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2014.2.9 電力市場の自由化と自然エネルギーの利用で、次の時代に進むべきである。
     
線路脇に超電導電線敷設  地下に敷設   超電導電線の仕組み   *4-4より

(1)電力市場の自由化と全国での広域運用の重要性
 *1に書かれているとおり、電力市場を自由化して全国で広域運用すれば、電力市場の地域独占体制が崩れ、従来の電力会社同士でも競争となり、新規事業者も参入しやすくなる。そうなると、発送電の方法が工夫されて電気料金が下がるため、他の全産業及び個人にとって経済的利益が大きい。しかし、そのような競争でしのぎを削るのは、独占体制でぬくぬくしているよりもずっと大変であるため、従来の電力会社は、これに消極的なのである。

 なお、電力市場を自由化しなければ、消費者は購入したい事業者や発電方法を自由に選択することができず、そのような市場は非効率になり、多くのプレイヤーの知恵を集めて発展することができない。そのため、電力市場の自由化と全国での広域運用は、どうしてもやらなければならない改革なのである。

(2)全国で広域運用する場合の長距離送電線について
 現在、東日本の電力周波数は50ヘルツで、西日本の電力周波数は60ヘルツというように、日本は周波数で2分されており、周波数の変更や直流・交流間の変更にも電力ロスが生じる。そのため、このブログの2014.2.8の図に記載したとおり、直流を標準として発送電を行い、直流でない機器を使う時に必要な周波数に変換して使うというシステムにした方が、東日本と西日本の両方から苦情が出ず、かつ、太陽光発電、蓄電池、LED電球など、直流型の21世紀器具に適している。

 そのため、私は、長距離送電には、超電導電線を高速道路や鉄道の敷地、地下などに敷設させてもらい、直流で送電するのが合理的だと考える。

(3)都知事選への原子力ムラの圧力
 *2で古賀茂明氏が語っているとおり、東日本大震災後に崩壊したかと思った原子力ムラは完全に復活し、メディアは、都知事選や原発問題をなるべく報道しないように努力した。

 しかし、原発はコストが高く、自由競争すれば淘汰される電源であり、自然エネルギーへのシフトが重要だ。そして、現在は、地域、事業所、個人宅が自然エネルギーの発電所となって電力を作り出すことができる時代であるため、それを使う方が、地域が活性化し、防災上も安全なのである。

(4)原発事故による放射能公害は広範で深刻である
 *3-1のように、フクイチ原発事故による放射能の影響で甲状腺癌と診断が確定した子どもが33人となり、「がんの疑い」は41人になったそうだが、検討委の星北斗座長は、「チェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの発症経過から、現時点では放射線の影響は考えにくい」と述べたそうだ。しかし、これは科学的根拠がなく、甲状腺癌だけでなく、白血病や心疾患による被害者も既に出ている。

 また、*3-2のように、東京電力は、2014年2月6日、参議院議員選挙直前の2013年7月5日にフクイチ1号機の海側にある観測用井戸で採取した水から検出された放射性ストロンチウム90が、過去最高の1リットル当たり500万ベクレルで、従来の公表値より大幅に高濃度の汚染だったことを発表した。他の核種の濃度も推して知るべしである。

 さらに、*3-3に、フクイチ事故の影響で、被災地で捕獲した野生の鳥獣肉が汚染され、出荷制限が続いていると書かれているが、これは、山林が放射性物質で汚染され、そこに住む動植物が汚染されたということだ。そして、ジビエ肉が放射能を含むということは、近くに住む人間も放射能を蓄積していると考えるべきである。

 そして、このように、広範囲に深刻な被害を与えるのが、放射能汚染なのである。

(5)自然エネルギーを使う器具の増加と進歩が期待される
 *4-1のように、三菱電機は、太陽光発電の出力を高められる次世代パワー半導体を2015年度から福岡市で量産する方針を明らかにし、2016年度以降、産業機器や家電製品の消費電力を大幅に減らし、省エネにつながる次世代パワー半導体事業を本格展開するそうだ。

