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2014.5.22 農業における女性の地位 (2014年5月22日、23日に追加あり)
    
                                           *7より
(1)世界農業者機構(WFO)における女性の地位向上宣言
 *1のように、世界農業者機構は、総会で、「女性の地位向上が農業・農村の開発や成長に欠かせない」とする宣言を採択し、農業分野でも女性の地位向上が進み始めた。確かに、「女性農業者は世界の食料生産の半分以上、アフリカでは最大で80%を担っている」にしては、これまで、農業分野における女性の経営や技術能力の開発、男女平等は遅れていたと言わざるを得ない。

 日本では、*5のように、「農家の高齢化に歯止めがかからないため、担い手の育成・確保が最重要課題だ」と言われつつ、女性は、農業の手伝いではあっても担い手に数えられてはいない。しかし、生活に密着した農業製品を作るに当たって、仲間づくり、地域貢献、政策提言、相互研鑽などを行う時、そのメンバーに女性が30%以上含まれていれば、議論の内容はさらに地に足のついた実利あるものになると考える。何故なら、栄養・食品・保育・介護などは女性が担当している場合が多いため、その知識や要請を踏まえた多方面からの議論ができるからである。

 そのような中、*2のように、日本で最も女性差別がきついと思われる鹿児島県のJAで、女性の総代が前年度より120人増え、女性総代比率が6.5%となったのは喜ばしいことである。しかし、6.5%という割合は、2020年までに女性管理職を30%にするという国の目標には遠く及ばず、国会議員の女性比率よりも低いということを忘れてはならない。同様に、地方議員も、女性がいなかったり、全体の5%以下だったりする地域が多く、これが、政治における社会保障政策の遅れに繋がってきた。

(2)女性に能力ある人材がいないのではない
 「仕事上、男女平等になっておらず、管理職に占める女性割合が少ない」と言うと、必ず「女性は能力とやる気のある人材が少ない」「家庭との両立ができずに辞める人が多い」と反論される。しかし、農業は最もわかりやすい例で、女性が退職するわけでも、家庭と両立しないわけでもないのに、担い手としての女性の認定やJAの女性総代比率は低いのであり、これは、古い型の“日本文化”が原因である。

 具体的には、*3のように、女性グループが林業を盛り上げるために活動したり、女性が狩猟したりするケースもある。山からとれる製品にも、家、家具、食器、食品の材料など、生活に身近なものが多いことを考えれば、今まで女性がその分野に少なく、女性のセンスが活かされてこなかった方が不思議なくらいだ。ちなみに、東大農学部等、関連する教育機関は女子学生を差別していない。

 また、*4のように、農村女性の起業数が2012年度に調査開始以来最多となり、グループ経営は平均60歳以上の経営体が7割に上って高齢化が進んでいるものの、39歳以下の若手女性の参入も目立つとのことである。起業活動の内容は、「食品加工」が全体の75%を占めるそうだが、産地でとれたての食材を加工すれば、美味しくて付加価値の高いものができることは言うまでもない。

    

*1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26806
(日本農業新聞 2014/3/30)  女性の地位向上宣言 会長にケンドール氏 WFO総会閉幕
【ブエノスアイレス(アルゼンチン)山田優編集委員】当地で開かれていた世界農業者機構(WFO)の第4回年次総会は28日、女性の地位向上が農業・農村の開発や成長に欠かせないとする宣言を採択し閉幕した。また、2代目の会長に英国農業者連盟元会長のピーター・ケンドール氏を、副会長にザンビア全国農業者同盟出身のエベリン・ヌレカ氏をそれぞれ選出した。2015年の総会はイタリア、16年はオーストラリアで開催することも決まった。80カ国から100人以上が参加して3日間、世界の農業者が抱える課題や解決策などを議論した。WFOは11年に発足。順調に加盟団体を増やし、財政基盤も安定したとの報告があった。ロバート・カールソン前会長は「国連など国際社会の場で農家の声を代表する団体としてWFOが着実に存在感を増してきた」と胸を張った。昨年の新潟総会に続き焦点になったのが、女性の能力開発の強化だ。総会では「女性農業者は世界の食料生産の半分以上、アフリカでは最大で80%を担っている」として、女性の経営、技術能力の開発、男女平等を実現するための政府による制度の確立などを支援する方針を決めた。また各国で日本を追いかけるような形で農業の高齢化が進んでいる。若い農業者の仲間づくりや育成など日本の取り組みにも注目が集まった。28日の「青年」の分科会でパネリストとして登壇したJA全青協の山下秀俊会長は、地域社会への貢献や政策提言、相互研さん、次世代の育成、アジアでの農業支援など取り組みを、事例を挙げて報告した。
●会長就任会見 地球規模の課題 農業が対応貢献
 WFOの年次総会で会長に選出されたピーター・ケンドール氏は28日、ブエノスアイレスで記者会見した。「これまで『農業が問題だ』と言われてきたが、『農業が未来を開く』と期待されるようになってきた」と指摘。食料需要の増加や気候変動など地球規模の課題への対応に農業が貢献できるとの見方を示した。また、「収益性を高めるため農家が力を合わせて販売力を強めていくべきだ」として、スーパーマーケットなどの巨大な購買力に対抗していく必要性を強調した。

