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2014.4.2 環境や生態系を考慮できず、原発か石炭火力しか思いつかないような人は、もうエネルギーを語らないでもらいたい。(2014.4月3日、5日、6日に追加あり)
   
 *2-1より     *3-2より       *4-2より      北九州市電気バス

(1)再稼働を前提とした原発公聴会を開く必要はない
 *1-1のように、日本原子力学会が原発の安全神話に立脚した原子力政策そのものの弊害を指摘したのは正しいが、原発は安全だという根拠なき神話を作って批判を封じ込めていた点で、原子力学会は、今までに既に科学者の集まりであることを放棄してきたのである。

 そして、原子力ムラは、常時、都合のよい結論ありきの論理を組み立て、国の基準にさえ合致していればよいという事業者にはあり得ない態度で、原子力を扱っていながら事故時の危機管理もできていなかったし、その状況は現在も変っていないのである。このような当事者が、必要な情報も開示しない中で、素人が議論して判断することは無意味であるため、国民や県民の安全を第一に考えれば、原発は決して再稼働すべきではなく、再稼働を前提とした*1-2の地元での原発公聴会を開く必要はない。

(2)九電は、原発でなければ石炭を燃やすことしか思いつかない会社か?
 このような中、*2-1のように、九州電力は、原発の新増設や運転延長が難しくなっていることを理由に、長崎県松浦市(佐賀県伊万里市、玄海町、唐津市のすぐ近く)で石炭火力発電所2号機(出力100万キロワット)の建設を再開する方針を固めたそうだ。しかし、石炭火力は、CO2を地中に埋める技術があるとはいえ、*2-2のように、北京では石炭の燃焼でPM2・5が基準値の3倍もあり、それが九州にも流れてきて問題になっているのであって、CO2だけが石炭による公害ではないため、原子力か石炭火力かの選択しかできないような人は、もうエネルギー産業で意思決定するのはやめてもらいたい。

 また、*2-3のように、地球温暖化で切実な危機があるとされ、*2-4のように、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の横浜総会では、地球温暖化のために①海面上昇・高潮被害で数億人が移住を迫られる ②気温上昇や干ばつで穀物の生産量が減る ③大都市で河川の氾濫が増える ④海洋生物は中・高緯度域で増え、熱帯で減る ⑤多くの陸上生物は温暖化に対応できない ⑥都市部で熱波などの死亡リスクが高まる などが予測されている。

 日本は、1997年12月に京都で開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)で京都議定書が採択されて以来、環境分野ではリーダーシップをとってきた国である。そのため、*2-5のように、日本が温暖化対策で「主導的役割」を果たすのは、国連総会のジョン・アシュ議長だけでなく、多くの国が期待しているのであって、温暖化対策では、いくら何でも原発ではなく、再生可能エネルギーで技術的な貢献をし、主導的役割を果たすべきである。そこで、今から石炭を発電に使おうというのは、センスがないにも程がある。

(3)再生エネの振興は、いくらでも方法がある筈だ
 *3-1のように、政府は中長期のエネルギー基本計画に、太陽光発電などの再生可能エネルギーを拡大する数値目標を盛り込む検討に入ったそうだが、その数値は、最低○○%という最低目標値であるべきであり、これまで何度もこのブログに書いた理由で、その他を原発や石炭火力に依存すべきではない。

 また、*3-2のように、再生エネの買い取り制度で電気代が月225円上乗せされるというキャンペーンをしているが、稼働していた原発に支払っていた交付金を再生エネの買取費補助にまわせば、家庭の負担は上がらない上、国庫にもお釣りがくる筈だ。

(4)環境対応自動車の普及価格設定と早期の普及が望まれる
 *4-1のように、北九州市は、太陽光発電の電力で走る電気バス2台を導入し、来年4月には太陽光エネルギーに完全移行するそうだ。これは全国初で、発電時も走行中も二酸化炭素(CO2)を排出せず、リチウムイオン電池を搭載し、軽くて強い炭素繊維を使って通常より1割軽い車体にしたそうだが、せっかくの先進的なバスであるため、色やデザインも人を惹きつけるおしゃれなものにできないだろうか?