 また、*4-2では、JAグループ鹿児島が、省エネ住宅を紹介する「ゼロエネルギーハウス構造見学会」を、2月8日に鹿児島市で始めたことが紹介されている。「ゼロエネルギーハウス」は、住宅の断熱性や気密性を高めて空調などに使う電気やガスを減らし、一般の同規模の家に比べて光熱費を6割削減できるそうで、JAは、太陽光発電などの自然エネルギーにも協力的だ。

 さらに、*4-3のように、北海道では、牛のふん尿を活用したバイオガス発電事業が広がりを見せており、発酵後に出る残さは有機肥料として利用できる。

 そして、*4-4のように、北海道美唄市の美唄尚栄高校の生徒が電動トラクターを開発し、2月14日に始まる札幌モーターショーに出展するそうで、希望の若者たちだ。今後は、器具を電動化することによって燃料費を節約できる時代になる。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140207&ng=DGKDZO66454930W4A200C1KE8000
(日経新聞 2014.2.7)広域運用の環境整備を 電力システム改革進展へ 松村敏弘 東京大学教授
<ポイント>
  ○電力市場自由化しても参入障壁維持の恐れ
  ○電力を全国一体運用なら平時も経済的利益
  ○競争を嫌う電力会社は連系線投資に消極的
 東日本大震災後、脆弱性を露呈した電力市場に関して、機能不全を起こしていた垂直統合と地域独占を基軸とした電力システムの抜本的な改革が進展している。電力システム改革は、(1)地域ごとにバラバラに運用されてきた電力系統を、災害に強く平時にも効率的な、全国一体の系統として計画・運用する広域的運営推進機関を設立(2)家庭用を含めた電力市場を自由化(3)一般電気事業者(電力10社)の送配電部門と発電・小売部門を法的に分離してネットワークを中立化、という3段階で進められる。(3)の法的分離は重要だが実施は4年以上先なので、詳細制度が固まる過程で改めて論評することとし、本稿では(1)と(2)に関して議論する。
 電力市場自由化によって、消費者は事業者を選択する自由が与えられ、また異分野の事業者も含め参入の自由が与えられる。一般電気事業者の知恵に依存した非効率的な市場から、あらゆるプレーヤーの知恵を集める革新的な市場へと発展する可能性が開かれる。しかし自由化すれば自然にこの利益を国民が享受できるわけではない。自由化しても参入障壁が維持され、競争基盤が整備されなければ、消費者は実質的な選択の自由が与えられず、電力事業者が値上げの自由だけを得る結果となる可能性は否定できない。震災後の電気料金値上げ申請に対する査定の過程で、一般電気事業者の経営がいかに非効率的で、過大な費用を原価に算入してきたかが明らかになった。競争が機能せず、料金査定の歯止めもなくなれば、自由化が一般消費者の災厄となりかねない。改革の詳細設計でこの点は十分考慮され、規制料金を一定期間消費者の選択肢として残し「規制無き独占」から消費者を保護する策がとられ、同時に競争基盤を整備するための様々な施策が検討されている。既に自由化されている大口電力市場も、自由化から10年を経過しても新規参入者のシェアは5%に満たず、競争が機能していたとはいえない。送電ネットワーク部門が中立的でなかったことが原因の一つとしても、唯一の原因ではない。一般電気事業者は地域独占と総括原価に守られて建設した膨大な発電設備を保有し、Jパワーなど他社電源の多くも長期相対契約で囲い込んでいる。これらが開放されなければ、新規参入者は供給力を確保できず、競争を確保することは難しい。さらに従来の制度では、一見中立的な制度に見えて小規模事業者に著しく不利な制度が存在した。例えばインバランス料金制度である。新規参入者は自社の顧客の需要量と供給量を30分単位で合わせる必要があり、供給量が不足すれば一般電気事業者から高価格のインバランス供給を受け、逆に供給量が超過すれば余剰電力を低価格で一般電気事業者に買い取られる。多くの発電機と顧客を抱え需要・供給の変動をならすことができる大規模事業者に圧倒的に有利な制度で、参入を抑え込んできた。
