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2013.9.17 福島第一原発事故の真の原因は地震だという証言と日本政府の対応について(2013.9.19最終更新)
  
2013.8.21朝日新聞より     *3より              *4より  
    
(1)原発の込み入った配菅が、あの大地震で故障しなかったわけがない
 原発には、きゃしゃで細長い無数の配管が張り巡らされており、日本の電力会社におけるその管理は、あのようなタンクに汚染水を貯蔵して汚染水を垂れ流したり、ネズミの侵入で停電を起こさせたりするようなレベルである。そのため、私は、*1の福島第1原発事故発生時に1号機で働いていた一人の男性作業員が神戸新聞に対して話した*1の証言は、本当だろうと思う。

(2)日本政府のやり方なら正しいのか疑問
 *2に記載されているように、レベル7の爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発4号機はコンクリートで固められ「石棺」にされているが、同じレベル7のフクシマは水素爆発であり核燃料はメルトダウンしたものだとして、「水棺」にして冷やし続けている。そのため、2年半も放射性物質による汚染水が海に漏えいし続け、天井が開けっ放しであることによって、放射性物質が空中にも放出され続けているという恐ろしい事態なのである。

 また、*2のように、ウクライナでの年間被曝線量と管理方法は ①原発から30キロ圏内は立ち入り制限、②年間5ミリシーベルト以上は強制的な移住と耕作禁止、③年間1ミリ~5ミリシーベルトは希望者には移住支援し耕作は可能、④年間1ミリシーベルト以下でも汚染の監視となっており、区域区分の根拠になっている汚染度の基準には、セシウム137以外のストロンチウム90などの量も含まれる。

 一方、日本では、*3のように、放射線量が年間20ミリシーベルト以下なら「避難指示解除準備区域」であり、20~50ミリシーベルトでは「居住制限区域」であって、耕作禁止区域は特にない。また、除染も遅れており、いい加減だが、そもそも除染は、一年以内に終わっていなければ次に進めないものである。また、計測されているのは空間線量のみであり、それもセシウムによる汚染のみである。ここに見えるのは、旧ソ連よりも人権を無視している日本政府の姿だ。

(3)予算獲得と新組織作りしか能がない政府
 そのような中、*4のように、安部首相は、ブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会で、「汚染水についてはまったく問題はない」と言い、実際には、高濃度汚染水が外洋に流出し続けているため、政府は、470億円の予算をつけ、新しい会議や委員会を作った。しかし、それは、消費生活アドバイザーの秋庭悦子委員が「組織が乱立して、責任がどこにあるのか見えにくくなっており心配だ」と語っている状況なのである。

(4)福島近海の魚介類が安全なわけがない
 *5のように、東京電力は、16日午後、台風18号の大雨で、汚染水をためているタンク周囲の堰の内側にたまった水の放出を始め、ストロンチウムなどの濃度が法で定める放出限度(1リットルあたり30ベクレル)より低いため緊急措置だと説明している。しかし、それは、*6のように17万ベクレルもある汚染水漏えい域の高放射能のタンク近くのものであり、その汚染水保存タンクの制作はお粗末きわまりなかった。つまり、放射性物質を閉じ込めようという決意は、最初からなかったと判断できるのである。

 *7のように、韓国が、この汚染水問題で、9月9日から青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の各県産水産物の輸入を全面的に禁止したので、日本の水産庁が、韓国に輸入規制撤回要求を行い、その理由は「韓国側の措置は科学的な根拠に乏しい過剰なもの」ということだそうである。しかし、食品や薬品は、安全が確認されるまでは口にしないのが当たり前であり、立証責任が逆である。

 つまり、安全性の追求や製造物責任は、農林水産物でも非常に重要であり、それをないがしろにすれば、今まで培ってきた日本製品すべての安全・安心の信頼やブランドに傷がつくのであって、日本政府や水産庁がやるべきことは、韓国に苦情を言うより、汚染水漏えい元に苦情を言って、安全な魚介類を提供できるようにすることである。それは、韓国以前に、日本国民に対する誠実さでもある。

