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2014.9.30 御嶽山の噴火と九州電力川内原発の再稼働について (2014.9.30、10.1追加あり)
     
   無料画像集より        *4-1より    *3-4より      *4-2より
      <御嶽山の噴火関係>                <川内原発関係>

(1)フクシマの教訓は生かされたか
 政府は原発再稼働に向けて進んでいるが、原子力規制委員会は「原発は安全だ」とは言っておらず、原発は新基準に適合はしているが安全が確認されたわけではない。また、*1-1に書かれているとおり、原発事故の報道に関しては、放出された放射線の量や人体に対する影響が正しく報道されなかったため、住民が自ら身を守る行動をとれなかったり、避難した人が周囲から不当に責められたり、避難することについて家庭内で意見が対立して苦労させられたりして、人為的な損害を受けたのである。

 なお、原発事故の報道には、原子力関係の学識者だけでなく、飛散した放射性物質に関する正確な情報が提供された上で、医学、生物学、農学、生態学の専門家の意見が必要である。また、今後の再稼働については、地震学者、火山学者の意見も重要だが、原発の専門家と言えば、原子力の専門家か放射線の専門家に偏り、原発自体の機械的な問題ばかりを考えているのは、事故時に環境汚染によって引き起こされる人間の健康や農林漁業の問題を無視している。

 なお、フクシマ原発事故の真実は、「わからない」として明かされていない部分が多いため、その教訓も生かされていない。そのため政府に対する不信感は大きく、このようなアプローチをしているようでは原発には付き合えないため、*1-2のように、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働阻止を訴える大規模集会が鹿児島市で行われても、全国各地から7500人もが参加するのである。

 そこで、福島県川内村の西山元村議が「福島では甲状腺がんが発生し、まだ安全ではない」と言っているのは事実であるし、「御嶽山の噴火も予知できないのに、火山のリスクをはらんでいる川内原発の再稼働は許されない」というのも、全くそのとおりだ。

(2)川内原発の地元は、どこまでか
 *2-2、*2-3に書かれているように、九州電力川内原発1、2号機をめぐる原子力規制委員会の主要な審査が終わり、田中委員長は「法律が求めるレベル(ここが重要)の安全性が確保されることを確認した」とした。そのため、今後は地元同意に向けた手続きが本格化し、どの範囲までを地元として同意を求めるかが焦点になるそうだが、私は、事故時に汚染されて損害を受ける範囲はすべて地元として合意がなければならないと考える。

 川内原発が新規制基準に適合しているとする審査書決定をめぐっては、*2-1のように、鹿児島県薩摩川内市で長く原発に反対してきて審査書案へのパブリックコメントで「基準地震動の設定が不適切」と意見を寄せた鳥原さんは、「1万7千件も意見が集まったのに、締め切りから1カ月もたたずに決定とは。国民の意見が反映されていない」と憤り、薩摩川内市の山之口自治会会長の川畑さんは「世界一厳しい基準はまやかしだ。田中俊一委員長自らが『安全だと申し上げない』と言った」と強調したそうだが、全くそのとおりである。

(3)原発の建設に、火山の噴火は想定外だったのである
 *3-1に書かれているとおり、原子力規制委員会は原発に影響を及ぼす巨大噴火に備えた「基本的な考え方」の案を示し、「前兆の可能性がある火山の異常を検知したら、空振りも覚悟の上で原子炉の停止や燃料の運び出しを電力会社に求める」としているが、①異常を検知できたとしても、誰がどこに運び出すのか ②異常は100%検知できるのか など、いつもどおりの甘すぎる原発推進論(原発安全神話の源)である。

 そのような中、*4-1のように、長野県と岐阜県にまたがる御嶽山が噴火し、水蒸気爆発でも周辺では降灰による農作物などの被害が出ており、登山者には多くの不明者がいるが、自衛隊や警察などの捜索隊は二次災害を防止しながら捜索している状況だ。そして、多くの火山学者が、巨大地震の後には火山が噴火しやすく、噴火の予知や予測は難しいため、噴火に警戒を呼び掛けている。