 現行の不合理な制度は改革されるはずだが、一般電気事業者は形だけの変更で人為的な規模の経済性を維持するルール案を主張しており予断を許さない。この例に限らず、特定の事業者の圧力で制度がゆがみ、安定供給を口実にした参入障壁が維持されないよう、今後も注視が必要だ。日本の電力系統は、沖縄以外、北海道から九州まで9系統は(容量が不十分とはいえ)連系線でつながり、全国一体運用は可能である。一体運用は安定供給上有用なだけでなく、平時にも経済的利益を生む。仮に東日本で需給が逼迫し、熱効率の低い火力も使って電力を供給し、逆に西日本では供給力に余裕があり、より効率的な火力で追加供給可能だとする。もし西から東に電力を流せば、限界費用(追加一単位の発電に必要な費用)の高い東の発電を限界費用の低い西の発電で代替でき、費用を削減できる。この運用は今でも潜在的には行われている。日本卸電力取引所では全国規模の電力取引が行われている。全国で同じ卸価格がつき、市場が競争的で各企業が限界費用ベースで入札していれば、全地域で限界費用が等しくなり、効率的な電源運用が実現する。しかし連系線の容量には上限がある。先の例では、東西をつなぐ連系線容量が不足すれば、東の価格が西の価格より高くなる。これを市場分断という。市場分断があっても、電力が上限内で流れれば東西の限界費用の格差は縮小し、経済的な利益が生まれる。この事実から、現在の連系線の経済的価値、あるいは連系線増強の経済的価値を推計できる。市場分断による価格差は東西の限界費用の差を表している。この価格差、さらに可能なら入札情報も使えば、連系線により節約できた発電費用を推計できる。卸取引市場が十分に競争的で入札価格カーブと限界費用曲線が一致していれば、この推計で正しく連系線の価値がわかる。ただし、電源の大半を抱え込む一般電気事業者が取引量を人為的に抑制していれば、この推計による連系線の利益は過小となる。取引量が小さければ市場分断が起きにくいからである。この場合、電源構成から限界費用を推計し、限界費用の格差が連系線の容量の範囲内でならされると想定して連系線の社会的価値を推計することが妥当である。経産省ではこの2つの異なる発想で広域運用の利益を推計したシミュレーションの結果を提示している(上の表参照)。これらの推計は前提条件の妥当性などを吟味する必要があり、数字は慎重に利用すべきだが、それでも2つの数字に大きな差があることは読み取れる。取引所での価格差を使った推計値が著しく低いのは、広域運用の価値が小さいのではなく、現実の取引量が理論値に比べて著しく低いことを反映しているとの疑いを持たせるのに十分である。一般電気事業者にとって、取引所での取引の抑制(それに伴う電力の流動性の低下)は新規参入を抑制し長期的な利益になる。流動性が低ければ、新規参入者が自社電源の余剰や不足を取引所で調整するのに伴い価格が大きく変動し、新規参入者の採算性が低下するからである。逆にいえば、この流動性を高めることは参入のハードルを下げ競争を促進する。競争基盤整備策としても重要である。
 電力周波数50ヘルツ系統の東日本と60ヘルツ系統の西日本をつなぐ連系線の容量は現時点でも120万キロワットと東京電力のピーク時の最大電力消費量の2%しか賄えないほどに貧弱である。この連系線を例えば300万キロワットまで増強するには数千億円の費用がかかるが、鉄塔などの設備は30~100年超使えることを考えれば、前述の経済的利益に比べ費用が著しく大きいとはいえない。何より連系線の増強は地震などの緊急時の安定供給に威力を発揮する。仮に平時の経済的な利益を無視しても、安定供給を考えれば連系線の増強は正当化できるはずだ。ところが、一般電気事業者は一貫して連系線の増強に消極的だった。震災前には僅か30万キロワットの増強案も受け入れず、震災後も300万キロワットまでの増強に消極的な姿勢を貫いている。一般電気事業者が連系線投資に消極的で、安定供給対策が発電投資に偏っていたのは、経済学的に考えれば理解できる。連系線が増強されると地域間の潜在的な競争圧力が高まり、平時における一般電気事業者の独占力を将来そぐことになりかねないが、自社の発電所投資なら参入阻止に資するからである。15年にも動き出す広域的運営推進機関が、このような特定事業者の私的利益を追認するだけの機関になるか、公益を追求する機関として合理的な連系線および基幹送電線の増強計画を策定できる機関になるのか、これからの詳細制度設計が正念場である。
*まつむら・としひろ 65年生まれ。東大博士(経済学)。専門は産業組織、公共経済学

