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2014.2.18 雇用形態差別がなくても職務上の配慮はできるのに、労働者を非正規社員、派遣社員、契約社員、限定正社員などとして差別するのはおかしい。 ← 世界標準は、中途入社、中途退職など出入り自由な社会である。
         

(1)世界標準の雇用形態
 *1のアンドレア・シュライヒャー氏の発言のように、世界標準の雇用は、新卒一括採用ではなく、中途採用・中途退社などの労働移動が可能で、男女を問わず、就職後に学位や資格を取る目的・育児目的などで休職・退職して後、元の企業に復帰することも可能であり、他の企業に転職しても、それまでの経験を評価されて「1から出直し」というような不利益を受けることはないというものである。

 そして、新卒を一括採用して終身雇用や年功序列を保証するという雇用形態ではなく、労働移動が容易なシステムの上で、正規労働者でも人員調整できるため、企業は、採用時に過度に慎重になる必要はない。

(2)社員への配慮目的なら、雇用形態による差別は不要な筈である
 日本では、“労働者が多様な働き方を選択できるようにするため”として、「非正規社員」「契約社員」「限定正社員」「派遣労働者」「有期雇用」などに社員を分ける方向になっている。しかし、正規労働者でなければ、労働基準法や男女雇用機会均等法などによる労働者の権利が制限されるため、非正規雇用の労働者は、正規雇用の労働者よりも労働条件が悪く、むしろ合法的に差別されている状態で、自ら望まないのに他に仕事がないため非正規労働者になっている人が多い。

 これは、労働者にとって不幸なことで、*2、*3のように、現在、自ら望まない非正規雇用労働者の割合が上がり、非正規雇用が働く人の4割近くを占めて、正規雇用との所得格差や社会保険・年金などの福利格差が大きくなっている。ここで派遣労働が規制緩和されれば、正規社員から派遣労働者への切り替えが進み、さらに正規雇用が減るだろう。このように、“多様な雇用形態”というのは、実は、企業の要請を重視して労働法を出しぬく手口となっているが、これにより社会保険料の支払いも減っているのだ。

(3)収入の高い専門職の労働条件は悪くてよいというのは変である
 *4には、弁護士や公認会計士など収入の高い専門職に限って、「有期雇用」の労働者の契約期間を5年から最長10年に延ばす方針を決めたと書かれている。しかし、一般の人が正規雇用で働く場所で、勉強して難関の試験を通り、経験を積んだ弁護士や公認会計士が、わざわざ一般の人より条件の悪い「有期雇用」で働くわけがないし、そうしなければならない理由もない。それにもかかわらず、こういう政策を作ろうとしている厚労省の役人は、的外れで不公正な愚か者としか言いようがないのである。

 なお、*5では、非正規社員の待遇を改善する手段として、仕事内容や勤務地を限定する「限定正社員」を普及させたいとのことだが、「この場所、この職種だけで正規並みに働きたい」という要望は、雇用形態として不利な条件で差別されながら働かなくても、中途採用・中途退社などの労働移動が自由にできれば、正規社員として望む場所に転職することによって解決できるものだ。

       