*2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=27609
(日本農業新聞 2014年5月10日) 女性総代が120人増 比率6.5%へ上昇 鹿児島
 JA鹿児島県女性組織協議会が、女性の総代登用を県内JAに働き掛けた結果、2013年度末時点で457人と、前年度より120人増えた。女性総代比率は6.5%となり、同1.8ポイント高まった。3年間では209人(3ポイント)増えた。「女性総代比率10%以上」の目標は、県内15JAのうち6JAが達成。前年度より3JA増えた。JA女性部は、リーダー学習会で優良事例を学び、「JA役職員と語る会」などで女性枠について協議。JAは運営委員会などで女性総代の選出について協力を呼び掛けた。13年度の女性理事は、11JAで15人。JA鹿児島県中央会も女性理事を1人登用した。14年度は中央会の指導指針を踏まえ、改選JAで女性理事が増え、23人になる見込み。正組合員の女性比率は、県平均で20.4%。目標の25%達成は6JAと、徐々に増えてきている。県女性協の事務局は「3月に策定した県独自の女性組織活性化プランでも、女性のJA運営参画による女性パワーの発揮は大きな柱としている。JAと話し合いながら、目標達成JAを増やしていきたい」と話している。

*3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=27526
(日本農業新聞 2014年5月5日)  若者に林業PR 女性グループ 東京で映画試写
 林業を盛り上げようと活動する女性グループ林業女子会@東京は4日、東京都千代田区で、林業を題材にした映画「WOOD JOB(ウッジョブ)!~神去なあなあ日常」の試写イベントを開き、20、30代中心の若者約100人に林業の魅力をPRした。イベントは、映画が10日から全国公開されることに先立ち、林業や農山村部で働くことに関心を持ってもらおうと開いた。映画は、都会育ちの青年がひょんなことから林業に従事し、成長していく青春ドラマだ。試写後、林業女子会@東京のメンバー、真鍋弥生さん(25)が司会を務め、矢口史靖監督と、撮影に協力した三重県の林業家、三浦妃己郎さんらが、映画や林業について話し合った。矢口監督は「映画では、林業の面白さだけでなく、厳しくて危険なことや村で暮らす大変さも描いた。見てもらえれば、林業を自分の人生の選択肢に入れる若者も増えるだろう」と自信を見せた。三浦さんは「林業を振興しようといろいろ頑張ってきたが、この映画はそれを超える波になると思う。今年は林業にとってルネサンスになる」と語った。林業女子会@東京の廣田茜代表は「映画を通じて自然や林業、山間地の魅力を感じてほしい」と期待を寄せた。

