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2014.7.13 社会保障積立金の運用利回り低迷と日本企業の利益率・配当率低迷の理由など (2014.7.14、16に追加あり)
    
2014.4.2佐賀新聞  2014.6.3佐賀新聞         *6より 

(1)給付削減しか思いつかない政府の“改革”方針はおかしい
 *1-1に書かれているように、厚労省は年金給付水準を物価に関わらず毎年抑制する方針で、その理由は少子高齢化だそうだ。しかし、年金資金が不足した理由は①保険料の集金が杜撰だった ②運用や管理が杜撰だった ③サラリーマンの専業主婦のみ優遇するなど仕組みも悪かった など、厚労省の責任であることは、誰もが覚えている。また、少子化も、働く女性のインフラとなる保育所や学童保育を整備せず、未だに待ち行列が存在する貧弱な状況であり、これもまさに厚労省の責任なのである。

 この厚労省の体質は、社会保険庁が看板を掛け替えて日本年金機構になったからといって変わったわけではなく、誰も責任を取らずに(膨大な年金資産喪失の責任などとれるわけがない)、保険料を支払ってきた年金受給者に責任を押し付けているものであり、このような変更を“改革”とは呼ばない。それにもかかわらず、*1-2のように、「改革先送りこそリスク」として、非科学的な人口推計に基づき、退職給付会計も導入せずに、厚労省に協調する意見を開陳する人が多いのが、我が国の現状なのである。なお、「年金は現役所得の50%を確保すればよい」というのが定説になっているが、ここで想定している現役所得の金額と現役所得の50%でよいという合理的根拠も、私は見たことがない。

 しかし、*1-3のように、高齢者に入る年齢を70歳(もしくは75歳)と変更し、雇用と年金の両方を同時に変えるのなら、平均寿命が伸び、体力ある高齢者も多いので、筋が通る。消費者に高齢者が増えれば、車や家電の設計・説明書の記載にも高齢者の視点が必要なので、単なる労働力不足の緩和を超えた効果があると私は思う。また、働いている方が体力が衰えないため、医療・介護制度にもプラスだ。

(2)政府の医療・介護保険制度“改革”もおかしい
 *2-1では、保険料収入が伸び悩んでいるとして、財源確保の必要性が述べられている。しかし、保険料率引き上げ以前に、①集金もれの回収 ②元手を失わない運用・管理 ③不公正な給付制度の改正 などの改革を行うべきだ。そういう見直しもなく安定財源を確保しても、規模を大きくした無駄遣いが増えるだけである。

 *2-2には、負担増・給付減という介護保険利用者に厳しい医療・介護改革法が成立したと書かれており、患者や要介護者の急増で制度がもたなくなる恐れがあるためだそうだ。しかし、介護保険制度は、1995年頃の私の提案で始まり、1997年に介護保険法が成立して、2000年から施行されたため、まだサービスを充実させるべき時期であり、サービス減や保険料支払者の負担増を議論するような時期ではない。そして、その財源は、現在の「40歳以上の医療保険制度に加入している人」を「医療保険制度に加入している人全員」に広げるべきなのである。

 また、「少子高齢化で需要が減る」という論調もよく見かけるが、人口構成が変われば必要なものが変わるのであり、需要が減るわけではない。そのうちの介護サービスは増える需要であるため、これに対応すべきで、それは今後、世界で増える需要なのだ。にもかかわらず、削減ばかりの政策になるのは、政策を作っている人が介護制度の必要性を感じない人だからだろう。

(3)政府による株価操作
 *3-1のように、約130兆円の国民の年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人が“改革”して、日本株への運用比率を引き上げるそうだ。年金の運用は元手の喪失をなくすため、90%以上は国債などの安全資産で行うのが世界の常識であるにもかかわらず、*3-2のような官製相場のにおいがする日本株への運用割合の増加を提示するのは呆れるほかない。日本の病根はここまで進んでいるわけだ。

 ただ、JRやゆうちょ銀行など、これまでの国有企業が上場するにあたり、年金基金が市場価格で株式を購入するのは、それほどリスクが高くはないかもしれない。

(4)日本企業の実質利益率や株式配当率が低い理由
 *4-1に書かれているとおり、STAP細胞を発見した小保方氏の論文へは、いちゃもんが多く、ついに理研のiPS細胞研究者が、「小保方氏が検証実験に参加するなら、まだ始まっていない患者さんの治療の中止も含めて検討する」とツイッターに投稿し、(長くは書かないが)やはりiPS細胞を伸ばすためのSTAP細胞の否定だということがわかった。何故なら、STAP細胞で再生医療ができるようになれば、こちらの方が副作用がなく優れているため選択され、iPS細胞の研究は不要になるからである。しかし、iPS細胞研究グループの都合でSTAP細胞の発見や開発を妨害する行為は、結局は日本企業の競争力を奪うものであり、このようなことがあってはならない。

 また、*4-2のユーグレナは、家畜や養殖魚の餌として画期的なコスト低減をもたらすと思うが、「次世代航空機燃料」は空に公害をまき散らさない水素にすべきであり、石油類似の液体燃料に固執すべきではない。しかし、燃料は石油に近い液体でなければならないと考える人も多く、これが技術革新をやりにくくしている。

 さらに、事故時に大きな公害をもたらす原発に代替する発電方法は、このブログで何度も提示したが、それにはいちゃもんをつけ、*4-3のように、原発再稼働に固執する論調も多い。このように、過去の固定観念で古い技術にしがみつき、新しい技術の導入を阻むのも、結局は、日本や日本企業の競争力を奪っているのである。

 以上は、本来、技術革新やイノベーションは積極的に行わなければならないのに、それを阻んだり邪魔したりして大切にしない体質が、日本企業の本当の利益率や株価を低迷させている原因であることを示したものである。

