強い給付減・負担増への慎重論をけん制する狙いがある と書かれており、これは本当であろうが、選挙で選ばれた国会議員を馬鹿にしている。 ①のような組織や審議会は、政府(縦割りの省庁の集まりであるため省内のやりくりが多く、国民の方を向いていない)が作った政策を、高名な学者が、多少の意見は言うが権威付けする目的で答申するものであり、②は、国民から選挙で選ばれた自民党の政治家が、有権者からの要望や意見を踏まえて給付減・負担増に対して慎重な意見を発しているものである。従って、日本国憲法によれば②の方が重いのだが、②を①に合わせるように行動しているということであり、その中心となっている野田毅委員長は、財務省出身の自民党議員だ。これでは、何のために選挙しているのかわからない。 また、*2に、「野田佳彦首相は、1月の施政方針演説で『決められない政治からの脱却』を訴え、民主、自民、公明の3党合意で、消費増税関連法が成立し、『決める政治』への期待が芽生えた」と書かれているように、決められないからいけないと言われた政策は、財務省由来の消費税増税と社会保障の削減だったわけである。しかし、これは、国民が望んでいない政策だから決められなかったのであって、松下政経塾出身の野田佳彦首相が、「決められない政治からの脱却」を訴えたのは、単に財務省の方針を丸暗記して演説しただけで、政治家としての誇りも論理的思考もない。 (2)国会議員の役割は何か 第二次世界大戦後に定められた日本国憲法では、前文の最初に、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し(中略)主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と書かれている。すなわち、主権者は国民であって、選挙で選ばれた政治家が有権者の意見を反映して決めていくということが明記されているのであり、”有識者”会議や省庁には何の権限もないため、(1)の②を①に合わせるように行動することや、*1、*2のようなメディアの論調はおかしいのである。 (3)では、どういう議員が生き残って継続的に当選しやすいのか *1には、「7月の参院選で関係業界団体から支持を集めた党側が、自ら歳出抑制を言い出すのは難しい」と書かれているが、歳出抑制しなければならないのは、200兆円も支出するといわれている公共事業である。しかし、生き残りやすい議員の第一は、地元に公共工事をひっぱってきて地元業界団体から応援を受ける議員であって、社会保障を守る議員ではない。 次に、財務省出身の野田毅議員は、「いま生きている有権者の顔だけ見ていてはいけない。借金に頼ってきた社会保障財源には限界がある」と呼び掛けたそうだが、本当は、日本の借金1000兆円の多くは、社会保障ではなく、景気対策を口実とした1円当たり効率の低い公共事業によって作られたものが多い。そのため、現在生きている人間を幸福にしない視点を持つ人が、将来生きる人間の幸福をだしにするとはおこがましいが、生き残りやすい議員の第二は、各省庁の代弁をする省庁出身の議員である。 そのほかにも、生き残りやすい議員の類型はいくつかあるが、決して本物の民主主義に資する議員が生き残りやすいのではないということを添えて、その内容は、次にまわそう。 *1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130820&ng=DGKDASFS1902Z_Z10C13A8PP8000 (日経新聞 2013.8.20) 社会保障改革へ新会議 負担増への露払い役に 自民、プログラム法案骨子を了承 自民党は19日の社会保障制度特命委員会で、今後の社会保障制度改革の道筋を定めるプログラム法案の骨子を了承した。これを受け、政府・与党は工程表に盛り込んだ改革内容を具体化するため、21日に設置期限を迎える社会保障制度改革国民会議の後継組織として新たな有識者会議を年内にも設置する検討に入った。党内に根強い給付減・負担増への慎重論をけん制する狙いが透ける。プログラム法案は国民会議が6日に安倍晋三首相に提出した最終報告書の内容に沿って、実施時期などを明記した。政府は21日に閣議決定する。正式な法案を秋に改めて閣議決定したうえで、10月中下旬に召集予定の臨時国会で成立を目指す。 