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2014,02,05, Wednesday
フクイチ後の陸地汚染 フクイチ後の海の汚染 農業用電気トラック (1)九州の立地自治体トップも東京都知事の原発争点化に理解 *1に書かれているように、東京は首都で最大の電力消費地で、選挙結果は国の原発政策や原発再稼働の議論にも影響を与えるため、九州の立地自治体の首長も選挙戦の行方を注目している。九州電力川内原発が立地する鹿児島県の伊藤知事は、「知事選というのは何を討論してもいい。強弱はあるが、(原発が)立地するしないにかかわらず、いろんなテーマについて幅広く議論されればいい」と、原発の争点化に一定の理解を示したそうである。 また、九電玄海原発がある佐賀県の古川知事は「都民に一定の関心があるから議論になるのだろう。一人の政治家として原発問題をどう考えるのかを明確にするのは、有権者が投票を判断する要素となりうるので意味がある」「脱原発を政策に掲げるのであれば、実現までのプロセスを明確にすべきだ」とのことである。しかし、実現までのプロセスは既に明確で、後はやる気の問題だ。 立地市町である薩摩川内市長と玄海町長は警戒しているそうだが、もう次に進んで、普通の企業を誘致するなどの方法での地域振興を考えるべき時期だ。時代が進み、ツールもあるので、歴史を進める抵抗勢力になってはならない。 (2)「原発は低コストで、公害がない」と言う者に告ぐ *2によれば、東京電力の福島第一原発事故による損害賠償額の見込みは、5兆円から9兆円に増え、それは除染費用などが加わったためで、賠償には公的資金が使われることになったそうだ。ただし、この除染費用は一部の地域に関するもので、関東・東北・北海道全域の汚染という公害を、受益者負担で復旧すべくカバーしたものではない。 そして、原発事故に備える保険料を十分支払わずに、「原発はコストが低い」という主張が聞かれるが、原発事故時の尻拭いは国民にさせているのだから、それこそ無責任である。再稼働の議論は、まず公害の補償を自らで保険料を支払ってから始めるべきで、原発でなくても電気は起こせる。 (3)その他の発電方法も進んでいる *3のように、最大出力が1.5万キロワット未満の中規模地熱発電所の建設計画が相次いでおり、電気をまとめ買いして安く供給している中央電力が熊本県で新設発電所を運転開始したり、オリックスと東芝が岐阜県で2015年の運転開始を目指したりしている。これは、景気対策と称して札束をどぶに捨てるのではなく、次の時代にプラスになる投資を行うものであり、経営環境に敏感なオリックスの高橋事業開発部長も「(自由化を控え)電力市場は夜明け前。新たなビジネスの柱にしたい」と話しているそうだ。火山が多い日本の地熱資源量は米国、インドネシアに次ぐ世界3位であり、地熱開発が活況を呈しつつあるのは、燃料費支出が不要な発電方法だけに期待される。 また、*4のように、三菱自動車と発電メーカーのニチコンが、太陽光発電による「農業用充電ステーション」の本格稼働を始めたそうだ。農業では、今までA重油によるエネルギーを使ってきたが、燃油の値上がりによって、損失を出したり、廃業したりするケースが多かった。そのため、エネルギーだけでなく、農業用機器やトラックなども、電気か水素燃料を使えるようにし、地中熱も利用すれば、コスト・ダウンした近代経営にシフトできる。 (4)電力自由化の好影響 *5のように、ソフトバンクが、今春から大口顧客の企業向けに電力の小売り事業に参入する方針で、2016年に電力小売りが全面自由化されるのに合わせて、一般家庭向けの電力販売も検討するそうだ。 エネルギーのためには何を犠牲にしてもよいということはなく、景観や土地利用も重要であるため、大規模太陽光発電所の建設より屋根貸しを使ってほしいが、「原発がなければ、安定して電力を供給できない」「原発を再稼働しなければ電気料金の値上げをする」などと既に合理性の崩れたことを言っている、政府の保護に慣れた旧電力会社よりも、新電力の方がずっと期待できる。 *1:http://qbiz.jp/article/31504/1/ (西日本新聞 2014年2月1日) 原発争点化に一定の理解 九州の立地自治体トップ 原発・エネルギー政策が主要な争点となった東京都知事選(9日投開票)。首都・東京は全国最大の電力消費地であり、選挙結果は国の原発政策や原発再稼働の議論にも影響を与えるだけに、九州の立地自治体の首長も選挙戦の行方を注目している。「知事選というのは何を討論してもいい。強弱はあるが、(原発が)立地するしないにかかわらず、いろんなテーマについて幅広く議論されればいい」。九州電力川内原発が立地する鹿児島県の伊藤祐一郎知事は31日の定例記者会見で、原発の争点化に一定の理解を示した。ただ、「有権者はいろんなことを聞きたい」とも述べ、五輪や福祉政策などの幅広い議論も求めた。九電玄海原発がある佐賀県の古川康知事は「都民に一定の関心があるから議論になるのだろう。一人の政治家として原発問題をどう考えるのかを明確にするのは、有権者が投票を判断する要素となりうるので意味がある」との認識を示した。その上で「脱原発を政策に掲げるのであれば、実現までのプロセスを明確にすべきだ」と注文も付けた。