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2013.11.6 特定秘密保護法案と自民党の2012年憲法改正案の関係は如何?
       
  ICRPの被曝限度  2013.10.25河北新報  2013.11.2東京新聞
    (上のようなものまで「特定秘密」にならないでしょうね?)

(1)2012年の自民党憲法改正草案のポイント
 *3には図が添付されており、自民党憲法改正草案の前文は、2005年案では現行憲法と同様に「日本国民は」で始まるが、2012年案では「日本国は」で始まると書かれている。これは、政府は、日本国民の福利を最大にするためではなく、日本国の威信を第一に考えるという変更だ。

 また、基本的人権の不可侵と永久性(憲法97乗)も、2005年案では現行憲法通りだが、2012年案では11条と重複するとして削除している。しかし、これは、他国では、革命や内戦をして血を流して手に入れた基本的人権を、わが国は第二次世界大戦の敗戦によって日本国憲法で念には念を入れて与えられたにもかかわらず、やすやすと捨て去ってしまう戦前回帰だ。

 なお、私は、このようにリベラルであるため、自民党参議院議員の片山さつき氏や西田昌司氏などから、保守本流ではないと言われたことがある。それでは、そこで言う「保守」と「本流」の定義を聞かせてもらいたいところだ。

(2)2012年の自民党憲法改正草案と特定秘密保護法案との関係
 2012年の自民党憲法改正草案では、主権在民や民主主義の意識が弱まり、天皇は象徴ではなく元首と明記されている。そして、(1)のように、国民の福利よりも日本という国家の威信を大切にして、そのためには基本的人権や知る権利も制限するという態度なのであり、2012年の自民党憲法改正草案と特定秘密保護法案は、関連していると思う。そのため、私は、*1、*2に賛成だ。

 そして、*4の特定秘密保護法案の目的の項目では、「我が国及び国民の安全確保に係る情報の重要性」「高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴う漏えいの危険性」等が指摘されているが、これならば、日本政府は、今まで平和ボケでまともなセキュリティーを行っておらず、どの情報もダダ漏れだったことを管理上反省すべきなのであって、法律で特定秘密の指定や取扱者の制限などを定めて漏洩を防止するような大げさなことはない。例えば、どの会社も、人事情報や特許のある製造法は秘密扱いで、それにアクセスできる従業員を限定しているのと同じ管理をすればよいことである。

 また、「安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要なもの」についても、その判断者のみが情報を知っているのであれば、どうにでもなることが目に見えているし、秘密にした情報の記録は、今でも作っておかなければ、開示すべき時が来ても開示して国民の知る権利に応えることはできない。

 そのため、第三条の「行政機関の長が所掌事務に係る情報で秘匿することが必要として特定秘密としたいもの」は、現在の法律でも守られており、それ以上に知る権利を制限して人権侵害を招く可能性の高い法律はいらないと、私は考える。各メディアも、2012年の自民党憲法改正草案と特定秘密保護法案との関係、日本はどういう国でありたいかという視点からの分析もしてもらいたい。

