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2013,12,26, Thursday
↑ 2013.11.17佐賀新聞より http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/dblog/speedi1/blog/38508/ SPEEDIデータ:強風で有明海まで1時間で汚染が到達 (1)発送電分離と市場競争の必要性 *1-1で、九電前社長の真部氏が「発送電分離に疑問」としながら、電力市場で競争が低調なことについて、「制度上の問題というより、新規参入事業者が大規模電源を持てないからではないか」としているのは、(経営者が経営学・経済学を知らないのでなければ)意図的に事実を歪めていると思う。何故なら、大規模発電設備など持たなくても、自然エネルギー等によって分散発電を行い、その電力を販売する場合や、*4のような新電力を使いたい人に送電するためには、送電会社が発電会社とは独立の意思決定ができる別会社であることが必要だからである。これまで新電力の普及を邪魔してきたのは、送電設備を所有する従来の電力会社にほかならない。 真部氏は、「発送電分離などが必ずしも電気料金の抑制や災害時の大規模停電回避につながらない」ともしているが、発送電分離により市場競争が起こることで、発電方法の工夫や技術革新が進み、電気料金は抑制される。また、災害時の大規模停電に備えるには、自家発電や狭い地域単位での発電設備所有しか危機管理の方法はないだろうし、ここで発電された電力も販売できるのである。 「改革の本当の狙いは、電力やガス、石油業界の融合を進め、外国に負けないエネルギー産業を育成することではないか」とも語られたそうだが、顧客本位の国内競争で鍛えられていない産業は、*1-2のように、原発か火力かという選択肢しか思いつかず、国際競争にも弱い。また、現在の地域独占と総括原価方式によるシステムでは、*5のようなことも普通に起こる。 原発について、「燃料コストが安い電源だが、事故時に巨額の損害賠償を求められたり、外国の事故でも停止を迫られたりするリスクがある。使用済核燃料の問題もあり、『国策民営』の矛盾を真っ先に考えるべきだ」とも主張されたそうだが、すべてを考慮した原発のコストが膨大であることは、すでに多くの国民が知っている。従って、国営だろうと民営だろうと、原発はもう終わりにすべきなのである。 なお、*1-3に記載されているように、「東京・六本木の原子力規制委員会からほど近いビルの一室に、7月以来、九電の社員90人が常駐し、原子力規制庁からのヒアリングや審査会用の資料作成に当たっている」という電力会社の体質は問題だ。普通の会社なら、社員が90人もいれば、数億円の売り上げを稼ぐが、電力会社では、他部署から送られた激励の寄せ書きや千羽鶴をもらって、「大変だ、大変だ」と言いながら、原子力規制委員会への対応だけをしているわけである。普段から、生産性が低く、人材や費用を無駄遣いしているのがよくわかるが、それで「九州の電力供給を支えている」などと言って欲しくない。何故なら、他社がやれば、もっと生産性高く発電し、料金を安くすることができるからである。 (2)立地自治体は、もう原発依存を断つべき *2で「原発が停止すると、地元を潤す定期検査に伴う作業員の宿泊や飲食、輸送需要が消えるという経済損失が危惧される」とされているが、これらは、結局は、私たちが電気料金として支払っているものだ。一方、これまで作業員の宿泊だけで経営が成り立っていた地元玄海町の旅館業者は、原発停止後、町内にある運動施設を活用し、サッカー大会や合宿の誘致に取り組んで宿泊客が右肩上がりになり、旅館組合長は「福島の事故で、原発が絶対的な存在でないことが分かった。経営を自立する手だてを築かなければ」と述べている。近くに原発がない方が都合のよい産業が多いため、立地自治体も、もう次のステージに進むべきだが、そのためには周囲の協力も必要なのである。 (3)原発事故時に被害を受ける周辺自治体について *3のように、玄海原発のケースでは、佐賀県伊万里市区長会連合会が2013年12月24日、九電に、原発立地自治体並みの「事前了解」を盛り込んだ原子力安全協定を伊万里市と早期に結ぶよう求める要望書を提出したが、受取った武雄営業所長は、立地自治体並みは難しいとの認識を示したそうだ。事故が起これば立地自治体と同じ被害を受けることが明らかな周辺自治体に、必要な情報を知らせるのは当然だし、それもできないのであれば、やはり一刻も早く原発を終えるべきである。 *1-1:http://qbiz.jp/article/29361/1/ (西日本新聞 2013年12月20日) 九電前社長、発送電分離に疑問 講演で「改革に事業者の声を」 九州電力前社長で九州通信ネットワーク(福岡市)の会長を務める真部利応氏が19日、福岡市・天神であった交流会「天神サロン」で講演し、政府が電力システム改革で進める予定の「発送電分離」について「意図がよく分からない」と疑問を呈し「(改革に)民間事業者の率直な声を反映してほしい」と訴えた。改革では、2015年をめどに全国規模で電力需給を調整する「広域系統運用機関」を設立する改正電気事業法が11月に成立。付則には小売りの全面自由化、大手電力会社の発電と送配電部門を別会社にする「発送電分離」を実現する工程が盛り込まれた。真部氏は、電力市場で競争が低調なことについて「制度上の問題というより、新規参入事業者が大規模電源を持てないからではないか。安い電源の確保には大規模開発しかないが、数千億円の設備費用がかかる」と指摘。発送電分離などが必ずしも電気料金の抑制や災害時の大規模停電回避につながらないとして「改革の本当の狙いは、電力やガス、石油業界の融合を進め、外国に負けないエネルギー産業を育成することではないか」と語った。原発については「燃料コストが安い電源だが、事故時に巨額の損害賠償を求められたり、外国の事故でも停止を迫られたりするリスクがある。使用済み核燃料の問題もあり、『国策民営』の矛盾を真っ先に考えるべきだ」と主張した。 *1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2601482.article.html (佐賀新聞 2013年12月26日) 1日も早く再稼働を 瓜生九電社長が会見 九州電力の全原発が停止して丸2年となった25日、瓜生道明社長は記者会見で「1日も早い再稼働が不可欠」と述べ、玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)、川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の早期再稼働を目指す考えをあらためて強調した。瓜生社長は1年を振り返り、原発停止に伴う電力需給のひっ迫と電気料金値上げについて「お客さまに大変な不便と迷惑をかけた」と陳謝。火力燃料費の増加で収支が急速に悪化しているとし、原発の早期再稼働に理解を求めた。一方、本年度は資金調達のめどが立ち、経営面で「まだ辛抱できる余地はある」とも述べた。原子力規制委員会の安全審査については、年内におおむね申請書類を提出できたとし、「想定の範囲でしっかりした対応ができた」と評価した。伊万里市の塚部芳和市長が「(安全協定は)政治的駆け引きの道具」などと発言した問題については「住民の安全・安心を守るために立地自治体並みの安全協定をという気持ちが根底にはあると思う」と話し、安全協定に関する協議に影響はないとの認識を示した。 *1-3:http://qbiz.jp/article/29631/1/ (西日本新聞 2013年12月26日) 「安定経営」今は昔 九電、社員に疲労感 「原発ゼロ」2年 主要電源だった原発がすべて停止し2年を迎えた九州電力。火力燃料費の増大に伴う急速な経営悪化で経営合理化を迫られ、「九州随一の安定企業」だった東日本大震災前とは様変わりした。原発再稼働に向けて九電は、原子力規制委員会による安全審査への対応に全力を挙げるが、賃金カットを余儀なくされた社員には疲弊感も漂う。東京・六本木の原子力規制委員会からほど近いビルの一室。7月以来、九電の社員90人が常駐し、原子力規制庁からのヒアリングや審査会合用の資料作成に当たっている。部屋の壁に掛けられているのは、九州の他部署から送られた激励の寄せ書きや千羽鶴。社員は都内でホテル暮らし。相応の経費がかかるが「審査に迅速かつタイムリーに対応する必要がある」と九電。一日も早い再稼働のためにはできることは何でもする構えだ。九電にとって正念場を迎えつつある審査会合。11月8日には原子力規制委員会から、原発で想定している地震評価が「不十分」と指摘され、審査期間が大幅に長期化しかねない状況になった。九電は12月18日に、想定する最大の揺れをこれまでより引き上げると説明。規制委から大きな異論はなく、九電幹部からは「本年度内の審査終了も見えてきた」と安堵(あんど)の声も漏れる。その一方で「最後まで何があるか分からない」とくぎを刺す声もある。規制委の現地調査で高い評価を得た川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)と玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)。