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2014.11.22 消費税増税については、「増税続行か、取りやめか」を争点にすべきである。何故なら、消費税増税と社会保障をセットで論じたのは消費税増税を目的とする戦略であり、財政再建や社会保障改革は、消費税増税とは関係なく行えるものだからだ。 (2014.11.23、28に追加あり)
(1)「財政再建のためには消費税増税か福祉の切り捨てが必要」という仮説の立て方が間違っている
1)財政再建には消費税増税が必要というのは、嘘である
    
事故処理、汚染水処理、交付金、最終処分など原発の無駄遣い 土木工事の無駄遣い

 *2に、「安倍首相が、衆院解散と消費税率10%への引き上げを1年半延期することを表明し、2015年度税収は大きく落ち込むので、社会保障費など歳出面への影響が不可避になった」と記載されている。しかし、私が、このブログの2012年12月18日の「年金制度改革について」や2013年7月19日の「年金・医療・介護などの社会保証について」をはじめ、「消費税増税問題」や「年金・社会保障」のカテゴリーに何度も書いているように、年金や医療・介護・子育てなどの社会保障費は消費税からしか支出してはいけないわけではなく、国民を苦しめない代替案もあり、国民との契約である社会保障を護ることは可能であるため、そうすべきだと考える。

 また、政府は、国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2020年度までに黒字化すると言っているが、不況になったと言っては「カンフル剤」と称する投資の意味のない公共事業に支出していたのでは、経済効果が小さく、国民生活が侵害された上に、プライマリーバランスも黒字化しない。また、そのような中で、原因分析も行わずにバラマキを行っている消費刺激策は生産性の低いカネの使い方と言っても過言ではない。

2)国会議員が“身を切る改革”をすれば、消費税増税が合理化されるのか
     
   消費税増税の結果はどうなったか          人口10万人あたり国会議員数
 *3には、「①消費税増税と政治家自らが身を切る改革としていた衆議院議員の定数削減という3党合意、国民との約束はどうなるか」 「②解散や選挙で時間とお金をかけている時ではない。消費税は計画通りに引き上げるべきだ」という主張が掲載されている。

 上の①ついては、私は、消費税増税を永遠に凍結すべきだと考えている。そして、これによって財政再建が遠のくという意見については、「カネは、単位当たりの生産性を高くして、無駄なく使え(現在、そうなっていない)」というのが答えだ。

 また、「国会議員が“身を切る改革”をすれば消費税増税が合理化される」というのは甘い。何故なら、人口10万人あたりの国会議員数は、スウェーデン3.83人、デンマーク3.29人、イギリス2.28人、フランス1.49人、ドイツ0.81人、韓国0.62人、日本0.57人、アメリカ0.17人であり、民主主義先進国のヨーロッパや韓国と比較して日本の国会議員数が多すぎるということはなく、逆に国会議員数を減らしすぎると、小さな政党や人口の少ない地域の意見が反映されにくくなり、民主主義国家としての政治の力が落ちて、自らの政策を通したい官僚にとって都合がよくなるだけだからである。その上、国会議員数を100~200人減らしたからといって、民主主義の経費を50~100億円節約するだけであり、何兆円もの消費税増税を国民に課す根拠にはならないのだ。

 さらに②については、人々が豊かで幸福になることが重要なのであり、「消費税増税」や「経済成長率の上昇」「インフレ率の上昇」が重要なわけではないが、「どういう国を作れば国民が豊かで幸福になれるか」という問いに関する考察がなく、「消費税増税以外に方法はない」という消費税増税のための論理がまかり通り、実際には存在する他の解決法が検討すらされていないため、この議論が必要である。

(2)消費税増税と景気について
     
   この2年間に起こったこと            家計費における各支出割合
1)インフレ政策と消費税増税が国民に与えた結果について
 *1-1のように、内閣府が2014年11月17日に発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比0.4%減、年率換算1.6%減で、消費増税後の個人消費停滞が長引き、2四半期連続でマイナス成長になったそうだが、これは、やってみなくても当たり前のことである。

 何故なら、現在、我が国のGDPの60%は個人消費で、それも高齢者の割合が高くなっているため、物価上昇、消費税増税、年金削減は、消費を抑制する政策だからである。また、*1-4に、「誤算を強めたのは、大幅な円安なのに伸びない輸出」と書かれているが、我が国は、既に安い人件費を武器に世界の工場となって輸出する国ではないため、内需を疎かにして外需に頼るのはそもそも時代錯誤なのである。そのため、国内需要の抑制で、国内需要を満たすべき製品やサービス生産のための投資も抑制されたのであり、これは単なる反動減ではない。それは、家計費の支出割合を見れば、住居費・家具費・被服費・娯楽費などの支出時期を選べる支出割合が全国平均で25%弱と低いことからも明らかである。

 つまり、我が国の最も大きな問題は、時代の変化を読み、その時代の実態にあった政策を作ることのできない人が政策を作成していることなのだ。そして、景気回復の処方箋も、このような生活費の構造や価格弾力性の実態を知らず、調べてもいない人(多くは男性の政治家・行政マン・エコノミスト)が描いたものであるため、予定通りになど進まないのが当たり前なのである。

 なお、*1-2には、「日本経済において消費税増税後の消費回復が想定より遅れ、多くの民間エコノミストが2%前後のプラス成長を予想していたので驚きだ」とも書かれているが、実際には政府の消費税増税という意志とそれに従って経済予測を描いて見せた民間エコノミストやメディアの質と志の低さの問題である。それでも、「政府は法人減税や規制改革で成長戦略を加速すべき」「企業も生産性の上昇にあわせて賃金や配当の形で家計への還元を着実にすすめるべき」などとさらに企業側の治療法を示している。民間エコノミストがどういう形で責任をとるのか知らないが、仮に医師であれば、病気の原因や治療法を誤って患者の病気を治せなかったら、重大な責任を問われるところだ。

 また、*1-3のような「デフレ脱却」「脱デフレ」という言葉はよく耳にするが、賃金や年金の上昇率を超えるインフレ(物価上昇)は、全国民からこっそり税金を取って生活を苦しくさせているものであり、その資産や所得が移転される先は、政府や企業などの借金超過主体である。そして、これを指摘するメディアも民間エコノミストもあまりいないのは、彼らがこの巨大な虚構を作り上げることに協力しているからだ。

 さらに、政府は、景気刺激を口実に、一時的な「カンフル剤」としての公共事業を拡大させ続けてきたが、公共事業は東日本大震災の復興需要で十分に増えているため、未来に向けた街づくりを一生懸命やれば公共事業への支出は十分あり、景気浮揚のための一時的な「カンフル剤」などは生産性の低い無駄遣いにすぎなかったのである。

2)企業の63%が景気回復の遅れから再増税に否定的
 そのため、*1-5に書かれているように、帝国データバンクが10月末に実施した調査では、業績が比較的好調な大企業が集まる首都圏でも、消費税再増税に否定的な意見が6割を超えたそうだ。

