■CALENDAR■
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31       
<<前月 2024年03月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2013.8.23 東京電力と政府は、汚染水対策を始めから真面目にやっていなかったが、これが、電力会社と日本政府の環境に対する意識レベルである。(2013/8/31最終更新)
   
   フクイチ1号機と3号機の爆発        爆発後の状況       漏れた地下貯水槽

(1)国も東電も汚染水対策を真面目にやらなかったのである
 私が、左のカテゴリー欄の「原発」という項目にずっと記載してきたように、東京電力福島第一原発事故の後、国と電力会社は放射性物質で強度に汚染された水を流出させ続け、海を汚染し続けてきたが、事故の正確な状況が公表されていないため、根本的な解決策をとることができなかった。そして、*1~*3に書かれているように、国民に負担増を強いながら無駄な予算を使い続けて、もう2年半が経過する。

 そして、右図のようなすぐに漏水した地下貯水槽や、下図のようなたった2年半で漏水するちゃちなタンクに原発事故による強度汚染水を貯めてきたわけだが、これらにどれだけの費用を使って何年保管するつもりでやってきたのか開示すべきである。いくら何でも、事前にその程度の計算ができていないようでは、10万年も面倒を見なければならない核廃棄物の最終処分など推して知るべしであり、とても原発を使う資格などないわけだが、政権が代われば、海への放出が許されるとでも思っていたのだろうか。そして、ずっと東電のバックにいた政府の判断力や行動は信用できるのか。

(2)規制委の「漁業の風評被害」「海外の誤解」という見解は正しいか
 このような中、*1で「東電と原発推進サイド(経産省)、規制サイド(規制委)が責任を押しつけ合ったり、あいまいにしたりして対策が遅れるような事態は最悪」「カギを握るのは、規制委」などと言われて出てきた規制委の中村佳代子委員は、*4のように、「漁業の風評被害や海外の誤解がないよう信頼できるデータを提供していきたい」と話したそうだ。

 しかし、“風評被害であり、海外の誤解だ”と言えるためには、実害はなく噂による被害のみだということを証明できていなければならない。しかし、このような事態になった国は日本だけであるため、そういう証明ができているわけがなく、実害がないわけもない。それでも「風評被害であり、海外の誤解にすぎない」と主張したい人は、自分も家族と共にそこに移り住み、そこで獲れたものを食べ、20年くらい疫学調査した結果を論文として世界に発表して認められる必要がある。つまり、命に関わるのに言うことが無責任であり、とても学者とは思えないのだ。

 論拠もないのに、「自分は正しいデータを持っているが、消費者や外国は風評に惑わされている馬鹿で、*5の漁業者は、風評被害のみにより操業を停止せざるを得なかったのだ」と主張するのであれば、規制委も不誠実で役割を果たしていないし、実力の割に、あまりにも傲慢で国民を馬鹿にしている。

(3)日本の原発技術、環境意識は先進的か
 このようなわけで、結論から言って、日本の原発技術や環境意識が先進的などということはない。

 それにもかかわらず、*1には、「大きな反省点は東電任せにしていた結果、汚染水対策が後手後手に回り環境汚染が進んできたことだ」「原発施設を囲むように土を凍らせ地下水流入を防ぐ工事費の一部を負担する方針を経産省が示すなど新たな取り組みも動き出したが、この費用負担は研究費名目で、あまりに腰が引けている」と書かれている。しかし、原発施設を囲むように土を凍らせて防水壁を作るということしか思いつかないような政府にできることはない。ただ、国民の税金を引き出し、メディアを黙らせて、本質的とはほど遠い実験程度の“対策”を行い、努力しているふりをして国民の目をくらませながら、予算の無駄遣いを繰り返しているだけである。

 さらなる負担増を叫んでいる国が、国民のなけなしの税金を投入するには、まず、「原発は、低コストで、安全で、環境によい電源だ」と嘘八百を言った人の総ざんげと脱原発宣言から始めるべきだ。その理由は、これ以上、国民が嘘ツキの無駄遣いに付き合わされなくてすむように、である。