 そのため、*3-2、*3-3に書かれているように、九州には、桜島や阿蘇山など日本を代表する火山が集中し、近年も人的被害のある活発な活動が続いており、桜島と口永良部島新岳(鹿児島県)では、気象庁の噴火警戒レベルが入山規制を行う3となり、桜島では2009年以降活動が活発化して翌年から4年連続で噴火回数が800回を超え、霧島連山・新燃岳(宮崎、鹿児島県境)は2011年に爆発的噴火が起きてから小康状態だが警戒レベルは2だそうだ。

 そのため、鹿児島県の反原発団体が、鹿児島市で九電川内原発(同県薩摩川内市)の再稼働に反対する集会を開き、「川内原発の周辺には霧島連山や阿蘇山があり、日本でも活火山が多い地域だ」として再稼働への懸念を示したのはもっともである

(4)それでも川内原発再稼働とは、どういうことか
 *4-1では、日経新聞が「御嶽山の噴火で、噴火の予知や予測は一部の火山を除けば難しく、巨大地震の直後には火山が噴火しやすい」との認識を示し、「列島には110の活火山があり、うち47火山は噴火の恐れが強いため、監視を強め、対策を早急に総点検すべきだ」としているが、火山学者には「現在の火山学で、噴火の予知は極めて困難」との意見が強い。

 しかし、*4-2のように、菅官房長官は、9月29日午前の記者会見で、「御嶽山の噴火を予知できなかったことは、火山の集中地帯にある九州電力川内原発(鹿児島県)の再稼働方針に影響しない」との考えを示し、予知できなかった御嶽山の噴火後も、政府は新規制基準を満たしたとする原子力規制委員会の審査結果を見直さないそうである。

 川内原発は「最も火山の危険が高い原発」と言われているが、原子力規制委は「観測によって噴火の予知は可能」という九電の主張を容認し、火山学者が「現在の火山学で噴火の予知は極めて困難」と言っているのに、政府が再稼働を進めようとしているのである。これは、再稼働ありきの原子力規制委員会審査だったからにほかならないだろう。

<フクシマの教訓は生かされたか>
*1-1:http://www.minyu-net.com/news/news/0926/news3.html
(2014年9月26日 福島民友ニュース) 「学識者の評価など不足」 原発報道で田中氏が指摘
 福島民友新聞社など新聞社や放送局などでつくるマスコミ倫理懇談会全国協議会の第58回全国大会が25日、松江市のホテルで始まった。初日は分科会などが開かれ、田中淳東大総合防災情報研究センター長が原発事故報道に関し、放射線影響への学識者の評価などの報道が不足していたと指摘するなど、約100社280人の編集責任者や記者らが震災報道の在り方を考えた。26日まで「岐路に立つ社会でメディアに求められるもの」を主テーマに報道や広告の課題を話し合う。田中氏は「震災報道をいかに継続していくか」についての分科会で、1959(昭和34)年の伊勢湾台風から一連の災害報道の変遷について解説した。震災では「市町村機能の低下が顕著で、阪神大震災以上に突き付けられた」と問題提起。特に原発事故直後の報道について「どのメディアも原子力関係の学識者との関係が構築できておらず、あまり報道されなかった。これはマスコミがあえて原子力関係の学者と距離を置いていたため」と分析、今後の課題と位置付けた。復興報道については「何を伝えるのか、今もひな型といえるものがない。特に福島は『復興』とはいえない。何か別な言葉で置き換えるべきだ」と主張した。

*1-2:http://qbiz.jp/article/46729/1/
(西日本新聞 2014年9月29日) 再稼働「NO」に7500人 鹿児島市で反原発集会
 全国の原発で再稼働へ向けた地元手続きが最も早く進む九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働阻止を訴える大規模集会が28日、鹿児島市であった。全国各地から7500人(主催者発表)が参加し、集会の後、同市の繁華街約2キロをデモ行進した。鹿児島市の市民団体「ストップ再稼働! 3・11鹿児島集会実行委員会」が「地元から反対の声を上げよう」と主催。集会ではルポライターの鎌田慧さんが「安倍政権が進める再稼働は、人間が死んでももうかればいいという論理。国民への挑戦だ」と批判。福島第1原発30キロ圏の福島県川内村の西山千嘉子元村議は「福島では甲状腺がんが発生し、まだ安全ではない」と被災地の現状を訴えた。デモ隊は「原発要らない」と唱えながら、南九州最大の繁華街・天文館から鹿児島中央駅前までの目抜き通りを約2時間かけて行進。右翼団体の街宣車がデモ隊に並走し、騒然となる一幕もあった。鹿児島県警は多くの警察官を沿道に配置してトラブルを警戒した。薩摩川内市からデモに参加した男性(66)は「御嶽山の噴火も予知できないのに、火山のリスクをはらんでいる川内原発の再稼働は許されない」と話した。

