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2013.12.25 政府は、何のために、辺野古の埋め立てに固執しているのか?(2013年12月26日、28日に追加あり)
   
                      辺野古とその周囲の海
(1)「アメとムチ」が時代錯誤というのは、本当である
 *1に書かれているように、「日本政府は14年度の沖縄振興予算を3460億円とする方針だが、仲井真知事が辺野古の埋め立てを承認しないなら、2014年度予算で沖縄の交付金を取り消す」というのは、全く沖縄を馬鹿にした発言である。何故なら、他県も交付金や必要な補助金はもらっているからだ。

 また、「沖縄は基地補助金や基地関係収入に依存している」というのも誤りである。沖縄は、観光地としては、既に世界でも有数のダイバーのメッカであり、海底資源も豊富なので、まともな産業振興を行えば、国から同情予算をもらうどころか、堂々たる日本のエンジンになれるだろう。

(2)アメの古さと選挙の構図
 *2-1に書かれているように、「安倍首相が仲井真知事と会談し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けて、公有水面の埋め立てを承認するよう要請する」とのことである。また、*2-2に書かれているように、「第5次沖縄振興計画(2012~21年度)の実施期間の沖縄振興予算を、毎年3000億円台にする」とのことだが、これも金額ありきで内容のない予算であり、国民の血税を、そのような無駄遣いに使ってもらいたくないと思う。

 そして、この予算を使って沖縄各地で土木工事を行い、埋め立てたり、コンクリートで固めたり、テトラポットを積み上げたりすれば、金の無駄遣いであるだけでなく、えもいわれぬ美しい自然という沖縄の観光資源を大きく劣化させて回復不能にする。また、この金で潤った土木建築会社が自民党を支持して選挙で自民党が勝利するという構図は、国民の意識の進歩を無視した、あまりにも古いシナリオだ。沖縄の土木建築会社も、無駄な仕事をする暇があったら、東北復興の手伝いに行くべきだろう。

(3)仲井真知事の苦しさはわかるため、全国紙も沖縄に協力して欲しい
 *3に書かれているように、仲井真知事は検査入院してしまったが、一人で首相や日本政府を相手に闘わなければならないのだから、そうなる気持ちもわかる。何故なら、徹底して闘えば、株主として東電の合理化を主張した東京都の猪瀬前知事のように、たいしたこともない埃を見つけ出して叩かれ、辞職に追い込まれたり、どうしても何もなければ殺されたりするからである。誰だって、「ぬちどぅ宝」だ。

 そのため、全国紙も、*5で信濃毎日新聞が行っているようにバックアップして欲しい。私自身は、このブログの左のカテゴリー「普天間基地問題」に何度も記載しているように、よく検討すれば、辺野古埋め立てより賢い方法がいくらでもあると考えている。

(4)後世に誇れる歴史的英断とは、どういう判断か
 まさに*4に書かれているとおり、仲井真知事は、選挙公約、県の基地・環境政策との整合性、法律要件、戦後68年間もの基地過重負担などを考慮して、歴史の批判に耐え得る「不承認」の英断を下して「県外移設」を主張すべきであり、それが歴史的英断になるだろう。その後のまともな沖縄県振興や、他の場所での基地負担は、その気になればどうにでもなるからである。