 なお、福島近海の魚については、少ない検体を調べたデータ(http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/pdf/1304-06_result.pdf 参照)があるが、基準値を超えているもの、超えないまでもセシウム濃度の高いものが、低層の海水魚や淡水魚に散見され、ここでもストロンチウムなど、セシウム以外の放射性物質は測定されていない。そして、日本政府は、このデータを外国には報告したが、国内では特に報告せず、報道もされないという状況なのである。

 さらに、*8のように、国際原子力機関(IAEA)の科学フォーラムで、気象庁気象研究所の主任研究官が、「原発北側の放水口から放射性物質のセシウム137とストロンチウム90が1日計約600億ベクレル、外洋(原発港湾外)に放出されている」と報告し、これは、総量規制のない基準の作り方そのものの問題点も含め、多くの国民にとって重要な問題だが、日本のメディアは台風被害と”選挙違反”とされた未決案件の報道しかしていない。これで、日本政府や日本のメディアを信頼できるだろうか?

*1:http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201309/0006327170.shtml
(神戸新聞 2013/9/11) 地震で配管落下 続く場当たり体質 福島第1元作業員の「遺言」
 東日本大震災から11日で2年半。節目の日を前に、福島第1原発事故発生時に1号機で働いていた一人の男性作業員が亡くなった。全身に転移したがんと、石綿(アスベスト)が原因とみられる肺線維症(じん肺)に侵されていた。男性は5月下旬、神戸新聞の取材に応じていた。事故後の東京電力の対応を批判し、「このまま日本各地で原発を再稼働すれば『安全神話』が復活するだけだ」と危機感をあらわにした。福島県郡山市で暮らしていた木下聡さん。原発の電気設備を専門にする技術者で、東電の3次下請けに当たる同県大熊町の会社に40年間勤め、昨秋に退社した。その直後、肺線維症と診断され、肺がんも判明。8月5日、65歳で亡くなった。男性は、原発事故の原因となった全電源喪失について、東電が地震の揺れとの関連を否定することに憤った。「地震発生時、老朽化が進んでいた無数の配管やトレーが天井からばさばさと落ちてきた。下敷きにならなかったのは奇跡。あれだけの破壊で『無事』なんてあり得ない」。最近も、同原発では汚染水漏れやネズミの侵入による停電などが相次ぐ。場当たり的な体質は変わらない。「素人工事の結果だ。熟練作業員が線量オーバーで現場に入れなくなっており、同様の原発事故は今後も起きるだろう」と強調した。「簡単には死ねない。話せるうちに体験を伝えたい」と話していた男性。この時の取材が「遺言」となった。

*2:http://www.nikkei.com/article/DGXBZO59625270S3A910C1000000/?dg=1
(日経新聞 2013/9/16)  放射能半減、その後の世界 フクシマは何を学ぶべきか チェルノブイリ27年後の転機(1)
 チェルノブイリ原発事故から27年が過ぎた。同原発がようやく本格的な解体作業に入ろうとする一方、原発があるウクライナの国内では拡散した放射性物質が自然減衰し、避難地域の見直しが議論され始めた。チェルノブイリは大きな転機を迎えているが、事故の傷痕は容易に癒えない。ウクライナの姿は福島や日本の将来と重なってみえる。
■ようやく住民は戻ってきたが……
 爆発したチェルノブイリ原発4号機はコンクリートで固められ「石棺」になっている。「放射線量を政府は計測したが、公表されていない。私たちは知らされていない」。ウクライナ科学アカデミー社会科学研究所のリディア・アムジャディーン博士は話す。秘密主義が横行した旧ソ連時代の話ではない。いまのウクライナでのことだ。ウクライナ政府は原発事故に伴う避難区域の地域指定を見直す検討を始め、8月までに各地で空間放射線量を測ったという。ただその結果は現時点で未公表。多くの国民は避難区域がどのように分類し直されるのか、今は想像するしかない。避難区域は4つのゾーンに分けられている。段階に応じて居住や耕作が制限され避難者への生活補助も決まる仕組みだ。地域指定は1991年に確定した後、これまで一度も見直されてこなかった。ただ主要な汚染物質であるセシウム137の半減期が30年であるため、27年間の自然減衰によって汚染地の空間線量は確実に下がっている。ウクライナ政府が見直しを考えた理由のひとつはここにある。実はこの動きには反発がある。首都キエフの北西約150キロにあるコロステン市。ボロディーミル・モスカレンコ市長は「単純な指定見直しには反対だ」と話す。同市はチェルノブイリ原発から100キロ以上離れているが汚染を受け、事故から数年が過ぎてからゾーン3(自主的な避難の対象)の地域に分類された。事故直後から市民の移住や児童の疎開が始まっていたが、指定後は医師や教師など専門職の市民を中心に転出する人が相次ぎ、一時は人口が約40%減ってしまった。

