■CALENDAR■
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31       
<<前月 2021年10月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2014.10.8 日本における職場の男女平等について – 女性管理職の割合が低い理由から (2014年10月9、10日に追加あり)
    
女性管理職比率   *1-2より   *1-1より     *2より

(1)採用時の女性比率は50%でなければ、女性管理職比率は30%にならない
 *1-1、*1-2のように、安部首相は、今国会の重要課題に掲げた女性の活躍に関し、「2020年までに3割の女性が指導的立場に就くように政策を進める」と環境整備を急ぐ考えを示し、幅広い分野での女性の登用を主導されている。そのため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法案(仮称)」が今国会に提出されることになったが、私は、証取法の有価証券報告書や商法の計算書類に、それぞれの企業が女性管理職登用の実績を開示するよう定めるのがよいと考える。何故なら、それにより仕事熱心な女子学生が使い捨てにされる会社を選択しなくてすみ、投資家や顧客も女性を応援することが可能になるからだ。

 もちろん、私は女性管理職の比率を30%にする政府目標には賛成だが、女性を管理職として30%残すためには、採用時には50%くらいの割合で採用しなければならず、採用時に30%しかいなければ、何かとハードルを課せられる女性は管理職に30%は残らない。しかし、女性の採用に経済界が反発するというのは、(長くは書かないが)女性の能力を低く評価しすぎている。

 なお、*1-1に、「『子育てとの両立が難しい』などの理由から、機会があっても女性が管理職を引き受けないケースが多い」と書かれているが、管理職の方が時間の使い方を自分の裁量で決められ、給料が高いため家事サポートも使い安いので、これは、これまで環境を整備してこなかった企業が女性に責任を転嫁している卑怯な言い訳だ。

 また、*1-3には、厚生労働省の審議会が新たな法律を見すえて報告書をまとめ、それは、まず企業は自社の現状を認識するために(1)採用者に占める女性の割合(2)勤続年数の男女差(3)労働時間(4)管理職での女性の比率、の4種類の数値を「必須項目」として把握して行動計画を作り、目標や取り組み内容、実施時期などを盛り込むが、数値目標は各社の実情に配慮し、現状に関する情報公開でも企業の裁量を認める内容だそうだ。ことほど左様に、厚労省は女性労働者の保護には役立たない。

 しかし、これでは1985年に施行された最初の男女雇用機会均等法と同じく骨抜きになるため、私は、開示内容は(1)採用時の女性割合 (2)男女の勤続年数 (3)管理職の女性割合 として証取法と商法に定め、会社間(例えば、日産、トヨタ、ホンダなど)で業績と同時に比較可能にすべきだと考える。

(2)非正規社員、派遣社員、限定正社員について
 *1-3には、「女性に多い非正社員をどう後押しするか」とも書かれているが、もともと日本には非正規社員や派遣社員の制度はなかった。これは、私が1995年に経産省に言って1997年に男女雇用機会均等法が改正され、それが施行される時に、それまで総合職と一般職に分けて行っていた女性差別が禁止されたため、立場や所属が異なることを理由に女性差別を続けることを目的として作られたものだ。つまり、非正規社員や派遣社員は、労働基準法や男女雇用機会均等法が適用されない労働者を作ることが目的の制度であるため、同時通訳などの特殊な業務を除き、速やかに廃止すべきなのである。

 また、限定正社員も、男女にかかわらずどの労働者に対しても区分けをしなくても配慮するのが当然であるため、国の制度として作る必要はないと考える。そして、どうしても組織内で配慮できない事情がある場合には、他の組織への転職を容易にしておくべきなのだ。

(3)女性の管理職昇進を阻んできた組織の制度について
 *2に書かれているように、女性を活用している会社と差別し続ける会社を量と質で分析すれば、①戦後、日本企業は完全な男性中心社会だった ②そこに女性が進出する困難さは、企業カルチャーや差別解消の取り組み度合いにより異なった ③グローバル企業は、日本企業より女性を活用していた と言うことができる。2003年に経済同友会が会員企業を対象に女性管理職の「量」を調査したところでは、「女性管理職比率」の平均値が2.62%と世界でも惨憺たる状況だったそうだ。そして、これらは、1982年から公認会計士として外資系監査法人で働いてきた私の経験とも一致する。

