■CALENDAR■
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
<<前月 2024年11月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2013.11.7 地方自治体の工夫―ふるさと納税制度、ジビエ、ゴミ焼却のCO2と下水処理水の活用
     
       イノシシとイノシシ皮         シカとシカ皮のバッグ・手袋
      今日は、アッパレな地方自治体の話題です。
(1)農業支援に特化した「ふるさと納税」が人気
 *1のように、長野県阿南町は、農業支援に特化した「ふるさと納税」による寄付金が、今年度分で1億5000万円に達する見込みで、これには、寄付金1万円に対して新米20キロを贈るという企画に全国から反響が寄せられたことがあるそうだ。農業がなくては困り、輸入に頼ってばかりいてはわが国の食料自給率が下がるという問題意識は、もう国民に徹底していると思われるので、この取り組みは、他の自治体でも参考にできそうだ。「ふるさと納税」制度を作った私としては、このように工夫して、大いに利用していただくのは嬉しい。

(2)ジビエと皮の利用
 *2のように、長野市は、“ジビエの町”として全国に発信しようという試みを始め、市とJAグリーン長野、市内の飲食店組合、日本ジビエ振興協議会などでつくる「若穂食のモデル地域実行協議会」が県庁で開かれ、同協議会の峯村代表が会見で、「利用先をしっかり確保することで狩猟者の意欲向上に繋がる」と話したそうだ。アッパレではあるが、イノシシの年間捕獲数の約3分の1しか活用しないのは目標が低すぎるのではないか?何故なら、イノシシはブタの近縁で野生であるため、脂肪が少なく、料理の仕方によっては美味しい食材で、健康食でもあるからだ。

 このほか、現在は、シカも害獣になって困られているが、まだ組織的には利用されていない。しかし、シカ肉やシカ皮のバッグ・手袋は高級品になるので、もったいないことである。

(3)ゴミ焼却の二酸化炭素(CO2)と下水処理水の養分を利用
 *3のように、佐賀市は、清掃工場でごみ焼却時に発生するCO2を活用して、光合成で増えるミドリムシを培養する実証研究を始めるそうだ。佐賀市は、すでに清掃工場の排気を施設園芸などに活用しようと、排気からCO2を取り出す実験に10月から着手しており、さらなる有効利用を図るために大量のCO2を吸収するミドリムシの培養にも乗り出すことにしたとのことである。培養には有機物を多く含む水も必要なので、有明海のノリ養殖への好影響が既に確認されている佐賀市下水浄化センターの処理水を使うことを想定しているそうだ。ミドリムシは、家畜や養殖魚の安価な飼料にもできるだろう。

 このように、今まで邪魔にしていたものを資源として使い、付加価値のあるものを作り出すのは、アッパレだ。他には、そのような例はないのだろうか?

*1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=24340 (日本農業新聞 2013/11/6) ふるさと納税1億5000万円 謝礼に新米が奏功 生産意欲向上に期待 長野県阿南町
 長野県南部の阿南町は5日、同町役場で会見を開き、農業支援に向けて全国から集めた「ふるさと納税」による寄付金が、今年度分で1億5000万円に達する見込みだと発表した。寄付金をもとに、町内農家から買い取った新米を寄付者に謝礼として贈る仕組みで、全国の消費者が賛同。現在までに約5000人から寄付を受けた。米の新たな需要として町は農家の意欲向上などを期待している。
 町はこれまで、ふるさと納税の寄付者に町の特産品を贈ってきたが、昨年までの5年間で、寄付金の総額が約1500万円と伸び悩んでいた。そこで米の販売が低迷する中、今年度から農業支援に特化した仕組みに一新。寄付金1万円に対し、新米20キロを贈るという企画で寄付を募集したところ、全国から予想を上回る反響が寄せられた。
 町の水稲作付面積は140~160ヘクタールで、自家消費を除く流通量は約500トン。これに対し、寄付者に贈る米の必要量は300トンに及ぶ見通しで、町は「町内産米がこれ以上確保できない恐れがある」(振興課)。このため5日以降の問い合わせに対しては、寄付金の振込用紙の配布を締め切ることにした。米の買い取り価格は農家からの聞き取りを踏まえ、60キロ1万7000円に設定した。町によると、さらに高く買い取って農家に還元することも考えたが、従来の販売価格をつり上げないよう配慮した。ただ、現場の農家にとっては高値の水準となり、佐々木暢生町長は「作る意欲が増したとの声を聞く。経営規模の拡大や遊休農地の解消につながる」と期待する。
 町が同日開いた会見で佐々木町長は、町の人口並みの寄付者があったことを報告。「農家の支援に賛同した」などの声が寄せられていることから「米や農業に対する国民の思いを感じた」と手応えを示した。今後は米だけでなく町内産農産物の提供も検討するという。
〈ことば〉ふるさと納税 在住、非在住を問わず任意の自治体(都道府県、市区町村)に対して、寄付した金額のうち2000円を超える部分について、住民税と所得税から控除を受けられる制度。一定の制限や限度がある。寄付金1万円に対し8000円の税額控除となり、阿南町の米支援の場合は、実質2000円の持ち出しで20キロの米が手に入る仕組み。制度について有識者からは「謝礼による寄付金の獲得競争につながる恐れがある」などと課題を指摘する声も出ている。

