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2014.5.24 配偶者控除廃止論について-所得税法改正以前に、まず女性の無償労働を有償化すれば、どれだけの所得に当たるかを計算すべきである。(2014年5月25日追加あり)
       

(1)その世帯の本当の所得はいくらか?←女性の無償労働も考慮に入れるべき
 *2の改善はまあよいが、保育利用料の上限が据え置かれても、年収470万~640万円の世帯が、3歳以上6歳以下の子(4万1500円/月)と0~2歳までの子(4万4500円/月)の二人を保育園に通わせて働いていると、正規の保育料だけで8万6000円/月(103万2000円/年)を支払わなければならない。時間外や子どもの病気などで保育園を利用できない時に、保育ママ等を利用すれば、子育ての経費はさらに高くなる。

 女性がフルタイムで働く場合は、家事はあまりできないため(両方を普通にやれば過重労働になる)、お手伝いさんを雇ったり、掃除を外注したり、中食(なかしょく)のために調理済食品を買ったりと、家事を外部委託することが多くなるが、それも女性が外で働くための経費である。この費用を、小さく見積もって毎月8~10万円程度だとすれば、前期の保育料と合わせて、女性が働くために家事を外部化した費用は、約16.6~18.6万円/月(199.2~223.2万円/年)になる。その逆に、0~2歳と3歳以上6歳以下の2人の子を自分で育て家事を外部化していない専業主婦は、少なく見積もっても約16.6~18.6万円/月(199.2~223.2万円/年)という金額を稼ぎ出しているのであり、これまでは、とかく家事労働の対価は無償として計測されなかったが、外部の人に頼めば、これだけの報酬を要求されるものなのだ。

 これは、*3、*4の介護も同じで、外で働くことにより得る収入が、働くために増加する経費よりも小さい人は、仕事をやめて自分でやるのが、その時点の経済性だけ見ると合理性のある選択となる。

 なお、私は、「保育サービス」は役務提供であるため、電気料金、郵便料金、運賃などと同様、所得によって料金が変わるのはおかしいと思っている。同じサービスは同じ料金で提供するのが当然であるにもかかわらず、保育サービスの料金体系は、頑張る夫婦にペナルティーを課しているかのようだ。所得の再分配機能は所得税で果たしているため、保育料でまで行う必要はないにもかかわらずである。

(2)負担力主義の所得税制下で、無償労働の対価をどう扱うべきか→2分2乗方式へ?
 税は負担力のある人が応分の負担をする仕組みであるため、無償労働には負担力が無いという理由で所得税がかからない。また、共働き夫婦が支払う家事の外部委託費用は経費として考慮されないため、共働き世帯と片働き世帯の税負担には不公平が生じる。これは、*1のような、たった年間38万円の配偶者控除を残すとか廃止するとかで解決する問題ではない。

 わが国は、*5に書かれているように、1950年のシャウプ勧告以来、個人単位課税方式を採用するようになり、私も、これは合理的だと思うが、アメリカ(2分2乗方式も選択可)と同様、法律婚をしている場合には世帯単位課税も選択できるようにするのがよいと考える。世帯単位課税が選択できれば、働いているのに無報酬の配偶者の所得がもう一方の配偶者の課税時に考慮され、低い所得税率が適用されて所得税が低くなり、夫婦間の所得の組み合わせによって課税額が異なることがなくなるからだ。

(3)扶養家族の数も考慮したn分n乗方式の方が、さらによいのでは?
 *5に書かれているように、フランスでは夫婦合算の所得を子どもも加えた世帯人数に分割して課税するn分n乗方式が採用されている。この制度では、扶養家族も1/2として人数に入れるため、子どもの数が多い世帯は所得税がそれだけ低くなる。そのため、この税制は、当然のことをしながら、人口政策に効果を発揮する。