 「質」では、*2のように、①男女は採用区分から違う企業群 ②女性は管理職にしない企業群 ③女性を主力級として活用している企業群 ④勝手に生き残れという企業群 があるそうだ。今後は証取法や商法で情報公開を行い、就職時に女子学生が①~④のうちの就職したい企業に就職できるようにすべきだ。希望する就職先を選択できるためには、女性学生も、目的に応じて学生時代からのキャリア形成や就職先選択前の調査が必要なのである。

(4)夫婦別姓制度は働く女性の必要条件ではないだろう
 *3の記事は、「女性活躍」を掲げる安倍政権には女性閣僚が5人いるが、そのうち4人は通称使用であるため、旧姓使用の選択的夫婦別姓の議論が進むかというものである。なお、唯一戸籍名を使用している有村治子氏は、国際結婚で、夫婦で両方の姓を使っているそうだ。私も法律婚をしながら通称使用しているが、それと夫婦別姓にすることとは全く異なり、私は通称使用の不便をなくす制度改革をする方が便利だと考える。

 その理由は、1)どちらの姓を戸籍名にするかは婚姻時に選択することができ、結婚して名字が変わるのは圧倒的に女性が多いという状況は時代とともに変わると考えられること 2)子どもの姓を決めるのに夫婦別姓ではややこしく、戸籍上Family Nameが統一できないこと (連れ子のある再婚をすると、家族全員姓が異なる場合もでてくる) 3)口座・免許証・保険証・パスポート・法律行為などは、戸籍謄本か住民票で通称を証明すれば、姓のかわった人は通称使用できるようにすればよいこと などである。

 例えば、下のように、旧姓の通称が不便なく使えるように、制度を変更すればよいと考える。
  ・戸籍謄本:旧姓を通称使用する人は、その旨を記載する欄を設ける
  ・住民票:戸籍謄本で証明して戸籍名と通称を併記し、通称の証明に使えるようにしておく
  ・登記:不動産、会社、役員など、戸籍謄本か住民票で通称を証明すれば通称使用を可能にする
  ・運転免許証・保険証:証明用にも使うため、戸籍謄本か住民票で通称を証明して、通称使用する
   人は戸籍名も併記する
  ・銀行口座:住民票か戸籍謄本で証明すれば、通称で口座開設できるようにする
  ・パスポート:身分証明にも使うため、戸籍謄本か住民票で証明して、通称使用する人は戸籍名を
   併記する。
  ・会社のメールアドレス:住民票か戸籍謄本で証明すれば通称使用できるようにする
  ・国家資格:住民票か戸籍謄本で証明すれば、通称使用できるようにする
  ・法律行為:住民票か戸籍謄本で証明すれば、通称使用できるようにする