 また、*4-2のように、ホンダは2015年11月にも燃料電池車(FCV)を年間1千台規模で生産して日米欧で販売し、トヨタも15年中にFCVを発売する計画とのことである。2020年代にはFCVの値段を「300万~500万円」にするそうだが、1995年頃から開発している割には目標が悠長で値段も高すぎる。

 それでも、自動車分野は、発電時も走行中も二酸化炭素(CO2)を排出しないシステムが可能になりつつあると言えるが、これは、「目標」を「現実」に合わせていては決してできないことである。

(5)再生可能エネルギーによる発電について
 *5-1のように、九州電力の発電所メンテナンス会社である西技工業が、鹿児島県姶良市加治木町に出力約140キロワットの水力発電所を建設すると発表したが、これは、姶良市が所有する農業用水路から水を引き、約50メートルの台地の落差を利用して発電を行うものだ。現在、発電に未利用の農業用ダムや水路が多いので、今後、この方式の増加が期待できる。

 また、*5-2のように、鹿児島県薩摩川内市でも市総合運動公園で整備を進めていた太陽光発電設備が完成し、九州電力の100%子会社「キューデン・エコソル」が事業を担って、発電量の約95%を売電し、約5%は武道館などに使うそうである。

 さらに、*5-3のように、日本政府は、アジアやオーストラリア沿岸の洋上で計画される液化天然ガス(LNG)開発の支援に乗り出すそうだが、日本企業が強みを持つ技術があるのなら、外国への支援よりもまず、日本近海のメタンハイドレートやレアメタルなどの資源開発をすれば、日本政府に税外収入が入る上、国内企業からの税収も増えるので、やる気を出してやって欲しい。

*1-1:http://www.minyu-net.com/news/news/0327/news11.html
(2014年3月27日 福島民友ニュース) 原子力政策の弊害を指摘 学会事故調が最終報告書
 日本原子力学会(堀池寛会長)の「春の年会」は26日、東京・東京都市大で開幕し、同学会の原発事故調査委員会(学会事故調)の最終報告書が説明された。東京電力福島第1原発事故の背景について「過酷事故が起こり得ないという(誤った)予断が、地元への説明や訴訟対策、安全規制の一貫性といった(原子力政策を進めるための)理由で正当化されてきた」として、安全神話に立脚した原子力政策そのものの弊害を指摘した。原発事故対策について、欧米は事故が起きた場合の住民避難など被害を最小限に食い止める原子力防災の考え(深層防護)が一般的なのに対し、日本は事故が起きないようにする対策にとどまっていたと指摘。原子力災害を特別視せず、台風などの自然災害などと合わせた統合的な防災対策が必要と提言した。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/ronsetu.0.2654116.article.html
(佐賀新聞 2014年3月30日) 原発公聴会 見送って良かったのか
 原発立地県の地方紙8紙が今月中旬に掲載した「迫られる判断-原発立地県は今」。福島県の福島民報と福島民友新聞は「普通の生活の全てが失われた」「もう帰還は諦めたよ」などと、住民の声を取り上げていた。その切実さに胸をつかれた読者も多かっただろう。原発は、目立った産業がない地域に建設され、雇用を生み、地域経済を潤してきた。しかし、ひとたび深刻な事故を起こせば、ふるさとそのものを失い、揚げ句の果てには除染で出る汚染物質の中間貯蔵施設の受け入れまで迫られる現実。「ふるさとへの思いと現実の間で揺れ続けている」という住民の姿は、私たち原発立地県に暮らす者にとって人ごとではない。企画スタートと前後して原子力規制委員会は、九州電力川内原発(鹿児島県)を優先的に審査していく方針を決めた。規制委の田中俊一委員長は、優先審査に選ばれた原発は「合格の見通しが立ったと考えていい」としており、再稼働第1号がいよいよ見えてきた。その川内原発の地元、南日本新聞は、再稼働をにらんで環境整備を着々と進める鹿児島県の姿を描いていた。審査に適合後、再稼働への同意が求められる流れを見越して、早くも来年度当初予算案に「原発立地自治体として唯一、住民説明会費1200万円を盛り込んだ」とあった。是非はともかく、少なくとも再稼働に対する自治体としての姿勢は見える。一方、同じ九州でも「やらせメール」が尾を引く、佐賀県は事情が異なる。本紙では、古川康知事の「再稼働のプロセスは、国が責任を持って明確にすべき。県の対応は現時点で考えていない」というコメントが象徴的だ。県民の安全を第一に守るべき立場のはずなのに、国任せという印象も受ける。原子力規制委員会は、「立地自治体の希望があれば、自治体と共催で公聴会を開く」という方針を示したが、これに対して佐賀県など立地自治体は強く反発した。「開くなら規制委が主体的に開くべき」という主張だった。結局、規制委は一般からの意見は電子メールや手紙で受け付けるだけで、公聴会は「自治体の要請」を前提とし、実質的には見送られる見通しになった。果たしてこれで良かったのか。本来、住民の意見が反映されるチャンネルは、できるだけ多いほうがいいはずだ。しかも、今回の公聴会は開くとすれば、安全審査の途中というタイミングが考えられていた。審査に対する意見を述べるという貴重な場だけに、立地自治体はしっかり開催を要請し、規制委は責任を持って開く。これが、それぞれの責任ではないか。安倍晋三首相は国会で「再稼働は地元の理解を得るのが重要」と答弁、地元の判断を重要視するということだ。一方、規制委の田中委員長は会見で「私たちは再稼働の是非を審査しているわけではない」と繰り返す。規制委の役目は、あくまでも審査に適合しているかどうかを見ているのであって、再稼働の判断は政治の問題というわけだ。 となれば、なおさら立地自治体の判断は重大な責任を伴う。それを支える住民のコンセンサスをどうやって作り上げていくかが、今、問われている。(古賀史生)