(4)結論
 確定申告を要件とし、世帯単位課税を選択した方が課税額が小さくなるように税率を設定して、世帯単位での課税を選択することも可能にすれば、結婚する動機付けが増すメリットがある。また、フランス型のn分n乗方式なら、子どもの数が増えるとそれに応じて所得税が低くなるため、人口政策にもなる。そして、それは、たった38万円の扶養控除を認めるよりも、実態に即しており合理的である。

 そのため、わが国は、個人所得課税を基本としながらも、家族があってそちらの方がメリットのある人は、フランス型のn分n乗方式を選択できるようにし、どちらを選択した場合でも、一定の家事外部委託費用は経費として認めるのがよいと考える。

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014042102000123.html (東京新聞社説  2014年4月21日) 配偶者控除 女性就労の壁は本当か
 安倍晋三首相の意向で政府税制調査会が始めた「配偶者控除」廃止議論は到底理解できない。女性就労の妨げとの論理の乱暴さもさることながら、廃止による大幅増税は家計への打撃が大きすぎる。配偶者控除をめぐっては「百三万円の壁」という言葉が定着している。たとえばサラリーマンの妻がパート勤めで年収が百三万円を超えると、本人に所得税がかかるうえ、夫には配偶者控除が適用されなくなって所得税額が増える。そのため妻が百三万円を超えないよう労働時間を抑え、それが壁になっていることを指す。政府は過去に「壁」の解消をねらって「配偶者特別控除」を追加し、百四十一万円未満までは、夫の年収が一千万円以下であれば一定の控除が受けられるようにした。だが、特別控除による恩恵はそれほど大きくないため、「百三万円の壁」が依然として高い。それなら配偶者控除を廃止すれば女性の就労は進むだろうというのが廃止論者の考えであり、女性の社会進出拡大を成長戦略の一つに掲げる安倍首相の意向である。しかし、話はそんなに単純ではあるまい。女性の社会進出を阻んでいる大きな要因は、保育所の待機児童や介護施設の定員不足に代表される「子どもを預けられず、介護も女性任せ」で、とても安心して働きには出られない社会構造にあるのではないのか。女性の就労促進といいながら、パートなど低賃金労働の選択肢しかない状況で女性を都合よく活用しようという政府や経済界の意図が透けてみえるようである。配偶者控除の廃止が女性の就労促進につながるかは、はっきりせず、ほとんど効果がないとの研究もある。逆に、廃止が家計に与える影響の甚大さは明白だ。財務省によると、「配偶者控除」の適用者は約一千四百万人で、減税額は六千億円に上る。「配偶者特別控除」も約百万人、三百億円だ。もし配偶者控除が廃止になると、年収五百万円の家庭で約七万円の増税になる。消費税率8%への引き上げと、すでに廃止された年少扶養控除を合わせれば年間負担増は二十五万円を超える。相次ぐ増税と物価上昇で家計は疲弊する。増税分をまかなうために女性はもっと働け、ということか。それが成長戦略なのか。自民党は昨年の参院選、一昨年の衆院選で「配偶者控除の維持」をマニフェストに掲げていた。公約違反は許されないはずだ。