     
  *5より

<女性活躍推進について>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141007&ng=DGKDASFS06H2K_W4A001C1EA2000 (日経新聞2014.10.7)女性登用、政府が主導 法案提示 企業ごとに数値目標
 政府は6日、首相官邸で男女共同参画会議(議長・菅義偉官房長官)を開き、今国会に提出する「女性の職業生活における活躍の推進に関する法案」(仮称)の概要を示した。企業がそれぞれ個別に女性登用の数値目標を設けるのが柱。安倍政権が掲げる幅広い分野での女性の人材活用を政府が主導して促す狙いだ。近く閣議決定し、速やかな成立をめざす。法案には2020年までに指導的地位に占める女性の割合を3割にする政府目標を記す。ただ、経済界には反発もあり、全職種に一律に課すのは難しいと判断。企業ごとの実情に応じて数値を設定できる仕組みにする。具体的には、女性登用の数値目標のほか(1)採用者・管理職に占める女性比率(2)勤続年数の男女差(3)女性が働きやすい職場をつくるための取り組み内容や今後の計画――などを企業ごとに決めると明記した。従業員が300人を超える企業は、こうした項目をまとめた行動計画をつくり、有価証券報告書などで公表することを義務付ける。中小企業や地方公共団体に対しては努力義務とする。出勤時間帯を変えるフレックスタイム制や在宅勤務によるテレワークなど「多様な働き方」を促している企業には、政府が認定したうえで優遇する制度を設けると規定した。公共調達の受注機会を広げたり、補助金の対象にしたりすることなどを想定している。経団連の榊原定征会長は6日の記者会見で、女性登用の数値目標について「どういう形、内容にするかは、ある程度企業側の自由度が確保できる形が望ましい。しっかりと今後議論したい」と述べた。政府は10日に女性の活躍推進の司令塔となる「すべての女性が輝く社会づくり本部」(本部長・安倍晋三首相)の初会合を開く。内閣府のまとめによると、指導的地位に占める女性の割合は国家公務員(本省課室長相当職以上)は3%、100人以上の民間企業での課長相当職は8%と政府の目標を大幅に下回る。現場では「子育てとの両立が難しい」などの理由から、機会があっても女性が管理職を引き受けないケースも多い。数値目標の達成に向け、女性が働きやすい職場環境や社会制度をどう整えていくか検討を急ぐ。男女共同参画会議では、10年にまとめた「男女共同参画基本計画」を15年夏をメドに改定することも決めた。今回提出する法案の成立を念頭に、政権の女性政策の取り組み状況や新たな目標を盛り込む見通しだ。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141007&ng=DGKDASFS07H0J_X01C14A0EAF000 (日経新聞 2014.10.7) 首相、女性指導者3割へ「政策を進める」
 参院予算委員会は7日午前、安倍晋三首相と全閣僚が出席し基本的質疑に入った。首相は今国会の重要課題に掲げる女性の活躍促進に関し「2020年までに3割の指導的立場に就くように政策を進める」と環境整備を急ぐ考えを示した。政府は企業に女性登用の数値目標設定を促す法案を今国会に提出する方針だ。首相は国家公務員の採用・登用にも触れ「来年から3割を女性にすると決めている。各省で指導的な立場に就くように指示している」と語った。民主党の蓮舫氏への答弁。民主党の福山哲郎政調会長は経済情勢について「物価上昇に比べ賃上げが遅れている」と指摘した。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11386518.html?_requesturl=articles%2FDA3S11386518.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11386518 (朝日新聞社説 2014年10月5日) 女性活躍推進 まずは現状の公表だ
 働きたい女性が希望に沿って個性や能力を発揮できる社会にしていくためには、何が課題で、どんな対策が必要か。厚生労働省の審議会が、新たな法律を見すえて報告書をまとめた。大企業と中小企業で義務づけの度合いを変えつつ、こんな方針を打ち出した。まず、自社の現状を認識するために(1)採用者に占める女性の割合(2)勤続年数の男女差(3)労働時間(4)管理職での女性の比率、の4種類の数値を「必須項目」として把握する。企業は行動計画をつくり、目標や取り組み内容、実施時期などを盛り込む。数値目標については各社の実情に配慮する。求職者が会社を選ぶ際に有益な「現状に関する情報」も公開する。ただし、どんな数値やデータにするのか議論を続け、4種の数値を含むリストを別途、つくる。各社がその中から選んで公表する仕組みにする。審議会は、大学教授のほか連合、経団連など労使の団体の代表らが委員を務める。焦点となったのは「数値」の扱いだ。経団連などは「業種ごとに事情が異なるのに、数値はとかく独り歩きする」と主張した。「従業員に関する方針は経営戦略にかかわり、各社の判断に任せるべきだ」との考えからだ。審議会は、現状に関する情報公開でも企業の裁量を認める立場だ。「公開の範囲によって姿勢がわかる」というが、経団連の主張に沿う内容である。確かに、様々な業界をひとくくりにはできないし、政府が業界ごとに目標数値を決めて義務づけるのも無理があろう。しかし、企業の自主性を尊重してきた結果、いまだに「女性が活躍できる社会」を実現できていないことを考えてほしい。「2020年に指導的な地位の人の3割を女性に」との目標を掲げる政府は、各社が管理職での女性比率について目標を作り、公表するよう義務づけたいようだ。しかし、4種の数値を手始めに現状を明らかにすることが出発点ではないか。建設や運輸などの業界では、人手不足もあって女性を増やそうとしている。職場環境を改善する努力は当然だが、「本気度」を伝えるためにも、現状を正直に語ってはどうか。女性に多い非正社員をどう後押しするか。仕事と家庭の両立支援策を含め、働きたいのに働けない女性をどう支えていくのか。報告書が十分に踏み込めなかった課題も山積している。長く、多様な取り組みになる。議論を深めるためにも、現状に関するデータは不可欠だ。