<政府の改革方針>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140617&ng=DGKDASFS13054_W4A610C1MM8000 (日経新聞 2014.6.17) 年金、来年度から給付抑制、厚労省、物価下落でも減額 制度持続へ法改正検討
 厚生労働省は公的年金の給付水準を物価動向にかかわらず毎年度抑制する仕組みを2015年度に導入する方針だ。いまの制度では物価の上昇率が低い場合は給付を十分抑制できないが、少子高齢化の進展に合わせて必ず給付を抑える。すでに年金を受給している高齢者にも負担を分かち合ってもらい、年金制度の持続性を高める。少子高齢化にあわせて毎年の年金給付額を抑えるマクロ経済スライド(総合2面きょうのことば)と呼ぶ制度を見直す。15年の通常国会への関連法案提出を目指す。現在のルールではデフレ下では年金を削減できず、物価の伸びが低い場合も、前年度の支給水準を割り込む水準まで減らすことはできない。年金は物価水準に連動して毎年度の給付水準が調整されるが、物価下落以外の理由で名目ベースの年金額が前年度より目減りすることを避けているためだ。今後は物価や賃金の動向に関係なく、名目で減額になる場合でも毎年度0.9%分を削減する方針だ。この削減率は平均余命の伸びや現役世代の加入者の減少率からはじくので、将来さらに拡大する可能性もある。改革後は、例えば物価の伸びが0.5%にとどまった場合、翌年度の年金は物価上昇率から削減率0.9%を差し引き、前年度より0.4%少ない額を支給する。物価がマイナス0.2%のデフレ状況なら、翌年度の年金は1.1%減る。マクロ経済スライドは04年の年金制度改革で導入した。15年度は消費増税の影響で物価が大幅に上昇しているので、現行制度のままでも年金は抑制される。ただ、将来デフレや物価上昇率が低くなった局面では給付を抑えられないので、今のうちに改革を急ぐ方針だ。厚労省が3日に公表した公的年金の財政検証では、年金制度の危うい現状が明らかになった。女性の就労が進まないケースでは、約30年後の会社員世帯の年金水準は現役世代の手取り収入の50%を割り込み、現行制度が「100年安心」としていた前提が崩れる。これから年金を毎年度削減するようになれば、現役世代が老後にもらう年金の水準は改革をしない場合よりは改善される。厚労省の試算では経済が低迷した場合でも、現役収入と比べた給付水準を最大5ポイント引き上げる効果があるという。現役世代は04年の改革に沿って保険料率を毎年着実に引き上げられている。会社員が加入する厚生年金は17年に保険料率が18.3%(これを労使折半で負担)になるまで0.354%ずつ引き上げが続く。改革は現役世代だけでなく、年金の受給者にも着実に負担を求めるのが狙いだが、高齢者の反発で法改正に向けた調整は難航する可能性もある。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140617&ng=DGKDZO72807670W4A610C1KE8000 (日経新聞 2014.6.17)
改革先送りこそリスク  駒村康平 慶応義塾大学教授
 今月3日、社会保障審議会年金部会から公的年金の財政検証が公表された。5年に1度の財政検証では100年後の経済や人口に一定の想定を置きながら、保険料を2017年度に固定しつつ年金財政の将来見通しを示す。年金財政の持続可能性の要件を満たさない場合、年金制度改革を実行することになっている。その要件とは、モデル世帯の厚生年金(基礎と報酬比例の合計)の所得代替率(現役世代の平均的な手取り額に対する年金の割合)が65歳の受給開始時点で50%を確保できること、おおよそ100年後に1年分の給付に相当する積立金を保持すること、という2点である。
 14年は共済年金と厚生年金の被用者年金一元化のもとでの最初の検証であるほか、13年8月の社会保障制度改革国民会議の報告による指摘に応えるという特徴がある。国民会議は所得に応じた保険料負担が望ましいことや、少子化と長寿化に連動して年金給付水準を引き下げるマクロ経済スライドがもたらす基礎年金の過度の給付水準の低下という課題を挙げた。
 今回の財政検証では、足元の経済成長、将来の経済成長、特に全要素生産性(TFP)の伸びや既婚女性や高齢者の労働力率の上昇などの仮定を組み合わせて8通りの見通しが示された。TFPの伸び率が1983~93年の状態まで経済が回復し、同時に高い労働力率を確保できると想定した5つのケースは50%の代替率を確保したが、そうした想定をしない3つのケースは50%を下回り、改革の必要があるという結果になった。全8ケースの単純平均は47%となった。
 50%を確保したうち最低のケースEと50%を下回るなかでは最高のケースFを比較してみよう。Eでは報酬比例年金の低下幅は5%だが、基礎年金の水準は29%低下する。Fではそれぞれ11%の低下、39%の低下となる。基礎と報酬比例の合計で50%の代替率を維持できるA~Eでさえ、基礎年金の給付水準が30%程度低下する。09年推計と違って基本ケースがないなかで、8つのケースをどう評価するかは論者によって異なるだろう。経済さえ回復できれば年金制度の維持は可能であり、当面改革は必要ないという評価もある。しかし財政検証は、高いTFPの伸びや労働力率の見通しという楽観的な見通しで評価すべきではない。
 今回の検証は、年金制度は直ちに破綻するような状況ではないものの、安心して何もしなくてもよいような状態ではないことを示した。年金財政の安定には保険料の引き上げ、保険料納付期間の長期化、国庫負担の増加という収入面の強化と、マクロ経済スライドによる年金水準の引き下げ、満額年金に必要な納付期間の長期化、支給開始年齢の引き上げなどの支出抑制の対策がある。保険料や国庫負担の引き上げは難しく、事実上、支出抑制策に限られる。
 年金財政を安定させるオプション(選択肢)として厚生労働省は(1)デフレ期のマクロ経済スライド(2)非正規労働者などへの厚生年金の適用拡大(3)国民年金の45年加入制度(現行の20~59歳に加え、60~64歳も国民年金に加入する)の導入――の効果を推計し、いずれも財政安定効果があることが確認された。
 (1)のマクロ経済スライドは現在、インフレ期しか発動されず、デフレになると給付水準は相対的に高止まりし、その財政のツケは将来世代が担う。デフレ期にマクロ経済スライドが発動されると、たとえば1%のデフレ経済では、年金額は1%引き下げられ、さらにマクロ経済スライドによって追加で1%程度引き下げられることになる。厳しいが、世代間の公平性を改善するためには必要である。
 (2)は拡大規模が220万人と1200万人のケースがある。後者なら年金加入者に占める国民年金(1号)加入者の割合は23%から11%に低下する。1号の保険料は定額負担で逆進性の問題があり、未納率も高い。適用拡大は非正規労働者も所得に応じて保険料を支払うことになり、制度的に望ましく、国民会議の指摘に応えることにもなる。
 (3)の45年加入の評価は難しい点もある。現在、60~64歳の被用者の多くは厚生年金に加入しており、保険料負担の点であまり影響はない。表面的な変化は1号被保険者も60~64歳の間、加入するという点であるが、国民年金の任意加入制度の新設とみれば、それほどの効果はない。
 これが強制加入となり、基礎年金の計算対象期間になれば財政効果は複雑になる。基礎年金財政には国民年金と厚生年金から、基礎年金拠出金という、加入数に案分比例した財政負担が投入されている。60~64歳がその計算対象に加わることになる。
 ケースE(デフレ期のマクロスライドなし)を用いて現行制度での予測と比較すると、45年加入により、厚生年金の支出に占める基礎年金拠出金の割合は高まる。他方、厚生年金財政の収入は変化せず、報酬比例部分のマクロスライド期間が1年ほど長期化することになる。
 60~64歳の加入者の増加が見込まれる分だけ国民年金の財政は改善し、マクロスライドは短縮されて基礎年金の水準は回復する。他方、基礎年金の2分の1を賄う国庫負担額も、基礎年金期間が増えることで40年以降、13~15%ほど増えることになる。
 このように45年加入は国民会議が指摘したマクロスライドによる基礎年金の低下の防止策としては有効であるが、自営業者らの60~64歳の未納率が上昇するおそれがあるほか、追加的な国庫負担が必要になるという課題もある。
 基礎年金と報酬比例年金からなる現在の2階建て年金制度の原型は85年の改革で構築されたフレームである。マクロ経済スライドはその形を保ちながら財政規模や給付水準を小さくする効果をもたらした。しかし肝心な基礎年金の水準低下が大きすぎて年金としての機能を失いつつある。
 85年フレームを維持しながら、国民会議が指摘した「基礎年金の水準が低下し続ける」という懸念に応えるのならば、45年加入は有力な改革の選択肢になる。しかし、高所得の年金生活者に対する基礎年金国庫負担分の給付抑制など、ほかにも検討すべき選択肢はある。非正規労働者への適用拡大の徹底や、低所得の高齢者向けの年金生活者支援給付金も組み合わせたうえで年金制度を眺めると、85年フレームの形は次第に変化することになるであろう。
 このほかオプションとしては明示されていないが、基準になる支給開始年齢の引き上げも検討すべきであろう。Gのような厳しいケースでは65歳で代替率の50%割れが発生する。しかし、66歳まで支給開始年齢を引き上げれば、50%の確保は可能になる。開始年齢の引き上げは社会全体の支え手の増加を意味し、医療保険、介護保険の財政改善効果も期待できる。高齢者雇用の改革を伴うため、長い準備期間が必要であり、早めに議論を始めなければならない。
 年金制度は社会・経済の変化に応じて調整や手直しが必要になる生き物である。制度の連続性を維持しながら、他方で、社会経済の変化に対応した柔軟な制度見直しも必要である。国民の反発が厳しいからといって財政の健康診断を軽視し、改革を先送りすれば、改革の選択肢はどんどん減少する。必要な時に必要な改革を断行すべきである。政治の近視眼的行動こそが年金制度の最大のリスクである。
〈ポイント〉
○年金財政は直ちに破綻しないが安心できず
○慎重な想定に基づき支出抑制策の検討急げ
○国民年金の45年加入は将来の国庫負担増も
こまむら・こうへい 64年生まれ。慶大院博士課程単位取得退学。専門は社会保障

