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2014.2.5 介護の負担は、まちづくりのやり方で軽減できる。(2014.2.8追加あり)
   

(1)路地の長屋から、緑が多くて便利な集合住宅は?
 *1に書かれているように、東京には木造住宅密集地域が多いが、これは区画整理を行い、道を広くして、瀟洒な集合住宅にまとめるのがよいだろう。住民が老人の場合、家の建替費用を出せないケースが多いため、古い住居と新しい住居の交換が必要だ。診療所、訪問看護・介護サービス、ショートステイ、託児所、レストラン、スーパーなど、老人や共働き夫婦に便利なインフラを建物内や近くに配置して、21世紀のコンセプトである「死ぬまで家庭で過ごせる環境」を作れば、抵抗する人は少ないと思う。

 また、*2のように、国交省は老人ホームの容積率の規定を緩和し、地下室を造りやすくする方針を決めたそうだが、市街地の地上部分の容積率を緩和することも重要である。

(2)介護と医療の連携について
 高齢化では東京より一歩先を行く九州で、*3のように、ITを利用した支援サービスや有料老人ホームへの新規参入など、介護投資が盛んに行われている。しかし、厚労省がしばしば制度の見直しを行うのは経営上のリスク要因だ。また、介護費用の総額を抑制する場合は、介護利用者へのサービスの質と量を落とさずに行わなければ、介護サービスの利用者が生命線を断たれることになる。

 なお、*4のように、厚労省は通常国会に医療と介護を見直し、一本化した法案を提出するそうだが、国民は健康保険料と介護保険料は別に支払っている。そのため、受給する段になると一本化するというのは、やり方の説明が重要であり、単なる負担増・給付減が目的であれば、健康保険制度や介護保険制度の理念が消えてしまうため、要注意だ。

*1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10956070.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞 2014年2月1日) (都知事選2014 論点を問う)木造密集、遅れる防災
 幅8メートルの道路に接する公園近くに、3階建て共同住宅が立つ。低層の木造住宅が密集する東京都墨田区の京島3丁目の一角で、区画整理が進んでいる。岩田ふみさん(75)は2011年、夫婦で移り住んだ。以前の住まいは約100メートル離れた木造の長屋。入り組んだ路地は狭く、消防車も入れなかった。「しっかりした家に住めて安心」。都と区は1983年、京島2、3丁目地区で災害に強い街づくりに乗り出した。震災時に火災延焼の危険性が高い木造住宅密集地域(木密)を解消するため、道路を拡張し、住宅建て替えや移転を支援する制度を創設。都市開発業者と連携し、地権者らと交渉を重ねている。岩田さんの旧宅周辺で区画整理されたのは約2千平方メートルで、12年かかった。それでも区の幹部は「ここはうまく進んだ。そんな地区ばかりではない」。土地や建物の権利関係が複雑な上、住み慣れた家の建て替えに抵抗感を示す住民は少なくない。国土交通省によると、木密地域など震災時の延焼危険性や避難の困難度が高い地区は、全国に5745ヘクタール。東京に1683ヘクタールが集中する。都は12年度、木密解消に向け、住宅移転に補助金を出して都営住宅などをあっせんする一方、過度に密集する地域で強制力のある手法を検討する「特区制度」を導入した。首都直下地震に備え、都知事選の候補者は防災を訴える。行政の支援や住民の防災意識向上に論戦が交わされる。