*4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26812  (日本農業新聞 2014/3/31) 農村女性の個人起業 過去最多 12年度 ネットで多様化 若手の台頭も
 農村で暮らす女性個人の起業数が2012年度は調査開始以来、最多となり、全体のほぼ半数を占めたことが農水省の調べで分かった。主流だったグループ経営が高齢化による休業などで減ったことや、直売所やインターネット環境の整備で販路が多様化したことが要因。39歳以下の若手女性の参入も目立ち、世代交代の兆しが見えてきた。全体の起業活動数は9719件と、2010年度の調査(9757件)に比べて減った。ただ、女性が個人で起業するケースは4808件と同335件増え、グループ経営は4911件と同373件減った。年齢層で見ると、個人経営では39歳以下の起業が13件増加。グループ経営は平均60歳以上の経営体が7割に上り、高齢化が進んでいることがうかがえた。起業活動の内容は、「食品加工」が全体の75%を占めた。一方、自ら「農業生産」に乗り出す例が19%増、農家民宿やレストランなど「都市との交流」は15%増、直売所やインターネットなどで農産物などを販売する「流通・販売」に取り組む例は9%増え、多角化が進んでいる。同省は「個人でも売りやすい環境が整い、柔軟な発想を生かした事業で多角化するなど起業活動は量から質へと変化している」(就農・女性課)とみる。ただ、全体の半分は売上高300万円未満。ビジネスとして軌道に乗せるには、事業を担う「人手の確保」や「販売ルート、集客の確保」などが課題だ。

*5:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26790 (日本農業新聞 2014/3/29) [ニュースアイ] 担い手確保が争点 農政改革関連法案 国会審議入り
 政府・与党と野党双方の農政改革関連法案が衆院で審議入りした。政府・与党は経営所得安定対策の対象者を見直し、担い手育成を加速させる方針。野党は戸別所得補償制度で全ての販売農家の営農を維持することで担い手育成につなげる考え。農家の高齢化に歯止めがかからない中、担い手の育成・確保が最重要課題であることは、与野党とも一致する。その実現に向けた考え方と具体的な方策をどうするかが、国会論戦のポイントになりそうだ。
●政府・与党=対象絞り構造転換
 「戸別所得補償制度は全ての販売農家を対象としていたから、担い手への農地集積が遅れた」。安倍晋三首相は、法案が審議入りした27日の衆院本会議でこう強調した。こうした認識に基づき、政府・与党は担い手経営安定法を改正し、経営所得安定対策の対象者を見直すことにした。法案には、畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)、米や麦、大豆などの収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)の対象を認定農業者と集落営農、認定新規就農者にすることを盛り込んだ。2015年産からの適用を目指す。対象者に要件を設けるのは農業構造を変えていくためだ。林芳正農相は「食料を安定供給するには効率的、安定的な農業経営が相当部分を占める構造にすることが重要」と考える。このため全販売農家を対象とせず自ら経営改善の計画を立て、実現しようとする認定農業者などを対象とし、担い手育成を加速させる。ただ、面積は問わないことにした。ナラシ対策の認定農業者4ヘクタール、集落営農20ヘクタールなどの要件は15年産から廃止する。面積規模要件は07年に導入した旧品目横断的経営安定対策で設けたが、“選別政策”との批判を受けたことへの反省だ。門戸を広げた理由には、当時より担い手不足が深刻になっているという農村の厳しい現実もありそうだ。
●野党=全農家の意欲促す
 担い手育成を重視する政府・与党に対し、戸別所得補償制度法案を提出した民主、生活、社民の野党3党は「静かな構造改革」を打ち出す。同制度があれば、農家が自らの規模を見直す動きが広がると考える。同制度は全販売農家が対象。民主党の大串博志氏は「規模や形態で差別しない」と政府・与党との違いを強調する。販売農家の営農を維持し、食料の安定供給や多面的機能の維持につなげる。政府・与党の「ばらまき」批判に、民主などの野党は「農業構造を変える働きも備えている」と反論する。米の定額払い(10アール1万5000円)などで全国一律の単価を設定すれば、2ヘクタール以上だと利潤が確保でき、規模が大きいほど利潤も増えることを論拠に挙げる。2ヘクタール以下の農家は規模拡大をしたり、高齢なら離農したりすることを想定。2ヘクタール以上なら、一層の規模拡大の動機づけになると見込む。結果、農業構造が変わっていくというのが民主などの野党の主張だ。
●米の扱いも正反対に
 主食用米への支援の在り方も政府・与党と野党の主張は正反対だ。政府・与党は「高関税の国境措置で守られている」ことから、米の直接支払交付金に理由はないと判断。10アール1万5000円の単価を半減し、18年産から廃止する。野党は「コスト割れしている作物」と位置付け、生産調整の参加を条件とした定額払いを掲げる。政府・与党の農政改革で、米の直接支払交付金を見直す意義として、自民党の齋藤健農林部会長は「外国産との競争にさらされていない米を麦、大豆と同等に論じることはできない」と訴える。主食用米向けの支援を縮小する半面、非主食用米の支援を手厚くした。飼料用米や米粉用米で「数量払い」を導入し、産地交付金による追加支援も用意した。主食用米からの転換を促し、水田フル活用と稲作農家の経営安定を目指す。一方、民主などの野党は戸別所得補償制度法案に定額払いの法制化を盛り込んだ。これまでと同様、生産調整への参加を条件とした。民主党の玉木雄一郎氏は「米もコスト割れが生じている。国境措置以外は不要とする政府・与党案とは、根本的な考え方が異なる」と指摘。戸別所得補償制度の本格実施後、過剰作付けが4万ヘクタールから2万ヘクタール台に減った実績などを踏まえて、支援の必要性を訴える構えだ。来週には農林水産委員会での法案審議を予定する。林農相は28日の会見で政府法案について「農政改革の重要部分を占める。制度が安定するよう現場では法制化の要望が強い」と強調。成立に向けて「丁寧に議論し、与野党の理解を得るよう努力したい」と述べた。