(3)財政再建には消費税増税と社会保障削減が必要という仮説は正しいか
  
    消費税増税と税収・財政再建の関係               *6より
 *4-1では「政府が来年10月の消費再増税を先送りして、財政再建が一段と不透明になったので、増税分を財源に見込んでいた社会保障費の圧縮や無駄な歳出の削減を大胆に進めなければ、政府債務の膨張というツケを次の世代に回すことになる」と書かれており、これは消費税増税論者の典型的な論法だが、実際には、上の右側のグラフのように、前回の消費税増税時にも税収が増えているわけでもなく、財政再建に貢献して国債残高が減ったわけでもない。

 しかし、この「社会保障を削減せよ」という意見は、*4-2のように、経済諮問会議でも出され、安部首相も歳出抑制を指示しているのだが、「無駄遣いは社会保障なのか」という問いに答えるためには、役に立つ支出と節約できる無駄な支出の定義を明確に分ける必要があり、そのためには、(1)で書いた「どういう国を作れば国民が豊かで幸福になれるか」という命題に関する考察が必要なのである。

 そして、*4-3のように、「社会保障給付が108兆5568億円で過去最高になり、それに公費が投入されているから減らせ」というのは乱暴であり、私の代替案は、すでにこのブログに記載している。そして、このように消費税と社会保障を結び付ける論議が横行しているため、*4-4のように、日本医師会の副会長が「予定通りの消費再増税が国民との約束だ」と増税を求める見解を出す事態になっているわけだが、もともと消費税と社会保障は必然的に結びついているものではないのである。
 
(4)世代間抗争に持ち込んだのは、国民を分断して真の責任者が追及されないようにするためだ
1)年金積立金はどのようにして目減りさせられてきたか
 *5-3に「約130兆円ある公的年金積立金の運用における国内株式と外国株式の割合を倍増させ、合計5割程度にまで引き上げて、リスクを負って高収益を目指す」と記載されているが、厚生年金と国民年金の積立金運用を任されている「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」のような公的機関がこれまでやってきたことは、国民が責任を追及しない年金積立金でやりたい放題をやり、年金積立金を目減りさせてきたということで、(理由を長くは書かないが)その体質が変わったわけはない。

 そのため、このような公的機関が安全を無視してリスクをとれば、高収益より大損をする取引を行う可能性の方が高いため、大切な年金積立金は、元本割れを起こさないように、本来、80%以上を債権で運用するのが世界常識なのである。

 しかし、*5-3には、「今回の運用見直しは、低利回りの国内債券中心の配分では、物価上昇が進むと必要な年金資産を確保できなくなる恐れがある」と書かれており、年金資産の流入後、株式相場が落ち着いた後で運用により大損をしたらどうするかは考察されていない。つまり、年金積立金の権利者である国民を無視した議論なのである。

2)世代間抗争に落とし込んで責任回避する行政のずるさ
 このように展望のないやり方で失われてきた年金積立金は大きいが、*5-2のように、「世代会計が重要」「給付削減は若年者と将来世代には有利に」「小さな社会保障と自助努力への誘導を」という具合に、年金積立金の不足を世代間抗争に落とし込み、積立金不足を作った責任者は責任を逃れて、「今後の年金財政を維持するためには、収入(保険料)の引き上げか、支出(給付)の引き下げかのどちらかを実施しなければならない」と結論づけている。しかし、この手法は、現在の高齢者に対してのみ用いられるものではないため、現在の若者も、明日は我が身としてしっかり考えておくべきだ。

(5)不幸の源は何か、また、日本の民主主義は本物か
 *5-1に、30年以上にわたって日本政治を研究してきたカレル・ヴァン・ウォルフレン氏(日本に長く滞在したオランダ人ジャーナリスト、アムステルダム大学名誉教授)が、「看板政策であるアベノミクスのメッキが剥がれても、安部政権の失政は覆い隠され、このままでは日本に国家的危機が訪れる」「安倍政権がアピールする『官邸主導』の正体は、大メディアと官僚が作り上げた『虚構』だ」と指摘しているが、現在はそうであると私も思う。

 また、安倍首相がやっているのは、「決断を下したふりをし、日本に真の民主主義があると見せかけることである」というのも、今回の衆議院解散を見ても明らかだろう。日本の有権者は、メディアと官僚という、この国の意思決定を牛耳る「現状維持中毒者」の存在に気が付かなければならないというのもそのとおりで、ウォルフレン氏は、日本の政治に対して第三者の目で直視する論評を行った多くの本を出されているため、ここから先の考察は、主権在民の国である日本の有権者に任せたい。

<消費税と景気を関連づけた記事>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141117&ng=DGKKASFS17H0M_X11C14A1MM0000 (日経新聞 2014.11.17) 2期連続マイナス成長 7~9月年率1.6%減、個人消費回復鈍く 在庫調整で押し下げ
 内閣府が17日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.4%減、年率換算で1.6%減だった。4月の消費増税後の個人消費の停滞が長引き、2四半期連続のマイナス成長になった。これを受け、安倍晋三首相は18日、2015年10月に予定する消費税率10%への再引き上げを延期し、国民に信を問うために衆院を解散することを表明する。2四半期連続で設備投資が減ったうえ、在庫の取り崩しが成長率を年率換算で2.6ポイント押し下げた。個人消費の反発力が鈍かったうえ、輸出も力強さを欠き、在庫や住宅投資などのマイナス分を補いきれなかった。民間エコノミストの予想の中央値は前期比年率2.0%増だったが、それを大幅に下回った。名目GDPは前期比0.8%減、年率換算で3.0%減と、4~6月期に比べてマイナス幅が拡大した。国民の実感に近い名目ベースでみると、経済の落ち込みは7~9月期の方が大きい。GDPの6割近くを占める個人消費は、実質で前期比0.4%増と2四半期ぶりにプラス。ただ5.0%減だった4~6月期と比べると、反発力は鈍い。品目別では衣服やガソリンが伸びた一方で、消費増税前の駆け込み需要の反動が長引き、自動車や家電が落ち込んだ。住宅投資は前期比6.7%減と2四半期連続のマイナスだった。設備投資は前期比0.2%減と2四半期連続のマイナスになった。今年春に米マイクロソフトの基本ソフト「ウィンドウズXP」のサポートが終わり、1~3月期にパソコンの駆け込み需要が大きく出た反動からの立ち直りが遅れた。在庫投資は、増税後の消費落ち込みで企業が4~6月期に在庫を抱えた分、7~9月期は生産調整で在庫を取り崩す動きが出て成長率を押し下げる結果を招いた。調整が進んだことで、来期以降に企業活動が再び活発になる可能性もある。輸出は前期比1.3%増だった。米国や欧州連合(EU)向けが低迷したが、アジア向けは持ち直した。輸入は0.8%増。輸出から輸入を引いた海外需要の成長率への寄与度はプラス0.1ポイントになった。収入の動きを示す雇用者報酬は名目ベースで前年同期比2.6%増と、1997年4~6月期以来の高い伸びになった。ただ消費増税と物価上昇で、実質では前年同期比0.6%減になった。実質的な手取りの低迷が個人消費の足取りを鈍くしている。物価動向を総合的に示すGDPデフレーターは前年同期比2.1%上昇した。駆け込み需要があった1~3月期とその反動があった4~6月期の実質GDPの平均は実額で約530.0兆円。これに対し、7~9月期は522.8兆円と、1.4%減(年率換算で5.3%減)になった。経済の立ち直りが鈍く、7~9月は1~6月に比べてもマイナス成長になっている格好だ。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141118&ng=DGKKZO79835960Y4A111C1EA1000 (日経新聞社説 2014.11.18) 増税後の消費回復が遅れる日本経済
 4月に消費税率を5%から8%に引き上げた後の日本経済は、回復が想定よりも遅れているといわざるを得ない。内閣府が発表した7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前期比年率1.6%減った。4~6月期に続き2四半期連続のマイナス成長である。多くの民間エコノミストが2%前後のプラス成長を予想していたことからも、驚きだ。東京市場では株価が大幅に下落した。振るわなかったのは、個人消費だ。7~9月期は前期比で増加に転じたとはいえ、小幅の伸びにとどまった。自動車など高額の耐久財の購入が手控えられた。天候不順の影響でレジャーなどへの需要が落ち、サービス消費も足踏みした。設備投資や住宅投資も減った。公共投資や輸出は持ち直したものの、実質経済成長率をプラスにするほどの力はなかった。しかし、景気の先行きを過度に悲観する必要はないだろう。マイナス成長の最大の要因は、在庫投資の大幅な減少だ。在庫投資の分を差し引けば、プラス成長を保つかたちだ。在庫が増えれば成長率を押し上げる。逆に在庫が減れば成長率を押し下げる。企業は7~9月期に、4月の消費増税後に膨らんだ在庫を減らした。在庫調整の進展により先行きの生産は持ち直す兆しがある。賃金総額を示す名目雇用者報酬の伸び率はほぼ17年ぶりの高さとなった。高水準の企業収益を背景に、企業が雇用・賃金を増やす好循環の動きは続いている。民間エコノミストの間では10~12月期以降の実質成長率はプラスに転じるとの見方が多い。安倍晋三首相は7~9月期のGDP統計を踏まえて10%への消費再増税の延期を決める意向だ。再増税の是非は10~12月期以降の景気の足どりを確認してから最終判断する手もあったのではないか。2四半期連続で実質成長率がマイナスになるなかで、いま再増税を決めるのが難しいのはたしかだろう。大事なのは、デフレ脱却に向けた好循環の動きを途切れさせないことだ。政府は法人減税や規制改革で成長戦略を加速すべきだ。企業も生産性の上昇にあわせ、賃金や配当の形で家計への還元を着実にすすめてほしい。