*2-1:http://qbiz.jp/article/34353/1/
(西日本新聞 2014年3月26日) 九電、松浦火力を増設 建設再開へ、原発の新設見込めず
 九州電力は、石炭を燃料とする松浦火力発電所2号機(長崎県松浦市、出力100万キロワット)の建設を再開する方針を固めた。2014年度に発電所建設のための入札を実施し、自社による落札を目指す。原発の新増設や運転延長が難しくなっていることなどから、大型火力電源の開発が不可欠と判断した。27日に発表する14年度供給計画に入札実施方針を盛り込む。松浦火力発電所は1989年に1号機(出力70万キロワット)の運転を開始。2号機は05年の運転開始に向け01年に着工したものの、電力需要の伸びが計画を下回ったなどとして運転開始を11年度に先送りし04年に工事を中断。その後、運転開始を「23年度以降」に再延期して事業を凍結していた。九電は今回、23年度より早い稼働を検討しているという。九電は、川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)と玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の4基の早期再稼働を目指しているが、東日本大震災前に計画していた川内3号機(出力159万キロワット)は事業化の時期を見通せない状況。玄海1、2号機は原則廃炉となる稼働40年が迫り、運転延長の可否が焦点となる。全原発停止で活用している効率の悪い老朽火力の置き換えが必要と判断したとみられる。石炭火力は、二酸化炭素(C〓)の排出量が多い半面、燃料費が割安。電力市場の完全自由化をにらみ価格競争力を確保する狙いもあるとみられる。火力電源の新増設は、国の指針に基づき、経費抑制のため入札が求められ、他社が応札する可能性もある。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2651970.article.html
(佐賀新聞 2014年3月25日) PM2・5、北京は基準値の3倍 / 中国環境省が調査
 【北京共同】中国環境保護省は25日、北京、上海など全国主要74都市の昨年の大気汚染状況を発表、北京周辺地域では、微小粒子状物質「PM2・5」が中国政府の定めた基準値の3倍という深刻な汚染状況であることが分かった。北京と隣接する天津、河北省全体の昨年の大気1立方メートル当たりのPM2・5は年平均106マイクログラムで、中国政府が定めた年平均35マイクログラムを大きく上回った。全国74市で国の基準値以下だった都市はチベット自治区ラサなど3都市にすぎなかった。全都市の年平均は72マイクログラム。