<川内原発再稼働に地元は?>
*2-1:http://qbiz.jp/article/45643/1/
(西日本新聞 2014年9月10日) 審査書「決定」、川内原発の地元は
 川内原発が新規制基準に適合しているとする審査書決定をめぐり、原発が立地する鹿児島県では10日、近づく再稼働への不安と期待、反発と歓迎が交錯した。同県薩摩川内市で長年、原発に反対してきた鳥原良子さん(65)は、審査書案へのパブリックコメントで「基準地震動の設定が不適切」と意見を寄せた。「1万7千件も意見が集まったのに、締め切りから1カ月もたたずに決定とは。国民の意見が反映されていない」と憤った。同市の自治会で初めて再稼働反対陳情を市議会に提出した山之口自治会。会長の川畑清明さん(58)は「世界一厳しい基準はまやかしだ。田中俊一委員長自らが『安全だと申し上げない』と言った」と強調した。原発の北東25キロに住む福祉施設職員原恵美さん(26)=同県さつま町=には7歳と3歳の子どもがいる。「事故の際、幼児を連れての避難に不安がある。避難計画が不十分なまま再稼働しないでほしい」。一方で、薩摩川内市の商工関係者は審査書の決定を歓迎した。不動産業本間広幸さん(67)は「ようやく再稼働が間近になった。市は今後も原発を活用していく必要がある」。民宿を営む御幸(ごこう)博文さん(61)は「年内再稼働なら、大きなクリスマスプレゼントになる」と声を弾ませた。鹿児島県の伊藤祐一郎知事は取材に応じず、談話のみ発表する。県関係者は「知事はあらぬ発言が再稼働の障害になることを極度に警戒している」と語った。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11344639.html
(朝日新聞 2014年9月11) 川内、地元同意手続きへ 原発再稼働、年明け以降 主要審査終了
 九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)をめぐる原子力規制委員会の主要な審査が終わった。規制委は10日、新規制基準を満たすとする審査書を正式に決め、法に基づく設計変更の許可を九電に出した。今後、地元の同意に向けた手続きが本格化し、どの範囲まで同意を求めるかが焦点になりそうだ。年明けにも見込まれる再稼働に向けた動きは新たな段階に入る。規制委がこの日決定したのは安全設計の基本方針をめぐる審査書で、九電に許可の書面が手渡された。東京電力福島第一原発事故を受けて作られた新基準で初めての許可となる。田中俊一委員長は会見で「法律に基づいて求めてきたレベルの安全性が確保されることを確認した。この後たくさんの審査を控えているので着実に進めたい」と話した。今後も、より詳しい設計を記した工事計画などの認可手続きは残る。九電の必要書類の提出が9月末以降にずれ込んでいるうえ、その後の設備の検査にも1~2カ月はかかる見通しで、法的な手続き上、再稼働が可能になるのは早くても年明けになりそうだ。一方、原発の大きな変更はこれまで地元に同意を得てきた経緯がある。新基準にもとづく再稼働は、地元同意の手続きも事実上必要になる。鹿児島県と地元の薩摩川内市は再稼働に前向きで、伊藤祐一郎知事は県、薩摩川内市の首長と議会の同意で足りるとの考えを示している。だが、原発の30キロ圏にはほかに8市町があり、意見を聞くよう求める声も出ている。どこまで反映されるかが焦点だ。九電の中村明上席執行役員は地元同意について「丁寧にご理解を得るように努めていきたい」と話した。菅義偉官房長官もこの日の会見で「政府として立地自治体関係者の理解と協力を得るように取り組む」と後押しする考えを示した。県は10月9日から30キロ圏内の5カ所で審査結果の説明会を開く。規制委も求めに応じ、出向く考えだ。一方で、この日は審査書案に対する意見募集に寄せられた1万7819件の概要も公表された。巨大噴火や航空機の衝突をめぐるリスクなどのほか、自治体がつくる住民避難計画についての指摘も目立ったという。ただ、避難計画や原発の是非などは意見募集の対象外とされ、ほかも文言や表現の修正にとどまった。他に再稼働に向け審査を申請しているのは12原発18基。規制委は川内原発をひな型に、審査を本格化させている。