*1-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140622&ng=DGKDASDF1600C_W4A610C1NN1000 (日経新聞 2014.6.22) 
「高齢者は70歳から」になれば… 年金・雇用改革を後押し
 いつから65歳以上を高齢者と定義するようになったのだろうか。国連経済社会理事会が1956年にまとめた報告書に由来するとされるが、世界保健機関(WHO)は「国連に標準的な数値基準があるわけではない」という。あれ?だったらいっそのこと「高齢者は70歳以上」という日本独自の基準をつくってしまってはどうか。政府の「選択する未来」委員会もいまの15~64歳という生産年齢人口の定義を「70歳まで」に変えるよう提言した。日本は世界最速で高齢化が進んでいる。注目したいのは、65歳時点の平均余命だ。男性の場合、2012年の18.9年から60年にかけて22.3年、女性は23.8年から27.7年まで延びる。国連の報告書とほぼ同じ時期の55年時点の男性の平均余命は約12年。平均して余命10年あまりを高齢者として迎える期間と考えると、平均余命の延伸にあわせて高齢者入りする年齢を引きあげるのは一理ある。高齢者の体力は向上している。意識も変わった。内閣府が団塊世代に「何歳から高齢者か」と尋ねたところ、「70歳以上の年齢」とこたえた人が約8割を占めたという。高齢者の定義を70歳以上に変えれば、生産年齢人口の厚みは増す。たとえば、生産年齢人口を15~69歳とした場合、40年時点で900万人近くも潜在的な働き手が増える。もちろん60代後半がもっと働いても総人口の減少は止まらないが、工夫しだいで企業にとっては人手不足を和らげる貴重な戦力となる。ポイントは70歳まで働き続けられる環境をいかにつくるかだ。身体機能の低下にあわせて短時間勤務がしやすい働き方や、年功的な賃金体系の見直しも必要だろう。社会保障にも好影響が見込める。高齢者の就業率の高い地域ほど医療費は小さく、元気に働く60代が増えれば医療費の伸びも抑えやすくなる。60代後半が年金をもらう側から保険料をおさめる側にまわれば、年金財政の悪化を緩和できる。年金生活に入る時期を遅らせると個人にも利点はある。みずほ総合研究所の堀江奈保子氏が標準世帯を想定して試算したところ、いまの年金制度の下でも年金の支給開始時期を70歳に繰り下げた場合、65歳を選んだ場合よりも82歳時点で年金受取総額が上回る。その差は90歳まで生きると600万円超になる。「70歳まで現役」という目標を社会で共有できれば、年金や医療、雇用の抜本改革への突破口になる。岩田克彦・国立教育政策研究所フェローは「68歳から70歳程度までの年金支給開始年齢引き上げは不可避」と語る。「75歳まで働いて」とスウェーデンのラインフェルト首相が唱えたのが3年以上前。オーストラリアは最近、70歳まで年金支給開始年齢を引き上げる改革を打ち出すなど、海外の動きは急だ。「70歳まで働ける企業の実現」は、06年当時の小泉純一郎政権で官房長官だった安倍晋三首相が主導した再チャレンジ推進会議が提言した。首相がこの課題に再チャレンジする価値はある。