*2-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014032102000175.html (東京新聞 2014年3月21日) 地球温暖化 切実な危機を知ろう
 今世紀末の日本は洪水の被害額が二十世紀末の三倍以上になる。砂浜も85%が消える-。地球温暖化の影響だ。環境省の研究チームが発表した報告書が示す、切実な危機をあらためて認識しよう。われわれが暮らす環境は、著しく悪化の一途をたどっているようだ。各大学や研究機関が集まり、コンピューターモデルによる気候変動予測を用い、二十世紀末と比べて、分野ごとにどんな影響が出るか計算した。現在のペースのまま、温室効果ガスの濃度が上がり続けると、年平均気温は三・五~六・四度も上昇するという。気温が大きく上がれば、身の回りの世界も生活も大きく変わる。例えば、今世紀半ばには暑さで脱水症などを起こし、死亡する人が二倍以上になる。ヒトスジシマカと呼ばれる、デング熱のウイルスを媒介する昆虫の分布域が拡大する。人の生命や健康に悪影響を及ぼすことになるわけだ。強い雨も頻繁に起きるため、洪水被害も起きる。金額に置き換えると、今世紀末には約六千八百億円の損失になるという。海面も約六十センチ上昇するらしい。高山に生えるハイマツは約五万平方キロあるが、百分の一の約五百平方キロにまで収縮してしまう。何しろ亜熱帯の果樹が首都圏で栽培できるというのだから、農業への打撃もまた大きい。研究チームの報告書は、予測される未来を描いているが、警鐘を鳴らしているのは、現在のわれわれに対してである。「温室効果ガス排出の抑制が必要だ」というのが強いメッセージだ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第五次評価報告書でも、温暖化の原因は人間活動が原因である可能性が「極めて高い(95%以上)」としている。人間活動のあり方が、人間の暮らしに跳ね返る。つまり、人間の活動が地球の環境を悪化させてしまうならば、人間の努力によって、その制御も可能なはずだ。まず、その視座に立つべきである。省エネなどの取り組みだけでない。温暖化と表裏一体のエネルギー政策も転換せねばなるまい。事故が起きれば深刻な環境破壊を起こす原発に頼るのではなく、CO2を排出しない再生可能エネルギーの道を切り開いていくべきだ。温暖化問題は世界規模で手を携えなければ克服できない。人類の未来のために、人類の英知を結集すべき重大な岐路にある。

*2-4:http://www.nikkei.com/paper/related-article/tc/?
(日経新聞 2014.3.26) 国連、日本で温暖化討議 IPCC総会、きょう開幕
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の総会が25日、横浜市で開幕する。各国の政府代表や研究者ら約500人が参加し、地球温暖化の影響に関する最新報告書を31日に公表する。「すべての大陸と海洋で重大な影響が観測されている」などとする評価を盛り込む見通しで、温暖化ガスの排出削減策とともに、被害を減らす適応策が最大の議題となる。総会が日本で開かれるのは初めて。報告書は温暖化対策を話し合う国際交渉の基礎資料となる。昨年9月にスウェーデンで開いた第1作業部会の総会では、今世紀末の平均気温は最大4.8度上昇すると予測し、人間活動が温暖化を起こした確率は95%以上とした。横浜市で開く第2作業部会の総会は、温暖化の各地域への影響や、適応策をまとめる。最終原案では(1)海面上昇や高潮被害で数億人が移住を迫られる(2)気温上昇や干ばつで穀物の生産量は10年で最大2%減る(3)大都市で氾濫リスク上昇(4)海洋生物は中・高緯度域で増え、熱帯域で減る(5)多くの陸上生物は温暖化に対応できない(6)都市部で熱波などの死亡リスクが高まる――などと予測した。また、温暖化で貧困や紛争が増え、被害を減らすには途上国だけで年700億~1000億ドルが必要と指摘している。今後の国際交渉では削減策と適応策の両方で実効性のある枠組みを築けるかが焦点になる。

*2-5:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2653997.article.html
(佐賀新聞 2014年3月29日) 日本は温暖化で「主導的役割」を / 国連総会議長
 【ニューヨーク共同】国連総会のジョン・アシュ議長は28日、4月1日からの来日を前に共同通信のインタビューに応じ、国連が重要課題に掲げる温暖化対策で、日本が再生可能エネルギー分野などで技術的な貢献をし「主導的役割」を果たすよう求める考えを示した。アシュ議長は「これまで通り(温暖化の原因となる二酸化炭素を大量に発生させる)化石燃料を発電に使い続けることはできない。より持続的な再生可能エネルギーへの移行が必要だ」と指摘。 「気候変動との戦いは科学技術が鍵を握る」と述べた上で「日本の技術は最先端だ」と称賛し、主導的役割に期待が集まっていると語った。