*1:http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit1
(朝日新聞社説 2013年 11月 6 日) 秘密保護法案―社会を萎縮させる気か
 秘密をつかんでいなくても、だれかと秘密を得ようと話し合った。それだけで処罰される。国民の知る権利を侵す懸念が強い特定秘密保護法案には、そんな内容も盛り込まれている。共謀罪といわれるものだ。この法案は、秘密に接する人たちだけを監視の対象にするわけではない。ふつうの市民の暮らしをめぐる調査活動も違法となりかねない。法案そのものが社会を萎縮させてしまう。とりわけ共謀罪は、犯罪が起きていなくても、複数の人が合意すれば成立する。秘密保護法案の場合、政府が指定した情報の漏洩や取得を「共謀」することを、未遂、教唆、扇動とともに処罰の対象にしている。
 日本の刑事法は、犯罪は実行されて初めて罰することを原則にしている。予備、陰謀の罰則規定はあっても、内乱罪などの重大な犯罪に限られてきた。だが、今回の法案にある共謀は、未遂や予備よりさらに実行から遠い段階の行為だ。しかも何をもって共謀があったと判断するか線引きは難しく、恣意的に使われかねない。人が意思を通じ合ったことをもって処罰する手法は、戦前、戦中は、政府と違う考え方を持つ人たちへの弾圧に使われた。心の中のことで人を処罰できれば、権力に都合の悪い人を訴追するのはいとも簡単だ。治安維持法下の苦い教訓であり、だからこそ戦後の社会は共謀を犯罪とすることに抑制的だった。
 だが、政府は2003年以降、国際的な組織犯罪を防ぐ条約の批准に向け、600以上の犯罪に共謀罪をつくる法案を3回、国会に出した。野党や市民団体の反対だけでなく自民党の一部にも乱用への懸念があり、すべて廃案に終わった。秘密の保護をめぐる共謀罪に前例がないわけではない。01年の自衛隊法改正の際に設けられた。だが、その対象は狭い防衛秘密の漏洩に限られている。今回の法案のもとで秘密指定される情報の範囲はずっと広い。
 たとえば、原発の安全性や、在日米軍の事故の調査など、安全や人権にかかわる情報や真実に近づこうとする営みは市民の間でも日常的に行われている。共謀罪の規定のもとでは、そうした重要な事実に迫ろうと打ち合わせた段階で法に触れることになりかねない。当局が実際に法をどう適用するかは見通せない。はっきりしているのは、秘密をめぐるさまざまな罰則をあれこれ張り巡らせることが、国民が真実を知ろうとする動きを牽制し、鈍らせる悪弊を生むことだ。

*2:http://www.shinmai.co.jp/news/20131104/KT131102ETI090015000.php
(信濃毎日新聞 2013年11月4日) 司法の闇 市民が逮捕される日
 201X年11月の早朝。長野市はヘリコプターのごう音と振動に包まれた。多くの住民が驚き目を覚ました。平和運動を進める団体の代表Aさんもその一人だ。窓を開けて上空を見上げると十数機の自衛隊ヘリが北に向かっていた。県庁に問い合わせたが「訓練の連絡は来ていない」との返事。「住民に何も知らせず、大掛かりな飛行訓練をするのは問題だ」と感じたAさんは、仲間2人とヘリの離陸地点とみられる隣県の陸自旅団に抗議に訪れた。具体的な飛行訓練計画を明らかにするよう求めるAさんに担当者は「答えられない」の一点張り。業を煮やしたAさんは語気を強めて「なぜ言えないんだ。住民は迷惑している。問題にしてやるぞ」と迫った。担当者は押し黙ったまま。Aさんたちは何の成果も得られないまま引き揚げた。
<ある日突然、捜査員が>
 数日後の朝、Aさんの自宅を捜査員が訪れ、逮捕状を示した。「罪名 特定秘密保護法違反」―。防衛や外交などの情報を秘密指定して、それを漏らしたり、取得したりする行為を罰する特定秘密保護法案。政府が今国会に提出した法案が成立、施行されると、こんな事態も起こり得る―。自衛隊の活動を調査している県護憲連合事務局長の布目裕喜雄さんや、刑事訴訟法が専門の大出良知・東京経済大現代法学部長(九州大名誉教授)は危惧する。防衛分野の秘密指定範囲は「自衛隊の運用」などと大ざっぱだ。具体的に何が指定されたか国民には知らされない。市民が知らず知らずのうちに法に抵触。裁判になっても、証拠自体が秘密扱いで審理され、有罪判決が出る恐れがある。大出教授の話を参考に、判決までの流れを想定し、法案の危険性を考える。現行の国家公務員法や自衛隊法でも秘密を漏らすと処罰される。今回の法案は秘密を得た側も処罰されるのが特徴だ。だましたり、暴行したり、脅迫したりして、特定秘密に指定された情報を取得した場合、最高で懲役10年の罰則がある。未遂も対象。秘密を漏らすようそそのかしたり、あおったりしても最高5年の懲役刑だ。Aさんが問題にしたのは、実は日本海有事に備えた自衛隊員の大量輸送訓練で、防衛相が秘密指定していた。Aさんは、それを脅して取得しようとした罪(未遂)に問われ、起訴された。
 裁判が始まった。Aさんは「脅していないし、求めたものが特定秘密とは知らないので、犯罪の故意がない」などと無罪を主張した。ところが、一番肝心な証拠が開示されない可能性が高い。
<証拠は裁判でも秘密>
 “前例”がある。6年前に発覚したイージス艦情報流出事件の裁判だ。特別防衛秘密(特防秘)を別の自衛官に漏らしたとして海上自衛官が逮捕、起訴された。1954(昭和29)年施行の日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法違反の罪で初めての起訴だ。検察側は「機密は裁判所にも明かすことはできない」と、機密部分を黒塗りした資料を証拠提出した。裁判長は資料に「極秘」の記載があることなどから特防秘に当たると「推認」できるとし、有罪判決を出した。
この事件で主任弁護人を務めた田中保彦弁護士は「(秘密を取得した方も罰せられる)今回の法案では、被告がどんな情報を取得したかを聞いた弁護人も罪に問われる危険がある」と指摘する。Aさんの裁判も同様に進む。訓練の名称自体も秘密なので、検察側が出す証拠の題名さえこんなものになりそうだ。「■■■■■■■■にかかわる■■■■■■■■■■の計画」。計画の内容は全面黒塗りだ。裁判長は、資料に「特定秘密」と記されていることや防衛省担当者の証言から特定秘密と推認できると判断。こんな判決を出す。被告人を懲役5年に処する
<人権侵害の恐れ>
 争点について判決は▽「問題にしてやる」との言葉が「害悪の告知」に当たるなど、脅迫と認められる▽特定秘密の範囲は「自衛隊の運用」と法律に示されており、被告人には、求めた情報がこの秘密に当たるかもしれないという認識(概括的故意)があった―と示した。情状では、反省していないとの指摘も。未遂なので、最高刑にはならなかったが、懲役3年を超えるので執行猶予が付かず、実刑に―。あくまで仮定の話だが、ここから浮かび上がるのは、自分のした行為が本当に犯罪になるのかすら確認できず、弁護活動も制限され、市民が犯罪者にされてしまう恐れだ。法案は、国民の知る権利を侵害するだけでなく、憲法に保障された基本的人権さえ危うくする。成立させてはならない。