*2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11150429.html
(朝日新聞 2014年5月23日) 保育利用料、上限ほぼ据え置き 新制度の価格案公表
 来年4月に始まる保育・幼児教育の新制度で、政府は22日、利用者の負担額や、事業者に払われるサービスごとの「公定価格」の案を公表した。利用料の上限はほぼ今の水準に据え置く。サービスの質の向上に取り組む施設の収入は、今より1割程度増えるようにする。新制度は、消費増税を元手にした社会保障充実の目玉。制度づくりはほぼ終わり、今後は各市町村が具体的な運用の検討に入る。保育の利用料は、国が決めた上限額の範囲で各市町村が決める。上限より安くするケースが多く、差額は自治体が負担する。新制度の上限額は、認可保育所や、保育所と幼稚園の機能を併せ持つ認定こども園、小規模保育などで共通。保護者の所得で額は変わる。利用が1日最長11時間(標準時間)の場合、上限額はほぼ現行通りとする。最長8時間(短時間)の利用では、標準より1・7%ほど安くする。金額は子の年齢で二つの区分があり、多くの場合、「0~2歳」を「3歳以上」より月3千円高くする。新制度では、利用料が割高といわれる認可外の保育所や保育ママなども、条件を満たせば認可制度に入れるようになる。多くの利用者で負担が軽くなるとみられる。また幼稚園でも上限額は基本的に今と同程度とする。ただ、独自の幼児教育サービスなどの費用を別に徴収することもできる。一方、事業者に払われる「公定価格」では、質の向上をねらったさまざまな項目を導入。私立施設で働く職員の賃金を平均3%上げるために単価を引き上げるほか、3歳児向けに職員を手厚く配置すると加算される仕組みなどを設ける。その結果、消費税率が10%になり、必要な財源の確保が見込まれる2017年度には、標準的な規模の認可保育所や認定こども園などの各施設が質の向上を進めた場合、収入が今より1割前後増える見通しだ。ただ、待機児童の解消策では、中途半端になった点もある。政府は、認定こども園向けのサービス単価を高めに設定し、定員割れが目立つ幼稚園からの移行を促すことを検討した。だが結局、幼稚園や認定こども園、保育所などであまり単価に差をつけなかった。自民党関係者によると、保育所などの業界団体が「公平な価格設定」を政府や与党に働きかけた結果という。内閣府は「移行を望む施設に、整備の支援などを行っていく」と説明するが、認定こども園がどれほど増えるかは不透明だ。政府は、公定価格や利用者負担の案を26日の「子ども・子育て会議」で示す。正式には年末の15年度予算編成で決める。
■保育新制度の利用者負担の上限(月額)
◇所得区分(モデル世帯での年収)
<1>3歳以上  <2>0~2歳
    *
◇生活保護受給
<1>0円  <2>0円
◇市町村民税非課税(年収およそ260万円未満)
<1>6000円  <2>9000円
◇市町村民税課税・所得税非課税(同260万~330万円)
<1>1万6500円  <2>1万9500円
◇市町村民税の所得割課税額9万7千円未満(同330万~470万円)
<1>2万7000円  <2>3万0000円
◇同9万7千円以上~16万9千円未満(同470万~640万円)
<1>4万1500円  <2>4万4500円
◇同16万9千円以上~30万1千円未満(同640万~930万円)
<1>5万8000円  <2>6万1000円
◇同30万1千円以上~39万7千円未満(同930万~1130万円)
<1>7万7000円  <2>8万0000円
◇同39万7千円以上(同1130万円以上)
<1>10万1000円  <2>10万4000円
※負担額は「標準時間」(1日最長11時間)利用の場合。「短時間」(同8時間)利用ではこれより1.7%程度低くなる。モデル世帯は「夫婦・子2人で、夫はフルタイム、妻はパートタイム労働」の想定