*2:http://qbiz.jp/article/31895/1/
(西日本新聞 2014年2月8日) 【原発考・都知事選】古賀氏、青山氏に聞く
*古賀茂明:長崎県佐世保市生まれ。東京大学卒。通産省(現経済産業省)で経済産業政策課長などを歴任し、2011年に退職。著書に「日本中枢の崩壊」など。
◆原子力ムラとの闘い
 都知事選で原発問題が大きな争点になっていない理由は、告示前から保守系メディアを中心に「争点は原発だけで良いのか」というキャンペーンを展開し、脱原発を訴える候補者に他の政策はないという世論操作が行われたからだ。非常に大きなトリックで、みんながわなにはまっている状態だ。脱原発を掲げる候補者で「他の政策はどうでもいい」と言っている人はいない。原発以外のテーマも説明しているが、最初に多くの人が勘違いをさせられ、今も誤解が解けていないと思う。原発に反対する政治闘争をすれば、必ず「原子力ムラ」という日本で一番強力な政官財とメディア、学界を含めた巨大な利権構造との闘いになる。私は原発を推進した経済産業省の元官僚であり、その力を知っている。現役時代に出向先の経済協力開発機構(OECD)で発送電分離を提言させるために動いたが、本省幹部に「即刻クビだ」と激怒され、電力会社の激しい抵抗もあって結局、頓挫した。東日本大震災後、崩壊したかと期待した原子力ムラは完全に復活した。「脱原発」と言い出せば、さまざまな中傷を浴びせられ、金や権力を使ってつぶそうという力が働く。都知事選でも原発が争点にならないように力を発揮している。原発はコストが高く、完全に時代遅れだ。自然エネルギーへのシフトは世界の潮流であり、大きな発電所から地域に電力を流す中央集権型ではなく、地域に自然エネルギーの発電所を造って地域の活性化を生み出すのが今の主流だ。都知事選で強固で巨大な原子力ムラとの闘いに打ち勝つことが、国政でも都政でも、あらゆる改革を進める大きな力になる。そのことに気付いてほしい。

*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014020802100003.html
(東京新聞 2014年2月8日) 福島甲状腺がん 7人増加33人に
 東京電力福島第一原発事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会が七日、福島市で開かれ、甲状腺がんと診断が「確定」した子どもは前回(昨年十一月)の二十六人から七人増え三十三人になった。「がんの疑い」は四十一人(前回は三十二人)。検討委の星北斗(ほしほくと)座長はチェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの発症経過や、今回見つかったがんの種類、大きさなどから「現時点では放射線の影響は考えにくい」と述べた。がんの発見率がこれまで考えられていたよりも高いことについては「症状がない人も含めた未知の調査で、比較できない」と説明した。しこりの大きさなどを調べる一次検査で約二十五万四千人の結果が判明し、千七百九十六人が二次検査の対象となった。「確定」と「疑い」に、手術の結果「良性」と判明した一人を含む計七十五人のうち二十四人について、原発事故が起きた二〇一一年三月十一日から四カ月間の外部被ばく線量も公表。一ミリシーベルト未満が十五人、一ミリシーベルト以上二ミリシーベルト未満が九人だった。国立がん研究センターなどによると、十代の甲状腺がんは百万人に一~九人程度とされてきた。甲状腺検査は、原発事故発生当時十八歳以下の全員、約三十七万人が対象。一次検査の結果で軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定し、BとCが二次検査を受ける。