*2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0101G_R00C14A2CR8000/
(日経新聞 2014/2/1) 国交省、老人ホームの容積率緩和 地下室造りやすく
 国土交通省は1日、老人ホームの容積率の規定を緩和し、地下室を造りやすくする方針を決めた。地価が高い都市部など限られた敷地でも、物置や浴室などを地下に設置し、地上部分の居住空間を広く取ることができるようになる。今通常国会に提出する建築基準法改正案に盛り込む。容積率は、敷地面積に対する延べ床面積の割合で、土地に対してどのくらいの大きさの建物を建てられるかを示す。現行法では老人ホームの場合、延べ床面積に地下部分も含めるので、地下室を造れば、地上部分が狭くなる。改正案では、延べ床面積の3分の1を上限に、地下室の面積を差し引いて容積率を計算する。これにより、容積率を上限まで使って建物を造る場合でも、地上階の面積を減らさずにある程度の広さの地下室を造ることができる。この規定は現行法で住宅に適用されている。国交省は、老人ホームが実質的に居住の場だと考え、住宅と同じ扱いにする。通所施設は対象に含まない。ただ地下室は、老人福祉法に基づく厚生労働省の省令により、居間や寝室といった居住スペースに使うことはできない。国交省の担当者は「高齢化社会でホーム増設のニーズが高まる中、空間を有効活用してもらいたい」と話している。〔共同〕

*3:http://qbiz.jp/article/31404/1/ (西日本新聞 2014年1月31日) 介護ビジネス再び活況 老人ホーム参入続々 IT活用で新サービス
 九州で介護関連ビジネスが再び活況を帯びている。ITを利用した支援サービスや、有料老人ホームへの新規参入などが相次ぐ。近年、介護が必要になった高齢者が急速に増えていることも背景にありそうだ。介護ビジネス最前線を追った。福岡市南区の「ケアプランセンターやよい」の事務所。要介護認定を受けた人の介護プランを作成していたケアマネジャーの永田やよいさん(58)が、タブレット端末に指を掛ける。画面に、市内の介護施設の空き状況や設備の有無が表示された。永田さんは「利用者の希望に合った施設を探す手間が省けます」と話す。ITベンチャー企業のウェルモ(福岡市)が開発したシステム。昨年末、市内のケアマネ事業所400カ所に端末を貸し出し、介護施設の検索に役立てている。ウェルモの鹿野佑介社長は「検索の利用状況を蓄積し、他の事業にも生かしたい」と語る。
  ◇   ◇
 結婚式場運営のアイ・ケイ・ケイ(佐賀県伊万里市)と、調剤薬局チェーンの総合メディカル(福岡市)が昨年、それぞれ住宅型有料老人ホームを開設した。両社とも口をそろえて「本業の経験や人材を生かせる」と介護事業に参入。さらに、既存の老人ホーム運営会社を買収したのも共通する。既に老人ホームを運営する福岡地所(同)は、新たに、サービス付き高齢者向け住宅を福岡市博多区に建設中。入居者の初期費用が比較的安く人気があるため、同社はこの住宅の拡大に力を入れる。
  ◇   ◇
 厚生労働省の集計では、九州7県の要介護・要支援認定者は昨年3月末で約68万2千人。5年前に比べ10万人以上増えた。増加率はこの3年間が毎年4%台で、それ以前の1〜2%台に比べハイペースで推移。人口が多い団塊の世代が65歳に達したためとみられる。2000年に介護保険制度がスタートして以来、企業の介護ビジネス参入が続いた。しかし大手業者の不正問題をはじめ、介護報酬の低さや人手不足などから、収益性は必ずしも高くないとの認識が浸透。それでも介護を必要とする人が増える中、ここにきて再び参入機運が高まっている。一方、厚生労働省は来年4月からの制度見直しで介護サービスの「効率化・重点化」をさらに徹底する方針。介護報酬の総額が抑制される可能性もある。参入企業にとって、利用者へのサービス充実と収益確保をどう両立するか、今後の課題は大きい。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014011102000099.html
(東京新聞 2014年1月11日) 負担増の追及回避? 介護+医療 一括法案提出へ 厚労省
 厚生労働省は二十四日召集の通常国会に介護保険と医療の見直しを一本化した法案を提出する。国民生活に大きく影響する個別の法案を一本化するのは異例。厚労省は医療と介護の連携強化方針に基づく対応と説明している。しかし、野党からは「負担増を国会で追及される機会を減らしたいのだろう」と反発が出ている。一括法案は、介護保険関連で(1)一割の利用者負担を一定以上の所得がある人は二割に引き上げ(2)特別養護老人ホームに入所できる人を原則として中重度の「要介護3~5」に限定-などが入る。医療関連では都道府県の医療計画策定を介護に合わせ五年ごとから六年ごとに変えることや在宅医療・介護推進の基金設置などが盛り込まれる。医療法や介護保険法の見直し部分を一括法案にまとめる。厚労省幹部は「医療と介護は不可分の関係にある」と、一本化の必要性を強調する。しかし、国会対策上の狙いもある。介護保険の見直しは負担増・給付減がめじろ押しで、民主党などは反対する見通し。一方、医療・介護の連携強化には野党も反対しにくいため、抱き合わせで徹底抗戦を封じようというわけだ。民主党の厚労関係議員は「前代未聞だ。これを認めたら、年金や介護など何でも一括化できることになってしまう。わが党は分割を求めていく」と述べた。与党の自民党にも批判がある。昨年十二月に開かれた自民党会合で厚労省が一本化方針を説明したところ「医療と介護は全然違う話だ。なぜ一括になるのか」などと批判が相次いだ。参院法制局の元参事で「国会とは何か」の著書がある清野正哉・会津大上級准教授は「一括化は政府が追及されたくないときやどさくさ紛れに法改正したいときによく使う手法だ。審議が進みやすいし、手続きの瑕疵が指摘されにくい」と説明している。