<女性の管理職昇進を阻んでいるもの>
*2:http://www.mynewsjapan.com/reports/539
(My News Japan ?/2/10) 女性を活用している会社、差別し続ける会社
 戦後日本の大企業は、完全な男性中心社会だ。そこに女性が進出する困難さは、企業カルチャーや差別解消の取り組み度合いにより、全く異なってくる。グローバル規模では、CSR(企業の社会的責任)の重要性が日増しに高まり、その評価項目には、必ずジェンダーフリーやダイバーシティーといった「従業員対応」がある。だが、2003年に経済同友会が会員企業を対象に、CSRに関する取組の自己評価を行わせたところ、「女性管理職比率」の平均値は2.62%と、惨憺たる状況だった。
【Digest】
 ◇量と質で考える
■「採用区分から違います」エリア
 ◇数値目標設定で女性管理職増加へ
 ◇男女のコース別処遇を違法認定
 ◇一般職は名称変更の流れ
 ◇一般職が、女性派遣社員に置き換わった
■「管理職にはなれないけど」エリア
 ◇メーカーは企業間で温度差
 ◇逆ダイバーシティーだ
 ◇上層部への登用はない
■「主力級としてガンガン活用」エリア
 ◇女性上司も当り前
 ◇「働きやすさ」定着したIBM
■「勝手に生き残ってね」エリア
 ◇大手出版は女性天国
 ◇サービス業シフトのメーカーは変革中
 ◇需給ギャップを見極める
 今後は、CSRレポート等を通じて情報公開を迫られ、隠し通せなくなる時代になっていく。差別的待遇を放置したら、国際的なブランド力低下につながりかねないレピュテーション(評判)リスクを負う。このままでは、環境問題と同様、ジェンダー問題がネックとなって、EUでの企業活動すら制限されかねない。企業は、そういった切迫した本音は隠しつつ、「財布のヒモを握るのは女性だから」「優秀な女性が活用されていないから」といったタテマエのもと、数値目標をかかげ、大々的に女性を登用する企業も出てきた。これに対し、ラッシュ時の女性専用車両のごとく、逆差別的ととらえる男性社員も多い。つまり、取り組み状況によって、女性の仕事のしやすさで企業間格差が拡大しつつある。人事のホンネは、「女性は統計的に離職率が高く、企業業績から見れば、無駄な研修投資や産休が発生するため、よほど能力が飛び抜けていない限り、平等に扱うのは避けたい。同じ能力なら男性が欲しい」というもの。したがって、これは究極的には、政府の社会政策やCSRによる社会の眼でしか解決できない問題なのだ。その証拠に、女性の積極登用を宣言した会社は、外圧がかかりやすい松下や日産といったグローバル企業ばかり。外圧でしか変われない日本らしいが、働く側は、こうした個別企業のおかれた状況を理解したうえで会社を選んだほうがよい。一方、女性の活用を武器に成長してきた企業も、少数だが存在しており、それらのなかでも性差を意識した役割分担派から男女の差を無視した性別無視派まで、それぞれ質が異なるため、単に「女性を活用している」というだけで会社を選ぶのも危険である。
◇量と質で考える
 すべての仕事において、男女の能力に優劣がなく、機会が均等であると考えた場合、女性比率は5割になってもおかしくない。ただ現実は出産・育児で仕事から離れる期間が発生するなどで、3~4割がせいぜいだろう。そこで、20代30代の若手社員層における女性比率3割をめどに、それより高いか低いかを考えた。これは量の視点である。さらに、質の視点として、男女の仕事上の役割分担を意識したものか、それとも全く性差を無視したものなのか、という軸(どちらが本当に平等かは議論がある)で考えた。
■「採用区分から違います」エリア
 もっとも左側に位置するのが、国内系金融、商社、航空である。これらでは、女性には中核を担う仕事は無理だと決め付け、転勤なしの、いわゆる「一般職」として補助的な低賃金の仕事だけは与えるが、「職場の花」だから「腰掛け」程度に考えて貰い、できれば男性社員と結婚して30才までに大半が寿退社して欲しい、と本気で考えているようだ。表立っては絶対に口にできないが、ホンネはそうなので、結果として、女性は一般職、男性は総合職という、事実上の性別によるコース別採用となっている。総合職の女性比率は、1割未満にとどまっていることが多く、ほとんど例外的な存在に過ぎない。
◇数値目標設定で女性管理職増加へ
 三菱東京UFJ銀行の支店に勤める若手の女性社員が言う。「現場の実際のカルチャーが男尊女卑。たとえば、私が『結婚したい』と言うと『辞めないでよ』と言われる。結婚=退職が前提だから。『男は女を守るもの』という考えがあって、車で営業に出るときは女には運転させない、飲み物や食べ物は女に選ばせる、時間が遅くなると『女の子は帰りな』と言われる。これは総合職でも一般職でも、女性は全員、同じ扱いになります」。こうした思想は、男女同権の時代の趨勢として、社外から圧力があり、変化を迫られている。同社では、2006年1月1日時点で5人しかいなかった女性支店長を、4月1日付でいきなり10人に倍増させた。2010年までに30人とする数値目標を設定した。(以下、会員限定のため閲覧不能)