*3-1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2603S_W4A320C1PP8000/?n_cid=TPRN0006 (日本経済新聞2014/3/27)再生エネに数値目標 基本計画で政府検討、公明に配慮
 政府は中長期のエネルギー基本計画に、太陽光発電など再生可能エネルギーを拡大する数値目標を盛り込む検討に入った。計画の原案は数値を示していなかったが、明記を求める公明党の主張に配慮する。原発にかわるエネルギー源の確保を求める与党との調整は難航する可能性もある。政府は4月上旬にもエネルギー基本計画を閣議決定する。2月に示した計画の原案では、再生エネや原子力、火力の電源構成について将来の数値目標を盛り込んでいなかった。運転を止めている国内48基の原発が今後どれだけ動くか見通せないためだ。経済産業省は将来の電源構成が不透明な中で、数値目標は示せないと判断していた。原案は再生エネについて「3年程度、導入を最大限加速し、その後も積極的に推進する」とした。与党内の再生エネ推進派は、数値目標がないことに反発。特に公明党は12年の衆院選公約で「総発電量における再生エネの割合を2030年に30%にする」と明記した。脱原発依存を掲げてきた党内には「原発の再稼働を進める」とした政府原案に反発する声も強い。経産省と与党幹部は26日、20年以降の電源構成に占める再生エネの目標比率などを協議した。12年度時点では火力が88%、原子力が2%に対し、水力も含めた再生エネの比率は10%。経産省は政府が2010年時点で一時的に掲げた「30年に2割超」といった参考値を示したが、与党幹部は目標としての明記を求めたもようだ。再生エネの数値目標以外でも対立点は残る。原発から出る核燃料の処理について、政府は発電しながら核燃料を生み出す高速増殖炉「もんじゅ」の計画の見直しを示唆した。与党内には、より踏みこんでもんじゅ計画の廃止を求める声もあり、調整は27日以降も続きそうだ。

*3-2:http://qbiz.jp/article/34369/1/
(西日本新聞 2014年3月26日) 再生エネ買い取り制度、電気代月225円上乗せ 14年度
 経済産業省は25日、再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」に基づく2014年度の電気料金の上乗せ額を、標準的な家庭で月額225円にすると発表した。13年度の全国平均(120円)の2倍近くになり、家計の負担が一段と重くなる。買い取り制度は、大手電力が買い取る太陽光などの電力量を予想して、買い取り費用を電気料金に上乗せする仕組み。14年度は、比較的大型の原発7基分に相当する約700万キロワットの再生エネルギーの導入が見込まれており、普及拡大に伴い、上乗せ額が大幅に増える。標準的な家庭は、電力使用量が1カ月当たり300キロワット時として算定した。5〜9月の検針期間は、現行制度導入前の家庭の太陽光発電を買い取る「余剰電力買い取り制度」(既に廃止)の影響が残るため電力会社によって最終的な上乗せ額は異なり、234〜240円になる。10月から来年4月の検針期間は、全国一律225円となる。併せて再生エネルギーの14年度の買い取り価格も公表。太陽光発電の買い取り価格は、事業者向け(消費税抜き)を13年度から4円引き下げて1キロワット時当たり32円、家庭向けは1円引き下げて37円とする。引き下げは2年連続となる。また太陽光発電事業者で、国から設備認定を受けながらパネルが値下がりするまで発電を始めないケースが多く見つかった問題では、認定後半年以内に土地や設備を確保しない場合、認定が失効することも決めた。発電の先延ばしにより、電力会社の買い取り予想量が膨張、電気料金の上乗せ額が必要以上に高くなっていた可能性があり、経産省の作業部会が制度の見直しを議論していた。

*4-1:http://qbiz.jp/article/32005/1/
(西日本新聞 2014年2月11日) 太陽光電力の路線バス CO2排出なし、北九州市が全国初導入へ
 北九州市は10日、太陽光発電の電力で走る電気バス2台を導入し、市交通局のバス路線で運行すると発表した。3月に一般電力で走行を開始。10月までに若松区響灘地区に出力7500キロワットの太陽光発電所を建設して太陽光電力への切り替えを進め、来年4月に完全移行する。同市によると、太陽光発電による路線バス運行は全国初。発電時も走行中も二酸化炭素(CO2)排出量はゼロで2台で年間30〜50トンのCO2を削減できるという。事業は、電気バスの車体や電池の開発に携わる東レエンジニアリング(東京)や三菱重工業(同)、同市の第三セクター「ひびき灘開発」が共同で実施する。総事業費は27億円。電気バスは72人乗りでリチウムイオン電池を搭載。軽くて強い炭素繊維を使って車体を通常より1割(約1トン)軽くして、充電1回当たりの走行距離を約80キロに伸ばす。市交通局に運行を委託し2路線を走らせる。来年春までに大型蓄電池を運用し、電気バスの電力を全て太陽光で賄う計画。電力消費量などのデータを収集し、他地域での電気バス普及などに役立てる。