*3:http://www.geocities.jp/le_grand_concierge2/_geo_contents_/JaakuAmerika2/chunitiKensho130713.htm#top 自民改憲草案05年案と比較-保守離れ懸念 タカ派色前面-国防軍/「基本的人権」97条削除-党内に見直し論首相も修正言及
 「自主憲法の制定」を党是とする自民党は参院選で党独自の改憲草案を掲げる。しかし、草案は昨年、民主党に政権を奪われていた野党時代につくったもので、実現可能性よりも支持層を意識したタカ派色が濃い内容だ。これに対し、他の改憲政党には「幅広い支持を得るのは難しい」との声が広がり、自民党内で見直し論が浮上する。同党が二〇〇五年につくったもう一つの改憲草案と比較しながら、問題点を検証した。(政治部・岩田仲弘、岩崎健太朗)
■特徴
 自民は政党の中で唯一、条文形式の改憲草案を持つ。現在の草案は昨年四月に作成されたが、小泉政権時代の〇五年十一月にも改憲草案を発表。二つの草案を比べると、現在の草案の特徴が浮かび上がる。自民が最もこだわる九条改憲について、〇五年の改憲案は「自衛軍を保持する」としていたが、現在の草案は「国防軍を保持する」と表記している。国防軍も自衛軍も、自衛隊を「軍」として位置づけることに変わりはないが、自衛軍が現在の自衛隊を軍隊として「追認」するイメージに対し、国防軍は自衛隊を「普通の軍隊」に変え、専守防衛など防衛政策の転換まで想起させる。「自衛軍」よりも軍事色が強い。
 また、現在の草案は家族を社会的な単位とし、助け合い義務を規定している。〇五年の草案には盛り込まれていなかった条文で、自民を支持する保守層が抱いている伝統的な価値観を強く意識した。
 さらに、基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」と定めた九七条を削除。基本的人権の尊重を明記した十一条と趣旨が重なるためとの説明だが、九七条は憲法の根幹部分で、野党は「(安倍普三首相は)日本をどういう社会にしようとしているのか」などと批判している。この延長線として、基本的人権の一つである表現の自由について「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動」などを認めない規制を設け、〇五年草案よりも国民の義務規定を増やしている。
■怖さ
 なぜ自民の改憲草案は変質したのか。現在の草案作成時、自民は〇九年の衆院選で民主党に敗れ、野党に転落していた。「自民党らしさ」を前面に出すことで、離れていった保守的な支持層を取り戻し党勢を回復することを最優先に考えていた。〇五年当時、自民の参院議員として草案作成の中心的な役割を果たした新党改革の舛添要一代表は「国防軍と書いたら三分の二を取れないが、自衛軍なら公明党を含めて取れる。一日も早く改憲を実現するために知恵を働かせた」と振り返る。〇五年案は政権与党として改憲の実現性を考え、国民に改憲を発議するために必要な衆参両院での「三分の二」の賛成を得ることに配慮したが、野党時代につくった現在の草案は保守派への受けが先に立ち、「実現性」の発想が乏しいとの指摘だ。改憲を目指す自民、みんな、日本維新の会の三党は昨年暮れの衆院選で、議席の三分の二を確保した。仮に今回の参院選で三分の二を獲得すれば改憲発議が可能になるが、こうしたときに幅広い理解を得にくい改憲草案を掲げるという皮肉な結果をもたらした。
 現在の草案に対し、みんなの党の渡辺喜美代表は「国民の義務を強調するところに国家主義的なDNAを感じる」と指摘。維新の橋下徹共同代表も「公権力を前面に出し過ぎて怖い」と批判する。このため、首相は柔軟姿勢に転じ、「自民党の案で、ここを修正すればいいというなら考えていきたい」と草案の修正に言及。磯崎陽輔・党憲法改正推進本部事務局次長も「草案はあくまで党の目標。一字一句これでなければだめという考えはない」と強調している。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/feature/himitsuhogo/zenbun.html
(東京新聞 2013年10月25日) 【特定秘密保護法案全文】
 第一章 総則
 (目的)
 第一条 この法律は、国際情勢の複雑化に伴い、我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。
 (定義)
 第二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関
 二 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち、国家公安委員会にあっては警察庁を、第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては当該政令で定める機関を除く。)
 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
 四 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、警察庁その他政令で定めるもの
 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの
 六 会計検査院