*2-3:http://qbiz.jp/article/46177/1/
(西日本新聞 2014年9月19日) どこまで地元? 鹿児島揺れる 「再稼働の同意対象に」陳情続々
 九州電力川内原発の再稼働へ向けた地元手続きが本格化した鹿児島県で、再稼働の条件となる「地元同意」の対象範囲拡大を求める陳情が地方議会に相次いでいる。避難対象となる原発30キロ圏自治体は9市町。陳情を受けたいちき串木野市議会は、伊藤祐一郎知事への意見書を30日に可決する見通し。日置市議会も同様の方向で調整を進めている。伊藤知事は18日の県議会でも「同意対象は(立地自治体の)県と薩摩川内市で十分」と持論を曲げなかったが、「リスクに見合った同意権を」との周辺自治体の圧力はさらに高まりそうだ。「あの山の向こうはすぐ原発ですよ」。議員が窓の外を指さすと、傍聴の住民がうなずいた。17日のいちき串木野市議会総務委員会。原発との近さを強調する意見が相次ぎ、陳情は全会一致で趣旨採択となった。議会の動きは市民のぬぐえない不安感を反映している。市は30キロ圏に全域が含まれ、ほぼ年間を通して原発の風下に当たる。市内の団体が募った再稼働反対署名は人口の半数を超えた。背景には、立地市に比べて原発の恩恵が少ない不満もある。2013年度までに市に入った原発関連の交付金は35億円で、薩摩川内市の8分の1。17日の審議では議員から「(市も同意対象になれば)それなりの交付金も求めたい」と本音も飛び出した。薩摩川内市を除いた30キロ圏の8市町で、同意対象の拡大を求める陳情を付託したのは7議会。唯一付託していない姶良市議会は今年7月、原発再稼働に反対する意見書を可決している。市の北半分が30キロ圏に入る日置市では、陳情を趣旨採択した上で意見書を本会議に上げるかどうか調整中だ。審議した総務企画委員会の中島昭委員長は「事故が起きれば、立地市並みの被害を受ける。国や県は、日置市民の理解も得る努力をしてほしい」と話す。長島町議会は通常、町外在住者からの陳情は付託していないが、今回は「特例扱い」(議会事務局)で審議に乗せた。「重要な内容だ」との議員の意見が多数を占めたためだ。県議会も18日、同様の陳情を付託した。30日の特別委員会で審議する。そうした流れを見越してか、伊藤知事は12日の記者会見では「周辺自治体の意見を無視するわけにはいかない」と述べ、薩摩川内市以外の自治体と何らかの協議の場を設置することにも言及した。30キロ圏内の声をどこまで反映するか、知事の判断が注目される。