*1-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141119&ng=DGKKASFS18H4Y_Y4A111C1EA2000 (日経新聞 2014.11.19) 脱デフレ優先、財政ゆがみ、首相、消費増税先送り表明 「雇用・賃金が重要」
 安倍政権の経済政策、アベノミクスが試練を迎えている。安倍晋三首相は18日、景気失速を防ぎ、脱デフレを確実にするために消費再増税を先送りすると表明したが、財政再建が遅れる危うさもはらむ。経済成長と財政再建、社会保障の安定という三兎(さんと)をどこまで追えるのか。日銀の金融緩和に支えられる形でアベノミクスのまきなおしを探る展開だ。「雇用が拡大し賃金が上昇し消費が拡大していく。2015年10月に消費税率を上げると個人消費が再び押し下げられる。税率を上げても税収が増えなければ元も子もない」。政権発足から2年近く。第1の矢である日銀の異次元緩和は円安株高を呼び、第2の矢である公共事業拡大は地方経済を刺激した。しかし、一時的な「カンフル剤」では、今年4月の消費増税による消費の冷え込みを乗り越えられなかった。7~9月の実質国内総生産(GDP)は年換算で523兆円。アベノミクスが始まった13年1~3月の水準に逆戻りした。首相が描くのは、デフレから抜け出して経済のパイを広げ、税収を自然と増やして財政再建をなし遂げる姿だ。起点となる脱デフレは失敗できない。増税や物価上昇による賃金の目減りで消費者心理が曇るのを目の当たりにした首相は「予定通りの増税は脱デフレを危うくする」と指摘した。増税先送りで15年度は1.5兆円、16年度は4兆円のお金が消費者の財布に残る。経済対策とあわせ個人消費を下支えし景気再浮揚を急ぐ構えだが、財政支出による「第2の矢」の印象はぬぐえない。第3の矢である成長戦略は、柱の法人減税は15年度からの実施が決まった段階。円安でも輸出は伸びず、生産が増えないから国内設備投資の伸びは鈍い。増税先送りや経済対策で成長と財政再建を両立する軌道に乗せられるかは別問題だ。

*1-4:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS17H14_X11C14A1EAF000/?dg=1
(日経新聞 2014/11/17) 誤算のマイナス成長 弱い消費、V字回復逃す
 7~9月期に2四半期続けてマイナス成長に落ち込んだ日本経済には、国内外の需要に大きな誤算があった。家計は4月に消費税率が上がって所得が目減りしたことで節約に走り、消費の足取りが鈍化。企業は海外生産拠点から海外市場に製品やサービスを直接出す体制を整え、輸出が伸びなかった。在庫調整の進展が成長率を押し下げた影響も大きく「V字回復」を実現できなかった。「7~9月はプラス成長に戻るだろう」。大幅なマイナス成長になった4~6月の国内総生産(GDP)発表後に広がっていた楽観的な見方は覆された。先週までに7~9月のマイナス成長を予測した民間調査機関はゼロ。前期比1%弱の伸びとみられた個人消費は0.4%増にとどまり、プラス予想が多かった設備投資は2四半期続けて減るなど、内需は民間の予想ほど振るわなかった。個人消費の「誤算」を招いたのは、物価の上昇だ。消費増税、円安による輸入品の値上がり、天候不順による野菜の値上がり。7~9月の消費者物価は持ち家の家賃にあたる分を除いて前年比で4.0%上がり、これを引いた実質賃金は2.5%減った。15年ぶりの高い賃上げや夏のボーナス増も物価の上昇分に追いつかない。外食への支出も減り、節約の意識がにじみ出た。17年ぶりに消費税率が上がったことで内需の落ち込みはそれなりに予想できた。「誤算」の度合いをより強めたのは、大幅な円安なのに伸びない輸出だ。2015年3月期は輸出企業を中心に過去最高の経常利益を見込む勢いだが、7~9月の実質輸出は前期比1.3%増にとどまる。08年のリーマン・ショックと1ドル=80円を超える円高は、経営者に国内生産に頼る危うさを刻みつけた。足元で生産や調達の海外移転を急速に進めているのが日本の輸出額の2割を占める自動車産業だ。今年は好調な北米市場への供給をメキシコなどでの生産で賄う。電子部品・デバイスの輸出向け出荷が7~9月に前年比6.0%増えたことを考えると、円安でも自動車輸出が伸びないことは大きな誤算だ。内外需の誤算は、政府に経済政策の見直しを迫る。内閣府が7月にまとめた14年度の実質成長率見通し1.2%を達成するには10~12月と来年1~3月にそれぞれ前期比3.1%の成長が必要だが、達成は難しい。ただ7~9月期のGDPでは、企業が在庫の取り崩しを進めたことが前期比マイナスを招いた最大の要因だったことも事実だ。在庫調整が一巡すれば、需要に応じて生産が回復していく姿を描くことも可能だ。雇用者数は前年比1%程度の伸びが続き、働く人の報酬総額にあたる名目雇用者報酬は大きく伸びた。失業率は低く、求人倍率も高水準で安定している。所得を伸ばし、企業の投資を国内に呼び込む。政府は好循環の兆しが途切れる本当の「誤算」を招く前に、消費増税が浮き彫りにした内外需の誤算にしっかり向き合う必要がある。