*1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10980050.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞 2014年2月15日) 産学協同の拡充を 採用・職業訓練・女性雇用 OECD教育局次長のシュライヒャー氏
 経済協力開発機構(OECD)教育局次長のアンドレア・シュライヒャー氏(49)は13日、朝日新聞などのインタビューに応じ、「日本の経済社会の発展のためには、経済界と大学などがもっと協力を拡大すべきだ」と語った。具体的な協力課題として、(1)新卒一括採用を見直し、いつでも企業などの採用試験が受けられるようにする(2)就職後も技能を向上させる職業訓練と、学位や資格を取れるような生涯学習の機会を保障する(3)大学や高校でインターンシップを拡大し、採用につながりやすい環境をつくる(4)女性の雇用を拡大する、などを挙げた。新卒一括採用を通年型の採用に切り替えることについては「若者が卒業時に大量に失業してしまうようなリスクを減らし、経済社会全体の損失を回避することができる」と指摘。また、「日本は労働移動が柔軟にできるような社会にすべきだ」としたうえで、「スウェーデンのように卒業後も資格や学位を取って有利な転職ができる環境にするため、大学が協力してほしい」と、産学の協同を拡大する利点を強調した。シュライヒャー次長はOECDが実施している「生徒の学習到達度調査」(PISA)や「国際成人力調査」(PIAAC)を担当。大震災後の福島県などの教育現場視察のため来日。経団連幹部や国会議員らとも意見交換した。「教師や子どもたちの熱心さに胸を打たれた」と語る一方、「PISAについては順位ばかりに関心を寄せるのではなく、各国がよりよい教育方法を学び合い、改革を進めてほしい」と述べた

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2617610.article.html
(佐賀新聞 2014年1月31日)  非正規雇用の割合36・6%/13年、過去最高更新
 総務省が31日発表した2013年平均の労働力調査(基本集計)によると、雇用者全体に占めるパートやアルバイトなどの非正規労働者の割合は前年比1・4ポイント増の36・6%となり、過去最高だった。完全失業率が改善傾向にある一方、不安定な非正規雇用の広がりに歯止めがかかっていないことが示された。13年の非正規労働者数は93万人増の1906万人。内訳はパートが928万人、アルバイトが392万人、契約社員が273万人などだった。非正規割合を男女別でみると、男性が1・4ポイント上昇の21・1%で、女性が1・3ポイント上昇の55・8%となった。

