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2013,12,12, Thursday
*1で日弁連会長が声明を出しているとおり、2013年12月6日に参議院を通過した特定秘密保護法は、民主主義の根幹である「知る権利」を侵害する。また、重罰化や適性評価におけるプライバシーの侵害、*5に書かれている有効なチェック機関の不存在など、成立後も様々な問題をかかえている。そのため、*3の多くの団体や研究者、映画界などから廃案を求める意見が出されているとともに、*4のように、長野県では県内の19市長のうち12市長が「運用に不安」としているのである。 さらに、外国では、*2のように、世界の作家500人が、国連に、国家による監視の制限を要求し、「民主主義の基礎となる柱は、人格を不可侵のものとする個人の尊厳である。すべての人は、見張られず、妨害されない権利がある。しかし、大衆監視を目的とした国家と企業による技術開発の乱用により、この基本的人権が全く無視されている」と述べているのは、そのとおりだと思う。 また、*2の「監視下に置かれた個人は自由ではなく、監視下に置かれた社会は民主主義ではない。民主的権利の有効性を保つには、実世界と同様に仮想空間でもそれが認められなければならない」というのもそのとおりであるため、これが、現在の世界の常識であることを再確認して実現すべきだと考える。 *1:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/131206_3.html (2013年12月6日 日本弁護士連合会会長 山岸 憲司) 特定秘密保護法の採決強行に抗議する会長声明 本日、参議院本会議において特定秘密保護法案の採決が強行され、特定秘密保護法が成立した。同法は、国民の知る権利を侵害し、国民主権を形骸化するものである。衆議院における4党修正案によっても、官僚が恣意的に特定秘密を指定する危険性を除去する実効的な方策は規定されておらず、その危険性は何ら変わっていない。そのため、同法案に対しては、報道、研究、映画界等様々な分野から廃案を求める意見が出されてきたところである。 ところが、国会で審議が開始されてからも、衆議院においては、政府側からの答弁に不一致や変遷が起きるなどして審議が混乱し、みんなの党及び日本維新の会からの修正案を取り入れた4党修正案についてもわずか数時間の審議で採決がなされてしまった。参議院では、衆議院で検討が不足していた論点について、十分な検討がなされるべきであったが、参考人や公述人の多くが反対意見や問題点を指摘する意見を述べたにもかかわらず、これらの意見についても十分に検討がなされないまま、短時間の審議で採決が強行された。これは、およそ重要法案の審議とはいえず、国会の存在意義を自ら否定するに等しい。 よって、同法案の採決を強行したことは、内容面・手続面いずれにおいても国民主権・民主主義の理念を踏みにじるものであり、到底容認されるものではない。この点について強く抗議する。当連合会では、民主主義社会の根幹である国民の知る権利や報道の自由の侵害、重罰化、適性評価によるプライバシー侵害のおそれをはじめとした様々な問題点が残されている同法について、引き続きこれらの問題点の克服のための活動を行っていく所存である。あわせて、国民主権確立のために不可欠な情報公開制度・公文書管理制度の改正、特定秘密保護法の有無にかかわりなく整備されるべき秘密指定の適正化のための制度策定に向け全力を尽くし続けることを誓うものである。 *2:http://www.afpbb.com/articles/-/3004911 (AFPBBニュース 2013年12月12日) 国家による監視の制限、世界の作家500人が国連に要求 500人を超える世界の著名作家が10日、国家による大衆監視は基本的自由を侵害する行為だとして、国際法の制定を求める署名を国連(UN)に提出した。南アフリカのJ・M・クッツェー(J.M. Coetzee)氏やドイツの ギュンター・グラス(Gunter Grass)氏などノーベル文学賞受賞者も名を連ねている。米政府による監視活動については今年6月、米国家安全保障局(National Security Agency、NSA)に勤務していたエドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者によって暴露された。「大衆監視に反対する作家たち(Writers Against Mass Surveillance)」と銘打った署名は、国家による広範囲なインターネット通信傍受を民主主義の侵害と位置づけ、そうした監視を制限する「デジタル著作権」を定める国際法の新設を求めている。