*1-5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141119&ng=DGKKZO79873690Y4A111C1L83000 (日経新聞 2014.11.19) 企業の63%、再増税に否定的 1都3県
 帝国データバンクが10月末に実施した調査によると、首都圏1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)の企業の63.2%が予定通りの消費税率再引き上げに否定的だった。同社は「業績が比較的好調な大企業が集まる首都圏でも(否定的な意見が)6割を超え、景気回復のシナリオは当初予定通りに進んでいない」と分析している。調査では卸売業や製造業など3452社から回答を得た。消費税率10%への引き上げの是非を聞いたところ、「時期を延期して引き上げるべきだ」(30.9%)、「現状の8%を維持」(25.8%)、「引き下げるべきだ」(6.5%)の合計が6割を超えた。「2015年10月に引き上げるべきだ」との回答は27.7%にとどまった。全国調査(1万755社から回答)でも66.1%が再引き上げに否定的。否定の理由では、経済・物価動向や企業業績を挙げる声が目立った。

<財政再建と消費税増税を関連付けた記事>
*2:http://qbiz.jp/article/50196/1/
(西日本新聞 2014年11月19日) 増税延期はいばらの道 財政健全化困難に
 安倍晋三首相が18日、衆院解散と消費税率10%への引き上げを1年半延期することを表明したことで、2015年度税収は大きく落ち込み、社会保障費など歳出面への影響が不可避になった。首相が指示した経済対策もばらまき色が拭えず、政府の財政再建目標達成への道筋はさらに厳しさを増している。「消費税を10%に上げ、その増収分を社会保障に充てる計画でやってきた。大事な決断をしなければならないと思っている」。塩崎恭久厚生労働相は18日の記者会見で、15年度の社会保障予算について、事業の絞り込みなどが必要になるとの見通しを示した。消費税増税による増収分は、全額を社会保障の充実に充てることが決まっている。政府は5%から10%への2段階の増税による増収を年14兆円と見込み、15年度の社会保障充実の財源は約1兆8千億円になる計画だったが、再増税の延期で4500億円減る見込み。厚労省が15年4月からの実施を計画している子育て支援新制度や介護制度の充実などは、一部先送りや事業の縮小を迫られる。政府が掲げる国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を20年度までに黒字化する目標について、首相は「堅持する」と明言した。だが、目標は15年10月に消費税率が10%になるのが前提。今年7〜9月期の国内総生産(GDP)の実質成長率が2四半期連続でマイナスになるなど、景気の下振れ感が強まる中、目標達成はいっそう困難になったとの見方が強まっている。
   □    □
 安倍首相が指示した経済対策は、低所得者への商品券配布など低迷する消費刺激策が中心だ。景気の腰折れを防ぐ狙いだが、物価上昇で消費者の節約志向が強まる中、「一時的に消費を押し上げるだけで、力強い成長にはつながらない」(エコノミスト)と効果を疑問視する声もある。経済対策を盛り込んだ14年度補正予算案は3兆円規模に上る見込みだが、4月の消費税増税の際に実施した約5兆5千億円の経済対策は景気の下振れを防げなかった。学校施設耐震化や護岸補修といった公共事業の積み増しが人手不足や資材高騰を招き、民間投資を圧迫する弊害も出ている。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「経済対策はやめた瞬間に景気が悪くなる。やめることができなくなり、財政規律が働かなくなる懸念もある」と指摘した。