PS(2014.5.22追加):*6のように、安倍首相は女性の活躍に理解があり、このことにアクションが速いのはGoodだが、子どもか仕事か(もしくは結婚か仕事か)の二者択一を迫る社会は、男女共学の教育を受けた女性たちが社会に出て働き始めた1970年代に終わっておくべきであり、正しくは40年遅れだ。

*6:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/66167
(佐賀新聞 2014年5月22日) 首相、学童保育の定員拡充を表明、「30万人分受け皿つくる」
 安倍晋三首相は22日、共働き家庭や、ひとり親家庭の小学生を放課後に校内、児童館などで預かる「放課後児童クラブ」(学童保育)に関し「5年間で30万人分の受け皿をつくっていきたい」と述べ、定員を拡充する方針を正式に表明した。横浜市内の関連施設を視察後、記者団に述べた。政府は2015年度から本格実施し、19年度末までの5年間で実現を目指す。6月にまとめる新たな成長戦略に盛り込む見通しだ。学童保育を充実させることで「女性の活躍」を推進するとともに、少子化対策につなげる狙いがある。首相は横浜市神奈川区の市立中丸小学校内で実施されている「放課後キッズクラブ」を見学。市や学校関係者から説明を受けた後、放課後に教室で読書や塗り絵をしていた小学生と交流し、紙飛行機作りも一緒に体験した。安倍政権は昨年、保育所の待機児童解消のため17年度までの5年間で40万人分の保育の受け皿を整備する計画をまとめた。今回、小学生を対象とした学童保育の定員拡充も打ち出し、小学校入学を機に親が仕事と育児を両立できなくなる「小1の壁」の解消を目指す。


PS(2014.5.23追加):*7のように、農業の担い手候補は、農家出身者だけではないため、今まで農学部出身者が農業と関係のない仕事に就かなければならなかったことが、もったいなかったのだ。そのため、農業法人で働いたり、実務研修を積んだ後で土地を借りて独立農業者になれたりする仕組みがあれば、それらの人材を活かせる。ただし、農家出身でない若者は、自然の中でできる遣り甲斐のある職業として農業を選んでいるのであって、古い型のムラ意識や束縛を好んでいるわけではないことを忘れてはならない。また、機械やアルバイトを使えれば、女性も施設園芸だけでなく何でもできる。