<政府の医療・介護保険改革>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140617&ng=DGKDZO72807950W4A610C1KE8000 (日経新聞 2014.6.17) 点検・社会保障(3) 高まる公的負担の役割
 社会保障には、年金や医療、介護のように被保険者が納める保険料を財源として給付が行われる社会保険の性格をもつものがある。他方、生活保護のように、公的負担(国及び地方公共団体)により給付されるものもある。前者については、保険料収入だけでなく、公的負担にも依存しているが、給付の増加に対応する形で、保険料率の引き上げが行われている。もっとも、保険料のベースとなる給与の低迷などを背景に保険料収入は伸び悩んでいる。こうしたなか、年金や医療、介護の財源として、公的負担が果たす役割は大きくなっている。2011年度の社会保障給付費全体でみると、公的負担は43.5兆円に達しており、財源の4割近くを占めている。09年度には、長期的な給付と負担の均衡を図り、年金制度を持続可能なものとすることを目的に、基礎年金部分の国庫負担割合は2分の1に引き上げられた。しかし、その安定的な財源を確保することができなかったことから、12年度と13年度には年金特例国債(各2.6兆円)を発行することとなった。このように公的負担の増加は政府支出の増加を通じて、財政赤字を拡大させる一因となっている。社会保障給付の財源を確保するために、今後も保険料率を引き上げ続けることも考えられる。しかし、今後、減少すると見込まれる現役世代に負担の多くを依存する形で制度を維持することには限界があろう。増加が続く社会保障給付の安定財源をいかにして確保するかが課題となっている。

*2-2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140618-00000054-asahi-pol
(朝日新聞 2014年6月18日) 介護保険利用者に厳しい大改正 医療・介護改革法成立
 高齢化がピークを迎える「2025年問題」を見据え、医療・介護制度を一体で改革する「地域医療・介護推進法」が18日、成立した。患者や要介護者の急増で制度がもたなくなる恐れがあり、サービスや負担を大きく見直す。とりわけ介護保険は、高齢者の自己負担引き上げなど制度ができて以来の大改正で、「負担増・給付縮小」の厳しい中身が並ぶ。人口減と高齢化が同時に進む日本。医療・介護制度は、高齢者の急増、支え手世代の減少、財政難の「三重苦」に直面する。厚生労働省によると、25年には医療給付費がいまの37兆円から54兆円に、介護給付費は10兆円から21兆円に膨らむ。病院にかかれない高齢患者があふれ、介護保険料は負担の限界を超えて高騰。そんな近未来の予測が現実味を帯びている。サービスを提供する人手の不足も深刻だ。こうしたなかで保険財政立て直しを目指す介護保険分野は、利用者の痛みにつながるメニューが目立つ。負担面では、一定の所得(年金収入なら年280万円以上)がある人の自己負担割合を1割から2割に上げる。低所得者の保険料を軽減する一方、高所得者は上乗せする。高齢者にも支払い能力に応じて負担を求める方向が鮮明だ。

<政府の株価操作>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140616&ng=DGKDASGD1204T_S4A610C1PE8000 (日経新聞 2014.6.16) 動く巨象GPIF(1)株価こそ政権の命綱
 「成長のエンジンとするための具体策を打ち出していく」。5日、ベルギーのブリュッセルで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)。首相の安倍晋三(59)は議長役の英首相のキャメロン(47)から経済問題の最初の発言者に指名され、成長戦略を説明した。安倍が具体策の柱としてあげたのは、自身が旗を振る法人実効税率の引き下げと、約130兆円の国民の年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の改革だ。6月中にまとめる新しい成長戦略への自信をアピールした。
  □   □
 サミットへの出発を控えた3日、安倍は首相官邸で厚生労働相の田村憲久(49)に年内を予定していたGPIFの基本構成の見直しを9~10月に前倒しするよう指示した。同日、GPIF運用委員長に就任して以来、市場の注目を集めていた早大教授の米沢康博(63)がインタビューで、日本株の比率を引き上げる意向を示したと伝えられ、日経平均株価は1万5000円台を回復した。「GPIFの話ってこんなに関心があるんだね」。安倍は周囲にこう漏らしている。世界最大級の機関投資家であるGPIF。巨象が少し動いただけでも、周囲は大きく揺れ動く。4月、資産運用業界に衝撃が走った。GPIFが日本株の運用委託を見直し、大半の国内運用会社との契約を解除。日本株運用にもかかわらず、外資系運用会社が10社と委託先の7割を占めることが決まったためだ。「公的年金がこれほど思い切った選抜に踏み切るとは」。米ディメンショナル・ファンド・アドバイザーズの日本代表、ジョン・アルカイヤ(58)は採用されたことを喜びつつ、カタカナの社名が並ぶ委託先リストを見て目を丸くした。公的年金の運用改革は実は2度目だ。最初は1995年。当時は年金福祉事業団だったGPIFが、信託銀行と生命保険会社に「お任せ」の運用を見直し、日本株や海外株に特化した投資顧問会社を初めて採用した。当時を知るアルカイヤは、GPIFの「名付け親」でもある。2001年、米モルガン・スタンレー資産運用子会社の日本法人社長だったアルカイヤに政府関係者が英語名を相談。「分かりやすい名称がいい。ガバメント・ペンション・インベストメント・ファンドでどうか」と即答した。「(国内勢中心の)ホームカントリーバイアスを断ち切り、世界で最も強い会社を選ぶようになった」。アルカイヤの目には今回の改革は真剣だと映る。GPIFは初めから外資系優位を想定していたわけではない。13年4月に運用委託を公募すると、国内外の約60社が名乗りをあげ、約1年にわたる選考過程が始まった。運用部長の陣場隆(54)は当初「日本株運用だから国内勢が多くなる」と予想していた。GPIFには譲れない一線がある。「唯一の使命は運用で国民の年金を増やすこと」。選考が進むにつれて、運用成績がぱっとしない国内勢は姿を消す。海外勢は「独自の運用スタイルを守り、日本株投資で優秀な成績をあげている」。シカゴ、テキサス、シンガポール……。世界の運用会社を訪問し、面談を繰り返した陣場は痛感した。
  □   □
 「有識者会議で改善を求められている状況ではあるが、我々がさぼってきたわけではないことを理解いただきたい」。GPIFの運用戦略を練る調査室長の清水時彦(51)は14年4月、金融関連のセミナーで聴衆にこう訴えた。政策研究大学院大教授の伊藤隆敏(63)が座長を務める公的年金改革の有識者会議は13年11月に報告書を公表。国債中心の運用の見直しを筆頭に改革案を提示した。株式運用では東証株価指数(TOPIX)のみだった運用指標(ベンチマーク)を多様化し、新しい指数の採用を求めた。「運用効率を上げるにはTOPIX偏重を脱するしかない」。有識者会議の提言を待つまでもなく、GPIF内部では清水を中心に議論を重ねていた。13年7月に外部に調査を依頼。14年4月、資本効率に着目した「JPX日経インデックス400」を含む新指数に沿った運用を開始した。内なる改革を上回る規模とスピードで、政治からの圧力が押し寄せる。株価を命綱とする安倍政権にとって、株式比率の引き上げを柱とするGPIF改革は成長戦略の目玉だ。しかし年金運用という本来の目的を外れ、目先の株価対策に使われるなら、将来に禍根を残すことになりかねない。
    ◇
 運用改革が大詰めを迎えたGPIF。市場がその一挙手一投足を固唾をのんで見守る世界最大の公的年金の動きを追う。(敬称略)