*3:http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=319740&nwIW=1&nwVt=knd
(高知新聞 2014年5月8日)  【介護離職】仕事と両立できる社会に
 家族の介護のために仕事を辞める「介護離職」が深刻だ。総務省によると、2012年までの5年間で家族の介護や看護を理由に約43万9300人が離職している。こうした状況を受け、政府は仕事と介護の両立に有効な支援制度を実際に企業に導入してもらって課題を探る実証実験を始めた。14年度中に効果的な事例をまとめ、企業に普及啓発していく。今後5年間で団塊世代がすべて70代になり、家族を介護する働き盛りの40~50代の急増が懸念されている。家族の介護は予測がつかず、仕事とどう両立するかは待ったなしの課題だ。実効性のある取り組みにつなげたい。問題の背景には少子化がある。介護を必要とする世代が増える一方で、子どもの世代はきょうだいの数が少なく、未婚率も高い。独身男性が高齢の親の面倒を見るケースも少なくない。精神的に追い込まれた末の「介護殺人」という悲劇も起きている。さらに介護問題に対して理解が進まない企業の風土もある。育児・介護休業法は通算93日までの介護休業の取得を企業に義務付けている。大企業を中心に1年以上の休業期間を設けるなど、介護を担う社員を支援する動きも広がってきた。だが介護が長期化すると復職か退職かの選択を迫られる。特に男性は悩みを打ち明けられずに、離職を選ぶことが多いという。働き盛りの社員を失うことは企業にとっても大きな損失だ。相談体制を充実させるとともに、勤務時間の短縮や在宅勤務制度の導入など柔軟な働き方を進めてほしい。仕事を辞めても現実は厳しい。家計経済研究所の調査では、在宅介護に掛かる自己負担額の平均は月約6万9千円にも上る。介護保険でカバーされる部分があるにしても、収入が途絶えた中で介護が家計を圧迫しているのは間違いない。再就職の道は険しく、自らの老後にも不安が残る。介護離職は大きなリスクを抱えることにもなる。仕事と子育ての両立と同様に介護との両立も避けられない時代となった。政府は施設入所から在宅介護への移行を促しているが、その前に働きながら介護できる仕組みを整える必要がある。国と企業が力を合わせ、両立できる社会を実現させたい。