世界80か国以上、562人の作家が署名し、英ガーディアン(Guardian)紙など各国の新聞約30紙に掲載された。 作家たちは署名と共に声明を発表し、大衆監視がすべての市民を容疑者と疑って扱うものだと批判した。「大衆監視の規模は、この数か月で誰もが知るものとなった。マウスを数回クリックするだけで、国家は個人の携帯端末や電子メール、ソーシャルネットワーク、インターネット検索などにアクセスできる。インターネット企業との連携の下、個人の政治的な傾向や活動を追跡することができ、個人のデータを収集・保管している」。「民主主義の基礎となる柱は、人格を不可侵のものとする個人の尊厳である。すべての人には、見張られず、妨害されない権利がある。しかし大衆監視を目的とした国家と企業による技術開発の乱用により、この基本的人権がまったく無効とされている」。「監視下に置かれた個人はもはや自由ではなく、監視下に置かれた社会は民主主義ではない。民主的権利の有効性を保つには、実世界と同様に仮想空間でもそれが認められなければならない」。 作家たちはまた、自分のデータがどのように収集され、保管されるかを自分で決め、そのデータがどのように使用されているのかを知り、不正な利用があれば削除を要求できる権利を求めた。「すべての国家と企業に、これらの権利を尊重するよう要求する。国連には、デジタル時代における市民的権利の保護が最重要課題であるとの認識、そしてデジタル著作権に関する国際法の制定を求める。また各国政府にはその協定に調印し、従うよう求める」。 ■署名した主な作家 ノーベル文学賞受賞者ではクッツェー氏とグラス氏に加え、オーストリアのエルフリーデ・イェリネク(Elfriede Jelinek)氏、スウェーデンの詩人トーマス・トランストロンメル(Tomas Transtroemer)氏、トルコのオルハン・パムク(Orhan Pamuk)氏の計5人が署名している。 ブッカー賞受賞者ではマーガレット・アトウッド(Margaret Atwood)氏、ジュリアン・バーンズ(Julian Barnes)氏、トーマス・キニーリー(Thomas Keneally)氏、カズオ・イシグロ(Kazuo Ishiguro)氏、イアン・マキューアン(Ian McEwan)氏、マイケル・オンダーチェ(Michael Ondaatje)氏、アルンダティ・ロイ(Arundhati Roy)氏らが署名した。 さらにコルム・トイビン(Colm Toibin)氏やマーティン・エイミス(Martin Amis)氏、ライオネル・シュライバー(Lionel Shriver)氏、ルイ・ド・ベルニエール(Louis de Bernieres)氏、アービン・ウェルシュ(Irvine Welsh)氏などの著名作家も名を連ねた。 *3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/list/CK2013120802100004.html (東京新聞 2013年12月8日) 【特定秘密保護法案】法廃止へ揺るがず 監視国家 広がる「反対」 国民の「知る権利」を侵す恐れのある特定秘密保護法は六日深夜の参院本会議で、与党の賛成多数で可決、成立した。野党は慎重審議を求めたが、与党が採決を強行した。だが「秘密保護法案反対」を訴えていた人たちの声は、消えることはない。「法律廃止」へと変わるだけだ。国民の権利を守ろうという全国の幅広い層による活動は続く。法成立に強く反対してきた「特定秘密保護法案に反対する学者の会」は七日、名称を「特定秘密保護法に反対する学者の会」に変え、活動継続を宣言。学者の中には、法律は違憲立法だとして法廷闘争に持ち込む準備を始める動きもある。 女性関係の三十六団体でつくる「国際婦人年連絡会」は、法成立を受けて近く集会を開催する。戦争体験を持つ女性が多く所属しており、秘密保護法が脅かしかねない平和の尊さを広く訴えることの重要性を確認する。連絡会の世話人で、女性の地位向上に尽くした政治家の故市川房枝氏の秘書を務めた山口みつ子さんは、秘密保護法が成立したのは「昨年末の衆院選と今年の参院選の低投票率の弊害だ」と分析。「有権者が政治への関心を高めないと、権力的な政治がさらにまかり通る」と訴える。 アイヌの有志でつくる「アイヌウタリの会」は、法律廃止への賛同を広く募っていくことを決めた。 弁護士有志による「自由法曹団」も法律の廃止を求めた。自民党の石破茂幹事長がデモとテロを同一視した問題を挙げ「政府に反対する声がテロとして排斥され、密告・監視が横行する。こんな国と社会は許されない」と訴えた。 日本ジャーナリスト会議も、衆参両院での採決強行を「憲政史上、前例のない最悪の暴挙」と非難。安倍政権を「国民の目と耳と口をふさぎ、民主主義を否定する」と批判し、衆院を解散して国民に信を問うべきだと主張した。 *4:http://www.shinmai.co.jp/news/20131212/KT131211ATI090012000.php (信濃毎日新聞 2013年12月12日) 特定秘密保護法、県内19市長見解 12市長が「運用に不安」 特定秘密保護法について、県内19市長のうち12人が運用面で不安を感じていることが11日、信濃毎日新聞の取材で分かった。13日の同法の公布から1年以内に予定される施行までに必要な対応(五つの選択肢から二つ以内で選択)については「特定秘密のチェック体制など適正な運用に向けた環境整備」「国民への丁寧な説明」を挙げた市長がそれぞれ14人に上り、国会審議や国民への説明が不足していると感じている市長が多いことがうかがえる。同法の運用面で不安を「感じる」とした12人からは「特定秘密の範囲が不明確で、秘密指定の妥当性を監視する仕組みづくりも明確でない」(今井竜五・岡谷市長)や、「説明が足りず、急ぎすぎている」(池田茂・中野市長)といった意見があった。 一方、不安を「感じない」とした加藤久雄・長野市長は「首相が丁寧に説明していくとしており、適正な運用に向けた検討も行われている」とした。5人は「何とも言えない、分からない」と回答を留保した。このほか、牧野光朗・飯田市長は選択肢からは回答を選ばずに「どんな運用がなされるのか、しっかり注視していく必要がある」とだけ答えた。 今後必要な対応について、ほかの選択肢では4人が法律の「修正」を選択。牛越徹・大町市長は「(特定秘密の妥当性などについて)どのような方法でチェックするのか法律に明記すべきだ」と述べた。小口利幸・塩尻市長は「修正」または「廃止」を求めた。「その他」を選んだのは2人で、「課題と考えられることの国会での十分な論議を」(三木正夫・須坂市長)といった意見があった。 *5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/list/CK2013121002000262.html (東京新聞 2013年12月10日) 【特定秘密保護法】 秘密保護法 識者ら訴え 独立の監視機関必要 数々の不安や懸念が解消されないまま、特定秘密保護法が成立した。政府は制度の細部を詰め、一年以内に施行する予定。識者は、恣意的な運用や国民の「知る権利」の侵害を防ぐため、独立性のある第三者機関のチェックが「最低限の条件」だと強調する。問題点を追及する報道や、国民が関心を持ち続けることが重要との声も上がった。 政府は法成立の直前、秘密のチェック機関として(1)指定や解除、適性評価の基準を定める「情報保全諮問会議」(2)警察庁長官や外務、防衛両省の事務次官らで組織する「保全監視委員会」(3)公文書廃棄の可否を判断する「独立公文書管理監」(4)外務、防衛両省の職員ら二十人規模で内閣府に置く「情報保全監察室」-の設置を打ち出した。さらに成立後、石破茂自民党幹事長が秘密の内容を監視する常設の委員会を衆参両院に置く考えを示した。しかし、田島泰彦上智大教授(メディア法)は「行政機関のほぼ一存で、非常に広範な情報を秘密に指定できる根本に手を付けず、チェックするのには限界がある。法施行させないことが一番だ」と指摘する。その上で「施行するならば最低限、行政の外部に監視機関を設け、独立した立場で秘密にアクセスする必要がある。この要件を満たさなければチェックの役割は果たせない」と言い切る。公文書管理に詳しい都留文科大講師の瀬畑源さん(日本現代史)も「保全監視委員会は政府内部で秘密を統制するにすぎない。各省庁で、その人たちの部下に当たる官僚がメンバーの情報保全監察室が、独立した公正な立場でチェックできるわけがない」と批判する。監視のシステムを少しでも良くするにはどうすればいいのか。瀬畑さんは「人事院のように監察室に内閣からの独立性を担保し、秘密を解除する権限も持ってチェックさせる。さらに諮問会議が監察室の活動を監視する。少なくともこの仕組みは必要」と根本的な見直しを求めた。 田島教授は、法の内容を十分知る必要性を訴える。「情報源に厳罰を科す法律が施行され、情報が出なくなれば、知る権利は実現できない。メディアはより明確に、より深く問題点を提示して、法を施行させない取り組みを続けてほしい」。精神科医の香山リカさんは「市民感情としては『特定秘密』という言葉に警戒心を抱いているのが現状だろう。関心を持ち続けることが大事」と語った。多くの映画監督や作家、学者などが反対の声を上げたことには「この件は政治的スタンスを問わず、幅広い層が『問題だ』と思っている。もっともっとアピールすべきだ」と話している。
| 民主主義・選挙・その他::特定秘密保護法関係2014.1~ | 06:35 PM | comments (x) | trackback (x) |
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