 第二章 特定秘密の指定等
 (特定秘密の指定)
 第三条 行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第四号及び第五号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第十一条第一号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定するものとする。
 2 行政機関の長は、前項の規定による指定(附則第四条を除き、以下単に「指定」という。)をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する記録を作成するとともに、当該指定に係る特定秘密の範囲を明らかにするため、特定秘密である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるものとする。
 一 政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。
 二 特定秘密である情報の性質上前号に掲げる措置によることが困難である場合において、政令で定めるところにより、当該情報が前項の規定の適用を受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。
 3 行政機関の長は、特定秘密である情報について前項第二号に掲げる措置を講じた場合において、当該情報について同項第一号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。
<「続き▽」をクリックすると、全文が出てきます>

 (指定の有効期間及び解除)
 第四条 行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。
 2 行政機関の長は、指定の有効期間(この項の規定により延長した有効期間を含む。)が満了する時において、当該指定をした情報が前条第一項に規定する要件を満たすときは、政令で定めるところにより、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。
 3 行政機関(会計検査院を除く。)の長は、前項の規定により指定の有効期間を延長しようとする場合において、当該延長後の指定の有効期間が通じて三十年を超えることとなるときは、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお当該指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得なければならない。この場合において、当該行政機関の長は、当該指定に係る特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講じた上で、内閣に当該特定秘密を提供することができる。
 4 行政機関の長は、指定をした情報が前条第一項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を解除するものとする。
 (特定秘密の保護措置)
 第五条 行政機関の長は、指定をしたときは、第三条第二項に規定する措置のほか、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関において当該指定に係る特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めることその他の当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講ずるものとする。
 2 警察庁長官は、指定をした場合において、当該指定に係る特定秘密(第七条第一項の規定により提供するものを除く。)で都道府県警察が保有するものがあるときは、当該都道府県警察に対し当該指定をした旨を通知するものとする。
 3 前項の場合において、警察庁長官は、都道府県警察が保有する特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該都道府県警察による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、当該都道府県警察に指示するものとする。この場合において、当該都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)は、当該指示に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。
 4 行政機関の長は、指定をした場合において、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために特段の必要があると認めたときは、物件の製造又は役務の提供を業とする者で、特定秘密の保護のために必要な施設設備を設置していることその他政令で定める基準に適合するもの(以下「適合事業者」という。)との契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該指定をした旨を通知した上で、当該指定に係る特定秘密(第八条第一項の規定により提供するものを除く。)を保有させることができる。
 5 前項の契約には、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、同項の規定により特定秘密を保有する適合事業者が指名して当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる代表者、代理人、使用人その他の従業者(以下単に「従業者」という。)の範囲その他の当該適合事業者による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について定めるものとする。
 6 第四項の規定により特定秘密を保有する適合事業者は、同項の契約に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその従業者に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。