   
                        慶良間諸島と海
*1:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-217041-storytopic-11.html
(琉球新報社説 2013年12月23日) 米研究員“指南” 「アメとムチ」は時代錯誤
 あからさまな脅迫であり、時代錯誤も甚だしい発言である。米軍普天間飛行場辺野古移設に関し、米国の保守系シンクタンクの上席研究員が、仲井真弘多知事が埋め立てを承認しないのなら、日本政府は「2014年度予算で沖縄の交付金を取り消すべきだ。そうすれば沖縄は経済的苦境に陥るだろう」と論評した。米政府の政策決定に影響力のあるシンクタンク研究員の発言だ。研究員は自らの“指南”が日本政府の沖縄対策に反映されているとの認識も示しており、日米政府一体で沖縄懐柔を図る構図が浮かぶ。政府は14年度の沖縄振興関係予算について、概算要求より52億円増の3460億円とする方針だ。埋め立て承認を促す狙いは明らかだが、不承認なら予算を見直すというのなら、重大な問題だ。政府が予算で配慮を強調する那覇空港第2滑走路増設や科学技術大学院大学の整備拡充などは、何も沖縄県民のためだけの事業ではない。国の施策として当然取り組むべき事業であり、その予算の充実を沖縄県民がことさらありがたがる筋合いのものではない。再三指摘しているが、沖縄が基地負担の一方で国の補助金に過度に依存しているかのような認識も誤りだ。人口1人当たりの依存財源額は、沖縄は全国18位の31・5万円で、財政力が近い類似9県の平均41・2万円と比べて低い。
 基地関係収入が県民所得に占める割合も、1972年の日本復帰時の15・5%から2009年は5・2%にまで下がっている。基地に依存するより返還させた方が経済効果が高いことは、北谷町のハンビータウンなどを見ても明らかだ。振興策をちらつかせば、沖縄は、最後は言うことを聞く。そのような差別と偏見と誤解に基づく「アメとムチ」の懐柔策はもう沖縄には通用しない。植民地政策まがいの恫喝(どうかつ)は許されない。振興策を強調するのは、沖縄の強固な異議申し立てを前にした日米両政府の焦りの表れとも言えよう。ただ一方で、振興策や基地負担軽減を条件に辺野古埋め立てを承認するかのような印象を仲井真知事が与えているのも否定はできない。相手を付け込ませる思わせぶりな対応はもう取るべきではない。仲井真知事、そして県民は毅然(きぜん)とした態度で圧力をはねのけ、沖縄の未来に責任を持つべきだ。

*2-1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013122401002568.html
(東京新聞 2013年12月24日) 首相、沖縄知事に埋め立て要請へ 25日普天間移設で会談
 安倍晋三首相は25日午後、沖縄県の仲井真弘多知事と会談し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向け、公有水面の埋め立てを承認するよう要請する。沖縄振興予算の拡充や米軍基地負担の軽減策を説明し、理解を求める考えだ。仲井真氏はこれを受け、埋め立ての可否を週内にも判断する。1996年に日米両政府が返還合意した普天間飛行場の移設問題は重大な局面を迎える。仲井真氏は24日、首相が沖縄振興予算を、毎年度3千億円台確保する方針を表明したことを受け「心から感謝申し上げる」と歓迎するコメントを発表した。

*2-2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2401H_U3A221C1EB2000/
(日経新聞 2013/12/24) 首相、沖縄振興「21年度まで年3000億円台」 知事と25日会談
 安倍晋三首相は24日の閣議で、第5次沖縄振興計画(2012~21年度)の実施期間の沖縄振興予算を、毎年3000億円台にすると表明した。沖縄県宜野湾市の米軍普天間基地の同県名護市辺野古移設に理解を得るため、手厚い支援で沖縄に配慮する姿勢を示したものだ。25日午後、仲井真弘多知事と会談する。首相は「沖縄振興の取り組みを強化するため毎年3000億円台を確保する」と述べた。菅義偉官房長官は閣議後の記者会見で、首相と仲井真知事の会談が25日午後になると発表。沖縄振興や基地負担の軽減を念頭に「政府としての責任でできる限りのことをすべてやりたい」と強調した。政府の立場を改めて伝え、辺野古沿岸部の埋め立てについて年内の承認を引き出したい考えだ。沖縄振興費を巡っては、政府は13年度当初予算で3001億円、14年度予算案で3460億円を計上し、2年連続で3000億円を上回った。