PS(2014.2.8追加):*5のように、訪問看護・介護ステーションは、高齢者だけでなく、障害児や病児はじめ、誰にでも対応できるし、使えるようにすれば便利だと思う。

*5:http://qbiz.jp/article/31901/1/
(西日本新聞 2014年2月8日) 福岡市、重症児の短期預かり事業へ 訪問看護施設を活用
 たんの吸引など日常的な医療的ケアを必要とする重症心身障害児・者を自宅で介護する親の負担を減らそうと、福岡市は新年度、顔なじみの訪問看護師らを訪問看護ステーションに派遣して重症児を短期間預かるモデル事業に着手する。事業費は数百万円。国は重症児を病院などで一時預かる短期入所制度を設けているが、重症児は年齢が低いほど環境の変化で体調を崩しやすく、15歳以下を受け入れる病院は福岡市に1カ所だけ。厚生労働省は「同様の取り組みは聞いたことがなく、国としても注視したい」とする。事業は、障害児の親などでつくる同市のNPO法人「ニコちゃんの会」と共同で実施。計画では、ステーションの一室を借り、重症児が日常的に利用している訪問看護師やヘルパーを一時的に配置して2泊3日程度預かる。利用は体調が安定している時に限り、医師との連絡を密接にする。安全性や費用を検証し、2015年度以降の制度化を目指す。市内に94ある訪問看護ステーションや359の訪問介護事業所を足場に、預かり先を増やす考えだ。市内の重症心身障害児・者は約800人で、うち約600人が在宅。たんの吸引に加え、導尿、経管栄養の補給、体位変換などのケアが日常的に必要で、介護する側の負担は重い。市は本年度、福岡都市圏の医療機関に意識調査を実施。回答した23機関はいずれも15歳以下の受け入れはできないとし、リスクや手がかかることを理由に挙げた。一方、介護する家族は「病気になっても入院できない」「法事など大切な行事に出られない」などの悩みを抱き、「短期間、安心して預けられる場所を」との声を市に寄せていた。人工呼吸器が必要な1歳の子どもがいる市内の母親(36)は「この1年、旅行や外泊はおろか睡眠も十分取れない。顔なじみの人がケアしてくれるのなら安心だ」と歓迎した。

| 2014年東京都知事選::2014.2~ | 03:54 PM | comments (x) | trackback (x) |

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