<ウクライナにおける4段階の区域指定 ①区域区分 汚染度(1平方メートル当たりのセシウム137) ②想定される被曝線(ひばく)量(年) ③管理の仕方>
第1ゾーン ①原発から30キロ圏内 ③立ち入り制限
第2ゾーン ①55万5千ベクレル以上 ②5ミリシーベルト以上 ③強制的な移住、耕作禁止
第3ゾーン ①18万5千~55万5千ベクレル ②1ミリ~5ミリシーベル ③希望者に移住支援、耕作可
第4ゾーン ①3万7千~18万5千ベクレル ②1ミリシーベルト以下 汚染の監視 ③移住支援はなし
 *区域区分の根拠になっている汚染度の基準には、セシウム137以外のストロンチウム90などの量も含まれる。

 そこで国や州政府の産業育成支援を受け復旧に努めた。家屋の屋根や道路を除染した結果、今は人口約6万6千人。事故前の7万2千人には及ばないものの、人々がかなり戻り新しい住民も移住してきた。出生率も上昇し、復興の優等生とみなされるまでになった。指定見直しがあれば、コロステン市はゾーン4(汚染監視のみ)に分類されるとみられる。復興にさらに弾みが付くようにも思えるが、「生活補助がもらえなくなり、被災者への社会的保護がなくなるのは困る」と市長は言う。補助には汚染地で働く手当(毎月約10.5グリブナ=約130円)のほか、医療費や学校給食費の減免、有給休暇の割り増しなど様々な種類がある。86~93年に居住していた市民に権利があり、人口の約86%(約5万7千人)が補助を受け取っている。

■国家予算の約2割を食いつぶす経費
 市長はさらに続ける。「科学者が調べているのはセシウムだけでストロンチウムやプルトニウムに関してはわからない」。低線量被曝の健康影響に関する不安も口にする。見直し反対の意見は、市のあるジトミール州議会を通じて中央政府に伝えたという。同市医学診断センター所長のセルゲイ・チョルニイ医師(小児科)も見直しに反対する一人だ。「補助金はたいして大きな額ではないが、やめること自体が被災者に対しひどい仕打ちになる」。指定見直しが空間線量に基づいて判断され、住民が実際に浴びる線量が考慮されていないのは「おかしい」とも言う。一方で見直しに対して積極的な意見もある。市民の心の相談にあたる同市コミュニティー開発センターのセルゲイ・ヴィジフスキー所長は「ゾーン4に指定されれば、町の外からの投資を呼び込むのに有利になり長期的にみて町の発展につながる」と話す。市民は収入や家族に関し様々な悩みや不安を抱えている。放射能はその一部にすぎず、むしろ放射能の問題は「相対的に比重が小さくなっている」。補助を続けることが「市民の自立心を損なう」とも言う。所長は事故直後に高汚染地で働いたリクビダートル(事故処理作業者)のひとり。いったん町を離れたがすぐに戻った。避難地域見直しは重い政治的課題をはらむ。政府が放射線量計測の結果をすぐに公表しないのも、対立をあおるのを心配してのことかもしれない。
 そもそも補助金支給などを盛ったチェルノブイリ支援法は91年のウクライナ独立後に制定された。その内容は旧ソ連時代に固まっていたのである。現在のウクライナに比べれば「財政的に豊かな旧ソ連時代の約束が基礎になっている」と国立戦略研究所のオレグ・ナスビット主任専門官は指摘する。現実問題として、ウクライナ政府はこの法律で定めた補助の満額をすでに支払えないでいる。何十種類もの手当や補助があり、どの程度が未払い状態なのか正確な数字はわからない。ナスビット氏によると、支援法が求めるチェルノブイリ関連の経費はウクライナ国家予算(4120億グリブナ=約5兆円)のおよそ2割にあたる巨額なもの。数え方にもよるが、同国でチェルノブイリ被災者と呼ばれる人は200万人以上にのぼる。避難地域の指定見直しによって、支払い負担を軽減したいとの思惑が政府の側にあるのは間違いない。ただ反対を押し切ってまで踏み切れるのか、未知数だ。
 一方日本へ目を向けてみると、福島では避難区域の見直しがすでに始まった。ウクライナに比べて日本は豊かな国だが、避難指定が解除され住民が帰還した場合、やはりウクライナと同様に一定期間が過ぎれば補償金はなくなる。帰還は強制すべきものではない。かといって住民が帰らなければ地域の再生はむずかしい。真の復興につなげるには何が必要で、どのような道筋を経るべきか。少なくとも住民や自治体が納得の上で進めないと、禍根を残しかねない。ウクライナでは「補助は要らない。ただ故郷に戻りたい」としてゾーン2(強制移住の対象)の汚染地域にさえ自主的に戻る住民がいるという。政府はそれを黙認しているそうだ。こじれてしまった生活支援と帰還の関係。「福島では繰り返さないでほしい」(ヴィジフスキー所長)との言葉が重く響いた。