<消費税増税と“身を切る改革”を関連付けた記事>
*3:http://digital.asahi.com/articles/ASGCD61XWGCDUTFK00G.html
(朝日新聞 2014年11月13日) 増税・定数削減、3党合意の行方 国民との約束は
 安倍晋三首相が年内の衆院解散・総選挙の方針を固めたことで、2015年10月の消費税率10%への引き上げに加え、政治家自らが「身を切る改革」としていた衆院議員の定数削減も見送られることになりそうだ。前回の総選挙前、自民、公明、民主3党が難航の末に合意にこぎ着けた国民との約束は、いったいどうなるのか。
■増税、先送り繰り返す懸念
 「解散や選挙で時間とお金をかけている時ではない。(消費税は)計画通りに引き上げるべきだ」。「財界総理」として安倍首相と親密な関係を築いてきた経団連の榊原定征会長は12日、記者団に対し、衆院解散・総選挙の動きに疑問を呈した。不動産協会の木村恵司理事長(三菱地所会長)も12日の記者会見で「何のために選挙をするのか意味がわからない」と語り、「(再増税を)延期するなら粛々とやればいい。選挙より政策を」と注文した。来年10月の再増税を定めた消費増税法は、景気が想定以上に悪くなれば、増税を先送りしたり、やめたりできる「景気条項」が盛り込まれている。仮に景気が悪いという理由で再増税を先送りするなら、法律の改正案を国会に提出して審議するのが筋とも言える。必ずしも解散で「信を問う」理由にはならない。08年秋の「リーマン・ショック」。当時の麻生太郎首相(現財務相)は、国内外の需要が冷え込み、景気が急速に悪化していく状況を踏まえ、9月の就任当初から念頭にあった衆院解散を封印して、経済対策を最優先させた。消費増税は、歴代政権が先送りしてきた「不人気政策」の代表格だ。1997年に5%に上げてから17年間で、日本経済の「長期停滞」による税収の落ち込みと、度重なる大型の景気対策によって国の借金は膨らみ、財政は先進国で最悪の状況になった。麻生氏は2年前に増税法が成立した時の民主、自民、公明の「3党合意」について、12日の衆院財務金融委員会で「財政史で一番残るほどのものと評価している」と答弁した。3党合意時、増税を先送りするのは「リーマン・ショックや東日本大震災のような場合」(民主党政権の安住淳財務相)というのが、3党の共通認識だった。3党合意の2年前に比べれば株価はほぼ2倍になり、雇用情勢も改善した。17日発表の7~9月期の国内総生産(GDP)の実質成長率も民間予想の平均で年率2・47%のプラス成長が予想されている。この状況で再増税を先送りすることになれば、期限を区切った先送り案であっても、再び先送りされる可能性が残る。財務省幹部の一人は「永遠の先送りになりかねない」と危機感を募らせる。先送りすれば、再増税を前提にした社会保障改革や財政再建プランも練り直しを迫られる。国と地方の政策予算の赤字を、GDPに対する比率で15年度に10年度比で半減、20年度にゼロにするという世界各国に掲げてきた日本の財政再建目標も達成が難しくなる。12日の東京金融市場は増税先送りの観測に「二つの反応」を示した。株式市場では「当面の景気に追い風」との期待から日経平均株価の終値は1万7197円05銭と年初来高値を更新。一方、国債を売買する債券市場では「財政再建が遠のく」との見方から国債が売られ、長期金利は一時、前日終値より0・04%幅上がり、10月1日以来の高さとなる0・53%をつけた。
■定数削減「身を切る」約束は
 解散で実現が不透明になるもう一つは、消費増税という国民への痛みと同じように、政治家自身も身を切る、としていた衆院議員の「定数削減」だ。「身を切る改革としての定数削減という約束を放り投げる無責任な解散だ」。民主党の枝野幸男幹事長は12日、国会内で記者団にこう述べた。維新の党の江田憲司代表も11日の党会合で「約束をほごにした解散・総選挙は、大義がない」と訴えた。野党がここまで批判するのは、衆院議員の定数削減は、かつて安倍首相自らが約束したものだからだ。12年11月の党首討論。民主党政権の野田佳彦首相は衆院解散と引き換えに、消費増税とそれに伴う衆院の定数削減について「必ず次の国会で定数削減する。ともに責任を負うことを約束して欲しい」と、野党自民党の総裁だった安倍氏に迫った。その後、安倍氏もこれに合意したため、野田氏は約束通り衆院を解散して、自民党は政権を奪還した。しかし、政権交代後、身を切る改革の機運は一気にしぼんだ。与野党は約30回にわたって、定数削減など選挙制度改革を話し合ったが、各党の勢力の消長に直結するだけに政党間の協議が難航したのだ。小選挙区のほとんどに現職議員がいる自民党は、一票の格差を是正するための「0増5減」の調整でさえ手を焼く状態。多くの議員が議席を失う小選挙区の定数削減には消極的だった。その一方で、比例区の議席の割合が多い少数政党は、比例区部分の定数削減に反対。今年4月に消費税率が8%に上がった後も、妥協点は見つからなかった。このため、共産、社民両党をのぞく与野党は今年9月、伊吹文明議長のもとに設けた第三者機関「衆議院選挙制度に関する調査会」に調整を預けたが、定数削減の議論は後回しに。調査会の答申には拘束力もなく、実行される保証はない。ここで首相が解散に踏み切れば、任期中に約束した定数削減ができなかったばかりか、3党合意から時間がたち、新たに選出された議員の間で、定数削減への機運が一層薄れることも予想される。野党側は、定数削減ができなかった責任を首相や自民党に押しつける形で批判を強めている。自民党幹部の一人は「解散にあたって一番気になるのは、定数削減をしていないことだ」と警戒する。
     ◇
 〈景気条項〉 消費増税を決めた税制抜本改革法(12年8月成立)の付則で、増税に踏み切る条件や手続きを定めた条項。「経済状況の好転」を増税の条件とし、政府が増税前に「経済成長率や物価動向等を確認」することや、「経済状況を総合的に勘案し、停止を含め所要の措置を講じる」ことなどを定めている。「好転」といえる経済成長率の目安として、20年度までの10年間平均で「名目3%」「(物価変動を除く)実質2%」と示している。

<財政再建には社会保障削減が必要と説く記事>
*4-1: http://www.nikkei.com/article/DGXLZO79784830X11C14A1NN1000/
(日経新聞 2014/11/17) 増税先送り、財政目標達成危うく 歳出削減カギ
 政府が来年10月の消費再増税を先送りする方向で最終調整に入り、財政再建の道筋が一段と不透明になってきた。2015年度までに財政の赤字幅を半減する目標の達成が危うくなり、20年度の黒字化の実現もさらに難しくなりそうだ。増税分を財源に見込んでいた社会保障費の圧縮や無駄な歳出の削減を大胆に進めなければ、政府債務の膨張というツケを次の世代に回すことになる。「仮に(消費税率の)10%引き上げがない場合には目標達成は厳しくなるだろう」。麻生太郎財務相は14日朝、消費再増税を見送れば国際会議の場などで繰り返し表明してきた財政健全化目標の達成に黄信号がともるとの認識を示した。来年10月の再増税を前提にした政府の試算によると、15年度の基礎的財政収支の赤字は国内総生産(GDP)比で3.2%で、半減目標(3.3%)を何とか達成できる水準だ。ただ、目標を上回る幅はわずか0.1%分。金額にすると7千億円程度とされ、目標達成は綱渡りといえる。そこに、消費再増税の17年4月への先送りが加わるとどうなるか。15年度に税率の引き上げで増えると見込んでいた消費税収は1兆5千億円なので、単純にこの分だけ税収が減ると考えれば、目標達成は難しくなる。もっとも、黒田日銀による大胆な金融緩和の影響で円安が進み、企業の利益は金融危機前の過去最高益に迫っている。このため、消費税以外の税収は政府の従来見通しよりも1兆~2兆円規模で上振れているとの指摘がある。15年度も好調な企業業績が続くとすれば「再増税を見送っても赤字半減目標は達成できる」(経済官庁幹部)との強気の見方もある。確実に言えるのは、目標を達成できるとしてもぎりぎりの水準で、大規模な補正予算を組んだり、当初予算に大胆な景気刺激策を盛り込んだりする余地は小さいということだ。財務省幹部は「増税見送りが最大の景気対策なのだから、仮に見送るなら経済対策は最小限に抑えられる」と話す。試金石になるのが、14年度補正予算案と15年度当初予算案だ。14年度に組んだ補正予算でも、執行が来年度になる部分は来年度の収支に響いてくる。衆院の解散・総選挙になれば、各党が派手な景気対策を競う展開も予想される。政府はいまのところ14年度補正を3兆円規模に抑える方針だが、抑制姿勢を貫けるかが焦点になる。予算膨張の兆しもある。増税とセットのはずだった子育て支援などの社会保障の充実は、15年度からほぼ予定通り実施する方向だ。15年度の充実策に必要なお金は今年度より1兆3千億円多い1兆8千億円で、最終的には2兆8千億円に膨らむ。政権内では「再増税が実現するまでは赤字国債を発行すればよい」との声が飛び交っている。再増税を先送りした場合、17年4月に確実に税率を上げられるか。それまでにどこまで歳出を削り込めるのか。政府は15年度の赤字半減だけでなく、20年度の黒字化も約束している。公約実現に向けた重い課題を政府は背負うことになる。

