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2013,12,04, Wednesday
(1)違反でないことまで違反とするのは、悪質な冤罪の擦り付けである *1に、「徳洲会グループを巡る公職選挙法違反事件で、徳田毅衆院議員の逮捕された親族らのパソコンや手帳に、昨年の衆院選に絡んで現金を配った相手の氏名や金額が詳細に記録されていた」と書かれているが、テレビ報道されたリストには、国会議員のパーティー券の購入らしい20,000円という金額が並んでいた。国会議員のパーティー券は、薄く広く寄付を集めて政治活動の経費(地元事務所の家賃や水光熱費、印刷代・コピー代、私設秘書の給料などの必要経費)に充てるためのもので、特定の企業から多額の寄付を受けて癒着するのを避ける目的で認められているものであるため、そのような合法なことまで、悪いことをしたかのように報道するのは、不正確な上、意図的である。 また、*1には、「昨年の衆院選に絡んで現金を配った配布先リストには鹿児島県の県議や市議らの名前が記載されていた」「東京地検特捜部などは、集票目的で現金を配っていた疑いが強まったとして・・」などと書かれているが、選挙時に国会議員の政党支部から県議会議員や市議会議員の政党支部に資金を配布することは普通にあり、それは選挙運動の為の電話線を引いたり、選挙活動をしたりする費用であるため、ただちに「集票目的で現金を配った」と想像するのは、短絡的で古い発想だ。 私は、元衆議院議員で選挙を闘ったこともあるためこの常識を持っているのだが、うちの事務所は徳田議員のところと異なり、それほどの資金力や親戚力は無く、そのようなことは全くないため、第三者として、この記事を書いている次第だ。 さらに、*1には、「公選法は選挙目的で有権者や運動員に利益や報酬を供与することを広く買収として禁じている」とも記載されているが、選挙管理委員会に届出をした運動員や労務者については、一定の報酬を支払うことが可能であるため(http://senkyo-navi.net/18/237/001075.html、http://anacap.jugem.jp/?eid=330 参照)、この記述は、公職選挙法違反を変に拡大解釈したものである。そもそも、無報酬でバリバリ働いてくれる人は少ないため、これがなければ選挙は成り立たない。 (2)公職選挙法違反の拡大解釈や言いがかりを防ぐには *1のように「資金はスターン容疑者らがグループ関連企業から引き出した」「このうち2千万円は徳田議員の母親の自己資金」「関係者を通じて奄美地区担当の屋田正彦容疑者に届けられた」としている。これらを現金で受け渡ししたことが、複雑になり疑いを招いているため、公認会計士の私だったら、必ず預金口座を通して送金し、送り先と送金目的を一覧できるように記録して、まさかの時にも無罪の立証ができるようにしておく。 また、発端となった「応援に来た人にボーナスで報酬を支払った」とする事項は、有給休暇を取らせれば問題なかった話だろう。何故なら、それは、自民党の応援団である建設会社や農協が人を出して選挙運動を手伝う時に行っていることで、一般市民が有給休暇をとって意中の候補者の選挙運動を手伝うのを妨げる理由はないからである。 (3)鹿児島2区の衆議院議員選挙に5,000万円は大きいが、金額が大きいから違法とは限らない 鹿児島2区の有権者数は多くないため、確かに5,000万円も選挙費用に使ったというのは大きな金額だが、日本全国の徳洲会から人を呼び寄せて交通費・宿泊代を支払えば、そうなるかも知れない。金額が大きいか否かと使い方が違法か否かは別の問題であるため、使い道の内訳を正確に検討すべきだ。 (4)合法的に「運動員に報酬を支払う約束」をすることもある *3には、「元みんなの党候補に7月の参院選で運動員に報酬を支払う約束をしたとして、公選法違反(買収約束、事前運動)の有罪判決」と記載されており、ここでも運動員に報酬を支払うこと自体がいけないかのように記載されている。 しかし、(1)で述べたように、選挙管理委員会に届出をした運動員や労務者への報酬支払いを選挙後に一括して行う契約をしていれば、「運動員に報酬を支払う約束をした」ことになるため、運動員に報酬を支払う約束したから違法とは限らない。「立候補届け出前の選挙運動をした」ともされているが、これは具体的にどういう選挙運動なのだろうか。犯罪として罪に問うほど深刻なものかどうか、知りたいところだ。 なお、判決理由で、江口裁判官が「国会議員になろうとした者自身の犯行で強い非難を免れない」と述べたそうだが、国民は法の下に平等であることを忘れたのだろうか? (5)特定秘密保護法の使い方 徳田議員は、消費税増税反対、TPP反対、脱原発という主張を持っておられたそうである。このような議員や候補者に対する国策捜査は多い。そして、現在は、もともと常識外れの公職選挙法で取るに足りないことをあげつらって、本物のワルではない人を有罪とする事態が続いているが、特定秘密保護法が成立すれば、逮捕する理由すら不要となり、特定秘密と認定された事項は、*4のように、永久に開示されずに済むため、さらに危ないのである。 *1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0300T_T01C13A2CC0000/ (日経新聞 2013/12/3) 徳田議員姉のパソコンに現金配布先、詳細に記録 徳洲会グループを巡る公職選挙法違反事件で、徳田毅衆院議員(42)=鹿児島2区=の逮捕された親族らのパソコンや手帳に、昨年の衆院選に絡んで現金を配った相手の氏名や金額が詳細に記録されていたことが3日、関係者の話で分かった。