*3-2:http://www.nikkei.com/money/column/teiryu.aspx?g=DGXNMSFK1303W_13062014000000 (日経新聞 2014.6.16) 
マネー底流潮流フォローする 「官製相場」のにおい、気迷う株式市場
 前週末の日経平均株価は1万5000円台でほぼ高値引け。米国株は週半ばから軟調、円相場も底堅く、外部環境が良好とはいえない中での堅調ぶりだった。成長戦略の発表を前に、市場では「株内閣」と呼ばれる安倍政権がどんな株高カードを切ってくるのか、それとも空砲で終わるのか、見極めるまでは売れないというムードが広がっていた。一方、日経平均を1万4000円から1万5000円に押し上げたのは公的マネーとの見方が強く、足元の堅調さを素直に評価していいものか、疑心暗鬼の市場参加者もいる。政府の成長戦略やイラク情勢・原油価格の動向をにらみながら、今は静かな海外勢が次にどんな動きを見せるかが、今後の相場の方向性を決めそうだ。
■信託銀行、異例の買い上がり
 「今日も信託銀行のバスケット買い。地球防衛軍の出動ですよ」。米国株安などを受けて安寄りした後、午後に急速に切り返した前週末。ある証券会社のベテランは相場の底堅さの理由について、そんな解説をしていた。日経平均は一時1万4000円割れした5月19日からほぼ一本調子で上昇し、6月3日に1万5000円を回復した。外部環境に大きな変化が見られないなかで、この間、一貫して買い手となって上げ相場を主導したのは信託銀行だった。東証発表の投資主体別売買動向によると、信託銀行は5月第1週に買い越しに転じ、第4週(買越額1781億円)から第5週(2499億円)、6月第1週(1112億円)と3週連続で大幅に買い越した。信託銀行の買越額が3週以上続いて1000億円を上回ったのは、2011年8月(第4週から4週連続)以来ほぼ3年ぶり。それだけでも目を引くが、何より異例なのがその買い方だった。通常、公的年金や企業年金などの運用資産を預かる信託銀行は、相場が下がると買って、上がると売るという逆張り型の売買が中心。過去に大きく買い越したのも、リーマン危機時の08~09年など、例外なく相場の下落局面だった。ところが今回、信託銀行は日経平均が1万5000円を回復する過程で買い上がってきた。
■買い手は共済3兄弟か、GPIFか
 信託銀行のその先にいる投資家は誰だったのか――。市場では国家公務員共済組合(KKR)、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済の「共済3兄弟」という見方がもっぱらだ。15年10月に予定される3共済と厚生年金との年金一元化を前に、3共済は資産構成の比率も、厚生年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と横並びの水準に変更する見通し。資産に占める日本株の比率(12年度末時点)はKKR(6.8%)、地方公務員共済(13%)、私学共済(10.5%)と、3共済ともGPIF(14.6%)を下回る。大和証券の熊沢伸悟ストラテジストは「確かなことはわからないが、3共済が株式の比率を上げるためにリバランスを実施した可能性がある」と指摘する。一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長が唱えるのは「GPIF説」だ。「本来なら基本ポートフォリオの見直しに伴うリバランスはまだ先の話だが、(資産規模が巨大で)急には比率を変えられないため、徐々に株式を買い増し始めているのではないか」という。そういえば、前週は債券市場でGPIFからとみられる大口の国債売りが出て、ひとしきり話題になっていた。このほか、「PKO(株価維持策)ほど露骨ではないが、安倍内閣の思いに配慮してゆうちょ銀行や企業年金連合会なども動いているのでは」(国内運用会社)との声も。真相はやぶの中だが、「安倍内閣は株価を政権維持の重要指標とみているし、演出も上手」(矢嶋康次ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト)といわれるだけに、市場には様々な臆測が飛び交いやすい。誰が買っているにせよ、市場参加者が気になるのは相場の持続性だ。何やら「官製」のにおいがする相場をどこまで信じていいのか、どこまで相場に乗っていいものやらと、市場には気迷いムードも漂っている。仮に共済3兄弟のリバランスがあったとしても、それは一時のこと。国民の資産を預かる公的年金が、相場を買い上がるような買い方を今後も続けるとは思えない。
■カギは海外勢の成長戦略評価
 需給面でここから上を買う可能性がある投資主体は限られそうだ。まず、昨年末の高値の信用期日が間もなく明けて、身動きが軽くなりそうな信用取引の個人。ただ、信用の個人に単独で相場全体を押し上げる力があるわけではない。日経平均が次の目標である1万6000円を目指すには、やはり海外投資家の力に頼るほかない。その海外勢は6月第1週に大きく買い越したが、熊沢氏によると「動いたのは先物を売買するCTA(商品投資顧問)など超短期の投資家。現物株は先物高に伴う裁定取引で買われた面が強い」。グローバル・マクロなどのヘッジファンドや、ロングオンリーと呼ばれる海外年金などに動きはほとんど見られないという。当面、中長期で投資する海外勢が日本株を見直すきっかけになりそうな国内の材料は、安倍内閣の成長戦略しか見当たらない。「成長戦略に対する海外投資家の評価が、相場の今後を占う最大の注目点」との見方が市場のコンセンサスになっている。一方、海外要因として急速に警戒感が強まってきたのがイラク情勢だ。今では石油輸出国機構(OPEC)で第2の産油国となったイラクの混乱は「世界経済に与える影響はウクライナよりはるかに大きい」(藤戸氏)。どれだけ事態が拡大するか、早期に収束するかはわからないが、ヘッジファンドはこれを収益機会にしようと虎視たんたんのはず。すでに米原油先物市場で売買が活発になるなど、イラク情勢の緊迫を機に、しばらく静かだった世界のマーケットが再び動き出す兆しもある。どうやら、公的マネーの動きやサッカーのワールドカップばかりに気を取られてはいられないようだ。ボラティリティー(変動率)の低さに安穏としていた市場が虚を突かれるとき、ショックは意外に大きくなりかねないことにも留意が必要だ。