*3-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014020702000122.html
(東京新聞 2014年2月7日) 福島第一 海側井戸500万ベクレル 昨年7月採取、公表より高濃度
 東京電力は六日、福島第一原発1号機の海側にある観測用井戸で昨年七月五日に採取した水から検出された放射性ストロンチウム90が、過去最高の一リットル当たり五〇〇万ベクレルだったと発表した。従来の公表値より、大幅に高濃度の汚染だったことが分かった。この水の濃度について、東電はこれまで、ストロンチウム90を含むベータ線を出す放射性物質の合計で九〇万ベクレルと公表。放射性のストロンチウム90だけでも、五・五倍以上高い五〇〇万ベクレルという数値が出ていたが、東電は「値が不自然」として伏せていた。その後、東電は計測器の設定を確認。ストロンチウム90だけの値が正しく、九〇万ベクレルが誤っていると分かった。井戸は海から近く、これまで考えていたよりも多くの放射性物質の流出が疑われる。東電はほかの井戸でもストロンチウム90の値を確定させていく。今回と同様により高い値が出る可能性がある。従来の最高値は、今回の近くの井戸で一月二十二日に計測。ベータ線を出す放射性物質の合計で三一〇万ベクレルだった。

*3-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25811
(日本農業新聞 2014/2/5)  原発事故被災地のジビエ 出荷制限 出口見えず
 東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で、被災地で捕獲した野生の鳥獣肉(ジビエ)の出荷制限が続き、廃業に追い込まれる施設も出てきた。ジビエを核にまち興しを目指したが、出荷制限により有害鳥獣を活用する“出口”がなくなったためだ。政府は来年度から鹿とイノシシの生息数を10年後までに半減させる目標を描くが、深刻化する被害に業を煮やし、支援強化を求める声が上がる。東日本大震災に伴う事故発生から来月で3年。被災地の鳥獣害解決のめどは立たない。
●農作物への被害急増 国の支援強化急げ
 福島県境に位置する宮城県丸森町にあった、ジビエを加工・販売していた「いのしし館」。農業の獣害軽減とジビエによる地域興しを目的に、農家や狩猟者7人が2010年2月に開店したが廃業を余儀なくされた。原発事故により、イノシシ肉が宮城 県内全域で出荷制限となり11年夏、苦渋の決断で廃業したのだ。店を設立した稲作農家の一條功さん(62)は「捕獲を促し、農業被害をなくそうというみんなの思いがこもった大切な店だった。捕獲からと畜、販売と、ジビエの流通が軌道に乗った矢先だった」と悔しさをにじませる。開店をきっかけに、放血したイノシシを1頭1万5000円で通年買い取ったことで狩猟者の意欲は徐々に増し、捕獲数は1.5倍程度に拡大。これまで廃棄していたイノシシを活用できる道ができたことで、狩猟に弾みが付いた。だが、出荷制限に伴う廃業で、イノシシの買い取り→ジビエ普及→狩猟者の手取り向上↓捕獲数の増加→農業被害軽減→地域活性化というサイクルが遮断された。イノシシによる農作物への被害は日を追うごとにひどくなり、農家の捕獲依頼も急増している。同店の設立メンバーで県猟友会伊具支部の佐藤秀雄さん(66)は「猟友会は採算に合わなくてもみんな必死に頑張っている。だが、いつか限界が来るのではないか」と訴える。政府は、来年度から鳥獣捕獲の強化に乗り出すが、一條さんは「被災地で捕獲数を増やすには抜本的な体制の見直しが必要。出口すら見いだせない現場を知ってほしい。このまま被害が拡大すれば高齢農家の大半が農業をやめ、担い手育成もできない」と憤る。ジビエ活用の道が閉ざされた影響は、被災地全域に及ぶ。厚生労働省によると岩手、宮城、福島の他、千葉、栃木、群馬の各県などでイノシシや鹿肉の出荷制限が続く。「家畜と違って野生動物は管理できていない環境下にあり、食品中の放射性物質の基準値である1キロ当たり100ベクレルよりかなり高い値が検出されている」(監視安全課)ためだ。出荷制限は捕獲 数の減少に直結する。宮城県は事故が起こる11年度以前は1300頭前後だったが、事故後の12年度は820頭に激減。県は「出荷制限は捕獲 数に直結する。現在、捕獲を促す対策をしているが、猟友会の負担がかなり重く、結果的に狩猟 事故も増加している」(自然保護課)と懸念。茨城県も「狩猟敬遠を避けるために捕獲した肉を焼却処分する費用を独自助成する自治体も多く、国策として支援が必要ではないか」(環境政策課)と訴える。