*3:http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2014020308560096/
(山陽新聞社説 2014.2.3) 派遣労働見直し 「非正規」の拡大招かぬか
 労働者派遣法の見直しに向けて、労働政策審議会の部会が報告書をまとめた。現在は3年となっている派遣受け入れ期間の上限をなくし、3年ごとに働く人を入れ替えれば同じ職場で派遣を使い続けられるようにする。派遣労働者を臨時的・一時的な仕事に限定してきた従来の原則を大きく変えるものである。企業にとっては、人員調整がしやすい派遣労働者を活用できる範囲が広がり、事業転換などもしやすくなる。安倍政権は成長戦略の柱の一つに労働規制緩和を掲げ、「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指している。その意向を踏まえ、産業界の要請をくみ取った内容といえよう。企業側は、多様な働き方の一つとして派遣を選ぶ人のニーズに沿っており、派遣労働者の保護にもつながると評価している。懸念されるのは、正社員の仕事が派遣に置き換えられ、非正規雇用がさらに広がりかねないことだ。報告書は、労働組合が派遣継続に反対した場合は企業に再検討するよう義務付けた。だが、労組に拒否権はなく、最終判断は経営者に委ねられる。際限のない派遣拡大に歯止めをかけられるかは疑問が残る。派遣会社に対しては、期限を迎えた労働者が希望すれば、派遣先の企業に直接雇用を求めたり、次の派遣先を紹介するよう義務付けた。派遣労働者に教育訓練を実施することや、キャリア形成支援制度の整備も求めている。派遣会社が、より重い責任を担うことに意義はあるが、派遣先がきちんと応じるかは未知数だ。派遣先が限られる地方の業者などは対応に苦慮するのではないか。負担に耐えられず撤退する中小事業者が出る事態も予想される。現在、非正規雇用は働く人の4割近くを占めている。所得格差も広がっている。厚生労働省には、正社員を希望する人の処遇が改善するよう、しっかりと派遣会社を監督することが求められる。部会では、正社員と同じ仕事をする派遣労働者には同水準の賃金を払う「均等待遇」の導入も議論になった。経営側の反対で報告書に盛り込まれなかったが、実現すれば企業が正社員を派遣に置き換えるメリットは薄れるため、非正規雇用拡大を食い止める効果が期待できた。派遣労働は1999年の法改正で一部を除いて対象業務が原則自由化され、2004年には製造業でも解禁された。08年のリーマン・ショックで大量の「派遣切り」が社会問題化し、民主党政権時代の12年、日雇い派遣を原則禁止する改正が行われた。自民党への政権交代を機に、労働者保護から規制緩和へ政策転換が行われようとしている。分厚い中間層に支えられた安定した社会づくりに、雇用安定と待遇改善は不可欠だ。改正法案を審議する今国会で、そのための方策を丁寧に議論していく必要がある。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140215&ng=DGKDASGC1401H_U4A210C1EE8000 (日経新聞 2014年2月15日) 
有期雇用、専門職は10年に 厚労省方針、高齢者も更新可能
 厚生労働省は14日、非正規労働者など働く期間が区切られた「有期雇用」の労働者の契約期間を5年から最長10年に延ばす方針を決めた。弁護士や公認会計士など収入の高い専門職に限って適用する見通しだ。関連法案を今国会に出し、成立を目指す。定年後の高齢者について5年の有期雇用の後に、有期の契約を更新して雇えるようにする規定も盛り込んだ。2015年4月の施行を目指す。現行法では企業が有期雇用の労働者を5年間同じ職場で雇用した場合、本人が希望すれば無期雇用に変えなければいけない。新しい法律には企業が一部の人材に関して有期雇用の労働者を雇いやすくする措置を入れる。例えば今の制度に基づく有期雇用なら5年後の19年までしか働けないが、新法の成立後は今から6年後の20年の東京五輪に向けたプロジェクトでも有期雇用で働けるようになる。最長10年まで有期雇用を認める対象の職種は、法成立後に決める。年収で1千万円以上などと制限をかける案もある。定年退職後の高齢者について有期雇用で5年すぎた後に、1年単位などの有期契約で改めて雇えるようにする仕組みは、企業が求めていた。高齢者が5年の期間後に無期雇用に変わると、企業はずっと雇い続けなければいけなくなる。企業側の事情で、5年たつ前に雇用をいっせいに止めるといった行為を防ぐ効果も見込む。5年の有期契約の見直しは、昨年、政府が進める「国家戦略特区」での規制緩和の一環として浮上した。ただ「全国一律でなければ、企業間で不公平になる」(厚労省)と反発が出て、特区ではなく全国で実施することになった。

*5:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS10005_Q3A111C1000000/
(日経新聞 2013/11/10) 経財相、限定正社員の普及へ環境整備 連合は警戒
 甘利明経済財政・再生相は10日のNHK番組で、非正規社員の待遇を改善する手立てとして仕事内容や勤務地を限定する「限定正社員」を普及させたい考えを示した。「日本の雇用形態は正規と非正規の2極しかない。その中間を作りたい」と強調した。政府は限定正社員の導入に向けた検討を進めている。経財相は「二者択一ではなく『この場所、この職種だけで正規並みに働きたい』という要望はかなりある。そういう多用な働き方に対応できる社会を作っていかないといけない」と述べた。連合の古賀伸明会長は同番組で「社員をどういう処遇にするかは労使で話し合ったらいい。国が一律的に制度として確立するものではない」と指摘。「あくまでも国は(企業が)制度を導入している好事例を紹介していけばいい。解雇規制(の緩和)まで考えているだろうと想定せざるを得ない」と警戒感を示した。経団連の宮原耕治副会長は「企業にとっても多様な働き方を持つことが重要だ。すでに約半数の企業が限定正社員を導入している。好事例を紹介しながら労使で話し合い、政府に環境づくりをお願いする」と語った。政府、経済界、労働界は9月からデフレ脱却に向けた課題を協議する「政労使会議」を開いており、限定正社員もテーマになっている。

| 人口動態・少子高齢化・雇用 | 07:43 PM | comments (x) | trackback (x) |

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