*4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141002&ng=DGKDZO77836420S4A001C1EE8000 (日経新聞 2014.10.2) 社会保障改革「聖域なく」 、諮問会議、中長期の財政再建が焦点 首相、歳出抑制を指示
安倍晋三首相は1日の経済財政諮問会議で「社会保障支出も含めて聖域を設けず議論を進め、歳出抑制にしっかり取り組んでほしい」と表明した。年金改革のほか医療・介護など社会保障サービスの給付抑制に踏み込む姿勢を示した。来年10月に消費税を10%に引き上げても、国際公約の財政健全化目標の達成は難しいのが現実で、改革論議の成否が焦点になる。「経済再生と財政健全化の両立は来年度予算のみならず、中長期の視点から極めて重要な課題だ」。首相は会議で中長期の財政再建を指示した。伊藤元重東大教授ら民間議員も「経済と財政、社会保障の整合性を確保しつつ、今後10年程度の展望と道筋を示すべきだ」と、具体策づくりの必要性を訴えた。政府は2020年度までに、公共事業費などの政策経費を税収や国有資産の売却益などでまかなえるように、基礎的財政収支を黒字化する目標を掲げている。国債の利払いのための国債発行は認めるため、政府の債務残高は減らない。財政目標としてはハードルが低いといわれる。それでも、内閣府の試算では、来年10月に消費税率を10%に引き上げ、かつ、経済が年3%程度の高成長を続けても収支の黒字は難しいという。首相が「聖域なく」と言ったのは、医療・介護などの社会保障費の膨張に歯止めをかけるのが難しいからだ。直近の歳出は30兆円規模と公共事業の5倍、国の予算(14年度は95.9兆円)の3割強を占める。政府は消費税を5%から10%に引き上げる税と社会保障の一体改革をまとめた際にも、高齢者の窓口負担の引き上げ、高額療養費の高所得者の負担増など社会保障改革を盛り込んだプログラム法をつくった。病院の入院日数の短縮や、外来受診の抑制ができれば効果は大きいとされるが、抜本対策にはほど遠い。「ポスト一体改革に取り組む必要がある」。この日の諮問会議で民間議員は主張した。社会保障費の抑制に向け、大きな効果を期待できそうなのが、医療費の支出上限目標の設定だ。1人あたり国民医療費で都道府県間の差は約1.6倍あるともされる。都道府県ごとに数値目標を示してもらい、過度なサービス抑制につながるとみる。民間議員は来年度予算に反映させるという「結論」を迫った。高齢者の医療や介護にかかる費用を経済力に応じて負担してもらうようにする見直しも求めた。それでも財政再建が難航すれば、消費再々増税が必要になるとの声も今後、出てくることが予想される。

*4-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11450296.html?_requesturl=articles%2FDA3S11450296.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11450296 (朝日新聞 2014年11月12日) 社会保障給付、108兆5568億円 過去最高、介護は6.4%増 12年度
 2012年度に年金や医療、介護などに支払われた「社会保障給付費」は108兆5568億円だった。高齢化の影響で、介護を中心に前年度より1兆507億円(1・0%)増えた。統計を取り始めた1950年度以降、過去最高を更新し続けている。国立社会保障・人口問題研究所が11日に発表した。社会保障給付費は社会保険料や公費が財源で、国民1人当たりだと、前年度より1万100円(1・2%)増え85万1300円だった。部門別にみると、年金が前年度比1・7%増の53兆9861億円で最も多く、全体の49・7%を占めた。医療は同1・6%増の34兆6230億円だった。介護や生活保護、児童手当などの「福祉・その他」は、同2・1%減の19兆9476億円だった。東日本大震災の災害救助費などが減ったことが主な要因という。ただ、介護対策だけだと8兆3965億円で、前年度より6・4%増と高い伸びになった。介護報酬のプラス改定と受給者の増加が影響した。

*4-4:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL13H6Z_T11C14A1000000/
(日経新聞 2014/11/13) 日本医師会副会長、予定通りの消費再増税「国民との約束」
 日本医師会の今村聡副会長は13日、2015年10月に予定されている消費再増税について有識者の意見を聞く政府の点検会合で、「(15年)10月に消費税率をしっかり引き上げて社会保障財源に充てることは国民との約束だ」と述べ、予定通りの税率引き上げを求めた。会合終了後、首相官邸で記者団に語った。今村氏は「社会保障と経済は相互作用の関係にあり、経済成長がなければ税収が(増えず)保険料の増加につながらない。社会保障の発展が生産や雇用の誘発効果を通じて日本経済を支えている」と強調した。一方、筑波大の宍戸駿太郎名誉教授は「(消費税率の)引き上げは必要ない」と主張し、10%への税率引き上げ自体に反対の立場を示した。「本格的に成長加速のためのアベノミクスがスタートして成長が加速すれば、税収が増えて(税率を引き上げる)必要がなくなる」と指摘。そのうえで「問題は社会保障の収入がほしいから消費増税をすると言っていることだ。その収入よりもさらに高い自然増収が出ればそれで十分だ」との持論を述べた。

<世代間抗争に落とし込み、責任者が責任を逃れる記事を暴く>
*5-1:http://news.livedoor.com/article/detail/9477566/ (週刊ポスト2014年11月28日号  2014年11月17日) ウォルフレン氏 大メディアが危険なのは事実を創造するから
 看板政策であるアベノミクスのメッキは剥がれ、「主張する外交」は世界から全く相手にされない。それでも安倍政権の失政は覆い隠される。このままでは日本に国家的危機が訪れると指摘するのは、30年以上にわたって日本政治を研究してきたカレル・ヴァン・ウォルフレン氏(アムステルダム大学名誉教授)だ。同氏は安倍政権がアピールする「官邸主導」の正体は、メディアと官僚の作り上げた「虚構」だと喝破する。
      * * *
 日本人は「安倍首相の果たしている役割」は何だと考えているだろうか。「決断を下すこと」だとすれば、それは全くの間違いだ。安倍首相がやっているのは「決断を下したフリをすること」であり、「日本に真の民主主義があると見せかけること」である。日本の有権者は何よりもまず、この国の意思決定を牛耳る「現状維持中毒者」の存在に気が付かなければならない。それはメディアと官僚である。私は30年以上にわたって日本政治を研究してきたが、安倍政権の誕生から約2年が経ち、一時期の日本政治に芽生えかけた改革の機運は消え失せてしまったように見える。政治主導は建前となり、官僚組織が意思決定を独占し、「首相が決断しているかのような虚構」を大メディアが伝える。安倍政権の看板政策であるアベノミクスにしても、安倍首相ではなく一部の財務官僚が主導したものであり、株価など数字の上での見せかけの景気回復をメディアが煽っただけだ。日本の大メディアが国民にとって非常に危険なのは、彼らが「事実を創造する」からだ。官邸を取り巻いた反原発デモや消費増税などの政策に対する抗議活動が大メディアで報じられることはほとんどなかった。今年6月末には、集団的自衛権に関する憲法解釈を変えようとする安倍政権に抗議して、男性が新宿駅前で焼身自殺を図った。民主主義を重んじる国ならトップで報じられて当然のニュースだが、NHKは無視し、他の主要メディアもほとんど報じなかった。メディアは本来、権力を監視し、民主主義を守る役割を果たさなければならない。しかし、日本の大新聞やNHKがやっていることはむしろ逆だ。日本国民が国内外の現実を正しく理解する妨げとなっている。「社会秩序の維持」を優先しようとし、変革につながる刺激的な事象は黙殺する。あるいは自ら進んで変革の芽を摘もうとする。
【プロフィール】1941年、オランダ生まれ。ジャーナリスト、政治学者。NRCハンデルスブラット紙の東アジア特派員、日本外国特派員協会会長を歴任。『日本/権力構造の謎』『人間を幸福にしない日本というシステム』などのベストセラーで知られる。