<本物の利益率上昇と株価上昇を妨げているものは何か>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11222012.html?iref=comtop_pickup_03 (朝日新聞 2014年7月3日) STAP、5カ月で幕 論文撤回 小保方氏、検証に参加
 STAP細胞の論文が2日、英科学誌ネイチャーから撤回され、その発見は発表から約5カ月で根拠を完全に失った。しかし、理化学研究所は、STAP細胞の存在を確認する検証実験を続けており、7月からは、撤回された論文の筆頭著者である小保方晴子ユニットリーダーが参加する事態になっている。論文の撤回で、STAP細胞は仮説のひとつになったが、小保方氏はその存在を主張している。「ないというには本人が参加して、どうしても再現できませんでしたねというまでやることが最善」。理研発生・再生科学総合研究センター(CDB、神戸市)の相沢慎一・実験総括責任者は2日の会見で、「論文を撤回するのに検証実験をする意味があるのか」との問いにこう答えた。撤回に抵抗していた小保方氏が一転、共著者の求めに応じて撤回への同意書に署名したのは6月3日。小保方氏の代理人を務める弁護士は「応じなければ懲戒解雇され、検証実験に参加したくてもできなくなるかもしれないという重圧があった」と説明していた。ただ、STAP細胞には別の万能細胞のES細胞ではないかとの疑義も出ており、小保方氏の参加には批判もある。大阪大学の篠原彰教授(分子生物学)は「小保方氏が疑義に対して何ら説明をしない段階で参加させるべきではない。不正があっても後から確認できればよいという誤ったメッセージを発することになる」と語る。山本正幸・基礎生物学研究所所長(分子生物学)は「論文が撤回されても、研究過程で何が起きていたのかを明らかにする必要がある」と指摘する。
■第三者立ち会い/24時間監視
 CDBが始めたSTAP細胞の存在の有無を検証する実験に参加するため、小保方晴子ユニットリーダーが2日、出勤した。CDBは同日、実験の手順を公表。第三者が立ち会い、2台のカメラで24時間、実験室を監視する。実験室の出入りは電子カードで管理し、細胞の培養機器には鍵をかける。今週中には、実験室の改修を終える見通しだという。CDBによると、小保方氏の検証実験は、丹羽仁史・プロジェクトリーダーらの検証チームが4月から進めている実験とは分けて、別の建物で実施する。CDBが提供したマウスを使って細胞を酸につけ、STAP細胞とされる細胞を作製する段階まで、小保方氏が1人で実験する。作製した細胞をマウスの胚に注入して、万能細胞かどうかを確かめる実験は、技術をもつ別の研究者が担当する。酸につけた細胞に万能性を示す遺伝子の働きがみられない場合、期限に定めた11月末よりも早く、検証を終了する可能性もあるという。万能性が部分的に確認できた場合には、期限の延長を検討する。
■iPS臨床研究、「中止も」投稿 理研・高橋リーダー、即日否定
 iPS細胞を使った世界初の臨床研究について、CDBの高橋政代プロジェクトリーダーは2日、「まだ始まっていない患者さんの治療については中止も含めて検討いたします」と簡易投稿サイト「ツイッター」に投稿した。投稿による混乱を受け、高橋氏は同日夜、「中止の方向で考えているのではない」と否定するコメントを発表した。「慎重にならざるを得ないというのが真意」だったという。高橋氏らの臨床研究は、加齢黄斑変性の患者にiPS細胞で作った網膜の細胞を移植するもの。昨年7月に厚生労働省が承認し、早ければ今夏にも1例目の移植が始まる予定になっている。
◆キーワード
<ネイチャー> 1869年に創刊され、世界的に権威のある科学雑誌の一つ。毎週木曜日に発行される。学術論文のほかに、解説記事やニュース、科学者によるコラムなどもある。掲載される論文は同誌の編集者と各分野の専門家によって審査され、年に約1万本の投稿論文のうち1割以下しか掲載されない。そのため、掲載は研究者にとって高い業績と評価される。

*4-2:http://qbiz.jp/article/41605/1/
(西日本新聞 2014年7月9日) 航空バイオ燃料、20年実現を 日航、ユーグレナなど工程表
 日本航空や全日本空輸、米ボーイング、東京大学などが参加する組織「次世代航空機燃料イニシアティブ」は9日、二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に減らすバイオ燃料の2020年の実用化を目指すと発表した。各社が共同で工程表の策定を始めた。来年4月までの取りまとめを目指す。バイオ燃料の開発や普及は世界各地で進められている。日本では33の企業・団体による「次世代航空機燃料イニシアティブ」が5月に発足。工程表はこの組織が中心となって策定する。国交省もオブザーバーとして参加している。日本はバイオ燃料のトウモロコシなどの国内での調達が難しく、家庭ごみなどを原料にする。この組織には、バイオ燃料に使うミドリムシの培養を進め、佐賀市とも共同研究の契約を交わしているユーグレナ(東京)も参加している。