   
  汚染水の経路とされるもの       タンクの配置        水漏れを起こしたタンク

*1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201308160463.html?ref=comkiji_redirect&ref=nmail_20130817mo&ref=pcviewpage (朝日新聞社説 2013.8.17) 汚染水対策 政府の責任を明確に
 東京電力・福島第一原発の事故は、まだ終わっていない。政府は、東日本大震災の日に出した「原子力緊急事態宣言」を、今も解除できずにいる。放射性物質で汚染された水が流出し、地下や海を汚染し続けている。この事実は、原子力災害が今も進行中であることをはっきりと物語っている。安倍首相は先週、汚染水問題について「対応すべき喫緊の課題」「東電に任せるのではなく、国としてしっかりと対策を講じていく」と述べた。緊急事態宣言に基づいて設置されている原子力災害対策本部での、本部長としての発言だ。政府は、現場で事故対応にあたる東電、国の関係機関の責任分担を明確にして、放射能の封じ込めなどに全力をあげる必要がある。大きな反省点は、東電任せにしていた結果、汚染水対策が後手後手に回り、環境汚染が進んできたことだ。むしろ政府の関与が遅かったくらいである。
 首相は、経済産業相に「スピード感を持った東電の指導」を指示した。原子力規制委員長には、「安全確保に向けた原因の究明と有効な対策について、規制当局の立場から全力を挙げて取り組むよう」求めた。現場での対策は引き続き東電が担うが、原発施設を囲むように土を凍らせ地下水流入を防ぐ工事費の一部を負担する方針を経産省が示すなど、新たな取り組みも動き出した。ただ、この費用負担は研究費名目である。事態の緊急度を考えると、あまりに腰が引けていないか。規制委も「東電、資源エネルギー庁が中心になってやっている。(規制委は)オブザーバー的に入っていて助言する立場」(田中俊一委員長)と、一歩引いて構えている。東電と原発推進サイド(経産省)、規制サイド(規制委)が責任を押しつけ合ったり、あいまいにしたりして対策が遅れるような事態は最悪である。カギを握るのは、やはり規制委である。規制委は首相指示に先んじて汚染水対策を検討する作業部会を設けた。「地下水くみ上げの効果は」「電源ケーブル管路などでの汚染水の広がりは」などと具体的な検討事項を示して、東電の対策をリードする動きを見せた。積極姿勢をもっと前面に出し、専門的見地から人知を尽くす必要がある。旧原子力安全委員長は原災本部の構成員でさえなかったが、規制委員長は副本部長だ。事故の教訓から与えられたその権能を最大限いかしてほしい。

*2:*1:http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1090/20130821_02.htm
(河北新報 2013年8月21日) 福島第1 タンク汚染水漏れ 継続的な流出見逃しか
 福島第1原発の地上タンクからの汚染水漏れで、20日に判明した漏えい量は過去最大の305トンに達した。東京電力はタンクから継続的に汚染水が漏れていた可能性を指摘する。「政府主導」を掲げ、汚染水対策の強化に乗り出した安倍晋三政権は、新たな漏えいを許す悪循環を断ち切れないままで、地元の不信感は募るばかりだ。
◎厳しい批判次々
 「きわめて遺憾だ」。20日午後の福島県庁。県生活環境部の古市正二次長は東京電力福島本社の高原一嘉広報部長を呼び、汚染水漏れの原因究明と再発防止を求めた。「早急に対応したい」と頭を下げる高原部長に、古市次長は「(求めているのは)基本の基本の大切な事項だ」とくぎを刺した。いわき市では、国や東電が漁業者に汚染水問題を説明。出席者から「いつになったら漁を再開できるのか」「次から次へと問題が出る。応急処置の繰り返しだ」と厳しい批判が相次いだ。東電側は汚染水対策の一つとして、原子炉建屋に入る前の地下水をくみ上げて海に流す「地下水バイパス」の実施に理解を求めたが、福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は「(タンクの水漏れが)大きなネックになると思う」と話した。
◎政府も頭抱える
 安倍首相が今月7日の原子力災害対策本部で「国としてしっかりと対策を講じる」と指示した後も、次々と明らかになる汚染水漏れに政府は頭を抱える。「東電だけでは限界がある」(首相周辺)と、汚染水対策を国費で支援する意向も示したが、抜本的な解決策は示せないままだ。原子力規制委員会は14日、第1原発の廃炉作業の安全対策をまとめた東電の「実施計画」を認可したばかり。必要に応じ東電に新たな対策を命令できるようにするなど、監視体制を強化した。「海への流出はない」とする東電に対し、原子力規制庁は広範囲に水が流れた形跡があるとして詳しい調査を指示。現地の保安検査官が独自に行った測定で汚染の広がりを指摘するなど厳しい姿勢で臨むが、トラブルなどの未然防止にどうつなげるか、課題は重い。「少量の漏えいが続いていたのに気づいていなかった可能性もある」。東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は、タンクから継続的に汚染水が漏れていた可能性に言及した。コンクリートのせきの内側に残っていた汚染水の量が約4トンと少なかったことから、以前から汚染水がにじみ出し、雨水と一緒に周辺に流れていたとの見立てだ。事実なら、毎日午前と午後2回の巡回をしながら、汚染水漏れを見逃していたことになる。
◎同タイプは350基
 東電は容量が大きい地下貯水槽の汚染水漏れが発覚した今年4月以降、汚染水をためるタンクの増設を突貫作業で進めた。「タンク内の水がいつか漏れるのでは」。ある作業員は不安を抱えながら作業に当たった。タンク組み立ての資材は大急ぎで調達されたためか、さびたボルトや亀裂が入ったものも混ざっていたという。タンクからの汚染水漏れはすでに5例目。すべて今回と同じ種類のタンクで発生している上、現在も敷地内でこのタイプ約350基が運用中だ。新たなトラブルがどこで起きても不思議ではない状況が今も続いている。