配布先リストには鹿児島県の県議や市議らの名前が記載されていたという。東京地検特捜部などは、集票目的で現金を配っていた疑いが強まったとして、徳田議員の姉、スターン美千代容疑者(46)=公選法違反(買収)容疑で逮捕=らを同法違反(買収資金交付)容疑で再逮捕する方針を固めたもようだ。 公選法は選挙目的で有権者や運動員に利益や報酬を供与することを広く買収として禁じているほか、買収の原資となる金品を運動員に渡すだけでも「買収資金交付」として処罰対象となる。違反すれば3年以下の懲役か禁錮、または50万円以下の罰金が科される。複数の関係者によると、スターン容疑者らは昨年11月16日の衆院解散後、選挙区で運動員を指揮する立場にあったグループ幹部、石川一郎容疑者(59)=同=らに少なくとも5千万円を提供。一部が地元県議や企業関係者らに配られた疑いがある。票の取りまとめなどを依頼する「地元対策費」だったとみられる。 資金はスターン容疑者らがグループ関連企業から引き出すなどして調達。このうち2千万円は徳田議員の母親の自己資金とされ、関係者を通じて奄美地区担当の屋田正彦容疑者(69)=同=に届けられたという。関係者によると、スターン容疑者のパソコンや徳田議員の母の手帳には現金の配布先リストなどが残っており、鹿児島県議や選挙区内の市議ら複数の名前や渡した金額が記載されていたという。 特捜部は現金配布に有権者を買収する目的があったとの見方を強め、リストに名前のあった県議や市議らを任意で事情聴取している。特捜部は3日、衆院選で病院職員らを動員し、報酬として計約1億4750万円を支払ったとして、スターン容疑者ら計6人を公選法違反(買収)罪で起訴する方針。議員の任期満了前に結論が出るよう選挙違反事件の審理を迅速に行う趣旨で、起訴から判決までを100日以内に収める「百日裁判」を申し立てる見通しだ。グループ創設者の徳田虎雄元衆院議員(75)も容疑者として在宅のまま調べているが、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を抱えているため、病状などを慎重に考慮して起訴するかどうかを判断するとみられる。 *2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2591139.article.html (佐賀新聞 2013年12月1日) 特捜部、徳田議員の姉ら再逮捕へ / 5千万支出、買収目的も 徳洲会グループの幹部ら6人が逮捕された公選法違反事件で、徳田毅衆院議員(鹿児島2区)の姉スターン美千代容疑者(46)らが、昨年12月の衆院選対策で関連会社などから約5千万円を支出し、一部が地元政界関係者らへの買収資金に充てられた疑いのあることが1日、関係者への取材で分かった。6人の逮捕容疑となった563人とは別のグループ職員が、選挙運動に派遣されていた疑いのあることも判明。東京地検特捜部などは、公選法違反容疑でスターン容疑者やグループ幹部らを勾留期限の3日に再逮捕する方針。 *3:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/54370 (西日本新聞 2013/11/25) 元みんなの党候補に有罪判決 福岡地裁 7月の参院選で運動員に報酬を支払う約束をしたとして、公選法違反(買収約束、事前運動)の罪に問われた、元みんなの党福岡選挙区の公認候補古賀輝生被告(50)の判決で、福岡地裁は25日、懲役1年6月、執行猶予5年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。刑が確定すれば公民権が5年間停止する。判決理由で江口和伸裁判官は「国会議員になろうとした者自身の犯行で強い非難を免れない」と述べた。判決によると、福岡選挙区に立候補した古賀被告は公示前の5月下旬~6月下旬、福岡県内の男性3人に対し、選挙運動の報酬として時給800円や日給1万円を支払う約束をすることで、立候補届け出前の選挙運動をした。福岡選挙区(改選数2)には6人が立候補し、古賀被告は約17万6千票を獲得し、5位だった。みんなの党は、古賀被告を党員資格停止とし、党県支部の全役職を解任している。 *4:http://digital.asahi.com/articles/TKY201312060099.html?iref=comkiji_redirect&ref=com_top6_2nd (朝日新聞 2013年12月6日) 特定秘密「保存期間中に破棄も」 答弁書を閣議決定 安倍内閣は6日の閣議で、特定秘密の廃棄について「秘密の保全上やむを得ない場合、政令などで(公文書管理法に基づく)保存期間前の廃棄を定めることは否定されない」とする答弁書を決定した。長妻昭衆院議員(民主)の質問主意書に答えた。公文書の保存期間は「行政機関の長」が公文書管理法に基づいて定める。今回の答弁書は保存期間満了前の特定秘密であっても、政府が特定秘密保護法に基づいて定める政令の内容次第で廃棄される余地を残したものだ。これまで政府は、保存期間が満了した後であれば、特定秘密に指定された期間が30年以上の情報を除いて、首相の同意を得て廃棄される可能性があるとしている。安倍晋三首相は国会答弁で、特定秘密に指定された期間が30年以上の情報について「すべて歴史公文書として国立公文書館などに移管されるよう運用基準に明記する」とした。
| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 12:07 PM | comments (x) | trackback (x) |
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