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2013.12.17 科学的根拠のない「基準」は、意味がない
  
    *1より              鹿児島県川内原発周辺の人々

(1)原爆症の新認定基準は、科学的に正しいことが証明されているのか
 *1に記載されているように、厚生労働省は、内部被曝を考慮しないまま、原子爆弾被爆者医療分科会を開いて原爆症の新認定基準を決定した。*1によれば、「現行制度は、がんなど七つの疾病について爆心地から三・五キロ以内で直接被爆した人や、原爆投下後百時間以内に二キロ以内に入った人を認定してきたが、新基準では、心筋梗塞と甲状腺機能低下症、慢性肝炎・肝硬変については二・〇キロまで、白内障については一・五キロまでとし、一律に三・五キロと表現するのはやめ、現行の実質的な認定範囲を少し拡大して明確に線引きした」そうだ。厚生労働省には、医師の資格を持つ官僚もおり、「基準」を決める際には、当然、外部の論文やデータ、専門家の意見を参考にし、それを評価した筈である。

 しかし、この「基準」の決め方は、「○○キロ以内」「百時間以内」というように、一見して、単にきりの良い数字で区切っただけで、科学的・実証的であるとはとうてい思えない。今決めたところから見ても、意図的で、ご都合主義であるように見える。

 従って、厚生労働省が、もし、この「基準」が妥当だと主張するのなら、その根拠となった調査やデータを開示すべきだ。それを見て、これまでの「基準」及び「新基準」の妥当性について、現代の医学者、科学者が評価すれば、「基準」そのものの妥当性が検証できる。国民の生命・健康・人生に関わり、国民に守らせる「基準」は、その評価に耐えるだけの合理性があって初めて意味があるため、検証すべきである。

(2)厚生労働省は、公害の被害者をどう扱ってきたか
 *2のイタイイタイ病のケースでは、国の基準で公害病患者と認められないカドミウムによる腎臓障害の人に、三井金属が1人60万円の一時金を支払うことで問題解決とするそうだ。①人の一生の苦しみや人生の転換の対価がたった60万円であること ②45年も経過し、多くの被害者が死亡して対象者が減った後に問題決着すること に、私は疑問を感じる。そして、それが、国や厚生労働省の考える一人の人間の一生の価値だから、問題なのである。

 また、*3のように、水俣病の認定基準も科学的でも実証的でもなく、認定患者を少なくするための認定基準が目立った。

 そして、これは、フクシマのケースでも同じであるから、被害者になる人は、それにも気をつけなければならず、病気になった上に、大変なのである。

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013121702000117.html
(東京新聞 2013年12月17日) 内部被ばく考慮ないまま 原爆症 新認定基準を決定
 厚生労働省の原子爆弾被爆者医療分科会が十六日開かれ、がんや心筋梗塞など被爆者の病気を原爆症として認定する新基準が決まった。がん以外の疾病を認定する範囲はわずかに広がるが、内部被ばくについてはこれまで通りほとんど考慮しない。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のメンバーらは会見で「非常に残念。死ぬまで裁判を続けなければならない」と肩を落とし、「抜本的な改善が実現するまで、戦い続ける」と訴えた。
 現行制度は、がんなど七つの疾病について爆心地から三・五キロ以内で直接被爆した人や、原爆投下後百時間以内に二キロ以内に入った人などを積極的に認定する。だが現実は、がん以外は原爆放射線の影響を厳しく問う「放射線起因性」を条件として強調し、ほとんどを却下。今年六月までの約三年間で心筋梗塞は16%、慢性肝炎・肝硬変は6%しか認めていない。
 新基準では、心筋梗塞と甲状腺機能低下症、慢性肝炎・肝硬変については二・〇キロまで、白内障については一・五キロまでとした。一律に三・五キロと表現するのはやめ、現行の実質的な認定範囲を少し拡大して明確に線引きした。国は、放射線起因性を、主に直接被爆した時の線量でとらえ、その後、環境中に残った放射性物質による内部被ばくの影響はほとんどないという考え方で認定作業をしてきた。しかし、原爆投下後に広島、長崎市へ入った人にも被ばくの急性症状が出ており、却下された被爆者が各地で起こした集団訴訟では原爆症として認める判決が出ている。被爆者側は国に、放射線起因性を問う考え方をやめ、三・五キロ以内は七疾病とも原則として認定するよう求めてきた。集団訴訟の元原告団長で、新しく百八人が起こした「ノーモア・ヒバクシャ訴訟」でも原告団長になった山本英典さん(80)は「新基準で救われる人は少なく、被爆者を切り捨てるための新しい基準になりかねない。とても収まらない。死ぬまで裁判するしかない」と話した。
 国が内部被ばくをほとんど認めようとしないことについて、田中熙巳事務局長は「福島第一原発事故の被害者や、外国の基準へ影響するのを恐れているのでは」と話した。新基準は次の認定会議から適用される。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013121701001247.html
(東京新聞 2013年12月17日) イタイイタイ病、全面解決へ 三井金属が一時金と謝罪 
 富山県・神通川流域で発生した四大公害病の一つ「イタイイタイ病」で、被害者らでつくる「神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会」(被団協)と原因企業の三井金属(東京)は17日、全面解決に合意する文書への調印式を開く。イタイイタイ病の前段階の症状で、国の基準では公害病患者と認められないカドミウムによる腎臓障害を抱えている人に、三井金属が1人60万円の一時金を支払う。これとは別に被団協に解決金を支払い、謝罪。双方が問題決着と位置付ける。国が初めて公害病と認定してから45年を経てようやく合意に至る。

*3:http://digital.asahi.com/articles/TKY201312120113.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞 2013年12月12日) 水俣病、認定基準の「統一を」 熊本県知事が国に求める
 熊本県の蒲島郁夫知事は12日、環境省を訪れて谷津龍太郎事務次官と面会し、水俣病の認定基準に関し、国の公害健康被害補償不服審査会が示した認定のあり方と考え方を統一するよう求めた。蒲島知事は、同省の現在の基準に従って県が水俣病と認めなかった男性について、国の不服審査会が10月、認定すべきだとして県の処分を取り消す逆転裁決を出したことに触れ、「国として二つの違った判断をされた。認定基準に従って県として責任ある認定業務を続けることは大変難しくなった。認定業務を返上する覚悟で国の考え方を確認したい」と述べた。蒲島知事によると、谷津事務次官は「真摯(しんし)に取り組むべきことと思う」と答えたが、新たな考え方を示す時期には言及しなかったという。現在の水俣病の認定基準は、申請者に複数の症状があることを事実上の条件としている。しかし最高裁は今年4月、手足の感覚障害だけでも総合的に検討して認定できるとする判決を出した。判決を受け、国と県が認定基準の運用を協議している中で不服審査会の逆転裁決が出た。


| 環境::2012.12~2015.4 | 11:38 AM | comments (x) | trackback (x) |

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