*4-1:http://qbiz.jp/article/31829/1/
(西日本新聞 2014年2月7日) 三菱電機、福岡でパワー半導体強化 太陽光用15年度量産へ
 三菱電機(東京)は、太陽光発電の出力を高められる次世代パワー半導体を2015年度から福岡市西区のパワーデバイス製作所で量産する方針を明らかにした。今年3月に稼働する同製作所の開発拠点「設計技術棟」をフル活用し、開発を強化する。16年度以降、産業機器や家電製品の消費電力を大幅に減らし省エネにつながる次世代パワー半導体事業を本格展開する。同製作所の真田享所長が取材に応じ「15年度に太陽光発電向け電力変換装置の事業を立ち上げたい。(太陽電池パネルで発電した)直流の電気を効率良く交流に変換し、エネルギーを有効利用できる」と話した。パワー半導体は、電気の交流と直流を変換し、周波数を変えることなどでモーターを効率よく制御する半導体。熱に強い炭化ケイ素を材料に使う次世代パワー半導体は、変換時の電力損失を大幅に減らせる。三菱電機が、開発中の次世代パワー半導体で太陽光発電向けの電力変換装置を試作したところ、電力損失が半分に減り、変換効率98%を実現したという。同製作所は、次世代パワー半導体の研究・生産拠点。設計技術棟は約40億円をかけて建設中で、完成後は開発と設計の技術者約600人を集約。兵庫県にある研究所の技術者の力も借り、生産技術改善による良品率向上や価格低下、開発をスピードアップする。三菱電機はパワー半導体事業に力を入れており、省エネ性能が高い次世代パワー半導体の開発で、関連事業の売上高を12年度の915億円から15年度には1500億円に増やす計画。真田所長は「世界最先端の開発で、破壊的なイノベーションを起こしたい。16、17年度には(他の製品も量産し)事業と言われる規模にしたい」と意気込む。同社は10年11月に自社製エアコンに次世代パワー半導体を初めて搭載し、鉄道用インバーターなどを商品化。しかし、材料費の高さや製造の難しさなどから価格が高く、現在は開発ラインを使った生産にとどまっている。

*4-2:http://qbiz.jp/article/31918/1/
(西日本新聞 2014年2月9日) 省エネ住宅良さ知って JA鹿児島が見学会
 JAグループ鹿児島が販売する省エネ住宅を紹介する「ゼロエネルギーハウス構造見学会」が8日、鹿児島市上福元町の分譲地「スマイルガーデンみどりの御所」で始まった。9日まで。「ゼロエネルギーハウス」は、住宅の断熱性や気密性を高め、空調などに使う電気やガスを減らす試み。見学会は、福島第1原発事故でエネルギー消費のあり方に関心が高まる中、ハウスの構造と利点を多くの人に知ってもらおうと、同グループが初めて企画した。会場では、建築中の2階建ての1棟を展示。基礎部分にまで張り巡らされた断熱材や、気密性向上のため1カ所に集中させた排気口など、特徴的な構造をみることができる。このハウスでは一般の同規模の家に比べ、光熱費を6割削減できるという。JAグループの担当者の中島幸治さん(42)は「ゼロエネルギーハウスは今後主流になる。ぜひ見てほしい」と呼びかけている。