 第三章 特定秘密の提供
 (我が国の安全保障上の必要による特定秘密の提供)
 第六条 特定秘密を保有する行政機関の長は、他の行政機関が我が国の安全保障に関する事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために当該特定秘密を利用する必要があると認めたときは、当該他の行政機関に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、この項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
 2 前項の規定により他の行政機関に特定秘密を提供する行政機関の長は、当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該他の行政機関による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、あらかじめ、当該他の行政機関の長と協議するものとする。
 3 第一項の規定により特定秘密の提供を受ける他の行政機関の長は、前項の規定による協議に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。
 第七条 警察庁長官は、警察庁が保有する特定秘密について、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために都道府県警察にこれを利用させる必要があると認めたときは、当該都道府県警察に当該特定秘密を提供することができる。
 2 前項の規定により都道府県警察に特定秘密を提供する場合については、第五条第三項の規定を準用する。
 3 警察庁長官は、警察本部長に対し、当該都道府県警察が保有する特定秘密で第五条第二項の規定による通知に係るものの提供を求めることができる。
 第八条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために、適合事業者に当該特定秘密を利用させる特段の必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該適合事業者に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
 2 前項の契約については第五条第五項の規定を、前項の規定により特定秘密の提供を受ける適合事業者については同条第六項の規定を、それぞれ準用する。この場合において、同条第五項中「前項」とあるのは「第八条第一項」と、「を保有する」とあるのは「の提供を受ける」と読み替えるものとする。
 3 第五条第四項の規定により適合事業者に特定秘密を保有させている行政機関の長は、同項の契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該特定秘密の提供を求めることができる。
 第九条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために必要があると認めたときは、外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)の政府又は国際機関であって、この法律の規定により行政機関が当該特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置を講じているものに当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
 (その他公益上の必要による特定秘密の提供)
 第十条 第四条第三項後段及び第六条から前条までに規定するもののほか、行政機関の長は、次に掲げる場合に限り、特定秘密を提供することができる。
 一 特定秘密の提供を受ける者が次に掲げる業務又は公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務において当該特定秘密を利用する場合(次号から第四号までに掲げる場合を除く。)であって、当該特定秘密を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に当該特定秘密が利用されないようにすることその他の当該特定秘密を利用し、又は知る者がこれを保護するために必要なものとして政令で定める措置を講じ、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき。
 イ 各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会が国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条の規定により行う審査又は調査であって、国会法第五十二条第二項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は第六十二条の規定により公開しないこととされたもの
 ロ 刑事事件の捜査又は公訴の維持であって、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十六条の二十七第一項(同条第三項及び同法第三百十六条の二十八第二項において準用する場合を含む。)の規定により裁判所に提示する場合のほか、当該捜査又は公訴の維持に必要な業務に従事する者以外の者に当該特定秘密を提供することがないと認められるもの
 二 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二百二十三条第六項の規定により裁判所に提示する場合
 三 情報公開・個人情報保護審査会設置法(平成十五年法律第六十号)第九条第一項の規定により情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合
 四 会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)第十九条の四において読み替えて準用する情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定により会計検査院情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合
 2 警察本部長は、第七条第三項の規定による求めに応じて警察庁に提供する場合のほか、前項第一号に掲げる場合(当該警察本部長が提供しようとする特定秘密が同号ロに掲げる業務において利用するものとして提供を受けたものである場合以外の場合にあっては、同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、警察庁長官の同意を得た場合に限る。)、同項第二号に掲げる場合又は都道府県の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該都道府県の条例(当該条例の規定による諮問に応じて審議を行う都道府県の機関の設置について定める都道府県の条例を含む。)の規定で情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定に相当するものにより当該機関に提示する場合に限り、特定秘密を提供することができる。
 3 適合事業者は、第八条第三項の規定による求めに応じて行政機関に提供する場合のほか、第一項第一号に掲げる場合(同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、当該適合事業者が提供しようとする特定秘密について指定をした行政機関の長の同意を得た場合に限る。)又は同項第二号若しくは第三号に掲げる場合に限り、特定秘密を提供することができる。