一方、立地市町は警戒感を隠さない。玄海原発の再稼働を求めている佐賀県玄海町の岸本英雄町長は「東京は電力の一大消費地。その首長の考え方は国の原子力政策の方向性や、原発を頼りにしている地域の動向にも影響を及ぼす可能性がある」と懸念した。鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長は「即原発ゼロ」を訴える候補が当選した場合について「国のエネルギー政策に影響が出ないかという危惧はある。無視するわけにはいかなくなるだろう」と述べた。 *2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10955961.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2014年2月1日) (記者有論)原発再稼働 保険料を払ってから議論を 経済部・松浦新 東京電力の福島第一原発事故による損害賠償額の見込みが、5兆円から9兆円に増えた。除染費用などが加わったためで、東電から助けを求められた国は、電気料金にかかっている「電源開発促進税」と、東電に出資した株式の将来の売却益を充てることを決めた。これで賠償に公的資金が使われることになった。原発事故の後、国と電力業界は原子力損害賠償支援機構(原賠機構)という仕組みを作った。被害者救済のため、とりあえず5兆円を上限に発足し、東電に賠償資金を提供する。「保険料」は東電を含む原発を持つ11社が負担する。その枠が9兆円になった。この仕組みを作ったのは、電力業界が入っていた原発の損害保険では1200億円までしか出ず、役に立たなかったためで、自動車事故の後に損害保険に加入するような超法規的措置だ。自動車保険なら賠償額は契約で決めて、それに見合った保険料を支払う。実際の賠償額が足りなければ自分で払うしかない。ところが、電力業界は事故後に保険を作り、賠償額が増えたら保険料を上げるという異例ずくめの対応を行っている。5兆円枠でも、原発を持つ11社は保険料である「一般負担金」を年間で計1630億円支払うはずだった。ところが、電力業界は、電気料金の値上げが追いついていないなどと主張して、年間で計1008億円しか納めていない。枠が9兆円になれば、今後決まる負担額は3千億円近くになる計算だが、政府の支援があることで抑えられる。こんな好都合な保険に入れてもらっているのに、東電は事故の当事者として上乗せして払うはずの「特別負担金」も赤字経営を理由に払っていない。黒字になったら払うという「ある時払い」だが、その金額も決まっていない。にもかかわらず、東電は新潟県の柏崎刈羽原発を再稼働したいという。自動車保険の手当てが不十分なまま事故を起こし、賠償の面倒を見てもらっている人が、次の保険でも十分な手当てをしないうちに、また車を運転したいと言い出したら、周りがそれを許すだろうか。東電は「再稼働できなければ電気料金が上がる」と、消費者を不安にさせる。しかし、原発事故に備える保険料を十分に払わず、「原発はコストが低い」と主張するのは無責任だ。再稼働の議論は、まず相応の保険料を支払ってから始めるべきだ。 *3:http://mainichi.jp/shimen/news/20140204ddm008020079000c.html (毎日新聞 2014年2月4日) 地熱発電:全国で活況 中規模1.5万キロワット未満、買い取り価格高め 資源量世界3位、震災で見直され 最大出力が1・5万キロワット未満の中規模地熱発電所の建設計画が相次いでいる。電気をまとめ買いしてマンション向けに安く供給している中央電力(東京都千代田区)が4月、熊本県で国内15年ぶりの新設発電所を運転開始。オリックスと東芝も岐阜県で2015年春ごろの運転開始を目指す。ほかにも全国に数十の計画があり、中規模地熱発電に脚光があたっている。「都市部のマンション顧客と地域をつなぎたい」。中央電力の平野泰敏副社長は地熱発電への参入理由をこう説明する。熊本県小国町の温泉街の住民で作る会社「わいた会」から発電所の建設・運営を受託。計画の2000キロワットは1500世帯分の電気を賄うにとどまるが、1000キロワット超の地熱発電所の新設は、1999年の東京電力八丈島発電所以来だ。地熱開発は、温泉量減少を懸念する地元との関係が支障になることも多い。今回は、電力大手が開発する地熱発電ほど規模が大きくなく、収益を「わいた会」と分け合うことなど、地元と連携して進めることで軌道に乗った。中央電力は今後5年間で同規模の発電所5カ所を建設する方針。当面は電力大手に売電するが、将来はマンション向けの電力供給も視野に入れる。オリックスと東芝は岐阜県高山市で15年春ごろの運転開始を目指す。北海道や東北、九州など年数カ所のペースで建設する考えだ。オリックスの高橋英丈事業開発部長は「(自由化を控え)電力市場は夜明け前。新たなビジネスの柱にしたい」と話す。大規模な地熱発電所は通常、環境アセスだけで3〜4年かかるが、中規模地熱は対象外。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り価格も1キロワット時あたり42円(1・5万キロワット以上は27・3円)と高めに設定され、新規参入の背中を押している。火山が多い日本の地熱資源量は米国、インドネシアに次ぐ世界3位。