*4-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140625&ng=DGKDASFS2403G_U4A620C1EE8000 (日経新聞 2014.6.25) 
川内原発、再稼働は秋以降、九電、申請書を再提出 電力需給、西日本で厳しく
 九州電力は24日、川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県)の再稼働の前提になる審査の申請書を原子力規制委員会に再提出した。申請書の記載ミスで時間を費やしたことが響き、再稼働は秋以降にずれ込むのが確実。1965年以来ほぼ半世紀ぶりに電力需要が最も多い8月に国内で原発が1基も動かないことになり、原発依存度が高い西日本で特に需給は厳しくなる。規制委には現在、9電力会社が12原発19基の審査を申請済み。このうち川内原発は3月に規制委から優先審査の対象に選ばれており、再稼働の第1号になるのが確実だ。ただし審査に最終合格するには、規制委からの指摘事項を踏まえ、まず電力会社が3種類の申請書を提出する必要がある。九電が24日に提出したのは、このうち安全対策の大枠を記した「設計の基本方針」の申請書。九電は4月末に一度提出したが、規制委から42件の記載ミスを指摘され、再提出を求められていた。当初、九電は5月末に再提出できるという見通しを示していたが、規制委から追加確認を求められるなどで修正が申請書全体に広がり、分量が7200ページから8600ページへと膨らんだ。手続きの日程も当初予定から2カ月ほどずれ込んだ形だ。再提出を受けて規制委は今後、合格証明書にあたる「審査書案」づくりの詰めの作業に入る。審査書案ができあがるのは現状では7月上~中旬ごろの見通し。その後、1カ月かけて意見を募るので、審査書がまとまるのは8月下旬ごろにまでずれ込みそう。9月中の再稼働もギリギリの状況で、10月にずれ込む公算が大きくなっている。電力需要は例年8月にピークを迎える。川内原発の審査が長引いたことで今夏は原発が1基も動かない見通しだ。九州電力と、川内再稼働後の九電からの電力融通をあて込んでいた関電の管内で電力需給が厳しくなる。昨夏は動いていた関電大飯原発(福井県)は昨年9月から定期検査で運転を停止。さらに九電管内では大型火力が今夏、事故でフル稼働できなくなった。電力需要に対する供給余力をあらわす「予備率」は関電が1.8%、九電が1.3%。安定供給に最低限必要とされる3%を下回る。自前で十分な電力を確保できない関電と九電は東京電力から計58万キロワットの融通を受けることになった。震災後初となる大規模な融通により、関電と九電の予備率はぎりぎり3%に達する。それでも西日本全体の予備率も3.4%と昨年の5.9%を大きく下回る。電力各社は原発のかわりに火力をフル稼働させている。ただ運転40年超の老朽火力の比率は火力全体の26%に達し、事故による火力の停止件数は震災前から16%増えている。西日本は100万キロワット級の火力が停止すれば供給不足に陥る。安定供給に不安を抱えたまま夏を迎える。


PS(2014.7.14追加):*5のように、年金受給者の立場から記載された記事は少ないが、私が衆議院議員をしている間に地元(佐賀三区)を廻った時、「船賃が払えないので病院に行けない(離島)」「もらっている年金の金額は月に3万円くらいで、家のまわりに畑を作って食べている(一人暮らし)」「孫が来たとき以外はクーラーをつけない」などの声があった。そのため、多くの年金受給者にはこちらが実態だと思うが、「老人は金持ちだから」という理由で、このような政策が押し進められた。私は、このような政策を押し進める政治家や官僚は、見ている相手や住んでいる世界が、狭くて特殊なのだと考える。