 第四章 特定秘密の取扱者の制限
 第十一条 特定秘密の取扱いの業務は、当該業務を行わせる行政機関の長若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該特定秘密を保有させ、若しくは提供する行政機関の長又は当該業務を行わせる警察本部長が直近に実施した次条第一項又は第十五条第一項の適性評価(第十三条第一項(第十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知があった日から五年を経過していないものに限る。)において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(次条第一項第三号又は第十五条第一項第三号に掲げる者として次条第三項又は第十五条第二項において読み替えて準用する次条第三項の規定による告知があった者を除く。)でなければ、行ってはならない。ただし、次に掲げる者については、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることを要しない。
 一 行政機関の長
 二 国務大臣(前号に掲げる者を除く。)
 三 内閣官房副長官
 四 内閣総理大臣補佐官
 五 副大臣
 六 大臣政務官
 七 前各号に掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることなく特定秘密の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者

 第五章 適性評価
 (行政機関の長による適性評価の実施)
 第十二条 行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。
 一 当該行政機関の職員(当該行政機関が警察庁である場合にあっては、警察本部長を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第五条第四項若しくは第八条第一項の契約(次号において単に「契約」という。)に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該行政機関の長がその者について直近に実施して次条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)
 二 当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について直近に実施した適性評価に係る次条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者
 三 当該行政機関の長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの
 2 適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。
 一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)
 二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項
 三 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項
 四 薬物の濫用及び影響に関する事項
 五 精神疾患に関する事項
 六 飲酒についての節度に関する事項
 七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項
 3 適性評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。
 一 前項各号に掲げる事項について調査を行う旨
 二 前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は照会して報告を求めることがある旨
 三 評価対象者が第一項第三号に掲げる者であるときは、その旨
 4 行政機関の長は、第二項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
 (適性評価の結果等の通知)
 第十三条 行政機関の長は、適性評価を実施したときは、その結果を評価対象者に対し通知するものとする。
 2 行政機関の長は、適合事業者の従業者について適性評価を実施したときはその結果を、当該従業者が前条第三項の同意をしなかったことにより適性評価が実施されなかったときはその旨を、それぞれ当該適合事業者に対し通知するものとする。
 3 前項の規定による通知を受けた適合事業者は、当該評価対象者が当該適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。第十六条第二項において同じ。)であるときは、当該通知の内容を当該評価対象者を雇用する事業主に対し通知するものとする。
 4 行政機関の長は、第一項の規定により評価対象者に対し特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められなかった旨を通知するときは、適性評価の円滑な実施の確保を妨げない範囲内において、当該おそれがないと認められなかった理由を通知するものとする。ただし、当該評価対象者があらかじめ当該理由の通知を希望しない旨を申し出た場合は、この限りでない。
 (行政機関の長に対する苦情の申出等)
 第十四条 評価対象者は、前条第一項の規定により通知された適性評価の結果その他当該評価対象者について実施された適性評価について、書面で、行政機関の長に対し、苦情の申出をすることができる。
 2 行政機関の長は、前項の苦情の申出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申出をした者に通知するものとする。
 3 評価対象者は、第一項の苦情の申出をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。
 (警察本部長による適性評価の実施等)
 第十五条 警察本部長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、適性評価を実施するものとする。
 一 当該都道府県警察の職員(警察本部長を除く。次号において同じ。)として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該警察本部長がその者について直近に実施して次項において準用する第十三条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)
 二 当該都道府県警察の職員として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該警察本部長がその者について直近に実施した適性評価に係る次項において準用する第十三条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者
 三 当該警察本部長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの
 2 前三条(第十二条第一項並びに第十三条第二項及び第三項を除く。)の規定は、前項の規定により警察本部長が実施する適性評価について準用する。この場合において、第十二条第三項第三号中「第一項第三号」とあるのは、「第十五条第一項第三号」と読み替えるものとする。
 (適性評価に関する個人情報の利用及び提供の制限)
 第十六条 行政機関の長及び警察本部長は、特定秘密の保護以外の目的のために、評価対象者が第十二条第三項(前条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の同意をしなかったこと、評価対象者についての適性評価の結果その他適性評価の実施に当たって取得する個人情報(生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下この項において同じ。)を自ら利用し、又は提供してはならない。ただし、適性評価の実施によって、当該個人情報に係る特定の個人が国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十八条各号、同法第七十五条第二項に規定する人事院規則の定める事由、同法第七十八条各号、第七十九条各号若しくは第八十二条第一項各号、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第二十条各号、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第七条第一項に規定する者、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十八条第一項各号、第四十二条各号、第四十三条各号若しくは第四十六条第一項各号、同法第四十八条第一項に規定する場合若しくは同条第二項各号若しくは第三項各号若しくは地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第十六条各号、第二十八条第一項各号若しくは第二項各号若しくは第二十九条第一項各号又はこれらに準ずるものとして政令で定める事由のいずれかに該当する疑いが生じたときは、この限りでない。
 2 適合事業者及び適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者を雇用する事業主は、特定秘密の保護以外の目的のために、第十三条第二項又は第三項の規定により通知された内容を自ら利用し、又は提供してはならない。
 (権限又は事務の委任)
 第十七条 行政機関の長は、政令(内閣の所轄の下に置かれる機関及び会計検査院にあっては、当該機関の命令)で定めるところにより、この章に定める権限又は事務を当該行政機関の職員に委任することができる。