*3:http://digital.asahi.com/articles/DA2S10896007.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞 2013年12月24日) 沖縄知事、週内にも判断 辺野古問題、負担軽減見極め
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古の埋め立て申請への対応について、仲井真弘多知事は23日、県幹部と詰めの協議を行った。県が求めた負担軽減策に対する安倍政権の回答を見極めたうえで、承認するかどうか週内にも判断する構えで、移設問題は山場を迎えている。
 仲井真氏が検査入院している東京都内の病院に、県幹部を集めた協議は約2時間に及んだ。出席者によると、協議では、当銘健一郎・土木建築部長が公有水面埋立法にもとづく審査結果を報告。そのうえで、承認、不承認それぞれの場合に起こりうる問題点を整理した。当銘氏は、同法が判断基準とする6項目のうち「環境保全などに十分配慮されているか」については、「ジュゴンや特定外来生物の問題などがあり、難しい」と説明。法に適合するかどうかの結論を示さなかった。
 23日の県幹部との協議で、仲井真氏は17日の沖縄政策協議会で政権に申し入れた「普天間の5年以内の運用停止」「牧港補給地区(浦添市)の7年以内の全面返還」への対応を特に気にしていたという。いずれも負担軽減のために「日米地位協定の改定」「オスプレイ12機程度の県外配備」とともに求めた内容だ。県側の要望に対し、安倍政権は「やれることはすべてやる」(菅義偉官房長官)ことで、仲井真氏の承認を得たい考えだ。来年度予算案の沖縄振興予算では、概算要求を上回る金額を計上する方針。負担軽減にも前向きに取り組む姿勢をアピールする。
 普天間の早期運用停止などについても、岸田文雄外相が22日のNHK番組で「あらゆる可能性を検討しなければならない」と発言。小野寺五典防衛相も21日のBS朝日の番組で、日米地位協定の改定をめぐり「米国側と交渉することは大切だ」と述べるなど、そろって負担軽減への「意欲」を強調した。ただ、これらの課題の解決には米国の同意が不可欠だが、米側は否定的で実現の見通しは立っていない。

*4:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-217083-storytopic-11.html
(琉球新報社説 2013年12月24日) 埋め立て知事判断 後世に誇れる歴史的英断を
 仲井真弘多知事は、選挙公約、県の基地・環境政策との整合性、法律要件に適合するか否か、戦後68年間も米軍基地の過重負担に耐えてきた県民の苦しみなどを最大限考慮し、歴史の批判に耐え得る「不承認」の英断を下してほしい。政府が知事に求めた普天間飛行場の名護市辺野古移設計画に伴う埋め立て申請への判断のことだ。
 県が先に政府に行った沖縄振興と基地負担軽減に関する要請のうち、特に「普天間飛行場の5年以内の運用停止、早期返還」「日米地位協定の条項の追加等、改定」「オスプレイの12機程度を県外の拠点に配備」の3点は、従来の県の政策や県民意思と相いれず、要請の民主的正統性に疑義がある。知事は2期目の選挙公約で普天間飛行場について「県外移設」を約束した。「県外移設」を今回の要請書に明記しなかった理由、真意は何か、公約を変更するのか、県民に対し説明を尽くしていない。県と県内市町村はかねて、国にオスプレイ配備撤回と地位協定の抜本改定を求めてきた。もし知事の独断で常駐配備容認、協定の部分改定に主張を変更するなら市町村長や議会、県民への背信となる。今年1月にオスプレイ配備に反対する県民大会実行委員会、県議会、県下41市町村の首長、議会の連名で首相に提出した建白書も、オスプレイ全機の配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去と県内移設断念を求めた。これが最大公約数の県民意思だ。「県民の強い思い」をねじ曲げて、政府に誤ったメッセージを送ってはならない。
 在沖海兵隊の国外分散推進に伴う辺野古移設合意の事実上の破綻、森本敏前防衛相も認めた県内移設の軍事合理性の欠如、辺野古アセスのずさんさなどの観点からも「不承認」こそ合理的だ。防衛省は辺野古の軍港機能拡充を県民に隠し、米国防総省に対してはジュゴン関連の膨大な環境調査情報を削除したアセス資料を送付していた。県民を欺き、政権上層部、国会への説明を怠った疑いが拭えない。知事は防衛省の強権的かつ詐欺的手法に加担せず、後世に誇れる決断を下してほしい。国の申請が公有水面埋め立て法の要件を満たしているか厳格に判断すべきだ。曖昧な点があれば、来年1月の名護市長選への直接的影響を避ける観点から、選挙終了まで知事判断を留保するのも選択肢だ。