地熱発電の可能性は大きいが、地元の反対や国立・国定公園内の建設規制などハードルが多く、低迷が続いた。しかし、東日本大震災後に見直され、規制緩和のほか、政府はアセス短縮も検討。出光興産や国際石油開発帝石など10社は、福島県の磐梯朝日国立公園で、国内最大となる27万キロワットの大規模開発を計画。20年代初めの運転開始を目指す。経済産業省によると、商社や石油会社、自治体、温泉組合などが全国20カ所で調査事業を実施中。前段階にあたる事前調査も42カ所で動いており、地熱開発は活況を呈しつつある。 ◇地熱発電 地中深くまで井戸を掘削し、噴き上がる蒸気や熱でタービンを回転させて発電する方法。再生可能エネルギーの中でも太陽光や風力と異なり気象条件を問わず、安定した発電量を得られる。日本には、原発約20基分にあたる2300万キロワット以上の資源があるとされるが、総発電量に占める割合は0・3%(12年度)にとどまる。 *4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25806 (日本農業新聞 2014/2/4) 農業用充電ステーション始動 再生エネで復興へ 宮城県岩沼市 三菱自動車工業(東京都港区)と発電メーカーのニチコン(京都市)が宮城県岩沼市で取り組む再生可能エネルギーの農業利用試験で、太陽光発電による「農業用充電ステーション」の本格稼働が始まった。3日に開所式を開き、市や県、関係機関へ施設を披露。東日本大震災からの復興に向け、エネルギーから農産物まで地元生産する農業生産システムの実現に動き出した。ステーションは三菱自工の電気自動車のバンタイプ「ミニキャブ・ミーブ」と、軽トラックタイプ「ミニキャブ・ミーブ トラック」への充電施設。設置した太陽光パネルは1日平均80キロワット時の発電量で、一般家庭が1日に使う電力のおよそ4戸分を蓄える。電気自動車へは30分で80%の給電が可能だ。電気を「つくる」「使う」「運ぶ」を基本コンセプトに自動車5台に電力を供給する。人や物の運搬の他、自動車自体が蓄電池となって電気を運び、専用給電装置で農機や農業用施設の電力に使う。昨夏から試験に協力し、軽トラックとバンを使うキュウリ農家の寒風澤敦司さん(45)は「電気は草刈り機などの電源に使っている。今後は電源のない水田などでも使いたい」と話す。キュウリを栽培するハウスは津波被害を受けなかったが、震災後は停電で換気やかん水ができなかった。「暗闇は人を不安にさせた。これからは非常時の電源として地域でも使える」と期待する。試験は農水省と復興庁の食料生産地域再生のための先端技術展開事業の一つ。充電施設を運営するニチコンは「電源がない中山間地の農地にも電気が運べる。普及には経済性と利便性が大事。二酸化炭素(CO2)削減効果なども調べ、普及させたい」と説明。自動車の走行距離や利用電力量、発電量と充電量などデータを集積し、利用可能なシステムの構築を目指す。 *5:http://qbiz.jp/article/31434/1/ (西日本新聞 2014年1月31日) ソフトバンク、電力小売り参入へ 通信とのセット割も 大手通信事業のソフトバンクが、今春から電力の小売り事業に参入する方針であることが31日、分かった。大口顧客の企業向けに始める。その後、2016年をめどに電力小売りが全面自由化されるのに合わせた一般家庭向けの電力販売も検討する。通信サービスとのセット割引も検討するもようだ。ソフトバンクの電力小売り参入で、電力料金の引き下げ競争が激しくなる可能性がある。ソフトバンクは傘下のSBエナジー(東京)が中心となって、各地に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設するなど、発電事業に取り組んできた。メガソーラーで発電した電気などを販売する予定で、すでにSBエナジー子会社のSBパワー(東京)が経済産業省に新電力として届け出ている。 PS(2014.2.5追加):私も飯田氏同様、脱原発を争点に押し上げてくれた細川・小泉チームを支持するが、*6のように「過去の自らの過ちを認め・・」として、過去に原発を進めたことを批判して謝罪を要求するのは脱原発派を分断するだけであり、いかがなものかと思う。何故なら、既に建設され稼働している原発は、そう言っている人と同様、首相であっても事故前には止められなかったからだ。だから、今がチャンスなのである。また、日本人は「謝罪することが最も大切で、謝罪すれば水に流す」という考え方をする人が多いが、①悪くない人が謝罪しても、(誰かの気は収まるかもしれないが)何も変化しない ②水に流せばさらに何も変わらない ということに思いをいたすべきである。こちらの方が国際標準の価値観だ。 *6:【細川護煕・小泉純一郎 支持宣言】二人の元総理が、安定した立場も見栄も恥も外聞も捨てて、過去の自らの過ちを認めた上で、原発推進に暴走する国政を問うて、 都知事選に挑戦している、その決意と覚悟を全面的に応援します。飯田哲也 (エネルギー革命家)
| 2014年東京都知事選::2014.1.1~2 | 09:54 AM | comments (x) | trackback (x) |
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