関係者の間では、審査の進み具合は九電がトップとの見方があるものの、審査終了し、再稼働するまでは緊張の日々が続く。 ■ ■ 「忘年会で居酒屋を予約するときも、『九電』の名は出さない」。九電の40代の男性社員は自嘲気味に話した。福島第1原発事故以来、原発や電力会社への世間の視線は厳しい。九電は原発再稼働をめぐる「やらせメール問題」からの信頼回復も道半ば。春の電気料金値上げでは利用者に負担増を強いただけに「『九電社員が外で酒飲んで遊んでいる』と評判が立ったりしたらまずい」とこの社員はこぼす。九電は4月から、社員の基本給を5〜10%カット。賞与支給は夏冬とも見送り、創業以来初めて年間ゼロにした。妻と小学生の娘2人とマイホームで暮らすこの社員は住宅ローン返済のために、退職金の一部を前借りして家計をやりくりしている。「会社の赤字を考えるとやむを得ない」と分かっているものの「今後もこれが続くと思うときつい」のも本音だ。九州の電力供給を支える−。現場の社員には今も電力マンとしての心意気が残るものの、原発停止で電力の安定供給は他電力からの融通などに頼らざるを得ない現実が横たわる。「若い社員が希望を持てない会社になった」と嘆くのは別の中堅社員。「九電が原発事故を起こしたわけではないのに、なぜここまで肩身が狭い思いをしなければならないのか」。そんな不満も社員の間にはくすぶっている。瓜生道明社長は25日の記者会見で「厳しい環境の中でも社員の『頑張っていこう』という気持ちはなえていないのではないか。処遇の改善は、原発の再稼働をにらみながら考えていきたい」。九電の経営も、社員の生活も、原発に頼らざるを得ないのが九電の実情だ。 *2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2600048.article.html (佐賀新聞 2013年12月24日) 玄海原発停止2年 地域への余波目立たず 玄海原子力発電所(東松浦郡玄海町)の原発全4基が停止し、25日で丸2年となる。地元を潤していた定期検査に伴う作業員の宿泊や飲食、輸送需要が消えることによる経済損失が危惧されたが、目立った倒産などは出ていない。ただ、再稼働に向けた安全対策の工事が地元経済を“下支え”していることもあり、今の状況を「一時的な平穏」と見る向きは多い。玄海原発から十数キロにある唐津市中心部のホテル。福島第1原発事故後、当時の菅直人首相が「脱原発」を打ち出したことで、一時は「蓄えがあるうちに閉館」を検討したほどだが、昨秋ごろから原発関係者の宿泊が戻り始めたという。「定検で客が入るのは1年の半分ほど。今年は定検時ほど多くはなかったけど、年間を通じて客足が絶えなかった」と経営者。客室の空調設備も新しくした。銀行の融資査定はすんなり通ったという。原発による地元への経済効果は13カ月に一度、炉を停止して行う定期検査によってもたらされる。唐津上場商工会が昨春示した「年間34億円の経済損失」の根拠も、1日2千人前後の作業員の宿泊や食費などの需要が消えることを想定したものだ。ただ、安全対策工事が入り、「100ではなくても、最悪ではない」と同商工会はみる。唐松地区の宿泊施設は震災直後の2011年4月に106カ所だったのが、直近の今年12月は99カ所。飲食店は471店から450店に減った。駅前の唐津シティホテルという大型施設の閉鎖はあったが、景気低迷に伴う減少傾向を考慮すれば、大きな落ち込みとまでは言えない。経済指標の一つ、企業からの税収である法人市民税で唐津経済をみると、震災が起きた10年度が6億9400万円に対し、直近の12年度は7億円と微増。企業調査会社の担当者は「倒産の数も少ない。建設業を中心に活気を取り戻しており、原発停止の影響は見えにくい」と話す。ただ、地元は楽観視する声は少なく、唐津上場商工会の古賀和裕会長(58)は「安全対策工事は一時的なもので、もうすぐ終わる。原発が再稼働しても、九電もこれだけ経営が厳しいので“地元対策”のようなお金の使い方はしないだろう」と、以前ほど原発マネーが地域を潤すことはないとみる。これまで作業員の宿泊だけで経営が成り立っていた地元玄海町の旅館業者たちは、原発停止後、町内にある運動施設を活用し、サッカー大会や合宿の誘致に取り組む。宿泊客は昨年10月からの半年間で575人、4月以降は11月末までの8カ月間で1556人と右肩上がり。同町旅館組合の小豆朋行組合長は「福島の事故で、原発が絶対的な存在でないことが分かった。今回のことを教訓に、経営を自立する手だてを築かなければ」と話す。原発停止から2年の歳月は、地元の意識を変えつつある。 *3:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/saga/article/60009 (西日本新聞 2013年12月25日) 安全協定で九電に要望 「立地自治体並みに」 伊万里市区長会 佐賀県伊万里市区長会連合会は24日、九州電力に対し、原発立地自治体並みの「事前了解」を盛り込んだ原子力安全協定を伊万里市と早期に結ぶよう求める要望書を提出した。安並勇会長らが武雄営業所で富永弘文所長に手渡した。要望書は「緊急防護措置区域(UPZ)に指定され、市民は驚きと不安を募らせている」とし「安全・安心確保の観点から、立地自治体並みの安全協定を求める市の判断、行動を全面的に支持し早期締結を強く要望する」との内容。富永所長は「本店に伝えたい」と述べる一方「(事前了解を含む県との)安全協定があり、伊万里市とはこれを補完する形がいいのではないか」と述べ、立地自治体並みは難しいとの認識を示した。 *4:http://qbiz.jp/article/28003/1/ (西日本新聞 2013年11月27日) 新電力で9000万円削減 北九州市教委が競争入札 北九州市教育委員会は26日、市内の小中学校と特別支援学校計193校の来年度の電力供給について一般競争入札を実施し、新電力(特定規模電気事業者)の丸紅(東京)が落札したと発表した。これまでは学校ごとに九州電力と随意契約していたが、新規事業者が参加しやすい新制度に変更。今回の落札で約9千万円の電気料金が削減できる見込みだという。新電力は電力の小売りが自由化されて登場し、工場の余剰電力などを安く売ることが可能だ。今回の入札は個別契約の煩雑さを避けるため193校を3グループに分けて実施。いずれも九電と新電力の計5社が参加し、すべて丸紅が落札した。落札額は計約3億9千万円。九電の見積額は約4億8千万円だったという。同市によると、九電が4月から実施している企業・団体向けの値上げ(平均11・94%)で、市所有の施設の電気料金は年間約5億円の負担増になるという。市は体育館や野球場など学校以外の市所有施設についてもグループ化しての一般競争入札を検討する。 *5:http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=313119&nwIW=1&nwVt=knd 【東電談合 2013年12月23日】 発送電分離は不可欠だ いったい何度、国民や利用者を裏切るのか。もはやあきれるしかない。東京電力発注の送電線工事をめぐる談合問題で、東電の社員が受注業者に助言したり、事前に契約の意向を伝えたりするなど談合を容認、助長していた実態が公正取引委員会の調べで分かった。受注業者間の話し合いなどを主導していたのも関連2社だった。外形的にはグループぐるみの構図である。談合によって不当につり上げられた工事代金は結果的に電気料金に転嫁された可能性がある。早期の全容解明と再発防止の徹底を求める。東電は本来、必要のないしわ寄せを幾重にも国民、利用者に及ぼしている自覚があるのだろうか。原発事故の被害に加え、昨年9月には家庭向けで平均8・46%の電気料金値上げを実施。賠償や除染費用の原資として国が貸し付ける巨額の「無利子」融資も返済が滞れば、さらなる国民の負担になりかねない。こうした流れからも東電が経営合理化に努めなければならないのは当然なのだが、社員が不法行為に手を貸していた。東電は昨年1月、発注方法を随意契約から値引き率や見積価格で業者に競わせる手法に変更したものの、ポーズにすぎなかったわけだ。複数の担当社員がメールで「きれいに数字が並んだら談合がばればれ」といった助言のほか、「A社に取らせたい。うまく調整する」と「天の声」を下したケースも判明した。受注業者、特に関連2社には多数の東電OBが再就職しており、うち7人が直接担当者として談合に参加していたという。公取委が業者側に立ち入り検査に入ったことし3月までの1年余りに、違反が認定された工事の発注総額は約150億円に上る。価格の高止まりは明らかで、立ち入り後は4割も安くなった工事があった。こうした実態をみれば、電力システムのインフラにあたる送配電部門と収益事業である発電部門とを切り離す「発送電分離」の必要性を疑う余地は全くない。3段階で進められる電力改革で、発送電分離は18~20年をめどに実施する方向性は決まったとはいえ、成立した改正電気事業法では付則に盛り込まれたにすぎない。改革が骨抜きにされないよう、利用者である国民がしっかりとチェックしていく必要がある。
| 原発::2013.11~2014.5 | 04:34 PM | comments (x) | trackback (x) |
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