*4:http://qbiz.jp/article/37720/1/
(西日本新聞 2014年5月15日) ボランティア介護、限界 「要支援1、2」が市町村に移管へ 
 衆院厚生労働委員会は14日、介護保険と医療提供体制の見直しを盛り込んだ地域医療・介護総合確保推進法案を自民、公明両党の賛成多数で可決した。介護サービスの低下や利用者の負担増につながるなどとして野党が反対する中、与党が採決を強行。15日に衆院を通過させ、参院に送付する方針で、今国会で成立する公算が大きい。14日の理事会で与党が同日中の採決を提案。野党側は審議時間が不十分だと反発し、審議継続を求めた。そのため、与党は質疑が終了後、動議で審議を打ち切った。14日午後の委員会には安倍晋三首相も出席。首相は「負担増ばかり強調されているが、所得の高い方に負担を求める一方で、低い方には保険料を軽減する。持続可能な介護保険にする」と理解を求めた。法案は、介護の必要度が低い要支援1、2の一部サービスを市町村事業に移すほか、一定以上の所得がある利用者の自己負担割合を2015年8月に1割から2割に引き上げる。特別養護老人ホームへの入所は原則、要介護3以上に限定する。地域医療・介護総合確保推進法案は、地域の介護ボランティアなどにも波紋を広げている。法案には、比較的症状が軽い要支援1、2の人向けのサービスのうち、訪問介護と通所介護(デイサービス)を2015年度から3年間で市町村事業に移管することが盛り込まれている。国はボランティアやNPO法人を担い手にして経費削減をもくろむが、ボランティアへの過度の負担や、自治体によるサービスの地域格差も懸念されている。「上を向いて歩こう」のメロディーに合わせて、椅子に座った24人の高齢者がゆったりと腕を上げ下げしていた。介護予防の先進地とされる福岡県行橋市。西宮市(にしみやいち)3区の集会所で開かれる「いきいきサロン」だ。週に1度約2時間、ダーツや卓球を楽しむ日もあれば、講演会やバスハイクの日も。年会費1200円で38人が登録するが、介護認定を受けている人はいない。介護制度が変われば、こうしたサロンに通う地域住民も、要支援の人を支えるボランティアとして期待される。高齢者世帯が多いこの地区では2年前、孤独死が相次いだ。サロンは「近所付き合いを楽しみつつ健康維持を」と、住民が中心になって始めた。ただ、参加者は普段から活発に出歩く人ばかり。「一番来てほしい人が来ない。迎えに行こうか」。共同代表の野本玲子さん(69)はそう提案したことがあるが、「けがをしたら誰が責任取るの」と反対が相次ぎ、断念した。
■先進地も戸惑う
 九州で同様に介護予防の先進地とされる長崎県佐々町は、6年前に介護予防ボランティアの養成を始めた。多くは自らも高齢者。今は約50人で買い物や家の掃除、ごみ出しなどを手伝う生活支援サービスなど、多彩な展開をしている。両市町は「介護保険に頼りすぎない町づくり」を掲げ、介護予備軍の健康増進を図ってきた。先進事例としてしばしば紹介してきた厚生労働省は、新制度では両市町のような取り組みが地域介護の新たな受け皿になる、と期待する。ただ、要支援の人の中には、ボランティアには対応が難しい初期の認知症患者もいる。親などを最長9時間のデイサービスに預けて仕事をしている人も少なくない。サロン運営を支援する行橋市社会福祉協議会の担当者は「ボランティアでできることには限界がある。本来は国がみるべき分野なのに、お金がないからボランティアにやってもらおう、という発想はおかしい」と疑問を口にする。
■老老介護に不安
 要支援1の身で、要介護2の妻(82)の面倒をみる福岡市東区の長家昌一さん(84)にとって、介護制度の変更は深刻な問題だ。通所介護を嫌がった妻を「俺も一緒に行くから」と説得し、2年前から週1回デイサービスセンターに通う。妻は病弱だ。足もともおぼつかず、四六時中、目が離せない。「関東から引っ越してきたので地域に頼れる人も少ない。センターは家内の世話をお願いし、自分のことができる唯一の場所なのに…。来られなくなったら、とても困る」。福岡市の要支援1、2は約1万9800人。市は「今、サービスを受けている人になるべく影響が出ないようにしたいが、利用制限や費用負担をお願いする可能性もある。そこを補えるよう、ボランティア育成に力を入れたい」とする。
◆自治体間格差に懸念
 2013年4月現在、要支援1、2の人は154万人で、介護保険認定者の27%。国はその人たちへのサービスを市町村事業に移管することで、毎年5〜6%ずつ増え続ける介護費用を、後期高齢者(75歳以上)数の伸びと同じ3〜4%に抑えることを目標にしている。要支援向けのサービスは掃除や洗濯、買い物など軽度なケアがほとんどだ。その一部をボランティアやNPO法人に任せて、介護費用を安く上げようという考えだ。ただ、長崎県佐々町のように介護予防ボランティアの活動が根付いている市町村は少ない。「要支援1、2の人は市内で千人以上。支援体制をわずか3年で整えるのは難しい」(福岡県嘉麻市)など、自治体からも悲鳴が漏れる。国は団塊の世代全員が後期高齢者となる25年に向け、中学校区単位で医療や介護を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築を目指す。ただ、福岡県の場合、拠点となる地域包括支援センターは149カ所だけで、公立中学校の339校に遠く及ばない。立教大の芝田英昭教授(社会保障論)によると、要支援1、2向けの訪問介護と通所介護サービスにかかる費用は年約3千億円で、介護費用全体の数%にすぎない。芝田教授は「ボランティア任せになると高齢者の症状が悪化し、逆に介護費用が増える恐れもある。自治体の財政力によってサービスに差が生じ、高齢者にしわ寄せがいきかねない」と、制度の変更には懐疑的だ。