<想定外になっていた火山の噴火>
*3-1:http://sp.mainichi.jp/opinion/news/20140908k0000m070170000c.html
(毎日新聞社説 2014年9月8日) 原発と火山災害 巨大噴火を侮るなかれ
 原発に影響を及ぼす巨大噴火に備えた「基本的な考え方」の案を原子力規制委員会が示した。前兆の可能性がある異常を検知したら、「空振りも覚悟の上」で原子炉の停止や燃料の運び出しを電力会社に求める。そのための判断基準についても、有識者を集め、検討を進めるという。規制委が新規制基準に適合していると判断した九州電力川内1、2号機(鹿児島県)は、巨大噴火に襲われる危険性が全国の原発の中で最も高い、というのが専門家の一致した見方だ。本来なら原発の安全審査の前に、こうした検討を進めておくべきだった。日本は世界有数の火山国であり、規制委や電力会社は、噴火の脅威を侮ってはならない。川内原発周辺には、阿蘇や鹿児島湾など、マグマの大量噴出で土地が陥没したカルデラ地形が複数ある。日本ではカルデラ式の巨大噴火が1万年に1回程度起きている。昨年施行された原発の新規制基準は、原発から160キロ圏の火山の影響調査を電力会社に義務付けた。運用期間中に噴火が起き、火砕流や溶岩流が到達する恐れがあれば、立地不適格で原発は稼働できない。九電は、川内原発の運用期間中にそうした噴火が起きる「可能性は十分低い」と評価し、桜島の噴火で火山灰が15センチ積もる場合を想定すれば足りるとした。巨大噴火が起きるとしても、数十年前からマグマの蓄積が生じるので、地殻変動などを監視すれば事前に察知できるという。規制委は安全審査で、九電の考え方を基本的に了承した。しかし、その後開かれた規制委の有識者検討会では「巨大噴火の時期や規模の予知は困難」との指摘が相次いだ。原発に影響する火山活動の監視では「電力会社任せにせず、国レベルの体制を作るべきだ」との意見も出された。噴火の影響を受ける恐れのある原子力関連施設は日本各地にある。川内原発は、それらの施設の火山対策の試金石となる。規制委の島崎邦彦委員長代理は、巨大噴火に関する判断基準の策定について「どこまでできるか分からない」と述べた。だが、安全サイドに立った基準をあらかじめ作成しておかなければ、異常が検知された時の対応に混乱が生じかねない。そもそも、巨大噴火が起きれば日本という国の存亡にかかわる。内閣府の検討会は昨年5月、東日本大震災をきっかけに火山活動が活発化する恐れがあるとし、監視体制の強化や避難計画の早期策定を提言した。巨大噴火に関する研究の遅れも指摘している。「想定外」を避けるためにも、規制委による判断基準の検討を、巨大噴火に関する研究や対策を促進する契機としたい。

*3-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014092902000182.html (東京新聞 2014年9月29日) 「周辺に活火山 危険」 「川内」再稼働の反対集会
 鹿児島県の反原発団体は二十八日、九州電力川内(せんだい)原発(同県薩摩川内市)の再稼働に反対する集会を鹿児島市で開いた。参加者は「反対の民意を踏みにじる再稼働は許さない」と訴えた。実行委員会によると全国から約七千五百人が集まり、集会後は市内をデモ行進した。集会には菅直人元首相も出席し、御嶽山の噴火に言及。「川内原発の周辺には霧島(連山)や阿蘇山があり、日本でも活火山が多い地域だ」とし、再稼働への懸念を示した。福島県川内(かわうち)村から埼玉県志木市に避難している元村議の西山千嘉子さん(66)は「福島事故の被害やその現状を忘れないでほしい」と強調。川内原発だけでなく、全国にある原発の再稼働を阻止する必要性を訴えた。

*3-3:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kagoshima/article/116921
(西日本新聞 2014年9月27日) 九州の火山も要注意 桜島、口永良部は入山規制 [鹿児島県]
 桜島や阿蘇山など日本を代表する火山が集中し、人的被害にも見舞われてきた九州では、近年も活発な活動が続いており、警戒が必要だ。現在、九州の火山で気象庁の噴火警戒レベルが最も高いのは、桜島と口永良部(くちのえらぶ)島の新岳(ともに鹿児島県)。5段階のうち、入山を規制する3となっている。桜島では2009年以降、活動が活発化し、翌年から4年連続で噴火回数が800回を超えた。今年は58人の死者・行方不明者が出た「大正大噴火」から丸100年。京都大防災研究所火山活動研究センター(鹿児島市)は「同規模の噴火が起きる可能性もある」とみている。新岳は今年8月3日、34年ぶりに噴火し、島民135人のうち64人が一時島外に避難した。今回の御嶽山と同じく、噴火時の警戒レベルは1(平常)だった。気象庁などが火口近くに設置している観測機器の一部は壊れたままという。阿蘇山(熊本県)は8月30日に噴火が確認され、警戒レベルが1から2(火口周辺規制)に引き上げられた。11年に爆発的噴火が起きた霧島連山・新燃(しんもえ)岳(宮崎、鹿児島県境)は小康状態だが、警戒レベルは2。雲仙岳(長崎県)や九重山(大分県)は1で、今のところ噴火の兆候はないという。