*4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140326&ng=DGKDASDZ190HE_V20C14A3TJ0000 (日経新聞 2014.3.26) 燃料電池車、トヨタ・ホンダが年1000台生産 来年から、まず1000万円切る価格
 ホンダは2015年11月にも「究極のエコカー」とされる燃料電池車(FCV)を年間1千台規模で生産し、日米欧で販売する。トヨタ自動車も15年中にFCVを発売する計画。当面の価格は1千万円を切る水準とみられ、20年代には500万円以下を目指す。FCVは現在リース方式だけで使えるが、15年からは個人や企業などが所有し、普及が急速に進みそうだ。FCVは先に実用化された電気自動車(EV)に比べて1回の燃料補充で走れる距離が長く、実用性も高いとされる。ホンダは15年中の発売を目指し、5人乗りセダン型FCVの開発を進める。炭素繊維を使ったタンクに燃料を高圧でため、1回の充填でEVの2倍に当たる約500キロメートルを走る。日本での価格は1千万円以下に抑える。狭山工場(埼玉県狭山市)で生産する。同工場はセダンやミニバンなど複数の車種を効率よく生産するのに向く。当初は数量が少ないFCVの生産コストを抑えるのに最適と判断した。5年間で約5千台を生産し、欧米に順次輸出していく。ホンダは13年に米ゼネラル・モーターズ(GM)と燃料電池システムの共同開発で提携し、20年に低コストのシステムを実用化する考え。15年に発売する車両でもGMの技術の活用を検討する。トヨタは本社工場(愛知県豊田市)でFCVを生産する。ホンダと同規模となる「年1千台の生産体制」(幹部)を築く方針だ。セダン型を日米欧で15年から市販する。価格は詰めているが、1千万円を切る水準を目指す。20年には年数万台規模に増やす。トヨタはFCVの公道実験を始め、安全面など信頼性を高めるための取り組みを進めている。発電装置は小さくして座席下に置き、車内空間を広くする。水素タンクも開発時の4本から2本に減らし、コストの引き下げなどを進める。ホンダ、トヨタともに生産量が少ないうちは大がかりな設備投資を避ける考え。トヨタは20年代にはFCVを「300万~500万円で売りたい」(開発担当者)という。販売増に伴ってコスト削減を加速する方針だ。
★燃料電池車 水素を燃料に使い、酸素と反応させて作った電気でモーターを回して走る。水を電気分解すると水素と酸素ができる反応を逆にした仕組みだ。水しか出さず、二酸化炭素など排ガスはゼロとなる。電気が発生する小さな部品「セル」を重ねて電源システムを作る。FCVは「Fuel Cell Vehicle」の略。

*5-1:http://qbiz.jp/article/31893/1/
(西日本新聞 2014年2月8日) 鹿児島・姶良市に水力発電所 西技工業、九電グループで初
 九州電力グループの発電所メンテナンス会社、西技工業(福岡市)は7日、鹿児島県姶良市加治木町に出力約140キロワットの水力発電所「龍門滝発電所」を建設すると発表した。九電のグループ会社が水力発電所を造るのは初めて。投資額は約2億円の見込みで、姶良市が所有する農業用水路から水を引き、台地の約50メートルの落差を利用して発電を行う。3月に着工し、来年6月に運転を開始する。年間発電量は一般家庭300戸分に相当し、全量を九電に売り、年間1200万円程度の売り上げを見込む。