<夫婦別姓は必要条件か>
*3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11386627.html (朝日新聞 2014年10月5日) 選択的夫婦別姓、議論進むか 「女性活躍」掲げる安倍政権 女性閣僚3人は旧姓使用
 かつて盛り上がった選択的夫婦別姓の議論。働く女性を中心に夫婦別姓を求める声は、依然として強い。安倍内閣の5人の女性閣僚のうち3人は通称(旧姓)を使っているが、通称と別姓制度は似て非なるものだ。「女性活躍」を掲げる安倍政権。別姓と通称はどう違い、夫婦別姓についての議論はどうなっているのだろうか。通称として旧姓を使用している女性閣僚の一人、松島みどり法務相は別姓制度に賛成だ。就任後の会見で、夫婦同姓制度に触れた。「しっかり仕事を持って働く女性が増えていく中で、主義主張の問題じゃなくて、現実に不便を感じている人たちもたくさん増えてきた」。高市早苗総務相と山谷えり子拉致問題担当相も、戸籍名と異なる旧姓を通称として使う。小渕優子経済産業相は、夫が小渕姓に変えている。高市氏は別姓制度に反対してきた。「現在のところ、戸籍上の夫婦同姓について不便を感じたことはない」と言う。山谷氏は有村治子女性活躍担当相と、2010年に選択的夫婦別姓に反対する大会に参加した。会見では「考えはあるが所管外なので控えたい」とだけ。有村氏も「法務省の今後の対応、国民意識の動向をみつつ引き続き適切にモニタリングをさせて頂きたい」。正面からのコメントは避けた。なぜ通称使用はしても夫婦別姓制度に反対なのか。あるベテラン国会議員は「支持母体が夫婦別姓に反対しており、そう言わざるを得ない」という。選択的夫婦別姓の導入に消極的な日本の政治に、海外からは厳しい声も上がる。国連女性差別撤廃委員会は日本に、選択的夫婦別姓の導入を速やかに実施するよう勧告を続けてきた。かつて法務省は1996年と2010年の2回、制度の導入に向けた民法の改正案を準備した。だが、保守系議員から「家族の崩壊を助長する」「日本の伝統を壊す」などと反対意見が相次ぎ、結局、国会提出には至らなかった。反対派の中には当時、安倍晋三首相もいた。安倍首相が所信表明演説で「(女性が輝く社会の実現に向け)日本社会が本当に変わるのか。世界が注目しています」と述べた時。参院の議席から「夫婦別姓はどうなっている」と声が飛んだ。これまでのところ、安倍内閣が掲げた女性活躍の政策に、夫婦別姓制度はない。
■口座・免許証・保険証も戸籍名 男性記者は考えた
 民法で夫婦同姓が定められている日本。結婚して名字が変わるのは、厚生労働省の統計によれば96%と圧倒的に女性が多い。記者(男性)は5月に結婚した。ろくろく議論もせず妻が改姓した。ついつい女性の問題と考えがちだが、もし自分の名字が変わったら。通称が使えるなら、現行制度でも問題ないのではないだろうか。遅きに失したが、夫婦別姓問題の専門家に話を聞きながら、考えてみた。仕事では迷わずそのまま旧姓を使う。名刺も作り直さなくてすむし、取材先にもいちいち説明しなくて済む。署名記事も同じ名前で書き続けられる。だが仕事を一歩離れれば違う。銀行口座を開くのにも運転免許証もパスポートにも、戸籍名が必要だ。社内だって、診療所を受診する際は保険証通りの戸籍名となる。将来、役員にでもなれば、登記は戸籍名となる。実際に仕事で旧姓を使ってきた女性が、役員就任と同時に登記手続きのため、仕事上でも戸籍名を併用しているケースがある。女性が社会でもっと活躍するようになれば、このような例はこれから増えるだろう。結局、旧姓を使ってきた仕事にも、戸籍名が求められる。もし夫婦別姓が選択できれば、名字の使い分けにわずらわしさやストレスがなく、キャリアの断絶も心配しなくてよくなる。
■通称(旧姓)が使えない場面は?
・住民票(住民基本台帳):【×】戸籍名以外での登録は認められていない
・登記:【×】不動産や会社など全ての登記は戸籍名
・運転免許証、保険証:【×】身分証明書になるため、戸籍名
・銀行口座:【×】通称での口座開設はできない
・パスポート:【△】外務省に申請すれば通称も併記可。ただ、ICチップには記録されず、通称で航空券を取ると入国審査に時間がかかる場合も
・会社のメールアドレス:【△】会社によっては戸籍の名字しか使えない
・国家資格の職業:【△】多くは通称で仕事できるが、登録や公的文書への署名は戸籍名