*3:http://digital.asahi.com/articles/TKY201308220297.html?ref=com_top6
(朝日新聞 2013.8.21) 別タンク2基からも汚染水漏れか 東電「微量の可能性」
 東京電力福島第一原発のタンクから大量の高濃度の放射能汚染水が漏れた問題で、東電は22日、別の2基のタンクのそばで高い放射線が検出されたと発表した。漏れや水たまりは確認できなかったが、「微量の汚染水が漏れた可能性は否定できない」としている。東電によると、高い放射線が見つかったのは、19日に漏れが見つかったタンクがある一画とは別の一画。11基のうち2基の底の部分から、毎時70~100ミリシーベルトの高い放射線が検出された。タンクには、放射性セシウムを取り除いた高濃度汚染水を1基あたり約1千トンためている。点検したところ、タンクの水位は下がっておらず、見た目では水漏れの跡は見つかっていないという。今後、付近を除染し、原因を究明する。タンクから300トンの汚染水漏れが見つかったのを受け、東電が22日に同型のタンク300基を一斉点検したところ、見つかったという。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013082101001091.html
(東京新聞 2013年8月21日) 規制委、海洋流出の影響検討へ 来月6日に初会合
 東京電力福島第1原発の汚染水が海に流出している問題で、原子力規制委員会は21日、汚染水による海への影響について議論する検討会を設置することを決めた。9月6日に初会合を開く。水と性質が似ており、放射性物質の除去設備では取り除くことができないトリチウムが魚介類に与える影響を主な議題とする。会合には外部専門家として国立環境研究所や日本原子力研究開発機構の研究者ら計5人が参加。オブザーバーとして福島県の担当者も加わる。規制委の中村佳代子委員は「漁業の風評被害や海外の誤解がないよう信頼できるデータを提供していきたい」と話した。

*5:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013082201001407.html
(東京新聞 2013年8月22日) 原発汚染水で福島沖試験操業中止 9月から、地元漁協決定
 東京電力福島第1原発事故による汚染水問題が深刻化していることを受け、福島県相馬市の相馬双葉漁業協同組合は22日、昨年6月から続けている試験操業の実施を9月1日から当面見送ると決定した。県南部のいわき市漁協は既に、9月から始める予定だった事故後初の試験操業の延期を決めている。県北部の相馬双葉漁協も見送ることで、福島県沖の漁業は中断することになる。相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長は「現状では消費者の理解を得られない。一日も早くこの状況を打開するために、国は対策を講じてほしい」と述べた。再開時期は未定。

PS(2013/8/31追加):呆れてものが言えませんが、こういう放射性物質の管理をする人たちに、原発を扱う資格はありません。
*6:http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2013083100335  (時事ドットコム 2013/8/31) タンク4カ所で高線量=最高毎時1800ミリシーベルト-福島第1汚染水漏れ・東電
 東京電力福島第1原発で放射能汚染水を保管しているタンクから水漏れがあった問題で、東電は31日、同原発敷地内のタンク群4カ所で高線量を確認したと発表した。このうち2カ所についてはこれまでに高い線量が確認されていた場所だが、さらに値が上昇し、最大毎時約1800ミリシーベルトだった。残りの2カ所は今回新たに判明した。タンクの汚染水が漏えいした可能性があり、同原発内にある約350基の同型タンクの安全性に対する懸念がさらに高まるのは確実。汚染水の保管は危機的状況が続いている。

| 環境::2012.10~11 | 08:47 AM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