*7:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=27848 (朝日新聞 2014年5月22日) 農の担い手 多様化 映画・漫画で注目度上昇 農大校入学者アンケート
 農業の担い手育成を目指す農業大学校の入学者に変化が出てきている。今春、入学した学生の中で、実家が農家以外の出身者の割合が高まり、女性も増えてきていることが日本農業新聞のアンケートで分かった。増加の背景には、今春に映画化された農高生らの成長と青春を描いた漫画「銀の匙」などメディアの効果もうかがえる。
●職業選択の一つに 
 アンケートは、北海道から沖縄県まで1道2府39県の農業大学校計42校に対して行った(有効回答41校)。2014年度の入学者数のうち、農家と農家以外の出身者の割合を尋ねたところ、41校中21校が「農家以外の出身者の方が多い」(51%)と回答、過半を占めた。一方「農家出身者の方が多い」は17校(42%)にとどまった。特に、農家以外の出身者が多いとの回答が目立ったのは中部・関東地方。中部6県(信越含む)のうち新潟以外の5県が「農家以外の出身者の割合が高い」と回答。中でも岐阜、静岡、愛知の3県の農業大学校は「農業法人への就職が増えた」と回答。それが農家以外の出身者の入学増につながったとしている。「銀の匙」などのメディア効果に言及した学校も相次いだ。大消費地・東京を抱える関東では「酪農を題材とした漫画などの影響から酪農コースに興味を持つ受験生が増えている」(埼玉)、「映画や漫画でさらに農業の(良い)イメージが高まってくれるとよい」(神奈川)と期待する。他の県からも「映画を見て農業に興味を持ち、農業を志そうという農家以外の出身 者の学生が多い」(山形)、「映画や漫画を通じて学生が農業に興味を持ってくれるのは非常にありがたい」(福島)などの意見が相次いだ。女性の入学者も目立つ。入学者の男女比を尋ねたところ、全体の3割に当たる14校で「女性が例年より増えた」と回答。特に香川は入学者31人中15人が女性だった。「例年は2割程度だが今年度は特に高い」という。高知は女性の入学者が過去5年平均で17%だったが今年は24%に。栃木も「2年連続で女性の入学が増えた」という。静岡は前年の女性比率35%から43%に上昇。80人中34人を女性が占め、「施設園芸は女性でも参入しやすい。農業のイメージが刷新され、職業選択の一つとして捉えられるようになったのではないか」と増加の背景を分析する。ただ、農業大学校全体で見れば定員割れは続いており、「定員より入学者が多い」と回答したのは4校(9%)。34校が定員割れだった。
●女性「生活密着産業」をイメージ 博報堂 荒川あゆみ氏に聞く 
 農業大学校に農家以外の出身者や女性の入学者が増えてきている背景に何があるのか。食と農業に詳しい 博報堂テーマビジネス開発局の荒川あゆみプラナーに聞いた。
―農家以外の入学者が過半を占めました。
 農水省の青年就農給付金など新規就農者への助成制度が充実したことが一役買っている。総務省による「地域おこし協力隊」でも、任期終了後も地域に定住し、就農する人が出てきた。
―農業を扱った漫画の流行なども関係しているようですが。
 農業の世界を描いた漫画が流行すれば当然、若者の関心は農業に向くだろう。入学者に農家以外の出身者が多いというのは、現場の厳しさを知っている農家の親より、農家でない親の方が就農に反対をしないからだと思う。メディアで農業を格好良く描いても、農家は現場との隔たりを感じるだろうが、農業以外の家庭は農業を職業選択の一つとして受け入れやすい。
―女性の入学者も目立っています。
 グリーン・ツーリズムの普及で農業体験をしたことがある女性が増えてきた。若者が農業に触れる機会が増えたことが入学増につながったといえる。また、直売所で特徴ある農産物を販売したり、インターネットで付加価値のある加工品販売などに取り組んだりする女性たちが増えてきた。就農を希望する女性たちが思い描くのは大型トラクターでの大規模農業というより、少量多品目の野菜栽培など「生活密着産業」としての農業ではないか。少量でも良い品であれば買ってくれる人がいて、生活が成り立つというイメージだ。
―高齢化が進む中、農業に未来はありますか。
 女性が丁寧に作った農産物に価値を見いだせる消費者と社会をつくるべきだ。そうなればメディアのつくった一過性のブームではなく持続可能な現象となる。直売所に足を運び、農家が丁寧に生産した農産物に対価を払うファンはとても多い。希望はある。

| 男女平等::2013.12~2014.6 | 11:33 AM | comments (x) | trackback (x) |

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