*5:http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h9/wp-pl97-01504.html
(経済企画庁 平成9年11月) 国民生活白書 働く女性 新しい社会システムを求めて
第I部 女性が働く社会
第5章 働く女性と社会システム
第4節 税  制
 女性の就労に関しては税制面からの影響も少なからずあるものと考えられる。税制の準拠すべき一般的基準について1988年の我が国の税制改革では,税負担の公平性,経済に対する中立性,税制の簡素化が基本理念とされているが,女性の就労という観点からは,このうち中立性からの視点が重要と思われる。すなわち特段の政策的目的がない限りは,働くという個人の生活上の選択に対して,税制がそれを有利にしたり,不利にしたりして特段の影響を与えることがない方がよいと考えられるようになってきている。こうした観点からは所得税の課税単位の問題を考える必要がある。すなわち課税単位を個人に設定するか,あるいは世帯に設定するかの問題である。前者は稼得者を単位として課税するものであり,後者は実際の消費生活の単位である世帯を課税単位としている。本節では,所得税の課税単位の問題を中心に我が国と諸外国の税制を概観し,翻って我が国の税制を検討する。
1. 我が国の税制
 我が国では,1887年の所得税創設以来,家族制度を反映して戸主及び同居家族の所得を合算し,その総額に所定の税率を適用ずる合算非分割方式の世帯単位課税であった。しかし,戦後は1950年にシャウプ勧告を契機に合算方式は廃止され,各人の所得税はその所得の大きさに従って課税されるようになり,個人単位の課税方式が採られるようになった。これに配偶者控除や扶養控除などの人的控除を導入し世帯的要素を加味したものとなっている。
2. 欧米諸国の税制
 近年,先進国においては女性の社会進出を始め女性のライフスタイルは多様化が著しい。このことは,就労,未婚,結婚等の選択が多様化しているだけでなく,自らのライフサイクルの中でも多様な選択を行っていることになる。以下ではこのような社会的背景を踏まえ,主に所得税を中心に欧米諸国の税制がどのように変化してきたのか,課税単位や人的控除を含めた各国の税制を概観することとする。
(各国の課税単位)
 欧米諸国の課税単位をみると,個人単位課税を採る国は,イギリス,イタリア,スウェーデン,ベルギー,オランダ,デンマーク,オーストリア,フィンランド,ギリシア,カナダの10カ国と最も多く,個人単位と世帯単位の選択制を採る国は,アメリカ,ドイツ,アイルランド,ノルウェー,スペインの5カ国,世帯単位課税を採る国は,フランス,ポルトガル,ルクセンブルクの3カ国となっている。
(主要国の税制)
 課税単位を巡る問題は,所得税が納税者の負担能力に配慮して累進税率となっていることに起因しており,各国の課税単位については以下のような変遷がみられた。
1)アメリカでは,48年まで個人単位課税を採用していたが,州によっては夫婦の所得分割が認め
  られたこどにより,累進税率の高まりとともに州間での不公平が問題となり,現在では世帯単
  位課税の1類型である2分2乗方式(夫婦の合算所得の2分の1に税率をかけ2倍したもの)も
  選択できることになっている。この方式では単身世帯が不利になるため,複数の税率表(独身
  者,夫婦合算申告,夫婦個別申告,特定世帯主)を使っている。人的控除は本人,配偶者,子ども
  等の扶養家族を対象に1人あたり2,550ドル(96年)の所得控除がある。
2)ドイツでは,世帯単位課税のうちの合算非分割方式を採用していたが,この制度では単身者より
  も夫婦に重い負担がかかるため,57年の違憲判決を契機に個人単位課税と2分2乗方式の選
  択制となった。人的控除としては扶養子女控除がある。
3)フランスでは,45年以来夫婦合算の所得を子どもも加えた世帯人数に分割し,課税するn分n乗
  方式が採用されている。この制度では子どもの数が多いほど,また高所得者ほど有利になる。
  戦後の人口政策との見方もある。この制度の導入自体が扶養負担に応じた控除制度の意味
  をもつものであり,配偶者,扶養子女を対象とした人的控除はない。
4)イギリスでは,1799年の所得税創設以来,夫婦を課税単位とする合算非分割の課税方式を採用
  してきたが,女性の社会進出を背景に,1972年に妻の所得を夫の所得から切り離して課税する
  ことが選択可能になった。その後,90年以降は完全な個人単位課税となった。人的控除としては,
  夫婦控除(96年)が65歳未満が1,790ポンド,65歳以上75歳未満が3,115ポンド,75歳以上が
  3,155ポンドとなっている。また,アメリカと同様,妻が働いているかどうかがこの控除の適用に
  関係することはない。
5)スウェーデンでは,71年に夫婦合算非分割の世帯単位課税から個人単位課税にかわった。また,
  非勤労者配偶者控除(税額控除)が設けられていたが,控除対象者の減少により現在では廃止
  されている。所得区分に応じた人的所得控除が認められており,扶養子女については児童手当
  の支給がある。
 以上みたように,欧米諸国では個人単位の課税方式を採る国が多く,例えばイギリス,スウェーデンでは女性の社会進出等から課税単位を世帯から個人に変更している。またドイツでも課税単位を世帯から個人及び世帯の選択制に変更している。しかし,アメリカでは州間での公平を図るため逆に個人単位の課税方式から2分2乗方式と個人単位方式の選択制に変わり,フランスでは世帯単位の中でも珍しいn分n乗方式を戦後一貫して採用しており,各々の歴史的,社会的事情を反映している。また,配偶者控除については,アメリカ,イギリスで就労の有無にかかわらず一定額の所得控除がある。
3. 課税単位からみた我が国税制の評価
 個人単位課税は,個人間の中立性は確保できるが,夫婦間の所得の組み合わせによって課税額が異なるため,節税目的のための所得分割の可能性が指摘されている。一方,世帯単位課税は,実際の生活単位である家庭をひとしく課税するもので,世帯間の公平性は確保できるが,合算非分割方式では,働いていた男女が結婚すると課税額が増える等の問題がある。結局,両制度とも一長一短あることになるが,女性の就労という点に関していえば,世帯単位課税では,女性の稼得した所得は夫の所得に合算され,累進税率の下では高い税率が適用されるため就労抑制的になる。我が国が個人単位課税を戦後一貫して採用してきたことは,女性の就労やライフスタイルの多様化という今日的な課題に照らして賢明な選択であったと考えられる。しかし,配偶者控除や配偶者特別控除の存在は,女性の社会進出が増大する中で中立性を損なうのではないかとの指摘がなされている。この問題については人的控除の基本的なあり方に関する問題として,今後検討していくことが適当と思われる。