*5:http://www.shinmai.co.jp/news/20131223/KT131221ETI090005000.php
(信濃毎日新聞 2013年12月23日) 沖縄県知事 県外移設の公約は重い
 沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題がヤマ場を迎えた。仲井真弘多知事が同県名護市辺野古への移設に向けた政府の埋め立て申請を認めるかどうか、近く判断するとの見方が強まっている。
 知事は3年前の選挙で県外移設を公約に掲げた。今月上旬の県議会本会議の場でも「県民との約束であり、全力で実現に取り組む」と、立場を変える考えがないことを示している。沖縄県民の多くが県外移設を求めている。申請を認めれば民意をないがしろにする行為と受け取られかねない。日米両政府と沖縄県民の亀裂も深まるだろう。知事の決断に目を凝らしたい。安倍晋三政権の沖縄への姿勢はごり押しにしか見えない。
 自民党沖縄県連は昨年の衆院選や今年の参院選でも「県外移設」の方針を曲げなかった。米軍による犯罪や騒音に長年悩まされ、基地負担の軽減を求めてきた県民の声を尊重すれば当然である。来年1月には名護市長選が控えている。安倍政権は移設反対の現職が勝てば日米合意が頓挫するとの焦りも加わり、早期決着に向けた説得工作を加速させた。11月には県連幹部を上京させて「党本部の方針に従うべきだ」と要請。沖縄選出の国会議員にも辺野古容認を迫った。結局、県外移設にこだわれば普天間が固定化する、基地負担の軽減にならない―などの理屈で公約はほごにされた。
 一方、政府は沖縄振興策の拡充や在沖縄米軍の訓練移転をちらつかせてきた。アメとムチで移設を実現する構えだ。沖縄に対する包囲網が狭まっていく中、安倍首相と仲井真知事が先日都内で話し合った。知事は首相に▽普天間飛行場の5年以内の運用停止▽米軍基地の管理・運用を定めた日米地位協定の改定―などを求めた。知事はその後、政府の埋め立て申請の判断について「年内に間に合うかもしれない」と語っている。
 米側と交渉する必要もあり、政府にとっては高いハードルだが、見方によっては「条件闘争」をしているようにも受け取れる。なぜ普天間の閉鎖ではなく、移設なのか。新たな基地の建設は日米両政府が目指す負担軽減と逆行することなのに、双方とも必要だと強調するばかりで説得力のある説明をしてこなかった。理解を得られないのは当然だ。新しい基地が本当に要るのか、検証し直す作業こそ急ぐべきだ。


PS(2013.12.26追加):「『沖縄優遇』は印象操作にすぎず、戦後通算で見ると沖縄への1人当たり財政援助額は全国平均の6割で、むしろ『冷遇』だった。復帰後の沖縄への高率補助は戦中戦後の『償い』の意味があったが、今や露骨に基地押し付けの材料だ」等の分析を、きょう見つけたが、こういう分析は地元紙しか行わないと思うので、*6として追加しておく。