 第六章 雑則
 (特定秘密の指定等の運用基準)
 第十八条 政府は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定めるものとする。
 2 政府は、前項の基準を定め、又はこれを変更しようとするときは、我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者の意見を聴かなければならない。
 (関係行政機関の協力)
 第十九条 関係行政機関の長は、特定秘密の指定、適性評価の実施その他この法律の規定により講ずることとされる措置に関し、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものの漏えいを防止するため、相互に協力するものとする。
 (政令への委任)
 第二十条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
 (この法律の解釈適用)
 第二十一条 この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。
 2 出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。

 第七章 罰則
 第二十二条 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。
 2 第四条第三項後段、第九条又は第十条の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。同条第一項第一号ロに規定する場合において提示された特定秘密について、当該特定秘密の提示を受けた者がこれを漏らしたときも、同様とする。
 3 前二項の罪の未遂は、罰する。
 4 過失により第一項の罪を犯した者は、二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
 5 過失により第二項の罪を犯した者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
 第二十三条 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。
 2 前項の罪の未遂は、罰する。
 3 前二項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用を妨げない。
 第二十四条 第二十二条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、五年以下の懲役に処する。
 2 第二十二条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の懲役に処する。
 第二十五条 第二十二条第三項若しくは第二十三条第二項の罪を犯した者又は前条の罪を犯した者のうち第二十二条第一項若しくは第二項若しくは第二十三条第一項に規定する行為の遂行を共謀したものが自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
 第二十六条 第二十二条の罪は、日本国外において同条の罪を犯した者にも適用する。
 2 第二十三条及び第二十四条の罪は、刑法第二条の例に従う。

 附則
 (施行期日)
 第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)
 第二条 この法律の公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日の前日までの間においては、第五条第一項及び第五項(第八条第二項において読み替えて準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の適用については、第五条第一項中「第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関」とあるのは「当該行政機関」と、同条第五項中「第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、同項の」とあるのは「同項の」とし、第十一条の規定は、適用しない。
 (自衛隊法の一部改正)
 第三条 自衛隊法の一部を次のように改正する。
 目次中「自衛隊の権限等(第八十七条―第九十六条の二)」を「自衛隊の権限(第八十七条―第九十六条)」に、「第百二十六条」を「第百二十五条」に改める。