<それでも川内原発再稼働か>
*4-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140929&ng=DGKDZO77669940Z20C14A9PE8000 (日経新聞社説 2014.9.29) 突然の噴火に備え火山防災の総点検を
 長野県と岐阜県にまたがる御嶽山(おんたけさん)が噴火し、多くの登山者が巻き込まれた。山岳災害として国内で最悪規模になる恐れがある。周辺では降灰による農作物などの被害も出ている。今回の噴火は、地下のマグマに地下水が触れて起きる水蒸気爆発とみられ、27日昼前に突然始まった。御嶽山周辺は紅葉シーズンに入り、多くの入山者がいた。政府は危機管理センターに連絡室を設け、自衛隊や警察などが不明者の捜索や救助にあたっている。水蒸気爆発はなお続く恐れがあり、噴火活動の拡大にも予断を許さない。捜索隊は二次災害の防止に細心の注意を払いつつ、人命救助に全力を挙げてもらいたい。周辺の住民は引き続き、噴石への注意が要る。雨が降り、火山灰が泥になって山腹を下る泥流の発生も懸念される。火山灰は風で運ばれて飛行機の運航にも悪影響を及ぼす。航空会社などは安全確保に万全を期してほしい。今回の噴火は突然だったとはいえ、なぜこれほどの被害を招いたのか、徹底的な検証が要る。気象庁は9月に入って御嶽山周辺で火山性の弱い地震を観測していた。だがその後、微動は収まり、同庁は警戒情報を「レベル1(平常)」にとどめていた。警戒を「レベル3(入山規制)」に引き上げたのは、噴火後だった。噴火の予知や予測は一部の火山を除けば難しい。とはいえ、変調をとらえた段階で、住民や登山者に周知できなかったのか。気象庁は警戒レベルの引き上げには、マグマの動きが観測されるなど一定の基準を満たす必要があるとしている。そうした基準が妥当なのか、きちんと検証すべきだ。列島には110の活火山があり、うち47火山は噴火の恐れが強いとされる。それらの監視を強め、対策を早急に総点検するときだ。巨大地震の直後には火山が噴火しやすく、3年半前の東日本大震災後、多くの火山学者が噴火に警戒を呼び掛けている。火山灰や火砕流などの到達範囲を予測したハザードマップが作られ、住民に配られているか。予兆が観測されたら、どの段階で住民に避難を指示するのか。火山に近い自治体は重ねて点検すべきだ。火山の研究者が減り、監視体制の弱体化も指摘されている。専門家をどう育て、地元と連携して日ごろから対策をどう練るか。国もこれらを真剣に考えるときだ。

*4-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014092902000214.html
(東京新聞 2014年9月29日) 水蒸気爆発 予知困難でも… 川内再稼働「影響せず」
 菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十九日午前の記者会見で、御嶽山の噴火を予知できなかったことが、火山の集中地帯にある九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の再稼働方針に影響しないとの考えを示した。今回の噴火が、川内原発の再稼働方針に影響するかとの記者団の質問に「ないと思う」と明言した。菅氏は「今回のような水蒸気(爆発)は、予測が極めて難しいと従来、言われている」と指摘。川内原発をめぐっては、周辺の火山が噴火する危険性が心配されている。しかし、予知できなかった御嶽山の噴火後も、政府は新規制基準を満たしたとする原子力規制委員会の審査結果は見直さないとした。川内原発は「最も火山の危険が高い原発」と言われている。原子力規制委は「観測によって噴火の予知は可能」という九電の主張を容認したものの、火山学者には「現在の火山学で、噴火の予知は極めて困難」との意見が強い。

   
      *5より           *6より
PS(2014年9月30日追加):*5のように、いちき串木野市と日置市の市議会は、9月30日、それぞれの市を「再稼働の条件となる地元」に加えるよう求める意見書案を可決したそうだが、他の周辺自治体も意見書を出すのがよいと思う。また、姶良市議会は、既に7月に、川内原発再稼働に反対し廃炉を求める意見書を可決しており、私も賛成だ。