PS(2014.10.9追加):*4のように、民間企業だけでなく国や地方自治体などの公的部門も、歳出削減のために多くの非正規労働者(女性の割合が高い)を雇用しているが、特定の労働者から賃金を搾取することによって支出(歳出)削減を行うのは筋違いであり、(長くは書かないが)支出(歳出)削減の方法は他にいくらでもある。

*4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/112953
(佐賀新聞 2014年10月9日) 県庁に非正規職員労組「低賃金・雇い止め」環境改善へ気勢
 佐賀県庁や出先機関で働く非正規職員が8日、労働組合を結成した。立ち上がったのは若い世代の女性職員で、通称「臨職ネット佐賀」。正職員の3分の1以下という低賃金、最長3年で雇い止めになる不安定な雇用の改善を求めていく。佐賀市の自治会館で開いた結成大会では「1人では言えないことも、組合を使ってみんなで声を上げよう」と宣言、「ガンバロー」を三唱して気勢を上げた。県職員課によると、知事部局には非常勤嘱託職員と「日々雇用」と呼ばれる臨時職員が484人いて全体の13・6%を占めるが、これまで組合はなかった。正職員でつくる県職員労働組合(約2600人)の働きかけで7月から準備を始め、すでに非正規職員組合がある長崎県の取り組みを参考に規約案を作った。結成日までに20~40代の女性を中心に約140人から組合加入届を受け取った。全日本自治労によると、非正規職員による組合結成は「有期雇用がネックになり、なかなか進んでいない」という。嘱託職員の任期は1年間で、更新は最長3年まで。日々雇用職員は4カ月働くたびに15日間の空白期間を置かねばならず、最長1年で雇い止めになる。ある組合員は「残った仕事は別の自治体から来た次の嘱託に任され、自分もまた別の嘱託に行く。いいように使い回され、来年どうなるか、いつ切られるか、不安が大きい」と話す。賃金は、嘱託が職務内容に応じて月給13万4500~16万3300円で、日々雇用は1日6100円。年収200万円以下の「官製ワーキングプア」が社会問題化する中、佐賀県も例外ではないという。組合で書記長を務める菅名早苗さん(37)=佐賀市=は2児の母。「正職員と変わらない仕事内容、責任感で働く非正規もいる。家族の生活を支える収入源という人も少なくないが、残業は申請しづらく、半年たたないと有給をもらえないので体調不良や忌引の休みも欠勤扱いになる」と労働実態の厳しさを訴える。結成大会では、本人が希望し、所属部署からの要請があるなどの要件を満たせば継続雇用を認めている長崎県庁の事例が紹介された。佐賀県でも同様の対応を求めていくことや、組合情報誌の発行、相談体制の確立に取り組むことを決めた。今後、古川康知事に要求書を提出し、来月にも団体交渉に臨む方針。古川知事は組合結成について、定例会見で「使用者側がコメントすべきではないが、かなりの非正規職員に県民相談など重要な業務をしてもらっている。働く環境を良くすることは必要だと思う」と話した。