*3:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309100634.html?ref=comkiji_redirect&ref=nmail  (朝日新聞 2013.9.10) 
除染終了時期、示せず 福島7市町村で作業延長 環境省が示した新たな除染工程
 環境省は10日、福島県の11市町村で行う国直轄の除染について、今年度中に一律で作業を終えるとしていた工程表を撤回し、7市町村で作業を延長すると発表した。終了時期は示しておらず、住民の帰還時期や復興計画に影響が出そうだ。延長するのは、南相馬市と飯舘村、川俣町、葛尾村、浪江町、富岡町、双葉町の7市町村。環境省は各自治体と協議して、年内にも終了時期も含めた除染計画をまとめる。2012年1月に公表した工程表は、11市町村のうち放射線量が年間20ミリシーベルト以下の「避難指示解除準備区域」と、20~50ミリシーベルトの「居住制限区域」について、今年度中に除染を終了するとしていた。だが、計画通りなのは、すでに終了している田村市のほか、楢葉町、大熊町、川内村の計4市町村だけ。浪江町と富岡町はまだ作業に入っておらず、双葉町については除染計画すら策定されていないなど、作業は大幅に遅れている。
 環境省は原因の一つに、仮置き場の設置が進まない問題を挙げ、「除染した土壌などを保管する中間貯蔵施設の見通しが立たないなかで、仮置き場に放置されるのではないかという不信感がある」と説明。地元の理解を得るのに時間がかかっているとした。また汚染の度合いや除染対象の面積など地域によって事情が異なるにもかかわらず一律に作業を終えようとした工程表のずさんさもあった。石原伸晃環境相は閣議後の会見で「当初の混乱の中で見切り発車で作った工程だった」と釈明した。環境省はこの日、一度除染をした場所で再び放射線量が上昇した場合の追加的な除染の実施や、森林の除染範囲の拡大についても正式に発表した。
■住民「本当に帰れるのか」
 工程表の見直しで、今年度末だった除染の終了時期が延長され、終了のメドが立たなくなった飯舘村。原発事故以降、伊達市に避難している農業菅野宗夫さん(62)は「もう、待てない」と嘆く。「生活を奪われたまま、帰還を先延ばしにされている我々村人の間には、国への不信と、本当に帰れるのかという不安が充満している」と胸の内を語った。菅野さんは村で牛を飼い、高原野菜を作っていた。集落営農組合の組合長も務め、コメや野菜、みその宅配が軌道に乗ってきた矢先の事故だった。早ければ14年秋に、村は全村避難している住民の帰村を宣言する復興計画を立てていた。工程表の見直しを受け、今年度の復興計画改訂で帰村宣言の時期を見直すことも検討する。村の住宅の除染は、対象の3%しか終わっていない。「当初の計画が無理なことは国もわかっていたはずだ。なぜもっと早く伝えてくれなかったのか」。菅野さんはそう憤る。当初の工程表にこだわってきた環境省への不信は、地元自治体にも根強い。飯舘村の菅野典雄村長は「現場の除染の大変さが分からない人たちの机上の空論だった」と批判する。川俣町は以前から、環境省の除染計画の見通しの甘さを批判してきた。独自の「町で考える除染終了時期」を、環境省の当初目標より1年後の15年3月に設定。直轄除染の対象となっている山木屋地区の復旧・復興計画を作った。古川道郎町長は工程表の見直しについて、「除染の延長は当然だが、仮置き場の確保も含めて国の責任なのに、今度は終了時期も明確にしない。これでは帰還のメドが立てられない」と反発する。原発事故前は同地区で牧場を経営し、いまは町内の仮設住宅に避難している菅野経芳(つねよし)さん(72)は、環境省の除染の方法についても「非現実的だ」と話す。環境省は牧草地の除染を「表土はぎ取り」だけ行い、覆土はしない方針だ。「環境省の担当者は『代わりに深く耕してくれ』という。表土のすぐ下に岩盤がある山間での農業を全く知らない」。菅野さんは「国が除染を終えたからって、その場所で農業や生活が再開できるとは思えない」と話す。
■費用負担、枠組み限界
 除染が遅れることで、費用がさらにかさむおそれがある。だが、東電が持続的に負担していけるような仕組みは整っていない。政府は昨年11月から計404億円を東電に請求したが、支払い済みは67億円。法律で決まっている東電の負担範囲があいまいで東電が支払いを渋っている面がある。広瀬直己社長は「東電1社ですべてを負担するのは相当無理がある」とし、国に肩代わりを求めたい考えをにじませる。東電は原発事故で経営が行き詰まり、賠償や除染費用を自力で出せない。政府は東電に5兆円を限度に貸し付け、何十年もかけて返させる仕組みをつくった。しかし、賠償費用だけで東電はすでに3・8兆円の枠を使った。残りの1・2兆円では、総額5兆円以上に膨らむとされる除染費用は到底まかなえない。東電は昨年11月、賠償や除染の枠組みを見直すよう政府に求めたが、当時の民主党政権だけでなく、安倍政権も対応はにぶかった。ただ、汚染水対策に政府が国費投入を決め、状況は変わってきた。茂木敏充経済産業相は10日の会見で「国の追加対策がどれくらい必要になるか。こういうものも含め、法的枠組みが必要か見極めたい」と話し、枠組みの見直しに含みを持たせた。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013091702000125.html
(東京新聞 2013年9月17日) 危うい対策組織乱立 「コントロール」首相約束受け
 東京電力福島第一原発事故の汚染水問題に対応するための組織を政府が最近、多数発足させた。「状況はコントロールされている」とする安倍晋三首相の発言が事実と異なり、既存の組織では問題の解決が難しいことを示している。似た組織が乱立することにより、責任の所在があいまいになり、いざという場合の指揮系統の混乱を招くという指摘も出ている。
 首相はブエノスアイレスで七日に開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会の東京五輪招致演説で、汚染水について「まったく問題はない」と明言した。しかし、高濃度汚染水が外洋に流出した可能性が新たに浮上するなど、問題解決の道筋はまったく見えていない。首相は帰国後の十日、五輪招致に関する閣僚会合で「私がブエノスアイレスで約束した汚染水の問題については政府一丸となって責任を果たしていきたい」と、態勢の再構築を指示せざえるを得なかった。政府は同日、汚染水問題の閣僚会議の初会合を開催。関係省庁の実務者による廃炉・汚染水対策チームを傘下につくった。
 原子力規制委員会は十三日、海洋モニタリングに関する検討会の初会合を開催。福島第一原発の現地には、原子力規制庁や東電、復興庁などによる現地調整会議や、各省庁の現場担当者らによる現地事務所も置かれた。だが、汚染水問題に関しては経済産業省や規制委員会などに、中長期的な対策や処理技術を検証する組織などが既にいくつも置かれている。十一日にあった内閣府原子力委員会の臨時会議では、消費生活アドバイザーの秋庭(あきば)悦子委員が「さまざまな会議体がつくられたが、とても心配だ。責任がどこにあるのか、組織ができればできるほど見えにくくなっている」と懸念を示した。