*5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11241558.html (朝日新聞 2014年7月14日) (報われぬ国 負担増の先に)老い、振り向かぬ国 番外編・年金の将来を考える
 「報われぬ国」では、わたしたちの老後は安心なのかを取材しています。その老後を支える一つが年金です。厚生労働省は6月、将来の年金がどうなるかという見通しを発表しましたが、年金はさらに減り、くらしは厳しさを増します。今回は「番外編」として、高齢者のくらしの現場から年金の将来を考えました。
■持病の悪化で家賃払えず
 群馬県でひとり暮らしをする男性(71)は4月、アパートの家主から「家賃をこれ以上滞納したら出ていってもらう」と通告された。それまでに家賃2カ月分の約5万4千円を払っていなかったからだ。2月に持病の糖尿病が悪化し、入院費用がかかってしまった。アパートの契約更新の支払いも重なり、合わせて7万円を特別に出費しなければならず、家賃が払えなくなった。年金は月に約8万9千円もらっている。ここから、家賃を約2万7千円、光熱費を1万円余り、かつて滞納した分を含めた国民健康保険料と介護保険料を合わせて1万円払う。残った生活費は4万円ほど。糖尿病の治療のために病院に週4回通う費用も出さなければならず、生活はぎりぎりだ。食事はできるだけパンと牛乳ですませる。ご飯を炊くときはレトルトのカレーやハヤシライスをかける。まともな食事は月に1回、群馬県内に住む姉が来てつくってくれるときだけだ。「病気がなければやっていけるかもしれないが、そろそろ生活保護を考えてもいい」。数年前に男性の借金を整理してから相談に乗っている司法書士の仲道宗弘(むねひろ)さんはこう感じる。生活保護を受ければ、生活保護で定められた支給水準と年金の差額をもらえるので、年金と合わせて月に10万円前後を受け取れる。さらに通院などの医療費、国保や介護保険の保険料支払いも免除される。男性はトラック運転手として30年近く働き、厚生年金の保険料も払ってきた。その後に独立してからも余裕のあるときは国民年金の保険料を払った。その積み重ねでもらえる年金は、年に約107万円しかない。だが、これは特別に低いわけではない。厚労省が2010~11年に調べたところ、働いていない年金生活者の年収は100万円以下が49%を占める。150万円以下になると、63%にものぼる。このため、年金だけでは暮らせず、生活保護を受ける人は多い。厚労省の11年の調べでは、65歳以上の高齢者で生活保護を受けるのは約64万世帯あり、このうち年金をもらっている高齢者は約37万世帯にのぼる。今年3月には生活保護を受ける高齢者は約74万世帯にふくらみ、生活保護を受ける世帯の半分近くを占める。この3年で高齢者世帯は19%増え、高齢者以外は3%しか増えていない。
■リストラされ狂った人生
 60~70代には、働いていたころにリストラされ、人生設計が狂った人も多い。北関東に住む60代男性は00年代半ばにリストラで会社を辞め、マイホームを手放した。いまは妻と娘と借家で暮らす。マイホームは40代後半のころ、約3千万円の一戸建て住宅を25年ローンで買った。当時は会社も順調でリストラされるとは想像もしなかったが、会社を辞めた途端に行き詰まった。追い打ちをかけたのが、市役所からの請求だ。リストラで家の固定資産税と家族3人の国民健康保険料を滞納していたため、合わせて約50万円の滞納分の支払いを求められた。滞納分には年14・6%(今年から9・2%)の延滞金が加わり、このほかに通常の国保料が月に1万数千円かかる。滞納分と国保料を合わせて月に4万円払わなければならない。男性は「延滞金がかかるので、なかなか滞納分が減っていかない。妻と相談し、無理してでも返そうと思っている」と話す。いまは仕事を二つかけ持ちして月15万円ほど稼ぐ。加えて、厚生年金の一部である「報酬比例部分」が出ているので、それを月7万円ほど受け取る。合わせて月22万円ほどの収入から、6万円の家賃と滞納分や国保料などの4万円をなんとか払う。心配なのは将来だ。65歳から「基礎年金」も受け取れるが、会社を辞めた後に国民年金の保険料を払う余裕がなかったため、月6万円に満たない。逆に65歳になれば仕事の一つは定年になり、もう一つもいつまで働けるかわからない。合わせて月13万円ほどの年金に頼るだけの生活になったとき、家賃や国保料などを払いながら暮らせるのか。この先の人生設計は立っていない。
■制度維持のための「マクロ経済スライド」
 将来の年金はもっと厳しい。厚労省は6月、将来の年金がどうなるかの試算を発表した。安倍政権の成長戦略がうまくいく場合からうまくいかない場合まで8シナリオを示している。このシナリオでわかるのは、たとえ経済成長して現役世代の賃金が上がっても、年金額はそれに追いつけず、高齢者は置き去りにされるという事実だ。厚労省のモデルでは、14年度は現役サラリーマンの手取り月収を平均約34万8千円として、サラリーマンが入る厚生年金は月に平均約21万8千円(夫婦2人分)になっている。現役の月収に対する年金額(代替率)は62・7%の水準だ。試算では、成長戦略が最もうまくいく「ケースA」の場合、30年後の44年度に現役の月収が59万円、年金が月に30万1千円になる。なぜ金額が増えているかというと、物価が年2・0%上がり、現役の賃金が物価より年2・3%上回って伸びる計算だからだ。だが、現役の月収に対する代替率は50・9%に下がる。わかりやすくするため、代替率を使って年金額を14年度の賃金水準に置き換えると、約17万7千円だ。いまの約21万8千円から約2割も下がる。成長戦略がうまくいかない場合の「ケースH」では、55年度に代替率が30%台まで下がる。14年度の賃金水準に置き換えると、13万6千円まで落ち込む。なぜ成長していても年金だけが置き去りにされるのか。これは「マクロ経済スライド」という仕組みを使うからだ。年金を受け取り始める時点で、保険料を払った時より賃金水準が高くなっていても、支給額の引き上げを抑制する。この仕組みを使うのは、年金保険料を払う現役世代が減るため、年金支給額を抑えていまの年金制度を維持しようと考えているからだ。厚労省はこれで100年後も1年間分の年金積立金は確保できるという。安倍政権と日本銀行は物価上昇率を「年2%」にする目標をたてている。だが、年金受給者はこれから物価の上昇からも取り残され、生活は厳しさを増す。さらに、今後は貯蓄が少ない低所得の人たちが増え、非正規で年金保険料を払っていない人も多い。このままでは年金で暮らせるのはゆとりがある人たちで、生活保護に頼らざるを得ない高齢者が増える。厚労省の年金財政は維持できても代わりに生活保護費がふくらむばかりで、低所得者向けを中心に年金のあり方を見直す必要がある。
◇「報われぬ国」は原則として月曜日朝刊で連載します。今回は番外編ですが、第2部の「福祉利権」を今後も続けます。ご意見をメール(keizai@asahi.com)にお寄せください。


PS(2014.7.16追加):*6のように、核家族化が進んで老老介護が増えているため、介護を配偶者だけでこなすのは困難だ。また、最後に残った人には介護する人がおらず、これらは女性であることが多い。つまり、現在の介護サービスのさらなる削減は論外なのである。

*6:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140716&ng=DGKDASDG15H0Q_V10C14A7EA2000
(日経新聞 2014.7.16) 「老老介護」5割超す 厚労省13年調査、急速な高齢化浮き彫り
 介護が必要な65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、介護する人も65歳以上である「老老介護」の世帯の割合が51.2%に達し、初めて5割を超えたことが15日、厚生労働省がまとめた2013年の国民生活基礎調査で分かった。急速な高齢化の進展が改めて浮き彫りになった。調査結果によると、介護保険法で要介護認定された人と、介護する同居人が共に65歳以上の高齢者である老老介護世帯は、10年の前回調査から5.3ポイント増の51.2%となり、01年の調査開始以来、最高となった。介護が必要になった原因のトップは脳卒中で、認知症、高齢による衰弱が続いた。団塊世代の約半数が65歳以上になっていることから、老老介護の世帯は今後も増加が見込まれるとともに、同世帯の高齢化も、より進むとみられる。介護を担う人については、同居する家族が61.6%で前回調査から2.5ポイント低下し、事業者が14.8%で同1.5ポイント増えた。介護する人の約7割は女性で、性別の偏りが見られた。続柄では配偶者、子が共に2割を超え、子の配偶者が約1割だった。介護している人の悩みやストレスの原因を聞いたところ、「家族の病気や介護」を上げる人が最多で、「収入・家計・借金など」や「自由にできる時間がない」を回答する人も目立った。厚労省は「少子化対策とともに高齢者世帯への対策も重要になってくる」と指摘。介護を担っている配偶者や子など家族へのサポートも含めた体制整備が課題となりそうだ。一方、全国の世帯総数は13年6月現在で5011万2千世帯だった。このうち65歳以上の高齢者だけか高齢者と18歳未満の子供だけの「高齢者世帯」は過去最多の1161万4千世帯で世帯総
数の約4分の1を占めた。65歳以上の高齢者が1人でもいる世帯は、2242万世帯で、世帯総数の半数近くに達した。調査は13年6月に全国の世帯から約30万世帯を無作為抽出して実施した。介護の状況は、原則自宅で介護されている約6300人の家族から、世帯の人員構成については約23万4300世帯からの回答から推計した。

| 年金・社会保障::2013.8~2019.6 | 03:18 PM | comments (x) | trackback (x) |

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