*2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=24218 (日本農業新聞 2013/10/30) [鳥獣害と闘う] 長野市を“ジビエの町”に JR駅前に飲食店街 土産物の開発も力
 長野市を“ジビエの町”として全国に発信しようという試みが29日、始まった。市内の飲食業者や食品関連業、JAなどでつくる協議会は、野生鳥獣肉(ジビエ)の利用を通して地域振興を目指す。市内で捕獲したジビエが食べられる飲食店街をJR長野駅前に形成。土産物の開発にも力を入れる。農水省の「食のモデル地域構築計画」に認定され、2016年度までに年間2トン程度の利用を定着させる計画だ。
●川上~川下 連携を強化
 鳥獣の捕獲から食肉処理、加工、消費といった“川上から川下”までの連携が弱かった事業者が一体となり、ジビエの利活用を進めるのが狙い。市とJAグリーン長野、市内の飲食店組合、日本ジビエ振興協議会などでつくる「若穂食のモデル地域実行協議会」が県庁で同日開いた会見で今後の計画を明らかにした。同協議会の峯村聰代表は「利用先をしっかり確保することで、狩猟者の意欲向上につながる」と期待する。利用する肉は主にイノシシ。JAグリーン長野と地元 猟友会が運営する同市内の食肉処理施設で肉を加工し、飲食店や加工業者へと納入する仕組み。来年度の加工頭数は年間100頭、年間捕獲数の 約3分の1を活用することを目標にする。これまで捕獲した大半は山に埋めていただけに、関係者は「極めて高い利用率」という。販売を担うのは、JR長野駅前の飲食店でつくる「長野しまんりょ会」。各店舗の個性を発揮したメニューを開発し、ジビエが食べられる飲食店街として市内観光の人気スポットに育てる。また、固い部位や筋などの部位は、同JA女性部や福祉法人が加工して、余すところなく商品化する計画だ。取り組みは農水省の「日本の食を広げるプロジェクト」事業の一環。4カ年で事業を軌道に乗せる構想で今年度は600万円を支援し、商品開発やマーケティングを中心に活動を行う。同事業を担当するJAグリーン長野営農部の橋本寿雄さんは、ジビエの需要が増えれば「狩猟免許の取得者が増え、獣害対策も強化できる。管内のAコープでもイノシシ肉や加工品の販売して消費拡大につなげたい」と意欲を見せる。

*3:http://qbiz.jp/article/26711/1/
(西日本新聞 2013年11月7日) ミドリムシで産業誘致 ごみ処理活用、佐賀市が培養拠点
 佐賀市は、市清掃工場でごみ焼却時に発生する二酸化炭素(CO2)を活用し、光合成で増えるミドリムシを培養する実証研究を始める。ミドリムシは栄養成分が豊富で健康食品に加工されているほか、油脂を含むため燃料としても実用化に向けた研究が進んでおり、CO2排出削減と産業誘致の一挙両得を狙う。ミドリムシの培養に自治体が取り組むのは珍しい。ミドリムシは藻類の一種で、光合成の効率が高く、CO2の吸収能力は稲の約80倍(2012年度環境白書)。ビタミンやミネラルなど多様な栄養素を含み、サプリメントや飲料に用いられている。一方、石油元売り大手は18年度までに油脂成分を使った燃料開発を目指している。
 佐賀市は清掃工場の排気を施設園芸などに活用しようと、排気からCO2を取り出す実験に10月から着手。さらに有効利用を図るため、大量のCO2を吸収するミドリムシの培養にも乗り出すことにした。大量培養の技術を持つベンチャー企業ユーグレナ(東京)と協力し、来年度に予定。培養には有機物を多く含む水も必要で、有明海のノリ養殖への好影響が確認されている市下水浄化センターの処理水を想定している。
 市清掃工場は1日約200トンのCO2を、下水浄化センターは1日約5万トンの処理水を排出しており、安定的に供給できる。市バイオマスエネルギー戦略室の井口浩樹室長は「用途が広がるミドリムシの培養拠点ができれば多様な企業を呼び込める」と期待する。
■ミドリムシ 単細胞の藻類。体長0・1ミリ以下。光と水とCO2で育つ。先端にある1本の鞭毛(べんもう)を使って水中を動くことができ、原生動物としても分類される。通常の生物が生息できないCO2が高濃度の環境でも増殖する。地球温暖化防止と産業利用の側面から企業・大学で研究が行われている。

| 経済・雇用::2013.7~2014.6 | 05:10 PM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