PS(2014年5月25日追加):上のように、財務省、厚労省、文科省、経産省、農水省など、複数の省庁が協力して問題解決に当たるべき問題について、縦割意識の強い省庁では合理的な解決策が作れない。そのため、*6のように、縦割ではない政治主導や内閣府・地方自治体の関与は重要だ。

*6:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/67023
(佐賀新聞 2014年5月24日) 内閣人事局に女性登用部署、課長級交流拡大へ指針
 安倍政権は、府省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局に女性の幹部登用を推進する専門部署を設置する方針を固めた。また男女問わず課長級の人事交流を拡大するため規模や基準を示す指針を策定する。政府関係者が24日、明らかにした。内閣人事局は30日に発足する。政権は「政治主導の徹底を図る」(幹部)方針で、成長戦略に盛り込んだ「女性の活躍」の実現を図る。女性登用の専門部署では、女性幹部の割合を増やすため、官民人事交流の一環として弁護士や公認会計士など一定の資格を持つ民間人の採用を進める。審議官や課長級のポストに積極的に女性を配置する人事を検討するほか、女性公務員の育成や働きやすい環境に向け制度を設計する。課長級の府省庁横断人事は、政策立案の中枢を担う中堅幹部の「縦割り意識」を排し、多様な人材を育成する狙い。現在も実施されているが、政権は指針策定によって交流枠を広げ「霞が関が一枚岩になって諸課題の改革に取り組む」(菅義偉官房長官)との姿勢を示したい考えだ。安倍晋三首相は、内閣人事局の初代局長に加藤勝信官房副長官を充てる方針を固め、7月にも予定される幹部人事に向けて作業を進める。政治主導には官僚側から「情報が偏るのではないか」との懸念も出ている。

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