法案が成立すれば社会保障制度改革の今後のスケジュールが規定される。例えば、現在は1割に抑えている70~74歳の医療費の窓口負担は、早ければ2014年度にも本来の2割に戻す。新たに70歳になる人から段階的に2割負担の対象にする方向だ。政府・与党はプログラム法案の成立後、新たな有識者会議を設置する考え。改革のより具体的な内容や中長期的な改革を議論する案を検討している。プログラム法案骨子が「中長期的に受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度を確立するために必要な体制を整備する」と盛り込んだのを踏まえた措置だ。会議を設置する狙いについて、党政調幹部は「有識者に高めのボールを投げてもらう方が党内調整がやりやすい」と漏らす。7月の参院選で関係業界団体から支持を集めた党側が、自ら歳出抑制を言い出すのは難しいとみているためだ。 党内には「痛み」を伴う改革への慎重論が根強く、19日の特命委では出席者から「保険給付対象となる療養範囲を縮小するのか」などの意見が出た。野田毅委員長が「いま生きている有権者の顔だけ見ていてはいけない。借金に頼ってきた社会保障財源には限界がある」と呼び掛け、一任を取り付けた。党内で反対論が広がらず、首相官邸主導で手続きが進むのは、今回の法案がスケジュールを定めただけで、実際の制度変更には別途、個別の法案が必要になるからだ。慎重派は「正念場は来年以降に提出する個別法案」とみており、改革に伴う痛みをなるべく少なくするよう徐々に圧力を強めていく構えだ。お盆休みの直後という日程もあって、プログラム法案骨子は通常の法案の了承手続きに必要な党政策審議会や総務会での議論を省略し、閣議決定される見通しだ。 *2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS21024_R20C12A9SHA000/ (日経新聞 2012/9/23) 「決められない政治」の源 「決められない政治」という言葉が新聞紙上で使われ始めたのは、2008年の春先からである。 前の年の参院選で自民党が大敗し、衆参の多数派が異なるねじれ国会になっていた。これを打開するために進められた自民、民主両党の大連立構想が頓挫し、当時の福田内閣は国会運営で苦労を強いられていた。08年の通常国会では、小沢一郎代表が率いる民主党の反対で、日銀総裁人事が決まらない異常事態に陥る。「決められない政治」が強く意識されたのは、日銀総裁の国会同意人事がきっかけだった。ねじれ国会が生みの親といえる。 野田佳彦首相は1月の施政方針演説で「決められない政治からの脱却」を訴えた。民主、自民、公明の3党合意で、消費増税関連法が成立し「決める政治」への期待が芽生えたが、衆院解散・総選挙をめぐる与野党対立のあおりで、一過性で終わりそうな気配だ。まず前通常国会で可決された首相問責決議の問題がある。当の野田首相の党代表再選が決まり、野党は秋の臨時国会で審議拒否を辞さぬ構えだ。法的拘束力はないのに、過去に首相問責決議を受けた福田康夫、麻生太郎両氏が早期退陣に追い込まれた前例がある。 もう1つの懸案が、予算執行に不可欠な赤字国債発行法案の処理をどうするかだ。野党は衆院解散を約束しない限り、法案成立に協力しない方針で、財源が枯渇するとされる11月のタイムリミットが近づく。昨年は菅直人首相の退陣と引き換えに、赤字国債発行法が成立したが、政局絡みで成立が遅れている一因は民主党の国会対策にもある。本来、予算案と同時に衆院で採決すべきなのに、赤字国債発行法案の処理を先送りしてきたからだ。城島光力国会対策委員長らは、前国会で予算案と一緒に赤字国債発行法案を参院に送るよう主張した。衆院通過から60日以内に参院で採決されなければ否決とみなされるため、本当に否決するかの踏み絵を野党に迫る狙いからだ。結局、消費増税関連法案で野党の協力が必要という判断から、赤字国債発行法案の採決は見送られた。成立の見込みがないまま参院に送ることには財務省が最も強く抵抗したという。
| 民主主義・選挙・その他::2013.1~11 | 04:35 PM | comments (x) | trackback (x) |
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