*6:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-217117-storytopic-11.html (琉球新報社説  2013年12月25日) 14年度予算 「厚遇」は印象操作だ 基地強要の正当化やめよ
 2014年度沖縄関係予算が前年度比15・3%増の3460億円で決まった。増額となったのはともかく、政府が「厚遇」を強調する点に強い違和感を抱く。政府は躍起になって「沖縄に対し他の都道府県ではあり得ないほど特別に国費をつぎこんでいる」というイメージを振りまいている。だがそれは事実と異なる。むしろ他府県にはあり得ない水増しやごまかしがまかり通っている。政府はこれで基地強要を正当化したつもりだろうが、不当な印象操作は直ちにやめてもらいたい。
●数ある「かさ上げ」
 「水増し」「ごまかし」の最たるものは那覇空港の整備予算だ。那覇空港は1990年代の段階で既に、2010年代半ばでの「ボトルネック」が懸念されていた。つまり、空港利用の需要が高まり、滑走路1本ではさばききれないという見立てだ。滑走路増設の必要性は全国でも福岡空港に次ぐ二番手の位置付けだった。福岡は既に整備され、那覇に着手するのは自然な流れのはずだ。那覇は国管理の空港だから整備は政府の空港整備勘定(旧空港整備特別会計)で計上すべきだ。だが政府はこれを沖縄関係予算に組み込んだ。県の注文で辛うじて一括交付金と別枠になったとはいえ、沖縄以外なら国の予算となるところ、さも沖縄のため特別に計上したかのように装うのは不当な「演出」だ。他の沖縄関係事業にしわ寄せも生じたはずである。
 沖縄関係予算を「かさ上げ」しているのは沖縄科学技術大学院大学も同様だ。2001年に構想が浮上した際は、この経費捻出のため通常の沖縄関係予算が削られるのを警戒する声があった。政府はその点をうやむやにし、一時は文部科学省予算で一部賄うと説明したが、雲散霧消した。今や完全に沖縄関係予算だ。本来、入るべきでないこれらを除くと、14年度の沖縄関係予算は2930億円だ。99年度は3282億円だから15年で1割減った。国全体ではこの間、逆に1割以上増えている。財政学が専門の池宮城秀正・明治大教授によると、沖縄の2011年度1人当たり依存財源(国からの財政移転)額は32万円で全国18位。類似9県平均41万円の8割弱だ。「沖縄優遇」は印象操作にすぎない。戦後通算で見ると沖縄への1人当たり財政援助額は全国平均の6割にすぎず、むしろ「冷遇」だった。復帰後の沖縄への高率補助は戦中戦後の「償い」の意味があったが、今や露骨に基地押し付けの材料だ。どこまで沖縄の尊厳を踏みにじれば気が済むのだろうか。
●程遠い自由裁量
 確かに沖縄振興一括交付金制度は沖縄予算だけにある制度である。だがこれはカネ目当てというより予算の効率化、財政の地方分権論として出た構想だ。地方の実需にあった予算編成とするため、省庁ごとのひも付き補助金でなく、地方の自由裁量で支出できるようにするのが本来の狙いだ。しかし、制約が多く、自由裁量とは程遠いのが現状だ。沖縄の振興には人材育成が欠かせないのに、例えば教員の加配には使えない。人件費支出を伴うのは予算の単年度主義に反するからという理由のようだが、制約は本来の趣旨に反する。例えば無償の奨学金の大幅創設、留学の大幅増に向けた大胆な支援策などを可能とすべきだ。県は15年度以降、裁量権を広げるべく国を説得してほしい。
 全国予算を見ても解せない点は多々ある。歳出削減に向けた切り込みどころか、各省庁の要求をほぼ受け入れた。増税は財政再建が目的のはずが、従来型の公共事業増加に振り向けられた感がある。税制改正の方向も疑問だ。低所得者に負担増を強いる一方、大企業への優遇策が目立つ。「強きを助け、弱きをくじく」構図だ。防衛費も増えた。「強権国家」づくりに税金を使うのが安倍政権らしい。予算編成の「哲学」が正しかったのか、疑問は尽きない。


PS(2013.12.28追加):2013年12月27日に、仲井真弘多知事が名護市辺野古沿岸部の埋め立て申請を承認したことについて、*7の地元紙の記事を紹介しておく。なお、私も、ここで基地問題を争点として議論を尽くし、知事選を行うのが、沖縄が覚悟を持って自らの針路を決めるスタートになると思う。
   