*4-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25879
(日本農業新聞 2014/2/8) 牛ふん尿発電拡大 発酵後残さ 肥料に 北海道
 牛のふん尿を活用したバイオガス発電事業が、北海道で広がりを見せている。堆肥化や散布を進めにくい時期にもふん尿処理を加速し、固定価格買取制度の売電収入が下支えする。ただ、売電価格の高い太陽光に押され電力会社の受け入れが後手に回るなど、今後の普及拡大には課題もある。畜産の規模拡大と環境保全を両立する切り札として期待されるだけに、現場からは、バイオガス発電の促進を支える仕組みづくりを求める声が上がっている。
●バイオ売電 まだ不安定 
 北海道釧路地域で最も牛の飼養頭数が多い標茶町。乳牛400頭を飼育する(有)ノースワンは、牛舎に隣接するバイオガスプラントが今年から本格稼働している。小原宏樹代表は「悩みの種だったふん尿処理がスムーズに進められることは大きい」と期待する。バイオガス発電は、家畜のふん尿を高温発酵させてメタンガスを発生させ、タービンを回して発電させる技術。同社のプラントは、フル稼働すれば24時間で1200キロワット時発電できる。一部は自家用の設備に使い、あとは売電する。発酵後に出る残さ「消化液」は肥料に代用。牧草170ヘクタール、デントコーン40ヘクタールを生産する同社では、消化液の活用で肥料の3割を削減できる見通し。収益率は1%にも満たないといわれる事業に注目が集まるのは、こうした 恩恵があるためだ。同社のプラントを手掛ける土谷特殊農機具製作所(帯広市)は、バイオガス事業を始めた2004年から設置実績は6年間で1基だったが、固定価格買取制度が導入された12年以降、各地から設置の要望が続出。現在は8基が稼働。土谷紀明社長は「工事中や要望段階のプラントも数基あり、機運の高まりを感じる」と期待している。広がりを見せているバイオガス発電だが、今後の拡大に立ちはだかるものも多い。一般的に送配電網は、人口密度や電力使用量が少ない地域ほど受け入れられる電力量が少ない。広大な牧草地を抱えた酪農地帯での設置が大半を占めるバイオガスプラントの売電認可を遅らせる要因になっている。その間、設置がしやすく売電価格が高い太陽光設備が先行すれば、入り込む余地が狭くなる。また、再生可能エネルギーの普及に伴って北海道電力は買電を制限し始めた。バイオマス(生物由来資源)の優先順位は低く、電力需要の少ない時期には、真っ先に出力抑制を求められる。ある行政関係者は「家畜ふん尿は、他の再生エネルギー源よりも安定供給に強い。利益率は低いが、金には代えられない恩恵が大きい」と訴える。北海道北部の猿払村で今春にもバイオガス発電を開始する酪農法人「北の大地」の井上勝敏代表は、「うちは売電契約を進められたが、今後4、5年は各地でなかなか進まないとも聞く。酪農家にとってはいろいろな利益があることが 広く理解されてほしい」と語る。

*4-4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25817
(日本農業新聞 2014/2/5)  充電完了! 耕すぞ 運転費用割安トラクター開発 北海道美唄市美唄尚栄高校
 北海道美唄市の美唄尚栄高校の生徒が電動トラクターを開発した。市販のバッテリーにモーターを組み合わせた動力部を、既存のエンジンと付け替えた。運転費用も軽油より大幅に安い。14日に札幌市で始まる札幌モーターショーにも出展する。工学系の3年生10人が2012年10月から開発を進めてきた。モーターは広島県の企業に発注したが、地域の工場でも付け替えができるよう、大半の部品には特殊なものを使わない。製作費は50万円以内で「エンジンを修理する経費の範囲で電化できる」(担当する小野博道教諭)。約3000円のバッテリー8個を搭載、10馬力程度の能力がある。フル充電に6時間。かかる電気代は約120円で、2時間半は作業が可能とみる。軽油が1リットル120円と想定すると、運転コストは約4割。札幌モーターショーの主催者に加わる中小企業基盤整備機構北海道本部に「電動車の可能性を広げる」と評価され、ショー展示が決まった。祖母が農家で、溶接作業などを担った山田将太君(18)は「ビニールハウスで使う時も排ガスに悩まされない」と、“人への優しさ”もPRする。

| 2014年東京都知事選::2014.2~ | 01:58 PM | comments (x) | trackback (x) |

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