 第七章の章名を次のように改める。
 第七章 自衛隊の権限
 第九十六条の二を削る。
 第百二十二条を削る。
 第百二十三条第一項中「一に」を「いずれかに」に、「禁こ」を「禁錮」に改め、同項第五号中「めいていして」を「酩酊(めいてい)して」に改め、同条第二項中「ほう助」を「幇(ほう)助」に、「せん動した」を「煽動した」に改め、同条を第百二十二条とする。
 第百二十四条を第百二十三条とし、第百二十五条を第百二十四条とし、第百二十六条を第百二十五条とする。
 別表第四を削る。

 (自衛隊法の一部改正に伴う経過措置)
 第四条 次条後段に規定する場合を除き、この法律の施行の日(以下この条及び次条において「施行日」という。)の前日において前条の規定による改正前の自衛隊法(以下この条及び次条において「旧自衛隊法」という。)第九十六条の二第一項の規定により防衛大臣が防衛秘密として指定していた事項は、施行日において第三条第一項の規定により防衛大臣が特定秘密として指定をした情報と、施行日前に防衛大臣が当該防衛秘密として指定していた事項について旧自衛隊法第九十六条の二第二項第一号の規定により付した標記又は同項第二号の規定によりした通知は、施行日において防衛大臣が当該特定秘密について第三条第二項第一号の規定によりした表示又は同項第二号の規定によりした通知とみなす。この場合において、第四条第一項中「指定をするときは、当該指定の日」とあるのは、「この法律の施行の日以後遅滞なく、同日」とする。
 第五条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。旧自衛隊法第百二十二条第一項に規定する防衛秘密を取り扱うことを業務とする者であって施行日前に防衛秘密を取り扱うことを業務としなくなったものが、その業務により知得した当該防衛秘密に関し、施行日以後にした行為についても、同様とする。

 (内閣法の一部改正)
 第六条 内閣法(昭和二十二年法律第五号)の一部を次のように改正する。
 第十七条第二項第一号中「及び内閣広報官」を「並びに内閣広報官及び内閣情報官」に改める。
 第二十条第二項中「助け、」の下に「第十二条第二項第二号から第五号までに掲げる事務のうち特定秘密(特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第 号)第三条第一項に規定する特定秘密をいう。)の保護に関するもの(内閣広報官の所掌に属するものを除く。)及び」を加える。
 (政令への委任)
 第七条 附則第二条、第四条及び第五条に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
 別表(第三条、第五条―第九条関係)

 一 防衛に関する事項
 イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究
 ロ 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報
 ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
 ニ 防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究
 ホ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。チ及びリにおいて同じ。)の種類又は数量
 ヘ 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法
 ト 防衛の用に供する暗号
 チ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法
 リ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法
 ヌ 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途(ヘに掲げるものを除く。)
 二 外交に関する事項
 イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの
 ロ 安全保障のために我が国が実施する貨物の輸出若しくは輸入の禁止その他の措置又はその方針(第一号イ若しくはニ、第三号イ又は第四号イに掲げるものを除く。)
 ハ 安全保障に関し収集した条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報その他の重要な情報(第一号ロ、第三号ロ又は第四号ロに掲げるものを除く。)
 ニ ハに掲げる情報の収集整理又はその能力
 ホ 外務省本省と在外公館との間の通信その他の外交の用に供する暗号
 三 特定有害活動の防止に関する事項
 イ 特定有害活動による被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「特定有害活動の防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究
 ロ 特定有害活動の防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報
 ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
 ニ 特定有害活動の防止の用に供する暗号
 四 テロリズムの防止に関する事項
 イ テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「テロリズムの防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究
 ロ テロリズムの防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報
 ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
 ニ テロリズムの防止の用に供する暗号

 理由
 国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
| 日本国憲法::2013.4~2016.5 | 02:30 PM | comments (x) | trackback (x) |

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