PS(2014.10.10追加):*5の「すべての女性が輝く社会づくり」には賛成だが、女性の生き方を6つに分ければ、これまでよりパターンは増えるが、人間をステレオタイプな枠に当てはめることに変わりはなく、「普通の人」があらかじめ予想することはできないような多様な生き方を包含して、すべての女性を輝かせることはできない。また、施策が子育てのみに特化すれば、「産めよ増やせよ」論になって、女性の自己実現(これが重要)を無視することになる。

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141010&ng=DGKDASFS10H01_Q4A011C1MM0000 (日経新聞 2014.10.10) 女性活躍6分野で支援 子育てや起業、政府包括策、来春までに35項目推進
 政府は10日午前、「すべての女性が輝く社会づくり本部」(本部長・安倍晋三首相)の初会合を首相官邸で開き、女性の活躍を後押しする政策を総合的に示す「政策パッケージ」を決めた。女性の多様な生き方を6つに分け、来春までに進める35の施策を示した。同本部では施策の進捗状況をもとに課題などを話し合い、女性の社会進出を促進する。 「すべての女性が輝く政策パッケージ」では育児や再就職を後押しする施策や、男性の意識改革の必要性を盛り込んだ。首相は「女性が輝く社会をつくることは政権の最重要課題の一つだ。指導的立場で活躍する女性を増やすのは重要だ」と指摘。女性登用の数値目標設定を大企業に義務付けることなどを明記する女性活躍推進法案の成立を今国会でめざすことも改めて強調した。パッケージでは女性の社会進出の拡大に向けた施策を(1)子育て・介護(2)働き方(3)起業(4)健康・安定的な生活(5)安全・安心な暮らし(6)情報共有――の6つに分け、35項目を挙げた。子育ての分野では、妊娠から育児まで切れ目のない支援策を示した。妊産婦への相談体制整備、家事・育児支援サービスの品質確保の検討、待機児童ゼロに向けた取り組みをさらに加速させることなどで、家庭と仕事の両立を図る。「職場や家庭での男性の主体的で積極的な関わりが欠かせない」と男性の意識改革も提起した。「働き方改革」にも重点を置いた。非正規社員から正社員への転換を促す支援策を進めるほか、在宅勤務によるテレワークなどニーズに応じた職場環境を整えることを明記した。出産して退職した主婦向けの再就職支援も強化する。「女性のチャレンジ応援プラン」を年末につくり、2015年3月に専用ホームページを設ける予定だ。託児つきセミナーなど主婦が参加しやすい学びの場を積極的に提供する。今後はさらなる女性活躍推進の施策を打ち出せるかが課題となる。政府はすべての女性が輝く社会づくり本部に加え、産業競争力会議(議長・安倍首相)や規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)などで民間と連携しながら協議を進める方針だ。

| 男女平等::2014.7~2015.5 | 08:14 PM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