*5-2:http://qbiz.jp/article/31986/1/
(西日本新聞 2014年2月11日) 避難施設で太陽光発電 薩摩川内市、災害時に電力供給
 鹿児島県薩摩川内市が災害時の避難所となる市総合運動公園で整備を進めていた太陽光発電設備が完成し、10日稼働した。平常時はほぼ全発電量を九州電力に売り、災害で停電した際は電力系統を切り替え体育館などの施設に電力供給するシステムを導入した。市によると、自治体が防災機能強化のため、発電事業に取り組むのは国内でも珍しく、電力系統を切り替える仕組みは国内初という。公募で選んだ九州電力の100%子会社「キューデン・エコソル」が事業を担う。駐車場や体育館の屋根に取り付けた太陽光発電の出力は計670キロワットで、年間発電量は一般家庭約200世帯分にあたる75万キロワット時を見込む。発電量の約95%を売電し、約5%は武道館などに使う。災害時には施設に電力を供給し、非常用発電機とともに動かすことで、発電機の稼働を延長させる。約2600人収容で市最大の避難所となる体育館の電力を自前で供給できる態勢が整ったという。総事業費は約6億円で同社が負担。市は昨年3月、設備の所有権を持つ同社と2033年までの20年間のリース契約を結んだ。20年間の売電益でリース料金全額を賄う計画で、市は同社に15年目まで年約4千万円を支払い、16年目以降は約500万円を支払う。この日の完成式では、岩切秀雄市長らがスイッチを押し発電を始めた。岩切市長は「市民の安心安全な暮らしに寄与できる。次世代エネルギーを活用したまちづくりを理解する場所になる」と期待を寄せた。

*5-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140327&ng=DGKDZO68924700X20C14A3EA1000
(日経新聞 2014.3.27) 政府、洋上LNG開発を支援  日本企業の参入後押し 融資保証や出資
 政府はアジアやオーストラリア沿岸の洋上で計画される液化天然ガス(LNG)開発の支援に乗り出す。融資保証や出資を通じて、日本のプラントメーカーや造船会社の事業参入を促す。洋上LNGは将来の市場拡大が見込まれる有望分野。日本企業が強みを持つ技術を生かし、受注を拡大できると見ている。経済産業省が28日開く「総合資源エネルギー調査会」の専門部会で方針を示す。独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の制度を活用する。洋上LNG設備を受注する日本企業の借り入れの最大75%を保証したり、企業が参加する開発合弁会社に出資したりする。洋上LNGプロジェクトは2016年前後の生産開始を視野に、豪州や東南アジアで複数進んでいる。国際石油開発帝石が運営参加する豪州の「プレリュードプロジェクト」やマレーシア国営会社主導の「サラワク州沖プロジェクト」がある。JOGMECが資金を出すのは設備の発注が始まる2~3年後だが、ガス田の開発には時間がかかるため、早めに政府支援を打ち出すことで日本企業の参加を促す。洋上LNGは海底から天然ガスを吸い上げ、巨大な船のような洋上の浮体式設備で液化する。通常の洋上ガス田がガスを陸まで運んで液化するのに対し、洋上LNGならば1キロメートルで数億円とされるパイプラインの敷設費用がかからない。ネックは浮体式設備をつくる費用がかさむこと。1基3000億~5000億円とされ「資金面のリスクが壁となり、容易に参入できない」(プラント大手)との声が出ているため、政府が資金支援に乗りだす。海洋資源開発への投資規模は現在の6兆円から20年に11兆円に拡大するとの試算がある。なかでも大型ガス田が減るなか洋上LNGは有望分野として、設備の受注案件の増加が見込める。日本企業が強みを持つ技術も生かしやすい。三井造船子会社は、揺れる海上プラントでも安定して操業できる技術を持つ。IHIは波で揺れても内部のLNGが気化しにくいタンクを開発しており、世界中のプラントメーカーが注目する。ただ、韓国の造船会社などとの競合も激しい。政府は資金面で後押しして、今後の洋上LNGの開発で日本メーカーが主役になることをめざす。技術を蓄積し、「メタンハイドレート」など日本近海の資源開発に生かす思惑もある。メタンガスと氷が混ざったもので、日本近海に国内のガス使用量100年分の埋蔵量があるとされる。ただ、開発コストが高く実用化のメドが立たない。政府は洋上LNGの技術がこうした資源開発にも役立つと期待する。


PS(2014.4.3追加):*6の記事もあったが、再生可能エネルギーの比率を2020年時点で13.5%、30年時点で約2割というのは、あまりにも導入に積極性がなさすぎる。また、「最適な電源構成の比率を決める」などというのは、社会主義の計画経済の下で行うものであり、市場経済では、電源構成の比率は、公正な競争の下、市場原理で決まるものだ。