*5-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140930&ng=DGKDZO77687490Z20C14A9KE8000 (日経新聞 2014.9.30) 給付削減こそ国民目線
吉田浩 東北大学教授 (1964年生まれ。一橋大大学院博士課程単位取得退学。専門は加齢経済)
<ポイント>
○世代会計は受益者側から真の負担を評価
○給付削減は若年者と将来世代には有利に
○「小さな社会保障」と自助努力への誘導を
 2014年の公的年金の財政検証は、出生率や様々な経済変数に中位の数値を用いた試算(ケースC)で、将来の所得代替率(現役世代の可処分所得に対する年金受給額の比率)が51.0%と当初計画の50%を上回った。04年の年金制度改革で示した基本的な枠組みは堅持されているというメッセージである。しかし、財政検証は主に年金を支給する国の立場から年金財政の持続可能性をみたものであり、受給する国民への情報としては不十分といえる。年金の「加入者」に重要なのは、自分が払い込んだ年金保険料に対し、どれだけの給付が受けられるかである。「自分が年金を受給する時点での他の世代の手取り収入」が基準となる所得代替率の情報は、2次的なものといえる。さらに今後は最高18.3%に達するまで保険料を徐々に引き上げる一方、高齢化に合わせて自動的に給付を抑えるマクロ経済スライドにより給付額は年々減っていく。受給者からみれば、より後に受給が始まる世代ほど、より高い保険料で、より低い受給額となることを意味する。国民の立場では「年金財政が維持できるか」よりも、個々の加入者にとって年金の保険数理が公平(フェア)か、生まれ年や受給開始年が異なる世代間で公平か、という情報こそが重要なのである。年金に限らず国の財政政策の本質を見抜くには、一時的な負担面・受給面だけを取り出すのではなく、生涯での負担と受給を個人の視点から把握する指標が欠かせない。この観点から、経済政策の影響を評価するために米財政学者、アラン・アゥアバック氏、ローレンス・コトリコフらが1990年代初めに提唱した指標が「世代会計」である。世代会計は、世代(生まれ年)別に各個人の税・社会保障負担と社会保障受給を生涯で集計し、通算して生涯での純税負担を計算したものである。政府の側の予算制約も守られるように設計されており、政府債務を膨らませつつ「ばらまき福祉」で見かけ上の受益を増やしても、将来の借金返済のための増税負担が必ず負担面にカウントされる仕組みとなっている。したがって、朝三暮四の政策の嘘も露見してしまうのである。日本の政府債務は既に1000兆円を超え、歴史的にも国際的にも飛びぬけた水準にある。超高齢社会を前に、社会保障、なかでも年金の改革なしには将来世代の負担は限界を超えた水準に膨らむと考えられる。国民の側に立った真の年金改革には、世代会計の視点が必須といえる。まず、現在提案されている支給開始年齢の引き上げについて考えてみよう。現行の65歳を68歳または70歳とすることによって、将来の支給開始時点での所得代替率が高まるといった試算や、年金財政に余裕が生まれることでマクロ経済スライドによる給付削減をより緩やかにできるという試算が得られたとしても、受給者側の生涯の実質的受給額は減少することになるため、世代会計の上では必ずしも改善とはならない。なぜなら、支給開始年齢を70歳に引き上げた場合、支給期間を65歳からの15年間とすると、5年間の支給停止は実質的に年金の3分の1を失うことに等しいからである。政府はその情報をセットで示さなければならない。また、年金加入者のパート職への拡大は、就業形態の選択によって年金制度の適用・不適用の差異をなくす意味での公平性は評価できる。しかし、世代会計では初期には政府の保険料収入の拡大につながるが、将来での、その加入者に対する年金給付までをも加味した試算が必要である。逆にパート加入者に対しても、初期の保険料負担が、将来のどの程度の年金受給によって、どのくらいカバーされるのかを示すことが、世代会計の観点からは重要な情報提示といえる。次に、今後の年金財政を維持するためには、収入(保険料)の引き上げか、支出(給付)の引き下げかのどちらかを実施しなければならない。この構造は、国全体の政府債務の削減についてもあてはまる議論である。そのどちらの方法をとっても、政府の年金会計の収支にとっては改善の試算が得られる。しかし、世代会計で評価すると、両者はまったく異なる影響を持つものとなる。まず保険料や税負担の増加によるパターンは、世代会計では現在の高齢者世代にとって有利な改革となる。なぜなら、高齢者は一般に所得税の負担などが少なく、主に若年世代の負担によって年金給付額が維持される改革となるからである。逆に年金給付額の削減のパターンは、世代会計の上では現在の若年者世代と将来世代にとって有利な改革となる。なぜなら、たとえ自らの将来の年金受給が引き下げられたとしても、その分は保険料や税の負担の増加が抑制されるというメリットで相殺されるほか、さらに現在の高齢者に対する支給の負担分も同時に軽減されるという効果があるからである。筆者が00年時点の世代会計の推計結果から04年の制度改革を評価したところ、保険料を一定水準で固定する改革の実施によって、現役世代(00年時点の0歳)と将来世代の純負担の差は7200万円弱となり、改革をしない場合より、400万円超拡大するという結果となった。これは現役世代の負担を軽くする一方、積立金を取り崩して足りない財源を捻出することで、最終的には将来世代の負担を拡大させるためである。次に、マクロ経済スライドによる給付抑制を実行した場合、現役世代と将来世代の純負担の差は6500万円弱となり、何もしない場合に比べて200万円強縮小した。これは給付抑制によって現役世代の純負担がやや拡大する半面、将来世代の純負担はむしろ縮小するためである。したがって世代会計の上からは、世代間不均衡が拡大せぬよう給付を引き下げ、小さな政府ならぬ「小さな社会保障」への道を軸に改革を進め、同時に、民間の金融資産運用による代替的な自助努力への誘導を選択すべきである。最後に、財政再計算における保険料負担と国庫負担について言及する。今回の財政検証は04年の年金改革の枠組みに基づき、基礎年金の2分の1が国庫負担によってまかなわれる前提で試算している。もし、将来の基礎年金の全額を(例えば消費税のさらなる増税によって)国庫負担でまかなう改革が提案された場合、保険料の引き上げも給付の引き下げもせず、年金を「安定的に」持続でき、どの世代にも改善をもたらす改革であると試算することは可能である。しかし、世代会計の上からは、国庫負担は必ず納税者の誰かの負担であるから、加入者の拠出負担としてカウントされることになる。04、09年と過去2回の財政検証の最終報告書では、生まれ年別の生涯負担と生涯受給の試算が示されていた。しかし、その試算には、国庫負担を通じた国民の負担分や保険料の雇用主負担分が加味されていない。このため見かけ上は、年金はどの世代においても受給が負担の2倍を上回る高い利回りが示されていた。しかし、筆者が世代会計の考えに基づき、そうした負担までを加味して試算したところ、実質的な利回りは0.9倍程度と推定された。このように、今後の年金改革の議論には、こうした隠れた負担も正確に加味して「いつ時点の誰のどのような負担によって、いつ時点の誰の受給がどのように変化するのか」を世代別に生涯の負担と受給で示す必要がある。そのことが、痛みにみえる改革が実は痛みではないこと、また逆に負担軽減にみえる改革が実は軽減になってはいないことを明らかにするのである。