*5:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309160123.html?ref=com_top6
(朝日新聞 2013年9月16日) 福島第一、汚染水タンク周囲の水放出 台風で緊急措置
 東京電力は16日午後、台風18号の大雨で、汚染水をためているタンク周囲の堰(せき)の内側にたまった水の放出を始めた。ストロンチウムなどの濃度が法で定める放出限度(1リットルあたり30ベクレル)より低いといい、緊急措置と説明している。水は周囲の土壌に流れ、原発内に降った雨水と一緒になり、最終的には海に流れる可能性がある。東電によると、16日午後0時40分ごろ、「Cエリア」と呼んでいるタンク群のコンクリート基礎部分にあふれる水を流すため、堰の弁を開けた。放射性物質の濃度は1リットルあたり8~24ベクレルという。計7カ所の堰で順次、放出限度未満ならば雨水と判断して排水を始めた。堰の高さは約30センチで排出弁が付いている。300トンの汚染水漏れが発覚する8月まで弁を常時開いていたが、「タンクから漏れた場合、外部に流れ出す」と原子力規制委員会から指摘され、閉める運用に変更していた。今回、弁を開けるのは、水がたまったままだと新たな漏れが発見できない上、たまった水が汚染されてしまうためという。一方、東電は放射性セシウムの濃度は測っていない。「ストロンチウムなどの濃度から十分低いと考えられる」と説明している。汚染水漏れが発覚した「H4エリア」では、たまった水からストロンチウムなど同17万ベクレルが検出された。すでに漏れた放射性物質の影響という。濃度が高い水は放出せず、回収してタンクに移す。台風で15日には「Bエリア」で堰から雨水があふれるトラブルが起きている。