*6:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140402&ng=DGKDASFS02009_S4A400C1EAF000 
(日経新聞 2014.4.2)再生エネの導入目標 自公協議が決着 政府案の表現強める
 自民、公明両党は2日、原子力発電を重要電源と位置づけたエネルギー基本計画の政府案の内容について合意した。焦点だった再生可能エネルギーの導入目標は「これまでの目標をさらに上回る水準の導入を目指す」とした。「これまでの目標を上回る」としていた政府案の表現を強めた。3日夕の与党エネルギー基本計画ワーキングチームで、同計画の政府案を受け入れることを正式に決める。政府は来週の閣議決定を目指す。再生エネルギーの比率をめぐって、基本計画は2020年時点で13.5%、30年時点で約2割にするとの東日本大震災発生前につくった目標を参考値として付け加えた。政府は最適な電源構成の比率を3年以内に決める予定。2月に示した政府案は構成比率を示していなかったが、12年の衆院選で「30年の再生エネの割合を30%にする」と明記していた公明党は基本計画に数値目標を盛り込むよう求めていた。再生エネの導入に積極的に取り組む方針を明記し、原子力発電への依存を弱めていく姿勢を打ち出したい考えだ。


PS(2014.4.5追加):燃料電池車などのエコカー燃料を、*7のように、下水汚泥を発酵させ、バイオガスを作って利用すれば、地方自治体に税外収入も入り、安価な国産燃料となるので一石三鳥だ。税金を払う人も大変であるため、他の地方自治体でも、創意工夫や応用をしてもらいたい。

*7:http://qbiz.jp/article/35123/1/
(西日本新聞 2014年4月5日) 下水からエコカー燃料 福岡市、九大など実証事業
 福岡市と九州大などは4日、下水処理の過程で出る汚泥から水素を作り、燃料電池自動車向けに販売する実証事業を始めると発表した。都市部で多量に発生する下水から未来のエネルギー源を取り出す試みで、来年2月をめどに市中部水処理センター(中央区荒津2丁目)内に製造プラントと水素ステーションを建設。下水処理場で燃料電池自動車向けの水素を製造する事業は全国初という。中部水処理センターは現在、一日約20万トンの汚水を処理。汚泥の一部を発酵させてつくったバイオガスを、場内施設向けの発電などに利用している。新たな事業では、バイオガスをメタン(CH4)と二酸化炭素(CO2)に分離。メタンを化学反応させて水素(H2)を取り出して精製し、99・99%以上の高純度の水素を1日当たり約3700立方メートル製造する。自動車70台分の燃料電池を満タンにできる量という。CO2もハウス栽培のレタスの生育促進に活用するという。事業にはプラントメーカーと商社も参加。国土交通省の実証事業として、プラント建設などの費用約13億円は、国が全額負担する。記者会見した九州大大学院工学研究院の田島正喜教授(水素製造システム研究室)は「水素は(低コストでの)運搬が難しかったが、都市部の下水から生産し、その場で活用できれば、こうした課題を解決する有効なモデルになる」と話した。事業では約1年かけてコストなどを検証する。


PS(2014.4.6追加):昨日、埼玉県の自宅近くにあるイトーヨーカドーに買い物に行ったら、*8の「星空の黒牛」という牛肉が出ていた。これは、PM2.5に悩まされている九州の弱点をついた賢い命名だと思ってしばらく見入ったが、そもそも摩周湖は美しく、本当に行く価値のあるところだ。

*8:http://list.tabiiro.jp/303483.html <星空の黒牛>
 いい水、空気、大地だからできる極上の肉北海道・標茶(しべちゃ)にある、摩周湖の清らかな水をたたえる広大な牧場。ここで誕生したのが、上質な黒毛和牛と体が大きなホルスタイン種を掛け合わせた「星空の黒牛」。名前は牧場の上に輝く星空から名付けられたものだ。空気が澄んでいなければ満天の星は仰げないことから、牛たちがいかに素晴らしい環境で育てられているかを表している。牛は有機農法で育てた牧草を食べて育ち、味はジューシーでほどよい歯ごたえのある赤身、豊かなコクを持つ脂身のハーモニーが格別。稀少価値が高いので取扱店が限られているが、ぜひ足を運んで味わいたい。
●旨みを存分に秘めた肉
 赤身、脂身ともにたっぷり旨みを含んだ「星空の黒牛」。その肉質は歯ごたえもあり、食感も優れて
 いる。
●清らかな水を湛える原野にある牧場
 「星空の黒牛」はその名の通り、空気の澄んだ牧場で育てられる。夜は星もキレイに見える大地は、
 摩周湖の伏流水を湛える豊かな土壌が魅力。

| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 06:08 PM | comments (x) | trackback (x) |

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