                 2013年12月27日、28日
沖縄タイムス      東京新聞           佐賀新聞        佐賀新聞 

*7:http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=59679
(沖縄タイムス社説 2013年12月28日) [知事埋め立て承認] 辞職し県民に信を問え
 政治家の命綱である「選挙公約」をかなぐり捨てた姿というほかない。だが、本人はそうは思っていない。埋め立ては承認したが、「県外移設」の公約は変えていない、という。県外移設を実現するために、政府から何の担保も取っていないのに、である。こんな説明で県民の理解が得られるとほんとに思っているのだろうか。政治家の公約は有権者との契約である。知事はもはや、県民の負託を受けた政治家としての資格を自ら放棄したと言わざるを得ない。米軍普天間飛行場の移設に向けて国が県に提出していた名護市辺野古沿岸部の埋め立て申請を、仲井真弘多知事は27日承認した。辺野古移設を認めたということだ。知事選で県外移設の公約に1票を託した有権者への裏切り行為である。知事は記者会見で、辺野古移設を承認したことと、県外移設の公約との矛盾を問われると、県外移設の公約を変えていない、と声を荒らげ、説明を拒否した。17日に首相官邸で開かれた沖縄政策協議会以来、知事に決定的に欠けているのは県民への説明責任だ。それは27日の記者会見でも果たすことがなかった。記者とのやりとりはわずか30分余り。県の方から一方的に打ち切った。
 知事は、県外移設の公約と、辺野古移設は併存するという。その理屈が分からない。辺野古移設は時間がかかるため、5年以内に県外移設するのが「普天間の5年以内の運用停止」の意味のようだ。だが、過去の経緯を見ても分かるように、本土で具体的な地名が出るたびに地元から反対運動が起きてみんな頓挫しているのが現状だ。知事が根拠としているのが、安倍晋三首相との会談で、首相が危険性除去は最大の課題であるとの「認識を共有している」との表明である。沖縄の基地問題で、これまでなされた閣議決定、総理大臣談話でさえほごにされているのにである。首相の表明が「口約束」にすぎないことは、知事本人が一番知っているはずだ。
 事務レベルで最後まで可否判断を保留していた環境保全については「現時点で取り得ると考えられる措置等が講じられている」として基準に適合していると判断した。本当にそうだろうか。ジュゴンやウミガメの保護、投入土砂に混入する恐れのある特定外来生物は不確定要素が大きい。県は、留意事項として国に専門家や有識者で構成される環境監視等委員会(仮称)を設置することを求めているが、実効性があるか不透明だ。承認ありき、としか見えない。本社が実施した直近の2種類の世論調査では「承認するべきでない」が64~72%に上り、「承認するべきだ」はいずれも約22%にとどまっている。知事と有権者の信頼関係は破綻したといっていい。知事の言葉が信を失っては業務を遂行するのは不可能だ。
 仲井真知事は、1995年の米兵による暴行事件を受け、大田昌秀県政が米軍用地強制使用問題で代理署名の拒否をめぐり政府と対峙していたころの副知事を務めた。当時を知る関係者によると、「なんで県が中央と事を構えるのか」と言い、副知事として応諾の文案をつくる役回りを演じたという。2006年には当時の政府案を拒んでいた稲嶺恵一知事に「政府と事を構えるのはいかがなものか」といさめた。仲井真知事は旧通産省の官僚出身で、官僚体質がしみ込んでいる。その最も悪い部分が表れたのがこの日の記者会見だった。知事は記者会見を県庁で開くことができなかった。警備上の理由から、知事公舎に移した。警察に知事公舎を守られながら開かざるを得なかった記者会見が、知事の埋め立て承認の正当性に疑問符が付くことを象徴している。知事は会見で名護市民に対し何の言及もしなかった。17年間も地域を分断された市民の苦悩に思いをいたしているようには見えなかった。
 多くの県民は「平和的生存権」「環境権」「人格権」「公平・公正な基地負担」をかけて辺野古移設問題に向き合ってきた。その主張の正当性は高まるばかりだ。

| 辺野古・普天間基地問題::2012.2~2015.3 | 01:49 PM | comments (x) | trackback (x) |

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