*6:http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013091600109
(時事ドットコム 2013/9/16) 汚染水漏えい域で高放射能=タンク近く、17万ベクレル-福島第1
 東京電力は16日、福島第1原発でタンクに保管されていた高濃度の放射能汚染水が漏れたエリア内にたまった水を分析したところ、ストロンチウムなどのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり最大17万ベクレル検出されたと発表した。東電は漏えいした放射性物質が地表付近に残っており、採取した水に含まれたとの見方を示している。東電によると、測定したのは15日で、高い濃度が検出されたのは約300トンの汚染水が漏れたタンクのあるエリア北側。東側ではベータ線を出す放射性物質の濃度が同2400ベクレルだった。

*7:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013091601002032.html
(東京新聞 2013年9月16日) 水産庁、韓国に輸入規制撤回要求 汚染水問題で
 東京電力福島第1原発からの汚染水漏えいを理由に、韓国が福島県など計8県の水産物の輸入を全面禁止するなど規制を強化した問題で、水産庁の香川謙二増殖推進部長らが16日、韓国の食品医薬品安全庁を訪れ「韓国側の措置は科学的な根拠に乏しい過剰なものだ」として規制の撤回を求めた。韓国側は水産物の汚染の可能性に対する「臨時特別措置」だとし、「日本が提供したデータや対策をよく分析したい」と返答。双方は日韓の専門家同士で協議を継続していくことで一致した。韓国は9日から青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の各県産水産物の輸入を全面的に禁止した。

*8:http://www.47news.jp/smp/CN/201309/CN2013091801001988.html
(共同通信 2013/9/18) 外洋に1日600億ベクレル放出 福島原発、気象研の研究官報告
 東京電力福島第1原発の汚染水問題をめぐり、気象庁気象研究所の青山道夫主任研究官は18日、国際原子力機関(IAEA)の科学フォーラムで、原発北側の放水口から放射性物質のセシウム137とストロンチウム90が1日計約600億ベクレル、外洋(原発港湾外)に放出されていると報告した。セシウム137の半減期は約30年、ストロンチウム90は約29年。原子炉建屋地下からいったん港湾内に染み出た後、炉心溶融を免れた5、6号機の取水口から取り込まれ、北側放水口から外洋に放出されている。東電は「法定基準以下の濃度と確認して放水しており問題ない」としている。

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