*5-3:http://digital.asahi.com/articles/ASGB03CT5GB0UTFL001.html?_requesturl=articles%2FASGB03CT5GB0UTFL001.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGB03CT5GB0UTFL001(朝日新聞2014年10月31日)年金の運用、株式比率を倍増へ リスク負い高収益目指す
 約130兆円の公的年金の積立金の運用基準見直しを検討する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が、国内株式と外国株式の割合を倍増させ、合わせて全体の5割程度にまで引き上げることが分かった。安全重視から、リスクをとりながら高収益を目指す運用にかじを切る。31日午後にも発表する。従来の運用基準は、国内債券が60%を占め、国内株式と外国株式は12%ずつとなっている。ほかは外国債券が11%、現金などの短期資産が5%だ。新たな基準では、国内株式と外国株式をそれぞれ20%台半ばにまで増やし、国内債券を大幅に減らす。GPIFは厚生年金と国民年金の積立金運用を任されている。今回の運用見直しは、低利回りの国内債券中心の配分では、物価上昇が進むと必要な年金資産を確保できなくなる恐れがあるためだ。株価を重視する安倍政権の意向に沿った見直しでもある。昨年6月に決めた成長戦略に「公的資金運用のあり方」の検討が盛り込まれていた。国内株式の割合を1%幅買い増すだけで1兆円兆が株式市場に流れ込み、株価を押し上げる。運用基準には相場変動を想定した一定の許容幅があるので、6月末時点の国内株式の比率は約17%になっている。基準の変更はGPIFが2006年に設立されてから、昨年6月に続き2度目となる。


PS(2014.11.23追加):*6のように、高濃度汚染水がたまる福島第一原発の地下トンネル対策は、これまで凍結止水を試みたり、作業員が被曝と闘いながら24時間態勢で氷を投入したりしていたが、当然、凍結しなかった。そのため、内部に汚染水が残ったままセメントを流し込んで埋めることを決めたそうだが、この凍土壁には数百億円規模の税金が投入されたのである。そして、「この結果は想定外で、この数百億円規模の税金は必要な支出だった」と考えるレベルの人には、原発を語る資格はない。

*6:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014112202000104.html (東京新聞 2014年11月22日) 【福島原発事故】セメントで閉鎖、月内開始 福島第一、来月下旬に状況確認
 東京電力は二十一日、高濃度汚染水がたまる福島第一原発の地下トンネルを、内部に汚染水が残った状態のまま特殊なセメントを流し込んで埋めることを決めた。月内に作業を始め、十二月下旬に原子力規制委員会の検討会で、きちんと閉鎖できたかどうかチェックする。うまくいけば、2号機のトンネルだけで五千トンある汚染水が海に流出するリスクが大幅に減る。新たな作業では、汚染水を抜き取りながら特殊なセメントを注入し層を重ねる。年内にトンネル本体を埋める作業を終え、年明けから来年三月にかけ、四カ所の立て坑部分も埋める。トンネル対策ではこれまで凍結止水を試み、作業員が被ばくと闘いながら二十四時間態勢で氷を投入。汚染水を冷やし、凍結管で建屋との接合部を凍らせ、汚染水を抜いた後に埋める計画だった。だが、凍結がうまくいかず、水中で薄く広がる特殊なセメントが開発されたこともあり、従来の工法を断念した。二十一日の検討会では、専門家から「トンネルの底には津波時の砂がたまっており、セメントが固まった後の水の通り道にならないか」などの懸念も出た。ただ、トンネルの水抜きが進まないと、税金を投入して進行中の凍土遮水壁が完成しない。規制委の更田豊志委員は「特殊なセメントが開発されたことで、凍結止水の役割は終わった。次のステップに進む」と締めくくった。


PS(2014.11.28追加):*7のように、「5歳児保育料の来年度一部無償化を導入すれば、年間240億円の財源が必要になる」として幼児教育の一部無償化を見送るそうだが、数百億円もかけて何の役にも立たない凍土壁を作ろうとしながら、教育や保育には240億円でも消費税を増税しなければできないとするのが、我が国のおかしな政策なのである。軽減税率が適用されれば消費税が非課税になることを想定して、新聞はどれも消費税増税の大合唱だが、これは日本のメディアと民主主義の問題だ。

*7:http://digital.asahi.com/articles/ASGCW5G3NGCWULFA02B.html?iref=comtop_6_01 (朝日新聞 2014年11月28日) 5歳児保育料、来年度の無償化見送りへ 財源確保厳しく
 政府が検討してきた年収360万円未満の世帯の5歳児の保育料をただにする「幼児教育の一部無償化」について、来年度からの導入は見送られる方向になった。自民党は前回の衆院選で幼児教育の無償化を公約に掲げており、文部科学省などは来年度からの導入を検討していたが、財源の確保が難しいと判断し、政府内で最終調整している。政府・与党は昨年、子育て支援のため、幼稚園児と保育園児の保育料を無料にすることについて5歳児から段階的な導入をめざすことで合意。文科省と厚生労働省は、まず年収360万円未満の世帯の5歳児を対象にする案をまとめた。5歳児の約2割となる約23万人が対象で、下村博文文科相は7月の記者会見で「絶対妥協できない最低限度(の案)」と述べていた。両省の案では、対象者が私立幼稚園に通う第1子の場合、平均で月額1万6千円程度の負担がゼロになるが、年間で240億円の財源が必要になるため、財務省が難色を示していた。来年度からの導入を見送る一方、保育料を補助する地方自治体への財政支援を拡充する方向で調整に入った。文科省内には、年収270万円未満の5歳の幼稚園児の保育料引き下げを求める声もある。安倍晋三首相は消費税率10%への引き上げを来年10月から1年半先送りした。増税を見込んだ厚労省の子育て支援策の一部に見直しの動きがあるなか、幼児教育の無償化を先行させるのは適当でないとの判断も政府内であったとみられる。自民党は2005年の衆院選以来、幼児教育の無償化を公約に掲げている。12月2日公示、14日投開票の衆院選の公約でも、導入時期は明示していないが、「財源を確保しつつ、幼児教育の無償化に取り組む」としている。すべての3~5歳児の保育料を無料にすると、年間で7千億円以上の財源を確保する必要がある。年収が多い世帯では保育料の自己負担も高くなるため、必要な財源も膨らむ。自治体への支援では、所得や子どもの数に応じて国と自治体が保育料を補助する「幼稚園就園奨励費補助」について、国の負担割合を増やし、国費を新たに40億円程度投入することを検討している。

| 消費税増税問題::2012.8~2014.11 | 11:45 AM | comments (x) | trackback (x) |

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