*5:http://qbiz.jp/article/46853/1/
(西日本新聞 2014年9月30日) 川内再稼働、同意拡大 いちき串木野、日置市議会が意見書可決
 九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の避難対象となる30キロ圏にある同県いちき串木野市と日置市の議会は30日、再稼働の条件となる「地元同意」に、それぞれの市を加えるよう求める伊藤祐一郎知事宛ての意見書案を可決した。再稼働の地元同意をめぐり、30キロ圏自治体の議会から参画を求める意思表示は初めて。伊藤知事は、同意判断を下す自治体について「立地自治体である県と薩摩川内市で十分」との考えを示している。意見書に法的拘束力はないが、今後の知事の対応が注目される。両市議会の意見書は、同意への参画を求める根拠について、国の原子力災害対策指針により、原発30キロ圏の自治体が重大事故対策の責任を負わされていることを挙げた。いちき串木野市議会は、医療機関や社会福祉施設の避難計画策定が困難なことも言及した。両市議会は10月9日から30キロ圏内である住民説明会の前に意見書を知事に郵送する。いちき串木野市は市の全域、日置市は北半分が30キロ圏に入る。両市は川内原発の南東に位置し、ほぼ年間を通じて原発の風下になり、事故の際は放射性物質が飛来する恐れもある。両市議会はこうした不安を背景に住民から提出された陳情を趣旨採択し、議員提案の意見書にまとめた。一方で再稼働反対を求める陳情はいずれも継続審査とした。政府は川内原発について新規制基準下で国内初の再稼働を目指している。原発30キロ圏では、議会に同意範囲拡大の陳情が相次ぎ、鹿児島、出水市など5市町議会が継続審査とした。姶良市議会は7月、川内原発再稼働に反対し廃炉を求める意見書を可決している。 

PS(2014年9月30日追加):「国の責任で同意範囲を決めるべき」「国の責任で再稼働の判断をすべき」というのは、住民の権利を無視して責任を国に丸投げし、国民主権や地方自治を放棄することになるため、市も判断に必要な資料を入手して市議会で議論すべきだ。なお、鹿児島県・宮崎県は農業・漁業・観光業も重要な産業であるため、何が一番大切かをよく考える必要がある。

*6:http://qbiz.jp/article/46892/1/
(西日本新聞 2014年10月1日) 地元同意、見えぬ着地点 他の市町は対応割れる
 原発を動かす判断はどんな枠組みで下すべきか−。九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)再稼働の条件となる「地元同意」への参画を求め、原発30キロ圏の同県いちき串木野、日置の両市議会が30日、伊藤祐一郎知事宛ての意見書を可決した。伊藤知事はその30分後に談話を出し「同意範囲は県と薩摩川内市」との従来の考えを強調。再稼働の同意権をめぐる綱引きは激しさを増してきた。ただ、30キロ圏の市町の対応は割れており、問題がどう決着するかは不透明だ。「(原発からの距離で考えると)市は原発立地自治体に値する。考え直してほしい」(下迫田良信いちき串木野市議長)。「事故時には日置市民も被害を受ける。市の意見も聞くよう市一体で求めたい」(宇田栄日置市議長)。両市の議長は可決後、伊藤知事にきっぱりと方針転換を迫り、反旗を翻した。意見書には同意権を求める理由がつづられていた。「年の大半が原発の風下に当たる」(いちき串木野市)、「30キロ圏の自治体は国に事故対策を求められ、責任も負う」(日置市)。だが、両市とも議会と市長の足並みはそろっていなかった。いちき串木野市の田畑誠一市長と日置市の宮路高光市長はいずれも「可決は重く受け止めるが、現時点で同意参画は求めない」と、議会に比べて及び腰だった。30キロ圏の他の市町の対応も一様ではない。阿久根市の西平良将市長や長島町の川添健町長、さつま町の日高政勝町長は「再稼働を判断する専門性を自治体は持ち合わせていない」と、同意参画は求めない考え。議会でも、鹿児島市など5市町は同意範囲拡大の陳情を継続審査とした。一方で伊藤知事は、この日の談話で「さまざまな意見があることは承知している」とし、30キロ圏へ一定の配慮もにじませた。ある県議は伊藤知事の心境をこう推し量る。「同意範囲の拡大はしたくないが、意見書を無視すれば県民の反発を生み、逆に再稼働への理解を得られなくなる。どこまで譲歩するか、知事は悩んでいるはずだ」。

| 原発::2014.8~10 | 09:43 AM | comments (x) | trackback (x) |

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